本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。他の構成を含むようにしてもよい。
<インクジェット記録装置>
インクジェット記録装置10について、図1及び図2を参照して説明する。インクジェット記録装置10では、記録媒体14が搬送され、記録媒体14の記録面15に画像が記録される。インクジェット記録装置10では、各種の記録媒体14を対象として画像が記録される。記録媒体14としては、例えば、布帛又は建築用資材が挙げられる。本実施形態では、記録媒体14が長尺状の布帛である場合を例に説明する。また、画像の記録に用いられるインク色は、ブラック、マゼンタ、イエロー及びシアンの4色とする。インク色は、これら以外の色であってもよい。インク色数は、3色以下又は5色以上としてもよい。図1で搬送方向の下流側に図示された記録媒体14の部分に付した網点模様は、記録媒体14に記録された画像に対応する。
インクジェット記録装置10は、図1及び図2に示すように、搬送部20と、記録部30と、移動部40と、第一タンク50K,50M,50Y,50Cと、供給流路51K,51M,51Y,51Cと、回収流路52K,52M,52Y,52Cと、ポンプ53を備える。ポンプ53は、インク色数に対応して4台設けられる。図1では、ポンプ53の図示は省略されている。搬送部20は、記録媒体14を、記録媒体14の長手方向に沿って搬送する。搬送部20によって搬送される記録媒体14は、記録部30を通過する。本実施形態では、搬送部20によって記録媒体14が搬送される方向を「搬送方向」という。搬送方向は、記録媒体14の長手方向に沿った方向であって、記録媒体14の短手方向に直交する方向である。記録媒体14の短手方向は、記録媒体14の幅方向であって、後述するように記録部30が移動部40により往復移動される方向(主走査方向)に一致する。本実施形態では、搬送方向及びこれと反対方向を、記録媒体14の長手方向に準じ「長手方向」という。なお、搬送方向及びこれと反対方向は、前述した主走査方向に対して「副走査方向」と称されることもある。搬送方向及びこれと反対方向のそれぞれに直交する方向を、記録媒体14の短手方向に準じ「短手方向」という。
記録部30は、インクジェットヘッド31K,31M,31Y,31Cと、キャリッジ34を備える。インクジェットヘッド31Kは、ブラックインクを吐出し、ブラックインクにより画像を記録するインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド31Kには、ブラックインクを吐出するノズル32が複数形成される。インクジェットヘッド31Mは、マゼンタインクを吐出し、マゼンタインクにより画像を記録するインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド31Mには、マゼンタインクを吐出するノズル32が複数形成される。インクジェットヘッド31Yは、イエローインクを吐出し、イエローインクにより画像を記録するインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド31Yには、イエローインクを吐出するノズル32が複数形成される。インクジェットヘッド31Cは、シアンインクを吐出し、シアンインクにより画像を記録するインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド31Cには、シアンインクを吐出するノズル32が複数形成される。
インクジェットヘッド31K,31M,31Y,31Cは、同様の構成を有する。本実施形態では、インクジェットヘッド31K,31M,31Y,31Cを区別せず、又は、これらを総称する場合、「インクジェットヘッド31」という。
各色用のインクジェットヘッド31は、複数のヘッドユニット60により形成される(図2参照)。インクジェットヘッド31は、長手方向に配列された一群のヘッドユニット60を、短手方向に複数配列して形成される。短手方向の一方側(例えば、「第一側」 図1参照)で長手方向に配列された複数のヘッドユニット60による第一ユニット列と、短手方向の他方側(例えば、「第二側」 図1参照)で長手方向に配列された複数のヘッドユニット60による第二ユニット列は、図2に示すように、長手方向に所定量だけずれた状態で配置される。第一ユニット列又は第二ユニット列で、2個のヘッドユニット60が長手方向に隣り合う領域には、ノズル32が存在しない長手方向の領域が形成される。第一ユニット列と第二ユニット列を長手方向にずらして設けることで、一方のユニット列においてノズル32が存在しない長手方向の領域に対応させて、他方のユニット列を形成するヘッドユニット60のノズル32を重畳配置することができる。
図2では、長手方向に5個のヘッドユニット60を配列して1列のユニット列とし、このユニット列を短手方向に2列設けた構成としているが、このような構成は例示である。長手方向に配列させるヘッドユニット60の数と短手方向におけるユニット列の数は、図2とは異なる数としてもよい。ヘッドユニット60に関するこの他の説明は後述する。
キャリッジ34には、インクジェットヘッド31K,31M,31Y,31Cが所定の位置に位置決めされた状態でそれぞれ搭載される。インクジェットヘッド31K,31M,31Y,31Cは、図1に示すように、短手方向に隣り合った状態でキャリッジ34に搭載される。各色用のインクジェットヘッド31の配列順序は、図1とは異なる順序としてもよい。これらの配列順序は、諸条件を考慮して適宜決定される。
移動部40は、記録部30を短手方向に往復移動させる。移動部40は、図1に示すように、2個のプーリ41,42と、タイミングベルト43を含む。2個のプーリ41,42は、搬送部20を基準として、短手方向の両側にそれぞれ設けられる。例えば、プーリ41には、モータ(不図示)が連結され、プーリ42は、回転自在に支持される。プーリ41は、モータの回転に伴い回転する。タイミングベルト43は、張力が作用した状態でプーリ41,42に架け渡される。タイミングベルト43には、キャリッジ34に固定された支持部46を介して記録部30が取り付けられる。
