JP2016098249A - 光配向性を有する熱硬化性組成物、配向層、配向層付基板および位相差板 - Google Patents
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Abstract
Description
配向層の配向規制力を高めるには、偏光紫外線の照射量を多く、照射時間を長くすればよいが、その場合にはスループットが低下する。したがって、偏光紫外線の照射量を少なく、照射時間を短くするために、省エネルギーの観点からも、配向層に用いられる材料の光に対する感度を向上させることが求められている。
特許文献6によれば、(B)(A)成分と熱反応可能な置換基を有し、かつ自己架橋可能なポリマーを用いており、架橋剤を別途添加しないため、光反応効率を上げることができる。
しかしながら、配向規制力は十分であるとはいえず、改善の余地がある。
本発明によれば、上述の配向層を有することにより、液晶配向能に優れる配向層を得ることができる。
本発明によれば、上述の配向層を有することにより、液晶配向能、耐熱性および耐溶剤性に優れており、光学特性の良好な位相差板を得ることができる。
本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物は、下記式(1)で表される光配向性構成単位と、自己架橋可能な熱架橋性基を有する熱架橋性構成単位とを有する共重合体を含有することを特徴とするものである。
さらに本発明においては、共重合体が上記式(1)で表される光配向性構成単位を有することにより、良好な液晶配向能を有する配向層を得ることができる。この理由は明らかではないが、次のように推量される。すなわち、上記式(1)で表される光配向性構成単位はスチレン骨格を有しており、π電子系を多く含んでいる。また、一般に液晶分子にはベンゼン環等の芳香環を有するものが多く、同じくπ電子系を含む。そのため、本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物から形成された配向層は、液晶分子との相互作用が強くなる。これにより、液晶分子を配向制御しやすくなり、良好な液晶配向能が得られると考えられる。
したがって本発明においては、少ない露光量で配向層を形成することが可能な、高感度な光配向性を有する熱硬化性組成物とすることができる。よって本発明は、配向層形成時の偏光紫外線の照射量を少なく、照射時間を短くすることができ、省エネルギーの観点から有用である。
本発明に用いられる共重合体は、上記式(1)で表される光配向性構成単位と、自己架橋可能な熱架橋性基を有する熱架橋性構成単位とを有するものである。
以下、共重合体における各構成単位について説明する。
本発明における光配向性構成単位は下記式(1)で表されるものである。
また、上記式(2−2)中、R21〜R25はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアリール基または炭素数1〜18のシクロアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基またはシアノ基を表す。ただし、アルキル基、アリール基およびシクロアルキル基はエーテル結合、エステル結合、アミド結合、尿素結合を介して結合していてもよく、置換基を有してもよい。R26およびR27はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアリール基または炭素数1〜18のアルコキシ基を表す。
上記式(1−3)中、L11は単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、上記式(1)のL1と同様である。R11〜R17は上記式(2−1)と同様である。
上記式(1−4)中、L12は単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、上記式(1)のL1においてカルボニル結合およびチオカルボニル結合を除いた以外は同様である。
上記式(1−5)中、L13は単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、上記式(1)のL1と同様である。R35〜R37は上記式(2−1)のR12〜R15と同様であり、R38およびR39は上記式(2−1)のR16およびR17と同様である。
