JP2016094857A - ガスタービンシール装置およびガスタービン - Google Patents
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Abstract
【課題】複数枚のシールプレートで高圧側と低圧側を区画遮断する構成で、リーク流量をさらに低減しガスタービンの性能を向上させる。【解決手段】タービンを構成する複数の隣接するセグメント間に設置されるシール装置で、セグメントの対向面にそれぞれ相対するように形成された第一のシール溝32a及び第二のシール溝31aを備え、第一のシール溝と第二のシール溝はある角度をなして形成され、かつ、接続している。第一のシール溝及び第二のシール溝には、それぞれ、対抗するシール溝を跨ぐように、第一のシールプレート52と第二のシールプレート50が装着されている。第一のシールプレートの長手方向の端面52aと第二のシールプレートの反シール面50dとの間に形成される間隙を流下するリーク流を遮断するように、シール60を第一のシールプレートの長手方向の端面52aのリーク流に対する下流側位置に設ける。【選択図】図12
Description
本発明は、ガスタービンシール装置およびガスタービンに係り、特に、冷却空気、或いは、シール空気のリーク流量を抑制してガスタービンの性能低下を防止するのに好適なガスタービンシール装置に関するものである。
ガスタービン設備は、燃料を圧縮空気とともに燃焼して得た高温・高圧の燃焼ガスエネルギーを、回転動力として回収する。ガスタービンにおいては、熱効率の向上を目的として作動ガスの高温化が図られている。このため、特に、作動ガス中に配置されているタービン静・動翼は高級耐熱材料の使用とともに、翼内部に冷却媒体を供給している。一般に採用されている、この種のガスタービンは、空気を冷媒としたオープン冷却方式である。即ち、ガスタービンの主構成要素の一つである圧縮機から抽気した空気を用い、この空気をタービンケーシングに設けた供給口からケーシング内部外径側キャビティを経由させて、翼内部に導入している。そして、翼内部を冷却した後の空気は、冷却翼外表面に設けたフィルム冷却孔や翼の後縁冷却孔等から、主流ガスが通過するガスパス中に排出している。また、供給された冷却空気の一部を、タービンホィールスペースのシール空気として分岐しているが、この空気も同様に、イングレス抑制用としてガスパスに排出されることになる
ところで、静翼とエンドウォール等で構成される静翼体は、複数枚のセグメントとして周方向に環状配置されるが、セグメント部材の熱伸びを考慮して、隣接するセグメント間は、周方向に間隙を有する。このセグメント間隙は、定格点運転においても、熱応力の発生防止の観点から、接触しないように設計される。つまり、静翼体の冷却用空気として導入されるケーシング内部外径側キャビティとガスパスは、このセグメント間の間隙流路を介して、半径方向に連通した状態となる。従って、冷却空気の一部が、このセグメント間の間隙流路からガスパスに漏洩する。所謂、流体機械のリークである。同様に、静翼のダイアフラムや動翼等についても、同様なリークが生じることになる。これらのリークは、それ自体が損失の要因となるばかりでなく、ガスパスの主流中に混入することから、比較的、低温であるリーク空気の希釈による主流ガスの温度低下や、空力的な混合損失によるタービンの出力低下をもたらすことになる。したがって、ガスタービンの効率向上策の一つである高温化のメリットを十分に発揮できない嫌いがある。
ところで、静翼とエンドウォール等で構成される静翼体は、複数枚のセグメントとして周方向に環状配置されるが、セグメント部材の熱伸びを考慮して、隣接するセグメント間は、周方向に間隙を有する。このセグメント間隙は、定格点運転においても、熱応力の発生防止の観点から、接触しないように設計される。つまり、静翼体の冷却用空気として導入されるケーシング内部外径側キャビティとガスパスは、このセグメント間の間隙流路を介して、半径方向に連通した状態となる。従って、冷却空気の一部が、このセグメント間の間隙流路からガスパスに漏洩する。所謂、流体機械のリークである。同様に、静翼のダイアフラムや動翼等についても、同様なリークが生じることになる。これらのリークは、それ自体が損失の要因となるばかりでなく、ガスパスの主流中に混入することから、比較的、低温であるリーク空気の希釈による主流ガスの温度低下や、空力的な混合損失によるタービンの出力低下をもたらすことになる。したがって、ガスタービンの効率向上策の一つである高温化のメリットを十分に発揮できない嫌いがある。
この改善策として、一般的には、間隙を形成する隣接するセグメントの対向面のそれぞれに相対するようにシール溝を形成し、両方のシール溝を跨ぐ形で平板状シールプレートを装着して、間隙流路を遮断するようにしたシール装置が採用されている。
ところで、このようなシールプレートを単独で用いることは殆どなく、高圧側と低圧側を区画して遮断するような形で、シールプレートを複数枚配置するのが一般的である。しかし、複数枚のシールプレートの組合せは、2枚のシールプレートを例にすれば、一方のシールプレートのプレート面と他方のシールプレートのプレート長手方向終端面の交点部で微小な間隙を生じさせ、この間隙に起因するリークの抑制を検討する必要がある。
ところで、このようなシールプレートを単独で用いることは殆どなく、高圧側と低圧側を区画して遮断するような形で、シールプレートを複数枚配置するのが一般的である。しかし、複数枚のシールプレートの組合せは、2枚のシールプレートを例にすれば、一方のシールプレートのプレート面と他方のシールプレートのプレート長手方向終端面の交点部で微小な間隙を生じさせ、この間隙に起因するリークの抑制を検討する必要がある。
従来、複数枚のシールプレートの組合せにおける交点部の間隙に起因するリーク流量の低減する案として、例えば、特許文献1に記載のものがある。
特許文献1では、ガスタービンのダイアフラムなどを構成する複数のアーチ形構成要素において隣接するアーチ形構成要素(第1のアーチ形構成要素と第2のアーチ形構成要素)間に設けられるシール装置が開示されている。アーチ形構成要素の端部上には、第1のスロットと第2のスロットとが設けられ、第1のスロットと第2のスロットとは互いに対してある角度をなして形成され、互いに接続している。第1のスロットには第1のシールが、第2のスロットには第2のシールが、それぞれ、隣接するアーチ形構成要素の対向するスロットを跨ぐように配置されている。そして、第1のシールと第2のシールとに結合され、第1のシールと第2のシールとの間の間隙を実質的に覆うコネクタが設けられている。
