JP2016098139A - サファイアウエハー、サファイアウエハーの製造方法 - Google Patents

サファイアウエハー、サファイアウエハーの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】サファイアウエハーのモリブデン不純物に起因する着色を脱色したサファイアウエハーを提供することを目的とする。【解決手段】直径に対する反り量が5μm/インチ以下であり、モリブデン含有量が5ppm以上のモリブデン含有領域を含み、青色に着色した領域、および茶色に着色した領域を含まないサファイアウエハーを提供する。【選択図】図4

Description

本発明は、サファイアウエハー、サファイアウエハーの製造方法に関する。
サファイアウエハーは、白色LED用基板の他に、SOS(Silicon on Sapphire)等の電子デバイス用基板、スマートフォンや時計のカバーガラス等各種用途で用いられている。この中でも特に白色LEDのような光デバイスや、カバーガラスに用いられるサファイアウエハーは、その用途から無色であることが要求されている。
サファイアの結晶を育成する際、原料の酸化アルミニウムをルツボ内で溶融して原料融液を作製する。原料融液を作製する際に用いるルツボとしては、原料の酸化アルミニウムよりも十分に融点が高いイリジウム、タングステン、モリブデン製のルツボが主に用いられているが、イリジウムは高価であり、タングステンは密度が高くハンドリングに難点がある。このため、原料融液を作製する際のルツボとしては、経済性・安全性の観点からモリブデンルツボが有利である。
しかし、モリブデンルツボを用いてサファイアの結晶育成を行った場合、サファイア単結晶体中へのモリブデン不純物の混入が生じることがある。サファイア単結晶体中へのモリブデン不純物の混入は、モリブデンルツボについて脱脂洗浄や空焼き等の然るべき前処理を行うことで抑制できる。しかし、モリブデンルツボについて脱脂洗浄や空焼き等の前処理を行った場合でも、特に結晶成長初期段階においては、微量のモリブデンがサファイア単結晶体中へ混入することがある。
通常、サファイア単結晶体中へ混入するモリブデン不純物濃度は10ppm以下であり、この程度のモリブデン濃度であれば、結晶としての品質に問題はなく、後工程の歩留まりに影響を与えることは無い。
ところが、サファイアウエハーは、特に片面研磨により生じるトワイマン効果によってウエハー内の応力が増加し、反りが増大してしまう場合がある。ウエハーの反りが増大した状態であると、後工程の加工精度が低下する。そこで、この応力を緩和するために、酸素を含む雰囲気下で1000℃以上の温度でアニールをする技術が用いられている。
しかし、モリブデンルツボを使用して育成されたサファイアウエハーには、上述のように部分的にモリブデンが混入しており、酸素を含む雰囲気下でアニールを行うと、モリブデン濃度が5ppmを超える部分が青色に着色するという問題がある。この着色の原因は、サファイア単結晶体内のモリブデン不純物が高温で酸素に触れることによって酸化され、価数が変わることによるものである。
前述のとおり、サファイアウエハーはその用途によっては無色透明であることが要求されており、着色は歩留まりを低下させる原因となる。このため、着色した領域を含むサファイアウエハーを脱色することが求められていた。
例えば特許文献1には、サファイア単結晶体の着色の改善を目的とする場合、酸素を1〜10%含む任意のガス雰囲気下(酸化雰囲気)、または、真空排気下または水素を1〜10%含む任意のガス雰囲気下(還元雰囲気)で、最高温度を1400〜1850℃、任意の最高温度保持時間と冷却速度で熱処理を実施する方法が開示されている。
特開2013−49608号公報
しかしながら、特許文献1に開示されたサファイア単結晶体の着色を改善する方法はサファイア単結晶体、すなわちウエハー形状に加工する前のインゴットに対して行う方法である。従って、ウエハー形状に加工した後に生じた着色には有効ではなく、またサファイア単結晶体内部の着色を十分に脱色できない場合があった。このため、モリブデン不純物に起因する着色を十分に脱色したサファイアウエハーを得ることは困難であった。
そこで、本発明の一側面では、上記従来技術が有する問題に鑑み、サファイアウエハーのモリブデン不純物に起因する着色を脱色したサファイアウエハーを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、直径に対する反り量が5μm/インチ以下であり、
モリブデン含有量が5ppm以上のモリブデン含有領域を含み、
青色に着色した領域、および茶色に着色した領域を含まないサファイアウエハーを提供することができる。
本発明の一態様によれば、サファイアウエハーのモリブデン不純物に起因する着色を脱色したサファイアウエハーを提供することができる。
本発明の実施形態に係るサファイアウエハーの説明図。 サファイアウエハーの直径に対する反り量の評価方法の説明図。 本発明の実施形態に係るサファイアウエハーの製造方法のサファイアウエハー配置工程におけるサファイアウエハーの配置の説明図。 本発明の実施例1における加熱工程前後のサファイアウエハーの着色状態の説明図。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
