JP6452399B2 - 電動駆動機器の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ボルト等を電動駆動で締め付ける電動駆動機器の制御装置に関する。
モータ駆動される駆動機器として、電動締付機(ナットランナー)、電動ドライバー等がある。ナットランナーの駆動制御を行う制御装置は、例えばボルト等の締付トルクを検出するトルクセンサーがあらかじめ設定した目標締め付けトルク値を検出すると、駆動を停止させる(特許文献1)。
ところで、電動駆動機器の制御装置において、トルクセンサーの検出トルク値に基づいて、例えばワークに対してボルトを目標締め付けトルク値まで締め付けて駆動停止する場合、例えばオーバートルクの問題が生じる。オーバートルクは、目標締め付けトルク値を超えて締め付け動作が行われ、締め付けが終了する現象である。逆に、締め付けを開始してから目標締め付けトルク値に達するまでに長時間を要し、その間に電動モータの通電電流が非常に大きくなる過電流現象を起こす場合がある。
オーバートルク現象が生じる原因の一つとして、ハードジョイント特性がある。ハードジョイント特性とは、ボルト自体の剛性と被締結体(ワーク)の剛性が高く、締付角度に対してトルク上昇率が大きいものをいう。締付対象がハードジョイント特性の場合、例えばボルトの締め付け開始によりボルトがワークに着座後、モータ駆動により目標締め付けトルク値でモータ駆動を停止すると、オーバートルクが生じる。
また、過電流現象が生じる原因の一つとしてソフトジョイント特性がある。ソフトジョイント特性とは、ボルト自体の剛性と被締結体(ワーク)の剛性が低く、締め付け角度に対してトルク上昇率が低いことをいう。
締付トルクがねじの回転に伴ってどのように増加するかを定量的に示すものとしてジョイント係数(e)がある。ジョイント係数についての説明は省略するが、図9及び図10に示すように、定量的に表すことができる。
特開平10−34555号公報
本発明の目的は、締付対象のジョイント特性に応じて適切な駆動停止ができる電動駆動機器の制御装置を提供することにある。
本発明の目的を実現する電動駆動機器の制御装置の第1の構成は、締付対象を目標締付トルク値に締め付ける電動モータを駆動源とし、締付トルクを検出するトルクセンサーを備えた電動駆動機器の制御装置であって、ジョイント特性に応じて仮締め停止トルク値を設定する仮締め設定トルク値設定部と、前記仮締め設定トルク値を前記トルクセンサーが検出して電動モータの駆動停止を指示後、締め付けが停止した時の締め付けトルクのピークトルク値を検出する第1ピークトルク検出部と、前記第1ピークトルク検出部で検出するピークトルク値に基づいて、締付対象のジョイント特性が、仮に設定した第1ジョイント特性であるか、他の第2ジョイント特性であるかを判別する第1ジョイント特性判別部と、前記第1ジョイント特性判別部で判別したジョイント特性が第1ジョイント特性であると、締め付けトルク値が前記電動モータへの停止指令から前記目標締付トルク値に達する第1停止トルク値まで締付対象を駆動する本締め駆動部と、
を有する。
上記した構成の電動駆動機器の制御装置の第2の構成は、上記した第1の構成において、前記本締め駆動部による本締めの締付開始から所定の締め付け時間内における締付トルク値のピークトルク値を検出する第2ピークトルク検出部と、前記第2ピークトルク検出部で検出するピークトルク値に基づいて、締付対象のジョイント特性が仮設定した第1ジョイント特性であるか、他の第3ジョイント特性であるかを判別する第2ジョイント特性判別部と、を有し、前記本締め駆動部は、前記第2ジョイント特性判別部で判別したジョイント特性が第1ジョイント特性であると、前記第1停止トルク値まで締付対象を駆動することを特徴とする。
上記した構成の電動駆動機器の制御装置の第3の構成は、上記したいずれかの構成において、前記第1ジョイント特性判別部で判別したジョイント特性が他の第2ジョイント特性であると、ジョイント特性を第1ジョイント特性から他の第2ジョイント特性に切換える第1ジョイント特性切換部と、を有する。
上記した構成の電動駆動機器の制御装置の第4の構成は、上記した第2または第3の構成において、前記第2ジョイント特性判別部で判別したジョイント特性が他の第3ジョイント特性であると、ジョイント特性を第1ジョイント特性から他の第3ジョイント特性に切換える第2ジョイント特性切換部と、を有する。
上記した構成の電動駆動機器の制御装置の第5の構成は、上記したいずれかの構成において、前記第1ジョイント特性判別部は、前記第1ピークトルク検出部で検出するピークトルク値が、前記目標締付トルク値よりも大きな大トルク値を超えていると、前記締付対象のジョイント特性が前記他の第2ジョイント特性であると判別することを特徴とする。
上記した構成の電動駆動機器の制御装置の第6の構成は、上記した第5の構成において、前記第1ジョイント特性判別部は、前記第1ピークトルク検出部で検出するピークトルク値が前記トルク値以下で、仮設定した第1ジョイント特性に対応する仮停止トルク値以上であると、締付対象のジョイント特性が第1ジョイント特性と推定することを特徴とする。
上記した構成の電動駆動機器の制御装置の第7の構成は、上記した第2から第6のいずれかの構成において、前記第2ジョイント特性判別部は、前記第2ピークトルク検出部で検出するピークトルク値が、仮設定した第1ジョイント特性に対応する本締め停止トルク値以上であれば、締付対象のジョイント特性が第1ジョイント特性と判別し、本締め停止トルク未満であれば、前記他の第3ジョイント特性と判別することを特徴とする。
本発明の電動動機器の制御装置によれば、締付対象のジョイント特性が不明でも、ジョイント特性を仮に設定するだけで、締付対象のジョイント特性を本締め開始前に特定することができる。このため、電動で締付対象を締め付ける場合、オーバートルクを発生させることなく目標締付トルクで締付対象を締め付けることができる。