特許文献1では、ガスタービンのダイアフラムなどを構成する複数のアーチ形構成要素において隣接するアーチ形構成要素(第1のアーチ形構成要素と第2のアーチ形構成要素)間に設けられるシール装置が開示されている。アーチ形構成要素の端部上には、第1のスロットと第2のスロットとが設けられ、第1のスロットと第2のスロットとは互いに対してある角度をなして形成され、互いに接続している。第1のスロットには第1のシールが、第2のスロットには第2のシールが、それぞれ、隣接するアーチ形構成要素の対向するスロットを跨ぐように配置されている。そして、第1のシールと第2のシールとに結合され、第1のシールと第2のシールとの間の間隙を実質的に覆うコネクタが設けられている。
ガスタービンの性能低下を防止するために、冷却空気の供給経路等にシール装置を設けることは、有効な手段である。即ち、セグメント間に装着するシールプレートは、その開発目的からセグメント間の間隙からの冷却・シール空気のリークを、未然に抑制するものである。一般的に、リーク流量は、流量係数、流路面積、及び、圧力差を代表値として算出できる。リーク流量の抑制を考えるとき、これらの代表値の中で、圧力差は、機器の運転条件として与えられるものであり、流量低減の直接的な制御因子としては、流路面積の削減が妥当である。これは、流量係数にも波及する。即ち、流路面積を零にできれば、リーク流を封止することが可能となる。
複数枚のシールプレートで高圧側と低圧側を区画して遮断する構成においては、例えば、特許文献1に記載のように、複数のシール装置(シールプレート)間に形成された間隙(リーク流路)をコネクタで遮断することにより、リーク流量を低減できる。
しかしながら、本発明者らの検討によれば、複数枚のシールプレートにより高圧側と低圧側を区画して遮断する構成において、三次元的にリーク流路を検討することにより、従来、見過ごされていたリーク流路があることを見出した。この見過ごされていたリーク流路を遮断することによりリーク流量をさらに低減し、ガスタービンの性能を向上させることができる。
本発明の目的は、複数枚のシールプレートで高圧側と低圧側を区画して遮断する構成において、リーク流量をさらに低減し、ガスタービンの性能を向上させることにある。
本発明のガスタービンシール装置は、タービンを構成する複数のセグメントの隣接するセグメント間に設置されるシール装置であって、隣接するセグメントの双方の対向面にそれぞれ相対するように形成された第一のシール溝と、隣接するセグメントの双方の対向面にそれぞれ相対するように形成された第二のシール溝であって、第一のシール溝に対してある角度をなして形成され、かつ、第一のシール溝に接続された第二のシール溝と、第一のシール溝の双方を跨ぐ形で第一のシール溝に装着された第一のシールプレートと、第二のシール溝の双方を跨ぐ形で第二のシール溝に装着された第二のシールプレートとを備え、第一のシールプレートの長手方向の端面と、第二のシールプレートの第二のシール溝の壁面と接する側のシール面とは反対側の反シール面との間に形成される間隙を流下するリーク流を遮断するように設置されたシールであって、第一のシールプレートの長手方向の端面のリーク流に対する下流側位置に設けられたシールを有することを特徴とする。
本発明によれば、複数枚のシールプレートで高圧側と低圧側を区画して遮断する構成において、リーク流量をさらに低減し、ガスタービンの性能を向上させることが可能となる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。各図において、同一番号は、同一の機器、或いは、部材、機能を表す。
先ず、本発明が適用されるガスタービン装置の構成を図1に基づき説明する。ガスタービン1は、主な構成として、燃焼用の圧縮空気を得る圧縮機2、圧縮機2からの圧縮空気を用いて燃料を燃焼させて高温高圧ガスを得る燃焼器3、燃焼器からの高温高圧ガスを作動ガスとして駆動する多段のタービン4、及び、発電機5を備えている。圧縮機2、タービン4、及び、発電機5は軸連結されている。ガスタービン1の起動・運転とともに圧縮機2と燃焼器3で発生する高温高圧の作動ガスは、圧力が約1.5MPa[g]、温度が1300℃程度で、タービン内部の第1段静翼の入口に流入する。以下、第1段動翼をはじめとする各動翼段で、流体エネルギーをタービンの回転エネルギーに変化させながら、圧力、温度を低下させ、約600℃で最終段動翼を流出後、排気される。この回転エネルギーは、ガスタービン1に直結した発電機5が回転して電力を得る。
タービン翼は、高温のガスに晒されるため、冷却する必要がある。タービン4の被冷却部(第1,第2段静翼と第1,第2段動翼)は、圧縮機2から抽気した空気により冷却される。すなわち、圧縮機2から抽気した冷却空気は、第2段静翼を冷却するための静翼低圧冷却空気経路6a、第1段静翼を冷却するための静翼高圧冷却空気経路6b、また、第1,第2段動翼を冷却するための動翼冷却空気経路7を経て、タービン4の各々の被冷却部に供給される。このとき、抽気空気圧力は、各翼でのガスパス圧力に応じた値から選定しており、静翼高圧冷却空気経路6b、動翼冷却空気経路7には、圧縮機2の最終段からの抽気空気、静翼低圧冷却空気経路6aには、圧縮機2の中圧段からの抽気空気を導入する。被冷却部を冷却して熱交換した各冷却空気は、各翼のフィルム冷却に利用、或いは、翼後縁から噴出されて、タービン4のガスパス中に排出され、作動ガスと混合して、最終的には排気として大気に放出される。
次に、本発明が適用されるタービンを図2に基づき説明する。図2は、タービン4の2段目までのタービンの部分断面を示す。冷却空気は、静翼低圧冷却空気経路6aから第2段静翼12a、静翼高圧冷却空気経路6bから第1段静翼10、動翼冷却空気経路7から第1段動翼11,第2段動翼13へそれぞれ供給される。以下、本実施例のシール装置の全体構成を詳細に説明するが、ここでは、第2段静翼12aまわりを対象として説明する。
