以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内の一方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る空気入りタイヤ1の一例を示す断面図である。図2は、本実施形態に係る空気入りタイヤ1の一部を拡大した断面図である。図1及び図2はそれぞれ、空気入りタイヤ1の中心軸AXを通る子午断面を示す。図3は、本実施形態に係る空気入りタイヤ1のトレッド部3の一例を示す平面図である。以下の説明においては、空気入りタイヤ1を適宜、タイヤ1、と称する。
タイヤ1は、中心軸(回転軸)AXを中心に回転する。タイヤ1の中心軸AXは、タイヤ1の赤道面(赤道線、中心線)CLと直交する。
以下の説明において、回転軸AXを中心とする回転方向を適宜、周方向(又はタイヤ周方向)、と称し、回転軸AXと平行な方向を適宜、幅方向(又はタイヤ幅方向)、と称し、回転軸AXに対する放射方向を適宜、径方向(又はタイヤ径方向)、と称する。周方向は、中心軸AXの周方向又はタイヤ1の周方向を示す。幅方向は、タイヤ1の幅方向を示す。径方向は、タイヤ1の径方向を示す。
本実施形態においては、タイヤ1の中心軸AXとY軸とが平行である。すなわち、本実施形態において、中心軸AXと平行な方向は、Y軸方向である。Y軸方向は、タイヤ1の幅方向又は車幅方向である。タイヤ1の赤道面(赤道線、中心線)CLは、Y軸方向に関してタイヤ1の中心を通る。θY方向は、タイヤ1(中心軸AX)の回転方向である。X軸方向及びZ軸方向は、中心軸AXに対する放射方向である。タイヤ1が走行(転動)する路面(地面)は、XY平面とほぼ平行である。
本実施形態において、タイヤ1は、スタッドピン30を有する冬用タイヤ(雪氷路用タイヤ)である。スタッドピン30を有するタイヤ1は、スタッドタイヤ1、と呼ばれてもよいし、スパイクタイヤ1、と呼ばれてもよい。
図1、図2、及び図3に示すように、タイヤ1は、接地面2を有するトレッド部3と、リムと接続されるビード部4と、トレッド部3とビード部4とを結ぶサイドウォール部5とを備えている。接地面2は、タイヤ1の走行において、路面(地面)と接触する。
タイヤ1は、カーカス6及びインナーライナー7を有する。カーカス6は、タイヤ1の骨格であり、タイヤ1の形状を保持する。インナーライナー7は、タイヤ1の内部空間に面するように配置される。カーカス6及びインナーライナー7は、トレッド部3、ビード部4、及びサイドウォール部5に配置される。
ビード部4は、ビードコア11と、ビードフィラー12とを含む。ビードコア11は、タイヤ1をリムに固定する。ビードコア11は、幅方向に関してタイヤ1の中心線CLの両側に配置される。ビードコア11は、束ねられた複数の高炭素鋼の環状部材を含む。ビードコア11は、回転軸AXを囲むように配置される。ビードフィラー12は、ビード部4の剛性を高める。
トレッド部3は、ベルト14と、トレッドゴム15とを含む。ベルト14は、積層された複数のベルト材を含む。ベルト14は、径方向に関してカーカス6の外側に配置される。ベルト14は、カーカス6を締め付けて、トレッド部3の剛性を高める。トレッドゴム15に、トレッドパターンが形成される。トレッドゴム15は、径方向に関してカーカス6及びベルト14の外側に配置される。接地面2は、トレッドゴム15に配置される。
サイドウォール部5は、サイドウォールゴム16を含む。サイドウォール部5は、幅方向に関して中心線CLの両側に配置される。
カーカス6は、幅方向に関して中心線CLの一方側のビードコア11と他方側のビードコア11との間にトロイダル状に配置される。カーカス6の両端部は、ビードフィラー12を囲むように折り返される。
トレッドゴム15に溝20が形成される。トレッドパターンは、溝20によって形成される。溝20は、タイヤ1の周方向に形成される主溝21と、タイヤ1の幅方向に形成されるラグ溝22とを含む。主溝21及びラグ溝22によりトレッドゴム15が区画されることによって、ブロック23が形成される。接地面2は、ブロック23の表面を含む。
本実施形態において、トレッド部3は、中心軸AXを中心とする回転方向が指定されたトレッドパターンを有する。図3に示す例では、矢印で示す方向にタイヤ1の回転方向が指定されている。周方向に関してトレッド部3の所定領域の一端部及び他端部の一方が先着部101であり、他方が後着部102である。図3において、X軸方向は、タイヤ1の回転方向を示す。先着部101は、後着部102よりも+X側に配置される。先着部101とは、タイヤ1が中心軸AXを中心に回転しながら路面を走行する場合において、トレッド部3の所定領域(例えばピッチ領域又はブロック領域)のうち、路面に先に接触する部分をいう。後着部102とは、タイヤ1が中心軸AXを中心に回転しながら路面を走行する場合において、トレッド部3の所定領域のうち、路面に後に接触する部分をいう。
以下の説明においては、先着部101側(+X側)を適宜、先着側、と称し、後着部102側(−X側)を適宜、後着側、と称する。
図1に示すように、本実施形態において、タイヤ外径はODである。タイヤリム径はRDである。タイヤ総幅はSWである。トレッド接地幅はWである。トレッド展開幅はTDWである。
タイヤ外径ODとは、規定リムにタイヤ1を装着して、規定圧力(例えば230kPa)でタイヤ1の内部に空気を充填し、タイヤ1に荷重を加えないときの、タイヤ1の直径をいう。
タイヤリム径RDとは、タイヤ1に適合するホイールのリム径をいう。タイヤリム径RDは、タイヤ内径と等しい。
タイヤ総幅SWとは、規定リムにタイヤ1を装着して、規定圧力でタイヤ1の内部に空気を充填し、タイヤ1に荷重を加えないときの、中心軸AXと平行な方向に関するタイヤ1の最大の寸法をいう。すなわち、タイヤ総幅SWとは、トレッドゴム15の+Y側に配置されたサイドウォール部5の最も+Y側の部位と、−Y側に配置されたサイドウォール部5の最も−Y側の部位との距離をいう。サイドウォール部5の表面にそのサイドウォール部5の表面から突出する構造物が設けられている場合、タイヤ総幅SWとは、その構造物を含むY軸方向に関するタイヤ1の最大の寸法をいう。サイドウォール部5の表面から突出する構造物は、サイドウォール部5においてサイドウォールゴム16の少なくとも一部によって形成された文字、マーク、及び模様の少なくとも一つを含む。
トレッド接地幅Wとは、中心軸AXと平行な方向に関するトレッド部3の接地領域の最大の寸法(最大幅)をいう。トレッド部3の接地領域とは、規定リムにタイヤ1を装着して、規定圧力(例えば230kPa)でタイヤ1の内部に空気を充填し、タイヤ1に負荷能力の80%に相当する荷重を加えて平坦な路面に接地させたときの、タイヤ1の接地領域をいう。
トレッド展開幅TDWとは、規定リムにタイヤ1を装着して、規定圧力(例えば230kPa)でタイヤ1の内部に空気を充填し、荷重を加えないときの、タイヤ1のトレッド部3の展開図における両端の直線距離をいう。
以下の説明においては、幅方向に関してトレッド部3の中心を適宜、トレッド部3の中心部C、と称し、幅方向に関してトレッド部3の端を適宜、トレッド部3の端部T、と称する。中心部Cは、中心線(赤道線)CLと交わる。中心部Cは、幅方向に関して、トレッド接地幅Wの中心部を含む。端部Tは、幅方向に関して、トレッド接地幅Wの端部を含む。トレッド部3の端部Tは、幅方向に関して、中心部Cよりも一方側(+Y側)の端部T1と、中心部Cよりも他方側(−Y側)の端部T2と、を含む。
図3に示すように、本実施形態においては、幅方向に関して、トレッド部3の中心部Cとトレッド部3の端部Tとの間の領域を適宜、ハーフ領域H、と称する。
ハーフ領域Hは、幅方向に関して、中心部Cと中間部Dとの間の第1ベルト領域B1と、中間部Dと端部Tとの間の第2ベルト領域B2と、を含む。中間部Dは、中心部Cからトレッド部3(トレッド接地幅W)の25%の寸法だけ外側に配置された部位である。すなわち、幅方向に関して、中心部Cと中間部Dとの距離は、0.25Wである。幅方向に関して、中間部Dと端部Tとの距離は、0.25Wである。
トレッド部3の端部Tは、幅方向に関して、一方側(+Y側)の端部T1と、他方側(−Y側)の端部T2と、を含む。
ハーフ領域Hは、幅方向に関して、中心部Cとトレッド部3の一方の端部T1との間の第1ハーフ領域H1と、中心部Cとトレッド部3の他方の端部T2との間の第2ハーフ領域H2と、を含む。
第1ベルト領域B1及び第2ベルト領域B2は、第1ハーフ領域H1及び第2ハーフ領域H2のそれぞれに配置される。
中間部Dは、第1ハーフ領域H1の中間部D1と、第2ハーフ領域H2の中間部D2と、を含む。
第1ハーフ領域H1は、中心部Cと中間部D1との間の第1ベルト領域B1と、中間部D1と端部T1との間の第2ベルト領域B2と、を含む。第2ハーフ領域H2は、中心部Cと中間部D2との間の第1ベルト領域B1と、中間部D2と端部T2との間の第2ベルト領域B2と、を含む。
本実施形態において、トレッド部3のセンター領域8は、第1ハーフ領域H1の第1ベルト領域B1及び第2ハーフ領域H2の第1ベルト領域B1を含む。トレッド部3のショルダー領域9は、第1ハーフ領域H1の第2ベルト領域B2に配置される。トレッド部3のショルダー領域9は、第2ハーフ領域H2の第2ベルト領域B2に配置される。
本実施形態において、タイヤ1は、スタッドピン30を備えている。スタッドピン30は、トレッド部3のブロック23に配置される。トレッド部3(ブロック23)のトレッドゴム15に穴24が形成される。スタッドピン30の少なくとも一部は、トレッド部3に設けられた穴24に配置される。スタッドピン30は、スタッドピン30の少なくとも一部がトレッド部3の接地面2から突出するように、穴24の内面に支持される。なお、穴24を、スタッドピン穴24、と称してもよい。
穴24は、例えば、タイヤ1の製造工程の一つである加硫工程において溝20と一緒に形成されてもよい。加硫工程の後、トレッドゴム15にドリル加工が実施されることによって穴24が形成されてもよい。
図4は、本実施形態に係るトレッド部3の穴24に配置されたスタッドピン30の一例を示す図である。図5は、本実施形態に係るスタッドピン30の一例を示す斜視図である。
図4及び図5に示すように、スタッドピン30は、トレッド部3に設けられた穴24に配置されるボトムフランジ部31と、穴24に配置されるボディ34と、ボディ34に支持されるチップ35とを備えている。ボディ34は、アッパーフランジ部32及び中間部33を含む。ボトムフランジ部31とボディ34とは一体(単一部材)である。
