JP2016097460A - アクチュエータ、駆動機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】静的トルク校正装置によって、適正にトルク校正ができるアクチュエータを提供する。
【解決手段】アクチュエータは、本体ケーシングと、負荷を駆動するための駆動モータと、前記本体ケーシングに対して相対的に回転し、前記負荷に駆動力を伝達する駆動力伝達部と、第1伝達部に伝達される前記動力伝達部からの反力と第2伝達部に伝達される前記本体ケーシングからの反力に基づいてトルクを検出するトルクセンサーと、前記駆動モータを前記トルクセンサーの第1伝達部側に固定するモータ固定部と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電動モータ等のモータを駆動源とし、被駆動体の駆動トルクを検出するトルクセンサーを備えたアクチュエータ、駆動機器に関する。
モータ駆動される駆動機器としてトルク計測機器がある。トルク計測機器として、電動締付機、電動ドライバー等がある。トルク計測機器のトルク校正を行うトルク校正装置には、静的トルク校正装置と、動的トルク校正装置とがある。
電動締付機等のモータ駆動のトルク計測機器には、ひずみゲージ等のトルクセンサーが取り付けられ、検出したひずみに基づいてトルク値を求める。モータ駆動のトルク計測機器におけるトルク値の校正は、動的トルク校正装置により行うのが一般的である。
動的トルク校正装置による校正は、実際にトルク計測機器のモータを駆動した状態で、動的トルク校正装置が測定した値と、モータ駆動のトルク計測機器で検出したトルク値とを比較して行われる。
ところで、動的トルク校正装置は、静的トルク校正装置に比べて非常に高価である。このため、静的トルク校正装置によりモータ駆動のトルク計測機器の校正が行えれば、安価に校正を行える。静的トルク校正装置は、例えばトルクレンチの出力軸部が係合する入力軸部と、前記入力軸部のひずみを検出するセンサーと、前記センサーで検出したひずみに基づいてトルク値を求める演算部と、前記演算部で求めたトルク値を表示する表示部等により構成される。そして、トルクレンチを回し、当該トルクレンチのトグル機構等で構成されるトルクリミッターが動作したときにおける静的トルク校正装置の計測トルク値に基づいて当該トルクレンチの校正を行う。すなわち、トルクレンチのトルクリミッターに設定したトルク値が静的トルク校正装置の計測トルク値と比較される。
したがって、静的トルク校正装置により、トルクセンサーを備えたモータ駆動のトルク計測機器を校正する場合には、モータ駆動を行わずに校正を行うことになる。このため、モータ駆動のトルク計測機器については、校正の際に、出力軸の回転でトルクセンサーにひずみを検出させる必要がある。
また、モータ駆動のトルク計測機器は、機器ハウジングにモータが固定され、モータの出力軸が例えば遊星歯車減速機に連結され、遊星歯車減速機の出力軸にボルトが係合するソケットやねじが係合するビットが連結される。また、トルクセンサーは遊星歯車減速機のリングギアと機器ハウジングとの間に配置された部材を起歪体とし、前記起歪体に貼り付けた歪ゲージにより構成される(特許文献1)。
モータ駆動により例えばボルトを締め付ける際に、リングギアには反力(R1)が作用し、機器ハウジングにはモータの反力(R2)が作用する。したがって、起歪体には、反力(R1)とモータ反力(R2)が作用する。そして、反力R1と反力R2との和(R3)に応じて起歪体に生じたひずみを歪ゲージが検出する。
このようなモータ駆動のトルク計測機器において、実際にボルトを締め付けた時のトルクは反力R3に基づくものである。
しかし、静的トルク校正装置により、トルクセンサーを備えたモータ駆動のトルク計測機器を校正する場合には、モータは駆動されないため、モータ駆動のトルク計測機器が示すトルク値は反力R1のみに基づくことになり、実態と合わないことになる。
特開2008−110414号公報
本発明の目的は、静的トルク校正装置によって、適正にトルク校正ができるアクチュエータ、モータで駆動されるトルク計測機器等の駆動機器を提供することにある。
本発明の目的を実現するアクチュエータの第1の構成は、本体ケーシングと、被駆動体を駆動するための駆動モータと、前記本体ケーシングに対して相対的に回転し、前記被駆動体に駆動力を伝達する駆動力伝達部と、第1伝達部に伝達される前記動力伝達部からの反力と第2伝達部に伝達される前記本体ケーシングからの反力に基づいてトルクを検出するトルクセンサーと、前記駆動モータを前記トルクセンサーの第1伝達部側に固定するモータ固定部と、を有する。