(サファイアウエハー)
本実施形態のサファイアウエハーの一構成例について説明する。
本実施形態のサファイアウエハーは、直径に対する反り量が5μm/インチ以下であり、モリブデン含有量が5ppm以上のモリブデン含有領域を含み、青色に着色した領域、および茶色に着色した領域を含まない構成とすることができる。
以下、本実施形態のサファイアウエハーについて説明する。
例えば図1に示したように本実施形態のサファイアウエハー10は、円板形状を有することができる。この場合、サファイアウエハー10は、円形状の主表面11及び裏面12と、主表面11と裏面12との間にある端面13とを有することができる。なお、主表面11と端面13との間、および/または裏面12と端面13との間には図示しない面取り部を有することもできる。
なお、サファイアウエハーの厚さは特に限定されるものではないが、例えば0.40mm以上4.0mm以下とすることが好ましく、1.0mm以上2.0mm以下とすることがより好ましい。
本実施形態のサファイアウエハーは、サファイアインゴットをウエハー状にスライスし、加工を行うことにより得ることができる。
サファイアインゴットは、既述のように原料の酸化アルミニウムを溶融し、酸化アルミニウムの融液を用いて各種単結晶の育成方法により育成することができる。そして、酸化アルミニウムの融液を形成する際に既述のようにモリブデンルツボを用いることができる。このため、本実施形態のサファイアウエハーは、モリブデンを含有する領域を含むことができる。
そして、サファイアウエハーは用途等によっては主表面11と、裏面12とで表面状態が異なるように加工することができる。具体的には例えば主表面11を鏡面とし、裏面12を梨地状に加工する場合がある。このように両主表面を状態が異なるように加工したり、片面研磨を行うことにより生じるトワイマン効果によってウエハー内の応力が増加し、反りが増大してしまう場合がある。そして、ウエハーの反りが増大した状態であると、後工程の加工精度が低下する恐れがある。
そこで、サファイアウエハーの反りを低減、除去するため、サファイアウエハーを1000℃以上の温度で熱処理を行うことができる(以下、「反り低減用熱処理」とも記載する)。
なお、反り低減用熱処理では、装置自体も比較的安価でメンテナンスもし易く、ランニングコストも安い大気雰囲気炉を用いることが好ましい。このため、反り低減用熱処理を行う際の雰囲気としては、酸素を含む酸素含有雰囲気、具体的には例えば大気雰囲気を好ましく用いることができる。
サファイアウエハーが、モリブデンの含有量が5ppm以上のモリブデン含有領域を含む場合、上述の酸素含有雰囲気下での反り低減用熱処理を実施することにより、モリブデンが酸化し、青色に着色した領域を生じる場合がある。本発明者らの検討によるとサファイアインゴットの製造時に用いるモリブデンルツボを脱脂洗浄や、空焼き等の前処理に供した場合でも、上記酸素含有雰囲気下での熱処理により5%以下と低い割合ではあるが、青色に着色した領域を含むサファイアウエハーが生じる場合がある。
このように反り低減用熱処理を実施した場合に青色に着色した領域が生じた場合、該酸化したモリブデンを還元することにより脱色処理を行うことができる。
サファイアウエハーに含まれる酸化したモリブデンを還元する方法として、水素を含有する還元雰囲気下で熱処理を行う方法が考えられるが、水素は可燃性の気体であるため、安全性の観点から使用は好ましくない。
そこで、本発明の発明者らがより安全にサファイアウエハーに含まれる酸化したモリブデンを還元する方法の検討を行った。そして、炉内にカーボン構成部材、および/またはカーボン片を配した加熱炉を用いて不活性ガス雰囲気下で熱処理を実施することにより、サファイアウエハーに含まれる酸化したモリブデンを還元し、青色に着色した領域を脱色処理できることを見出した。これは、炉内に配置されたカーボンが揮発して還元力のあるカーボン蒸気となり、サファイアウエハーに含まれる酸化したモリブデンを還元することができるためと考えられる。
このため、本実施形態のサファイアウエハーは炉内にカーボン構成部材、および/またはカーボン片を配した加熱炉を用いて不活性ガス雰囲気下で熱処理(以下、「還元用熱処理」とも記載する)を実施することにより青色に着色した領域を含まないサファイアウエハーとすることができる。
ただし、カーボンが揮発した不活性ガス雰囲気で熱処理を行った場合、サファイアウエハーに茶色に着色した領域が発生する場合がある。
係る茶色に変色した領域が発生する原因について本発明の発明者らが検討を行ったところ、サファイアウエハーの面内でカーボン蒸気との反応にムラが生じ、部分的に反応が進行した箇所が茶色く変色するために生じていることを見出した。
そこでさらに茶色に着色した領域を生じさせない方法について検討を行ったところ、還元用熱処理を実施する際に、例えばサファイアウエハーの表面をアルミナ粒で覆った状態で加熱炉内に配置することで、茶色に着色した領域の発生を抑制できることを見出した。
このため、本実施形態のサファイアウエハーにおいては、茶色に着色した領域を含まないサファイアウエハーとすることができる。
還元用熱処理における好適な条件については後述する。