穴24は、底面25を有する。穴24の上端部に開口26が設けられる。開口26の周囲に接地面2が配置される。スタッドピン30は、穴24の開口26から穴24の内側に挿入される。これにより、スタッドピン30の少なくとも一部が穴24の内側に配置される。本実施形態においては、少なくとも、ボトムフランジ部31及びボディ34が穴24の内側に配置される。ボトムフランジ部31及びボディ34が穴24の内側に配置された状態で、チップ35は、トレッド部3の接地面2から外側に突出するように配置される。
ボトムフランジ部31は、穴24の底面25と対向する下面(第1面)31Uと、下面31Uの反対方向を向く上面(第2面)31Tと、下面31Uの周縁部と上面31Tの周縁部とを結ぶ側面31Cとを有する。
アッパーフランジ部32は、チップ35の周囲に配置される上面(第3面)32Tと、上面32Tの反対方向を向く下面(第4面)32Uと、上面32Tの周縁部と下面32Uの周縁部とを結ぶ側面32Cとを有する。
中間部33は、側面33Cを有する。
ボディ34の外面(表面)は、上面32T、下面32U、側面32C、及び側面33Cを含む。ボトムフランジ部31の外面(表面)は、下面31U、上面31T、及び側面31Cを含む。スタッドピン30の外面(表面)は、ボトムフランジ部31の外面、ボディ34の外面、及びチップ35の外面を含む。
ボディ34は、ボトムフランジ部31の上面31Tと接続される。径方向に関して、ボディ34は、ボトムフランジ部31の外側に配置される。径方向に関して、アッパーフランジ部32は、中間部33の外側に配置される。径方向に関して、中間部33は、ボトムフランジ部31とアッパーフランジ部32との間に配置される。
本実施形態においては、ボディ34の中間部33とボトムフランジ部31とが接続される。中間部33の側面33Cと、ボトムフランジ部31の上面31Tとが結ばれる。中間部33の側面33Cと、アッパーフランジ部32の下面32Uとが結ばれる。中間部33は、下面32Uと上面31Tとの間に配置される。
上面31T、下面31U、上面32T、及び下面32Uはそれぞれ、平坦である。側面33Cと上面31Tとは、実質的に直交する。側面33Cと下面32Uとは、実質的に直交する。なお、下面31Uの少なくとも一部に、凹部が設けられてもよい。
図5に示すように、スタッドピン30は、チップ35を通る中心軸Jの周囲に配置される。中心軸Jと直交する面内において、チップ35は、長手形状である。すなわち、本実施形態において、スタッドピン30は、所謂、長手形スタッドピンである。中心軸Jと直交する面内において、ボトムフランジ部31及びボディ34は、チップ35の長手と平行な方向に長い長手形状を有してもよい。
図6は、本実施形態に係る中心軸Jと直交する面内におけるチップ35の一例を模式的に示す図である。中心軸Jと直交する面は、トレッド部3の接地面2と実質的に平行である。
図6に示すように、中心軸Jと直交する面内において、チップ35は、所定の方向に長い。以下の説明においては、チップ35の長手と平行な方向を適宜、長手方向、と称する。
本実施形態においては、中心軸Jと直交する面内において、チップ35の外形は、対称軸UXに対して線対称である。
本実施形態においては、長手方向に関してチップ35の一方の端部41と他方の端部42とによって、チップ仮想線Ltが規定される。チップ仮想線Ltは、端部41と端部42とを結ぶ。
チップ仮想線Ltは、対称軸UXと直交する。チップ35の一方の端部41は、対称軸UXの一方側に配置される。チップ35の他方の端部42は、対称軸UXの他方側に配置される。チップ35の一方の端部41及び他方の端部42は、チップ35のエッジ50のうち、チップ仮想線Ltと平行な方向に関して、対称軸UXから最も離れた部位である。
本実施形態において、中心軸Jと直交する面内において、チップ35の外形は、長方形である。チップ仮想線Ltは、チップ35の中心を通る。
図7は、本実施形態に係るスタッドピン30のチップ35の一例を示す平面図である。図7は、中心軸Jと直交する面内におけるスタッドピン30の一例を示す。スタッドピン30のボディ34は、トレッド部3の穴24に配置されている。長手形状のチップ35は、トレッド部3の接地面2から外側に突出するように配置される。
図7に示すように、本実施形態において、スタッドピン30は、チップ35の一方の端部41と他方の端部42とを結ぶチップ仮想線Ltが、中心軸AXと平行な基準仮想線Lrに対して傾斜するように配置される。基準仮想線Lrは、Y軸と平行である。
本実施形態において、チップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度αは、10[°]以上60[°]以下である。
なお、角度αは、25[°]以上45[°]以下でもよい。
図8は、本実施形態に係るトレッド部3のハーフ領域Hに配置されたスタッドピン30のチップ35の一例を模式的に示す図である。図8においては、ブロック23の図示を省略する。
図8において、タイヤ1は、矢印で示す方向に回転することとする。図8において、タイヤ1の回転方向は、X軸方向と一致する。図8において、トレッド部3の下部が先着側である。トレッド部3の上部が後着側である。
図8に示すように、本実施形態においては、トレッド部3のハーフ領域Hに配置されるスタッドピン30のチップ35のチップ仮想線Ltは、トレッド部3の中心部C側から端部T側に向かって、トレッド部3の後着側に傾斜する。
スタッドピン30は、トレッド部3に複数配置される。スタッドピン30は、少なくとも第2ベルト領域B2に配置される。スタッドピン30は、第2ベルト領域B2に複数配置される。図8に示す例では、スタッドピン30は、第2ベルト領域B2において、周方向に複数配置される。スタッドピン30は、第2ベルト領域B2において、幅方向に複数配置されてもよい。
本実施形態において、第2ベルト領域B2のスタッドピン30の総数の少なくとも60%の数のスタッドピン30のチップ35のチップ仮想線Ltが、基準仮想線Lrに対して傾斜する。なお、第2ベルト領域B2のスタッドピン30の総数の少なくとも80%の数のスタッドピン30のチップ35のチップ仮想線Ltが、基準仮想線Lrに対して傾斜してもよい。
図8に示すように、本実施形態において、スタッドピン30は、第1ベルト領域B1及び第2ベルト領域B2のそれぞれに配置される。スタッドピン30は、第1ベルト領域B1に複数配置される。図8に示す例では、スタッドピン30は、第1ベルト領域B1において、周方向に複数配置される。スタッドピン30は、第1ベルト領域B1において、幅方向に複数配置されてもよい。
本実施形態において、第1ベルト領域B1のスタッドピン30の総数の少なくとも60%の数のスタッドピン30のチップ35のチップ仮想線Ltが、基準仮想線Lrに対して傾斜する。なお、第1ベルト領域B1のスタッドピン30の総数の少なくとも80%の数のスタッドピン30のチップ35のチップ仮想線Ltが、基準仮想線Lrに対して傾斜してもよい。
以下の説明においては、第1ベルト領域B1に配置されるスタッドピン30のチップ35のチップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度αを適宜、角度α1、と称する。第2ベルト領域B2に配置されるスタッドピン30のチップ35のチップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度αを適宜、角度α2、と称する。角度αは、角度α1及び角度α2を含む。
本実施形態において、第2ベルト領域B2に配置されるスタッドピン30のチップ35のチップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度α2は、第1ベルト領域B1に配置されるスタッドピン30のチップ35のチップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度α1よりも大きい。すなわち、α2>α1の関係が成立する。
本実施形態において、角度α1と角度α2との差は、10[°]以上である。本実施形態においては、角度α1と角度α2との差は、20[°]以上30[°]以下に定められている。
なお、第1ベルト領域B1に配置されるチップ35のチップ仮想線Ltは、基準仮想線Lrと平行でもよい。
図9は、本実施形態に係るトレッド部3に配置されたスタッドピン30のチップ35の一例を模式的に示す図である。図9において、タイヤ1は、矢印で示す方向に回転することとする。図9の下部が先着側である。図9の上部が後着側である。
図9に示すように、スタッドピン30は、第1ハーフ領域H1及び第2ハーフ領域H2のそれぞれに配置される。スタッドピン30は、第1ハーフ領域H1において、第1ベルト領域B1及び第2ベルト領域B2の両方に配置される。スタッドピン30は、第2ハーフ領域H2において、第1ベルト領域B1及び第2ベルト領域B2の両方に配置される。
本実施形態において、第1ハーフ領域H1のスタッドピン30の数と、第2ハーフ領域H2のスタッドピン30の数とは等しい。
第1ハーフ領域H1に配置されるスタッドピン30のチップ35のチップ仮想線Ltは、中心部C側から端部T1側に向かってトレッド部3の後着側に傾斜する。
第2ハーフ領域H2に配置されるスタッドピン30のチップ35のチップ仮想線Ltは、中心部C側から端部T2側に向かってトレッド部3の後着側に傾斜する。
第1ハーフ領域H1において、第2ベルト領域B2に配置されるスタッドピン30のチップ35のチップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度α2は、第1ベルト領域B1に配置されるスタッドピン30のチップ35のチップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度α1よりも大きい。
第2ハーフ領域H2において、第2ベルト領域B2に配置されるスタッドピン30のチップ35のチップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度α2は、第1ベルト領域B1に配置されるスタッドピン30のチップ35のチップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度α1よりも大きい。