インクジェット記録装置10で画像が記録される場合、プーリ41に連結されたモータが時計回りと反時計回りに往復して回転する。そして、モータの回転に伴い、プーリ41が左右両側に往復して回転する。図1でプーリ41の内側に示す「弧状の矢印」は、プーリ41の回転方向を示す。モータが所定の方向に回転することでプーリ41が左回転すると、タイミングベルト43も左回転する。プーリ42は、左回転するタイミングベルト43に従動して回転する。これに伴い、記録部30は、短手方向の第二側から第一側に移動する。記録部30が短手方向の第一側の移動端に到達すると、モータの回転方向は反転し、プーリ41は、右回転する。プーリ41が右回転すると、タイミングベルト43も右回転する。プーリ42は、右回転するタイミングベルト43に従動して回転する。これに伴い、記録部30は、短手方向の第一側から第二側に移動する。記録部30が短手方向の第二側の移動端に到達すると、モータの回転方向は再度反転し、プーリ41は、再度左回転する。移動部40による記録部30の短手方向への往復移動は、画像の記録が終了するまで繰り返される。
第一タンク50Kは、ブラックインクを貯留するメインタンクである。供給流路51Kは、第一タンク50Kとインクジェットヘッド31Kを形成する複数のヘッドユニット60のそれぞれを繋ぐ。回収流路52Kは、インクジェットヘッド31Kを形成する複数のヘッドユニット60のそれぞれと第一タンク50Kを繋ぐ。ブラックインクは、第一タンク50Kから流出し、供給流路51Kを流れて、インクジェットヘッド31Kを形成する複数のヘッドユニット60にそれぞれ供給される。また、インクジェットヘッド31Kを形成する複数のヘッドユニット60にそれぞれ供給されたブラックインクの一部は、各ヘッドユニット60から流出し、回収流路52Kを流れて、第一タンク50Kに回収される。第一タンク50Mは、マゼンタインクを貯留するメインタンクである。供給流路51Mは、第一タンク50Mとインクジェットヘッド31Mを形成する複数のヘッドユニット60のそれぞれを繋ぐ。回収流路52Mは、インクジェットヘッド31Mを形成する複数のヘッドユニット60のそれぞれと第一タンク50Mを繋ぐ。マゼンタインクは、第一タンク50Mから流出し、供給流路51Mを流れて、インクジェットヘッド31Mを形成する複数のヘッドユニット60にそれぞれ供給される。また、インクジェットヘッド31Mを形成する複数のヘッドユニット60にそれぞれ供給されたマゼンタインクの一部は、各ヘッドユニット60から流出し、回収流路52Mを流れて、第一タンク50Mに回収される。
第一タンク50Yは、イエローインクを貯留するメインタンクである。供給流路51Yは、第一タンク50Yとインクジェットヘッド31Yを形成する複数のヘッドユニット60のそれぞれを繋ぐ。回収流路52Yは、インクジェットヘッド31Yを形成する複数のヘッドユニット60のそれぞれと第一タンク50Yを繋ぐ。イエローインクは、第一タンク50Yから流出し、供給流路51Yを流れて、インクジェットヘッド31Yを形成する複数のヘッドユニット60にそれぞれ供給される。また、インクジェットヘッド31Yを形成する複数のヘッドユニット60にそれぞれ供給されたイエローインクの一部は、各ヘッドユニット60から流出し、回収流路52Yを流れて、第一タンク50Yに回収される。第一タンク50Cは、シアンインクを貯留するメインタンクである。供給流路51Cは、第一タンク50Cとインクジェットヘッド31Cを形成する複数のヘッドユニット60のそれぞれを繋ぐ。回収流路52Cは、インクジェットヘッド31Cを形成する複数のヘッドユニット60のそれぞれと第一タンク50Cを繋ぐ。シアンインクは、第一タンク50Cから流出し、供給流路51Cを流れて、インクジェットヘッド31Cを形成する複数のヘッドユニット60にそれぞれ供給される。また、インクジェットヘッド31Cを形成する複数のヘッドユニット60にそれぞれ供給されたシアンインクの一部は、各ヘッドユニット60から流出し、回収流路52Cを流れて、第一タンク50Cに回収される。
図1では、供給流路51K,51M,51Y,51C及び回収流路52K,52M,52Y,52Cの図示を簡略化している。供給流路51K,51M,51Y,51C及び回収流路52K,52M,52Y,52Cは、記録部30の短手方向への往復移動に対応可能な状態で設けられる。本実施形態では、第一タンク50K,50M,50Y,50Cを区別せず、又は、これらを総称する場合、「第一タンク50」という。供給流路51K,51M,51Y,51Cを区別せず、又は、これらを総称する場合、「供給流路51」という。回収流路52K,52M,52Y,52Cを区別せず、又は、これらを総称する場合、「回収流路52」という。各色用の供給流路51は、インクジェットヘッド31を形成する複数のヘッドユニット60のそれぞれにインクを分配する構成を含むようにしてもよい。各色用の回収流路52は、インクジェットヘッド31を形成する複数のヘッドユニット60のそれぞれからのインクを合流させる構成を含むようにしてもよい。
4台のポンプ53は、各色用の供給流路51の途中にそれぞれ1台ずつ設けられる(図2参照)。各色用の供給流路51にそれぞれ設けられた各ポンプ53は、各色のインクを送液する。ポンプ53によって送液されたインクは、第一タンク50からインクジェットヘッド31を形成する複数のヘッドユニット60に供給され、各ヘッドユニット60の内部を流れ、複数のヘッドユニット60から第一タンク50に回収される。各色用のポンプ53の駆動により、各色のインクは送液され、これに伴い、循環される。
