JP2016098245A - ポリシルセスキオキサン液体及びその製造方法、led封止用組成物、led封止材、及び半導体発光装置 - Google Patents

ポリシルセスキオキサン液体及びその製造方法、led封止用組成物、led封止材、及び半導体発光装置 Download PDF

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岳 吉川
Takeshi Yoshikawa
岳 吉川
高島 正之
Masayuki Takashima
正之 高島
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【課題】加熱硬化させると紫外光の透過性が改善された硬化物となるポリシルセスキオキサン液体及びその製造方法、LED封止材、LED封止用組成物、及び半導体発光装置を提供する。【解決手段】R1SiO3/2で表される繰り返し単位を有するポリシルセスキオキサンを主成分とし、加熱硬化させて得られる厚みt[mm]の硬化物の380nm、316nm及び260nmの各波長における吸光度をそれぞれAbsA(t)、AbsB(t)及びAbsC(t)とし、380nmにおける光の透過率をT(t)とした場合に、下記式(1)、(2)及び(3)を満たす、ポリシルセスキオキサン液体及びその製造方法、LED封止用組成物、LED封止用組成物、及び半導体発光装置。(1) T(1.7)≧90%(2) AbsB(t)−AbsA(t)<0.011t(3) AbsC(t)−AbsA(t)<0.125t【選択図】なし

Description

本発明は、ポリシルセスキオキサン液体及びその製造方法、LED封止用組成物、LED封止材、及び半導体発光装置に関する。
近年、UV(紫外)−LEDが市場に出回り始めている。UV−LEDの封止には石英ガラスが一般的に用いられている。しかしながら、石英ガラスは高価であり、また、屈折率の関係からUV光の取出し効率が低いという問題があった。
そこで、UV−LEDを、ポリシルセスキオキサン液体を熱処理して得られるポリシルセスキオキサンガラスで封止することが提案されている。また、ポリシルセスキオキサン液体の製造方法にも様々な検討がなされている。
例えば、特許文献1には、有機溶媒を用いずに、3官能ケイ素アルコキシドと水と酸触媒とからなる混合物を加水分解及び重縮合させた後、3官能ケイ素アルコキシドの加水分解によって生じるアルコールを除去することを含むポリシルセスキオキサン液体の製造方法が記載されている。
特開2013−253223号公報
しかしながら、特許文献1に記載の製造方法で製造されたポリシルセスキオキサン液体を熱処理して得られるポリシルセスキオキサンガラスは、紫外領域の光の透過性に改善の余地がある。
そこで、本発明は、加熱硬化させると、特にUV−C〜UV−B(200〜320nm)の光の透過性が改善された硬化物となるポリシルセスキオキサン液体及びその製造方法を提供することを目的とする。本発明はまた、特にUV−C〜UV−Bの光の透過性が改善されたLED封止材及び上記LED封止材を形成するためのLED封止用組成物、並びに特にUV−C〜UV−Bの光の透過性が改善された半導体発光装置を提供することを目的とする。
本発明は以下の通りである。
[1]RSiO3/2(式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数2以上のアルキル基を表す。)で表される繰り返し単位を有するポリシルセスキオキサンを主成分とし、加熱硬化させて得られる厚みt[mm]の硬化物の380nm、316nm及び260nmの各波長における吸光度をそれぞれAbs(t)、Abs(t)及びAbs(t)とし、380nmにおける光の透過率をT(t)とした場合に、下記式(1)、(2)及び(3)を満たす、ポリシルセスキオキサン液体。
(1) T(1.7)≧90%
(2) Abs(t)−Abs(t)<0.011t
(3) Abs(t)−Abs(t)<0.125t
[2][1]に記載のポリシルセスキオキサン液体を主成分とし、加熱硬化させて得られる厚みt[mm]の硬化物の380nm、316nm及び260nmの各波長における吸光度をそれぞれAbs(t)、Abs(t)及びAbs(t)とし、380nmにおける光の透過率をT(t)とした場合に、下記式(1)、(2)及び(3)を満たす、LED封止用組成物。
(1) T(1.7)≧90%
(2) Abs(t)−Abs(t)<0.011t
(3) Abs(t)−Abs(t)<0.125t
[3][1]に記載のポリシルセスキオキサン液体又は[2]に記載のLED封止用組成物を加熱硬化させて得られた、LED封止材。
[4]基板と、前記基板上に配置された半導体発光素子と、前記半導体発光素子の表面を覆って設けられた封止部と、を備え、前記半導体発光素子は、前記基板と前記封止部とによって周囲を囲まれて封止され、前記封止部は[3]に記載のLED封止材からなる、半導体発光装置。
[5][1]に記載のポリシルセスキオキサン液体の製造方法であって、RSi(OR(式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数2以上のアルキル基を表し、Rはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表す。)で表される3官能ケイ素アルコキシドを主成分とする3官能ケイ素アルコキシドと水と酸触媒とからなる混合物を加水分解及び重縮合させ、アルコール及びポリシルセスキオキサン液体を生成する第1工程と、前記アルコールを除去してポリシルセスキオキサン液体を得る第2工程と、前記ポリシルセスキオキサン液体と水とを混合後、分液して有機層を回収することにより、前記ポリシルセスキオキサン液体を洗浄する第3工程と、を備える、製造方法。
[6]前記第3工程を有機溶媒の存在下で行う、[5]に記載の製造方法。