本実施形態において、第1ハーフ領域H1において中心部Cから所定距離に配置されるスタッドピン30のチップ35のチップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度αと、第2ハーフ領域H2において中心部Cから所定距離に配置されるスタッドピン30のチップ35のチップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度αとは、実質的に等しい。
本実施形態において、第1ハーフ領域H1の第1ベルト領域B1に配置されるスタッドピン30のチップ35のチップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度α1と、第2ハーフ領域H2の第1ベルト領域B1に配置されるスタッドピン30のチップ35のチップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度α1とは、実質的に等しい。
本実施形態において、第1ハーフ領域H1の第2ベルト領域B2に配置されるスタッドピン30のチップ35のチップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度α2と、第2ハーフ領域H2の第2ベルト領域B2に配置されるスタッドピン30のチップ35のチップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度α2とは、実質的に等しい。
すなわち、本実施形態において、複数のスタッドピン30は、中心線CLに対して線対称に配置される。
図10は、本実施形態に係る第1ハーフ領域H1に配置されているスタッドピン30のチップ35の一例を模式的に示す拡大図である。
チップ35のエッジ50は、複数の角部及び角部を介して結ばれる複数の線部を含む。本実施形態において、チップ35は、長方形状である。チップ35のエッジ50は、4つの角部と、4つの線部(直線部)と、を含む。隣り合う2つの線部は、1つの角部を介して結ばれる。
本実施形態において、チップ35のエッジ50は、平行に配置される2つの第1線部51と、平行に配置される2つの第2線部52と、を含む。第1線部51は、直線状である。第2線部52は、直線状である。
第1線部51は、チップ35の複数の線部のうち最も長い最長線部である。第1線部(最長線部)51は、チップ仮想線Ltと平行である。
第2線部52は、第1線部51よりも短い。第2線部52は、角部を介して第1線部51と結ばれる。
チップ35のエッジ50は、複数(4つ)の角部を有する。以下の説明においては、複数の角部のうち最も先着側に配置される角部を適宜、先端角部53、と称する。
また、以下の説明において、第1線部51を適宜、最長線部51、と称し、第2線部52を適宜、短線部52、と称する。
本実施形態において、短線部52は、先端角部53を介して最長線部51と結ばれる。
最長線部51は、中心部C側から端部T1側に向かって後着側に傾斜する。短線部52は、端部T側から中心部C側に向かって後着側に傾斜する。
本実施形態において、最長線部51と基準仮想線Lrとがなす角度β1は、短線部52と基準仮想線Lrとがなす角度β2よりも大きい。なお、角度β1は、角度β2と等しくてもよい。角度β1は、角度β2よりも小さくてもよい。
なお、第1ハーフ領域H1の第2ベルト領域B2に配置されているスタッドピン30のチップ35の最長線部51と基準仮想線Lrとがなす角度β1が、そのチップ35の短線部52と基準仮想線Lrとがなす角度β2よりも大きく、第1ハーフ領域H1の第1ベルト領域B1に配置されているスタッドピン30のチップ35の最長線部51と基準仮想線Lrとがなす角度β1が、そのチップ35の短線部52と基準仮想線Lrとがなす角度β2よりも小さくてもよい。
なお、第1ハーフ領域H1の第2ベルト領域B2に配置されているスタッドピン30のチップ35の最長線部51と基準仮想線Lrとがなす角度β1が、そのチップ35の短線部52と基準仮想線Lrとがなす角度β2と等しく、第1ハーフ領域H1の第1ベルト領域B1に配置されているスタッドピン30のチップ35の最長線部51と基準仮想線Lrとがなす角度β1が、そのチップ35の短線部52と基準仮想線Lrとがなす角度β2よりも小さくてもよい。
図11は、本実施形態に係る第2ハーフ領域H2に配置されているスタッドピン30のチップ35の一例を模式的に示す拡大図である。
図11において、チップ35のエッジ50は、チップ仮想線Ltと平行な最長線部51と、複数の角部のうち最も先着側に配置される先端角部53と、先端角部53を介して最長線部51と結ばれる短線部52と、を含む。最長線部51は、中心部C側から端部T2側に向かって後着側に傾斜する。短線部52は、端部T2側から中心部C側に向かって後着側に傾斜する。
本実施形態において、最長線部51と基準仮想線Lrとがなす角度β1は、短線部52と基準仮想線Lrとがなす角度β2よりも大きい。なお、角度β1は、角度β2と等しくてもよい。角度β1は、角度β2よりも小さくてもよい。
なお、第2ハーフ領域H2の第2ベルト領域B2に配置されているスタッドピン30のチップ35の最長線部51と基準仮想線Lrとがなす角度β1が、そのチップ35の短線部52と基準仮想線Lrとがなす角度β2よりも大きく、第2ハーフ領域H2の第1ベルト領域B1に配置されているスタッドピン30のチップ35の最長線部51と基準仮想線Lrとがなす角度β1が、そのチップ35の短線部52と基準仮想線Lrとがなす角度β2よりも小さくてもよい。
なお、第2ハーフ領域H2の第2ベルト領域B2に配置されているスタッドピン30のチップ35の最長線部51と基準仮想線Lrとがなす角度β1が、そのチップ35の短線部52と基準仮想線Lrとがなす角度β2と等しく、第2ハーフ領域H2の第1ベルト領域B1に配置されているスタッドピン30のチップ35の最長線部51と基準仮想線Lrとがなす角度β1が、そのチップ35の短線部52と基準仮想線Lrとがなす角度β2よりも小さくてもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、長手形状のチップ35のチップ仮想線Ltが基準仮想線Lrに対して傾斜するように配置されるので、タイヤ1は、氷路面における制動性能と旋回性能との両立を図ることができる。チップ仮想線Ltが基準仮想線Lrに対して傾斜するので、タイヤ1の周方向及び幅方向のそれぞれについて、チップ35のエッジ効果の向上、及び氷路面に対するチップ35の接触面積の増加を図ることができる。そのため、基準仮想線Lrに対して傾斜する長手形状のチップ35を有するスタッドピン30は、氷路面におけるタイヤ1の制動性能及び旋回性能の両方を向上することができる。角度αが60[°]よりも大きいと、タイヤ1の周方向に関して、氷路面に対するチップ35の接触面積が小さくなり、その結果、氷路面における制動性能が低下する。角度αが10[°]よりも小さいと、タイヤ1の幅方向に関して、氷路面に対するチップ35の接触面積が小さくなり、その結果、氷路面における旋回性能が低下する。角度αが10[°]以上60[°]以下の場合、氷路面におけるタイヤ1の制動性能及び旋回性能の両立を図ることができる。
なお、角度αは、25[°]以上45[°]以下が好ましい。これにより、タイヤ1の幅方向に関する氷路面に対するチップ35の接触面積の減少、及びタイヤ1の幅方向に関する氷路面に対するチップ35の接触面積の減少を抑制することができる。したがって、氷路面における制動性能及び旋回性能の両立を図ることができる。なお、角度αが25[°]以上45[°]以下であり、チップ35の外形が長方形である場合、角度β1は、角度β2以下となる。
また、本実施形態においては、チップ35の外形は、対称軸UXに対して線対称である。これにより、スタッドピン30の製造コストが抑制される。線対称の外形を有するチップ35は、非線対称の外形を有するチップに比べて、製造コストを抑制できる。
また、本実施形態においては、チップ仮想線Ltは、対称軸UXと直交し、チップ35の一方の端部41及び他方の端部42は、チップ35のエッジ50のうちチップ仮想線Ltと平行な方向に関して対称軸UXから最も離れた部位である。すなわち、対称軸UXから最も離れた部位であるチップ35の一方の端部41と他方の端部42とを結ぶ仮想線がチップ仮想線Ltと定義される。これにより、トレッド部3に対するスタッドピン30の位置決めが円滑に行われる。
また、本実施形態において、トレッド部3は、中心軸AXを中心とする回転方向が指定されたトレッドパターンを有する。換言すれば、タイヤ1の回転方向はある1方向に決められている。幅方向に関して、トレッド部3の中心部Cとトレッド部3の端部Tとの間のトレッド部3のハーフ領域Hに配置されるスタッドピン30のチップ仮想線Ltは、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の後着側に傾斜する。これにより、氷路面におけるタイヤ1の制動性能及び旋回性能の両立を図ることができる。
また、本実施形態において、チップ35のエッジ50の複数の線部のうち、最も長い最長線部51は、チップ仮想線Ltと平行である。これにより、チップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度αを調整することによって、基準仮想線Lrに対するエッジ50の最長線部51の角度を調整することができる。
また、本実施形態においては、チップ35のエッジ50は、複数の角部のうち最も先着側に配置される先端角部53と、先端角部53を介して結ばれる最長線部51及び短線部52と、を含む。最長線部51は、中心部C側から端部T側に向かって後着側に傾斜する。短線部52は、端部T側から中心部C側に向かって後着側に傾斜する。これにより、右旋回及び左旋回のそれぞれにおけるタイヤ1の旋回性能の向上を図ることができる。
また、本実施形態においては、複数のスタッドピン30のうち、少なくとも1つのスタッドピン30に係る角度β1は角度β2よりも大きい。これにより、タイヤ1の旋回性能の向上を図ることができる。