上記式(1−3)において、L11は単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−OCO(CH2)nCOO−、−OCO(CH2CH2O)mCOO−、−OCOC6H10O−、−COO(CH2)nO−、−COO(CH2CH2O)m−、−COOC6H10O−、−O(CH2)nO−、−O(CH2CH2O)m−、−OC6H10O−または−(CH2)nO−であることが好ましい。nは1〜11であることが好ましく、mは1〜5であることが好ましい。
また、上記式(1−3)で表される光配向性構成単位は、下記式(1−6)で表される構成単位であることがより好ましい。
なお、共重合体における各構成単位の含有割合は、1H NMR測定による積分値から算出することができる。
本発明における熱架橋性構成単位は、自己架橋可能な熱架橋性基を有するものである。
アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルのモノマーは、溶解性が高く、市販品として入手しやすく、共重合とした際の反応性が良いという利点を有する。
また、N−アルコキシメチル基やN−ヒドロキシメチル基等の自己架橋可能な熱架橋性基が結合したアクリルアミドおよびメタクリルアミドのモノマーは、市販品として入手しやすく、また反応性が良いという利点を有する。
また、スチレンの場合、共重合体において、光配向性構成単位だけでなく熱架橋性構成単位もスチレン骨格を有することにより、π電子系を多く含む共重合体とすることができる。そのため、本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物を用いて配向層を形成した場合、π電子系の相互作用により、液晶配向能を向上させ、また液晶層との密着性を高めることができると考えられる。
単量体単位がスチレンの場合、−L2−Y1はオルト位、メタ位、パラ位のいずれに結合していてもよく、また複数結合していてもよい。複数の場合、L2およびY1は互いに同一でもよく異なってもよい。中でも、−L2−Y1が1つでありパラ位に結合していることが好ましい。
本発明において、共重合体は、上記熱架橋性構成単位の他に、第2熱架橋性構成単位を有していてもよい。第2熱架橋性構成単位は、加熱により上記熱架橋性構成単位が有する自己架橋可能な熱架橋性基、または架橋剤と結合する部位である。共重合体に第2熱架橋性構成単位が含まれることにより、熱硬化性を高めることができる。
本発明において、共重合体は、光配向性構成単位および熱架橋性構成単位の他に、光配向性基および熱架橋性基のいずれも有さない構成単位を有していてもよい。共重合体に他の構成単位が含まれることにより、例えば溶剤溶解性、耐熱性、反応性等を高めることができる。
共重合体の数平均分子量は、特に限定されるものではなく、例えば3,000〜200,000程度とすることができ、好ましくは4,000〜100,000の範囲内である。数平均分子量が大きすぎると、溶剤に対する溶解性が低くなったり粘度が高くなったりして取り扱い性が低下し、均一な膜を形成しにくい場合がある。また、数平均分子量が小さすぎると、熱硬化時に硬化不足になり溶剤耐性や耐熱性が低下する場合がある。
なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により測定することができる。
共重合体の合成方法としては特に限定されないが、例えば、光配向性基を有するスチレン系モノマーと自己架橋可能な熱架橋性基を有するモノマーと重合開始剤等とを共存させた溶剤中において重合反応させることにより得ることができる。その際、用いられる溶剤は、光配向性基を有するスチレン系モノマー、自己架橋可能な熱架橋性基を有するモノマーおよび重合開始剤等を溶解するものであれば特に限定されない。具体的には、後述の光配向性を有する熱硬化性組成物に用いられる溶剤と同様とすることができる。また、重合反応の際の温度は、例えば50℃〜120℃程度で設定することができる。上記方法により得られる共重合体は、通常、溶剤に溶解した溶液の状態である。
すなわち、上記方法で得られた共重合体の溶液を、攪拌下のジエチルエーテルやメタノール、水等に投入して再沈殿させ、生成した沈殿物を濾過、洗浄した後に、常圧または減圧下で、常温乾燥または加熱乾燥し、共重合体の粉体とすることができる。この操作により、共重合体と共存する重合開始剤および未反応のモノマーを除去することができ、その結果、精製した共重合体の粉体が得られる。一度の操作で十分に精製できない場合は、得られた粉体を溶剤に再溶解させ、上記の操作を繰り返し行えばよい。
