JP2016097335A - イオン交換樹脂の再生・評価方法及び再生・評価装置 - Google Patents

イオン交換樹脂の再生・評価方法及び再生・評価装置 Download PDF

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Abstract

【課題】イオン交換樹脂の再生を簡易に行うことができ、再生されたイオン交換樹脂のイオン交換性能を容易に評価することができるイオン交換樹脂の再生・評価方法及び再生・評価装置を提供する。
【解決手段】イオン交換樹脂12の再生・評価方法は、イオン交換処理装置で使用されたイオン交換樹脂12を再生し、得られた再生イオン交換樹脂12aのイオン交換性能を評価するものである。すなわち、イオン交換処理装置から採取されたアニオン交換樹脂15を水酸化ナトリウム水溶液で再生し、カチオン交換樹脂16にアニオン交換樹脂15を混合して硫酸水溶液で再生する。得られた再生アニオン交換樹脂15aと再生カチオン交換樹脂16aとを混合した再生イオン交換樹脂12aに対して硫酸ナトリウム水溶液を通液し、通液後の水溶液の電気伝導率と硫酸イオン濃度を測定して物質移動係数(MTC)を算出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば火力発電所のボイラーの水処理装置において使用されたイオン交換樹脂としてのアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂を再生し、得られた再生イオン交換樹脂のイオン交換性能を評価するためのイオン交換樹脂の再生・評価方法及び再生・評価装置に関する。
アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂は、火力発電所のボイラーの水処理装置において使用されるとき、ナトリウムイオン、カリウムイオン、塩化物イオン等の不純物イオンをイオン交換することから、再生が必要である。このイオン交換樹脂の性能試験は、イオン交換樹脂を再生後に、試験液を通液して電気伝導率や硫酸イオン濃度の測定により評価され、良好と判断されたとき再使用に供される。
この種のイオン交換樹脂の再生・評価方法として、例えばカチオン交換樹脂の性能評価方法が特許文献1に開示されている。このカチオン交換樹脂の性能評価方法は、水処理装置からカチオン交換樹脂を採取し、そのカチオン交換樹脂からアニオン交換樹脂へ順に酸化剤水溶液を通水した後、アニオン交換樹脂に塩類含有水を通水し、その処理水の電気伝導率を測定するものである。
すなわち、このカチオン交換樹脂の性能評価方法は、カチオン交換樹脂を酸化剤水溶液により強制的に酸化劣化させる加速試験であり、カチオン交換樹脂が劣化すると、カチオン交換樹脂からの溶出物に起因してアニオン交換樹脂が性能低下し、処理水の水質が低下することを予測するための方法である。具体的には、カチオン交換樹脂を酸化剤水溶液で処理して劣化を促進し、スルホン酸基を有する溶出物を増大させ、そのスルホン酸基がアニオン交換樹脂に吸着し、アニオン交換樹脂の性能を低下させる点を評価することにより、カチオン交換樹脂の使用限界を予測するものである。
特開平8−248019号公報
前述した特許文献1に記載されている従来構成のカチオン交換樹脂の性能評価方法においては、カチオン交換樹脂を酸化剤水溶液で強制的に劣化させてアニオン交換樹脂への影響を評価する方法である。このため、カチオン交換樹脂を酸化剤水溶液で強制劣化させる条件設定が難しく、強制劣化の程度によりアニオン交換樹脂への影響が変化し、性能評価方法が煩雑であった。また、水処理装置で使用後のカチオン交換樹脂を常法に従って再生したときの再生イオン交換樹脂のイオン交換性能を直接把握することができなかった。