本発明の目的を実現するアクチュエータの第2の構成は、上記第1の構成において、前記駆動力伝達部は、前記本体ケーシングの外側から駆動力が付与可能としている。
本発明の目的を実現するアクチュエータの第3の構成は、上記いずれかの構成において、前記駆動力伝達部は、遊星歯車遊星機構を有し、前記歯車遊星機構のリングギアに生じる反力が前記トルクセンサーの第1伝達部に伝達されることを特徴とする。
本発明の目的を実現するアクチュエータの第4の構成は、上記第3の構成において、前記本体ケーシング内に、前記遊星歯車機構と前記トルクセンサーが配置されていることを特徴とする。
本発明の目的を実現するアクチュエータの第5の構成は、上記いずれかの構成において、前記本体ケーシングと前記駆動モータとは、前後に直列的に配置することを特徴とする。
本発明の目的を実現するアクチュエータの第6の構成は、上記した第5の構成において、前記モータ固定部は、前記駆動モータの前部に固定された固定基板と、前記固定基板から前方に延出し、前記駆動モータを前記駆動モータの前方に配置した前記トルクセンサーの第1伝達部に固定されるモータ固定軸と、を有することを特徴とする。
本発明の目的を実現するアクチュエータの第7の構成は、上記した第6の構成において、前記モータ固定軸は、中空軸に形成されていて、前記駆動モータから前記動力伝達部に駆動力を伝達する動力伝達軸が隙間を有して挿通されていることを特徴とする。
本発明の目的を実現するアクチュエータの第8の構成は、上記いずれかの構成において、前記駆動力伝達部は、出力軸が本体ケーシングの前端から前方に支出していることを特徴とする。
本発明の目的を実現するアクチュエータの第9の構成は、上記いずれかの構成において、前記駆動モータは電動モータであることを特徴とする。
本発明の目的を実現する駆動機器の第1の構成は、上記したいずれかの構成のアクチュエータと、前記アクチュエータを内装する外装ハウジングと、を有し、前記アクチュエータは、駆動力伝達部のみが前記外装ハウジングに対して固定されることを特徴とする。
本発明の目的を実現する駆動機器の第2の構成は、上記駆動機器の第1の構成において、前記アクチュエータの駆動モータは、外装ハウジング内に設けたブラケットにより、前記外装ハウジングに対してモータ反力が作用しない状態に支承されることを特徴とする。
本発明の目的を実現する駆動機器の第3の構成は、上記駆動機器のいずれかの構成において、前記アクチュエータの駆動モータが電動モータの場合、前記外装ハウジングには、前記電動モータの電源であるバッテリーが装着されることを特徴とする。
本発明の目的を実現する駆動機器の第4の構成は、上記駆動機器のいずれかの構成において、前記外装ハウジングは、ストレート形状、ピストル型形状のいずれかであることを特徴とする。
本発明の目的を実現する駆動機器の第5の構成は、上記駆動機器の第4の構成において、前記アクチュエータは、先端部にL字形状のヘッド部が設けられていることを特徴とする。
本発明の目的を実現する駆動機器の第6の構成は、上記駆動機器のいずれかの構成において、前記外装ハウジングには、前記駆動力伝達部に前記本体ケーシングの外側から駆動力を付与可能とする孔部が形成されていることを特徴とする。
本発明の目的を実現する駆動機器の第7の構成は、上記駆動機器のいずれかの構成において、前記駆動機器は、トルク測定機器、動力伝達機器、ロボットアーム、マニュピュレータのいずれかであることを特徴とする。
本発明の目的を実現する駆動機器の第8の構成は、上記駆動機器のいずれかの構成において、前記トルクセンサーで検出した検出値に基づいてトルク値を求める演算部と、前記演算部で求めたトルク値を表示する表示部を有することを特徴とする。
本発明のアクチュエータによれば、例えば電動モータにより駆動力伝達部を介して被駆動体を駆動する際、トルクセンサーがモータ反力を含んでトルク値を検出するため、トルクセンサーは実際に被駆動体に加わるトルク値を検出することができる。
そして、静的トルク校正装置によりアクチュエータのトルク校正を行う際には、動力伝達部を外部からの操作で回転させれば、トルクセンサーと静的トルク校正装置に同時に負荷を与えることができる。
請求項3に係る発明によれば、負荷トルクの反力が歯車遊星機構のリングギアに生じるので、トルクセンサーの第1伝達部に反力を容易に伝達することができる。
請求項4、5に係る発明によれば、アクチュエータをコンパクト化することができる。
請求項6に係る発明によれば、駆動モータのモータ反力が外装ケーシングに伝達されることなくトルクセンサーの第1伝達部に伝達させることができる。