請求項2に係る発明によれば、本締め開始時点での締付対象のジョイント特性が仮締めで設定した第1ジョイント特性と推定される場合、本締め中に仮設定の第1ジョイント特性であるか、第3ジョイント特性のいずれかであると判別でき、最終的に、適正なジョイント特性で締付対象を本締めすることができる。
請求項3、4に係る発明によれば、仮設定したジョイント特性が締付対象のジョイント特性ではない場合、自動的に締付対象のジョイント特性に切換えることができ、その後は適切なジョイント特性による締付対象の締め付けが行え、目標締付トルク値に締め付けることができる。
請求項5に係る発明によれば、仮設定したジョイント特性がミドルジョイントであって、締付対象がハードジョイントである場合、自動的にハードジョイントであることを判別することができる。
請求項6に係る発明によれば、仮設定したジョイント特性がミドルジョイントであって、締付対象がハードジョイントではない場合、自動的に締付対象のジョイント特性をミドルジョイントと推定して本締めを開始する。この場合締付対象がソフトジョイントであったとしても、ミドルジョイント特性で本締めを行っても支障がない。
本発明の第1実施形態を示すアクチュエータの断面図。 図1に示すアクチュエータのトルクセンサーの分解図。 (a)は図2のA−A矢視図、(b)は図2のB−B矢視図。 図2に示すトルクセンサーの組み立て状態を示す断面図。 本発明の第2実施形態を示すストレート型電動締付機の断面図。 図5に示す電動締結機の制御装置を示すブロック図。 仮締めおよび本締めにおけるトルクと時間との関係を示すチャート。 図5に示す制御装置による締付動作を説明するフローチャート。 ジョイント係数を説明する図。 ジョイント係数を説明する図。
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
第1実施形態
図1は本発明の第1実施形態を示すアクチュエータの断面図、図2は図1に示すアクチュエータのトルクセンサーの分解図、図3(a)は図2のA−A矢視図、図3(b)は図2のB−B矢視図、図4は図2に示すトルクセンサーの組み立て状態を示す断面図である。
本実施形態のアクチュエータ10は、電動モータ1と、動力伝達部3と、トルクセンサー5と、電動モータ1のケーシング11をトルクセンサー5に固定するモータ固定部7と、を有する。
電動モータ1の前部にトルクセンサー5を挟んで動力伝達部3を配置する。また、電動モータ1の中心軸と動力伝達部3の中心軸とトルクセンサー5の中心軸を同一軸線上に配置している。
電動モータ1は、例えばDCブラシレスモータで、円筒形状のモータケーシング11の先端部側にモータ軸12が支出されている。本実施形態において、モータケーシング11の前端部には、取り付け部13が設けられる。取り付け部13には、凹形状に形成された複数の係合凹部14が形成されている。
動力伝達部3は、本体ケーシング31と、遊星歯車減速機32と、出力軸部33とを有する。本体ケーシング31内には、遊星歯車減速機32と、トルクセンサー5と、動力伝達軸35が配置される。出力軸部33の前部は、本体ケーシング31の前端から前方に支出されている。
遊星歯車減速機32は、トルクセンサー5の前方に配置される。トルクセンサー5は遊星歯車減速機32と電動モータ1との間に配置される。
遊星歯車減速機32は、内周面に内歯321を備えた円筒形状のリングギア322と、内歯321と太陽ギア323に噛み合う複数の遊星ギア324と、複数の遊星ギア324を自転可能に支持する支持軸325を有するキャリア(ケージ)326を備える。複数の遊星ギア324は、太陽ギア323の周りに公転しながら自転する。キャリア326には、遊星歯車減速機32の軸中心線と同軸に出力軸33が設けられている。太陽ギア323は動力伝達軸35の先端部に形成される。
出力軸33には、本体ケーシング31内に存在する部分において、軸方向と直交する方向に第1貫通孔331が形成されている。また、リングギア322には、第1貫通孔331と軸方向および軸方向と直交する方向で一致する第2貫通孔327が形成されている。出力軸33の先端部には、例えばカプラー39が取り付けられ、不図示のソケット等が取り外し可能に装着される。
さらに、本体ケーシング31には、第1貫通孔331と第2貫通孔327と軸方向および軸方向と直交する方向で一致する第3貫通孔311が形成されている。本実施形態において、第3貫通孔311の内径は、第1貫通孔331と第2貫通孔327の内径よりも大径に形成している。
本実施形態において、リングギア322の前端は、遊星ギア324の軸方向の前方まで延び、この延びた部分に第2貫通孔327が形成される。またリングギア322の後端は、遊星ギア324の軸方向の後方まで延び、この延びた後方部分である後方嵌合部322bまで内歯321が形成される。
図2から図4に示すように、トルクセンサー5は、起歪体51と、歪ゲージ52とにより構成する。なお、歪を検出する手段として歪ゲージ52を用いているが、これに限定されることはなく、起歪体51に生じる歪を検出できるものであればよく、例えば圧電素子を用いることもできる。
起歪体51は、円盤状に形成した反力伝達部511と、円盤状に形成した反力受け部512と、弾性変形する一対の弾性変形体513a、513bとを有する。歪ゲージ52は、各弾性変形体513a、513bに貼り付けられる。
反力伝達部511と反力受け部512は、軸方向に沿って対向配置される。反力伝達部511は、軸中心部にねじ孔511aが軸方向に貫通して形成される。反力伝達部511は、リングギア322の後方嵌合部322cに嵌合する。反力伝達部511の外周部には、後方嵌合部322cの内歯321に噛み合うギア部511bが形成される。反力伝達部511は、リングギア322の後方嵌合部322cに嵌合することで、内歯321とギア部511bが噛み合い、軸回りに対してリングギア322と一体的に結合される。