そこで、本発明の目的とするところは、イオン交換樹脂の再生を簡易に行うことができ、再生されたイオン交換樹脂のイオン交換性能を容易に評価することができるイオン交換樹脂の再生・評価方法及び再生・評価装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明のイオン交換樹脂の再生・評価方法は、イオン交換処理装置で使用されたイオン交換樹脂を再生し、得られた再生イオン交換樹脂のイオン交換性能を評価する再生・評価方法であって、前記イオン交換処理装置から採取されたアニオン交換樹脂を水酸化ナトリウム水溶液で再生するとともに、イオン交換処理装置から採取されたカチオン交換樹脂に前記アニオン交換樹脂を混合して硫酸水溶液で再生し、得られた再生アニオン交換樹脂と再生カチオン交換樹脂とを混合した再生イオン交換樹脂に対して硫酸ナトリウム水溶液を通液し、通液後の水溶液の電気伝導率を測定するとともに、硫酸イオン濃度を測定して物質移動係数(MTC)を算出するものである。
前記カチオン交換樹脂の再生時に混合されるアニオン交換樹脂の混合量は、再生に供されるアニオン交換樹脂中の5〜20体積%であることが好ましい。
前記通液後の水溶液の物質移動係数(MTC)は1.5×10−4m/s以上であり、かつ電気伝導率は0.15μS/cm以下であるときに再生イオン交換樹脂が良好であると判断することが好ましい。
前記通液後の水溶液の硫酸イオン濃度(ppb)と電気伝導率(μS/cm)とは比例関係を示すことが好ましい。
前記イオン交換処理装置は、火力発電所におけるボイラーの水処理装置であり、前記アニオン交換樹脂はポリスチレン系の強塩基性アニオン交換樹脂、カチオン交換樹脂はポリスチレン系の強酸性カチオン交換樹脂であることが好ましい。
イオン交換樹脂の再生・評価装置は、前記イオン交換樹脂の再生・評価方法に使用されるものであって、前記イオン交換処理装置から採取されたアニオン交換樹脂を水酸化ナトリウム水溶液で再生するか、又はイオン交換処理装置から採取されたカチオン交換樹脂を硫酸水溶液で再生する再生用カラムと、再生後の再生アニオン交換樹脂及び再生カチオン交換樹脂を混合した再生イオン交換樹脂に硫酸ナトリウム水溶液を通液する通液用カラムと、通液用カラムを通過した水溶液の電気伝導率を測定する電気伝導率計と、通液用カラムを通過した水溶液の硫酸イオン濃度を測定する硫酸イオン濃度計とを備えたものである。
本発明のイオン交換樹脂の再生・評価方法によれば、イオン交換樹脂の再生を簡易に行うことができ、再生されたイオン交換樹脂のイオン交換性能を容易に評価することができるという効果を奏する。
実施形態におけるイオン交換樹脂の再生・評価装置の構造を模式的に示す概略説明図。 イオン交換樹脂の再生装置を示す概略説明図。 MTCと電気伝導率との関係を示すグラフ。 SO濃度と電気伝導率との関係を示すグラフ。
以下、本発明の実施形態を図1及び図2に基づいて詳細に説明する。
火力発電所においては、石油や天然ガスをボイラーで燃焼させて得られた熱が水に伝達され、水蒸気に変換され、その水蒸気が蒸気タービンに送られる。この場合、使用される水は純度の高い水であることが要求され、イオン交換処理装置としてのボイラーの水処理装置において、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂からなるイオン交換樹脂により不純物イオンが除去される。長時間使用されたイオン交換樹脂はイオン交換容量が低下することから、再生された後に再生イオン交換樹脂として再使用に供される。
前記アニオン交換樹脂としては、例えばポリスチレン系の強塩基性アニオン交換樹脂〔官能基は−N≡(CHX、Xは水酸基(−OH)等のアニオン交換基〕が用いられる。カチオン交換樹脂としては、例えばポリスチレン系の強酸性カチオン交換樹脂(官能基は−SOM、Mは水素(−H)等のカチオン交換基)が用いられる。
図2に示すように、前記水処理装置で使用済みのイオン交換樹脂12を再生するための再生実装置11において、縦長筒状の再生塔13内の略中央部には上下を区分けするコレクタ14が配置され、そのコレクタ14より上部にはアニオン交換樹脂15が装填され、コレクタ14より下部には主にカチオン交換樹脂16が装填されている。カチオン交換樹脂16はアニオン交換樹脂15より比重が大きく重いため下部に装填され、アニオン交換樹脂15は上部に装填される。