また、本実施形態において、ハーフ領域Hは、中心軸AXと平行な方向に関して、中心部Cと、中心部Cからトレッド部3の25%の寸法だけ外側に配置された中間部Dとの間の第1ベルト領域B1と、中間部Dと端部Tとの間の第2ベルト領域B2と、を含む。本実施形態においては、スタッドピン30は、少なくとも、第2ベルト領域B2に配置される。第2ベルト領域B2は、トレッド部3のショルダー領域9を含む。ショルダー領域9を含む第2ベルト領域B2にスタッドピン30が配置されるので、氷路面における旋回性能が向上する。
また、本実施形態において、スタッドピン30は、第2ベルト領域B2に複数配置される。第2ベルト領域B2のスタッドピン30の総数の少なくとも60%の数のスタッドピン30のチップ仮想線Ltが、基準仮想線Lrに対して傾斜する。これにより、第2ベルト領域B2に配置された複数のスタッドピン30のうち、半数よりも多いスタッドピン30が傾斜して配置される。そのため、氷路面におけるタイヤ1の制動性能及び旋回性能の両立を図ることができる。なお、第2ベルト領域B2のスタッドピン30の総数の少なくとも80%の数のスタッドピン30のチップ仮想線Ltが、基準仮想線Lrに対して傾斜することがより好ましい。
また、本実施形態においては、スタッドピン30は、第1ベルト領域B1及び第2ベルト領域B2の両方に配置される。第2ベルト領域B2に配置されるスタッドピン30のチップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度α2は、第1ベルト領域B1に配置されるスタッドピン30のチップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度α1よりも大きい。第1ベルト領域B1は、トレッド部3のセンター領域8を含む。第2ベルト領域B2は、トレッド部3のショルダー領域9を含む。第1ベルト領域B1及び第2ベルト領域B2の両方にスタッドピン30が配置されるので、氷路面におけるタイヤ1の制動性能及び旋回性能の両立を図ることができる。センター領域8を含む第1ベルト領域B1に配置されるスタッドピン30のチップ35の角度α1は小さいので、制動性能の向上が図られる。ショルダー領域9を含む第2ベルト領域B2に配置されるスタッドピン30のチップ35の角度α2は大きいので、旋回性能の向上が図られる。
また、本実施形態において、第1ベルト領域B1に配置されるスタッドピン30のチップ35の角度α1と、第2ベルト領域B2に配置されるスタッドピン30のチップ35の角度α2との差は、10[°]以上に定められる。これにより、タイヤ1の周方向及び幅方向のそれぞれについて、チップ35のエッジ効果の向上、及び氷路面に対するチップ35の接触面積の増加を図ることができる。角度α1と角度α2との差が10[°]よりも小さい場合、第1ベルト領域B1のスタッドピン30と、第2ベルト領域B2のスタッドピン30とは、ほぼ同じ方向を向くこととなる。その結果、エッジ効果が分散されず、制動性能及び旋回性能のいずれか一方が低下する可能性がある。角度α1と角度α2との差を10[°]以上にして、第1ベルト領域B1のスタッドピン30の向きと、第2ベルト領域B2のスタッドピン30の向きとを異ならせることにより、エッジ効果の偏りが抑制される。そのため、氷路面におけるタイヤ1の制動性能及び旋回性能の両立を図ることができる。なお、角度α1と角度α2との差は、20[°]以上30[°]以下が好ましい。
また、本実施形態において、トレッド部3は、第1ハーフ領域H1と第2ハーフ領域H2とを有する。スタッドピン30は、第1ハーフ領域H1及び第2ハーフ領域H2のそれぞれに配置される。第1ハーフ領域H1に配置されるスタッドピン30の数と、第2ハーフ領域H2に配置されるスタッドピン30の数とは、等しい。第1ハーフ領域H1において中心部Cから所定距離に配置されるスタッドピン30のチップ35の角度αと、第2ハーフ領域H2において中心部Cから所定距離に配置されるスタッドピン30のチップ35の角度αとは、実質的に等しい。本実施形態においては、第1ハーフ領域H1のスタッドピン30と、第2ハーフ領域H2のスタッドピン30とは、中心部Cを通る中心線CLに対して線対称に配置される。そのため、氷路面におけるタイヤ1の制動性能及び旋回性能の両立を図ることができる。
なお、本実施形態においては、第2ベルト領域B2に配置されるスタッドピン30のチップ35の角度α2が、第1ベルト領域B1に配置されるスタッドピン30のチップ35の角度α1よりも大きい例について説明した。スタッドピン30が、中心軸AXと平行な方向に配置される第1のスタッドピン30及び第2のスタッドピン30を含む場合、第1のスタッドピン30よりも端部T側に配置される第2のスタッドピン30のチップ35の角度α2が、第1のスタッドピン30のチップ35の角度α1よりも大きくてもよい。第1のスタッドピン30及び第2のスタッドピン30の両方が、第1ベルト領域B1に配置されていてもよい。第1のスタッドピン30及び第2のスタッドピン30の両方が、第2ベルト領域B2に配置されていてもよい。第2のスタッドピン30のチップ35の角度α2が、第1のスタッドピン30のチップ35の角度α1よりも大きいので、氷路面におけるタイヤ1の制動性能及び旋回性能の両立を図ることができる。トレッド部3の中心部Cに近い部位に、小さい角度α1の第1のスタッドピン30が配置されることにより、タイヤ1の制動性能の向上が図られる。トレッド部3の端部Tに近い部位に、大きい角度α2の第2のスタッドピン30が配置されることにより、タイヤ1の旋回性能の向上が図られる。
<第2実施形態>
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図12は、本実施形態に係るチップ35の一例を模式的に示す図である。図12に示すように、チップ35の外形は、五角形でもよい。
図12に示すように、チップ35の外形は、対称軸UXに対して線対称である。チップ仮想線Ltは、対称軸UXと直交する。チップ仮想線Ltは、チップ35の長手方向に関してチップ35の一方の端部41と他方の端部42とを結ぶ。端部41及び端部42のそれぞれは、チップ35のエッジ50のうちチップ仮想線Ltと平行な方向に関して対称軸UXから最も離れた部位である。スタッドピン30は、チップ仮想線Ltが中心軸AXと平行な基準仮想線Lrに対して傾斜するように配置される。チップ仮想線Ltは、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の後着側に傾斜する。チップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度αは、10[°]以上60[°]以下である。
チップ35のエッジ50は、複数(5つ)の角部と、角部を介して結ばれる複数(5つ)の線部と、を含む。複数の線部のうち最も長い最長線部51は、チップ仮想線Ltと平行である。
チップ35のエッジ50は、複数の角部のうち最も先着側に配置される先端角部53と、先端角部53を介して最長線部51と結ばれる短線部52と、を含む。最長線部51は、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の後着側に傾斜する。短線部52は、端部T側から中心部C側に向かってトレッド部3の後着側に傾斜する。
図12に示す例において、最長線部51と基準仮想線Lrとがなす角度β1は、短線部52と基準仮想線Lrとがなす角度β2よりも大きい。なお、角度β1が角度β2と等しくてもよい。角度β1が角度β2よりも小さくてもよい。
図13は、本実施形態に係るチップ35の一例を模式的に示す図である。図13に示すように、最長線部51が、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の後着側に傾斜し、短線部52が、基準仮想線Lrと平行でもよい。
本実施形態においても、氷路面におけるタイヤ1の制動性能及び旋回性能の両立を図ることができる。
<第3実施形態>
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図14は、本実施形態に係るチップ35の一例を模式的に示す図である。図14に示すように、チップ35の外形は、六角形でもよい。
図14に示すように、チップ35の外形は、対称軸UXに対して線対称である。チップ仮想線Ltは、対称軸UXと直交する。チップ仮想線Ltは、チップ35の長手方向に関してチップ35の一方の端部41と他方の端部42とを結ぶ。端部41及び端部42のそれぞれは、チップ35のエッジ50のうちチップ仮想線Ltと平行な方向に関して対称軸UXから最も離れた部位である。スタッドピン30は、チップ仮想線Ltが中心軸AXと平行な基準仮想線Lrに対して傾斜するように配置される。チップ仮想線Ltは、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の後着側に傾斜する。チップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度αは、10[°]以上60[°]以下である。
チップ35のエッジ50は、複数(6つ)の角部と、角部を介して結ばれる複数(6つ)の線部と、を含む。複数の線部のうち最も長い最長線部51は、チップ仮想線Ltと平行である。
チップ35のエッジ50は、複数の角部のうち最も先着側に配置される先端角部53と、先端角部53を介して最長線部51と結ばれる短線部52と、を含む。最長線部51は、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の後着側に傾斜する。短線部52は、端部T側から中心部C側に向かってトレッド部3の後着側に傾斜する。
図14に示す例において、最長線部51と基準仮想線Lrとがなす角度β1は、短線部52と基準仮想線Lrとがなす角度β2よりも大きい。なお、角度β1が角度β2と等しくてもよい。角度β1が角度β2よりも小さくてもよい。
図15は、本実施形態に係るチップ35の一例を模式的に示す図である。図15に示すように、最長線部51が、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の後着側に傾斜し、短線部52が、基準仮想線Lrと平行でもよい。
本実施形態においても、氷路面におけるタイヤ1の制動性能及び旋回性能の両立を図ることができる。
<第4実施形態>
第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図16は、本実施形態に係るチップ35の一例を模式的に示す図である。図16に示すように、チップ35の外形は、八角形でもよい。