インクジェット記録装置10で、記録部30を短手方向に往復移動させて記録媒体14に画像が記録される場合、記録媒体14は、搬送部20によって搬送方向に搬送される。搬送部20による記録媒体14の搬送は、記録部30の短手方向への移動に応じて間欠的に行われる。各色のインクは、記録部30が短手方向に移動している所定のタイミングで、インクジェットヘッド31K,31M,31Y,31Cにそれぞれ形成されたノズル32から、記録媒体14に向けて吐出される。インクジェットヘッド31K,31M,31Y,31Cの各ノズル32から吐出された各色のインクは、記録媒体14の記録面15に着弾する。着弾した各色のインクにより記録媒体14の記録面15に画像が記録される。記録媒体14の記録面15は、記録媒体14が記録部30を通過する際、各色用のインクジェットヘッド31の吐出面35(図6参照)と対向する面である。吐出面35は、各色用のインクジェットヘッド31でノズル32が形成された面である。
<ヘッドユニット>
ヘッドユニット60について、図2〜図6を参照して説明する。インクジェットヘッド31K,31M,31Y,31Cは、同一のヘッドユニット60(図3参照)を、図2に示すように配置して形成される。従って、以下では、インク色を区別することなく説明する。図4において、破線は、かくれた形状を示すかくれ線である。図6において、ハッチングは、断面された部分を示す。
ヘッドユニット60は、第二タンク62と、供給接続部64A,64B,64D,64E,64F,64Gと、第三タンク66と、回収接続部68A,68B,68D,68E,68F,68Gと、流路部70を備える。ヘッドユニット60は、これら各部を適宜組み立てて形成される(図3及び図4参照)。流路部70は、ノズルプレート75と、流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gと、フレーム90を備え、これら各部を適宜組み立てて形成される(図3〜図5参照)。流路モジュール80Aには供給口81A及び回収口82Aが形成される(図4参照)。流路モジュール80Bには供給口81B及び回収口82Bが形成される(図4参照)。流路モジュール80Dには供給口81D及び回収口82Dが形成される(図4参照)。流路モジュール80Eには供給口81E及び回収口82Eが形成される(図4参照)。流路モジュール80Fには供給口81F及び回収口82Fが形成される(図4参照)。流路モジュール80Gには供給口81G及び回収口82Gが形成される(図4参照)。流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gに関するこの他の説明は後述する。
第二タンク62は、供給流路51に接続される(図2参照)。第二タンク62は、供給流路51を介して第一タンク50から供給されたインクを貯留する供給側のサブタンクである。第二タンク62は、1個のヘッドユニット60に1個設けられる。換言すれば、第二タンク62は、6個の流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gに対して1個設けられる。第二タンク62はフィルタ65を備える(図4及び図6参照)。図4及び図6において、フィルタ65には水玉模様を付している。第二タンク62の内部は、フィルタ65によって鉛直方向に2個の空間に隔てられる。フィルタ65は、インクに含まれる不純物を除去する。供給流路51を流れて第二タンク62に供給されたインクは、鉛直方向の上側の空間からフィルタ65を通過して下側の空間に移動する。
第二タンク62の底部には、流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gにそれぞれ形成された供給口81A,81B,81D,81E,81F,81Gに対応する6個の流出口63A,63B,63D,63E,63F,63Gが形成される(図4及び図6参照)。第二タンク62は、流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gの供給口81A,81B,81D,81E,81F,81Gの側に設けられる。このとき、第二タンク62は、流出口63A,63B,63D,63E,63F,63Gと供給口81A,81B,81D,81E,81F,81Gがそれぞれ向かい合った状態で、流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gの上方に設けられる(図3、図4及び図6参照)。
供給接続部64Aは、第二タンク62の流出口63Aと流路モジュール80Aの供給口81Aを繋ぐ(図3、図4及び図6参照)。第二タンク62に貯留されたインクは、第二タンク62の流出口63Aから流出し、供給接続部64Aを流れ、供給口81Aを通過して流路モジュール80Aに供給される。供給接続部64Bは、第二タンク62の流出口63Bと流路モジュール80Bの供給口81Bを繋ぐ(図3、図4及び図6参照)。第二タンク62に貯留されたインクは、第二タンク62の流出口63Bから流出し、供給接続部64Bを流れ、供給口81Bを通過して流路モジュール80Bに供給される。供給接続部64Dは、第二タンク62の流出口63Dと流路モジュール80Dの供給口81Dを繋ぐ(図3、図4及び図6参照)。第二タンク62に貯留されたインクは、第二タンク62の流出口63Dから流出し、供給接続部64Dを流れ、供給口81Dを通過して流路モジュール80Dに供給される。
供給接続部64Eは、第二タンク62の流出口63Eと流路モジュール80Eの供給口81Eを繋ぐ(図3、図4及び図6参照)。第二タンク62に貯留されたインクは、第二タンク62の流出口63Eから流出し、供給接続部64Eを流れ、供給口81Eを通過して流路モジュール80Eに供給される。供給接続部64Fは、第二タンク62の流出口63Fと流路モジュール80Fの供給口81Fを繋ぐ(図3、図4及び図6参照)。第二タンク62に貯留されたインクは、第二タンク62の流出口63Fから流出し、供給接続部64Fを流れ、供給口81Fを通過して流路モジュール80Fに供給される。供給接続部64Gは、第二タンク62の流出口63Gと流路モジュール80Gの供給口81Gを繋ぐ(図3、図4及び図6参照)。第二タンク62に貯留されたインクは、第二タンク62の流出口63Gから流出し、供給接続部64Gを流れ、供給口81Gを通過して流路モジュール80Gに供給される。