本発明によれば、加熱硬化させると、特にUV−C〜UV−Bの光の透過性が改善された硬化物となるポリシルセスキオキサン液体及びその製造方法を提供することができる。また、特にUV−C〜UV−Bの光の透過性が改善されたLED封止材及び上記LED封止材を形成するためのLED封止用組成物、並びに特にUV−C〜UV−Bの光の透過性が改善された半導体発光装置を提供することができる。
1実施形態に係る半導体発光装置の断面図である。 実施例1〜4及び比較例1のLED封止材の、光の透過率の測定結果を示すグラフである。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内であれば種々に変更して実施することができる。
<ポリシルセスキオキサン液体の製造方法>
1実施形態において、本発明は、ポリシルセスキオキサン液体の製造方法であって、RSi(OR(式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数2以上のアルキル基を表し、Rはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表す。)で表される3官能ケイ素アルコキシドを主成分とする3官能ケイ素アルコキシドと水と酸触媒とからなる混合物を加水分解及び重縮合させ、アルコール及びポリシルセスキオキサン液体を生成する第1工程と、前記アルコールを除去してポリシルセスキオキサン液体を得る第2工程と、前記ポリシルセスキオキサン液体と水とを混合後、分液して有機層を回収することにより、前記ポリシルセスキオキサン液体を洗浄する第3工程と、を備える、製造方法を提供する。
本実施形態の製造方法によれば、加熱硬化させることにより、特にUV−C〜UV−Bの光の透過性が改善された硬化物(ポリシルセスキオキサンガラス)を形成することができる、ポリシルセスキオキサン液体を製造することができる。以下、各工程について説明する。
[第1工程]
第1工程において、3官能ケイ素アルコキシドと水と酸触媒とからなる混合物を加水分解及び重縮合させる。
(3官能ケイ素アルコキシド)
3官能ケイ素アルコキシドとしては、RSi(OR(式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数2以上のアルキル基を表し、Rはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表す。)で表される化合物を主成分とするものを使用する。
ここで、「主成分とする」とは、本工程で使用する3官能ケイ素アルコキシドのうち、例えば50モル%以上、例えば60モル%以上、例えば70モル%以上、例えば80モル%以上、例えば90モル%以上が、RSi(OR(式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数2以上のアルキル基を表し、Rはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表す。)で表される化合物であることを意味する。
本工程で使用する3官能ケイ素アルコキシドは、本発明の効果が得られる限り、RSi(OR(式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数2以上のアルキル基を表し、Rはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表す。)で表される化合物以外の3官能ケイ素アルコキシドを含んでいてもよい。
で表されるアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、環状構造を有していてもよいが、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、直鎖状のアルキル基がより好ましい。
で表されるアルキル基としては、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基等が挙げられる。
また、Rで表されるアルキル基が有していてもよい置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。
上記の3官能ケイ素アルコキシドにおけるRは、置換基を有していてもよいアルキル基を表す。Rで表されるアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、環状構造を有していてもよいが、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、直鎖状のアルキル基がより好ましい。
で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基等が挙げられる。
また、Rで表されるアルキル基が有していてもよい置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。
本実施形態の製造方法により製造されるポリシルセスキオキサン液体の硬化物(ポリシルセスキオキサンガラス)のUV光による劣化を抑制する観点から、上記3官能ケイ素アルコキシドのR又はRにおける炭素−炭素結合の数は少ないことが好ましい。また、立体障害が少なく、3官能ケイ素アルコキシドの重合が進みやすい観点から、R又はRにおける炭素−炭素結合の数は少ないことが好ましい。そこで、上記式中のR又はRにおける炭素数は、例えば10以下であってもよく、例えば5以下であってもよく、例えば3以下であってもよい。
Si(OR(式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数2以上のアルキル基を表し、Rはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表す。)で表される3官能ケイ素アルコキシドのより具体的な例としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
3官能ケイ素アルコキシドは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
(酸触媒)