再生用の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液は、再生塔13の頂壁に設けられた第1導入口17から再生塔13内へ注入される。再生用の硫酸(HSO)水溶液は、再生塔13の底壁に設けられた第2導入口18から再生塔13内に注入される。再生塔13の周壁には、コレクタ14を挟むように排出口19が設けられている。
そして、アニオン交換樹脂15の再生時には、水酸化ナトリウム水溶液が第1導入口17から再生塔13内に供給されて排出口19から排出され、アニオン交換樹脂15のアニオンが水酸化物イオン(OH)に交換されるようになっている。一方、カチオン交換樹脂16の再生時には、硫酸水溶液が第2導入口18から再生塔13内に供給されて排出口19から排出され、カチオン交換樹脂16のカチオンが水素イオン(H)に交換されるようになっている。
この場合、再生塔13内に収容されたアニオン交換樹脂15とカチオン交換樹脂16との分離境界面20(図2の二点鎖線)は、コレクタ14より下に位置するように設定されている。なお、この分離境界面20は、イオン交換樹脂12が使用に伴って摩耗や破砕を生ずることから若干下がる傾向を示す。このコレクタ14と分離境界面20との間に存在するアニオン交換樹脂15の量は、アニオン交換樹脂15の全体積のうちの5〜20体積%程度である。そのようなアニオン交換樹脂15を考慮してイオン交換樹脂12の再生が行われる。
次に、上記のような点を考慮したイオン交換樹脂12の再生・評価装置について説明する。
図1に示すように、イオン交換樹脂12の再生装置111は一対のアニオン再生用カラム21とカチオン再生用カラム22とを有し、アニオン再生用カラム21には使用後のアニオン交換樹脂15が装填され、カチオン再生用カラム22には使用後のカチオン交換樹脂16が装填される。アニオン交換樹脂15を再生するための水酸化ナトリウム水溶液が収容された水酸化ナトリウムタンク23には再生用配管24の一端が接続され、再生用配管24の他端が第1ポンプ25を介してアニオン再生用カラム21に接続されている。
本実施形態では、前記カチオン再生用カラム22にはカチオン交換樹脂16に加えて少量のアニオン交換樹脂15が混合される。このアニオン交換樹脂15の混合量は、再生に供されるアニオン交換樹脂15中の5〜20体積%が好ましく、8〜15体積%がさらに好ましい。アニオン交換樹脂15の混合量が5体積%より少ない場合又は20体積%より多い場合には、前記再生実装置11における分離境界面20の変動範囲を逸脱し、再生実装置11に対応させたアニオン交換樹脂15の再生が難しくなるおそれがある。
一方、カチオン交換樹脂16を再生するための硫酸水溶液が収容された硫酸タンク26には再生用配管24の一端が接続され、再生用配管24の他端が第1ポンプ25を介してカチオン再生用カラム22に接続されている。前記水酸化ナトリウムタンク23と第1ポンプ25とを接続する再生用配管24には第1バルブ27が設けられるとともに、硫酸タンク26と第1ポンプ25とを接続する再生用配管24には第2バルブ28が設けられている。そして、第1バルブ27と第2バルブ28の切替えにより、水酸化ナトリウムの供給と硫酸の供給とを切替えて行うことができるように構成されている。
前記第1ポンプ25とアニオン再生用カラム21とを接続する再生用配管24には第3バルブ29が設けられるとともに、第1ポンプ25とカチオン再生用カラム22とを接続する再生用配管24には第4バルブ30が設けられている。そして、第3バルブ29と第4バルブ30の切替えにより、水酸化ナトリウムをアニオン再生用カラム21へ供給でき、硫酸をカチオン再生用カラム22に供給できるようになっている。なお、アニオン再生用カラム21とカチオン再生用カラム22にはそれぞれ排出管31、32が接続され、再生に使用された後の水酸化ナトリウム水溶液又は硫酸水溶液が排出されるようになっている。