なお、サファイアウエハーが、青色に着色した領域、および茶色に着色した領域を含まないことを判定する方法としては特に限定されるものではない。
例えば目視により評価を行うこともできる。
また、例えばサファイアウエハーの表面をスキャナーにより画像化し、該画像を画像処理することにより、青色に着色した領域、および/または茶色に着色した領域の有無を判定したり、係る領域の面積を算出することができる。画像処理の方法は特に限定されるものではないが、例えばスキャナーで取得した画像を画像処置により色調を変更して、よりコントラストをつける2値化処理する方法などが挙げられる。
なお、還元用熱処理を実施することにより上述のように青色に着色した領域を脱色することができるが、モリブデンを5ppm以上含有する脱色されたモリブデン含有領域についてはサファイアウエハー内に存在することになる。
既述のように係るモリブデン含有領域は、サファイア単結晶体を育成する際にモリブデンルツボからモリブデンが混入して形成されたものであり、通常低濃度であるから脱色がなされていれば結晶としての品質に問題はない。ただし、モリブデン含有領域におけるモリブデンの含有量は10ppm以下であることが好ましく、6ppm以下であることがより好ましい。
これは、サファイアウエハー中のモリブデン含有領域のモリブデン含有量が10ppmを超えると、サファイア結晶中にモリブデンが析出する場合がある。そして、析出したモリブデンがウエハーの表面に存在すると、例えば該サファイアウエハーを白色LED用基板として用い、サファイアウエハー上に窒化ガリウムをエピタキシャル成長させる際の不具合の原因となる恐れがあるためである。
そして、本実施形態のサファイアウエハーは直径に対する反り量が5μm/インチ以下であることが好ましく、直径に対する反り量が2.5μm/インチ以下であることがより好ましい。
図2を用いてサファイアウエハー10の直径に対する反り量の評価方法について説明する。図2は、サファイアウエハー10の主表面と垂直な面における断面の一部を拡大して模式的に示した図である。図2に示すように、平坦面上にサファイアウエハー10の裏面12が該平坦面と対向するように配置する。そして、図中点線Xで示した、主表面11の表面の最小二乗平面を基準平面として、最も高い位置(最大値)A1と、最も低い位置(最小値)A2との差hを、該サファイアウエハーの反り量とすることができる。そして、最大値A1と最小値A2との差hをサファイアウエハーの直径で除することで直径に対する反り量を算出することができる。
なお、サファイアウエハー10には既述のように主表面11及び裏面12が存在するが、上述のように主表面11での反り量を該サファイアウエハー10の反り量とすることができる。
以上に説明した本実施形態のサファイアウエハーによれば、サファイアウエハーのモリブデン不純物に起因する着色を脱色したサファイアウエハーを提供することができる。従って、青色に着色した領域を含まないサファイアウエハーを提供することができる。
特に本実施形態のサファイアウエハーにおいては、反り低減用熱処理を行っているため、サファイアウエハーの直径に対する反り量を低減できる。また、青色に着色した領域を脱色するための還元用熱処理においてはカーボンに起因する茶色に着色した領域の発生を抑制できるため、茶色に着色した領域を含まないサファイアウエハーを提供することができる。
(サファイアウエハーの製造方法)
次に、本実施形態のサファイアウエハーの製造方法の一構成例について説明する。
本実施形態のサファイアウエハーの製造方法は、以下の工程を有することができる。
モリブデン含有量が5ppm以上のモリブデン含有領域を含み、青色に着色した領域を含むサファイアウエハーを、サファイアウエハーの表面をアルミナ粒で覆った状態で、炉内にカーボン構成部材および/またはカーボン片を配した加熱炉内に配置するサファイアウエハー配置工程。
加熱炉内を不活性雰囲気とし、1400℃以上2000℃以下の温度で12時間以上加熱する加熱工程。
なお、本実施形態のサファイアウエハーの製造方法により上述のサファイアウエハーを好適に製造することができる。このため、サファイアウエハーの説明において既述の内容については説明を一部省略する。
まず、サファイアウエハー配置工程について説明する。
既述のようにモリブデン含有量が5ppm以上のモリブデン含有領域を含むサファイアウエハーの反りを低減、除去するため、酸素を含有する酸素含有雰囲気下、1000℃以上の温度で熱処理を行う反り低減用熱処理を行うと、青色に着色した領域を生じる場合がある。そして、係る青色に着色した領域はサファイアウエハーに含まれるモリブデンが、反り低減用熱処理の際に酸化されて生じたものであるから、還元用熱処理を実施することにより脱色することができる。
そこで、係る青色に着色した領域を脱色する還元用熱処理を実施するため、サファイアウエハー配置工程では、還元用熱処理を実施する際に用いる加熱炉内にサファイアウエハーを配置することができる。
ここでまず、サファイアウエハー配置工程において加熱炉内にサファイアウエハーを配置した際の断面模式図を図3に示す。