酸触媒としては、例えば、硝酸、塩酸、硫酸、酢酸、ギ酸等が挙げられる。
(加水分解及び重縮合)
第1工程では、上述した3官能ケイ素アルコキシドと水と酸触媒とからなる混合物を加水分解及び重縮合させる。3官能ケイ素アルコキシドと水と酸触媒とは、3官能ケイ素アルコキシド1モルに対して、水1.5〜5モル、酸触媒0モル超0.02モル以下で混合することが好ましい。水は、3官能ケイ素アルコキシドから、対応するポリシルセスキオキサンを得るために最低1.5モル、3官能ケイ素アルコキシドをすみやかに加水分解させるために最低3モル必要であるが、過剰な水分は最終的に除去されるため必要以上に用いることは好ましくない。酸触媒の使用量は、用いる3官能ケイ素アルコキシドと酸の種類によって異なるが、例えば3官能ケイ素メトキシドに対して希硝酸を用いる場合には0.002モル程度であってもよい。
3官能ケイ素アルコキシドと水と酸触媒とからなる混合物を、例えば20〜60℃程度の温度で24時間程度保持することにより、加水分解及び重縮合させることができる。
第1工程終了後の、アルコール及びポリシルセスキオキサン液体を含む混合物において、アルコールとポリシルセスキオキサン液体とは、比重の違いから2層に分離し、上層にアルコールが、下層にポリシルセスキオキサン液体が分離される。
[第2工程]
続いて、第2工程において、上記の3官能ケイ素アルコキシドの加水分解によって生じたアルコールを除去してポリシルセスキオキサン液体を得る。アルコールの除去は、例えば、乾燥や分液等により行うことができる。
[第3工程]
続いて、第3工程において、上記のポリシルセスキオキサン液体と水とを混合後、分液して有機層を回収することにより、ポリシルセスキオキサン液体を洗浄する。
ここで、上記の混合物に有機溶媒を添加して、ポリシルセスキオキサン液体の比重を水よりも低く調整してもよい。これにより、ポリシルセスキオキサン液体を上層に、水を下層に分離させることができる。この結果、分液により不要な水を下層から除去することができるため、操作がより簡便になり、生産性が向上する。
有機溶媒の添加量は、3官能ケイ素アルコキシドの種類や使用する有機溶媒の組成により適宜調整すればよいが、例えばポリシルセスキオキサン液体に対して1〜10容量添加すればよく、例えば1〜5容量添加すればよい。
上記の有機溶媒は、後で加熱等により除去しやすいものであることが好ましい。また、有機溶媒がポリシルセスキオキサン液体中に残存し、後にLED封止用組成物の硬化物に混入した場合であっても、透過させたい波長の光を吸収しないものであることが好ましい。また、ポリシルセスキオキサン液体の比重を調製しやすい観点から、25℃における比重が十分小さいものであることが好ましい。
このような有機溶媒としては、例えば沸点が130℃以下であるもの等が挙げられ、より具体的には、ペンタン、ヘキサン等の炭化水素、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル等が挙げられる。有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
なお、上記有機溶媒は、第1工程又は第2工程で添加していてもよい。この場合、第3工程で新たに有機溶媒を添加しなくても、ポリシルセスキオキサン液体を上層に、水を下層に分離させることができる。ただし、第1工程で上記有機溶媒を添加する場合には、3官能ケイ素アルコキシド、水、3官能ケイ素アルコキシドの加水分解により生じるアルコール等と相溶する有機溶媒を用いることが好ましい。このような有機溶媒としては、極性溶媒が好ましく、より具体的には、上述したエステル、エーテル等が好ましい。あるいは、予備実験で相溶することを確認したうえで有機溶媒を決定してもよい。
また、有機溶媒を添加しなくても、ポリシルセスキオキサン液体を下層に、水を上層に分離させ、ポリシルセスキオキサン液体の洗浄を行うこともできる。
ポリシルセスキオキサン液体の洗浄は、ポリシルセスキオキサン液体に、例えばポリシルセスキオキサン液体と等質量の水を添加して混合し、分液して水を除去することを、例えば1〜10回、例えば1〜5回繰り返すことにより行うとよい。
ポリシルセスキオキサン液体の洗浄後、有機溶媒を添加していた場合には、溶媒を加熱等により除去し、ポリシルセスキオキサン液体を得る。
後述するように、ポリシルセスキオキサン液体を洗浄することにより、加熱硬化させた場合に形成されるポリシルセスキオキサンガラスの、特にUV−C〜UV−Bの光の透過性が改善される。
<ポリシルセスキオキサン液体>
1実施形態において、本発明は、RSiO3/2(式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数2以上のアルキル基を表す。)で表される繰り返し単位を有するポリシルセスキオキサンを主成分とし、加熱硬化させて得られる厚みt[mm]の硬化物の380nm、316nm及び260nmの各波長における吸光度をそれぞれAbs(t)、Abs(t)及びAbs(t)とし、380nmにおける光の透過率をT(t)とした場合に、下記式(1)、(2)及び(3)を満たす、ポリシルセスキオキサン液体を提供する。
(1) T(1.7)≧90%
(2) Abs(t)−Abs(t)<0.011t
(3) Abs(t)−Abs(t)<0.125t
上記式(3)は、下記式(3’)であってもよい。
(3’) Abs(t)−Abs(t)<0.09t
本実施形態のポリシルセスキオキサン液体は、加熱硬化させることにより、特にUV−C〜UV−Bの光の透過性が改善されたポリシルセスキオキサンガラスを形成することができる。したがって、本実施形態のポリシルセスキオキサン液体は、LED封止材用に好適に用いられる。
本実施形態のポリシルセスキオキサン液体は、上述したポリシルセスキオキサン液体の製造方法により製造することができる。
本実施形態のポリシルセスキオキサン液体は、RSiO3/2(式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数2以上のアルキル基を表す。)で表される繰り返し単位を有するポリシルセスキオキサンを主成分とする。
