JP2016094317A - 球形状微粒子の製造方法及び球形状微粒子、並びに結晶性酸化物の製造方法 - Google Patents

球形状微粒子の製造方法及び球形状微粒子、並びに結晶性酸化物の製造方法 Download PDF

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潤一 田邊
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啓介 溝口
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美千代 藤田
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洋一 藤枝
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Abstract

【課題】異方成長及び凝集発生を抑制し球形状の単分散状態を長時間保持できる球形状微粒子、及び結晶性酸化物の製造方法の提供。【解決手段】希土類元素の酸化物、炭酸塩、又は水酸化物の微粒子を晶析法によって球形状微粒子の製造する方法で、球形状微粒子の核形成過程及び粒子成長過程のうちの少なくとも一つの過程で、下式で表される構造を有する含窒素複素環化合物を用いる製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、球形状微粒子の製造方法及び球形状微粒子、並びに結晶性酸化物の製造方法に関し、特に、希土類元素の、酸化物、炭酸塩、又は水酸化物の微粒子を、晶析法によって製造する球形状微粒子の製造方法及び球形状微粒子、並びに結晶性酸化物の製造方法に関する。
従来、酸化セリウムを主成分とした単分散性を示す球形状の希土類酸化物微粒子を合成する方法として液相法(晶析法)により合成することが知られている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
具体的には、例えば、精製された硝酸第一セリウム、塩化第一セリウム、硫酸第一セリウム等の水溶液に炭酸、シュウ酸、酢酸等の塩を添加して炭酸第一セリウム、シュウ酸第一セリウム、酢酸第一セリウム等の生成物を沈殿させ、この沈殿物を濾過し、乾燥したのち、得られた希土類酸化物の前駆体粒子を焼成して希土類酸化物微粒子である酸化セリウムを得る方法がある。
しかしながら、単分散性を示す希土類酸化物微粒子を形成する液相反応系において、投入原料量や反応温度、晶析中のpH等の条件を精密に制御して、異方成長や凝集発生を抑制するのは極めて困難であった。
また、希土類酸化物微粒子を液相法で合成する場合、生産収量が非常に少ない点で、十分な量産適合性を有していない状況にあった。なお、上記特許文献1〜3には、生産収量について言及されていない。
さらに、従来の液相法による焼成前の希土類酸化物の前駆体粒子は、球形状の単分散状態を保持できる時間が短く、保存期間や保管温度に厳密な管理を要していた。
特開2010−089989号公報 特開2008−115370号公報 特表2011−511751号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、異方成長及び凝集発生を抑制し、球形状粒子の状態で、生産収量を大幅に増加させることができ、さらに、球形状の単分散状態を長時間保持することができる球形状微粒子の製造方法及び球形状微粒子、並びに球形状微粒子を焼成処理した結晶性酸化物の製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、球形状微粒子の核形成過程及び粒子成長過程のうちの少なくとも一つの過程で、特定の構造を有する含窒素複素環化合物を用いることによって、異方成長及び凝集発生を抑制し、球形状粒子の状態で、生産収量を大幅に増加させることができ、さらに、球形状の単分散状態を長時間保持することができることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.希土類元素の、酸化物、炭酸塩、又は水酸化物の微粒子を、晶析法によって製造する球形状微粒子の製造方法であって、
球形状微粒子の核形成過程及び粒子成長過程のうちの少なくとも一つの過程で、下記一般式(1)〜(4)で表される構造を有する含窒素複素環化合物を用いることを特徴とする球形状微粒子の製造方法。
Figure 2016094317
〔上記一般式(1)中、Qは、それぞれ置換基を有してもよいベンゾチアゾール環又はテトラゾール環を完成するに必要な原子群を表す。Rは、水素原子、メルカプト基又は複素環を表す。
上記一般式(2)中、Y及びZは、窒素原子又は炭素原子を表す。Y及びZのうち、いずれか一つは、窒素原子を表す。Xは、水素原子、ハロゲン原子、置換又は非置換のアルキル基、ニトロ基、アミノ基、カルボキシ基、又はアルコキシカルボニル基を表す。nは、0〜4の整数を表す。
上記一般式(3)及び(4)中、R〜Rは、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、又はチオエテール基を表す。〕
2.前記球形状微粒子が、セリウム(Ce)、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)及びユウロピウム(Eu)から選ばれる少なくとも1種の元素と、イットリウム(Y)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)及びルテチウム(Lu)から選ばれる少なくとも1種の元素とを含有することを特徴とする第1項に記載の球形状微粒子の製造方法。