静翼低圧冷却空気経路6aを径由して、ケーシング14に設けた導入孔(図示省略)を介して供給された冷却空気は、ケーシング14の外端側内部にある第2段静翼供給キャビティ8を経て、周方向に環状に配置された第2段静翼体セグメント21aの内部に供給される。この第2段静翼体セグメント21aは、主として、外径側エンドウォール22a、第2段静翼12a、及び、内径側エンドウォール23aから構成される。冷却空気は、第2段静翼体セグメント21aの冷却パス(図示省略)を通過するときに熱交換を行い、各エンドウォール22a,23a、第2段静翼12aを冷却するとともに、温度上昇して、ガスパス9に排出される。一方、第2段静翼供給キャビティ8に供給された空気の一部は、第2段静翼体セグメント21aと、第2段静翼体セグメント21aに装着されるダイアフラム16aとの間で形成されるダイアフラムキャビティ15を経て、第1段ホィール19a、スペーサー18及びダイアフラム16aで形成される第1段動翼後側ホィールスペース17aに供給される。その後、一部が、第1段動翼11と第2段静翼12a間のガスパスへシール空気として流れる。その一部が、ダイアフラム15とスペーサー18の間に形成されたシールフィン29によって流量を絞られた後、第2段ホィール19b、スペーサー18及びダイアフラム16aで形成される第2段動翼前側ホィールスペース17bに分配される。そして、分配された空気は、第2段静翼12aと第2段動翼13間のガスパス9中へシール空気として流れることになる。
次に、本発明のガスタービンシール装置を静翼体に適用した場合のシールプレートの配置およびシール溝への装着を図3及び図4に基づき説明する。図3は、周方向に複数個配置される第2段静翼体セグメントの1つである第2段静翼体セグメント21aとダイアフラム16aを示したものである。
第2段静翼体セグメントは、周方向に複数個を配置するものであり、互いのセグメント間には間隙を有する。従って、第2段静翼供給キャビティ8とガスパス9は連通しており、概念的には、図中に示す第2段静翼供給キャビティ8(高圧側)からガスパス9(低圧側)へ向かう矢印90方向の冷却空気のリーク流路が発生することになる。このリーク流路を遮断するため、隣接するセグメントの双方の対向面にそれぞれ相対するように形成されたシール溝と、シール溝の双方を跨ぐようにシール溝に装着されるシールプレートとにより構成されるシール装置が設置される。高圧側と低圧側を区画して遮断するために、複数のシールプレート及びそれらを装着する複数のシール溝が設けられている。
例えば、第2段静翼体セグメント21aの外径側エンドウォール22aには、高圧側である第2段静翼供給キャビティ8と、低圧側であるガスパス9を区画して遮断する形で、シール溝30a、シール溝31a及びシール溝32aが設けられている。シール溝31aは、シール溝30a、シール溝32aに対して所定の角度をなして形成されている。シール溝31aは、シール溝30a、シール溝32aとの間に、図3に示すように、上流側交点部24と下流側交点部25を有し、交点部においてシール溝30a、シール溝32aとそれぞれ接続している。
シール溝の上流側交点部24と下流側交点部25は、シール溝毎に単独に装着されるシールプレートの交点部でもある。交点部において、一方のシールプレートの長手方向の端面と他方のシールプレートのプレート面(反シール面)とが微小間隙をおいて対向している(詳細は後述)。
また、内径側エンドウォール23aやダイアフラム16aのセグメント間にも同様にリーク流路が存在する。これらのリーク流路を遮断するため、内径側エンドウォール23aには、シール溝33、シール溝34及びシール溝35が設けられ、また、ダイアフラム16aには、シール溝36、シール溝37、シール溝38、シール溝39、シール溝40、シール溝41及びシール溝42が設けられている。これらのシール溝においても交点部が形成される。図3に示す例では、計8つの交点部が形成される。よって、一つの第2段静翼体とダイアフラムのセグメントとして10か所の交点部が形成され、周方向に複数設けられた第2段静翼の全体を考慮すると、これに翼枚数を乗じた値が交点部として形成されることになる。更には、第1段静翼体等も含めてガスタービン全体に範囲を拡大すれば、交点部は1000箇所以上になる。
次に、図4に基づき、隣接セグメント間のシール溝へのシールプレートの装着を説明する。図4は、第2段静翼体セグメント21aと隣接する第2段静翼体セグメント21bを半径方向外側から眺めた概念図である。第2段静翼体セグメント21a,21bの間は、周方向間隙σcをもたせて組み立てられている。第2段静翼体セグメント21aの外径側エンドウォール22aに隣接対向して、第2段静翼体セグメント21bの外径側エンドウォール22bが位置する。外径側エンドウォール22aと外径側エンドウォール22bには、対向した位置(半径方向位置)に、シール溝31aとシール溝31b、シール溝31aとシール溝31b、及び、シール溝32aとシール溝32bがそれぞれ形成される。隣接する外径側エンドウォールの両者のシール溝に接して、すなわち、両者のシール溝を跨ぎ、組立時の周方向間隙σcを塞ぐように、シールプレート50,51,52がそれぞれ単独に対応するシール溝に装着されている。シールプレート50はシール溝31aとシール溝31bに装着され、シールプレート51はシール溝30aとシール溝30bに装着され、シールプレート52はシール溝32aとシール溝32bに装着されている。これらのシールプレート50,51,52によって、前述の第2段静翼供給キャビティ8からガスパス9に向かうリーク経路の一部が遮断されることになる。
次に、図5〜図7Bを用いて本発明に至った経緯について説明する。
上述したように、本発明者らの検討によれば、複数枚のシールプレートにより高圧側と低圧側を区画して遮断する構成において、三次元的にリーク流路を検討することにより、従来、見過ごされていたリーク流路があることを見出した。この新たに見出されたリーク流路を下流側交点部25に着目して、以下に説明する。
上述したように、本発明者らの検討によれば、複数枚のシールプレートにより高圧側と低圧側を区画して遮断する構成において、三次元的にリーク流路を検討することにより、従来、見過ごされていたリーク流路があることを見出した。この新たに見出されたリーク流路を下流側交点部25に着目して、以下に説明する。