ここで、「主成分とする」とは、本実施形態のポリシルセスキオキサン液体中のポリシルセスキオキサンが有する繰り返し単位のうち、例えば50モル%以上、例えば60モル%以上、例えば70モル%以上、例えば80モル%以上、例えば90モル%以上がRSiO3/2(式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数2以上のアルキル基を表す。)で表される繰り返し単位であることを意味する。
本実施形態のポリシルセスキオキサン液体中のポリシルセスキオキサンは、本発明の効果が得られる限り、RSiO3/2(式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数2以上のアルキル基を表す。)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を有していてもよい。
SiO3/2で表される繰り返し単位中のRは、上述したRSi(OR(式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数2以上のアルキル基を表し、Rはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表す。)で表される3官能ケイ素アルコキシドのRに由来するものである。したがって、Rとしては、上述した3官能ケイ素アルコキシドのRと同様のものが挙げられる。
<LED封止用組成物>
1実施形態において、本発明は、上記のポリシルセスキオキサン液体を主成分とし、加熱硬化させて得られる厚みt[mm]の硬化物の380nm、316nm及び260nmの各波長における吸光度をそれぞれAbs(t)、Abs(t)及びAbs(t)とし、380nmにおける光の透過率をT(t)とした場合に、下記式(1)、(2)及び(3)を満たす、LED封止用組成物を提供する。
(1) T(1.7)≧90%
(2) Abs(t)−Abs(t)<0.011t
(3) Abs(t)−Abs(t)<0.125t
上記式(3)は、下記式(3’)であってもよい。
(3’) Abs(t)−Abs(t)<0.09t
本実施形態のLED封止用組成物は、上記のポリシルセスキオキサン液体を主成分として含有する。ここで、「主成分として含有する」とは、上記のポリシルセスキオキサン液体を、LED封止用組成物を基準として固形分換算で、例えば50質量%以上、例えば60質量%以上、例えば70質量%以上、例えば80質量%以上、例えば90質量%以上含有することを意味する。
本実施形態のLED封止用組成物は、上記のポリシルセスキオキサン液体以外の成分として、硬化用触媒、その他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、シリコーンオリゴマー、無機粒子、蛍光体、シランカップリング剤等が挙げられる。
(硬化用触媒)
硬化用触媒としては、シリコーン樹脂成分の架橋反応を促進し得るものであれば特に制限されず、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、蟻酸、酢酸、蓚酸、クエン酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、コハク酸、リン酸エステル、亜リン酸エステル等の有機酸を用いることができる。また、酸性化合物だけではなく、アルカリ性の化合物を用いることも可能である。具体的には、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム等を用いることができる。
硬化用触媒は、所定の濃度で添加するために、水、有機溶媒、又はLED封止用組成物に馴染みやすいシリコーン系モノマーやアルコキシシランオリゴマー等により希釈した状態でLED封止用組成物に添加させることができる。
LED封止用組成物に添加される硬化用触媒の量は、硬化反応時の加熱温度、反応時間、触媒の種類等を考慮して、適宜調整することができる。ポリシルセスキオキサン液体100質量部に対する硬化用触媒の含有量は、例えば0.01〜20質量部であってよく、例えば0.01〜10質量部であってよい。硬化用触媒は、硬化反応を行う直前にLED封止用組成物に添加してもよいし、LED封止用組成物に元々含有させていてもよい。
(シリコーンオリゴマー)
シリコーンオリゴマーとしては、例えば、下記式(F3)において、官能数が2を超え、重量平均分子量が300〜1500の熱硬化性シリコーンオリゴマーを用いることができる。官能数は2.5〜4.0であるものが好ましい。
(R111213SiO1/2(R1415SiO2/2(R16SiO3/2(SiO4/2 …(F3)
式(F3)中、R11〜R16は、それぞれ独立して、アルキル基、フェニル基等の炭化水素基又はハロゲン原子である。R11〜R16がハロゲン原子である場合、これらの原子は、上記式(F3)における酸素原子と見なして官能数をカウントする。
M、D、TおよびQは0以上1未満であり、M+D+T+Q=1を満足する数である。上記式(F3)で表されるポリオルガノシロキサンを構成する繰り返し単位は、一官能型[RSiO0.5](トリオルガノシルヘミオキサン)、二官能型[RSiO](ジオルガノシロキサン)、三官能型[RSiO1.5](オルガノシルセスキオキサン)、四官能型[SiO](シリケート)(但し、ここでは簡略化のため、R11〜R16をまとめてRと示している。)であり、これら4種の繰り返し単位の構成比率によって、ポリオルガノシロキサンとしての官能数が定まる。
すなわち、上記式(F3)のポリオルガノシロキサンの官能数は、下記式(F4)によって算出できる。
官能数=(2×D+3×T+4×Q)/(D+T+Q) …(F4)
シリコーンオリゴマーの重量平均分子量が1500以下であると、LED封止用組成物を加熱硬化して得られる硬化物(LED封止材)のクラック耐性が更に向上する傾向がある。シリコーンオリゴマーの重量平均分子量は、例えば300〜800であってもよく、例えば350〜700であってもよい。