請求項7に係る発明によれば、モータ固定軸を利用して駆動モータの駆動力を、動力伝達軸を介して動力伝達部に伝達することができ、アクチュエータをコンパクト化することができる。
請求項8に係る発明によれば、アクチュエータの出力を出力軸という軸部材により取り出すことができる。
請求項9に係る発明によれば、電動モータの電源コードがモータ反力を本体ケーシングに伝達することは殆どないため、モータ反力の管理が容易に行える。
本発明の駆動機器としては、ナットランナー、ボルトの締め付け機等のトルク測定機器、動力伝達機器、ロボットアーム、マニュピュレータ等を例示できる。そして、これらの機器が計測する被駆動体のトルク値はモータ反力を加味しているため、実際の被駆動体を駆動する例えば締付トルクを検出することができる。そして、静的トルク校正装置によるトルク校正も容易に行うことができる。また、アクチュエータは駆動力伝達部のみを外装ハウジングに固定するだけで、駆動モータを外装ハウジングに対して固定する必要がない。
請求項11に係る発明によれば、駆動モータを安定して外装ハウジング内に保持することができる。
請求項12に係る発明によれば、コードレスの駆動機器にも適用することができる。
請求項13、14に係る発明によれば、種々の外観形状の駆動機器に適用することができる。
請求項15に係る発明によれば、静的トルク校正装置によるトルク校正が容易に行える。
請求項16に係る発明によれば、広範囲な機器に適用することができる。
請求項17に係る発明によれば、検出したトルク値を表示部で確認することができる。
本発明の第1実施形態を示すアクチュエータの断面図。 図1に示すアクチュエータのトルクセンサーの分解図。 (a)は図2のA−A矢視図、(b)は図2のB−B矢視図。 図2に示すトルクセンサーの組み立て状態を示す断面図。 本発明の第2実施形態を示すストレート型電動締付機の断面図。 本発明の第3実施形態を示すピストル型電動締付機の断面図。 本発明の第4実施形態を示すアングル型電動締付機の断面図。
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
第1実施形態
図1は本発明の第1実施形態を示すアクチュエータの断面図、図2は図1に示すアクチュエータのトルクセンサーの分解図、図3(a)は図2のA−A矢視図、図3(b)は図2のB−B矢視図、図4は図2に示すトルクセンサーの組み立て状態を示す断面図である。
本実施形態のアクチュエータ10は、電動モータ1と、動力伝達部3と、トルクセンサー5と、電動モータ1のケーシング11をトルクセンサー5に固定するモータ固定部7と、を有する。
電動モータ1の前部にトルクセンサー5を挟んで動力伝達部3を配置する。また、電動モータ1の中心軸と動力伝達部3の中心軸とトルクセンサー5の中心軸を同一軸線上に配置している。
電動モータ1は、例えばDCブラシレスモータで、円筒形状のモータケーシング11の先端部側にモータ軸12が支出されている。本実施形態において、モータケーシング11の前端部には、取り付け部13が設けられる。取り付け部13には、凹形状に形成された複数の係合凹部14が形成されている。
動力伝達部3は、本体ケーシング31と、遊星歯車減速機32と、出力軸部33とを有する。本体ケーシング31内には、遊星歯車減速機32と、トルクセンサー5と、動力伝達軸35が配置される。出力軸部33の前部は、本体ケーシング31の前端から前方に支出されている。
遊星歯車減速機32は、トルクセンサー5の前方に配置される。トルクセンサー5は遊星歯車減速機32と電動モータ1との間に配置される。
遊星歯車減速機32は、内周面に内歯321を備えた円筒形状のリングギア322と、内歯321と太陽ギア323に噛み合う複数の遊星ギア324と、複数の遊星ギア324を自転可能に支持する支持軸325を有するキャリア(ケージ)326を備える。複数の遊星ギア324は、太陽ギア323の周りに公転しながら自転する。キャリア326には、遊星歯車減速機32の軸中心線と同軸に出力軸33が設けられている。太陽ギア323は動力伝達軸35の先端部に形成される。
出力軸33には、本体ケーシング31内に存在する部分において、軸方向と直交する方向に第1貫通孔331が形成されている。また、リングギア322には、第1貫通孔331と軸方向および軸方向と直交する方向で一致する第2貫通孔327が形成されている。出力軸33の先端部には、例えばカプラー39が取り付けられ、不図示のソケット等が取り外し可能に装着される。
さらに、本体ケーシング31には、第1貫通孔331と第2貫通孔327と軸方向および軸方向と直交する方向で一致する第3貫通孔311が形成されている。本実施形態において、第3貫通孔311の内径は、第1貫通孔331と第2貫通孔327の内径よりも大径に形成している。