図3に示すように加熱炉20の炉体であるチャンバー21内に、断熱材22を配置し、断熱材22で囲まれた領域内には、ヒーター23を配置することができる。そして、中央部には、ルツボ24を配置し、ルツボ24内にはサファイアウエハー25と、サファイアウエハー25の表面を覆うように配置したアルミナ粒26を配置することができる。なお、ルツボ24は試料台27上に配置することができる。
そして、還元用熱処理を実施する際、炉内にカーボン構成部材および/またはカーボン片を配した加熱炉を好ましく用いることができる。これは、加熱炉内を加熱することで加熱炉内に配置されたカーボン構成部材および/またはカーボン片を構成するカーボンが揮発して還元力のあるカーボン蒸気となり、サファイアウエハーに含まれる酸化したモリブデンを還元できるためである。
このように炉内にカーボン構成部材および/またはカーボン片を配した加熱炉を用いることにより、水素を含有する還元雰囲気で熱処理を行う場合と比べてより安全に還元用熱処理を実施することができる。
カーボン構成部材としては、例えばカーボン断熱材、カーボンヒーター、カーボン試料台等を好ましく用いることができる。なお、カーボン断熱材、カーボンヒーター、カーボン試料台から選択される複数の構成部材を用いることが好ましいが、いずれか1つの構成部材のみでもサファイアウエハーに生じた青色に着色した領域を脱色する効果は得られる。このため、例えば上述の図3において断熱材22、ヒーター23、試料台27から選択される1つ以上の構成部材についてカーボン製の構成部材を好ましく用いることができる。
また、カーボン構成部材を用いない場合でも、すなわち、例えば断熱材、ヒーター、試料台の全てがカーボン製でない場合でも、炉内の適当な場所にカーボン片を配置することでサファイアウエハーに生じた青色に着色した領域を脱色する効果を得られる。カーボン片は加熱炉20内のうち、ヒーター23によりカーボン片を加熱できる場所、具体的には例えばヒーター23で囲まれた領域内に配置することが好ましい。
なお、加熱炉内に配置するカーボン構成部材および/またはカーボン片の量は特に限定されるものではなく、青色に着色した領域の大きさや、加熱炉の容積等により任意に選択することができる。カーボン構成部材および/またはカーボン片は例えば0.1g以上配置することができる。
また、青色に着色した領域を有するサファイアウエハーを加熱炉内に配置する際には、図3に示したように該サファイアウエハーをルツボ24内に配置することができる。ルツボ24の材料は特に限定されるものではなく、例えばモリブデンやタングステンのような融点が2000℃以上の金属製のルツボを用いることができる。なお、ルツボ24内に配置するサファイアウエハーの枚数は特に限定されるものではなく、1枚のみ配置することもでき、複数枚配置することもできる。特に、生産性の観点から図3に示すように複数枚のサファイアウエハー25を配置することが好ましい。
そして、図3に示したようにアルミナ粒26でサファイアウエハー25表面を覆うことが望ましい。
これはサファイアウエハーの表面をアルミナ粒で覆わないと、サファイアウエハーの面内でカーボン蒸気との反応にムラが生じ、部分的に反応が進んだ箇所が茶色く変色し、茶色に変色した領域を生じる場合があるためである。これに対して、サファイアウエハーの表面をアルミナ粒で覆うことにより、アルミナ粒がフィルターの代わりを成して、サファイア面内で均一にカーボンによる還元反応が進むようになる。
なおサファイアはアルミナの単結晶であるため、アルミナ粒で覆っても新たな不純物の混入の恐れは無い。特に新たな不純物の混入をより確実に抑制するため、アルミナ粒は高純度のアルミナ粒であることが好ましい。具体的には例えば純度が99.9%以上のアルミナ粒を用いることが好ましく、99.99%以上のアルミナ粒を用いることがより好ましい。
アルミナ粒の平均粒径は特に限定されるものではないが、例えば0.1mm以上5.0mm以下であることが好ましく、0.4mm以上5.0mm以下であることがより好ましい。
これはアルミナ粒の平均粒径が0.1mm未満であると、加熱炉内にサファイアウエハーを配置する際や、加熱炉内からサファイアウエハーを取出す際にアルミナ粒が飛散しやすくなり、操作性の観点から好ましくないためである。また、アルミナ粒の平均粒径が、5.0mmを超えると、アルミナ粒の間の隙間が大きくなり、フィルターとしての機能が低下して茶色に変色した領域の発生を抑制する効果が低減するためである。
なお、平均粒径とは、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径を意味しており、本明細書の他の箇所でも平均粒径は同様の意味を有する。
次に加熱工程について説明する。加熱工程では、サファイアウエハー配置工程で、加熱炉内に配置したサファイアウエハーを加熱して還元用熱処理を施すことで、青色に着色した領域を脱色することができる。
加熱工程では、加熱炉内を不活性雰囲気とし、1400℃以上2000℃以下の温度で12時間以上加熱することができる。
加熱工程は具体的には例えば以下の手順により実施することができる。
アルミナ粒で覆った状態で、サファイアウエハーを加熱炉内に収納した後、チャンバー21内を不活性雰囲気とする。具体的には例えば、一度チャンバー21内を真空引きをしてチャンバー21内の酸素を排除する。この際、真空引きを行う程度は特に限定されるものではないが、例えば10Pa以下まで真空引きを行うことが好ましい。