反力伝達部511には、外周面から軸中心に向かって穴部511cが形成される。リングギア322の後端部には、反力伝達部511の穴部511cが臨むねじ孔部322aが形成され、ストッパーねじ322bがねじ孔部322aにねじ込まれ、ストッパーねじ322bの先端部が穴部511cに差し込まれる。このため、ストッパーねじ322bにより、反力伝達部511が軸方向後方に抜け出るのが防止される。また、反力伝達部511の外周と本体ケーシング31の内周面との間に、ベアリング36が配置される。ベアリング36により、遊星歯車減速機32を支持しつつ、リングギア322に伝わる締め付け反力が本体ケーシング31に伝わらないようにしている。
反力伝達部511のねじ孔511aには、モータ固定部7のモータ固定軸71の先端部に形成されたねじ部71aがねじ結合される。このモータ固定軸71には、電動モータ1のモータ反力が伝達される。
反力受け部512は、本体ケーシング31の後端部に内挿される。反力受け部512は、本体ケーシング31の後端部に固定ねじ37により固定される。固定ねじ37は、反力受け部512に形成したねじ孔512aにねじ込まれる。
反力受け部512には、中心軸の周りに第1軸孔部512bと、第1軸孔部512bの内径よりも大径の内径を有する第2軸孔部512cが形成される。第1軸孔部512bの内径は、モータ固定軸71の外径よりも大径に形成され、モータ固定軸71と反力受け部512とが非接触状態に保持される。したがって、モータ固定軸71に加わるモータ反力が反力受け部512に伝達されないようにしている。
第2軸孔部512cには、ベアリング38が装着される。ベアリング38には、モータ固定軸71が内装され、電動モータ1を支持しつつ、電動モータ1のモータ反力が反力受け部512に伝達されないようにしている。
一対の弾性変形体513a、513bは、反力伝達部511と反力受け部512との間に固定配置される。本実施形態において、弾性変形体513aと弾性変形体513bと、反力伝達部511と、反力受け部512を、例えばアルミニウム等の金属により一体的に形成する。
一対の弾性変形体513a、513bは、厚さが薄い矩形平板形状に形成され、回転中心軸を中心に軸対称に、対向配置される。一対の弾性変形体513a、513bは、板厚方向を径方向と直交する方向に配置している。また、一対の弾性変形体513a、513bは、起歪体5に挿通されるモータ固定軸71とは触れない位置に配置される。
本実施形態において、起歪体51は、反力伝達部511がリングギア322の後端部に固定され、反力受け部512が本体ケーシング31の後端部に固定される。遊星歯車減速機32は、リングギア322が軸回りに固定されている状態で出力軸33に負荷、例えば締め付け力が加わると、この負荷である締付力に応じて締め付け反力(R1)がリングギア322に伝達される。
本実施形態において、リングギア322は、起歪体51を介して本体ケーシング31に固定されている。したがって、起歪体51の反力伝達部511には、リングギア322を介して締め付け反力が伝達される。起歪体51は、反力受け部512が本体ケーシング31に固定されているので、一対の弾性変形体513a、513bはねじり変形される。電動モータ1のモータ軸12の回転方向を時計回り方向(以下、正回転方向とする)とすると、遊星歯車減速機32の出力軸33も正回転方向に回転する。また、遊星歯車減速機32のリングギア322にも正回転方向の回転力が付与されているので、締め付け反力(R1)の向きは、正回転方向と逆方向である逆回転方向となる。
モータ固定部7は、モータ固定軸71と、モータ取り付け部72とを有する。モータ固定軸71は、中空に形成されていて、軸孔部71bに動力伝達軸35が貫通する。モータ取り付け部72は、円盤形状の基板720に貫通孔部721と、複数の係合爪部722とを形成する。基板720の前面(電動モータ1とは反対面)側にモータ固定軸71が固定される。モータ固定軸71は、貫通孔部721と軸心を一致させて取り付けられる。モータ固定軸71の軸孔部71内に配置される動力伝達軸35は、後端部が電動モータ1のモータ軸12に連結される。電動モータ1のモータ軸12が正方向回転すると、動力伝達軸35は正回転方向に回転し、太陽ギア323を正回転方向に回転させる。
モータ取り付け部72は、基板720の係合爪部722が、モータケーシング11の前端部に固定される取り付け部13の各係合凹部14に係合する。基板720の係合爪部722が取り付け部13の各係合凹部14に係合することで、モータ取り付け部72と電動モータ1は、軸回りに一体化する。電動モータ1をモータ取り付け部72の基盤720に対して軸方向にも一体化するために、例えば係合爪部722を係合凹部14にねじにより固定するようにしても良い。
また、図1に示すように、基板720の係合爪部722に代えて円筒状の締め付け部723を設けるようにしても良い。締め付け部723は外周部にねじ部が形成され、また締め付け部723の後端部723aをテーパー面とする。締め付け部723には、締付ナット部724が螺合する。締め付けナット部724は、内周部に、ねじ部724aと、後端部723aのテーパー面に嵌合する凹面部724bが形成される。
締付ナット部724を締め付け部723にねじ込むと、凹面部724bが前方に移動するに従って、後端部723aのテーパー面と摺接し、後端部723aを締め付けることで、基板720と電動モータ1とを軸方向および軸回りに対して一体化する。
モータ固定部7は、電動モータ1のモータケーシング11をトルクセンサー5に対して支持する。具体的には、モータ固定軸71の先端部が起歪体51の反力伝達部511に固定される。したがって、トルクセンサー5の反力伝達部511に電動モータ1が支持され、電動モータ1のモータ軸12が遊星歯車減速機32の出力軸33に連結される。なお、電動モータ1は、本体ケーシング31には固定されていない。
モータ固定軸71は、先端部のねじ部71aが反力伝達部511のねじ孔511aにねじ結合(右ねじ回り)することで、正回転方向のモータ反力(R2)を反力伝達部511に直接伝達する。
起歪体51の反力伝達部511には、正回転方向の締め付け反力(R1)と、正回転方向のモータ反力(R2)が加わる。一般に、モータ反力R2は締め付け反力R1に比べて非常に小さい。すなわち、電動モータ1を駆動して例えばボルト等を締め付ける場合、起歪体51の反力伝達部511には、反力R1と反力R2の和(R1+R2)の反力が加わる。