先ず初めに、図5を用いて、交点部における複数のシールプレートの関係、シールプレートとシール溝の関係を説明する。図5は、図3で示したA−A矢視方向の部分的な俯瞰図である。分かりやすくするため、外径側エンドウォール22bの図示を省略している。
本実施例において、シールプレートは、同平面形状を二面ずつ持つ六面体プレートである。図5において、外径側エンドウォール22aに設けられたシール溝31a,32aにそれぞれ装着したシールプレート50,52を示している。
シールプレート50と、シールプレート50が装着されるシール溝31aに着目して説明する。シールプレート50はシールプレート厚みtを有する。シール溝31aはシール溝高さHgを有する。シールプレート50とシール溝31aの両者の長手方向(紙面における奥行き方向)にあるシールプレートの長さはLgとする。
シールプレート50は、長さLgの方向(長手方向)の両端(紙面奥側と手前側)にプレート長手方向端面50aを有する。
また、シールプレート50は、シール溝31aの壁面(紙面下側の壁面)との間でシール面を形成するシールプレートの面、即ち、プレート側シール面50cを有する。また、シール面と反対のシールプレートの面をプレート側反シール面50dとする。シールプレート50は第2段静翼供給キャビティ8とガスパス9の圧力差によりシール溝31aの壁面にプレート側シール面50cが押し付けられる。一方、プレート側反シール面50dは、対向するシール溝31aの壁面(紙面上側の壁面)とは非接触でありシールプレート50の反シール面50dとシール溝31aの壁面との間にはシール溝空間43aが形成される。
一方、残る六面体の二面(紙面の右側と左側)が、シールプレート50の側端面50bである。
また、シールプレート50のシールプレート幅Wp、シール溝31aの溝深さGdとすれば、シールプレート50の側端面50bとシール溝31aの底面との間に、xc=(2×Gd+σc-Wp)/2となる間隙が生じ、(Hg×xc)なるシール溝空間44aが形成される。図示していないが、外径側エンドウォール22bに形成されたシール溝31b内にも、(Hg×xc)なるシール溝空間が形成される。
同様に、シールプレート52と、シールプレート52が装着されるシール溝33aに着目すると、シールプレート52は、プレート長手方向(紙面下側及び上側)の端面52a(図5では紙面下側の端面52aのみ図示)を有する。また、シールプレート52は、シール溝32aの壁面(紙面手前側の壁面)との間でシール面を形成するプレート側シール面52c、シール溝32aの壁面(紙面奥側の壁面)との間にシール溝空間43bを形成するプレート側反シール面52dを有する。六面体残りの二面(紙面の右側と左側)として、シールプレート52の側端面52bを有する。このシールプレート52の側端面52bとシール溝32aの底面との間に、シール溝空間45aが形成される。図示していないが、外径側エンドウォール22bに形成されたシール溝31b内にも、同様なシール溝空間が形成される。
シールプレート50と、シールプレート50が装着されるシール溝31aに着目して説明する。シールプレート50はシールプレート厚みtを有する。シール溝31aはシール溝高さHgを有する。シールプレート50とシール溝31aの両者の長手方向(紙面における奥行き方向)にあるシールプレートの長さはLgとする。
シールプレート50は、長さLgの方向(長手方向)の両端(紙面奥側と手前側)にプレート長手方向端面50aを有する。
また、シールプレート50は、シール溝31aの壁面(紙面下側の壁面)との間でシール面を形成するシールプレートの面、即ち、プレート側シール面50cを有する。また、シール面と反対のシールプレートの面をプレート側反シール面50dとする。シールプレート50は第2段静翼供給キャビティ8とガスパス9の圧力差によりシール溝31aの壁面にプレート側シール面50cが押し付けられる。一方、プレート側反シール面50dは、対向するシール溝31aの壁面(紙面上側の壁面)とは非接触でありシールプレート50の反シール面50dとシール溝31aの壁面との間にはシール溝空間43aが形成される。
一方、残る六面体の二面(紙面の右側と左側)が、シールプレート50の側端面50bである。
また、シールプレート50のシールプレート幅Wp、シール溝31aの溝深さGdとすれば、シールプレート50の側端面50bとシール溝31aの底面との間に、xc=(2×Gd+σc-Wp)/2となる間隙が生じ、(Hg×xc)なるシール溝空間44aが形成される。図示していないが、外径側エンドウォール22bに形成されたシール溝31b内にも、(Hg×xc)なるシール溝空間が形成される。
同様に、シールプレート52と、シールプレート52が装着されるシール溝33aに着目すると、シールプレート52は、プレート長手方向(紙面下側及び上側)の端面52a(図5では紙面下側の端面52aのみ図示)を有する。また、シールプレート52は、シール溝32aの壁面(紙面手前側の壁面)との間でシール面を形成するプレート側シール面52c、シール溝32aの壁面(紙面奥側の壁面)との間にシール溝空間43bを形成するプレート側反シール面52dを有する。六面体残りの二面(紙面の右側と左側)として、シールプレート52の側端面52bを有する。このシールプレート52の側端面52bとシール溝32aの底面との間に、シール溝空間45aが形成される。図示していないが、外径側エンドウォール22bに形成されたシール溝31b内にも、同様なシール溝空間が形成される。
尚、本実施例において、シールプレート50のプレート側反シール面50dと、シールプレート52のプレート長手方向端面52aの交点部が、下流側交点部25であり、この交点部の位置において、シールプレート50のプレート側反シール面50dと、シールプレート52のプレート長手方向端面52aとの間に、間隙gが形成されている。
次に、図6〜図7Bを用いて、本発明のガスタービンシール装置によって遮断しようとするリーク経路を概念的に説明する。
先に、第2段静翼供給キャビティ8からガスパス9へ向かう概念的なリーク経路を矢印90としたが、下流側交点部25廻りのリークとして、破線で示す矢印90a、実線の矢印90b、90cとに分けて表示している。
先に、第2段静翼供給キャビティ8からガスパス9へ向かう概念的なリーク経路を矢印90としたが、下流側交点部25廻りのリークとして、破線で示す矢印90a、実線の矢印90b、90cとに分けて表示している。