3.前記球形状微粒子の平均粒子径が、0.05〜1.0μmの範囲内であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の球形状微粒子の製造方法。
4.第1項から第3項までのいずれか一項に記載の球形状微粒子の製造方法によって、製造されたことを特徴とする球形状微粒子。
5.第1項から第3項までのいずれか一項に記載の球形状微粒子の製造方法によって製造された球形状微粒子を焼成処理することによって、結晶性の酸化物を製造することを特徴とする結晶性酸化物の製造方法。
本発明の上記手段により、異方成長及び凝集発生を抑制し、球形状粒子の状態で、生産収量を大幅に増加させることができ、さらに、球形状の単分散状態を長時間保持することができる球形状微粒子の製造方法及び球形状微粒子、並びに結晶性酸化物の製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
球形状微粒子の核形成過程及び粒子成長過程のうちの少なくとも一つの過程で、上記一般式(1)〜(4)で表される構造を有する含窒素複素環化合物を用いることによって、含窒素複素環化合物が、微粒子の球形安定性を阻害する結晶面へ選択的に吸着する作用が働き、異方成長及び凝集発生を抑制することができる。その結果、球形状微粒子の状態で、生産収量を大幅に増加でき、また、球形状の単分散状態を長時間保持することができると推察される。
本発明の球形状微粒子の製造方法は、希土類元素の、酸化物、炭酸塩、又は水酸化物の微粒子を、晶析法によって製造する球形状微粒子の製造方法であって、球形状微粒子の核形成過程及び粒子成長過程のうちの少なくとも一つの過程で、上記一般式(1)〜(4)で表される構造を有する含窒素複素環化合物を用いることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項5までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記球形状微粒子が、セリウム(Ce)、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)及びユウロピウム(Eu)から選ばれる少なくとも1種の元素と、イットリウム(Y)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)及びルテチウム(Lu)から選ばれる少なくとも1種の元素とを含有することが、安定な球形状微粒子を形成できる点で好ましい。
また、前記球形状微粒子の平均粒子径が、0.05〜1.0μmの範囲内であることが、化学機械研磨の特性がもっとも高く発現され、また微粒子として様々な産業分野に求められる特性をも付与できる点で好ましい。
本発明の球形状微粒子は、上記球形状微粒子の製造方法によって、製造されたことを特徴とする。これにより、異方成長及び凝集発生が抑制され、生産収量が増加し、さらに、球形状の単分散状態を長時間保持することができる球形状微粒子とすることができる。
本発明の結晶性酸化物の製造方法は、上記球形状微粒子の製造方法によって製造された球形状微粒子を焼成処理することによって、結晶性の酸化物を製造することを特徴とする。これにより、結晶性の酸化物の収量を増加させることができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
[球形状微粒子の製造方法及び結晶性酸化物の製造方法]
本発明の球形状微粒子の製造方法は、希土類元素の、酸化物、炭酸塩、又は水酸化物の微粒子を、晶析法によって製造する球形状微粒子の製造方法であって、球形状微粒子の核形成過程及び粒子成長過程のうちの少なくとも一つの過程で、上記一般式(1)〜(4)で表される構造を有する含窒素複素環化合物を用いることを特徴とする。
本発明の球形状微粒子の製造方法によって製造される球形状微粒子は、焼成後、結晶性の酸化物とすることによって、半導体デバイスの研磨加工において、高精度に平坦性を維持しつつ、十分な研磨速度を得るために物理的な作用と化学的な作用の両方で研磨を行う、化学機械研磨(CMP;Chemical Mechanical Polishing)に好適に使用される。
また、本発明の球形状微粒子の製造方法によって製造される球形状微粒子の平均粒子径は、0.05〜1.0μmの範囲内であることが、化学機械研磨の特性をもっとも高く発現できる点で好ましい。また、上記平均粒子径は、0.1〜0.5μmの範囲内であることがより好ましい。
粒子径を求める方法としては、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて200個以上の粒径を測定し、度数分布を求める方法を用いることができる。その他には、動的光散乱法、レーザ回折法、遠心沈降法、FFF法(フィールドフローフラクション法)、電気的検知体法などを用いて求めることが可能である。
本発明の球形状微粒子は、希土類塩水溶液と尿素類水溶液を混合・加熱することにより反応液中に生成する球形状微粒子(以下、前駆体粒子ともいう。)であり、この球形状微粒子を焼成することにより、本発明の結晶性酸化物が得られる。なお、本発明において反応液とは、希土類塩水溶液と尿素類水溶液を混合した液をいう。
