JP6411110B2 - 電動トルクレンチ - Google Patents
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Description
携帯性と作業性の観点から、電動トルクレンチを片手持ちで操作できることが望まれるので、ピストル形状のハンディタイプのものが多く使用されている。
すなわち、電流パルスがオンの際に作業者の持つハンドル部に瞬間的にトルクが加わるが、電動トルクレンチを締付方向とは逆の方向に加速するエネルギーが単位時間当たり微小であるため、加速エネルギーはその後の電流パルスがオフの間に作業者の手で吸収されることとなり、これを連続的に繰り返して、トルクの発生と吸収時間との差によって作業者の負担を軽減するようにしている。
図1(a)に示される電動トルクレンチ1は、蓄電池2が着脱自在に装着されるハンドル部3aを有する本体ケーシング3と、この本体ケーシング3内に本体部分が収容される電動モータ4とを備え、ハンドル部3aを手で握ったときに人差し指が掛け易い位置に配設されたトリガー5を引くことにより、蓄電池2を電源として図示されない電気回路を経て電動モータ4にパルス状の電流が供給され、これによって電動モータ4の回転軸4aからパルス状のトルクが出力されるようになっている。
電動モータ4としては、例えば、三相のACサーボモータを好適に用いることができるが、正逆の回転が可能であって、停止時にフリーの状態となり、かつ回転速度の制御が可能なものであれば、単相のACサーボモータ、誘導モータ、DCモータなどの種々のモータを採用することができる。
電動モータ4の本体部分を構成する電動モータ本体4bは、円筒状のハウジング内に回転子や固定子等が収容されてなり、該電動モータ本体4bが、本体ケーシング3に形成された電動モータ収容部3bに嵌挿されることにより、本体ケーシング3に対し電動モータ本体4bが回転軸4aの軸線Os(以下「回転軸線Os」と称する。)の回りに相対回転可能に支持されている。
図1(b)に示されるように、ピン係合孔7は、電動モータ4の回転軸線Osに沿う方向にピン6を挟むように対向配置される第1係合面7a及び第2係合面7bを有している。
第1係合面7a及び第2係合面7bは、ピン6の周面にぴったりと接触されており、これらの係合面7a,7bでピン6が挟まれることによって、電動モータ本体4bの回転軸線Os方向の移動が拘束される。
第3係合面7c及び第4係合面7dは、ピン6がそれら係合面7c,7dの間の中間位置にあるとき、ピン6の周面との間に所定の隙間を有して配されており、これらの係合面7c,7dでピン6が挟まれることによって、第1相対角度位置と第2相対角度位置との間で電動モータ本体4bが本体ケーシング3に対し相対回転することができるようになっている。
ここで、第1相対角度位置とは、図2(b)に示されるように、本体ケーシング3に対して電動モータ本体4bが回転軸線Os回りの一方向に回転し、ピン6が第3係合面7cと接触してその回転が止められたときの本体ケーシング3に対する電動モータ本体4bの回転軸線Os回りの相対角度位置のことである。
また、第2相対角度位置とは、図2(c)に示されるように、本体ケーシング3に対して電動モータ本体4bが回転軸線Os回りの他方向に回転し、ピン6が第4係合面7dと接触してその回転が止められたときの本体ケーシング3に対する電動モータ本体4bの回転軸線Os回りの相対角度位置のことである。
図1(a)に示されるように、電動モータ本体4bの先端面には、トルクセンサ10が装着されている。
トルクセンサ10は、電動モータ4の回転軸線Osと同軸心をなして電動モータ本体4bの先端面にボルト締結によって固定されるドラム状のセンサ本体10aを備え、このセンサ本体10aの胴部外周面に歪ゲージ10bが固着されて構成されている。
センサ本体10aの先端部には、径方向外向きに張り出すように歯車11が一体的に形成される一方、基端部には、外向きのフランジ12が一体的に形成され、このフランジ12には、ギヤケーシング13が螺着されている。
中間軸14は、センサ本体10aと電動モータ本体4bとの境界部に組み込まれる軸受15によって回転自在に支持された状態で、その基端部が電動モータ4の回転軸4aに動力伝達可能に接続されるとともに、その先端部が遊星歯車機構16を介して主軸17に動力伝達可能に接続されている。
このギヤケーシング13と本体ケーシング3との間には、本体継手20が配設されている。
本体継手20は、電動モータ本体4bの先端部外周に嵌合・装着されるリング状部20aと、本体ケーシング3におけるトリガー5の取付部の上方部位と対向するようにリング状部20aから一体的に突設される突出部20bとを備えている。
リング状部20aは、本体ケーシング3及びギヤケーシング13のそれぞれの突き合せ部分に対していんろうのはめあい関係とされて本体ケーシング3及びギヤケーシング13のそれぞれに対し回転軸線Os回りに相対回転可能とされている。
こうして、本体継手20は、回転軸線Os回りの第1相対角度位置(図2(b)参照)と第2相対角度位置(図2(c)参照)との間の所定の角度範囲において、電動モータ本体4bと一体となって本体ケーシング3に対し相対回転可能とされている。