従来、リーク経路は、図6に示すように、第2段静翼体セグメントの隣接するセグメントの対向面から矢視した断面図において二次元的な視点から検討されている。
先に、シールプレートによって、リーク経路の一部が遮断されると述べたが、これは矢印90aで示すリーク経路である。この矢印90aで示すリーク経路は、シールプレート50のプレートシール面50cとシール溝31aの壁面との間に形成されるシール面によりリーク流を抑制することが可能である。
また、矢印90bは、シールプレート50のプレート反シール面50dとシールプレート52のプレート長手方向端面52aとの間に形成される間隙gを通過するリーク経路であり、第2段静翼体セグメント21a,21bの間の周方向間隙σcを矢印のように流れに、直接的に、間隙gを通過するリーク経路である。このリーク経路は、従来、間隙gの上流側位置(シールプレート52の長手方向の端面52aのリーク流に対する上流側位置)にシール(特許文献1ではコネクタ)を設置してリーク流を抑制している。
先に、シールプレートによって、リーク経路の一部が遮断されると述べたが、これは矢印90aで示すリーク経路である。この矢印90aで示すリーク経路は、シールプレート50のプレートシール面50cとシール溝31aの壁面との間に形成されるシール面によりリーク流を抑制することが可能である。
また、矢印90bは、シールプレート50のプレート反シール面50dとシールプレート52のプレート長手方向端面52aとの間に形成される間隙gを通過するリーク経路であり、第2段静翼体セグメント21a,21bの間の周方向間隙σcを矢印のように流れに、直接的に、間隙gを通過するリーク経路である。このリーク経路は、従来、間隙gの上流側位置(シールプレート52の長手方向の端面52aのリーク流に対する上流側位置)にシール(特許文献1ではコネクタ)を設置してリーク流を抑制している。
しかし、本発明者らの検討によれば、三次元的にリーク経路を検討することにより、従来着目されていなかったリーク経路があることが判明した。
すなわち、シールプレート52の側端面52bとシール溝32aとの間に形成されるシール溝空間45aを通過するリーク経路である。なお、シールプレート52の側端面52bとシール溝32bとの間にも同様な溝空間が形成され、リーク経路が形成される。
このリーク経路は、矢印90cで示される。このシールプレート52の側端面52bを経由して間隙gの後流側に通ずる。
矢印90cで示されるリーク流路について、図7A,図7Bを用いて詳細に説明する。図7Aは、図6に示したB-B矢視部分断面図である。すなわち、視点を変えてリーク流路を検討するものである。また、図7Bは、俯瞰図である図5にリーク流路を図示したものである。
図7Aに示すように、外径側エンドウォール22aに隣接して、外径側エンドウォール22bが設けられる。外径側エンドウォール22aに設けられたシール溝31a,32aに対向して、外径側エンドウォール22bにシール溝31b,32bが設けられている。それぞれ対向するシール溝31aとシール溝31b、シール溝32aとシール溝32bに跨る形で、シールプレート50とシールプレート52が装着されている。
リーク経路となる矢印90bは、第2段静翼供給キャビティ8から、外径側エンドウォール22aと外径側エンドウォール22bのセグメントの周方向間隙σc間を通過し、図面上の奥側から手前方向に進み(図7B参照)、間隙gを通過した後、セグメント間隙σcを下方のガスパス9に向かって流れる。
一方、矢印90cは、シールプレート52の側端面52bとシール溝32a,32bとの間に形成されるシール溝空間45a,45bに沿いながら、図面の手前方向に進み(図面7Bにおける側端面52bに沿う流れ)、間隙gへ廻り込み、矢印90bの流れに合流して、ガスパス9へ向かうことになる。すなわち、矢印90cで示される経路のリーク流は、シールプレート52の側端面52bの周りの溝空間に流れ込み、側端面52bから間隙gに合流する。
すなわち、シールプレート52の側端面52bとシール溝32aとの間に形成されるシール溝空間45aを通過するリーク経路である。なお、シールプレート52の側端面52bとシール溝32bとの間にも同様な溝空間が形成され、リーク経路が形成される。
このリーク経路は、矢印90cで示される。このシールプレート52の側端面52bを経由して間隙gの後流側に通ずる。
矢印90cで示されるリーク流路について、図7A,図7Bを用いて詳細に説明する。図7Aは、図6に示したB-B矢視部分断面図である。すなわち、視点を変えてリーク流路を検討するものである。また、図7Bは、俯瞰図である図5にリーク流路を図示したものである。
図7Aに示すように、外径側エンドウォール22aに隣接して、外径側エンドウォール22bが設けられる。外径側エンドウォール22aに設けられたシール溝31a,32aに対向して、外径側エンドウォール22bにシール溝31b,32bが設けられている。それぞれ対向するシール溝31aとシール溝31b、シール溝32aとシール溝32bに跨る形で、シールプレート50とシールプレート52が装着されている。
リーク経路となる矢印90bは、第2段静翼供給キャビティ8から、外径側エンドウォール22aと外径側エンドウォール22bのセグメントの周方向間隙σc間を通過し、図面上の奥側から手前方向に進み(図7B参照)、間隙gを通過した後、セグメント間隙σcを下方のガスパス9に向かって流れる。
一方、矢印90cは、シールプレート52の側端面52bとシール溝32a,32bとの間に形成されるシール溝空間45a,45bに沿いながら、図面の手前方向に進み(図面7Bにおける側端面52bに沿う流れ)、間隙gへ廻り込み、矢印90bの流れに合流して、ガスパス9へ向かうことになる。すなわち、矢印90cで示される経路のリーク流は、シールプレート52の側端面52bの周りの溝空間に流れ込み、側端面52bから間隙gに合流する。
このリーク経路は、シールプレート交点部におけるリーク流の上流側に設置された遮断方法、すなわち、間隙gの上流側位置(シールプレート52の長手方向の端面52aのリーク流に対する上流側位置)にシール(特許文献1ではコネクタ)を設置する方法では、矢印90bの流れを遮断できるが、矢印90c方向からのリーク経路に対しては、その効果が及ばないことになる。すなわち、端面52aの上流側において間隙gを塞いでも、矢印90c方向からのリーク経路に対しては間隙gを塞いだことにならない。この見過ごされていたリーク経路を遮断することによりリーク流量をさらに低減し、ガスタービンの性能を向上させることができる。