ポリシルセスキオキサン液体100質量部に対するシリコーンオリゴマーの添加量は、例えば0.5〜50質量部であってよく、例えば1〜50質量部であってよい。
LED封止用組成物に上記のシリコーンオリゴマーを配合すると、LED封止用組成物を加熱硬化させて得られたLED封止材が、ガスバリア性を損なうことなく、クラック耐性及び密着性をより向上させる傾向がある。シリコーンオリゴマーの添加により、得られるLED封止材のクラック耐性及び他の材質との密着性が向上する理由は明らかではないが、低分子のシリコーンオリゴマーが、LED封止用組成物中のポリシルセスキオキサンの高分子間を架橋するように結合する結果、可とう性が向上すると共に、シリコーンオリゴマー中の官能基により封止材全体の極性が増加することによって、他の材質との接着力が向上するためと推察される。
シリコーンオリゴマーは、シロキサン結合を生じ得る官能基を有する有機ケイ素化合物を出発原料として加水分解縮合法で反応させることにより合成することができる。また、こうして合成されたシリコーンオリゴマーは工業的に市販されている。
ポリシルセスキオキサン及びシリコーンオリゴマーの混合方法は特に制限されるものではなく、2種類以上の高分子を混合する際に通常行われる公知の方法のいずれを用いてもよい。例えば、両成分が常温で十分に粘度の低い液体であるならば、自転公転ミキサーのような攪拌機を用いることができる。また、ポリシルセスキオキサン液体及びシリコーンオリゴマーを有機溶媒に溶解させて混合することもできる。
後者の場合、ポリシルセスキオキサン液体及びシリコーンオリゴマーを一旦揮発性及び溶解性が高い有機溶媒(以下、「溶媒P」という。)中で溶解した後、加熱により溶媒Pを除去することにより、残存溶媒や未反応のまま残った水等を同伴して除去することができる。このため、LED封止用組成物の安定性を向上させられ、またより均一に混合させることができる。その際、より効率的に溶媒除去を行う手段として、容器内を減圧にした状態で加熱してもよい。
また、粘度の調整のためにさらに揮発性の低い溶媒(以下、「溶媒Q」という。)を用いて、溶媒PとQの置換操作を行ってもよい。この場合、具体的には、まず、揮発性の高い有機溶媒P中にポリシルセスキオキサン液体を投入し、有機溶媒Pの沸点付近の温度まで加熱し攪拌させることによって溶解させる。次いで、シリコーンオリゴマーを投入して同様にして混合溶解させる。その後、有機溶媒Pよりも揮発性が低い溶媒Qを投入し、有機溶媒Pの濃度が1%以下になるまで加熱することによって、有機溶媒Pから溶媒Qへの溶媒置換を行うことができる。
溶媒Qの使用量としては、基板上に設置した素子へのポッティングを容易にする量で使用すればよく、得られる溶液の粘度が10mPasから50000mPasになるように調整すると良い。
有機溶媒Pとしては、沸点が100℃未満の有機溶媒が好ましい。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール等のアルコール系溶媒;ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル等の酢酸エステル系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒が挙げられる。
溶媒Qとしては、沸点が100℃以上の有機溶媒が好ましい。具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノエチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノエチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノベンジルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノベンジルエーテル等のグリコールエーテル系溶媒;エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノヘキシルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルヘキシルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールモノベンジルエーテルアセテート等の、前記記載のグリコールエーテル系溶媒に酢酸基を付加させた、グリコールエステル系溶媒等が挙げられる。
(無機粒子、蛍光体)
LED封止用組成物に、光によって蛍光を発する蛍光体及び無機粒子を含有させてもよい。これにより、得られるLED封止材は、発光素子からの光の強度を高めることが可能になる。上記無機粒子は、LED封止材中で光を散乱させて蛍光体を効果的に励起させる、蛍光体がLED封止用組成物中で沈降することを防止する、LED封止用組成物の粘度を調整する、得られるLED封止材の光散乱性、屈折率、寸法安定性、機械的強度を改良する等の機能を有する。
LED封止用組成物に蛍光体及び無機粒子を混合させる場合、蛍光体は沈降しやすいため、あらかじめ無機粒子を混合させておき、蛍光体を混合した後に、速やかに光半導体素子の封止に供することが好ましい。
無機粒子としては、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、鉄、亜鉛等の酸化物、カーボンブラック、チタン酸バリウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム等が好ましい。中でもケイ素の酸化物、チタンの酸化物、及びアルミニウムの酸化物よりが好ましい。さらに、UV光への吸収率が低いという観点からケイ素、アルミニウムの酸化物が好ましい。
無機粒子の形状としては、略球状、板状、柱状、針状、ウィスカー状、繊維状が挙げられる。
無機粒子の組成は1種類のみであってもよく、2種類以上であってもよい。2種類以上を用いる場合は、例えば一次粒子の平均粒子径が100〜500nmである無機粒子Aと、一次粒子の平均粒子径が100nm未満である無機粒子Bの少なくとも2種類を含むことがより好ましい。一次粒子の平均粒径が異なる2種類以上の無機粒子を含むことにより、光の散乱による蛍光体の励起効率がより向上し、蛍光体の沈降防止に効果を発揮することができる。