次いで、加熱炉のチャンバー内に不活性ガスを供給し、加熱炉内を不活性雰囲気とする。この際用いる不活性ガスとしては特に限定されるものではなく例えば窒素、アルゴン、ヘリウム等を用いることができるが、炉内雰囲気はアルゴンまたは窒素を主成分とする雰囲気であることが好ましい。なお、ここでいう主成分とは、体積比率で50%以上含まれていることを意味する。特に加熱炉のチャンバー内は、アルゴン、または窒素雰囲気であることがより好ましい。
次いで、上述のように加熱炉内を1400℃以上2000℃以下の温度で加熱することができる。特に、1400℃以上1600℃以下の温度で加熱することがより好ましい。
加熱する際の昇温速度は特に限定されるものではなく、生産性や、加熱炉の性能等に応じて任意に選択することができるが、昇温速度が速すぎると、サファイアウエハーが割れる恐れがあるので、200℃/時間以下であることが好ましい。ただし、昇温速度が遅すぎると生産性が低下する恐れがあるため、100℃/時間以上であることが好ましい。
所定の温度に昇温後、保持する時間は特に限定されるものではなく、サファイアウエハーに生じていた青色に着色した領域の広さや、着色の程度等により任意に選択することができる。ただし、確実にサファイアウエハーの青色に着色した領域を脱色するため、保持時間は12時間以上とすることが好ましく、24時間以上とすることがより好ましい。ただし、保持時間が長すぎると生産性が低下する恐れがあることから、保持時間は60時間以下とすることが好ましく、40時間以下とすることがより好ましい。
保持時間経過後、冷却する速度も特に限定されるものではなく、加熱炉の冷却能力等に応じて任意に選択することができる。ただし、急冷するとサファイアウエハーが割れる恐れがある。このため、冷却速度は200℃/時間以下であることが好ましい。冷却速度は遅いほどサファイアウエハーが割れるリスクを低減することができるが、生産性を考慮して、100℃/時間以上であることが好ましい。
以上の工程を実施することにより、サファイアウエハーは、不活性ガス雰囲気であるにもかかわらず、炉内のカーボンの作用で、青色の着色の原因となっていた酸化されたモリブデンが還元されて、着色していた部分は見分けが付かないほどに脱色される。
このため、水素を用いて還元する場合と比較してより安全にサファイアウエハーに生じた青色に着色した領域を脱色することができる。
また、本実施形態のサファイアウエハーの製造方法は上述した工程以外にも任意の工程を含むことができる。
例えば、サファイア単結晶体、すなわちサファイア単結晶のインゴットをスライスし、図1に示したように主表面と、主表面と対向する裏面と、端面とを有するサファイアウエハーとする切断工程を有することができる。
切断工程において酸化アルミニウム単結晶のインゴットをスライスする方法は特に限定されるものではないが、例えばワイヤーソーによりスライスすることができる。また、スライスして得られる酸化アルミニウム単結晶ウエハーの厚さについても特に限定されるものではなく、用途等に応じて任意の厚さとすることができるが、例えば0.40mm以上4.0mm以下とすることが好ましく、1.0mm以上2.0mm以下とすることがより好ましい。
また、切断工程で得られたサファイアウエハーについて、用途に応じて任意の形状に加工する形状加工工程を有することができる。
形状加工工程において行う具体的な操作は特に限定されるものではなく、用途に応じて任意の操作を行うことができる。
例えばサファイアウエハーの端面に面取り部を形成する場合、形状加工工程はサファイアウエハーの、主表面と端面との間、および/または裏面と端面との間に面取り部を形成する面取り工程を有することができる。
用途に応じて、円板形状以外の形状や、所望のサイズに加工する必要がある場合、形状加工工程は、酸化アルミニウム単結晶ウエハーを所望のサイズ、形状に切断する切断工程等を有することもできる。
また、主表面、裏面を所望の性状とする必要がある場合、形状加工工程は、サファイアウエハーの主表面、および/または裏面を研磨する研磨工程等を有することもできる。なお、具体的な加工の内容は限定されるものではなく、要求される特性に応じて任意に選択することができる。例えば主表面と、裏面とをそれぞれ異なった性状に、具体的には例えば主表面を鏡面とし、裏面が梨地状となるように加工することができる。また、主表面と、裏面とを同じ性状となるように加工することもできる。
さらに既述のように、サファイアウエハーが反りを有する場合、本実施形態のサファイアウエハーの製造方法は、反りを低減、除去するため反り低減用熱処理工程を有することができる。反り低減用熱処理工程は既述のように、例えば1000℃以上の温度で熱処理を実施することができる。特に熱処理温度は1200℃以上1600℃以下で熱処理を好適に実施することができる。
また、反り低減用熱処理工程を実施する際の雰囲気としては、酸素を含む酸素含有雰囲気、具体的には例えば大気雰囲気を好ましく用いることができる。
本実施形態のサファイアウエハーの製造方法は反り低減用熱処理工程のみで、所望の反り量となるように熱処理を実施することができる。また、反り低減用熱処理工程後に還元用熱処理も実施することができるため、反り低減用熱処理工程のみで所望の反り量とせず、還元用熱処理とあわせて所望の反り量となるようにしてもよい。