次いで、評価装置としての通液試験装置33は通液用カラム34を有し、前記アニオン再生用カラム21及びカチオン再生用カラム22で再生された再生アニオン交換樹脂15a及び再生カチオン交換樹脂16aが混合された再生イオン交換樹脂12aが収容され、再生イオン交換樹脂12aのイオン交換性能が測定される。純水が収容された純水タンク35には通液試験用配管36の一端が接続され、その他端が第2ポンプ37を介して通液用カラム34に接続されている。
通液試験用の硫酸ナトリウム(NaSO)水溶液が収容された硫酸ナトリウムタンク38には通液試験用配管36の一端が接続され、その他端が第2ポンプ37を介して通液用カラム34に接続されている。この通液試験用配管36は、前記アニオン再生用カラム21及びカチオン再生用カラム22まで延長されている。
前記硫酸ナトリウムタンク38と第2ポンプ37を接続する通液試験用配管36には第5バルブ39が設けられるとともに、純水タンク35と第2ポンプ37とを接続する通液試験用配管36には第6バルブ40が設けられ、硫酸ナトリウム又は純水を第2ポンプ37で供給できるようになっている。また、第2ポンプ37と通液用カラム34とを接続する通液試験用配管36には第7バルブ47が設けられ、硫酸ナトリウム水溶液又は純水を通液用カラム34に送るようになっている。第2ポンプ37とアニオン再生用カラム21とを接続する通液試験用配管36には第8バルブ41が設けられるとともに、第2ポンプ37とカチオン再生用カラム22とを接続する通液試験用配管36には第9バルブ43が設けられ、純水がアニオン再生用カラム21又はカチオン再生用カラム22に送られるようになっている。
前記通液用カラム34の下端部には排出配管44が接続され、その排出配管44には電気伝導率計45が設けられ、通液用カラム34を通過した水溶液の電気伝導率を測定する。この電気伝導率計45より下流の排出配管44には硫酸イオン濃度計46が接続され、排出配管44を通過する水溶液の硫酸イオン濃度を測定し、得られた硫酸イオン濃度から物質移動係数(MTC)を算出するようになっている。
このMTCの値Kは、下式(1)で算出される。
K=〔1/(6×V)〕×F×d×(lnC/C) ・・・(1)
但し、V=V×ρ/ρ
前記Vは充填体積〔×10−6(m)〕、Vは真体積〔×10−6(m)〕、ρは見掛け比重(g/cm)、ρは真比重(g/cm)を表す。また、Fは流量〔×10−6(m/s)〕、dは調和平均粒子径〔×10−6(m)〕、Cは通液用カラム34に供給される水溶液のSO濃度(mg/m)、Cは通液用カラム34を通過した後の水溶液のSO濃度(mg/m)を表す。
前記通液用カラム34に通液後の水溶液の物質移動係数(MTC)の値Kは1.5×10−4m/s以上であることが好ましく、かつ電気伝導率は0.15μS/cm以下であることが好ましい。これらの条件が満たされたとき、イオン交換樹脂12が再生イオン交換樹脂12aとして良好であると判断される。なお、MTCの値Kの上限は通常2.0×10−4m/s程度であり、電気伝導率の下限は通常0.05μS/cm程度である。
電気伝導率が0.15μS/cmを上回る場合及びMTCの値が1.5×10−4m/sを下回る場合には、イオン交換樹脂12の再生が不十分であり、再生イオン交換樹脂12aを再使用したとき、イオン交換機能を安定して発現することができなくなる。
前記通液用カラム34に通液後の水溶液の硫酸イオン濃度(ppb)と電気伝導率(μS/cm)とは、比例関係を示すことが好ましい。この場合には、前記通液試験がアニオン交換樹脂15とカチオン交換樹脂16とからなるイオン交換樹脂12の通液試験として適切であると判断することができる。硫酸イオン濃度と電気伝導率とが比例関係を示さない場合、アニオン交換樹脂15とカチオン交換樹脂16の双方の通液試験としては適性を欠き、再生アニオン交換樹脂15a又は再生カチオン交換樹脂16aの再使用時にイオン交換性能が低下したりして安定性が悪くなる。