したがって、トルクセンサー5の歪ゲージ52が検出し、表示する計測値(トルク値)は、反力R1と反力R2の和に基づくことになる。仮に、電動モータ1のケーシング11を一般に行われるように本体ケーシング31側に固定すると、起歪体51の反力受け部512に正回転方向の反力(R2)が付与される。そうすると、起歪体51の一対の弾性変形体513a、513bには、反力R1から反力R2を引いた反力に基づいて弾性変形される。このため、実際に締め付けを行う締付トルク値よりも、反力R2に対応するトルク値を差し引いた値が表示されることになる。
本実施形態において、トルクセンサー5は、起歪体51と歪ゲージ52とを有する構成としているが、モータ反力を起歪体5の反力伝達部511にモータ固定部7のモータ固定軸71を固定することで、モータ反力を反力伝達部511に伝達する。したがって、トルクセンサーの構成には、トルクセンサー5のみでなく、モータ固定部7も含まれる。
モータ固定軸71は反力伝達部511にねじ結合により固定しているが、これに限定されることはない。例えば、モータ固定軸71と反力伝達部511とがモータ反力の作用方向において固定でき、かつ電動モータ1を反力伝達部511以外に、モータ反力の作用方向に対して固定しない構成であれば良い。
次に、アクチュエータ10のトルク値の校正を静的トルク校正装置により行う場合について説明する。静的トルク校正装置についての詳しい説明は省略するが、不図示の静的トルク校正装置の入力軸にアクチュエータ10の出力軸33を不図示のソケット等を用いて係合する。その際、アクチュエータ10は、静的トルク校正装置の支持部に支持される。なお、静的トルク校正によるトルク校正の際には電動モータ1への通電は行われない。
静的トルク校正において、出力軸33を回転させ、同時にトルクセンサー5の起歪体51にねじりトルクを与えるために、棒状の調整部材40を本体ケーシング31の第3貫通孔311からリングギア322の第2貫通孔327を通し、出力軸33の第1貫通孔331まで挿入する。そして、調整部材40を正回転方向に回す。第1貫通孔331の内径と第2貫通孔327の内径は調整部材40の外径と等しく形成され、調整部材40が第1貫通孔331と第2貫通孔327にガタなく挿入される。
起歪体51のねじり剛性は非常に高く、また静的トルク校正装置の入力軸も非常に剛性が高いので、実際に出力軸33を回転させる角度は僅かである。また、第3貫通孔311の内径は、調整部材40の外径よりも大きいので、調整部材40を計測のために十分に回転させる余裕がある。
調整部材40を回転軸回りに回すと、出力軸33に回転力が付与され、静的トルク校正装置の入力軸にねじり応力が発生する。静的トルク校正装置は、入力軸のねじり応力を計測し、トルク値を求め、表示部に求めたトルク値を表示する。
一方、調整部材40を回転軸回りに回すと、リングギア322を介して起歪体51の反力伝達部511に回転軸回りの回転力が付与される。
したがって、調整部材40による回転で、静的トルク校正装置の入力軸に生じるねじりひずみと、起歪体51に生じるねじりひずみは同じ条件で生じるため、電動モータ11を駆動源とするアクチュエータ10を静的トルク校正装置でトルク値の校正を行うことができる。また、アクチュエータ10は、トルクセンサー5が電動モータ1のモータ反力を含んでトルク値を計測するので、実際の締め付けトルク値と計測トルク値が一致する。
上記した実施形態のアクチュエータ10において、トルクセンサー5は、図2−5に記載の構成に限定されることはなく、締付トルクの反力とモータ反力との和が起歪体に付与される構成であればどのような構成であっても良い。
また、アクチュエータ10は、一つの遊星歯車減速機を有した構成としているが、二段またはそれ以上の構成であっても良く、減速機が無くても良い。
第2実施形態
図5は本発明の第2実施形態を示す。
図5はストレート型電動締付機の断面図で、図1に示すアクチュエータ10を使用している。
図5に示すストレート型電動締付機60は、外装ハウジング61内にアクチュエータ10が配置される。アクチュエータ10は、本体ケース31が外装ハウジング61に回転軸回りおよび回転軸方向に移動不能に固定される。アクチュエータ10は駆動力伝達部3のみが外装ハウジング61に固定される。ただし、電動モータ1は、外装ハウジング61に対して回転軸回りには固定されず、支持ブラケット62に支承され、モータ反力が外装ハウジング61に伝達されないようにしても良い。
外装ハウジング61の後端部には、区室611が形成され、区室611内にはコントローラー100が配置される。区室611には、電源コード63や通信線が接続される端子部64が取り付けられる。外装ハウジング61の前部にはトリガースイッチ65が設けられる。区室611には、回転数の高低を調節する回転調節スイッチ66が配置される。コントローラー100の動作説明は図6〜図8を参照して後述する。
また、外装ハウジング61には、表示部105、駆動状態を示す表示器として、仮締め中LED106、締付完了LED107、異常LED108、ジョイント特性設定部109が配置される。表示部105にはトルクセンサー5で検出したトルク値などが表示される。
電動モータ1の電源コード15は、区室611の壁部612に形成した通し孔613を通して端子部64に接続されるが、電源コード15の外径よりも通し孔613の内径を大径とし、モータ反力が電源コード15を介して外装ハウジング61に伝達されることがないようにしている。
外装ハウジング61には、調整部材40が挿入される孔部(不図示)が形成される。
本実施形態は、カプラー39にソケット(不図示)を装着することで、ボルト、ナットを締め付けるトルク計測機器としてのストレート型電動締付機として説明したが、電動ドリル等の電動工具、動力伝達装置としても良い。
上記したアクチュエータ10のサイズは、超小型から大型のものまでどのようなサイズであっても良く、またアクチュエータ10のサイズに応じて電動駆動機器のサイズも超小型から大型のものまでどのようなサイズであっても良い。