図16に示すように、チップ35の外形は、対称軸UXに対して線対称である。チップ仮想線Ltは、対称軸UXと直交する。チップ仮想線Ltは、チップ35の長手方向に関してチップ35の一方の端部41と他方の端部42とを結ぶ。端部41及び端部42のそれぞれは、チップ35のエッジ50のうちチップ仮想線Ltと平行な方向に関して対称軸UXから最も離れた部位である。スタッドピン30は、チップ仮想線Ltが中心軸AXと平行な基準仮想線Lrに対して傾斜するように配置される。チップ仮想線Ltは、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の後着側に傾斜する。チップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度αは、10[°]以上60[°]以下である。
チップ35のエッジ50は、複数(8つ)の角部と、角部を介して結ばれる複数(8つ)の線部と、を含む。複数の線部のうち最も長い最長線部51は、チップ仮想線Ltと平行である。
チップ35のエッジ50は、複数の角部のうち最も先着側に配置される先端角部53と、先端角部53を介して最長線部51と結ばれる短線部52と、を含む。最長線部51は、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の後着側に傾斜する。短線部52は、端部T側から中心部C側に向かってトレッド部3の後着側に傾斜する。
図16に示す例において、最長線部51と基準仮想線Lrとがなす角度β1は、短線部52と基準仮想線Lrとがなす角度β2よりも大きい。なお、角度β1が角度β2と等しくてもよい。角度β1が角度β2よりも小さくてもよい。
図17は、本実施形態に係るチップ35の一例を模式的に示す図である。図17に示すように、最長線部51が、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の後着側に傾斜し、短線部52が、基準仮想線Lrと平行でもよい。
本実施形態においても、氷路面におけるタイヤ1の制動性能及び旋回性能の両立を図ることができる。
<第5実施形態>
第5実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図18は、本実施形態に係るチップ35の一例を模式的に示す図である。図18に示すように、チップ35の外形は、四角形(菱形)でもよい。
図18に示すように、チップ35の外形は、対称軸UXに対して線対称である。チップ仮想線Ltは、対称軸UXと直交する。チップ仮想線Ltは、チップ35の長手方向に関してチップ35の一方の端部41と他方の端部42とを結ぶ。端部41及び端部42のそれぞれは、チップ35のエッジ50のうちチップ仮想線Ltと平行な方向に関して対称軸UXから最も離れた部位である。スタッドピン30は、チップ仮想線Ltが中心軸AXと平行な基準仮想線Lrに対して傾斜するように配置される。チップ仮想線Ltは、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の後着側に傾斜する。チップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度αは、10[°]以上60[°]以下である。
チップ35のエッジ50は、複数(4つ)の角部と、角部を介して結ばれる複数(4つ)の線部と、を含む。
本実施形態において、複数(4つ)の線部の長さは、等しい。4つの線部の全てを、最長線部51とみなすことができる。4つの線部の全てを、短線部52とみなすことができる。
チップ35のエッジ50は、複数の角部のうち最も先着側に配置される先端角部53と、先端角部53を介して線部(最長線部)51と結ばれる線部(短線部)52と、を含む。線部51は、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の後着側に傾斜する。線部52は、端部T側から中心部C側に向かってトレッド部3の後着側に傾斜する。
図18に示す例において、線部51と基準仮想線Lrとがなす角度β1は、線部52と基準仮想線Lrとがなす角度β2よりも大きい。なお、角度β1が角度β2と等しくてもよい。角度β1が角度β2よりも小さくてもよい。
図19は、本実施形態に係るチップ35の一例を模式的に示す図である。図19に示すように、線部51が、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の後着側に傾斜し、線部52が、基準仮想線Lrと平行でもよい。
本実施形態においても、氷路面におけるタイヤ1の制動性能及び旋回性能の両立を図ることができる。
<第6実施形態>
第6実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図20は、本実施形態に係るチップ35の一例を模式的に示す図である。図20に示すように、チップ35の外形は、四角形(台形)でもよい。
図20に示すように、チップ35の外形は、対称軸UXに対して線対称である。チップ仮想線Ltは、対称軸UXと直交する。チップ仮想線Ltは、チップ35の長手方向に関してチップ35の一方の端部41と他方の端部42とを結ぶ。端部41及び端部42のそれぞれは、チップ35のエッジ50のうちチップ仮想線Ltと平行な方向に関して対称軸UXから最も離れた部位である。スタッドピン30は、チップ仮想線Ltが中心軸AXと平行な基準仮想線Lrに対して傾斜するように配置される。チップ仮想線Ltは、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の後着側に傾斜する。チップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度αは、10[°]以上60[°]以下である。
チップ35のエッジ50は、複数(4つ)の角部と、角部を介して結ばれる複数(4つ)の線部と、を含む。複数の線部のうち最も長い最長線部51は、チップ仮想線Ltと平行である。
チップ35のエッジ50は、複数の角部のうち最も先着側に配置される先端角部53と、先端角部53を介して最長線部51と結ばれる短線部52と、を含む。最長線部51は、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の後着側に傾斜する。短線部52は、端部T側から中心部C側に向かってトレッド部3の後着側に傾斜する。なお、短線部52が、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の後着側に傾斜してもよい。
図20に示す例において、最長線部51と基準仮想線Lrとがなす角度β1は、短線部52と基準仮想線Lrとがなす角度β2よりも小さい。なお、角度β1が角度β2と等しくてもよい。角度β1が角度β2よりも大きくてもよい。
本実施形態においても、氷路面におけるタイヤ1の制動性能及び旋回性能の両立を図ることができる。
<第7実施形態>
第7実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図21は、本実施形態に係るチップ35の一例を模式的に示す図である。図21に示すように、チップ35の外形は、三角形でもよい。
図21に示すように、チップ35の外形は、対称軸UXに対して線対称である。チップ仮想線Ltは、対称軸UXと直交する。チップ仮想線Ltは、チップ35の長手方向に関してチップ35の一方の端部41と他方の端部42とを結ぶ。端部41及び端部42のそれぞれは、チップ35のエッジ50のうちチップ仮想線Ltと平行な方向に関して対称軸UXから最も離れた部位である。スタッドピン30は、チップ仮想線Ltが中心軸AXと平行な基準仮想線Lrに対して傾斜するように配置される。チップ仮想線Ltは、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の後着側に傾斜する。チップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度αは、10[°]以上60[°]以下である。
チップ35のエッジ50は、複数(3つ)の角部と、角部を介して結ばれる複数(3つ)の線部と、を含む。複数の線部のうち最も長い最長線部51は、チップ仮想線Ltと平行である。
チップ35のエッジ50は、複数の角部のうち最も先着側に配置される先端角部53と、先端角部53を介して最長線部51と結ばれる短線部52と、を含む。最長線部51は、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の後着側に傾斜する。短線部52は、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の後着側に傾斜する。
図21に示す例において、最長線部51と基準仮想線Lrとがなす角度β1は、短線部52と基準仮想線Lrとがなす角度β2よりも小さい。なお、角度β1が角度β2と等しくてもよい。角度β1が角度β2よりも大きくてもよい。
本実施形態においても、氷路面におけるタイヤ1の制動性能及び旋回性能の両立を図ることができる。
<第8実施形態>
第8実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図22は、本実施形態に係るチップ35の一例を模式的に示す図である。図22に示すように、チップ35の外形は、楕円形でもよい。
図22に示すように、チップ35の外形は、対称軸UXに対して線対称である。チップ仮想線Ltは、対称軸UXと直交する。チップ仮想線Ltは、チップ35の長手方向に関してチップ35の一方の端部41と他方の端部42とを結ぶ。端部41及び端部42のそれぞれは、チップ35のエッジ50のうちチップ仮想線Ltと平行な方向に関して対称軸UXから最も離れた部位である。スタッドピン30は、チップ仮想線Ltが中心軸AXと平行な基準仮想線Lrに対して傾斜するように配置される。チップ仮想線Ltは、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の後着側に傾斜する。チップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度αは、10[°]以上60[°]以下である。