前記イオン交換樹脂12の再生・評価方法に使用されるイオン交換樹脂12の再生・評価装置10は、前記アニオン再生用カラム21、カチオン再生用カラム22、水酸化ナトリウムタンク23、硫酸タンク26、通液用カラム34、純水タンク35、硫酸ナトリウムタンク38、電気伝導率計45及び硫酸イオン濃度計46等により構成されている。
次に、上記のように構成されたイオン交換樹脂12の再生・評価方法を作用とともに説明する。
さて、図1に示すように、使用後のイオン交換樹脂12を再生する場合には、使用後のアニオン交換樹脂15をアニオン再生用カラム21に装填するとともに、使用後のカチオン交換樹脂16をカチオン再生用カラム22に装填する。このとき、アニオン交換樹脂15の一部をカチオン交換樹脂16とともにカチオン再生用カラム22に装填する。この状態で、アニオン再生用カラム21に水酸化ナトリウム水溶液を通液してアニオン交換樹脂15を再生した後、カチオン再生用カラム22に硫酸水溶液を通液してカチオン交換樹脂16を再生する。
このとき、アニオン再生用カラム21に装填されているアニオン交換樹脂15は水酸化ナトリウムでイオン交換されてそのアニオンが水酸化物イオン(OH)にイオン交換されるとともに、カチオン再生用カラム22に装填されているカチオン交換樹脂16は硫酸でイオン交換されてそのカチオンが水素イオン(H)にイオン交換される。なお、カチオン再生用カラム22に装填された少量のアニオン交換樹脂15は硫酸により、そのアニオンが硫酸イオン(SO 2−)にイオン交換される。
続いて、イオン交換された再生アニオン交換樹脂15a及び再生カチオン交換樹脂16aは通液用カラム34に装填された後、硫酸ナトリウム水溶液が通液される。通液後の水溶液は電気伝導率計45で電気伝導率が測定されるとともに、硫酸イオン濃度計46で硫酸イオン濃度が測定される。測定された硫酸イオン濃度に基づいて、MTCの値Kが前記式(1)により算出される。そして、通液用カラム34を通過した水溶液のMTCの値Kが1.5×10−4m/s以上であり、かつ電気伝導率が0.15μS/cm以下である場合に再生イオン交換樹脂12aとして良好であると判断される。
前記のように、通液用カラム34を通過した水溶液について、電気伝導率及びMTCの値Kが同時に得られ、再生イオン交換樹脂12aのイオン交換性能を速やかに評価することができる。
以上詳述した実施形態によって得られる効果を以下にまとめて記載する。
(1)本実施形態のイオン交換樹脂12の再生・評価方法は、使用後のアニオン交換樹脂15を水酸化ナトリウム水溶液で再生するとともに、使用後のカチオン交換樹脂16に前記アニオン交換樹脂15を混合して硫酸水溶液で再生する。続いて、得られた再生イオン交換樹脂12aに対して硫酸ナトリウム水溶液を通液し、通液後の水溶液の電気伝導率を測定するとともに、硫酸イオン濃度を測定してMTCの値Kを算出するものである。
このため、アニオン交換樹脂15の再生を、再生実装置11を考慮して適切に行うことができるとともに、再生イオン交換樹脂12aに通液後の水溶液について電気伝導率と硫酸イオン濃度とを同時に測定することができ、硫酸イオン濃度からMTCの値Kを算出することができる。従って、電気伝導率とMTCの値Kから再生イオン交換樹脂12aのイオン交換性能を速やかに評価することができる。
よって、本実施形態のイオン交換樹脂12の再生・評価方法によれば、イオン交換樹脂12の再生を簡易に行うことができるとともに、再生イオン交換樹脂12aのイオン交換性能を容易に評価することができる。
(2)前記カチオン交換樹脂16の再生時に混合されるアニオン交換樹脂15の混合量は、再生に供されるアニオン交換樹脂15中の5〜20体積%である。そのため、再生実装置11のアニオン交換樹脂15の状態に対応させてアニオン交換樹脂15の再生を行うことができる。