ここで一次粒子の平均粒子径は、電子顕微鏡等により直接粒子を観察する画像イメージング法等により求めることができる。具体的には、測定対象となる無機粒子を任意の溶媒に、超音波等を照射して充分に分散させた液をスライドガラス等に滴下乾燥させたもの、又は接着テープの接着面に直接無機粒子を振りかける等により付着させたものを、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)等により観察し、その形状から寸法を割り出すことによって得られる。例えば、無機粒子の投影面積を求め、この面積に相当する円の直径を求めて粒子径としてもよい。この場合、例えば、100個以上の粒子について粒子径を求め算術平均することにより平均粒子径とするとよい。
ポリシルセスキオキサン液体100質量部に対する無機粒子の含有量は、例えば0.01〜10質量部であってよく、0.1〜5質量部であってよい。
また、蛍光体の組成や種類には特に制限はなく、例えば、波長570〜700nmの範囲で蛍光を発する赤色蛍光体、490〜570nmの範囲で蛍光を発する緑色蛍光体、420〜480nmの範囲で蛍光を発する青色蛍光体等が挙げられる。また、明るさや色度によって複数の蛍光体を混合させることもできる。蛍光体の含有量には特に制限はなく、発光素子の光量や、半導体発光装置として必要な色度や明るさによって適宜調整することができる。
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤は、LED封止用組成物と半導体発光素子やパッケージとの密着性を向上させる効果がある。シランカップリング剤としては、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基及びイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも一つ以上を有するシランカップリング剤が好ましく、中でもエポキシ基又はメルカプト基を含むカップリング剤が好ましい。具体的には2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが好ましい。
ポリシルセスキオキサン液体100質量部に対するシランカップリング剤の含有量は、例えば0.0001〜1.0質量部であってよく、例えば0.001〜0.5質量部であってよい。
当該シランカップリング剤は、LED封止用組成物に混合してもよいが、半導体発光素子やパッケージの表面に予め当該シランカップリング剤をコーティングや浸漬処理により付着させておき、その後LED封止用組成物をポッティング等で形成し、硬化させてもよい。
(その他の添加物)
LED封止用組成物は、更に、ポリシルセスキオキサン液体及びシリコーンオリゴマーとは異なる改質用シリコーン化合物、並びに添加剤を含んでいてもよい。
改質用シリコーン化合物としては、工業的に市販されている一般的なシリコーン化合物を挙げることができる。改質用シリコーン化合物を加えることにより、例えば、LED封止材に柔軟性を付与することができる。
ポリシルセスキオキサン液体100質量部に対する改質用シリコーン化合物の含有量は、例えば0.1〜20質量部であってよく、例えば0.5〜10質量部であってよい。
上記の添加剤としては、本組成物の混合時に発生する気泡を抑制させるための消泡剤等が挙げられる。ポリシルセスキオキサン液体100質量部に対する消泡剤の含有量は、例えば0.01〜3質量部であってよく、例えば0.01〜1質量部であってよい。
<LED封止材>
1実施形態において、本発明は、上述したポリシルセスキオキサン液体又は上述したLED封止用組成物を加熱硬化させて得られた、LED封止材を提供する。
本実施形態のLED封止材は、特にUV−C〜UV−Bの光の透過性が改善されており、UV光による劣化が少なく、クラック耐性に優れている。また、石英ガラスで封止されたUV−LEDと比較して、UV光の取出し効率が高く安価である。
本実施形態のLED封止材を厚みt[mm]に加工し、380nm、316nm及び260nmの各波長における吸光度をそれぞれAbs(t)、Abs(t)及びAbs(t)とし、380nmにおける光の透過率をT(t)として、各吸光度及び透過率を測定した場合、下記式(1)、(2)及び(3)を満たす。
(1) T(1.7)≧90%
(2) Abs(t)−Abs(t)<0.011t
(3) Abs(t)−Abs(t)<0.125t
上記式(3)は、下記式(3’)であってもよい。
(3’) Abs(t)−Abs(t)<0.09t
また、本実施形態のLED封止材は、RSiO3/2(式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数2以上のアルキル基を表す。)で表される繰り返し単位を有するポリシルセスキオキサンを主成分とする。
ここで、「主成分とする」とは、本実施形態のLED封止材を構成するシリコーン樹脂硬化物の繰り返し単位のうち、例えば50モル%以上、例えば60モル%以上、例えば70モル%以上、例えば80モル%以上、例えば90モル%以上がRSiO3/2(式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数2以上のアルキル基を表す。)で表される繰り返し単位であることを意味する。
SiO3/2で表される繰り返し単位中のRは、上述したRSi(OR(式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数2以上のアルキル基を表し、Rはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表す。)で表される3官能ケイ素アルコキシドのRに由来するものである。したがって、Rとしては、上述した3官能ケイ素アルコキシドのRと同様のものが挙げられる。