ただし、本実施形態のサファイアウエハーの製造方法により得られるサファイアウエハーは直径に対する反り量が5μm/インチ以下であることが好ましく、直径に対する反り量が2.5μm/インチ以下であることがより好ましい。このため、還元用熱処理、すなわち上述の加熱工程を終えた時点で直径に対する反り量が所望の範囲になるように反り低減用熱処理工程、および/または還元用熱処理(加熱工程)の条件を選択することが好ましい。
なお、反り低減用熱処理工程後に、既述のサファイアウエハー配置工程、及び加熱工程を実施できるが、反り低減用熱処理工程後の全てのサファイアウエハーについて実施する必要はなく、青色に着色した領域を有するウエハーのみを選択して実施することができる。
このため、反り低減用熱処理工程と、サファイアウエハー配置工程との間に選別工程を設けることができる。選別工程では、青色に着色した領域を有するウエハーを選択する工程とすることができる。
これにより、加熱工程で必要となるエネルギーを低減することができ、コストを低減できるため好ましい。
以上に説明した本実施形態のサファイアウエハーの製造方法によれば、サファイアウエハーのモリブデン不純物に起因する着色を脱色したサファイアウエハーを製造することができる。
特に青色に着色した領域が生じる原因となるサファイアウエハー内の酸化したモリブデンについて、還元処理を水素等の可燃性の気体を用いることなく実施することができるため、安全にサファイアウエハーを製造できる。また、防爆設備等を設ける必要がないため、コストを低減することが可能になる。
さらに、サファイアウエハー内のモリブデンを還元する際に用いるカーボン蒸気に起因する茶色に着色した領域の発生を抑制できるため、茶色に着色した領域を含まないサファイアウエハーを提供することができる。
以下に具体的な実施例、比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例、比較例では、後述する手順、条件によりサファイアウエハーを作製し、得られたサファイアウエハーについて評価を行った。
ここではまず、以下の実施例、比較例における評価方法について説明する。
(青色に着色した領域の面積、青色に着色した領域の有無、青色着色面積減少率)
加熱工程に供するため加熱炉に配置する前に、サファイアウエハーの着色の様子をスキャナーで画像化した。また、得られた画像について、画像処理により色調を変更して、よりコントラストを付けた画像とした。すなわち2色化処理を実施した。そして、画像処理後の画像から青色に着色した領域の面積(加熱工程前の着色面積)を算出した。
加熱工程後に得られたサファイアウエハーについても、加熱工程前と同条件で加熱工程後のサファイアウエハーをスキャナーで画像化した。また、得られた画像について画像処理により色調を変更して、よりコントラストを付けた画像とした。そして、画像処理後の画像から青色に着色した領域の有無を評価した。青色に着色した領域がある場合にはその面積(加熱工程後の着色面積)を算出した。
さらに、加熱工程前の着色面積と、加熱工程後の着色面積とから、着色面積の減少率を算出した。着色面積の減少率は以下の式(1)により算出した。
(着色面積の減少率(%))=
100×[(加熱工程前の着色面積)−(加熱工程後の着色面積)]/(加熱工程前の着色面積)・・・式(1)
なお、加熱工程後に青色に着色した領域がない場合には、加熱工程後の着色面積は0となる。
(青色に着色した領域のモリブデン濃度、加熱工程後のサファイアウエハーのモリブデン濃度)
加熱工程前、青色に着色した領域の一部を切り出しICP−MSを用いてモリブデン濃度の分析を行った。
また、加熱工程後、加熱工程前にモリブデン濃度を評価した領域と同じ領域について、同様に一部を切り出し、同じ測定条件でモリブデン濃度の分析を行った。
なお、評価結果は表2においてモリブデン濃度として示している。
(茶色に着色した領域の有無)
加熱工程後、加熱炉から取り出したサファイアウエハーの表面を目視により観察し、茶色に着色した領域の有無を評価した。
なお、茶色に着色した領域があると評価した場合には、加熱工程後の青色に着色した領域の面積を算出する際、茶色に着色した領域は除外して、青色に着色した領域の面積(加熱工程後の着色面積)を算出した。
(直径に対する反り量の評価)
加熱工程後、得られたサファイアウエハーについて直径に対する反り量の評価を実施した。
直径に対する反り量の評価に当たってまず、図2を用いて説明したように、得られたサファイアウエハーを平坦面上に該平坦面とサファイアウエハーの裏面12とが対向するように載置した。そして、点線Xで示した主表面11の最小二乗平面を基準平面として、最も高い位置(最大値)A1と、最も低い位置(最小値)A2との高さの差hを該サファイアウエハーの反り量とし、該反り量をウエハーの直径で除して算出した。
主表面について最大値と最小値の測定は、平坦度測定機(ニデック社製 型式:FT−900)により行った。
(裏面表面粗さの変化の有無)
以下の各実施例、比較例では裏面を梨地状に加工してから加熱工程に供している。このため、加熱工程の前後で裏面の表面粗さに変化がないか確認を行った。