(3)前記通液後の水溶液のMTCの値Kは1.5×10−4m/s以上であり、かつ電気伝導率は0.15μS/cm以下であるときに再生イオン交換樹脂12aが良好であると判断される。従って、一度の通液試験で得られた電気伝導率とMTCの値Kに基づいて、再生イオン交換樹脂12aの再使用の可否を容易かつ迅速に判断することができる。
(4)前記通液後の水溶液の硫酸イオン濃度(ppb)と電気伝導率(μS/cm)とは比例関係を示す。このため、硫酸イオン濃度と電気伝導率とが密接な関連性を有することが示され、言い換えればMTCの値Kと電気伝導率とが密接な関連性を有することが示され、再生イオン交換樹脂12aの再使用の可否を的確に行うことができる。
(5)前記イオン交換処理装置は、火力発電所におけるボイラーの水処理装置であり、前記アニオン交換樹脂15はポリスチレン系の強塩基性アニオン交換樹脂、カチオン交換樹脂16はポリスチレン系の強酸性カチオン交換樹脂である。そのため、火力発電所で使用されるイオン交換樹脂12のイオン交換機能を火力発電所のボイラーの水処理装置で良好に発揮できるとともに、使用後のイオン交換樹脂12を再生して円滑に継続使用することができる。
(6)前記再生・評価装置10は、アニオン交換樹脂15又はカチオン交換樹脂16を再生する再生用カラム21、22と、再生イオン交換樹脂12aに硫酸ナトリウム水溶液を通液する通液用カラム34と、電気伝導率計45と、硫酸イオン濃度計46とを備えている。従って、イオン交換樹脂12の再生を再生実装置11に対応させて簡易に行うことができるとともに、再生イオン交換樹脂12aのイオン交換性能を容易に評価することができる。
次に、実施例及び比較参考例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(実施例1及び比較参考例1〜4)
5つの火力発電所におけるボイラーの水処理装置で使用されたそれぞれのアニオン交換樹脂15及びカチオン交換樹脂16を再生装置111で再生した後、通液試験装置33を使用してイオン交換性能を評価した。
アニオン交換樹脂15としてはポリスチレン系の強塩基性アニオン交換樹脂〔オルガノ(株)製のIRA900〕を使用し、カチオン交換樹脂16としてはポリスチレン系の強酸性カチオン交換樹脂〔オルガノ(株)製の200CT〕を使用した。アニオン交換樹脂15とカチオン交換樹脂16の体積比を1:2とした。また、通水条件として空間速度(SV)を200(1/hr)に設定した。
イオン交換樹脂12の再生・評価方法としては、実施形態法1及び2では、前記実施形態の再生・評価装置10を使用して試験を行った。実施形態法1ではアニオン交換樹脂15の10体積%をカチオン交換樹脂16に混合して再生を行い、実施形態法2ではアニオン交換樹脂15の20体積%をカチオン交換樹脂16に混合して再生を行った。再生用には4質量%の水酸化ナトリウム水溶液及び5質量%の硫酸水溶液を使用し、通液試験用には2ppmの硫酸イオンを含む硫酸ナトリウム水溶液を使用した。また、従来法では、アニオン交換樹脂15をカチオン交換樹脂16に混合することなく、別々に再生を行った。
得られたMTCの値K(×10−4m/s)、硫酸イオン濃度(ppb)及び電気伝導率(μS/cm)を表1に示すとともに、図3にプロットした。
表1及び図3に示すように、実施例1では実施形態法1、2及び従来法のいずれにおいても、MTCの値Kが1.5×10−4m/s以上で、かつ電気伝導率が0.15μS/cm以下の領域Rに存在し、その場合に再生イオン交換樹脂12aが良好であると判断できた。これに対し、比較参考例1〜4では、MTCの値K又は電気伝導率、或いはそれらの双方が前記領域Rの範囲外に存在し、再生イオン交換樹脂12aは再使用に適さない結果であった。
また、前記硫酸イオン濃度(ppb)と電気伝導率(μS/cm)とを図4にプロットした。図4において、○は実施例1、□は比較参考例1、△は比較参考例2、◇は比較参考例3及び×は比較参考例4を示す。