弾性体嵌込穴25は、本体ケーシング3に対する電動モータ本体4bの相対回転方向に沿って延びる角丸四角形状の穴であり、言い換えれば、回転軸線Os上の点Oを中心として突出部20bにおける本体ケーシング3との対向面上に描かれる所定径の仮想円Mの周方向に沿って、より正確に言えば、その仮想円M上の接線Lに沿って延びる角丸四角形状の穴である。
弾性体嵌込穴25は、接線L方向に比較的大きい間隔をあけて対向配置される一対の湾曲状端壁面25a,25bと、接線L方向と直交する方向に一対の湾曲状端壁面25a,25bの間隔よりも小さい間隔をあけてそれら湾曲状端壁面25a,25bと連続するように対向配置される一対の平坦状側壁面25c,25dとを有している。
図1(a)に示されるように、本体ケーシング3におけるトリガー5の取付部の上方部位には、弾性体嵌込穴25に差し込み可能なピン26が植設されている。
図3(a)に示されるように、ピン26は、弾性体嵌込穴25における一対の湾曲状端壁面25a,25bに対して十分に広い隙間を有する一方で、一対の平坦状側壁面25c,25dに対してやや狭い隙間を有し、弾性体嵌込穴25の奥壁面に近接する位置まで延びるような形状寸法で配設されている。
弾性体嵌込穴25には、一対の湾曲状端壁面25a,25b及び一対の平坦状側壁面25c,25dとピン26との間の隙間を埋めるように介在される弾性体30が嵌め込まれている。
弾性体30は、本体ケーシング3に対する電動モータ本体4bの相対回転方向に沿って延びる、ピン26の挿通孔を有する断面角丸四角形状で、言い換えれば、仮想円Mの周方向に沿って、より正確に言えば、仮想円M上の接線L方向に沿って延びる、ピン26の挿通孔を有する断面角丸四角形状で、弾性体嵌込穴25の奥壁面に到達して接する奥行寸法に形成されている。
弾性体30としては、衝撃・振動吸収性に優れ、外力を受けてもほとんど反発せず、エネルギーを吸収する特性を有するものであればよく、例えば、低反発性の制振ゴム(例えば、内外ゴム株式会社製の制振ゴム「ハネナイト」(登録商標))等を好適に用いることができる。
なお、本実施形態においては、弾性体嵌込穴25を本体継手20側に、ピン26を本体ケーシング3側に、それぞれ設けるようにしたが、弾性体嵌込穴25を本体ケーシング3側に、ピン26を本体継手20側に、それぞれ設けるようにすることもでき、また、弾性体嵌込穴25及びピン26を設ける箇所を、2箇所以上、好ましくは、回転軸線Os上の点Oを回転対称として2箇所以上とすることもできる。
以上に述べたように構成される電動トルクレンチ1によるねじ締付動作は、次のようにして行われる。
主軸17の先端部にソケットSを装着し、装着したソケットSを、締付対象であるボルトやナットに嵌め込み、ハンドル部3aをしっかりと握りしめてトリガー5を引く。
これにより、電動モータ4にパルス状の電流が供給され、これによって電動モータ4の回転軸4aからパルス状のトルクが出力され、該トルクが中間軸14、遊星歯車機構16及び主軸17を介してソケットSに伝達されてボルトやナットが締め付けられる。
これにより、図3(b)に示されるように、弾性体30は、一方の湾曲状端壁面25aとピン26とで挟まれた部分が圧縮されて弾性変形する。
なお、上記のねじ締付動作の反対の動作であるねじ緩め動作においては、ねじ緩め方向の反対方向に電動モータ本体4bを回転軸線Os回りに回転させるような反力が発生し、かかる反力によって電動モータ本体4bと一体となって本体継手20がねじ緩め方向の反対方向に回転する。
これにより、図3(c)に示されるように、弾性体30は、他方の湾曲状端壁面25bとピン26とで挟まれた部分が圧縮されて弾性変形する。
本実施形態の電動トルクレンチ1によれば、パルス状のトルクによってねじを締め付ける際(ねじを緩める際)の電動モータ本体4bからの反力を弾性体30が受けて弾性変形することにより、電動モータ本体4bからの反力が弾性体30で吸収されるので、パルス状のトルクによってねじを締め付ける際(ねじを緩める際)に作業者が受ける反力を実質的に低減することができ、長時間の使用に伴う作業者の疲労を効果的に軽減することができる。
また、弾性体30は、本体ケーシング3に対し電動モータ本体4bが相対回転する方向に沿って延びる形状とされているので、電動モータ本体4bからの反力を弾性体30でより効果的に吸収することができる。
3 本体ケーシング
4 電動モータ
4a 回転軸
4b 電動モータ本体
20 本体継手
26 ピン
30 弾性体
Claims (2)
- 本体ケーシング内に本体部分が収容された電動モータの回転軸から出力されるパルス状のトルクによってねじを締め付けるようにした電動トルクレンチにおいて、本体ケーシングに対し電動モータの本体部分を本体継手を介して回転軸線回りに相対回転可能に支持するようにし、本体ケーシング及び本体継手の一方にピンを植設し、本体ケーシング及び本体継手の他方に前記ピンが差し込まれる弾性体嵌込穴を形成し、該弾性体嵌込穴に、本体ケーシングに対する電動モータの本体部分の相対回転に抗するように制振ゴムからなる弾性体を弾性体嵌込穴とピンとの間のピンの全外周に存在する隙間を埋めるように配設して、ねじ締付時における電動モータの本体部分からの反力を弾性体が受けて弾性変形するようにしたことを特徴とする電動トルクレンチ。
- 弾性体は、本体ケーシングに対する電動モータの本体部分の相対回転方向に沿って延びる形状としたことを特徴とする請求項1記載の電動トルクレンチ。
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