本発明の球形状微粒子の製造方法は、少なくとも希土類水溶液中に尿素類水溶液を添加して球形状微粒子(前駆体粒子)を形成する工程を有し、球形状微粒子形成工程における球形状微粒子の核形成及び粒子成長のうちの少なくとも一つの過程で、上記一般式(1)〜(4)で表される構造を有する含窒素複素環化合物を用いる。
そして、得られた球形状微粒子を焼成して、結晶性酸化物を合成することが好ましく、本発明の結晶性酸化物の製造方法は、以下の五つの工程からなることが好ましい。
1.尿素類水溶液調製工程A
2.希土類塩水溶液調製工程B
3.球形状微粒子を形成する工程C
4.固液分離工程D
5.焼成する工程E
1.尿素類水溶液調製工程A
尿素類水溶液調製工程Aは、所定の濃度の尿素類水溶液を調製する工程である。
尿素類水溶液は、加熱することにより加水分解し、これにより当該水溶液中には、尿素の加水分解により生じた二酸化炭素及びアンモニアに加え、尿素の三成分が溶存している。
二酸化炭素は、溶液中炭酸イオンとして存在し、後述する、希土類元素の酸化物、炭酸塩、又は水酸化物である球形状微粒子(前駆体粒子)の原料となる。
炭酸イオンは、水溶液中に炭酸イオン濃度として2.5〜50mmol/Lの範囲内で含まれることが好ましい。より好ましくは、10〜30mmol/Lの範囲内である。
尿素類としては、尿素の他に、尿素の塩(例えば、硝酸塩、塩酸塩等)、N,N′−ジメチルアセチル尿素、N,N′−ジベンゾイル尿素、ベンゼンスルホニル尿素、p−トルエンスルホニル尿素、トリメチル尿素、テトラエチル尿素、テトラメチル尿素、トリフェニル尿素、テトラフェニル尿素、N−ベンゾイル尿素、メチルイソ尿素、エチルイソ尿素、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等を挙げることができる。この中では尿素が好ましい。
2.希土類塩水溶液調製工程B
希土類塩水溶液調製工程Bは、セリウム等を含む希土類元素含有化合物の水溶液(以下、希土類塩水溶液ともいう。)を調製する工程である。
同一組成からなる球形状微粒子を作製する場合は、以下のように希土類塩水溶液を調製することが好ましい。
具体的には、希土類塩水溶液は、セリウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、イットリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム及びルテチウムから選ばれる少なくとも1種の元素を含有することが好ましく、セリウム、イットリウム、及びプラセオジムから選ばれる少なくとも1種類の元素を含有することがより好ましい。
また、希土類塩水溶液は、より好ましくは、セリウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、サマリウム及びユウロピウムから選ばれる少なくとも1種の元素と、イットリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム及びルテチウムから選ばれる少なくとも1種の元素とを含有する。詳細には、希土類塩水溶液は、セリウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、サマリウム及びユウロピウムから選ばれる少なくとも1種類の元素との、含有量の合計が全希土類元素に対して、80mol%以上であり、イットリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム及びルテチウムから選ばれる少なくとも1種類の元素の含有量が、全希土類元素に対して20mol%以下である組成の水溶液である。特に、セリウムとイットリウムの2種類の元素を含有する場合には、セリウムとイットリウムのモル比が80:20であることが好ましい。
これらの液の水溶液中でのイオン濃度は、0.001〜50mol/Lの範囲内であり、尿素類は前記イオン濃度の5〜50倍の範囲内の濃度が好ましい。
これは、セリウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、イットリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム及びルテチウムから選ばれる少なくとも1種の元素の水溶液中でのイオン濃度及び尿素類のイオン濃度を、当該範囲内とすることで、単分散性を示す球形状微粒子を合成することができると考えられるためである。
球形状微粒子が、異なる組成のコアとシェルから構成されるコア・シェル型球形状微粒子を作製する場合、コア及びシェルを作製するための希土類塩水溶液は、上記同一組成からなる球形状微粒子を作製する場合の希土類塩水溶液と同様の希土類塩水溶液を使用することができる。
当該水溶液を調製するために用いることができるこれらの元素の塩として、硝酸塩、塩酸塩等を用いることができるが、硝酸塩を使用することが好ましい。これにより、不純物の少ない球形状微粒子を製造することができる。
3.球形状微粒子を形成する工程C
球形状微粒子を形成する工程Cは、セリウム等を含む希土類元素含有化合物の水溶液(希土類塩水溶液)中に尿素類水溶液を添加して球形状微粒子(前駆体粒子)を形成する工程である。すなわち、上記で調整した希土類塩水溶液と尿素類水溶液を混合・加熱し、球形状微粒子である、希土類の酸化物、炭酸塩又は水酸化物を形成する。