本実施形態においても、氷路面におけるタイヤ1の制動性能及び旋回性能の両立を図ることができる。
<第9実施形態>
第9実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図23は、本実施形態に係るチップ35の一例を模式的に示す図である。図23に示すように、チップ35の外形は、凹部を含んでもよい。図23に示すチップ35の外形は、11個の角部を有する。
図23に示すように、チップ35の外形は、対称軸UXに対して線対称である。チップ仮想線Ltは、対称軸UXと直交する。チップ仮想線Ltは、チップ35の長手方向に関してチップ35の一方の端部41と他方の端部42とを結ぶ。端部41及び端部42のそれぞれは、チップ35のエッジ50のうちチップ仮想線Ltと平行な方向に関して対称軸UXから最も離れた部位である。スタッドピン30は、チップ仮想線Ltが中心軸AXと平行な基準仮想線Lrに対して傾斜するように配置される。チップ仮想線Ltは、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の後着側に傾斜する。チップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度αは、10[°]以上60[°]以下である。
チップ35のエッジ50は、複数(11)の角部と、角部を介して結ばれる複数(11)の線部と、を含む。複数の線部のうち最も長い最長線部51は、チップ仮想線Ltと平行である。
チップ35のエッジ50は、複数の角部のうち最も先着側に配置される先端角部53と、先端角部53を介して最長線部51と結ばれる短線部52と、を含む。最長線部51は、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の後着側に傾斜する。短線部52は、端部T側から中心部C側に向かってトレッド部3の後着側に傾斜する。
図23に示す例において、最長線部51と基準仮想線Lrとがなす角度β1は、短線部52と基準仮想線Lrとがなす角度β2よりも小さい。なお、角度β1が角度β2と等しくてもよい。角度β1が角度β2よりも大きくてもよい。
本実施形態においても、氷路面におけるタイヤ1の制動性能及び旋回性能の両立を図ることができる。
<第10実施形態>
第10実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図24は、本実施形態に係るタイヤ1のトレッド部3の一部を示す平面図である。図25は、本実施形態に係るトレッド部3及びスタッドピン30のチップ35を模式的に示す平面図である。
上述の実施形態と同様、トレッド部3は、第1ハーフ領域H1及び第2ハーフ領域H2を含むハーフ領域Hを有する。ハーフ領域Hは、第1ベルト領域B1及び第2ベルト領域B2を含む。スタッドピン30は、少なくとも第2ベルト領域B2に配置される。
スタッドピン30は、第2ベルト領域B2に複数配置される。本実施形態においても、第2ベルト領域B2のスタッドピン30の総数の少なくとも60%の数のスタッドピン30のチップ仮想線Ltが、基準仮想線Lrに対して傾斜する。
本実施形態において、スタッドピン30は、第1ベルト領域B1及び第2ベルト領域B2のそれぞれに配置される。
トレッド部3は、中心軸AXを中心とする回転方向が指定されたトレッドパターンを有する。本実施形態において、ハーフ領域Hに配置されるスタッドピン30のチップ仮想線Ltは、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の先着側に傾斜する。
第2ベルト領域B2に配置されるスタッドピン30のチップ35のチップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度α2は、第1ベルト領域B1に配置されるスタッドピン30のチップ35のチップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度α1よりも大きい。
本実施形態においても、角度α1と角度α2との差は、10[°]以上である。
スタッドピン30は、第1ハーフ領域H1及び第2ハーフ領域H2のそれぞれに配置される。第1ハーフ領域H1のスタッドピン30の数と、第2ハーフ領域H2のスタッドピン30の数とは等しい。第1ハーフ領域H1において中心部Cから所定距離に配置されるスタッドピン30のチップ35の角度αと、第2ハーフ領域H2において中心部Cから所定距離に配置されるスタッドピン30のチップ35の角度αとは、実質的に等しい。
図26は、本実施形態に係る第1ハーフ領域H1に配置されているスタッドピン30のチップ35の一例を模式的に示す拡大図である。
チップ35のエッジ50は、複数の角部及び角部を介して結ばれる複数の線部を含む。本実施形態において、チップ35は、長方形状である。
図26に示すように、チップ35の外形は、対称軸UXに対して線対称である。チップ仮想線Ltは、対称軸UXと直交する。チップ仮想線Ltは、チップ35の長手方向に関してチップ35の一方の端部41と他方の端部42とを結ぶ。端部41及び端部42のそれぞれは、チップ35のエッジ50のうちチップ仮想線Ltと平行な方向に関して対称軸UXから最も離れた部位である。スタッドピン30は、チップ仮想線Ltが中心軸AXと平行な基準仮想線Lrに対して傾斜するように配置される。チップ仮想線Ltは、中心部C側から端部T1側に向かってトレッド部3の先着側に傾斜する。チップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度αは、10[°]以上60[°]以下である。
チップ35のエッジ50は、複数(4つ)の角部と、角部を介して結ばれる複数(4つ)の線部と、を含む。複数の線部のうち最も長い最長線部51は、チップ仮想線Ltと平行である。
チップ35のエッジ50は、複数の角部のうち最も先着側に配置される先端角部53と、先端角部53を介して最長線部51と結ばれる短線部52と、を含む。最長線部51は、中心部C側から端部T1側に向かってトレッド部3の先着側に傾斜する。短線部52は、端部T1側から中心部C側に向かってトレッド部3の先着側に傾斜する。
図26に示す例において、最長線部51と基準仮想線Lrとがなす角度β1は、短線部52と基準仮想線Lrとがなす角度β2よりも大きい。なお、角度β1が角度β2と等しくてもよい。角度β1が角度β2よりも小さくてもよい。
図27は、本実施形態に係る第2ハーフ領域H2に配置されているスタッドピン30のチップ35の一例を模式的に示す拡大図である。
図27に示すように、チップ仮想線Ltは、中心部C側から端部T2側に向かってトレッド部3の先着側に傾斜する。チップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度αは、10[°]以上60[°]以下である。
チップ35のエッジ50は、複数(4つ)の角部と、角部を介して結ばれる複数(4つ)の線部と、を含む。複数の線部のうち最も長い最長線部51は、チップ仮想線Ltと平行である。
チップ35のエッジ50は、複数の角部のうち最も先着側に配置される先端角部53と、先端角部53を介して最長線部51と結ばれる短線部52と、を含む。最長線部51は、中心部C側から端部T2側に向かってトレッド部3の先着側に傾斜する。短線部52は、端部T2側から中心部C側に向かってトレッド部3の先着側に傾斜する。
図27に示す例において、最長線部51と基準仮想線Lrとがなす角度β1は、短線部52と基準仮想線Lrとがなす角度β2よりも大きい。なお、角度β1が角度β2と等しくてもよい。角度β1が角度β2よりも小さくてもよい。
以上説明したように、本実施形態においても、氷路面におけるタイヤ1の制動性能及び旋回性能の両立を図ることができる。
<第11実施形態>
第11実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図28は、本実施形態に係るチップ35の一例を模式的に示す図である。図28に示すように、チップ35の外形は、五角形でもよい。
図28に示すように、チップ35の外形は、対称軸UXに対して線対称である。チップ仮想線Ltは、対称軸UXと直交する。チップ仮想線Ltは、チップ35の長手方向に関してチップ35の一方の端部41と他方の端部42とを結ぶ。端部41及び端部42のそれぞれは、チップ35のエッジ50のうちチップ仮想線Ltと平行な方向に関して対称軸UXから最も離れた部位である。スタッドピン30は、チップ仮想線Ltが中心軸AXと平行な基準仮想線Lrに対して傾斜するように配置される。チップ仮想線Ltは、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の先着側に傾斜する。チップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度αは、10[°]以上60[°]以下である。
チップ35のエッジ50は、複数(5つ)の角部と、角部を介して結ばれる複数(5つ)の線部と、を含む。複数の線部のうち最も長い最長線部51は、チップ仮想線Ltと平行である。
チップ35のエッジ50は、複数の角部のうち最も先着側に配置される先端角部53と、先端角部53を介して最長線部51と結ばれる短線部52と、を含む。最長線部51は、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の先着側に傾斜する。短線部52は、端部T側から中心部C側に向かってトレッド部3の先着側に傾斜する。
図28に示す例において、最長線部51と基準仮想線Lrとがなす角度β1は、短線部52と基準仮想線Lrとがなす角度β2よりも大きい。なお、角度β1が角度β2と等しくてもよい。角度β1が角度β2よりも小さくてもよい。
なお、最長線部51が、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の先着側に傾斜し、短線部52が、基準仮想線Lrと平行でもよい。
本実施形態においても、氷路面におけるタイヤ1の制動性能及び旋回性能の両立を図ることができる。
<第12実施形態>
第12実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図29は、本実施形態に係るチップ35の一例を模式的に示す図である。図29に示すように、チップ35の外形は、六角形でもよい。