そして、本発明では、このリーク経路を流れるリーク流(側端面52bの周りを経由して間隙gを流れるリーク流)を、シールプレート50の長手方向の端面52aとシールプレート50の反シール面50dとの間に形成される間隙gの端面52aの上流側ではなく、下流側(リーク流についての下流側)にシールを設けることにより抑制するようにしている。
図8〜図12を用いて、端面52aの下流側に設けられるシールの構成例とその作用効果について説明する。なお、図8や図9、図12などにおいて、便宜的に、シール溝31aとシール溝32aが直交するように描写している。図3や図6に示すようにシール溝が直交していない場合も含むものである。
また、図8では、リーク経路として、矢印90bを代表的に示している。第2段静翼供給キャビティ8からガスパス9に向かうリーク経路として、端面52aの位置基準で、図面上、左方向が上流側、右手方向が下流側となる。
また、図8では、リーク経路として、矢印90bを代表的に示している。第2段静翼供給キャビティ8からガスパス9に向かうリーク経路として、端面52aの位置基準で、図面上、左方向が上流側、右手方向が下流側となる。
本実施例において、シールプレート52の長手方向の端面52aの下流側にシール60が設けられている。シールプレート52の端面52aが、図5などに示すようにシールプレート50の反シール面50dと平行であると、端面52aの下流側には、シール60を設置する空間の長さが、シール間隙δcに相当する長さしか確保できない。その場合でも間隙gに起因するリーク流の流路面積を小さくすることができるので、ある程度の効果は見込める。しかし、シール間隙δcの箇所を狙ってシール60を装着する作業は困難であり、また、間隙gに起因するリーク流の流路面積をより小さくするためには、端面52aの下流側において、シール端面52aの長手方向幅をカバーするように、シール60を設けることが望ましい。
そこで本実施例では、シールプレート50の長手方向の端面52aとシールプレート50の反シール面が交わる下流側交点部25において、シールプレート52の端面52aの下流側を、端面52aの長手方向幅に渡ってカットして、シール60を設置するための空間を形成している。
すなわち、シールプレート52の端面52aとプレート側シール面52cとの間を斜めにカットすることにより、シールプレート52の長手方向にはカット面が形成される。このカット面を、第2の端面52fと呼称する。この第2の端面52fはシールプレート50の反シール面50dに対して傾斜している。シールプレート52の第2の端面52f、シールプレート50の反シール面50d、及び、プレート側シール面52cと接するシール溝32aの壁面(シール溝接触面)47の三つの面で囲まれる空間61が形成される。シール60を装着する空間としてこの空間61を用いる。
すなわち、シールプレート52の端面52aとプレート側シール面52cとの間を斜めにカットすることにより、シールプレート52の長手方向にはカット面が形成される。このカット面を、第2の端面52fと呼称する。この第2の端面52fはシールプレート50の反シール面50dに対して傾斜している。シールプレート52の第2の端面52f、シールプレート50の反シール面50d、及び、プレート側シール面52cと接するシール溝32aの壁面(シール溝接触面)47の三つの面で囲まれる空間61が形成される。シール60を装着する空間としてこの空間61を用いる。
そして、本実施例では、この空間61には、円柱状の軟質材で形成されたシール60が図8における図面の奥行方向に延在して装着されている。軟質材としては耐熱性の材料であり、例えば、紐状のセラミックファイバーが用いられ、この軟質材を用いて円柱状のシールが形成される。間隙g自体は1mm以下であるので、円柱状のシールの直径は2mm程度のものが用いられる。また、空間61へのシール60の装着は、例えば、組立の際に、接着剤を用いて第2の端面52fにシール60を点固定(仮止め)して、シール溝32a,32bに装着する。接着剤はガスタービンの運転時に焼失しても良いので一般的な接着剤でよく、耐熱性などの必要性はない。
図9にシール60周りにおける拡大断面図を示す。シール60は、空間61内において、第2の端面52fとの間に第1の接触部62、反シール面50dとの間に第2の接触部63、及び、シール溝接触面47との間に第3の接触部64を形成しており、3点の接触部を有する。
ガスタービンの運転時において、ガスパス9の圧力に比べて、第2段静翼キャビティ8の圧力の方が大きい。第2段静翼キャビティ8(高圧側)とガスパス9(低圧側)の圧力差は、シールプレート50,52をシール溝の低圧側(ガスパス9側)へ押えつける作用力として働くことになり、円柱状の軟質材で形成されたシール60の断面形状は変形することになる。そして、変形の反作用力として、第1接触部62、第2接触部63、及び、第3接触部64での面圧は上昇する。この時点では、組立の際に用いた、シール60を固定した接着剤は焼失しているが、シール60の三つの接触部における面圧の上昇という作用によってシール60が空間61内において固定される。
図10及び図11は、図9に示したC-C矢視部分断面図であり、図10はガスタービン組立時の状態を示し、図11はガスタービン運転時の状態を示す。
図10において、シール60の長さLnは、シールプレート50のプレート幅Wp、シールプレート50の側端面50bとシール溝31a,31bの底面(シール溝深さ方向面)との間の間隙xcとの間に、(Wp+2×xc)>Ln>Wpの関係を有している。なお、本実施例では、シールプレート52のプレート幅はシールプレート50のプレート幅Wpに等しく、シールプレート52の側端面52bとシール溝32a,32bの底面(シール溝深さ方向面)との間の間隙も間隙xcに等しく設定されている。