また、本発明において、球形状微粒子を形成する工程Cでは、反応初期の粒子の核形成過程、及び核形成過程の後の粒子成長過程のうちの少なくとも一つの過程で、下記一般式(1)〜(4)で表される構造を有する含窒素複素環化合物(以下、単に、含窒素複素環化合物ともいう。)を用いることを特徴としている。上記含窒素複素環化合物は、少なくとも1種類以上用いればよい。
<一般式(1)〜(4)で表される含窒素複素環化合物>
Figure 2016094317
一般式(1)中、Qはそれぞれ置換基を有してもよいベンゾチアゾール環又はテトラゾール環を完成するに必要な原子群を表す。Rは水素原子、メルカプト基又は複素環を表す。
Figure 2016094317
一般式(2)中、Y及びZは窒素原子又は炭素原子を表す。Y及びZのうち、いずれか一つは窒素原子である。Xは水素原子、ハロゲン原子、置換又は非置換のアルキル基、ニトロ基、アミノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基を表す。nは0〜4の整数を表す。
Figure 2016094317
一般式(3)及び(4)中、R〜Rはそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、チオエテール基を表す。
以下、上記一般式(1)〜(4)で表される構造を有する好ましい化合物の代表例を示す。
Figure 2016094317
Figure 2016094317
これらの中で特に好ましい化合物としては、(1−1、2−7、3−2、4−1)である。
本発明において、上記一般式(1)〜(4)で表される含窒素複素環化合物の添加量は、球形状微粒子を形成する反応溶液あたり1Lに対して、0.1mg〜1gの範囲内が、微粒子形成中の反応条件の1つである、溶液pHの変化が少ない点で好ましい。さらには、添加量が1〜100mgの範囲内であれば、反応時の溶液pHの変化が少ないうえに、微粒子の球形安定性を阻害する結晶面へ選択的に吸着する該含窒素複素環化合物の作用が、効率的に働く点で、より好ましい。
同一組成からなる球形状微粒子を形成する場合と、球形状微粒子が異なる組成のコアとシェルから構成されるコア・シェル型球形状微粒子を形成する場合とについて、それぞれ説明する。
≪同一組成からなる球形状微粒子を形成する場合≫
(i)核形成過程
核形成過程では、希土類塩水溶液と尿素類水溶液を混合・加熱する。この核形成過程において、上記一般式(1)〜(4)で表される構造を有する含窒素複素環化合物を添加してもよいし、又は後述の(ii)粒子成長過程において添加してもよいし、(i)核形成過程及び(ii)粒子成長過程のいずれも添加してもよい。
尿素類水溶液と、希土類塩水溶液を混合することで、球形状微粒子の核が生成し、当該混合溶液に分散する。球形状微粒子の核が分散する混合溶液に、さらに尿素類水溶液を添加し、加熱撹拌することにより、当該微粒子の核が成長し、本発明の球形状微粒子が得られる。得られた球形状微粒子は、上記一般式(1)〜(4)で表される構造を有する含窒素複素環化合物が吸着した状態となる。
希土類塩水溶液と尿素類水溶液の混合・加熱は、希土類塩水溶液に尿素類水溶液を混合してから加熱してもよいし、希土類塩水溶液を加熱した後に尿素類水溶液を混合してもよい。
同一組成からなる球形状微粒子を形成する場合には、例えば、尿素類水溶液を、希土類塩水溶液を加熱した溶液に添加する。そして、当該混合した溶液を加熱しながら撹拌することが好ましい。
また、核形成過程において、上記一般式(1)〜(4)で表される構造を有する含窒素複素環化合物を添加する場合には、希土類塩水溶液の加熱中に、上記含窒素複素環化合物のうち少なくとも1種を混合し、その後、尿素類水溶液を添加することが好ましい。これにより、含窒素複素環化合物が、微粒子の球形安定性を阻害する結晶面へ選択的に吸着する作用を発現し、異方成長及び凝集が抑制され、球形状の核が形成される。
含窒素複素環化合物は、あらかじめ純粋水に溶解して添加することが好ましい。
なお、純水だけでは溶解しない場合には、アルカリ剤の共存下で溶解することが好ましい。
例えば、構造式に水溶性基(OH基、COOH基)を含まない化合物(例えば、上記例示化合物1−1〜1−4、3−1〜3−3)は、メタノールで溶解する場合があり、また、水溶性を有する化合物種(例えば、上記例示化合物4−1)でも、KOHとの共存によって溶解性を高めることが好ましい。
核の大きさは、10〜300nm程度が好ましい。核の大きさの制御は、希土類塩水溶液と尿素類水溶液の濃度、反応温度、添加速度及び添加量等を適宜制御することで行うことができる。核が形成したことは、反応液が青色〜白色に着色ないし濁ってくることから確認できる。粒子径が小さいときは青色に、大きくなるにつれ白色に観察される。
核形成過程において添加する尿素類水溶液の添加速度は、尿素類濃度に換算して反応液1Lに対して1分当たり0.01〜50molの範囲内であることが好ましい。より好ましくは添加速度は0.10〜30molの範囲内である。
添加速度は短いほうが生成した核の粒径分布が狭くなるが、早すぎると生成した核が凝集したり、また局所的な濃度分布が大きくなるため核が異方成長し、核の粒径分布が大きくなる場合があるためである。
添加時間としては10分以内が好ましい。より好ましくは5分以内である。さらに好ましくは1分以内である。
また、添加する尿素類水溶液の炭酸イオン濃度は、2.5〜50mmol/Lの範囲内であることが好ましい。
尿素類水溶液中の尿素類の分解度は、0.5%以上であることが好ましい。さらには3%以上が好ましい。