第三タンク66は、回収流路52に接続される(図2参照)。第三タンク66は、第二タンク62から流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gに供給され、ノズル32から吐出されずに流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gのそれぞれから流出するインクを貯留する回収側のサブタンクである。第三タンク66は、1個のヘッドユニット60に1個設けられる。換言すれば、第三タンク66は、6個の流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gに対して1個設けられる。第三タンク66の底部には、流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gにそれぞれ形成された回収口82A,82B,82D,82E,82F,82Gに対応する6個の流入口67A,67B,67D,67E,67F,67Gが形成される(図4参照)。第三タンク66は、流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gの回収口82A,82B,82D,82E,82F,82Gの側に設けられる。このとき、第三タンク66は、流入口67A,67B,67D,67E,67F,67Gと回収口82A,82B,82D,82E,82F,82Gがそれぞれ向かい合った状態で、流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gの上方に設けられる(図3及び図4参照)。第三タンク66に貯留されたインクは、回収流路52を流れて第一タンク50に回収される。
第二タンク62と第三タンク66は、フィルタ65の有無を除き、同様の形状としてもよい。例えば、第二タンク62の内部の空間の寸法(幅×奥行き×高さ)と第三タンク66の内部の空間の寸法は同一の寸法に設定される。第二タンク62と第三タンク66は、同等量のインクを貯留することができる。
回収接続部68Aは、流路モジュール80Aの回収口82Aと第三タンク66の流入口67Aを繋ぐ(図3及び図4参照)。ノズル32A(図5及び図6参照)から吐出されることなく流路モジュール80Aから流出するインクは、流路モジュール80Aの回収口82Aから流出し、回収接続部68Aを流れ、流入口67Aを通過して第三タンク66に回収される。回収接続部68Bは、流路モジュール80Bの回収口82Bと第三タンク66の流入口67Bを繋ぐ(図3及び図4参照)。ノズル32B(図5及び図6参照)から吐出されることなく流路モジュール80Bから流出するインクは、流路モジュール80Bの回収口82Bから流出し、回収接続部68Bを流れ、流入口67Bを通過して第三タンク66に回収される。回収接続部68Dは、流路モジュール80Dの回収口82Dと第三タンク66の流入口67Dを繋ぐ(図3及び図4参照)。ノズル32D(図5及び図6参照)から吐出されることなく流路モジュール80Dから流出するインクは、流路モジュール80Dの回収口82Dから流出し、回収接続部68Dを流れ、流入口67Dを通過して第三タンク66に回収される。
回収接続部68Eは、流路モジュール80Eの回収口82Eと第三タンク66の流入口67Eを繋ぐ(図3及び図4参照)。ノズル32E(図5及び図6参照)から吐出されることなく流路モジュール80Eから流出するインクは、流路モジュール80Eの回収口82Eから流出し、回収接続部68Eを流れ、流入口67Eを通過して第三タンク66に回収される。回収接続部68Fは、流路モジュール80Fの回収口82Fと第三タンク66の流入口67Fを繋ぐ(図3及び図4参照)。ノズル32F(図5及び図6参照)から吐出されることなく流路モジュール80Fから流出するインクは、流路モジュール80Fの回収口82Fから流出し、回収接続部68Fを流れ、流入口67Fを通過して第三タンク66に回収される。回収接続部68Gは、流路モジュール80Gの回収口82Gと第三タンク66の流入口67Gを繋ぐ(図3及び図4参照)。ノズル32G(図5及び図6参照)から吐出されることなく流路モジュール80Gから流出するインクは、流路モジュール80Gの回収口82Gから流出し、回収接続部68Gを流れ、流入口67Gを通過して第三タンク66に回収される。
本実施形態では、流出口63A,63B,63D,63E,63F,63Gを区別せず、又は、これらを総称する場合、「流出口63」という。供給接続部64A,64B,64D,64E,64F,64Gを区別せず、又は、これらを総称する場合、「供給接続部64」という。流入口67A,67B,67D,67E,67F,67Gを区別せず、又は、これらを総称する場合、「流入口67」という。回収接続部68A,68B,68D,68E,68F,68Gを区別せず、又は、これらを総称する場合、「回収接続部68」という。
供給接続部64A,64B,64D,64E,64F,64Gは鉛直方向に沿って設けられ、供給接続部64A,64B,64D,64E,64F,64Gの各流路長はL1に設定される(図4参照)。回収接続部68A,68B,68D,68E,68F,68Gは鉛直方向に沿って設けられ、回収接続部68A,68B,68D,68E,68F,68Gの各流路長はL2に設定される(図4参照)。供給接続部64の流路長L1と回収接続部68の流路長L2は、例えば、「流路長L1=流路長L2」とされる。この場合、第二タンク62と第三タンク66の鉛直方向の各位置は、同一の高さとなる。流路長L1,L2は、例えば、200mm程度以下に設定される。例えば、流路長L1,L2は、50mm〜100mmの範囲内の同一寸法に設定される。流路長L1,L2の各寸法は、諸条件を考慮して前述した範囲内の所定の値に適宜設定される。流路長L1と流路長L2は、異なる寸法としてもよい。供給接続部64の流出口63への接続と供給接続部64の供給口81への接続は、所定の継手(不図示)を介して行うようにしてもよい。回収接続部68の流入口67への接続と回収接続部68の回収口82への接続は、所定の継手(不図示)を介して行うようにしてもよい。