また、本実施形態のアクチュエータは、目標締め付けトルク値でボルト等を締め付ける締め付け機に使用されるものに限定されるものではなく、例えばロボットのアーム、マニュピュレータの駆動部として使用することができる。この場合、駆動対象物を目標締め付けトルク値で駆動停止することができる。
次に、コントローラー100による駆動停止動作を説明する。
図6は図5に示す電動締結機の制御装置を示すブロック図である。
コントローラー100は、CPU(Central Processing Unit)あるいはMPU(Micro Processing Unit)からなるプロセッサー101、メモリー102を有する。コントローラー100は、トリガースイッチ65からのスイッチ信号、ジョイント特性設定部109からのハードジョイント係数を示すハードジョイントJh,ミドルジョイント係数を示すミドルジョイントJm,ソフトジョイント係数を示すソフトジョイントJs、トルクセンサー5から検出トルク値を入力情報として、仮締め付けを実行し、その後本締め付けを実行する。
ジョイント係数がハードジョイント(Jh)とは、前述のように、例えばボルトとワークとの座面同士が滑らかな場合をいう。この場合、ボルトの締め付け開始によりボルトがワークに着座後、モータ駆動により一瞬にボルトが締め付けられ、モータの駆動停止が間に合わず、オーバートルクが生じる。
ジョイント係数がソフトジョイント(Js)とは、前述のように、例えばボルトとワークとの座面にゴム等が介在し、座面同士の摩擦係数が高い場合をいう。この場合、締め付けを開始してから目標締め付けトルク値に達するまでに長時間を要し、その間に電動モータの通電電流が非常に大きくなる過電流現象を起こす。
本実施形態において、ジョイント係数がミドルジョイント(Jm)とは、ハードジョイント(Jh)とソフトジョイント(Js)との間に位置する特性とする。
ジョイント係数がハードジョイントの場合とソフトジョイント(Js)の場合について、締付開始から目標締め付けトルク値(Ts)に達するまでの時間は、ハードジョイントの場合が短い。また、目標締め付けトルク値(Ts)でモータ駆動を停止すると、前述したオーバートルクが発生する。オーバートルクの発生を防止するには、目標締め付けトルク値(Ts)よりも少し低いトルク値(本締め停止トルク値(Th))でモータ駆動を停止すると、慣性トルクで目標締め付けトルク値(Ts)に達する。
この場合、本締め停止トルク値(Th)は、ジョイント係数により異なる。したがって、締付対象のジョイント係数が判定できれば、締付対象のジョイント特性に合わせて本締め停止トルク値(Th)を決定できるため、オーバートルクの発生を防止することができる。
本実施形態において、締付対象のジョイント係数の判定(判別)は、仮にジョイント係数を設定し、締め付けを開始し、仮締めを行って判別する。仮締めは、仮締めに設定したジョイント係数(本実施形態ではハードジョイント(Jh)、ミドルジョイント(Jm)、ソフトジョイント(Js)の3種類を設定)によって、仮締め停止トルク(Tk)が異なる。
仮締めトルクTkは、目標締め付けトルク値(Ts)に対して例えばZ(0%<Z<100%)%のトルク値に設定される。仮締めトルク値(Tk)は、ハードジョイント(Jh)、ミドルジョイント(Jm)、ソフトジョイント(Js)の順に大きい(Jh<Jm<Js)。ジョイント係数がハードジョイント(Jh)の場合には、着座直後から締付トルクは安定して上昇する特性を有するため、仮締め停止トルク値(Tkh)を小さくしても、仮締め停止トルク値(Tkh)が安定して得られる。
これに対し、ジョイント係数がソフトジョイント(Js)の場合、着座直後の締め付けトルク値は不安定であるため、仮締め停止トルク値(Tks)を大きくし、安定した仮締め停止トルク値(Tks)を得るようにしている。
なお、電動モータ1の保護の点から仮締め停止トルク、本締め停止トルクと併せて電流制限値X(A)を設定する。なお、電流制限値X(A)はハードジョイント(Jh)、ミドルジョイント(Jm)、ソフトジョイント(Js)の順に大きい(Jh<Jm<Js)。
仮締め停止トルク値Xをミドルジョイント特性(Jm)での仮締め停止トルク値とした場合、仮締め停止トルク値Xで電動モータ1の駆動を停止しても、オーバートルクが発生する場合がる。そこで、電動モータ1の駆動停止後に締め付け動作が停止した時でオーバートルクが発生していると、その時の締め付けトルクピーク値(Tp)は仮締め停止トルク値(Tk)を超える。仮締め停止トルク値(Tk)に比べて締付トルクピーク値(Tp)がはるかに大きければ、例えば目標締め付けトルク値(Ts)の105%(Ts×1.05)を超える場合(Tp>Ts×1.05)、締付対象のジョイント特性がハードジョイント特性と判別できる。
ジョイント特性がミドルジョイント特性(Jm)のまま、本締め停止トルク値(Thm)で電動モータ1の駆動を停止すると、目標トルク値(Ts)を超えるオーバートルクが生じる。しかし、この時点で、締付対象のジョイント特性がハードジョイント(Jh)と判明しているので、仮締め停止トルク値(Tk)と制限電流値Xのパラメータ、本締め停止トルク値(Th)と制限電流Yのパラメータを変更し、再び仮締め停止処理を行ってから本締め処理を行うようにする。
勿論、締付対象のジョイント特性がハードジョイント(Jh)と判明しているので、本締め停止トルク値(Th)と制限電流Yのパラメータを変更し、仮締め停止処理を行うことなく本締め処理を行うようにしても良い。
続いて、トルクセンサー5の計測トルクのピーク値Tpが目標締め付けトルク値(Ts)の105%(Ts×1.05)未満の場合(Tp<Ts×1.05)で、仮締めトルク値(Tkm)以上の場合(Tkm≦Tp)締付対象のジョイント特性は、仮設定したミドルジョイント(Jm)またはソフトジョイント(Js)である可能性がある。
一方、トルクセンサー5の計測トルクのピーク値Tpが仮締め停止トルク値(Tkm)以上であれば、仮締停止トルク値Tkmの計算と共に求めた本締め停止トルク値(Thm)で駆動を停止しても、オーバートルクの恐れがない。