本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物は、架橋剤を含有してもよい。架橋剤は、上記共重合体の熱架橋性構成単位または第2熱架橋性構成単位と結合するものであり、熱硬化性、耐熱性および耐溶剤性を高めることができる。ただし、光反応性および感度の点から、本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物は、架橋剤を含有しないことが好ましい。
また、架橋剤は、アミノ基の水素原子がメチロール基またはアルコキシメチル基で置換されたメラミン化合物、尿素化合物、グリコールウリル化合物およびベンゾグアナミン化合物を縮合させて得られる化合物であってもよい。
さらに、架橋剤としては、ヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基で置換されたアクリルアミド化合物またはメタクリルアミド化合物を使用して製造されるポリマーも用いることができる。
具体的には、特許第5459520号公報に記載されているものを用いることができる。
本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物は、酸または酸発生剤を含有してもよい。酸または酸発生剤により、本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物の熱硬化反応を促進させることができる。
本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物は、増感剤を含有してもよい。増感剤により、光二量化反応や光異性化反応等の光反応を促進させることができる。
本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物は、主として溶剤に溶解した溶液状態で用いられる。
溶剤としては、上記の各成分を溶解できるものであれば特に限定されるものでなく、具体的には、特許第5459520号公報に記載されているものを用いることができる。溶剤は1種単独でまたは2種以上の組合せで使用することができる。
本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、シランカップリング剤、界面活性剤、レオロジー調整剤、顔料、染料、保存安定剤、消泡剤、酸化防止剤等を含有することができる。また、液晶配向能の向上のために、液晶性モノマーを含有させることができる。
本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物は、通常、各成分が溶剤に溶解した溶液として用いられる。本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物における固形分の割合は、各成分が均一に溶剤に溶解している限り特に限定されるものではなく、0.1質量%〜80質量%の範囲内であり、好ましくは0.5質量%〜60質量%の範囲内であり、より好ましくは0.5質量%〜40質量%の範囲内である。固形分の割合が少なすぎると、液晶配向能や熱硬化性を付与することが困難になる場合がある。また、固形分の割合が多すぎると、光配向性を有する熱硬化性組成物の粘度が高くなり、均一な膜を形成しにくくなる。
なお、固形分とは、光配向性を有する熱硬化性組成物の全成分から溶剤を除いたものをいう。
本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物の調製においては、溶剤中の重合反応によって得られる共重合体の溶液をそのまま使用することができる。この場合、共重合体の溶液に、上述のように架橋剤、増感剤およびその他の添加剤等を入れて均一な溶液とし、後から酸または酸発生剤を添加する。この際に、濃度調整を目的としてさらに溶剤を加えてもよい。このとき、共重合体の生成過程で用いられる溶剤と、光配向性を有する熱硬化性組成物の濃度調整に用いられる溶剤とは同一であってもよく異なってもよい。
本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物の用途としては、例えば位相差板等の各種光学素子の配向層、液晶表示素子の配向層を挙げることができる。また、本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物は、液晶表示素子、有機EL素子、TFT、カラーフィルタ等の各種デバイスにおける絶縁膜や保護膜等に用いることもでき、例えば有機EL素子の絶縁膜、TFTの層間絶縁膜、カラーフィルタのオーバーコート層等を挙げることができる。
本発明の配向層は、上記式(1)で表される光配向性構成単位が有する光配向性基の光二量化構造または光異性化構造、および、熱架橋性構成単位が有する自己架橋可能な熱架橋性基の架橋構造を有する共重合体を含有することを特徴とするものである。