ノズルプレート75は、例えば、0.02mm〜1mm程度の板厚の薄板により形成される。ノズルプレート75には、インクを吐出する複数のノズル32が形成される(図5参照)。ノズルプレート75に形成された複数のノズル32は、ノズル群33Aを形成する複数のノズル32Aと、ノズル群33Bを形成する複数のノズル32Bと、ノズル群33Dを形成する複数のノズル32Dと、ノズル群33Eを形成する複数のノズル32Eと、ノズル群33Fを形成する複数のノズル32Fと、ノズル群33Gを形成する複数のノズル32Gにそれぞれ分類される。ノズル群33Aは流路モジュール80Aに対応し、ノズル群33Bは流路モジュール80Bに対応し、ノズル群33Dは流路モジュール80Dに対応する。ノズル群33Eは流路モジュール80Eに対応し、ノズル群33Fは流路モジュール80Fに対応し、ノズル群33Gは流路モジュール80Gに対応する。
ノズル群33A,33B,33D,33E,33F,33Gのそれぞれにおいて、複数のノズル32A,32B,32D,32E,32F,32Gは、例えば、千鳥状に配置される(図5参照)。但し、図5に示すようなノズル32A,32B,32D,32E,32F,32Gの配置は例示であり、これとは異なる配置としてもよい。本実施形態において、「ノズル32」は、ノズル32A,32B,32D,32E,32F,32Gの何れかであり、又は、これらを総称するものである。本実施形態では、ノズル群33A,33B,33D,33E,33F,33Gを区別せず、又は、これらを総称する場合、「ノズル群33」という。ノズルプレート75には、位置決め孔76が形成される。位置決め孔76は、例えば、4つの角部のうち、対角位置となる2つの角部の内側にそれぞれ形成される(図5参照)。
流路モジュール80Aは、供給接続部64Aを介して第二タンク62から供給口81Aを通過して供給されるインクをノズル群33Aの複数のノズル32Aにそれぞれ流し、各ノズル32Aからインクを吐出させるモジュールである。ノズル32Aから吐出されないインクは、回収口82Aから回収接続部68Aに流出する。流路モジュール80Bは、供給接続部64Bを介して第二タンク62から供給口81Bを通過して供給されるインクをノズル群33Bの複数のノズル32Bにそれぞれ流し、各ノズル32Bからインクを吐出させるモジュールである。ノズル32Bから吐出されないインクは、回収口82Bから回収接続部68Bに流出する。流路モジュール80Dは、供給接続部64Dを介して第二タンク62から供給口81Dを通過して供給されるインクをノズル群33Dの複数のノズル32Dにそれぞれ流し、各ノズル32Dからインクを吐出させるモジュールである。ノズル32Dから吐出されないインクは、回収口82Dから回収接続部68Dに流出する。
流路モジュール80Eは、供給接続部64Eを介して第二タンク62から供給口81Eを通過して供給されるインクをノズル群33Eの複数のノズル32Eにそれぞれ流し、各ノズル32Eからインクを吐出させるモジュールである。ノズル32Eから吐出されないインクは、回収口82Eから回収接続部68Eに流出する。流路モジュール80Fは、供給接続部64Fを介して第二タンク62から供給口81Fを通過して供給されるインクをノズル群33Fの複数のノズル32Fにそれぞれ流し、各ノズル32Fからインクを吐出させるモジュールである。ノズル32Fから吐出されないインクは、回収口82Fから回収接続部68Fに流出する。流路モジュール80Gは、供給接続部64Gを介して第二タンク62から供給口81Gを通過して供給されるインクをノズル群33Gの複数のノズル32Gにそれぞれ流し、各ノズル32Gからインクを吐出させるモジュールである。ノズル32Gから吐出されないインクは、回収口82Gから回収接続部68Gに流出する。
流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gは、同様の構成を有する。本実施形態では、流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gを区別せず、又は、これらを総称する場合、「流路モジュール80」という。本実施形態において、「供給口81」は、供給口81A,81B,81D,81E,81F,81Gの何れかであり、又は、これらを総称するものである。「回収口82」は、回収口82A,82B,82D,82E,82F,82Gの何れかであり、又は、これらを総称するものである。
流路モジュール80には、上述した供給口81と回収口82の他、内部に内部流路83が形成される(図6参照)。内部流路83は、本流部84と複数の支流部85を含む。本流部84は、供給口81と回収口82を繋ぐ。複数の支流部85は、本流部84からそれぞれ分岐し、対応するノズル群33の複数のノズル32にそれぞれ繋がる。即ち、本流部84と複数の支流部85を含む内部流路83は、ヘッドユニット60として組み立てられた状態(図3参照)において、供給口81と、回収口82と、対応するノズル群33の複数のノズル32のそれぞれを繋ぐ。供給接続部64から供給口81を通過して流路モジュール80に流入したインクは、内部流路83の本流部84を回収口82の側に流れる。本流部84を流れるインクの一部は、各支流部85への分岐位置で、各ノズル32へと繋がる支流部85の側へ流れて、ノズル32に到達する。支流部85の側へ流れることなく、本流部84をそのまま流れ、回収口82に到達したインクは、回収口82を通過して回収接続部68へと流出する。
流路モジュール80は、複数の駆動素子86を備える(図3〜図6参照)。複数の駆動素子86は、複数のノズル32へとそれぞれ繋がる各支流部85に複数のノズル32のそれぞれに対応して設けられる。各ノズル群33において複数のノズル32を千鳥状に配置した本実施形態では、駆動素子86は、鉛直方向の上側となる流路モジュール80の面で、短手方向の両側にそれぞれ複数設けられる(図3〜図6参照)。駆動素子86は、ノズル32からインクを吐出させる駆動部である。駆動素子86としては、ピエゾ素子又はヒータが例示される。ピエゾ素子又はヒータのような駆動素子86の駆動を介したインクの吐出は、公知のインクジェット記録装置と同様に行われる。