本実施形態において、リングギア322の前端は、遊星ギア324の軸方向の前方まで延び、この延びた部分に第2貫通孔327が形成される。またリングギア322の後端は、遊星ギア324の軸方向の後方まで延び、この延びた後方部分である後方嵌合部322bまで内歯321が形成される。
図2から図4に示すように、トルクセンサー5は、起歪体51と、歪ゲージ52とにより構成する。
起歪体51は、円盤状に形成した反力伝達部511と、円盤状に形成した反力受け部512と、弾性変形する一対の弾性変形体513a、513bとを有する。歪ゲージ52は、各弾性変形体513a、513bに貼り付けられる。
反力伝達部511と反力受け部512は、軸方向に沿って対向配置される。反力伝達部511は、軸中心部にねじ孔511aが軸方向に貫通して形成される。反力伝達部511は、リングギア322の後方嵌合部322cに嵌合する。反力伝達部511の外周部には、後方嵌合部322cの内歯321に噛み合うギア部511bが形成される。反力伝達部511は、リングギア322の後方嵌合部322cに嵌合することで、内歯321とギア部511bが噛み合い、軸回りに対してリングギア322と一体的に結合される。
反力伝達部511には、外周面から軸中心に向かって穴部511cが形成される。リングギア322の後端部には、反力伝達部511の穴部511cが臨むねじ孔部322aが形成され、ストッパーねじ322bがねじ孔部322aにねじ込まれ、ストッパーねじ322bの先端部が穴部511cに差し込まれる。このため、ストッパーねじ322bにより、反力伝達部511が軸方向後方に抜け出るのが防止される。また、反力伝達部511の外周と本体ケーシング31の内周面との間に、ベアリング36が配置される。ベアリング36により、遊星歯車減速機32を支持しつつ、リングギア322に伝わる締め付け反力が本体ケーシング31に伝わらないようにしている。
反力伝達部511のねじ孔511aには、モータ固定部7のモータ固定軸71の先端部に形成されたねじ部71aがねじ結合される。このモータ固定軸71には、電動モータ1のモータ反力が伝達される。
反力受け部512は、本体ケーシング31の後端部に内挿される。反力受け部512は、本体ケーシング31の後端部に固定ねじ37により固定される。固定ねじ37は、反力受け部512に形成したねじ孔512aにねじ込まれる。
反力受け部512には、中心軸の周りに第1軸孔部512bと、第1軸孔部512bの内径よりも大径の内径を有する第2軸孔部512cが形成される。第1軸孔部512bの内径は、モータ固定軸71の外径よりも大径に形成され、モータ固定軸71と反力受け部512とが非接触状態に保持される。したがって、モータ固定軸71に加わるモータ反力が反力受け部512に伝達されないようにしている。
第2軸孔部512cには、ベアリング38が装着される。ベアリング38には、モータ固定軸71が内装され、電動モータ1を支持しつつ、電動モータ1のモータ反力が反力受け部512に伝達されないようにしている。
一対の弾性変形体513a、513bは、反力伝達部511と反力受け部512との間に固定配置される。本実施形態において、弾性変形体513aと弾性変形体513bと、反力伝達部511と、反力受け部512を、例えばアルミニウム等の金属により一体的に形成する。
一対の弾性変形体513a、513bは、厚さが薄い矩形平板形状に形成され、回転中心軸を中心に軸対称に、対向配置される。一対の弾性変形体513a、513bは、板厚方向を径方向と直交する方向に配置している。また、一対の弾性変形体513a、513bは、起歪体5に挿通されるモータ固定軸71とは触れない位置に配置される。
本実施形態において、起歪体51は、反力伝達部511がリングギア322の後端部に固定され、反力受け部512が本体ケーシング31の後端部に固定される。遊星歯車減速機32は、リングギア322が軸回りに固定されている状態で出力軸33に負荷、例えば締め付け力が加わると、この負荷である締付力に応じて締め付け反力(R1)がリングギア322に伝達される。
本実施形態において、リングギア322は、起歪体51を介して本体ケーシング31に固定されている。したがって、起歪体51の反力伝達部511には、リングギア322を介して締め付け反力が伝達される。起歪体51は、反力受け部512が本体ケーシング31に固定されているので、一対の弾性変形体513a、513bはねじり変形される。電動モータ1のモータ軸12の回転方向を時計回り方向(以下、正回転方向とする)とすると、遊星歯車減速機32の出力軸33も正回転方向に回転する。また、遊星歯車減速機32のリングギア322にも正回転方向の回転力が付与されているので、締め付け反力(R1)の向きは、正回転方向と逆方向である逆回転方向となる。