図29に示すように、チップ35の外形は、対称軸UXに対して線対称である。チップ仮想線Ltは、対称軸UXと直交する。チップ仮想線Ltは、チップ35の長手方向に関してチップ35の一方の端部41と他方の端部42とを結ぶ。端部41及び端部42のそれぞれは、チップ35のエッジ50のうちチップ仮想線Ltと平行な方向に関して対称軸UXから最も離れた部位である。スタッドピン30は、チップ仮想線Ltが中心軸AXと平行な基準仮想線Lrに対して傾斜するように配置される。チップ仮想線Ltは、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の先着側に傾斜する。チップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度αは、10[°]以上60[°]以下である。
チップ35のエッジ50は、複数(6つ)の角部と、角部を介して結ばれる複数(6つ)の線部と、を含む。複数の線部のうち最も長い最長線部51は、チップ仮想線Ltと平行である。
チップ35のエッジ50は、複数の角部のうち最も先着側に配置される先端角部53と、先端角部53を介して最長線部51と結ばれる短線部52と、を含む。最長線部51は、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の先着側に傾斜する。短線部52は、端部T側から中心部C側に向かってトレッド部3の先着側に傾斜する。
図29に示す例において、最長線部51と基準仮想線Lrとがなす角度β1は、短線部52と基準仮想線Lrとがなす角度β2よりも大きい。なお、角度β1が角度β2と等しくてもよい。角度β1が角度β2よりも小さくてもよい。
なお、最長線部51が、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の先着側に傾斜し、短線部52が、基準仮想線Lrと平行でもよい。
本実施形態においても、氷路面におけるタイヤ1の制動性能及び旋回性能の両立を図ることができる。
<第13実施形態>
第13実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図30は、本実施形態に係るチップ35の一例を模式的に示す図である。図30に示すように、チップ35の外形は、八角形でもよい。
図30に示すように、チップ35の外形は、対称軸UXに対して線対称である。チップ仮想線Ltは、対称軸UXと直交する。チップ仮想線Ltは、チップ35の長手方向に関してチップ35の一方の端部41と他方の端部42とを結ぶ。端部41及び端部42のそれぞれは、チップ35のエッジ50のうちチップ仮想線Ltと平行な方向に関して対称軸UXから最も離れた部位である。スタッドピン30は、チップ仮想線Ltが中心軸AXと平行な基準仮想線Lrに対して傾斜するように配置される。チップ仮想線Ltは、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の先着側に傾斜する。チップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度αは、10[°]以上60[°]以下である。
チップ35のエッジ50は、複数(8つ)の角部と、角部を介して結ばれる複数(8つ)の線部と、を含む。複数の線部のうち最も長い最長線部51は、チップ仮想線Ltと平行である。
チップ35のエッジ50は、複数の角部のうち最も先着側に配置される先端角部53と、先端角部53を介して最長線部51と結ばれる短線部52と、を含む。最長線部51は、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の先着側に傾斜する。短線部52は、端部T側から中心部C側に向かってトレッド部3の先着側に傾斜する。
図30に示す例において、最長線部51と基準仮想線Lrとがなす角度β1は、短線部52と基準仮想線Lrとがなす角度β2よりも大きい。なお、角度β1が角度β2と等しくてもよい。角度β1が角度β2よりも小さくてもよい。
なお、最長線部51が、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の先着側に傾斜し、短線部52が、基準仮想線Lrと平行でもよい。
本実施形態においても、氷路面におけるタイヤ1の制動性能及び旋回性能の両立を図ることができる。
<第14実施形態>
第14実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図31は、本実施形態に係るチップ35の一例を模式的に示す図である。図31に示すように、チップ35の外形は、四角形(菱形)でもよい。
図31に示すように、チップ35の外形は、対称軸UXに対して線対称である。チップ仮想線Ltは、対称軸UXと直交する。チップ仮想線Ltは、チップ35の長手方向に関してチップ35の一方の端部41と他方の端部42とを結ぶ。端部41及び端部42のそれぞれは、チップ35のエッジ50のうちチップ仮想線Ltと平行な方向に関して対称軸UXから最も離れた部位である。スタッドピン30は、チップ仮想線Ltが中心軸AXと平行な基準仮想線Lrに対して傾斜するように配置される。チップ仮想線Ltは、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の先着側に傾斜する。チップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度αは、10[°]以上60[°]以下である。
チップ35のエッジ50は、複数(4つ)の角部と、角部を介して結ばれる複数(4つ)の線部と、を含む。
本実施形態において、複数(4つ)の線部の長さは、等しい。4つの線部の全てを、最長線部51とみなすことができる。4つの線部の全てを、短線部52とみなすことができる。
チップ35のエッジ50は、複数の角部のうち最も先着側に配置される先端角部53と、先端角部53を介して線部(最長線部)51と結ばれる線部(短線部)52と、を含む。線部51は、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の先着側に傾斜する。線部52は、端部T側から中心部C側に向かってトレッド部3の先着側に傾斜する。
図31に示す例において、線部51と基準仮想線Lrとがなす角度β1は、線部52と基準仮想線Lrとがなす角度β2よりも大きい。なお、角度β1が角度β2と等しくてもよい。角度β1が角度β2よりも小さくてもよい。
なお、線部51が、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の先着側に傾斜し、線部52が、基準仮想線Lrと平行でもよい。
本実施形態においても、氷路面におけるタイヤ1の制動性能及び旋回性能の両立を図ることができる。
<第15実施形態>
第15実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図32は、本実施形態に係るチップ35の一例を模式的に示す図である。図32に示すように、チップ35の外形は、四角形(台形)でもよい。
図32に示すように、チップ35の外形は、対称軸UXに対して線対称である。チップ仮想線Ltは、対称軸UXと直交する。チップ仮想線Ltは、チップ35の長手方向に関してチップ35の一方の端部41と他方の端部42とを結ぶ。端部41及び端部42のそれぞれは、チップ35のエッジ50のうちチップ仮想線Ltと平行な方向に関して対称軸UXから最も離れた部位である。スタッドピン30は、チップ仮想線Ltが中心軸AXと平行な基準仮想線Lrに対して傾斜するように配置される。チップ仮想線Ltは、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の先着側に傾斜する。チップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度αは、10[°]以上60[°]以下である。
チップ35のエッジ50は、複数(4つ)の角部と、角部を介して結ばれる複数(4つ)の線部と、を含む。複数の線部のうち最も長い最長線部51は、チップ仮想線Ltと平行である。
チップ35のエッジ50は、複数の角部のうち最も先着側に配置される先端角部53と、先端角部53を介して最長線部51と結ばれる短線部52と、を含む。最長線部51は、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の先着側に傾斜する。短線部52は、端部T側から中心部C側に向かってトレッド部3の先着側に傾斜する。なお、短線部52が、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の先着側に傾斜してもよい。
図32に示す例において、最長線部51と基準仮想線Lrとがなす角度β1は、短線部52と基準仮想線Lrとがなす角度β2よりも小さい。なお、角度β1が角度β2と等しくてもよい。角度β1が角度β2よりも大きくてもよい。
本実施形態においても、氷路面におけるタイヤ1の制動性能及び旋回性能の両立を図ることができる。
<第16実施形態>
第16実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図33は、本実施形態に係るチップ35の一例を模式的に示す図である。図33に示すように、チップ35の外形は、三角形でもよい。
図33に示すように、チップ35の外形は、対称軸UXに対して線対称である。チップ仮想線Ltは、対称軸UXと直交する。チップ仮想線Ltは、チップ35の長手方向に関してチップ35の一方の端部41と他方の端部42とを結ぶ。端部41及び端部42のそれぞれは、チップ35のエッジ50のうちチップ仮想線Ltと平行な方向に関して対称軸UXから最も離れた部位である。スタッドピン30は、チップ仮想線Ltが中心軸AXと平行な基準仮想線Lrに対して傾斜するように配置される。チップ仮想線Ltは、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の先着側に傾斜する。チップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度αは、10[°]以上60[°]以下である。