長手方向の両側となる流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gの各鍔状部分には、位置決め孔87A,87B,87D,87E,87F,87Gと取付孔88A,88B,88D,88E,88F,88Gがそれぞれ形成される(図5参照)。
フレーム90は、ノズルプレート75と流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gを接続する。フレーム90を介して接続されたノズルプレート75と各流路モジュール80は、図6に示すような状態となる。ノズルプレート75は、鉛直方向の下側となるフレーム90の端面に取り付けられる(図3参照)。ノズルプレート75のフレーム90への取り付けには、例えば、接着剤が用いられ、ノズルプレート75は、フレーム90に固定される。鉛直方向の下側となるフレーム90の端面には、位置決めピン91が設けられる。位置決めピン91は、例えば、図5に示すように、4つの角部のうち、対角位置となる2つの角部の内側にそれぞれ形成される。ノズルプレート75は、2個の位置決め孔76と2本の位置決めピン91が嵌め合わされた状態でフレーム90に取り付けられる。
フレーム90には、開口部92,93が形成される(図5参照)。開口部92,93は、鉛直方向に貫通し、短手方向に隣り合った状態で形成される。開口部92には、流路モジュール80A,80B,80Dが装着され、開口部93には、流路モジュール80E,80F,80Gが装着される。鉛直方向の上側となるフレーム90の端面において、開口部92の開口縁部のうち、長手方向の両側で短手方向に沿った2つの開口縁部には、3本の位置決めピン94A,94B,94D(合計6本)がそれぞれ設けられ、3個のねじ孔95A,95B,95D(合計6個)がそれぞれ形成される(図5参照)。前述した短手方向に沿った開口部92の各開口縁部で、位置決めピン94A及びねじ孔95Aと位置決めピン94B及びねじ孔95Bと位置決めピン94D及びねじ孔95Dは、短手方向に一定の間隔で設けられる。
鉛直方向の上側となるフレーム90の端面において、開口部93の開口縁部のうち、長手方向の両側で短手方向に沿った2つの開口縁部には、3本の位置決めピン94E,94F,94G(合計6本)がそれぞれ設けられ、3個のねじ孔95E,95F,95G(合計6個)がそれぞれ形成される(図5参照)。前述した短手方向に沿った開口部93の各開口縁部で、位置決めピン94E及びねじ孔95Eと位置決めピン94F及びねじ孔95Fと位置決めピン94G及びねじ孔95Gは、短手方向に一定の間隔で設けられる。
流路モジュール80Aは、長手方向の各側で位置決め孔87Aと位置決めピン94Aが嵌め合わされた状態で開口部92に装着される(図3参照)。そして、流路モジュール80Aは、2個の取付孔88Aにそれぞれ挿入されねじ孔95Aにねじ込まれた2本のねじ96によってフレーム90に取り付けられる(図3参照)。流路モジュール80Bは、長手方向の各側で位置決め孔87Bと位置決めピン94Bが嵌め合わされた状態で開口部92に装着される(図3参照)。そして、流路モジュール80Bは、2個の取付孔88Bにそれぞれ挿入されねじ孔95Bにねじ込まれた2本のねじ96によってフレーム90に取り付けられる(図3参照)。流路モジュール80Dは、長手方向の各側で位置決め孔87Dと位置決めピン94Dが嵌め合わされた状態で開口部92に装着される(図3参照)。そして、流路モジュール80Dは、2個の取付孔88Dにそれぞれ挿入されねじ孔95Dにねじ込まれた2本のねじ96によってフレーム90に取り付けられる(図3参照)。
流路モジュール80Eは、長手方向の各側で位置決め孔87Eと位置決めピン94Eが嵌め合わされた状態で開口部93に装着される(図3参照)。そして、流路モジュール80Eは、2個の取付孔88Eにそれぞれ挿入されねじ孔95Eにねじ込まれた2本のねじ96によってフレーム90に取り付けられる(図3参照)。流路モジュール80Fは、長手方向の各側で位置決め孔87Fと位置決めピン94Fが嵌め合わされた状態で開口部93に装着される(図3参照)。そして、流路モジュール80Fは、2個の取付孔88Fにそれぞれ挿入されねじ孔95Fにねじ込まれた2本のねじ96によってフレーム90に取り付けられる(図3参照)。流路モジュール80Gは、長手方向の各側で位置決め孔87Gと位置決めピン94Gが嵌め合わされた状態で開口部93に装着される(図3参照)。そして、流路モジュール80Gは、2個の取付孔88Gにそれぞれ挿入されねじ孔95Gにねじ込まれた2本のねじ96によってフレーム90に取り付けられる(図3参照)。
流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gは、流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gをフレーム90にそれぞれ取り付けるねじ96を取り外すことで、フレーム90から個別に取り外すことができる。
<本実施形態の効果>
本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)インクジェットヘッド31を複数のヘッドユニット60で形成することとした(図2参照)。ヘッドユニット60は、第二タンク62と、複数の供給接続部64と、第三タンク66と、複数の回収接続部68と、流路部70を備える(図3参照)。流路部70は、ノズルプレート75と、複数の流路モジュール80と、フレーム90により形成される(図3〜図6参照)。ノズルプレート75と複数の流路モジュール80は、フレーム90に取り付けられ、フレーム90を介して接続される(図3、図5及び図6参照)。その際、複数の流路モジュール80は、ねじ96によりフレーム90に対して着脱自在に取り付けられる(図3参照)。ノズルプレート75には、複数のノズル群33に分類させた状態で複数のノズル32が形成される(図5参照)。流路モジュール80には、供給口81と回収口82と内部流路83が形成される。