希土類塩水溶液と尿素類水溶液が混合した反応液の温度は、尿素類が加水分解できる温度であることが好ましい。具体的には反応液の温度は75〜100℃、好ましくは80〜100℃、より好ましくは90〜100℃の範囲内である。
(ii)粒子成長過程
粒子成長過程では、核形成過程で形成した核粒子をより大きな球形状微粒子に成長させる工程である。
粒子成長過程は、核形成過程の後に行われる。核形成過程で添加した尿素類水溶液の添加終了後、反応液が青色〜白色に着色ないし濁った後、さらに尿素類水溶液を添加し、加熱撹拌することで粒子成長過程を開始する。この成長過程においても、上記含窒素複素環化合物を添加してもよい。
具体的には、尿素類水溶液の添加終了後、反応液が青色〜白色に着色ないし濁ったことを確認したあと、約10分以内に、あらかじめ上記含窒素複素環化合物を純水に溶解した溶液と、尿素類水溶液調製工程Aで調製した尿素類水溶液を、上記核形成過程で得られた水溶液に添加する。当該混合した溶液を加熱しながら撹拌する。尿素水溶液と希土類塩水溶液を混合することで、当該球形状微粒子の核が成長し、球形状微粒子が得られる。
粒子成長過程では、新たな核を生成することは球形状微粒子の粒径分布を大きくすることになるので好ましくない。
粒子成長過程において添加する尿素類水溶液の濃度は、0.05〜10mol/Lの範囲内であることが好ましい。
また、粒子成長過程においてに添加する尿素類水溶液の炭酸イオン濃度が0.01〜30mol/Lの範囲内であることが成長中の球形状微粒子の粒径分布を大きくしない観点から好ましい。
希土類塩水溶液と尿素類水溶液が混合した反応液の温度は、尿素類が加水分解できる温度であることが好ましい。具体的には反応液の温度は75〜100℃の範囲内、好ましくは80〜100℃の範囲内、より好ましくは90〜100℃の範囲内である。
また、撹拌時間は1時間以上10時間以下が好ましく、1時間以上3時間以下が特に好ましい。なお、加熱温度及び撹拌時間は、目的とする粒子径に合わせて適宜調整することができる。
なお、球形状微粒子を形成する工程における加熱撹拌の際には、十分な撹拌効率を得られれば、特に撹拌機の形状等は指定しないが、より高い撹拌効率を得るためには、ローター・ステータータイプの撹拌機を使用することが好ましい。
≪コア・シェル型球形状微粒子を形成する場合≫
球形状微粒子が異なる組成のコアとシェルから構成されるコア・シェル型球形状微粒子を形成する場合、(a)コア形成工程(核形成過程)と、(b)シェル形成工程(粒子成長過程)に分けることができる。この(a)コア形成工程(核形成過程)において、上記一般式(1)〜(4)で表される構造を有する含窒素複素環化合物を添加してもよいし、又は(b)シェル形成工程(粒子成長過程)において添加してもよいし、(a)コア形成工程及び(b)シェル形成工程のいずれも添加してもよい。
(a)コア形成工程
コア形成工程(核形成過程)は、セリウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、イットリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム及びルテチウムから選ばれる少なくとも1種の元素の塩を形成させ、当該元素の塩を主成分とする球形状微粒子のコアを形成させる態様が好ましい。
具体的には、コア形成工程は、例えば、前記の希土類塩水溶液及び尿素類水溶液をそれぞれ所定の濃度となるように調製する。そして、希土類塩水溶液を80℃以上に加熱撹拌し、あらかじめ含窒素複素環化合物を純水に溶解した溶液を、希土類塩水溶液の加熱中に添加し、その後、尿素類水溶液を添加して加熱撹拌することで、コアを作製する。
コア形成工程において、水に溶解させる前記の希土類元素の塩としては、硝酸塩、塩酸塩等を用いることができるが、製品への不純物の混入が少ない硝酸塩を使用することが好ましい。
コア形成工程における前記硝酸塩を含有する水溶液の添加速度は、1分当たり0.003〜5.5mol/Lの範囲内が好ましく、80℃以上で加熱撹拌しながら反応溶液に添加することが好ましい。添加速度を当該範囲とすることにより、単分散性の優れた、球形状の微粒子が形成されやすくなるためである。加熱する温度については、80℃以上で加熱撹拌すると、添加された尿素の分解が進みやすくなるためである。
また、添加する尿素の濃度は、コアを形成する希土類元素のイオン濃度の5〜50倍の濃度が好ましい。これは、希土類元素の水溶液中でのイオン濃度及び尿素の濃度を、当該範囲内とすることで、単分散性を示す球形状微粒子を合成することができるためである。
(b)シェル形成工程
シェル形成工程(粒子成長過程)は、コア形成工程により形成する、セリウムの塩基性炭酸塩及びイットリウムの塩基性炭酸塩を分散させる反応溶液に、尿素類水溶液と、例えば硝酸セリウム及び硝酸イットリウムから調製する水溶液と、を一定速度で所定時間添加し加熱撹拌して、コアの外側にセリウムの塩基性炭酸塩及びイットリウムの塩基性炭酸塩、を含有する球形状微粒子のシェルを形成させる。
なお、シェル形成工程においても、あらかじめ含窒素複素環化合物を純水に溶解した溶液を、尿素類水溶液と上記希土類塩水溶液の加熱中に添加してもよい。
コアがセリウム及びイットリウムの塩ではなく、前記の他の希土類元素の塩であっても同様にシェル形成工程に適用することができる。
また、水溶液の調製に用いるセリウムの塩として、製品への不純物の混入が少ない硝酸塩を使用することが好ましいため、硝酸セリウムを用いる場合を示したが、これに限定するものではなく、塩酸塩、硫酸塩等を用いることができる。