そこで、電動モータ1の駆動を一旦停止し(但し、トリガースイッチ65はONのまま)、駆動パラメータを仮締めパラメータから本締めパラメータに変更する。本締めパラメータは、仮設定したミドルジョイント(Jm)に対応する予め求めていた本締め停止トルク値(Thm)と、制限電流値Y(A)とする。
締付対象のジョイントがミドルジョイント(Jm)であれば、仮締め停止から本締めを開始し、本締め開始から本締め停止トルク値(Thm)に達するまでの時間がおおよそ予測できる。この時間を本締め時間(Mhm)とする。
本締め時間(Mhm)内において、トルクセンサー5の計測トルクのピーク値Tpが本締め停止トルク値(Thm)以上であれば、締付対象のジョイント特性がミドルジョイント(Jm)であると判断し、本締め停止トルク値(Thm)で電動モータ1の駆動を停止する。
また、本締め時間(Mhm)内に、トルクセンサー5の計測トルクのピーク値Tpが本締め停止トルク値(Thm)に達していなければ、締付対象のジョイント特性がソフトジョイント(Js)であると判断する。このまま、本締め停止トルク値(Thm)で電動モータ1の駆動を停止しても、目標トルク値(Ts)での締付が得られない。しかし、この時点で、締付対象のジョイント特性がソフトジョイント(Js)と判明しているので、仮締め停止トルク値(Tk)と制限電流値Xのパラメータ、本締め停止トルク値(Th)と制限電流Yのパラメータを変更し、再び仮締め停止処理を行ってから本締め処理を行うようにする。
勿論、締付対象のジョイント特性がソフトジョイント(Js)と判明しているので、本締め停止トルク値(Th)と制限電流Yのパラメータを変更し、仮締め停止処理を行うことなく本締め処理を行うようにしても良い。
コントローラー100は、設定したジョイントが適正であるか否かの判別を行うために、仮締め処理を実行する。
ジョイント特性設定部109により、ジョイント特性をハードジョイント(Jh)であるか、ミドルジョイント(Jm)であるか、ソフトジョイント(Js)であるかの仮設定を行うと、プロセッサー101は設定したジョイント特性に応じてパラメータ(停止トルク値(Tk)、電流制限値X(A))をROM103に記録したプログラムに従って計算する。設定したジョイント特性、計算したパラメータは表示部105に表示する。
コントローラー100は、仮締めを開始すると仮締め中LED107を点灯し、設定したジョイント特性が不適切と判定すると、表示部105にジョイントエラー表示を行い、異常LED108を点灯する。また、締め付けが完了すると、締付完了信号を、例えば送信部110に送信する。送信部110は、例えば無線または有線で不図示の管理装置に締付完了信号を送信する。その際、トルクセンサー5で計測したトルク値も送信部110から前記管理装置に送信される。
メモリー102は、例えば、半導体メモリーであり、各種制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)103と、プロセッサー101に一時的な作業領域を提供するRAM(Random Access Memory)104とを有する。例えば、ROM103は、各設定したジョイントに対応する仮締め用と本締め用のパラメータを計算するためのプログラム等を記録する。
図7は、仮締め点での停止と本締め点での停止の一例を示すチャートである。図7において、a波形、b波形、c波形、d波形が示される。図7のチャートは、横軸が時間、縦軸がトルクを示す。a波形はトルクセンサー5の実測値、b波形はa波形のピークトルク、c波形は締付側のボルトのトルク値、d波形は停止信号(命令)を示す。目標締め付けトルク値は2Nm、仮締めトルク(仮締め停止トルク)Tkは、目標締め付けトルク値(Ts)の30%とし、本締め停止トルクThを目標締め付けトルク値(Ts)の95%とする。このパラメータはハードジョイント(Jh)の場合を示す。
a波形は、約6800回転で仮締め停止トルクTkに達する。仮締め停止後、本締め停止のパラメータに変更される。本締め停止トルクでブレーキ停止しても、電動モータ1のモータ慣性力により、目標締め付けトルク値で締め付けが完了する。b波形のピーク波形は、回転数が増加するに従ってピーク値が上がっているので、仮締めから本締めが順調に行われていることが示される。c波形のボルト側で計測した締付トルクは、a波形と同じ波形を示しているので、ボルトに所定の軸力が発生していることが示される。d波形は、停止信号(命令)を示し、仮締め停止トルクTkで仮締め停止信号が出力され、本締め停止トルクThで本締め停止信号が出力されモータの駆動停止が実行されていることが示される。
図6に示すハードウェア構成による締結機60のボルト等の締結動作を実行する流れを図8のフローチャートに基づいて説明する。
本動作が開始されると、ステップ(以下、Sと略す)1において、締付方向を取得し、S2に進む。締付方向は、ユーザが締付方向設定部111において、締付方向を時計回り方向(CW)に設定する。締め付け方向が設定されると、締め付け方向にのみトルク値による駆動停止制御が実行され、逆方向は最大トルクまで動作する。
S2において、目標締め付けトルク値(Ts)を取得し、S3に進む。目標締め付けトルク値(Ts)は、表示部110等に並設した操作キー等を用いてユーザが入力を行う。
S3において、設定された設定ジョイントを取得し、S4に進む。設定ジョイントは、ジョイント特性設定部109を操作してユーザが設定する。ハードジョイント(Jh)、ミドルジョイント(Jm)、ソフトジョイント(Js)のうち、ミドルジョイント(Jm)を設定した場合を例にして以下説明する。
S4において、目標締め付けトルク値(Ts)に応じてミドルジョイントJmの仮締めパラメータと本締めパラメータを計算し、S5に進む。仮締めパラメータは、停止トルクTkm(Tsの15%)、電流制限値を0.66Aとする。また、本締めパラメータは、本締め時の停止トルクThm(Tsの95%)、電流制限値を40Aとする。
S5において、トリガースイッチ65のON信号を取得し、S6に進む。ユーザが締付開始のためにトリガースイッチ65を押すことで、ON信号が生成される。
S6において、電動モータ1に通電を行い、仮締めを開始させ、S7に進む。