内部流路83は、本流部84と複数の支流部85を含む。本流部84は、供給口81と回収口82を繋ぐ。複数の支流部85は、本流部84からそれぞれ分岐し、対応するノズル群33の複数のノズル32にそれぞれ繋がる。流路モジュール80では、複数のノズル32へとそれぞれ繋がる各支流部85に複数のノズル32のそれぞれに対応して複数の駆動素子86が設けられる(図3〜図6参照)。第二タンク62は、複数の流出口63と複数の供給口81がそれぞれ向かい合った状態で、複数の流路モジュール80の上方に設けられる(図3、図4及び図6参照)。第三タンク66は、複数の流入口67と複数の回収口82がそれぞれ向かい合った状態で、複数の流路モジュール80の上方に設けられる(図3及び図4参照)。第一タンク50と第二タンク62は供給流路51を介して繋がり、第三タンク66と第一タンク50は回収流路52を介して繋がる(図2参照)。第二タンク62と複数の流路モジュール80は複数の供給接続部64を介して繋がり、複数の流路モジュール80と第三タンク66は複数の回収接続部68を介して繋がる(図3参照)。
そのため、供給流路51を介して第一タンク50から第二タンク62にインクを供給し、第二タンク62に貯留されたインクを複数の供給接続部64を介して複数の流路モジュール80に供給し、第二タンク62から各流路モジュール80に供給されたインクのうち、ノズル32から吐出されないインクを複数の回収接続部68を介して第三タンク66に回収し、第三タンク66に貯留されたインクを回収流路52を介して第一タンク50に回収することができる。インクを循環させることができる。多量のインク消費にも対応することができる。第二タンク62と第三タンク66をコンパクトに配置することができる。複数の流路モジュール80に対して1個の第二タンク62からインクを供給し、複数の流路モジュール80から1個の第三タンク66にインクを回収することができる。複数の流路モジュール80のそれぞれに対して第二タンク62及び第三タンク66に相当する各タンクを設けた構成と比較し、シンプルなヘッドユニット60とすることができる。インクジェットヘッド31を小型化することができる。小型のインクジェットヘッド31により、インクジェット記録装置10の小型化を実現することができる。
ノズルプレート75と複数の流路モジュール80はフレーム90を介して接続されるため、これらを、例えば、接着剤又はねじによって直接接続する必要がない。複数の流路モジュール80を個別に取り替えることができる。例えば、流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gのうち、流路モジュール80Aが故障した場合、フレーム90から故障した流路モジュール80Aを取り外し、新たな流路モジュール80Aをフレーム90に取り付けるといった作業により、流路モジュール80Aのみを交換することができる。また、流路モジュール80A,80Fが故障した場合、フレーム90から故障した流路モジュール80A,80Fを取り外し、新たな流路モジュール80A,80Fをフレーム90に取り付けるといった作業により、流路モジュール80A,80Fのみを交換することができる。故障の際のメンテナンス性を向上させることができる。
(2)第二タンク62にフィルタ65を設けることとした(図4及び図6参照)。そのため、各流路モジュール80への不純物の混入を抑制することができる。不純物に起因したノズル詰まり又は吐出異常を抑制することができる。
(3)上記では説明を省略したが、インクジェット記録装置10は減圧装置(不図示)に接続される。例えば、インクジェット記録装置10では、第二タンク62が減圧装置に接続され、第二タンク62の内部は減圧された状態とされる。これにより、ノズル32にはメニスカスが形成される。第二タンク62と第三タンク66では、内部の空間の寸法が同一とされる。複数の供給接続部64と複数の回収接続部68は全て鉛直方向に沿って設けられ、その流路長L1,L2は同一とされる。その結果、第二タンク62と第三タンク66は、鉛直方向の位置が同じ高さとなる(図3参照)。そのため、第二タンク62に貯留されたインクの液面の高さと第三タンク66に貯留された液面の高さをコントロールし、安定したメニスカスを形成することができる。流路長L1,L2を200mm程度以下とすることで、流路長L1,L2が異なる場合であっても、第二タンク62と第三タンク66の両液面の高さをコントロールし、安定したメニスカスを形成することができる。
<変形例>
本実施形態は、次のようにすることもできる。以下に示す変形例のうちの幾つかの構成は、適宜組み合わせて採用することもできる。以下では上記とは異なる点を説明することとし、同様の点についての説明は適宜省略する。
(1)上記では、複数のヘッドユニット60により形成されるインクジェットヘッド31K,31M,31Y,31Cを含む記録部30を移動部40により短手方向に往復移動させて画像の記録を行うインクジェット記録装置10を例に説明した(図1及び図2参照)。ヘッドユニット60(図3参照)は、インクジェット記録装置の記録部がライン型のインクジェットヘッドを備える場合にも採用することができる。ライン型のインクジェットヘッドでは、短手方向に各色のインクを吐出するノズル32が配列される。例えば、ライン型のインクジェットヘッドでは、ノズル32は、短手方向において、記録媒体14の幅W3(図1参照)以上の範囲に形成される。
例えば、ライン型のインクジェットヘッドは、短手方向に配列された一群のヘッドユニット60を、長手方向に複数配列して形成される。長手方向の一方側(例えば、搬送方向の上流側)で短手方向に配列された複数のヘッドユニット60による第一ユニット列と、長手方向の他方側(例えば、搬送方向の下流側)で短手方向に配列された複数のヘッドユニット60による第二ユニット列は、短手方向に所定量だけずれた状態で配置される。このような配置は、上記同様、ノズル32が存在しない短手方向の領域をなくすためである。ライン型のインクジェットヘッドによる記録部を備えるインクジェット記録装置では、移動部40及び支持部46は省略される。搬送部20による記録媒体14の搬送は、連続的に行われる。