モータ固定部7は、モータ固定軸71と、モータ取り付け部72とを有する。モータ固定軸71は、中空に形成されていて、軸孔部71bに動力伝達軸35が貫通する。モータ取り付け部72は、円盤形状の基板720に貫通孔部721と、複数の係合爪部722とを形成する。基板720の前面(電動モータ1とは反対面)側にモータ固定軸71が固定される。モータ固定軸71は、貫通孔部721と軸心を一致させて取り付けられる。モータ固定軸71の軸孔部71内に配置される動力伝達軸35は、後端部が電動モータ1のモータ軸12に連結される。電動モータ1のモータ軸12が正方向回転すると、動力伝達軸35は正回転方向に回転し、太陽ギア323を正回転方向に回転させる。
モータ取り付け部72は、基板720の係合爪部722が、モータケーシング11の前端部に固定される取り付け部13の各係合凹部14に係合する。基板720の係合爪部722が取り付け部13の各係合凹部14に係合することで、モータ取り付け部72と電動モータ1は、軸回りに一体化する。電動モータ1をモータ取り付け部72の基盤720に対して軸方向にも一体化するために、例えば係合爪部722を係合凹部14にねじにより固定するようにしても良い。
また、図1に示すように、基板720の係合爪部722に代えて円筒状の締め付け部723を設けるようにしても良い。締め付け部723は外周部にねじ部が形成され、また締め付け部723の後端部723aをテーパー面とする。締め付け部723には、締付ナット部724が螺合する。締め付けナット部724は、内周部に、ねじ部724aと、後端部723aのテーパー面に嵌合する凹面部724bが形成される。
締付ナット部724を締め付け部723にねじ込むと、凹面部724bが前方に移動するに従って、後端部723aのテーパー面と摺接し、後端部723aを締め付けることで、基板720と電動モータ1とを軸方向および軸回りに対して一体化する。
モータ固定部7は、電動モータ1のモータケーシング11をトルクセンサー5に対して支持する。具体的には、モータ固定軸71の先端部が起歪体51の反力伝達部511に固定される。したがって、トルクセンサー5の反力伝達部511に電動モータ1が支持され、電動モータ1のモータ軸12が遊星歯車減速機32の出力軸33に連結される。なお、電動モータ1は、本体ケーシング31には固定されていない。
モータ固定軸71は、先端部のねじ部71aが反力伝達部511のねじ孔511aにねじ結合(右ねじ回り)することで、正回転方向のモータ反力(R2)を反力伝達部511に直接伝達する。
起歪体51の反力伝達部511には、正回転方向の締め付け反力(R1)と、正回転方向のモータ反力(R2)が加わる。一般に、モータ反力R2は締め付け反力R1に比べて非常に小さい。すなわち、電動モータ1を駆動して例えばボルト等を締め付ける場合、起歪体51の反力伝達部511には、反力R1と反力R2の和(R1+R2)の反力が加わる。
したがって、トルクセンサー5の歪ゲージ52が検出し、表示する計測値(トルク値)は、反力R1と反力R2の和に基づくことになる。仮に、電動モータ1のケーシング11を一般に行われるように本体ケーシング31側に固定すると、起歪体51の反力受け部512に正回転方向の反力(R2)が付与される。そうすると、起歪体51の一対の弾性変形体513a、513bには、反力R1から反力R2を引いた反力に基づいて弾性変形される。このため、実際に締め付けを行う締付トルク値よりも、反力R2に対応するトルク値を差し引いた値が表示されることになる。
次に、アクチュエータ10のトルク値の校正を静的トルク校正装置により行う場合について説明する。静的トルク校正装置についての詳しい説明は省略するが、不図示の静的トルク校正装置の入力軸にアクチュエータ10の出力軸33を不図示のソケット等を用いて係合する。その際、アクチュエータ10は、静的トルク校正装置の支持部に支持される。なお、静的トルク校正によるトルク校正の際には電動モータ1への通電は行われない。
静的トルク校正において、出力軸33を回転させ、同時にトルクセンサー5の起歪体51にねじりトルクを与えるために、棒状の調整部材40を本体ケーシング31の第3貫通孔311からリングギア322の第2貫通孔327を通し、出力軸33の第1貫通孔331まで挿入する。そして、調整部材40を正回転方向に回す。第1貫通孔331の内径と第2貫通孔327の内径は調整部材40の外径と等しく形成され、調整部材40が第1貫通孔331と第2貫通孔327にガタなく挿入される。