具体的には、加熱工程前、加熱工程後にサファイアウエハーの裏面の表面粗さRaを測定し、表面粗さRaの変化量が0.05μm以下であれば変化なしと評価した。表面粗さRaの変化量が0.05大きい場合には、減少として評価を行った。
なお、表面粗さRaはJIS B 0601に規定されており、表面粗さ測定機(小坂研究所製サーフコーダーSE3500)を用いて測定した。
以下に、各実施例、比較例におけるサファイアウエハーの製造方法、及び評価結果について説明する。
[実施例1]
本実施例では、以下の手順でサファイアウエハーを作製し、上述の評価に供した。
(切断工程)
モリブデンルツボを用いて作製した円柱形状のサファイアインゴットをスライスし、直径6インチ、厚さ1.5mmであり、主表面と、主表面と対向する裏面と、端面とを有する、円板形状のサファイアウエハーを複数枚作製した。
そして、形状加工工程として、以下の両面研磨工程、面取り工程、裏面研磨工程を実施した。
(両面研磨工程)
次に、主表面と裏面とが平坦になるように主表面と裏面とを両面研磨装置(浜井産業株式会社製 型式:16B)により研磨した。この際、各サファイアウエハーの主表面と、裏面についてそれぞれ30μm研磨した。
(面取り工程)
次に、サファイアウエハーの主表面と端面との間、及び裏面と端面との間に面取り部を形成する面取り工程を実施した。面取り工程においては、面取り部は傾斜面となるように砥石により面取りを行った。
面取り工程においては、平均粒径が40μmのダイヤモンド砥粒を含む番手が#400の円柱形状のメタルボンド砥石を用いた。なお、該砥石の周面に沿って、形成する端面、及び面取り部の形状に対応した断面形状を有する溝を予め形成しておいた。そして、上記砥石の溝にサファイアウエハーの端部が収容されるように、サファイアウエハーに砥石を押し当てながらサファイアウエハーを回転させることにより面取り工程を実施した。
(裏面研磨工程)
次に、サファイアウエハーの裏面についてサンドブラスト法により研磨を行った。具体的には、平均粒径49μmのGC砥粒を0.2MPaのエアーによりサファイアウエハーの裏面全体に吹き付けることにより実施し、サファイアウエハーの裏面が梨地(表面粗さRa0.8μm)になるように加工した。
(反り低減用熱処理工程)
次に、サファイアウエハーに生じた反りを除去するため大気雰囲気下、1400℃で12時間熱処理を行った。
(選別工程)
反り低減用熱処理工程後に、表面を目視で確認し、青色に着色した領域を含み、着色不良となったサファイアウエハーを5枚選択した。
そしてそのうち1枚について、上述の青色に着色した領域の面積の評価を実施した。
図4の加熱工程前の試料のうち、上段がスキャナーで画像化した際の生画像を示している、そして図4の加熱工程前の試料のうち下段が画像処理により色調を変更して、よりコントラストを付けた画像である。
図4に示した加熱工程前のサファイアウエハーの画像によれば、サファイアウエハーはその上部に三角形形状の青色に着色した領域を有することが確認できる。
なお、青色に着色した領域についてモリブデン濃度を上述のように分析を行ったところ、表2に示すようにモリブデンを9ppm含有していることが確認できた。
(サファイアウエハー配置工程)
次に以下の手順により加熱工程を実施するための加熱炉内に、準備したサファイアウエハーを配置するサファイアウエハー配置工程を実施した。
サファイアウエハー配置工程では、図3に示すような配置となるように加熱炉内にサファイアウエハーを配置した。
用意した5枚のサファイアウエハー25をモリブデン製のルツボ24にコインスタックで収納した後、加熱炉に収納した。サファイアウエハー25をモリブデン製のルツボ24に収納する際、表1に示すように平均粒径が3.0mmのアルミナ粒26(住友化学株式会社製 高純度アルミナ(純度99.99%))を用いてサファイアウエハー25の表面を完全に覆った。
加熱炉は断熱材22、ヒーター23、試料台27が、それぞれカーボン製であるカーボン断熱材、カーボンヒーター、カーボン試料台で構成されたものを用いた。
(加熱工程)
チャンバー21の扉を閉じた後、ロータリーポンプでチャンバー内を5Paまで真空引きした。その後チャンバー21内にアルゴンガスを供給し、アルゴンガスで復圧を行った。復圧後は、アルゴンガスを4リットル/分でフローし、チャンバー内の圧力が5kPa〜10kPaになるように制御した。
復圧後に昇温を開始し、表1に示すように保持温度である1400℃まで200℃/時間の昇温速度で上昇させ、その後40時間保持温度を保持した。続いて200℃/時間の降温速度で室温まで冷却した。
冷却後、炉内からサファイアウエハーを取り出した。
そして、得られたサファイアウエハーについて、茶色に着色した領域の有無、青色に着色した領域の有無、青色着色面積減少率、加熱工程後のサファイアウエハーのモリブデン濃度、直径に対する反り量、裏面表面粗さの変化の有無の評価を行った。
結果を表2に示す。
また、図4に加熱工程後のサファイアウエハーの生画像、及び画像処理後の画像を示す。図4に示したように加熱工程後には青色に着色した領域、及び茶色に着色した領域がないことを確認できた。
[実施例2〜実施例4]
サファイアウエハー配置工程において、表1に示した平均粒径を有するアルミナ粒を用いた点、及び加熱工程の保持温度を表1に示した温度にした点以外は実施例1と同様にしてサファイアウエハーを製造し、評価に供した。