架橋構造は、三次元的な網目構造であり、熱架橋性構成単位が有する自己架橋可能な熱架橋性基が架橋した構造である。通常、熱架橋性構成単位が有する熱架橋性基は自己架橋する。したがって、架橋構造は、熱架橋性基同士が加熱により架橋した構造となる。また、光配向性を有する熱硬化性組成物が架橋剤をさらに含有する場合には、熱架橋性構成単位が有する熱架橋性基は架橋剤とも結合するため、架橋構造には熱架橋性基および架橋剤が加熱により架橋した構造も含まれる。
配向層が上記共重合体を含有することは、配向層から材料を採取し分析することで確認することができる。分析方法としては、NMR、IR、GC−MS、XPS、TOF−SIMSおよびこれらの組み合わせた方法を適用することができる。
光二量化反応は、下記に示すような反応であり、光配向性基に含まれるオレフィン構造が光反応によりシクロプロパン骨格を形成する反応である。光配向性基の種類に応じてXa〜XdおよびXa′〜Xd′は異なる。
例えば、光配向性基がシンナモイル基の場合、光異性化反応は下記に示すような反応であり、光配向性基に含まれるオレフィン構造が光反応によりシス体またはトランス体を形成する反応である。光配向性基の種類に応じてXa〜Xdは異なる。
ここで、光配向性を有する熱硬化性組成物から形成される配向層とは、光配向性を有する熱硬化性組成物を含有する膜を熱硬化させ、さらに光配向させてなる配向層をいう。すなわち、配向層の形成においては、まず、基板上に光配向性を有する熱硬化性組成物を塗布し、乾燥させ、加熱して、硬化膜を形成する。次に、硬化膜に偏光紫外線を照射して、配向層を形成する。
本発明の配向層付基板は、基板と、上記基板上に形成された上述の配向層とを有することを特徴とするものである。
本発明における配向層は、上述の配向層であり、液晶分子を配向させる機能を有するものである。
なお、配向層については、上記「B.配向層」に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
本発明に用いられる基板は、配向層を支持するものである。
基板としては、特に限定されるものではなく、用途等に応じて適宜選択される。基板の材料としては、例えば、ガラスや石英、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、環状ポリオレフィン、アクリル等の樹脂、アルミニウム等の金属、シリコンやシリコンナイトライド等のセラミック等が挙げられる。また、基板は表面処理が施されたものであってもよい。
基板は、可撓性を有していてもよく有さなくてもよく、用途等に応じて適宜選択される。
本発明においては、基板と配向層と間に導電層が形成されていてもよい。導電層は例えば各種デバイスの電極として機能するものである。導電層の材料としては、例えばITO、IZO等の透明導電材料や、アルミニウム、モリブデン、クロム等の金属材料が挙げられる。
本発明の配向層付基板の用途としては、例えば位相差板等の各種光学素子、液晶表示素子、発光素子等を挙げることができる。
本発明の位相差板は、基板と、上記基板上に形成された上述の配向層と、上記配向層上に形成された位相差層とを有することを特徴とするものである。
本発明における位相差層は、上記配向層上に形成されるものである。
位相差層は、配向層上に液晶組成物を塗布し、液晶組成物の相転移温度まで加熱して配向層によって液晶分子を配向させ、硬化することにより得ることができる。
液晶組成物は、少なくとも液晶化合物を含有するものであり、通常はさらに溶剤を含有する。液晶組成物は、液晶化合物の配向を阻害しない範囲で、さらに他の成分を含有してもよい。
液晶組成物としては、位相差層に一般的に用いられるものを使用することができる。液晶組成物には、例えば水平配向、コレステリック配向、垂直配向、ハイブリッド配向等の配向性を有するものがあり、配向層との組み合わせや所望の位相差等に応じて適宜選択される。
中でも、液晶化合物は、重合性基を有する重合性液晶化合物であることが好ましい。重合性液晶化合物同士を架橋することができ、位相差板の安定性が増すからである。
位相差層の膜厚および形成方法等は、一般的な位相差層と同様とすることができる。
基板および配向層の間には導電層が形成されていてもよい。なお、導電層については、上記「C.配向層付基板」に記載したので、ここでの説明は省略する。
位相差板は可撓性を有していてもよく有さなくてもよい。
本発明のデバイスは、上述の配向層を有することを特徴とするものである。
なお、位相差板については、上記「D.位相差板」に記載したので、ここでの説明は省略する。