上述したポリシルセスキオキサン液体又は上述したLED封止用組成物を硬化させるための条件としては、例えば40〜250℃で5分間〜30時間加熱する方法が挙げられる。例えば、上述したポリシルセスキオキサン液体又は上述したLED封止用組成物に硬化用触媒を加えた後、250℃以下の温度の雰囲気内に放置することによって硬化させてもよく、例えば40〜200℃の温度の雰囲気内に放置することによって硬化させてもよい。また、硬化の際には、上述したポリシルセスキオキサン液体又は上述したLED封止用組成物中に存在する溶媒や水を除去し、ポリシルセスキオキサンの縮合反応速度を制御するために、例えば、40〜60℃で5〜30分間、次いで60〜100℃で10〜60分間、その後140〜200℃で30分間〜30時間というように、段階的に硬化させてもよい。
<半導体発光装置>
1実施形態において、本発明は、基板と、前記基板上に配置された半導体発光素子と、前記半導体発光素子の表面を覆って設けられた封止部と、を備え、前記半導体発光素子は、前記基板と前記封止部とによって周囲を囲まれて封止され、前記封止部は上述したポリシルセスキオキサンガラスからなる、半導体発光装置を提供する。
図1は、本実施形態の半導体発光装置100の断面図である。半導体発光装置100は、基板110と、基板上に配置された半導体発光素子120と、半導体発光素子120を封止する封止部130とを備える。封止部130は、上述したシルセスキオキサン液体を加熱硬化して得られたシルセスキオキサンガラスからなる。図に示すように、半導体発光素子120は、基板110と封止部130とで覆われて密封され、外気から隔離されている。
封止部130は、特にUV−C〜UV−Bの光の透過性が高い。また、石英ガラスで封止されたUV−LEDと比較して、UV光の取出し効率が高く安価である。
本実施形態の半導体発光装置は、UV光発光装置であってもよい。このようなUV光発光装置は、特にUV−C〜UV−Bの光の透過性が高く、UV光による封止部の劣化が少なく、UV光の取出し効率が高く安価である。
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
下記実施例において透過率測定に用いた装置及び測定条件は以下のとおりである。
装置名 :島津製作所社製 UV−3600
アタッチメント :積分球 ISR−3100
測定波長 :220〜800nm
バックグラウンド測定:大気
測定速度 :中速
[製造例1]
エチルトリメトキシシラン0.75molに、酸触媒として塩酸を加え、エチルトリメトキシシラン:水:塩酸のモル比を1:3:0.002とした混合物を調製した。この混合物を密閉容器中にて20℃で3時間撹拌し、さらに60℃で24時間熟成させ、加水分解と重縮合を進行させた。
続いて、得られたポリシルセスキオキサン液体を洗浄した。具体的には、分液漏斗中で上記のポリシルセスキオキサン液体に、4倍質量の酢酸プロピルと、等質量の水を加えて撹拌した。酢酸プロピルの添加により、ポリシルセスキオキサン液体の比重が水の比重よりも小さくなり、混合液を撹拌後静置すると、有機層が上層に、水が下層に分離した。続いて、分液漏斗のコックを開放し、下層の水を除去した。
続いて、分液漏斗に残ったポリシルセスキオキサン液体と酢酸プロピルとの混合液に、1回目の洗浄と等容量の水を加えて撹拌後、静置して有機層と水層とを分離させ、下層に分離した水を除去した。
続いて、分液漏斗に残ったポリシルセスキオキサン液体と酢酸プロピルとの混合液に、1回目の洗浄と等容量の水を加えて撹拌する操作を繰り返し、ポリシルセスキオキサン液体を合計5回洗浄した。その後、ポリシルセスキオキサン液体と酢酸プロピルとの混合液を70℃に加熱するとともに50hPaに減圧して酢酸プロピルを除去し、製造例1のポリシルセスキオキサン液体を得た。
[製造例2]
酸触媒として希硝酸を用い、3官能ケイ素アルコキシド:水:硝酸のモル比を1:3:0.002とした以外は製造例1と同様にして、製造例2のポリシルセスキオキサン液体を得た。
[製造例3]
ポリシルセスキオキサン液体の洗浄を行わなかったかわりに空気中にて60℃で2時間乾燥させ、次いで真空下にて40℃で2時間乾燥させ、ポリシルセスキオキサン液体を得た点以外は製造例2と同様にして、製造例3のポリシルセスキオキサン液体を得た。
[実施例1]
製造例1のポリシルセスキオキサン液体100質量部に対し、硬化用触媒としてX−40−2309A(信越化学工業社製、リン酸15%)を4質量部添加し、充分に攪拌混合し、LED封止用組成物を得た。
上記のLED封止用組成物3.8gをアルミニウム製のカップに入れ、オーブン内で3.7℃/分の速度で室温から150℃まで昇温し、150℃で10時間放置し、LED封止用組成物を熱硬化させて実施例1の硬化物(LED封止材)を得た。
[実施例2]
製造例2のポリシルセスキオキサン液体100質量部に対し、硬化用触媒としてX−40−2309A(信越化学工業社製、リン酸15%)を6質量部添加し、充分に攪拌混合し、LED封止用組成物を得た。
上記のLED封止用組成物3.8gをアルミニウム製のカップに入れ、オーブン内で3.7℃/分の速度で室温から150℃まで昇温し、150℃で10時間放置し、LED封止用組成物を熱硬化させて実施例2のLED封止材を得た。
[実施例3]
製造例1のポリシルセスキオキサン液体100質量部に対し、下記表1に示す組成を有するシリコーンオリゴマー(商品名「シリケート40」、多摩化学工業社)を30質量部、及びリン酸15%を含む硬化用触媒を2質量部添加し、充分に攪拌混合し、LED封止用組成物を得た。
Figure 2016098245
上記のLED封止用組成物3.8gをアルミニウム製のカップに入れ、オーブン内で3.7℃/分の速度で室温から150℃まで昇温し、150℃で10時間放置し、LED封止用組成物を熱硬化させて実施例3のLED封止材を得た。
[実施例4]
製造例1のポリシルセスキオキサン液体100質量部に対し、下記表2に示す各繰り返し単位を表2に示す存在比率で有するシリコーンオリゴマー(商品名「KC−89S」、信越化学工業社製)を30質量部、及びリン酸15%を含む硬化用触媒を2質量部添加し、充分に攪拌混合し、LED封止用組成物を得た。