ガスタービン運転時には、作動ガスや冷却空気を加熱源として、各ガスタービン部材は温度上昇する。その一つとして、第2段静翼体セグメント21a,21bには熱伸びが生じる。この熱伸びにより、周方向においては、組立時のセグメントの周方向間隙σcが、図11に示すように、σhまで狭まる。しかし、この運転時の周方向間隙σhは、ガスタービンの定格点運転においても接触しないように設計されているため零になることはない。当然ながら、この第2段静翼体セグメント21a,21bの動きに連動して、外径側エンドウォール22a,22b、即ち、シール溝31a,31bとシール溝32a,32bも、図の左右方向、中央部に向かって変位するため、組立時の間隙xcも運転時の間隙xhまで縮小する。しかしながら、シール溝の底面(シール溝深さ方向面)とシールプレート、例えば、シール溝32a,32bの底面とシールプレート52の側端面52bが干渉することはない。逆に、シール60は軟質材で形成されているので、シール60の長さ方向の両端は、シール溝32a,32bの底面と干渉しても良く、本実施例では、ガスタービンの運転時に、シール溝32a,32bの底面に接触するようにシール60の長さを調整している。これにより、シールプレートの側端面から間隙xhに相当する長さまでの範囲のリーク流の流路面積を封止することができる。この効果を得るためには、本実施例では、ガスタービン組立時のシール60の長さLnをプレート幅Wpよりも大きくしている。この構成による効果自体は、端面52aの上流側にシールを設ける場合に適用しても期待できる。なお、シール60の長さLnを(Wp+2×xc)より小さくしているのは、ガスタービン組立時に、シール60の両端がシール溝32a,32bの底面に接触すると、シール60のシール溝32a,32bへの装着が難しくなるからである。
図10において、シール60の長さLnは、シールプレート50のプレート幅Wp、シールプレート50の側端面50bとシール溝31a,31bの底面(シール溝深さ方向面)との間の間隙xcとの間に、(Wp+2×xc)>Ln>Wpの関係を有している。なお、本実施例では、シールプレート52のプレート幅はシールプレート50のプレート幅Wpに等しく、シールプレート52の側端面52bとシール溝32a,32bの底面(シール溝深さ方向面)との間の間隙も間隙xcに等しく設定されている。
ガスタービン運転時には、作動ガスや冷却空気を加熱源として、各ガスタービン部材は温度上昇する。その一つとして、第2段静翼体セグメント21a,21bには熱伸びが生じる。この熱伸びにより、周方向においては、組立時のセグメントの周方向間隙σcが、図11に示すように、σhまで狭まる。しかし、この運転時の周方向間隙σhは、ガスタービンの定格点運転においても接触しないように設計されているため零になることはない。当然ながら、この第2段静翼体セグメント21a,21bの動きに連動して、外径側エンドウォール22a,22b、即ち、シール溝31a,31bとシール溝32a,32bも、図の左右方向、中央部に向かって変位するため、組立時の間隙xcも運転時の間隙xhまで縮小する。しかしながら、シール溝の底面(シール溝深さ方向面)とシールプレート、例えば、シール溝32a,32bの底面とシールプレート52の側端面52bが干渉することはない。逆に、シール60は軟質材で形成されているので、シール60の長さ方向の両端は、シール溝32a,32bの底面と干渉しても良く、本実施例では、ガスタービンの運転時に、シール溝32a,32bの底面に接触するようにシール60の長さを調整している。これにより、シールプレートの側端面から間隙xhに相当する長さまでの範囲のリーク流の流路面積を封止することができる。この効果を得るためには、本実施例では、ガスタービン組立時のシール60の長さLnをプレート幅Wpよりも大きくしている。この構成による効果自体は、端面52aの上流側にシールを設ける場合に適用しても期待できる。なお、シール60の長さLnを(Wp+2×xc)より小さくしているのは、ガスタービン組立時に、シール60の両端がシール溝32a,32bの底面に接触すると、シール60のシール溝32a,32bへの装着が難しくなるからである。
図12を用いて、本実施例の効果を説明する。
上述したリーク経路の内、直接的に、端面52aと反シール面50dの間の間隙gを通過する、矢印90bのリーク経路については、第1接触部62、第2接触部63によって流路が遮断されている。一方、シールプレート52の側端面52bを経由する矢印90cのリーク経路については、第2接触部63、或は、第3接触部64によって遮断されることになる。本実施例のシール60により、矢印90bのリーク経路についても矢印90cのリーク経路についても、間隙gに起因するリーク流の流路面積を小さくすることができる。なお、本実施例では、シール60が三つの接触部を有することが肝要であり、本実施例では円柱状のシールによりこれを実現しているが、シール形状は円柱状に拘束されるものではない。
上述したリーク経路の内、直接的に、端面52aと反シール面50dの間の間隙gを通過する、矢印90bのリーク経路については、第1接触部62、第2接触部63によって流路が遮断されている。一方、シールプレート52の側端面52bを経由する矢印90cのリーク経路については、第2接触部63、或は、第3接触部64によって遮断されることになる。本実施例のシール60により、矢印90bのリーク経路についても矢印90cのリーク経路についても、間隙gに起因するリーク流の流路面積を小さくすることができる。なお、本実施例では、シール60が三つの接触部を有することが肝要であり、本実施例では円柱状のシールによりこれを実現しているが、シール形状は円柱状に拘束されるものではない。
ところで、間隙g自体は、1mm以下の小さな数値ではあるが、上流側交点部24、また、内径側エンドウォール、ダイアフラム、更に、翼枚数、段数を掛け合せると、員数効果によって無視できないリーク流路面積となるので、これらに本実施例を適用することにより、ガスタービンの性能向上を図ることができる。
また、本実施例では、矢印90bのリーク経路と矢印90cのリーク経路の二つのリーク経路に対して一つのシールで遮断できるので、部品点数の削減効果も大きい。すなわち、矢印90cのリーク経路の遮断を行うには、例えば、側端面52bにシールを設置することも考えられるが、この場合、矢印90bのリーク経路と矢印90cのリーク経路を遮断するためには、3つのシールが必要となる。本実施例のように、端面52aの下流にシール60を設置することより、一つのシールで矢印90bのリーク経路と矢印90cのリーク経路の双方を遮断できる。