S7において、トルクセンサー5によりトルク計測を開始し、計測トルク値を表示部105に表示し、S8に進む。
S8において、締め付け中LED106を点灯し、S9に進む。
S9において、計測トルクのピークトルク値が仮締め停止トルク値Tk(ミドルジョイントでは目標締め付けトルク値の15%)に達するのを待って、S10に進む。
S10において、電動モータ1の駆動停止を指示し、S11に進む。電動モータ1の駆動を停止しても、モータ等の慣性力で締付対象は直ぐには停止せず、さらに締め付けられる。
S11において、締め付け動作の停止を待ってS12に進む。締め付け動作の停止により電動モータ1の回生駆動が停止するので、締め付け動作の停止は、例えばモータ電流がゼロを検出することで判断する。締め付け動作の停止時において、仮締め停止トルクTkを超えて実際に締め付けが行われるオーバートルクが生じる場合がある。
S12において、トルクセンサー5により計測した計測トルク値のピークトルク値(Tp)が目標締め付けトルク値(Ts)の105%を(Ts×1.05)超えているか否かを判定する。超えていれば(Yes)S24に進み、超えていなければ(No)S13に進む。すなわち、S12で計測したピークトルク値がミドルジョイント(Jm)における仮締め停止トルク(Tkm)を超えていて、その値が目標締め付けトルク値(Ts)の105%を超えるような場合には、締付対象のジョイント特性がハードジョイント(Jh)と判断される。また、超えない場合には、締付対象のジョイント特性がミドルジョイントであると推測される。ただし、ソフトジョイントの場合もある。
S13において、ピークトルク値(Tp)が仮締め停止トルク値(Tkm)以上であるか否かを判定する。ピークトルク値(Tp)が仮締め停止トルク値(Tkm)以上であれば(Yes)、締結対象のジョイント特性が、仮設定したミドルジョイント(Jm)またはソフトジョイント(Js)と推測され、S14に進む。また、ピークトルク値(Tp)が仮締め停止トルク値(Tkm)未満であれば(No)、異常発生と判断し、S29に進み、本処理を強制終了する。
S14において、電動モータ1を正常停止させ、S15に進む。また、仮締め中LED106を消灯させる。
S15において、モータ駆動のパラメータをミドルジョイント(Jm)の仮締め用のパラメータから本締め用のパラメータに変更し、S16に進む。例えば本締め停止トルク値Thmを目標締め付けトルク値(Ts)の95%、制限電流値を40Aとする。
S16において、本締めを開始し、S17に進む。仮締め動作から本締め動作への電動モータ1の駆動は自動的に行われ、その間ユーザはトリガースイッチ65をオンした状態を維持する。なお、本締め中LEDを設け、本締めの開始で本締め中LEDを点灯させるようにしても良い。
S17において、タイマー時間Mが本締め時間(Mhm)に達するのを待って、S18に進む。
S18において、ピークトルク値(Tp)が本締め停止トルク値(Thm)以上であるか否かを判定する。ピークトルク値(Tp)が本締め停止トルク値(Thm)以上であれば(Yes)、締結対象のジョイント特性が本締めで設定したミドルジョイント(Jm)であると判断され、S19に進む。また、ピークトルク値(Tp)が本締め停止トルク値(Thm)未満であれば(No)、締結対象のジョイント特性がソフトジョイント(Js)と判断され、S30に進む。
S19において、電動モータ1を正常停止し、S20に進む。
S20において、締付完了信号を送信部110に送信し、S21に進む。
S21において、トルクセンサー5で測定した最終トルク値を表示部105に表示させ、S22に進む。なお、最終トルク値を送信部110にも送信する。
S22において、締め付け完了LED107を点灯させ、S23に進む。
S23において、締め付け作業が正常終了する。
したがって、締付対象のジョイント特性が仮設定したジョイント特性であるミドルジョイント(Jm)である場合、ユーザは、締付開始から終了までの間にトリガースイッチ65を握っているだけで、自動的に本締め停止トルク値まで電動モータによる締付対象の締め付けが実行され、その後は電動モータ1の慣性力により、目標締め付けトルク値で締め付け対象を締め付けることができる。
次に、S12で締付対象のジョイント特性がハードジョイント(Jh)と判断された場合、S24において、電動モータ1を異常停止させ、S25に進む。
S25において、締付対象のジョイント特性がミドルジョイント(Jm)ではなくハードジョイント(Jh)であることを報知するために、表示部105に「ハードジョイントエラー」の表示を行い、S26に進む。
S26において、異常LED108を点灯し、S27に進む。異常LED108を点灯(点滅させても良い)することで、ジョイント特性を誤設定したことをユーザに知らせる。
S27において、ミドルジョイントJmで設定した締め付け作業を異常終了させ、S28に進む。ここで、ユーザはトリガースイッチ65から手(指)を離すことで、トリガースイッチのオフ(OFF)信号を取得する。
S28において、設定ジョイントの切換を行って、S3に戻る。この場合は、締付対象のジョイント特性がハードジョイント(Jh)と判定されたので、ミドルジョイント(Jm)からハードジョイント(Jh)に自動的に切換える。なお、トリガースイッチのオフ(OFF)信号の取得を待って切換えても良く、待たずに切換えても良い。
続いて、S18で締付対象のジョイント特性がソフトジョイント(Js)と判断された場合、S30において、電動モータ1を異常停止させ、S31に進む。
S31において、締付対象のジョイント特性がミドルジョイント(Jm)ではなくソフトジョイント(Js)であることを報知するために、表示部105に「ソフトジョイントエラー」の表示を行い、S32に進む。
S32において、異常LED108を点灯し、S33に進む。異常LED108を点灯(点滅させても良い)することで、ジョイント特性を誤設定したことをユーザに知らせる。
S33において、ミドルジョイントJmで設定した締め付け作業を異常終了させ、S34に進む。ここで、ユーザはトリガースイッチ65から手(指)を離すことで、トリガースイッチのオフ(OFF)信号を取得する。