なお、加熱工程において、昇温速度、及び降温速度は実施例1と同様になっている。
結果を表2に示す。
[比較例1〜比較例4]
サファイアウエハー配置工程において、表1に示した平均粒径を有するアルミナ粒を用いた点、及び加熱工程において保持温度を表1に示した温度にした点以外は実施例1と同様にしてサファイアウエハーを製造し、評価に供した。
なお、加熱工程において昇温速度、及び降温速度は実施例1と同様になっている。
結果を表2に示す。
[比較例5]
加熱工程で用いた加熱炉の断熱材、ヒーター、試料台にカーボン製の部材を使用しなかった点と、加熱工程の保持温度を1500℃とした点以外は実施例1と同様にしてサファイアウエハーを製造し、評価に供した。
なお、加熱工程で用いた加熱炉は、上述したヒーター等以外の部材についてもカーボン製の部材を使用せず、また炉内にカーボン片を配置していない。
また、加熱工程において昇温速度、及び降温速度は実施例1と同様になっている。
結果を表2に示す。
[比較例6、7]
加熱工程の保持温度を表1に示した温度にした点と、サファイアウエハー配置工程でサファイアウエハーをモリブデン製のルツボに収納した際、アルミナ粒でサファイアウエハーを覆わなかった点以外は実施例1と同様にしてサファイアウエハーを製造し、評価に供した。
なお、加熱工程において昇温速度、及び降温速度は実施例1と同様になっている。
結果を表2に示す。
表2に示した結果によると、実施例1と実施例2は、1400℃以上の温度でアニールしたため、青色に着色した領域を完全に脱色することができた。また、サファイアウエハーの表面をアルミナ粒で隙間なく覆っていたため、茶色に着色した領域は発生しなかった。
実施例3と実施例4は、1400℃以上の温度でアニールしたため、青色に着色した領域を完全に脱色することができた。また、ウエハーの表面をアルミナで隙間なく覆っていたため、茶色に着色した領域は発生しなかった。しかし、加熱工程の保持温度を1600℃を超える高温としたため、梨地状としたサファイアウエハーの裏面の表面粗さRaが減少することが確認できた。
比較例1と比較例2は、加熱工程の保持温度がそれぞれ1000℃、1300℃と、1400℃よりも低かったため、青色の着色面積を減少させることができたものの、着色した領域全てを脱色することはできなかった。また、ウエハーの表面をアルミナで隙間なく覆っていたため、茶色に着色した領域は発生しなかった。
比較例3は、サファイアウエハーの表面をアルミナ粒で隙間なく覆っていたため、茶色に着色した領域の発生はなかった。しかしながら、加熱工程での保持温度が1000℃より低かったため、青色に着色した領域が全く脱色されなかった。
比較例4は、加熱工程の保持温度が2100℃であり、サファイア(酸化アルミニウム)の融点を超えていたため、サファイアウエハーが融解してしまい、脱色効果を確認することができなかった。
比較例5は、加熱工程の保持温度を1400℃以上としたが、加熱炉内にカーボンが存在しなかったため、青色に着色した領域を全く脱色できなかった。また、炉内にカーボンが無かったため、茶色の着色は発生しなかった。
比較例6は、加熱工程の保持温度を1500℃にしたため、青色に着色した領域を完全に脱色することができたが、サファイアウエハーの表面をアルミナで覆っていなかったため、茶色に着色してしまった。
比較例7は、加熱工程の保持温度を1700℃としたため、青色に着色した領域を完全に脱色することができた。しかし、サファイアウエハーをアルミナ粒で覆っていなかったため、茶色に着色した領域が発生した。また、加熱工程の保持温度を1700℃としたため、梨地状としたサファイアウエハーの裏面の表面粗さRaが減少することが確認できた。
20 加熱炉
26 アルミナ粒

Claims (6)

  1. 直径に対する反り量が5μm/インチ以下であり、
    モリブデン含有量が5ppm以上のモリブデン含有領域を含み、
    青色に着色した領域、および茶色に着色した領域を含まないサファイアウエハー。
  2. 前記モリブデン含有領域におけるモリブデン含有量が10ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載のサファイアウエハー。
  3. モリブデン含有量が5ppm以上のモリブデン含有領域を含み、青色に着色した領域を含むサファイアウエハーを、前記サファイアウエハーの表面をアルミナ粒で覆った状態で、炉内にカーボン構成部材および/またはカーボン片を配した加熱炉内に配置するサファイアウエハー配置工程と、
    前記加熱炉内を不活性雰囲気とし、1400℃以上2000℃以下の温度で12時間以上加熱する加熱工程と、を有する、サファイアウエハーの製造方法。
  4. 炉内雰囲気が、アルゴンまたは窒素を主成分とする雰囲気である請求項3に記載のサファイアウエハーの製造方法。
  5. 前記加熱工程において、1400℃以上1600℃以下の温度で加熱する請求項3または4に記載のサファイアウエハーの製造方法。
  6. 前記アルミナ粒の平均粒径が、0.1mm以上5.0mm以下である請求項3乃至5のいずれか一項に記載のサファイアウエハーの製造方法。
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