Figure 2016098245
上記のLED封止用組成物3.8gをアルミニウム製のカップに入れ、オーブン内で3.7℃/分の速度で室温から150℃まで昇温し、150℃で10時間放置し、LED封止用組成物を熱硬化させて実施例4のLED封止材を得た。
[比較例1]
製造例3のポリシルセスキオキサン液体3.8gをアルミニウム製のカップに入れ、オーブン内で3.7℃/分の速度で室温から160℃まで昇温し、160℃で24時間放置し、LED封止用組成物を熱硬化させて比較例1のLED封止材を得た。
実施例1〜4及び比較例1のLED封止材の厚み及び220〜800nmの透過率を測定した。図2は、透過率の測定結果を示すグラフである。また、表3に透過率の検討結果を示す。
表3の「原料の3官能ケイ素アルコキシド」の欄に、各実施例及び比較例のLED封止材の作製に使用したポリシルセスキオキサン液体の原料の3官能ケイ素アルコキシドを示す。
また、「洗浄の有無」の欄に、ポリシルセスキオキサン液体の作製においてポリシルセスキオキサン液体の洗浄を行ったか否かを示す。
また、「LED封止材の厚み」の欄に、各実施例及び比較例のLED封止材の厚みを示す。
また、「式(1)」の欄に、各実施例及び比較例のLED封止材のT(1.7)の値を示し、さらに、T(1.7)の値が下記式(1)を満たす場合には「○」を、満たさない場合には「×」を示す。
また、「式(2)」の欄に、各実施例及び比較例のLED封止材のAbs(t)−Abs(t)の値を示し、さらに、Abs(t)−Abs(t)の値が下記式(2)を満たす場合には「○」を、満たさない場合には「×」を示す。
また、「式(3)」の欄に、各実施例及び比較例のLED封止材のAbs(t)−Abs(t)の値を示し、さらに、Abs(t)−Abs(t)の値が下記式(3)を満たす場合には「○」を、満たさない場合には「×」を示す。
(1) T(1.7)≧90%
(2) Abs(t)−Abs(t)<0.011t
(3) Abs(t)−Abs(t)<0.125t
その結果、ポリシルセスキオキサン液体の製造において、ポリシルセスキオキサン液体の洗浄を行わなかった比較例1のLED封止材は、上記式(2)を満たすことができなかったのに対し、実施例1〜4のLED封止材は、上記式(1)、(2)及び(3)を満たすことが示された。この結果より、実施例1〜4のLED封止材は、特にUV−C〜UV−Bの光の透過性が改善されていることが明らかとなった。
Figure 2016098245
本発明によれば、加熱硬化させると、特にUV−C〜UV−Bの光の透過性が改善された硬化物となるポリシルセスキオキサン液体及びその製造方法を提供することができる。また、特にUV−C〜UV−Bの光の透過性が改善されたLED封止材及び上記LED封止材を形成するためのLED封止用組成物、並びに特にUV−C〜UV−Bの光の透過性が改善された半導体発光装置を提供することができる。
100…半導体発光装置、110…基板、120…半導体発光素子、130…封止部。

Claims (6)

  1. SiO3/2(式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数2以上のアルキル基を表す。)で表される繰り返し単位を有するポリシルセスキオキサンを主成分とし、
    加熱硬化させて得られる厚みt[mm]の硬化物の380nm、316nm及び260nmの各波長における吸光度をそれぞれAbs(t)、Abs(t)及びAbs(t)とし、380nmにおける光の透過率をT(t)とした場合に、下記式(1)、(2)及び(3)を満たす、ポリシルセスキオキサン液体。
    (1) T(1.7)≧90%
    (2) Abs(t)−Abs(t)<0.011t
    (3) Abs(t)−Abs(t)<0.125t
  2. 請求項1に記載のポリシルセスキオキサン液体を主成分とし、
    加熱硬化させて得られる厚みt[mm]の硬化物の380nm、316nm及び260nmの各波長における吸光度をそれぞれAbs(t)、Abs(t)及びAbs(t)とし、380nmにおける光の透過率をT(t)とした場合に、下記式(1)、(2)及び(3)を満たす、LED封止用組成物。
    (1) T(1.7)≧90%
    (2) Abs(t)−Abs(t)<0.011t
    (3) Abs(t)−Abs(t)<0.125t
  3. 請求項1に記載のポリシルセスキオキサン液体又は請求項2に記載のLED封止用組成物を加熱硬化させて得られた、LED封止材。
  4. 基板と、
    前記基板上に配置された半導体発光素子と、
    前記半導体発光素子の表面を覆って設けられた封止部と、を備え、
    前記半導体発光素子は、前記基板と前記封止部とによって周囲を囲まれて封止され、
    前記封止部は請求項3に記載のLED封止材からなる、半導体発光装置。
  5. 請求項1に記載のポリシルセスキオキサン液体の製造方法であって、
    Si(OR(式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数2以上のアルキル基を表し、Rはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表す。)で表される3官能ケイ素アルコキシドを主成分とする3官能ケイ素アルコキシドと水と酸触媒とからなる混合物を加水分解及び重縮合させ、アルコール及びポリシルセスキオキサン液体を生成する第1工程と、
    前記アルコールを除去してポリシルセスキオキサン液体を得る第2工程と、
    前記ポリシルセスキオキサン液体と水とを混合後、分液して有機層を回収することにより、前記ポリシルセスキオキサン液体を洗浄する第3工程と、
    を備える、製造方法。
  6. 前記第3工程を有機溶媒の存在下で行う、請求項5に記載の製造方法。
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