チップ35のエッジ50は、複数(3つ)の角部と、角部を介して結ばれる複数(3つ)の線部と、を含む。複数の線部のうち最も長い最長線部51は、チップ仮想線Ltと平行である。
チップ35のエッジ50は、複数の角部のうち最も先着側に配置される先端角部53と、先端角部53を介して最長線部51と結ばれる短線部52と、を含む。最長線部51は、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の先着側に傾斜する。短線部52は、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の先着側に傾斜する。
図33に示す例において、最長線部51と基準仮想線Lrとがなす角度β1は、短線部52と基準仮想線Lrとがなす角度β2よりも小さい。なお、角度β1が角度β2と等しくてもよい。角度β1が角度β2よりも大きくてもよい。
本実施形態においても、氷路面におけるタイヤ1の制動性能及び旋回性能の両立を図ることができる。
<第17実施形態>
第17実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図34は、本実施形態に係るチップ35の一例を模式的に示す図である。図34に示すように、チップ35の外形は、楕円形でもよい。
図34に示すように、チップ35の外形は、対称軸UXに対して線対称である。チップ仮想線Ltは、対称軸UXと直交する。チップ仮想線Ltは、チップ35の長手方向に関してチップ35の一方の端部41と他方の端部42とを結ぶ。端部41及び端部42のそれぞれは、チップ35のエッジ50のうちチップ仮想線Ltと平行な方向に関して対称軸UXから最も離れた部位である。スタッドピン30は、チップ仮想線Ltが中心軸AXと平行な基準仮想線Lrに対して傾斜するように配置される。チップ仮想線Ltは、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の先着側に傾斜する。チップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度αは、10[°]以上60[°]以下である。
本実施形態においても、氷路面におけるタイヤ1の制動性能及び旋回性能の両立を図ることができる。
<第18実施形態>
第18実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図35は、本実施形態に係るチップ35の一例を模式的に示す図である。図35に示すように、チップ35の外形は、凹部を含んでもよい。図35に示すチップ35の外形は、11個の角部を有する。
図35に示すように、チップ35の外形は、対称軸UXに対して線対称である。チップ仮想線Ltは、対称軸UXと直交する。チップ仮想線Ltは、チップ35の長手方向に関してチップ35の一方の端部41と他方の端部42とを結ぶ。端部41及び端部42のそれぞれは、チップ35のエッジ50のうちチップ仮想線Ltと平行な方向に関して対称軸UXから最も離れた部位である。スタッドピン30は、チップ仮想線Ltが中心軸AXと平行な基準仮想線Lrに対して傾斜するように配置される。チップ仮想線Ltは、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の先着側に傾斜する。チップ仮想線Ltと基準仮想線Lrとがなす角度αは、10[°]以上60[°]以下である。
チップ35のエッジ50は、複数(11)の角部と、角部を介して結ばれる複数(11)の線部と、を含む。複数の線部のうち最も長い最長線部51は、チップ仮想線Ltと平行である。
チップ35のエッジ50は、複数の角部のうち最も先着側に配置される先端角部53と、先端角部53を介して最長線部51と結ばれる短線部52と、を含む。最長線部51は、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の先着側に傾斜する。短線部52は、端部T側から中心部C側に向かってトレッド部3の先着側に傾斜する。
図35に示す例において、最長線部51と基準仮想線Lrとがなす角度β1は、短線部52と基準仮想線Lrとがなす角度β2よりも小さい。なお、角度β1が角度β2と等しくてもよい。角度β1が角度β2よりも大きくてもよい。
本実施形態においても、氷路面におけるタイヤ1の制動性能及び旋回性能の両立を図ることができる。
<実施例>
図36は、本実施形態に係るタイヤ1の性能試験の結果を示す図である。図36は、氷路面におけるタイヤ1の制動性能(氷上制動性能)及び旋回性能(氷上旋回性能)に係る性能試験の結果を示す。
性能試験において、スタッドピン30を備えるタイヤ1がJATMA規定の適用リムに接続される。タイヤ1のサイズは、205/55R16である。そのタイヤ1に、JATMA規定の最高空気圧及び最大負荷能力が付与される。
性能試験において、タイヤ1が排気量2000[cc]の前輪駆動の試験車両に装着される。その試験車両が氷路面を走行する。
氷上制動性能の性能試験は、時速40[km/h]から時速5[km/h]まで減速するのに要する距離を計測する。その計測結果に基づいて、比較例(従来例1)を基準(100)とした指数評価が行われる。この評価は、数値が大きいほど性能が高い。
氷上旋回性能の性能試験は、ドライバーによるラップタイムを計測する。その計測結果に基づいて、比較例(従来例1)を基準(100)とした指数評価が行われる。この評価も、数値が大きいほど性能が高い。
図36において、「角度α(第2ベルト領域)」とは、上述の実施形態で説明した、第2ベルト領域B2に配置されるスタッドピン30のチップ35の角度αである。「角度α(第1ベルト領域)」とは、上述の実施形態で説明した、第1ベルト領域B1に配置されるスタッドピン30のチップ35の角度αである。
図36において、「チップの方向」とは、上述の実施形態で説明した、基準仮想線Lrに対するチップ35の傾斜方向である。「平行」とは、角度αが0[°]であることを示す。「直交」とは、角度αが90[°]であることを示す。「後着側に傾斜」とは、例えば図3及び図9などを参照して説明したような、スタッドピン30のチップ35のチップ仮想線Ltが、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の後着側に傾斜するように配置されていることを示す。「先着側に傾斜」とは、例えば図24及び図25などを参照して説明したような、スタッドピン30のチップ35のチップ仮想線Ltが、中心部C側から端部T側に向かってトレッド部3の先着側に傾斜するように配置されていることを示す。
従来例1のタイヤ1は、長手形状のチップ35を有するスタッドピン30を備えているものの、チップ35の角度αが0[°]であるタイヤである。
従来例2のタイヤ1は、長手形状のチップ35を有するスタッドピン30を備えており、特開2008−284922号公報に開示されているような、チップ35の角度αが0[°]であるスタッドピン30と、チップ35の角度αが90[°]であるスタッドピン30との両方を有するタイヤである。
従来例1の氷上制動性能を100とした場合、従来例2の氷上制動性能は97であり、従来例1の氷上制動性能よりも劣る。従来例1の旋回制動性能を100とした場合、従来例2の氷上旋回性能は105であり、角度αが90[°]のチップ35を有するスタッドピン30の効果が得られる。
実施例1から実施例11は、チップ35が後着側に傾斜するタイヤ1である。実施例12は、チップ35が先着側に傾斜するタイヤ1である。
実施例1から実施例12に示すように、先着側又は後着側の少なくとも一方に傾斜するチップ35を有するスタッドピン30を有するタイヤ1は、従来例1のタイヤ1に比べて、氷上制動性能及び氷上旋回性能の両方が向上することが分かる。
実施例1は、チップ35の角度αが10[°]よりも小さい5[°]である。実施例11は、チップ35の角度αが60[°]よりも大きい70[°]である。実施例2、実施例3、実施例4、実施例5、実施例6、実施例7、実施例8、実施例9、実施例10、及び実施例12は、チップ35の角度αが10[°]以上60[°]以下である。チップ35の角度αが10[°]以上60[°]以下に定められることにより、氷上制動性能及び氷上旋回性能の両方がバランス良く向上することが分かる。
また、実施例4、実施例5、実施例6、実施例7、実施例8、及び実施例12は、第1ベルト領域B1に配置されるチップ35の角度α及び第2ベルト領域B2に配置されるチップ35の角度αの少なくとも一方が、25[°]以上45[°]以下である。チップ35の角度αが25[°]以上45[°]以下に定められることにより、氷上制動性能及び氷上旋回性能の両方が更に向上することが分かる。
実施例3は、第2ベルト領域B2の角度αが第1ベルト領域B1の角度αよりも小さい。実施例9は、第2ベルト領域B2の角度αが第1ベルト領域B1の角度αよりも大きい。実施例3及び実施例9の両方とも、氷上制動性能及び氷上旋回性能は高い。実施例9は、実施例3に比べて、氷上制動性能及び氷上旋回性能がバランス良く向上しており、氷上制動性能及び氷上旋回性能の両立が実現されていることが分かる。
実施例5、実施例6、及び実施例7は、第2ベルト領域B2の角度αが40[°]である。実施例5は、第1ベルト領域B1の角度αと第2ベルト領域B2の角度αとの差が0[°]である。実施例6は、第2ベルト領域B2の角度αが第1ベルト領域B1の角度αよりも大きく、第1ベルト領域B1の角度αと第2ベルト領域B2の角度αとの差は10[°]である。実施例7は、第2ベルト領域B2の角度αが第1ベルト領域B1の角度αよりも大きく、第1ベルト領域B1の角度αと第2ベルト領域B2の角度αとの差は25[°]である。実施例6及び実施例7は、実施例5に比べて、氷上制動性能及び氷上旋回性能がバランス良く向上しており、氷上制動性能及び氷上旋回性能の両立が実現されていることが分かる。
実施例5は、チップ35が後着側に傾斜するタイヤ1である。実施例12は、チップ35が先着側に傾斜するタイヤ1である。実施例5及び実施例12の両方とも、角度αは40[°]である。実施例5及び実施例12の両方とも、氷上制動性能及び氷上旋回性能は高い。これにより、チップ35を後着側に傾斜させても、チップ35を先着側に傾斜させても、高い氷上制動性能及び氷上旋回性能が得られることが分かる。
試験結果に示すように、実施例1から実施例12のタイヤ1では、氷路面における制動性能及び旋回性能が向上することが分かる。