シェル形成工程で添加する水溶液の添加速度は、1分当たり0.003〜5.5mol/Lの範囲内が好ましい。これは、添加速度を当該範囲とすることにより、単分散性の優れた、球形状微粒子が形成されやすくなるためである。
また、添加する水溶液が含有するセリウムの濃度の割合が、該水溶液中の希土類元素に対して90mol%以下であることが好ましい。これは、添加する水溶液のセリウムの濃度の割合が90mol%以下である場合、形成される球形状微粒子が単分散性を示し、板状に凝集してしまうことがないためである。
また、コアとシェルの厚さは、各々のコア用の希土類塩水溶液及びシェル用の希土類塩水溶液の添加量を変えることで可能である。また、コアを作製したあとシェルを成長させても良いし、コアの作製途中からシェル用の希土類塩水溶液を添加することでコアとシェルの境界がなだらかに組成変化するコア・シェル型球形状微粒子を作製することもコア・シェル型球形状微粒子の機械的強度を高める観点から好ましい。
4.固液分離工程D
加熱撹拌した後、生成した沈殿(球形状微粒子)を溶液と分離する固液分離を行う。固液分離の方法は、一般的な方法でよく、例えば、フィルター等を使用して濾過により球形状微粒子を得ることができる。
5.焼成する工程E
焼成する工程E(焼成工程ともいう。)は、固液分離工程Dにより得られた球形状微粒子を空気中又は酸化性雰囲気中で、400℃以上で焼成する。焼成された球形状微粒子は本発明に係る結晶性酸化物とされ、半導体デバイスの研磨加工における研磨材として好適に使用される。
なお、必要に応じて焼成する前に水又はアルコール等で洗浄及び乾燥を行ってから焼成してもよい。
焼成を経て冷却することにより、結晶性酸化物を安定化させることができる。
上述のような球形状微粒子の製造方法によって得られた球形状微粒子は、異方成長した球形状微粒子や凝集した微粒子をほとんど含まない。
本発明の製造方法で製造した球形状微粒子を含有する結晶性酸化物は、当該球形状微粒子を50質量%以上含有し、好ましくは70質量%以上含有し、90質量%以上含有することが特に好ましい。これにより、研磨による表面粗さが小さい研磨材に使用することができる。
次に、本発明の製造方法で製造される球形状微粒子について説明する。
球形状微粒子が単一組成からなる場合、本発明に係る球形状微粒子は、セリウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、イットリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム及びルテチウムから選ばれる少なくとも1種の元素を含有することが好ましく、セリウム、イットリウム、及びプラセオジムから選ばれる少なくとも1種類の元素を含有することがより好ましい。
また、本発明に係る球形状微粒子は、より好ましくは、セリウムと、ランタン、プラセオジム、ネオジム、サマリウム及びユウロピウムから選ばれる少なくとも1種の元素と、イットリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム及びルテチウムから選ばれる少なくとも1種の元素とを含有する。詳細には、セリウムと、ランタン、プラセオジム、ネオジム、サマリウム及びユウロピウムから選ばれる少なくとも1種類の元素との、含有量の合計が全希土類元素に対して、80mol%以上であり、イットリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム及びルテチウムから選ばれる少なくとも1種類の元素の含有量が、全希土類元素に対して20mol%以下である組成とすることが好ましい。特に、セリウムとイットリウムの2種類の元素を含有する場合には、セリウムとイットリウムのモル比が80:20であることが好ましい。
球形状微粒子がコア・シェル型の場合も、コア及びシェルの組成は単一組成からなる球形状微粒子の場合と同様である。
ここで、球形状微粒子の各希土類元素の含有量は、元素分析により求めることができる。例えば、球形状微粒子1gを硝酸水溶液10mlと過酸化水素水1.0mlの混合溶液に溶解させ、エスアイアイナノテクノロジー社製のICP発光分光プラズマ装置(ICP−AES)を使用して元素分析を行う。球形状微粒子の各希土類元素の含有量から組成比(mol%)として求めることができる。
なお、球形状微粒子の組成分布については、球形状微粒子の断面の元素分析を行うことにより求めてもよい。例えば、球形状微粒子について、日立ハイテクノロジーズ製 集束イオンビーム(FB−2000A)により断面加工を行い、粒子中心付近を通る面を切り出す。そして、切断面より、日立ハイテクノロジーズ製 STEM−EDX(HD−2000)を使用して元素分析を行い、球形状微粒子の各希土類元素の組成分布を求めることもできる。
球形状微粒子又は結晶性酸化物のセリウム含有量は、多くなるほど優れた研磨速度を示す。
ここで、研磨速度は、結晶性酸化物を含有する研磨材の粉体を水等の溶媒に分散させた研磨材スラリーを、研磨機の研磨対象面に供給しながら、研磨対象面を研磨布で研磨することで測定できる。
研磨速度は、例えば、研磨材スラリーを研磨機に循環供給させて研磨加工を行うことにより測定することができる。研磨前後の厚さをNikon Digimicro(MF501)にて測定し、厚さ変位から1分間当たりの研磨量(μm)を算出し、研磨速度とすることができる。