起歪体51のねじり剛性は非常に高く、また静的トルク校正装置の入力軸も非常に剛性が高いので、実際に出力軸33を回転させる角度は僅かである。また、第3貫通孔311の内径は、調整部材40の外径よりも大きいので、調整部材40を計測のために十分に回転させる余裕がある。
調整部材40を回転軸回りに回すと、出力軸33に回転力が付与され、静的トルク校正装置の入力軸にねじり応力が発生する。静的トルク校正装置は、入力軸のねじり応力を計測し、トルク値を求め、表示部に求めたトルク値を表示する。
一方、調整部材40を回転軸回りに回すと、リングギア322を介して起歪体51の反力伝達部511に回転軸回りの回転力が付与される。
したがって、調整部材40による回転で、静的トルク校正装置の入力軸に生じるねじりひずみと、起歪体51に生じるねじりひずみは同じ条件で生じるため、電動モータ11を駆動源とするアクチュエータ10を静的トルク校正装置でトルク値の校正を行うことができる。また、アクチュエータ10は、トルクセンサー5が電動モータ1のモータ反力を含んでトルク値を計測するので、実際の締め付けトルク値と計測トルク値が一致する。
上記した実施形態のアクチュエータ10において、トルクセンサー5は、図2−5に記載の構成に限定されることはなく、締付トルクの反力とモータ反力との和が起歪体に付与される構成であればどのような構成であっても良い。
また、アクチュエータ10は、一つの遊星歯車減速機を有した構成としているが、二段またはそれ以上の構成であっても良く、減速機が無くても良い。
第2実施形態
図5は本発明の第2実施形態を示す。
図5はストレート型電動締付機の断面図で、図1に示すアクチュエータ10を使用している。
図5に示すストレート型電動締付機60は、外装ハウジング61内にアクチュエータ10が配置される。アクチュエータ10は、本体ケース31が外装ハウジング61に回転軸回りおよび回転軸方向に移動不能に固定される。アクチュエータ10は駆動力伝達部3のみが外装ハウジング61に固定される。ただし、電動モータ1は、外装ハウジング61に対して回転軸回りには固定されず、支持ブラケット62に支承され、モータ反力が外装ハウジング61に伝達されないようにしても良い。
外装ハウジング61の後端部には、駆動回路部(不図示)が配置される区室611が形成される。区室611には、電源コード63や通信線が接続される端子部64が取り付けられる。外装ハウジング61の前部にはトリガースイッチ65が設けられる。区室611には、回転数の高低を調節する回転調節スイッチ66が配置される。また、外装ハウジング61には、不図示の表示部が配置され、トルクセンサー5で検出したトルク値などが表示される。
電動モータ1の電源コード15は、区室611の壁部612に形成した通し孔613を通して端子部64に接続されるが、電源コード15の外径よりも通し孔613の内径を大径とし、モータ反力が電源コード15を介して外装ハウジング61に伝達されることがないようにしている。
外装ハウジング61には、調整部材40が挿入される孔部(不図示)が形成される。
本実施形態は、カプラー39にソケット(不図示)を装着することで、ボルト、ナットを締め付けるトルク計測機器としてのストレート型電動締付機として説明したが、電動ドリル等の電動工具、動力伝達装置としても良い。
第3実施形態
図6は第3実施形態を示す。
図6はピストル型電動締付機の断面図で、図1に示すアクチュエータ10を使用している。
図6に示すピストル型電動締付機80は、第1外装ハウジング81と、第2外装ハウジング82とを有する。第1外装ハウジング81に対し、第2外装ハウジング82はほぼ直角に配置される。
第1外装ハウジング81内にアクチュエータ10が配置される。アクチュエータ10は、本体ケース31が第1外装ハウジング81に回転軸回りおよび回転軸方向に移動不能に固定される。しかし、電動モータ1は、第1外装ハウジング81に対して回転軸回りには固定されず、支持ブラケット83に支承され、モータ反力が第1外装ハウジング81に伝達されないようにしている。第1外装ハウジング81には、調整部材40が挿入される挿入孔(不図示)が形成される。
第1外装ハウジング81には、電動モータ1の回転数の高低を調節する回転調節スイッチ84が配置される。また、第1外装ハウジング81には、不図示の表示部が配置され、トルクセンサー5で検出したトルク値などが表示される。
第2外装ハウジング82の上部には、トリガースイッチ85が配置され、下端にはバッテリー86が交換可能に配置される。第2外装ハウジング82の下部には、駆動回路部87が配置される。
本実施形態のピストル型電動締付機に対しても、図1に示すアクチュエータ10を容易に組み付けることができ、静的トルク校正装置により適正なトルク校正が実現できる。