また、ガスタービンの運転時におけるシール60の断面形状の変更と、それに伴う第1接触部62、第2接触部63、及び、第3接触部64での面圧上昇は、ガスタービンの運転に伴うシールプレートの震動伝達を吸収するという効果をもたらす。すなわち、シール溝に装着されるシールプレートは、基本的には、プレートの一面でシール溝とシール面を形成し、その反対面はシール溝との間で微小間隙を有する。このため、ガスタービンの運転に際して、シールプレートが震動する余地があり、この震動に起因してシールプレートの接触点の摩耗損傷を加速させる恐れがある。また、断続的なリークを発生する要因ともなる。本実施例では、シール60として変形可能な軟質材を用い、シール60を変形させた状態で空間61内に固定している。シール60の変形は、シールプレートを拘束する作用として働き、シールプレートの震動を抑制することで、シールプレートに作用する震動力がもたらす応力を緩和することができ、シール装置の信頼性を高めることができる。また、シールプレートの震動を抑制することで、断続的なリークの抑制が図れ、効率の良いガスタービン装置を得るという優れた実用的効果をもたらす。
なお、上述の実施例においては、シール60を設置する空間61を形成するために、シールプレートの端面52aとプレート側シール面52cを結ぶカット面を形成しているが、例えば、シールプレート52がシールプレート50に対して傾斜しており、端面52aが反シール面50dに対して傾斜していれば、シール60を設置する空間が形成され得るので、カット面を形成し、第2の端面52fを設けなくても良い場合がある。
さらに、上述の実施例では、シールプレートを六面体平板プレートとして取り扱ったが、プレートのエッジ部を面取りした多面体としても良い。この場合、改めて、シール60を設置する空間61を形成するためにカット面を形成しなくても良い場合がある。
また、本実施例は、外径側エンドウォールの下流側交点部に着目して説明したが、上流側交点部、更には、内径側エンドウォールにも適用できる。さらに、他に設けた複数のシールプレートで高圧側と低圧側を区画して遮断するようにした箇所にも適用できる。このように多くの箇所に本実施例を適用すれば、大きな効果が期待できる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加,削除,置換をすることが可能である。
21a、21b・・・・第2段静翼体セグメント
22a、22b・・・・外径側エンドウォール
25・・・下流側交点部
31a、31b・・・・シール溝
32a、32b・・・・シール溝
47・・・・シール溝接触面(シール溝壁面)
50、52・・・・シールプレート
50d・・・・反シール面
52a・・・長手方向の端面
52f・・・・長手方向の第2の端面
60・・・シール
62・・・第1の接触部
63・・・第2の接触部
64・・・第3の接触部
22a、22b・・・・外径側エンドウォール
25・・・下流側交点部
31a、31b・・・・シール溝
32a、32b・・・・シール溝
47・・・・シール溝接触面(シール溝壁面)
50、52・・・・シールプレート
50d・・・・反シール面
52a・・・長手方向の端面
52f・・・・長手方向の第2の端面
60・・・シール
62・・・第1の接触部
63・・・第2の接触部
64・・・第3の接触部
Claims (8)
- タービンを構成する複数のセグメントの隣接するセグメント間に設置されるガスタービンシール装置であって、
前記隣接するセグメントの双方の対向面にそれぞれ相対するように形成された第一のシール溝と、
前記隣接するセグメントの双方の対向面にそれぞれ相対するように形成された第二のシール溝であって、前記第一のシール溝に対してある角度をなして形成され、かつ、前記第一のシール溝に接続された第二のシール溝と、
前記第一のシール溝の双方を跨ぐ形で前記第一のシール溝に装着された第一のシールプレートと、
前記第二のシール溝の双方を跨ぐ形で前記第二のシール溝に装着された第二のシールプレートとを備え、
前記第一のシールプレートの長手方向の一方の端面と、前記第二のシールプレートの前記第二のシール溝の壁面と接する側のシール面とは反対側の反シール面とが対向するように配置されており、
前記端面と前記反シール面との間に形成される間隙を流下するリーク流を遮断するように設置されたシールであって、前記第一のシールプレートの長手方向の端面のリーク流に対する下流側位置に設けられたシールを有することを特徴とするガスタービンシール装置。 - 請求項1に記載のガスタービンシール装置において、
前記端面と、前記反シール面と、前記第一のシールプレートのシール面と接する側の前記第一のシール溝の壁面との間に形成される空間に、前記シールが設置されていることを特徴とするガスタービンシール装置。 - 請求項2に記載のガスタービンシール装置において、
前記シールは、前記端面、前記反シール面及び前記壁面に接触していることを特徴とするガスタービンシール装置。 - 請求項1に記載のガスタービンシール装置において、
前記端面の下流側が該端面の長手方向の幅に渡ってカットされて第二の端面が形成されており、前記第二の端面と、前記反シール面と、前記第一のシールプレートのシール面と接する側の前記第一のシール溝の壁面との間に形成される空間に、前記シールが設置されていることを特徴とするガスタービンシール装置。 - 請求項4に記載のガスタービンシール装置において、
前記シールは、前記第二の端面、前記反シール面及び前記壁面に接触していることを特徴とするガスタービンシール装置。 - 請求項2〜5の何れかに記載のガスタービンシール装置において、
前記シールは、軟質材で形成され、ガスタービン運転時に前記空間内で変形する力を受けていることを特徴とするガスタービン装置。 - 請求項1〜6の何れかに記載のガスタービンシール装置において、
ガスタービン組立時の前記シールの長さLnは、前記第一のシールプレートのプレート幅Wpよりも大きいことを特徴とするガスタービンシール装置。 - 圧縮機、燃焼器、及び、タービンで構成されるガスタービンであって、
前記タービンを構成する複数のセグメントは、周方向に複数設置された静翼体であり、隣接する前記静翼体のエンドウォールの間隙面に、請求項1から7の何れかに記載のガスタービンシール装置を設けたことを特徴とするガスタービン。
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