また、本発明に係る球形状微粒子は、セリウムの含有量が、95〜100mol%の範囲内である球形状であることが好ましい。
セリウムの含有量が、95〜100mol%の範囲内である球形状微粒子を含有する研磨材は、セリウムの割合が高いため、速い研磨速度が得られる。
コア・シェル型の球形状微粒子の場合は、シェルのセリウム含有量が50〜90mol%の範囲内である球形状微粒子であることが好ましい。50〜90mol%の範囲内である球形状微粒子は、内部にコアを有し表面がセリウムの割合が高いため、速い研磨速度が得られる。
また、本発明に係る球形状微粒子の粒子径の単分散度が、20.0%以下であることが好ましい。
高い単分散度を示す球形状微粒子を含有する研磨材は、キズ(傷)が発生しにくく、精密研磨に適している。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
<球形状微粒子1−1の製造>
以下の手順で単一組成の球形状微粒子1−1を製造した。
(1)5.0mol/Lの尿素類水溶液を0.5L用意した。
(2)表1に示す希土類原料である硝酸セリウムを、濃度が0.03mol/Lになるように純水を加えて溶解した希土類塩水溶液を、9.0L用意した。
(3)上記(2)で調製した希土類塩水溶液を、90℃まで加熱した。
(4)上記(3)で加熱した希土類塩水溶液に、(1)で用意した尿素類水溶液を添加し、10分間加熱撹拌した(核形成過程)。なお、反応中は、液pH(90℃)を9.0±0.5に維持できるよう、0.1mol/Lのアンモニア水溶液を滴下して、pHを制御した。
(5)上記(4)の混合液中に0.05mol/Lの濃度の尿素類水溶液を0.5L添加し、50分間加熱撹拌した(粒子成長過程)。この過程においても、反応中の液pH(90℃)を、0.1mol/Lのアンモニア水溶液で9.0±0.5に制御した。
(6)上記(5)で加熱撹拌した混合液を、室温まで冷却した(反応停止)。
(7)上記(6)の混合液のうち、5.0Lをメンブランフィルターで分離後、水分を自然乾燥して、水酸化セリウムの球形状微粒子1−1を得た後、粉体質量を計測した(収量測定)。
(8)上記(7)の混合液の残りから、粒径測定用、SEM観察用、及び構造解析(XRD)用の試料を採取した。
<球形状微粒子1−2の製造>
上記球形状微粒子1−1の製造において、下記複素環化合物R−1を、あらかじめ純水に溶解しておき、この複素環化合物を溶解した溶液を上記(3)の希土類塩水溶液の加熱中に添加した。この際に用いる複素環化合物は、反応液1Lあたりに50mgとなる添加量で実施した。その他は、上記球形状微粒子1−1の製造と同様にして球形状微粒子1−2を製造した。
Figure 2016094317
<球形状微粒子1−3〜1−11の製造>
上記球形状微粒子1−1又は1−2の製造において、希土類原料及び複素環化合物を表1に示すとおりに変更した以外は、同様にして球形状微粒子1−3〜1−11を製造した。なお、複素環化合物が純水だけでは溶解しない場合には、メタノールによる溶解、又はアルカリ剤の共存下で溶解した。
<球形状微粒子2−1の製造>
以下の手順でコア・シェル型球形状微粒子2−1を製造した。
(1)5.0mol/Lの尿素類水溶液を0.5L用意した。
(2)表2に示す希土類原料である硝酸セリウムを、濃度が0.03mol/Lになるように純水を加えて溶解した希土類塩水溶液を、8.5L用意した。
(3)上記(2)で調製した希土類塩水溶液を、90℃まで加熱した。
(4)上記(3)で加熱した希土類塩水溶液に、(1)で用意した尿素類水溶液を添加し、10分間加熱撹拌した(核形成過程)。なお、反応中は、液pH(90℃)を5.5±0.5に維持できるよう、0.1mol/Lのアンモニア水溶液を滴下して、pHを制御した。
(5)上記(4)の混合液中に0.05mol/Lの濃度の尿素類水溶液を0.5L添加し、さらに表2に示す希土類原料である硝酸セリウムを、濃度が0.05mol/Lにあるように純粋を加えて溶解し、この希土類塩水溶液を0.5L添加して、50分間加熱撹拌した(粒子成長過程)。この過程においても、反応中の液pH(90℃)を、0.1mol/Lのアンモニア水溶液で5.5±0.5に制御している。
(6)上記(5)で加熱撹拌した混合液を、室温まで冷却した(反応停止)。
(7)上記(6)の混合液のうち、5.0Lをメンブランフィルターで分離後、水分を自然乾燥して、球形状微粒子2−1を得た後、粉体質量を計測した(収量測定)。
(8)上記(7)の混合液の残りの一部から、粒径測定用、SEM観察用、及び構造解析(XRD)用の試料を採取した。
(9)上記(8)を、混合液のままで常温保管し、7日後に再度粒径測定用、SEM観察用の試料を採取した。
<球形状微粒子2−2の製造>
上記球形状微粒子2−1の製造において、下記複素環化合物R−2を、あらかじめ純水に溶解しておき、この複素環化合物を溶解した溶液を上記(3)の希土類塩水溶液の加熱中に添加した。その他は、上記球形状微粒子2−1の製造と同様にして球形状微粒子2−2を製造した。
Figure 2016094317
<球形状微粒子2−3〜2−11の製造>
上記球形状微粒子2−1又は2−2の製造において、希土類原料及び複素環化合物を表2に示すとおりに変更した以外は、同様にして球形状微粒子2−3〜2−11を製造した。なお、複素環化合物が純水だけでは溶解しない場合には、アルカリ剤の共存下で溶解した。
また、表2中、希土類原料の「硝酸セリウム/硝酸イットリウム=80/20」とは、硝酸セリウムと硝酸イットリウムの粒子組成(mol%)を表す。