(2)上記では、第二タンク62がフィルタ65を備え、第三タンク66はフィルタを備えない構成を例に説明した。第三タンクにフィルタを設けるようにしてもよい。また、第二タンクにおいてフィルタ65は省略するようにしてもよい。このような場合、第二タンクと第三タンクは、同一のタンクにより構成される。インクジェット記録装置を構成する部品点数を少なくすることができる。インクジェット記録装置の管理が容易になる。例えば、ヘッドユニットを組み立てるとする。作業者は、所定の1個のタンクが第二タンクであるか第三タンクであるかに留意することなく、組立作業を行うことができる。第二タンク又は第三タンクとなり得るタンクには、所定の位置に複数の流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gの供給口81A,81B,81D,81E,81F,81G又は回収口82A,82B,82D,82E,82F,82Gに対応した6個の開口が形成される。このタンクが第二タンクとされる場合、前述した6個の開口は流出口63A,63B,63D,63E,63F,63Gとなる。このタンクが第三タンクとされる場合、前述した6個の開口は流入口67A,67B,67D,67E,67F,67Gとなる。また、第二タンク又は第三タンクとなり得るタンクには、供給流路51又は回収流路52に繋がる開口が、例えば上記同様に形成される(図3参照)。第二タンクがフィルタ65を備えない場合、例えば、ポンプ53と第二タンクの間の供給流路51の部分に、フィルタを含む構成を設けるようにしてもよい。
(3)上記では、1個のヘッドユニット60が備える流路部70を、ノズルプレート75と、流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gと、フレーム90により形成することとした(図3〜図6参照)。また、フレーム90に2個の開口部92,93を形成することとした(図5参照)。流路部における流路モジュールの個数は、6個とは異なる数としてもよい。例えば、1個の流路モジュールにより流路部を形成するようにしてもよい。この場合、フレームには、1個の流路モジュールに対応して開口部が1個形成される。この他、2個の流路モジュールにより流路部を形成するようにしてもよい。この場合、フレームには、2個の流路モジュールに対応して開口部が形成される。複数の流路モジュールとする場合、開口部の個数は、諸条件を考慮して適宜決定される。流路部は、フレームを介さず、ノズルプレートと1個又は複数個の流路モジュールを所定の方法で直接接続した構成としてもよい。例えば、メンテナンス性が特に問題とならない場合、このような構成としてもよい。
(4)上記では、インクを送液する送液部としてポンプ53を例に説明した(図2参照)。インクの送液は、例えば、第一タンク50の内部を加圧して行うようにしてもよい。このような加圧を利用したインクの送液は、公知のインクジェット記録装置においても実用化されている。従って、これに関する説明は省略する。インクの送液を加圧を利用して行う場合、回収流路52の途中に、第三タンク66に貯留されたインクを第一タンク50の側に流すポンプを設けるようにしてもよい。このポンプを駆動させたインクの回収の際、第一タンク50の内部は大気開放され、大気圧とされる。
(5)インクジェット記録装置10は、上述した各部の他、第一検出部と、第二検出部を備えるようにしてもよい。第一検出部は、第二タンク62に設けられ、第二タンク62に貯留されたインクの液面を検出するセンサである。第二検出部は、第三タンク66に設けられ、第三タンク66に貯留されたインクの液面を検出するセンサである。第一検出部と第二検出部としては、公知のインクジェット記録装置において採用されている、所定のタンクに貯留されたインクの液面を検出するセンサを利用することができる。第二タンク62と第三タンク66を所定のチューブにより繋ぎ、第二タンク62の内部の空間と第三タンク66の内部の空間が連なり通じた状態とした場合、例えば、第二検出部は省略するようにしてもよい。この場合、第二タンク62の内部の空間と第三タンク66の内部の空間の圧力は等しくなり、第二タンク62に貯留されたインクの液面と第三タンク66に貯留されたインクの液面は同じ高さとなる。第一検出部により第三タンク66に貯留されたインクの液面を実質的に検出することができる。第二タンク62及び第三タンク66にそれぞれ貯留されたインクの液面を第一検出部及び第二検出部を介して検出し、又は、第二タンク62に貯留されたインクの液面を第一検出部を介して検出することで、上述したノズル32におけるメニスカスの形成を安定させることができる。第二タンク62へのインクの供給を制御することができる。第二タンク62の液面が変動し、吐出異常が発生することを抑制することができる。
(6)インクジェット記録装置10は、上述した各部の他、調整部を備えるようにしてもよい。調整部は、回収接続部68の途中に設けられ、回収接続部68を流れるインクの流量を調整する構成である。調整部は、複数の回収接続部68のそれぞれに対して設けられる。調整部としては、公知の流量調整弁が例示される。調整部により第三タンク66の側に流れるインクの量を可変することができる。インクジェット記録装置10を用いて画像の記録を行う場合、例えば、記録媒体14の種類又は画像が記録された記録媒体14により形成される製品に対する要求を考慮し、インクの種類が決定される。インクの種類が異なると、粘度が異なる。使用するインクの種類に応じて、第三タンク66の側に流れるインクの量、換言すれば、複数のノズル32の側に流れるインクの量を調整することができる。1本の供給接続部64と1個のノズル群33の複数のノズル32へと繋がる複数の支流部85と1本の回収接続部68の各流路の流路抵抗は、供給接続部64の流路抵抗が最も低く、複数の支流部85の流路抵抗(複数本の総量)が最も高くなる。回収接続部68の流路抵抗は、供給接続部64より高く、複数の支流部85より低くなる。