本実施形態は、カプラー39にソケット(不図示)を装着することで、ボルト、ナットを締め付けるトルク計測機器としてのストレート型電動締付機として説明したが、電動ドリル等の電動工具、動力伝達装置としても良い。
第4実施形態
図7は第4実施形態を示す。
図7はアングル型電動締付機の断面図で、図1に示すアクチュエータ10を使用している。
図7に示すアングル型電動締付機90は、第1外装ハウジング91と、第2外装ハウジング92と、バッテリー93を有する。第1外装ハウジング91内には、アクチュエータ10が配置される。第1外装ハウジング91の後部に第2外装ハウジング92が取り外し可能に接続される。第2外装ハウジング92の後端部にバッテリー93が交換可能に装着される。第2外装ハウジング92の後端部にはトリガースイッチ94が配置され、第2外装ハウジング92内に駆動回路部95が配置される。また、第2外装ハウジング92の前端部には表示部96が配置される。
第1外装ハウジング91内にアクチュエータ10が配置される。アクチュエータ10は、本体ケース31が第1外装ハウジング91に回転軸回りおよび回転軸方向に移動不能に固定される。しかし、電動モータ1は、第1外装ハウジング91に対して回転軸回りには固定されていない。なお、図5に示す実施形態と同様に、不図示の支持ブラケットにより軸回りに対して回転自在に支承し、モータ反力が第1外装ハウジング91に伝達されないようにしてもよい。第1外装ハウジング91には、調整部材40が挿入される挿入孔(不図示)が形成される。
アクチュエータ10は、先端部にL字形状のヘッド部41が固定される。出力軸33の先端部には第1傘歯車42が取り付けられる。ヘッド部41は、L字形状のヘッドケーシング411と、ヘッドケーシング411内に回転自在に配置される駆動軸43と、駆動軸43の一端に取り付けられた第2傘歯車44を有する。
ヘッド部41のヘッドケーシング411は、本体ケーシング31に固定される。第1傘歯車42と第2傘歯車44が噛み合い、出力軸33の回転が駆動軸43に伝達される。駆動軸43には、例えばソケット等が装着され、ボルトやナットなどを回す。
上記した第1実施形態では、駆動源を電動モータとしているが、油圧、空気等の流体を用いたモータであっても良い。また、サイズについても超小型から大型のものまでどのようなサイズであっても良い。
また、本発明のアクチュエータは、所定のトルク値でボルト等を締め付ける締め付け機に使用されるものに限定されるものではなく、例えばロボットのアーム、マニュピュレータの駆動部として使用することができる。この場合、駆動対象物を所定のトルクで駆動することができる。すなわち、モータ反力を加えたトルク値を検出することができるので、駆動対象物を設定したトルク値で高精度に駆動することができる。
また、アクチュエータ10を装備した駆動機器として、第2実施形態から第4実施形態のトルク計測機器を示しているが、本発明の駆動機器はこれらのトルク計測機器に限定されるものではなく、上記したロボットアームやマニュピュレータ等が例示できる。
上記した第2から第4実施形態において、駆動回路部には、トルクセンサー5で検出した検出値に基づいてトルク値を求める演算部を有し、前記演算部で求めたトルク値を表示部に表示する。
10 アクチュエータ
1 電動モータ
11 モータケーシング 12 モータ軸
13 取付け部 14 係合凹部
3 動力伝達部
31 本体ケーシング 32 遊星歯車減速機 33 出力軸部
35 動力伝達軸 36、38 ベアリング 37 固定ねじ
39 カプラー
40 調整部材
311 第3貫通孔
321 内歯 322 リングギア
322a ねじ孔部 322b ストッパーねじ
322c 後方嵌合部
323 太陽ギア 324 遊星ギア 325 支持軸
326 キャリア(ケージ)
331 第1貫通孔 327 第2貫通孔
5 トルクセンサー
51 起歪体 52 歪ゲージ
511 反力伝達部 512 反力受け部
511a ねじ孔 511b ギア部 511c 穴部
513a、513b 弾性変形体
512a ねじ孔 512b 第1軸孔部
512c 第2軸孔部
7 モータ固定部
71 モータ固定軸 72 モータ取り付け部
71a ねじ部 71b 軸孔部
720 基板 721 貫通孔部 722 係合爪部
723 締め付け部 723a 後端部 724 締付ナット部
724a ねじ部 724b 凹面部
60 ストレート型電動締付機
61 外装ハウジング 62 支持ブラケット 63 電源コード
64 端子部 65 トリガースイッチ 66 回転調節スイッチ
611 区室 612 壁部 613 通し孔