<結晶性酸化物3−1〜3−7の製造>
上記で製造した球形状微粒子1−1、1−5、2−1、2−4、2−7〜2−9について、それぞれメンブランフィルターで分離後、水分を自然乾燥して粉体を回収した。ローラーハースキルンを用いて、焼成温度600℃、4時間で処理し、試料(結晶性酸化物3−1〜3−7)を得た。そして、得られた試料の構造を、X線回折法で相同定を行った。
[評価]
上記で得られた試料について、以下の方法にしたがって、平均粒子径、粒子径変動係数、及び粒子形状を評価し、また、X線回折法で相同定を行った。評価結果を下記表1〜表3に示す。
<平均粒子径、粒子径変動係数(CV値)>
球形状微粒子200個の走査型顕微鏡写真(SEM像)から平均粒子径及び粒子径分布の変動係数(「単分散度」ともいう。)を求め、単分散性を評価した。なお、粒子径は、各粒子の写真画像の面積に基づき、面積円相当粒子径を求め、これを各粒子の粒子径とする。また、各粒子の粒子径の算術平均を平均粒子径とした。平均粒子径は、反応直後と、7日後にそれぞれ測定した。
粒子径分布変動係数は下記の式で求めた。
変動係数(%)=(粒子径分布の標準偏差/平均粒子径)×100
なお、上記粒子径、分布等の測定は、画像処理測定装置(例えば、ルーゼックス AP;株式会社ニレコ製)を用いて行うことができる。
<粒子形状>
球形状粒子について、走査型顕微鏡写真(SEM像)の撮影を行い、粒子100個を無作為に選択し、その長径をa、短径をbとしたとき、a/bの値の平均値をアスペクト比として求めた。なお、各粒子について外接する長方形(「外接長方形」という。)を描いたとき、外接長方形の短辺及び長辺うち、最短の短辺の長さを短径とし、最長の長辺の長さを長径とする。
アスペクト比が、1.00〜1.15の範囲内である場合に球形状として分類する。1.00〜1.15の範囲外である場合は不定形として分類した。
アスペクト比が1に近づくほど、球形度が高いことを表している。高い球形度を有する本発明に係る球形状微粒子を焼成して得られた結晶性酸化物は、精密研磨に適しており、研磨速度も速いため、生産性も高い点で優れている。
<X線回折法>
結晶性酸化物の試料を、下記装置及び条件によりX線回折を行ったところ、表3に示す各結晶性酸化物の形成粒子による回折ピークが検出された。
装置:粉末X線回折装置MiniFlexII(株式会社リガク社製)
X線源としては、CuKα線を使用した。
Figure 2016094317
Figure 2016094317
Figure 2016094317
表1〜表3に示した結果から明らかなように、本発明の球形状微粒子は、異方成長及び凝集発生が抑制され、球形状の微粒子を得ることができた。また、生産収量が多いことも認められる。さらに、このような本発明の球形状微粒子を焼成することによって得られる結晶性酸化物も、球形状をなしていることが認められた。

Claims (5)

  1. 希土類元素の、酸化物、炭酸塩、又は水酸化物の微粒子を、晶析法によって製造する球形状微粒子の製造方法であって、
    球形状微粒子の核形成過程及び粒子成長過程のうちの少なくとも一つの過程で、下記一般式(1)〜(4)で表される構造を有する含窒素複素環化合物を用いることを特徴とする球形状微粒子の製造方法。
    Figure 2016094317
    〔上記一般式(1)中、Qは、それぞれ置換基を有してもよいベンゾチアゾール環又はテトラゾール環を完成するに必要な原子群を表す。Rは、水素原子、メルカプト基又は複素環を表す。
    上記一般式(2)中、Y及びZは、窒素原子又は炭素原子を表す。Y及びZのうち、いずれか一つは、窒素原子を表す。Xは、水素原子、ハロゲン原子、置換又は非置換のアルキル基、ニトロ基、アミノ基、カルボキシ基、又はアルコキシカルボニル基を表す。nは、0〜4の整数を表す。
    上記一般式(3)及び(4)中、R〜Rは、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、又はチオエテール基を表す。〕
  2. 前記球形状微粒子が、セリウム(Ce)、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)及びユウロピウム(Eu)から選ばれる少なくとも1種の元素と、イットリウム(Y)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)及びルテチウム(Lu)から選ばれる少なくとも1種の元素とを含有することを特徴とする請求項1に記載の球形状微粒子の製造方法。
  3. 前記球形状微粒子の平均粒子径が、0.05〜1.0μmの範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の球形状微粒子の製造方法。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の球形状微粒子の製造方法によって、製造されたことを特徴とする球形状微粒子。
  5. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の球形状微粒子の製造方法によって製造された球形状微粒子を焼成処理することによって、結晶性の酸化物を製造することを特徴とする結晶性酸化物の製造方法。
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