S34において、設定ジョイントの切換を行って、S3に戻る。この場合は、締付対象のジョイント特性がソフトジョイント(Js)と判定されたので、ミドルジョイント(Jm)からソフトジョイント(Js)に自動的に切換える。なお、トリガースイッチのオフ(OFF)信号の取得を待って切換えても良く、待たずに切換えても良い。
本実施形態では、仮設定したジョイント特性が締付対象のジョイント特性ではなくても、仮締めで締付対象のジョイント特性の誤りを正し、自動的に正しいジョイント特性に変更することができる。このため、ユーザは、ジョイント特性を誤設定しても、トリガースイッチ65をOFFにし、再びトリガースイッチ65をONとするだけで、締付対象のジョイント特性での締付が行える。
10 アクチュエータ
1 電動モータ
11 モータケーシング 12 モータ軸
13 取付け部 14 係合凹部
3 動力伝達部
31 本体ケーシング 32 遊星歯車減速機 33 出力軸部
35 動力伝達軸 36、38 ベアリング 37 固定ねじ
39 カプラー
40 調整部材
311 第3貫通孔
321 内歯 322 リングギア
322a ねじ孔部 322b ストッパーねじ
322c 後方嵌合部
323 太陽ギア 324 遊星ギア 325 支持軸
326 キャリア(ケージ)
331 第1貫通孔 327 第2貫通孔
5 トルクセンサー
51 起歪体 52 歪ゲージ
511 反力伝達部 512 反力受け部
511a ねじ孔 511b ギア部 511c 穴部
513a、513b 弾性変形体
512a ねじ孔 512b 第1軸孔部
512c 第2軸孔部
7 モータ固定部
71 モータ固定軸 72 モータ取り付け部
71a ねじ部 71b 軸孔部
720 基板 721 貫通孔部 722 係合爪部
723 締め付け部 723a 後端部 724 締付ナット部
724a ねじ部 724b 凹面部
60 ストレート型電動締付機
61 外装ハウジング 62 支持ブラケット 63 電源コード
64 端子部 65 トリガースイッチ 66 回転調節スイッチ
611 区室 612 壁部 613 通し孔
100 コントローラー
101 プロセッサー 102 メモリー
103 ROM 104 ROM
105 表示部
106 仮締め中LED
107 締付完了LED
108 異常LED
109 ジョイント特性設定部
110 送信部
111 締付方向設定部

Claims (7)

  1. 締付対象を目標締付トルク値に締め付ける電動モータを駆動源とし、締付トルクを検出するトルクセンサーを備えた電動駆動機器の制御装置であって、
    ジョイント特性に応じて仮締め停止トルク値を設定する仮締め設定トルク値設定部と、
    前記仮締め設定トルク値を前記トルクセンサーが検出して電動モータの駆動停止を指示後、締め付けが停止した時の締め付けトルクのピークトルク値を検出する第1ピークトルク検出部と、
    前記第1ピークトルク検出部で検出するピークトルク値に基づいて、締付対象のジョイント特性が、仮に設定した第1ジョイント特性であるか、他の第2ジョイント特性であるかを判別する第1ジョイント特性判別部と、
    前記第1ジョイント特性判別部で判別したジョイント特性が第1ジョイント特性であると、締め付けトルク値が前記電動モータへの停止指令から前記目標締付トルク値に達する第1停止トルク値まで締付対象を駆動する本締め駆動部と、
    を有する電動駆動機器の制御装置。
  2. 前記本締め駆動部による本締めの締付開始から所定の締め付け時間内における締付トルク値のピークトルク値を検出する第2ピークトルク検出部と、
    前記第2ピークトルク検出部で検出するピークトルク値に基づいて、締付対象のジョイント特性が仮設定した第1ジョイント特性であるか、他の第3ジョイント特性であるかを判別する第2ジョイント特性判別部と、
    を有し、
    前記本締め駆動部は、前記第2ジョイント特性判別部で判別したジョイント特性が第1ジョイント特性であると、前記第1停止トルク値まで締付対象を駆動することを特徴とする請求項1に記載の電動駆動機器の制御装置。
  3. 前記第1ジョイント特性判別部で判別したジョイント特性が他の第2ジョイント特性であると、ジョイント特性を第1ジョイント特性から他の第2ジョイント特性に切換える第1ジョイント特性切換部と、
    を有する請求項1または2に記載の電動駆動機器の制御装置。
  4. 前記第2ジョイント特性判別部で判別したジョイント特性が他の第3ジョイント特性であると、ジョイント特性を第1ジョイント特性から他の第3ジョイント特性に切換える第2ジョイント特性切換部と、
    を有する請求項2に記載の電動駆動機器の制御装置。
  5. 前記第1ジョイント特性判別部は、前記第1ピークトルク検出部で検出するピークトルク値が、前記目標締付トルク値よりも大きな大トルク値を超えていると、前記締付対象のジョイント特性が前記他の第2ジョイント特性であると判別することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電動駆動機器の制御装置。
  6. 前記第1ジョイント特性判別部は、前記第1ピークトルク検出部で検出するピークトルク値が前記トルク値以下で、仮設定した第1ジョイント特性に対応する仮停止トルク値以上であると、締付対象のジョイント特性が第1ジョイント特性と推定することを特徴とする請求項5に記載の電動駆動機器の制御装置。
  7. 前記第2ジョイント特性判別部は、前記第2ピークトルク検出部で検出するピークトルク値が、仮設定した第1ジョイント特性に対応する本締め停止トルク値以上であれば、締付対象のジョイント特性が第1ジョイント特性と判別し、本締め停止トルク未満であれば、前記他の第3ジョイント特性と判別することを特徴とする請求項2または4のいずれかに記載の電動駆動機器の制御装置。
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