以下、液晶表示素子について説明する。
本発明における液晶表示素子は、2つの態様を有する。以下、各態様に分けて説明する。
本発明における液晶表示素子の第1態様は、第1基板上に第1配向層が形成された第1配向層付基板と、第2基板上に第2配向層が形成された第2配向層付基板と、第1配向層付基板および第2配向層付基板の間に配置された液晶層とを有するものであり、第1配向層および第2配向層は上述の配向層である。
なお、第1基板、第2基板、配向層および導電層については、上記「B.配向層付基板」における基板、配向層および導電層と同様であるので、ここでの説明は省略する。
また、液晶表示素子の他の構成は、一般的な液晶表示素子の構成と同様とすることができる。
本発明における液晶表示素子の第2態様は、上記位相差板を有するものである。
液晶表示素子の構成は、一般的な液晶表示素子の構成と同様とすることができる。例えば、液晶表示素子を構成する基板の外側に位相差板を配置してもよく、液晶表示素子を構成する基板が位相差板を構成する基板を兼ねており、基板の内側に配向層および位相差層が配置されていてもよい。
200mLフラスコ中、窒素雰囲気下において、p−アセトキシスチレン20.0g(118mmol)を酢酸エチル80mLに溶解し、ナトリウムメトキシド9.08g(47.1mmol)を約30分かけてゆっくり滴下した。1時間半撹拌し、TLCにより反応の終了を確認したのち、この溶液に37%ホルマリン水溶液56.0mL(944mmoL)を室温下でゆっくりと加えた。更に、窒素雰囲気下、40℃で24時間攪拌した後、ビーカー中の水200mLに投入した。これを氷浴にて冷却しながら2.0wt%酢酸水溶液をpH5.0になるまでゆっくりと加えた。析出物をろ別し、十分に水洗浄した後、乾燥し、カラムクロマトグラフィーで精製することにより、自己架橋性モノマー1を得た。
200mLフラスコ中、窒素雰囲気下において、p−アセトキシスチレン20.0g(118mmol)を酢酸エチル80mLに溶解し、ナトリウムメトキシド9.08g(47.1mmol)を約30分かけてゆっくり滴下した。1時間半撹拌した後、TLCにより反応の終了を確認し、酢酸エチルで抽出した後、1N塩酸、純水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥した。溶媒を留去し、乾燥させることで、自己架橋性モノマー誘導体1を得た。
300mLフラスコ中、氷冷下において4−ビニル安息香酸20.15g(136mmol)、trans−4−ヒドロキシけい皮酸メチル21.0(118mmol)、ジメチルアミノピリジン0.458g(3.82mmol)をジクロロメタン130mlに溶解し、ジクロロメタン40mlに溶解したN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド28.0g(136mmol)を約10分かけて滴下した。15時間撹拌した後、反応溶液を冷却し、沈殿物をろ別した。溶媒を留去し、メタノールを添加し、再結晶により光配向性モノマー1を10.8g得た。
200mLフラスコ中、窒素雰囲気下において、p−アセトキシスチレン20.0g(118mmol)を酢酸エチル80mLに溶解し、ナトリウムメトキシド9.08g(47.1mmol)を約30分かけてゆっくり滴下した。1時間半撹拌した後、TLCにより反応の終了を確認し、酢酸エチルで抽出した後、1N塩酸、純水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥した。溶媒を留去し、乾燥させることで、光配向性モノマー誘導体1を得た。
合成例3において、4−ビニル安息香酸を用いる代わりに光配向性モノマー誘導体1を等モル量用い、trans−4−ヒドロキシけい皮酸メチルを用いる代わりに、trans−けい皮酸を等モル量用いて、合成例3と同様に縮合することで、光配向性モノマー2を得た。
合成例3において、trans−4−ヒドロキシけい皮酸メチルを用いる代わりにエチレングリコールを等モル量用いて、合成例3と同様に縮合することで、光配向性モノマー誘導体2を得た。
合成例3において、4−ビニル安息香酸を用いる代わりに光配向性モノマー誘導体2を等モル量用い、trans−4−ヒドロキシけい皮酸メチルを用いる代わりに、trans−けい皮酸を等モル量用いて、合成例3と同様に縮合することで、光配向性モノマー3を得た。