この図4に示すように、実施例1及び比較参考例1〜4の全てにおいて、硫酸イオン濃度と電気伝導率とがほぼ比例関係を示すことから、硫酸イオン濃度と電気伝導率とは相関関係を有することを確認することができた。従って、通液用カラム34を通過した水溶液について、電気伝導率とMTCの値Kとを得ることができ、再生イオン交換樹脂12aの使用可否を判断できることが明らかになった。
なお、前記実施形態を次のように変更して具体化することも可能である。
・前記アニオン再生用カラム21とカチオン再生用カラム22とを1つの再生用カラムで構成し、その再生用カラムにおいてアニオン交換樹脂15の再生を行った後に、その再生用カラムを使用してカチオン交換樹脂16の再生を行うように構成してもよい。
・前記イオン交換処理装置としては、火力発電所以外の発電所におけるボイラーの水処理装置であってもよい。
10…再生・評価装置、111…再生・評価装置としての再生装置、12…イオン交換樹脂、12a…再生イオン交換樹脂、15…アニオン交換樹脂、15a…再生アニオン交換樹脂、16…カチオン交換樹脂、16a…再生カチオン交換樹脂、21…アニオン再生用カラム、22…カチオン再生用カラム、33…再生・評価装置としての通液試験装置、34…通液用カラム、45…電気伝導率計、46…硫酸イオン濃度計。

Claims (6)

  1. イオン交換処理装置で使用されたイオン交換樹脂を再生し、得られた再生イオン交換樹脂のイオン交換性能を評価する再生・評価方法であって、
    前記イオン交換処理装置から採取されたアニオン交換樹脂を水酸化ナトリウム水溶液で再生するとともに、イオン交換処理装置から採取されたカチオン交換樹脂に前記アニオン交換樹脂を混合して硫酸水溶液で再生し、得られた再生アニオン交換樹脂と再生カチオン交換樹脂とを混合した再生イオン交換樹脂に対して硫酸ナトリウム水溶液を通液し、通液後の水溶液の電気伝導率を測定するとともに、硫酸イオン濃度を測定して物質移動係数(MTC)を算出するイオン交換樹脂の再生・評価方法。
  2. 前記カチオン交換樹脂の再生時に混合されるアニオン交換樹脂の混合量は、再生に供されるアニオン交換樹脂中の5〜20体積%である請求項1に記載のイオン交換樹脂の再生・評価方法。
  3. 前記通液後の水溶液の物質移動係数(MTC)は1.5×10−4m/s以上であり、かつ電気伝導率は0.15μS/cm以下であるときに再生イオン交換樹脂が良好であると判断する請求項1又は請求項2に記載のイオン交換樹脂の再生・評価方法。
  4. 前記通液後の水溶液の硫酸イオン濃度(ppb)と電気伝導率(μS/cm)とは比例関係を示す請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のイオン交換樹脂の再生・評価方法。
  5. 前記イオン交換処理装置は、火力発電所におけるボイラーの水処理装置であり、前記アニオン交換樹脂はポリスチレン系の強塩基性アニオン交換樹脂、カチオン交換樹脂はポリスチレン系の強酸性カチオン交換樹脂である請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のイオン交換樹脂の再生・評価方法。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のイオン交換樹脂の再生・評価方法に使用されるイオン交換樹脂の再生・評価装置であって、
    前記イオン交換処理装置から採取されたアニオン交換樹脂を水酸化ナトリウム水溶液で再生するか、又はイオン交換処理装置から採取されたカチオン交換樹脂を硫酸水溶液で再生する再生用カラムと、再生後の再生アニオン交換樹脂及び再生カチオン交換樹脂を混合した再生イオン交換樹脂に硫酸ナトリウム水溶液を通液する通液用カラムと、通液用カラムを通過した水溶液の電気伝導率を測定する電気伝導率計と、通液用カラムを通過した水溶液の硫酸イオン濃度を測定する硫酸イオン濃度計とを備えたイオン交換樹脂の再生・評価装置。
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