80 ピストル型電動締付機
81 第1外装ハウジング 82 第2外装ハウジング
83 支持ブラケット 84 回転調節スイッチ
85 トリガースイッチ 86 バッテリー 87 駆動回路部
90 アングル型電動締付機
91 第1外装ハウジング 92 第2外装ハウジング
93 バッテリー 94 トリガースイッチ 95 駆動回路部
96 表示部
41 ヘッド部 42 第1傘歯車 43 駆動軸
44 第2傘歯車
411 ヘッドケーシング

Claims (17)

  1. 本体ケーシングと、
    被駆動体を駆動するための駆動モータと、
    前記本体ケーシングに対して相対的に回転し、前記被駆動体に駆動力を伝達する駆動力伝達部と、
    第1伝達部に伝達される前記動力伝達部からの反力と第2伝達部に伝達される前記本体ケーシングからの反力に基づいてトルクを検出するトルクセンサーと、
    前記駆動モータを前記トルクセンサーの第1伝達部側に固定するモータ固定部と、
    を有することを特徴とするアクチュエータ。
  2. 前記駆動力伝達部は、前記本体ケーシングの外側から駆動力が付与可能としていることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
  3. 前記駆動力伝達部は、遊星歯車遊星機構を有し、前記歯車遊星機構のリングギアに生じる反力が前記トルクセンサーの第1伝達部に伝達されることを特徴とする請求項1または2に記載のアクチュエータ。
  4. 前記本体ケーシング内に、前記遊星歯車機構と前記トルクセンサーが配置されていることを特徴とする請求項3に記載のアクチュエータ。
  5. 前記本体ケーシングと前記駆動モータとは、前後に直列的に配置することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のアクチュエータ。
  6. 前記モータ固定部は、前記駆動モータの前部に固定された固定基板と、前記固定基板から前方に延出し、前記駆動モータを前記駆動モータの前方に配置した前記トルクセンサーの第1伝達部に固定されるモータ固定軸と、を有することを特徴とする請求項5に記載のアクチュエータ。
  7. 前記モータ固定軸は、中空軸に形成されていて、前記駆動モータから前記動力伝達部に駆動力を伝達する動力伝達軸が隙間を有して挿通されていることを特徴とする請求項6に記載のアクチュエータ。
  8. 前記駆動力伝達部は、出力軸が本体ケーシングの前端から前方に支出していることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のアクチュエータ。
  9. 前記駆動モータは電動モータであることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のアクチュエータ。
  10. 請求項1から9のいずれかに記載のアクチュエータと、
    前記アクチュエータを内装する外装ハウジングと、
    を有し、
    前記アクチュエータは、駆動力伝達部のみが前記外装ハウジングに対して固定されることを特徴とする駆動機器。
  11. 前記アクチュエータの駆動モータは、外装ハウジング内に設けたブラケットにより、前記外装ハウジングに対してモータ反力が作用しない状態に支承されることを特徴とする請求項10に記載の駆動機器。
  12. 前記アクチュエータの駆動モータが電動モータの場合、前記外装ハウジングには、前記電動モータの電源であるバッテリーが装着されることを特徴とする請求項10または11に記載の駆動機器。
  13. 前記外装ハウジングは、ストレート形状、ピストル型形状のいずれかであることを特徴とする請求項10から12のいずれかに記載の駆動機器。
  14. 前記アクチュエータは、先端部にL字形状のヘッド部が設けられていることを特徴とする請求項13に記載の駆動機器。
  15. 前記外装ハウジングには、前記駆動力伝達部に前記本体ケーシングの外側から駆動力を付与可能とする孔部が形成されていることを特徴とする請求項10から14のいずれかに記載の駆動機器。
  16. 前記駆動機器は、トルク測定機器、動力伝達機器、ロボットアーム、マニュピュレータのいずれかであることを特徴とする請求項10から15のいずれかに記載の駆動機器。
  17. 前記トルクセンサーで検出した検出値に基づいてトルク値を求める演算部と、前記演算部で求めたトルク値を表示する表示部を有することを特徴とする請求項10から16のいずれかに記載の駆動機器。



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