光配向性モノマー誘導体1を合成例4と同様にして得た。200mLフラスコ中、窒素雰囲気、氷零下において、光配向性モノマー誘導体1 14.0g(118mmol)をジメチルホルムアミド100mlに溶解し、水酸化ナトリウム7.07g(177mmol)を添加し、15分撹拌した後、2−クロロエタノール10.5g(130mmol)を約10分かけて滴下した。16時間撹拌した後、TLCにより反応の終了を確認し、酢酸エチルで抽出した後、飽和炭酸水素水溶液、1N塩酸、純水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥した。溶媒を留去し、乾燥させることで、熱架橋性モノマー1を得た。
合成した各モノマーは、日本電子(株)製JEOL JNM−LA400WBを用いて、1H NMR測定により、化学構造を確認した。
グリシジルメタクリレート 1.42g、光配向性モノマー1 3.08g、重合触媒としてα、α′−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)44mgをジオキサン25mlに溶解し、90℃にて6時間反応させた。反応終了後、再沈殿法により精製することで、共重合体1を得た。得られた共重合体の数平均分子量は22000であった。
自己架橋性モノマー、光配向性モノマー、熱硬化性モノマーを用いて、製造例1と同様に共重合体2〜18を合成した。
合成した各共重合体の数平均分子量(以下、Mnと称す)は、東ソー(株)製HLC−8220 GPCを用いて、ポリスチレンを標準物質とし、NMPを溶離液としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)にて算出した。
(熱硬化性組成物1の調製)
下記に示す組成の熱硬化性組成物1を調製した。
・共重合体1:0.1g
・p−トルエンスルホン酸1水和物(PTSA):0.0015g
・プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME):2.1g
透明ガラス基板の一面に、実施例1で調製した熱硬化性組成物をスピンコートにより塗布し、100℃のオーブンで1分間加熱乾燥させ、硬化膜を形成し、塗膜を得た。この硬化膜表面にHg−Xeランプおよびグランテーラープリズムを用いて313nmの輝線を含む偏光紫外線を基板法線から垂直方向に10mJ/cm2照射することで、配向層を形成した。
下記式で表される液晶性モノマーをシクロヘキサンノンに固形分15質量%となるように溶解した溶液に、BASF株式会社製の光重合開始剤イルガキュア184を5質量%添加し、重合性液晶組成物を調製した。
酸または酸発生剤としてp−トルエンスルホン酸1水和物(PTSA)またはp−トルエンスルホン酸ピリジニウム塩(PPTS)、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、架橋剤としてヘキサメトキシメチルメラミン(HMM)または1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル(TMGU)を用いて、実施例1と同様に、実施例2〜28の熱硬化性組成物を調製し、配向層を形成し、位相差板を作製した。
各熱硬化性組成物の組成を下記表4に示す。
得られた各位相差板について以下の評価を行った。
2枚の直線偏光板をクロスニコル状態にして、その間に位相差板を挟み、目視で観察した。基板を回転させた際に、面内に観察される明暗模様が非常に明確なものを「◎」、面内に観察される明暗模様が明確なものを「○」、配向欠陥がみられるものを「×」として評価した。
Claims (8)
- 前記光配向性基が光二量化反応または光異性化反応を生じる官能基であることを特徴とする請求項1に記載の光配向性を有する熱硬化性組成物。
- 前記光配向性基がシンナモイル基であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光配向性を有する熱硬化性組成物。
- 前記共重合体が第2熱架橋性構成単位をさらに有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の光配向性を有する熱硬化性組成物。
- 前記第2熱架橋性構成単位が有する第2熱架橋性基がヒドロキシ基であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の光配向性を有する熱硬化性組成物。
- 基板と、前記基板上に形成され、請求項6に記載の配向層とを有することを特徴とする配向層付基板。
- 基板と、前記基板上に形成され、請求項6に記載の配向層と、前記配向層上に形成された位相差層とを有することを特徴とする位相差板。
Priority Applications (11)
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