以下、発明の実施の形態例を、図面を参照して説明する。図1及び図2に示すように、本発明の第1の実施の形態例に係るパチンコ機Pは、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠1と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた本体枠2と、本体枠2の内側に収容される遊技盤3(なお、図2では遊技盤3は取り外されている)と、本体枠2の前面に扉状に開閉自在に取り付けられ、中央に大きく開口部8が形成されたガラス扉4と、このガラス扉4の開口部8に取り付けられた透明なガラス板10と、本体枠2の下側に開閉自在に配設され、遊技球を収容する受皿5を有する前面ボード6と、本体枠2の下部に設けられた発射装置9と、前面ボード6に取り付けられたハンドル7と、を具備している。さらに、ガラス扉4の上部にはスピーカ20が左右に1個ずつ取り付けられており、遊技に関する様々な効果音を発している。また、図3に示すように、このパチンコ機Pは、背面側に、主制御処理部100、払出・発射制御処理部105、サブ制御処理部200、賞球払出装置14等を備えている。続いて、図1〜図5を参照して、本実施形態に係るパチンコ機Pの構成を詳しく説明していくことにする。
遊技盤3は、図4にその構造を模式的に示すように、その盤面に遊技領域31を有しており、遊技領域31は、本体枠2に装着した後、ガラス板10を介して観察することができる。遊技領域31は、遊技球を滑走させるガイドレールと遊技球規制レールによって略円形状となるように区画形成されており、発射装置9によって打ち出された遊技球はこの遊技領域31内を流下する。また、遊技領域31内には、演出表示装置34と、スルーチャッカ21と、電動チューリップ(普通電動役物)49と、ステージ(図示せず)と、第1始動入賞口(始動口)37aおよび第2始動入賞口(始動口)37bと、一般入賞口38と、アウト口39と、釘と、風車(図示せず)と、大入賞口42と、アタッカー装置(特別電動役物)41等が設けられている。また、遊技盤面の右下方の位置には、特別図柄表示装置17と、普通図柄表示装置22とが設けられている。
本実施形態では、第1始動入賞口37aと第2始動入賞口37bとは上下に近接して設けられており、発射装置9の発射強度が弱〜中のとき(所謂、ぶっこみ狙いで遊技球を発射した場合)には、遊技球は演出表示装置34の左側を流下して第1始動入賞口37aと第2始動入賞口37bの両方に入賞可能である。しかし、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞するためには、電動チューリップ49が開放される必要がある。また、発射装置9の発射強度を強にして遊技球を発射する(所謂、右打ちを行う)と、遊技球は、そのままアタッカー装置41に向かって流下する場合が殆どである。よって、遊技者は、通常、ぶっこみ狙いで遊技球を打ち出しながら遊技を進めることになる。
また、本実施形態では、遊技球が流下するルートとして、図4に示すように、主にルートAとルートBの2つのルートがある。ルートAとルートBとで、遊技球が遊技領域31に打ち出されて後、大入賞口42に到達するまでの時間にどのくらいの違いがあるかについて説明する。遊技領域31に打ち出された遊技球がルートAを遊技球が流下する場合、図4から明らかなように、数多くの釘が流下の妨げとなるため、流下速度が低下する。そのため、ルートAを流下した場合、遊技領域31内に打ち出された遊技球が大入賞口42に到達するまでの所要時間は、平均6秒程度である。一方、ルートBを遊技球が流下する場合、図4から明らかなように、釘の数がルートAに比べて大幅に少なくなっているので、遊技球が流下する際の妨げとなるものがルートAに比べて少ない。よって、ルートBは遊技球の流下速度がルートAに比べて低下しない。そのため、ルートBを流下した場合、遊技領域31内に打ち出された遊技球が大入賞口42に到達するまでの所要時間は、平均2秒程度である。
このことから、本実施形態では、遊技球がルートAを流下している間に、別の遊技球がルートBを流下すると、大入賞口42に数個の遊技球がほぼ同時に到達するという現象が起こり得るということになる。つまり、遊技者が遊技球の流下ルートをルートAとルートBとに適宜打ち分けるようにすれば、大入賞口42に数個の遊技球をまとめて入賞させることが可能な構成となっているのである。
演出表示装置34は、遊技盤3の略中央部に設けられ、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞することを契機に行われる第1特別図柄に係る電子抽選の結果、または第2始動入賞口37bに遊技球が入賞することを契機に行われる第2特別図柄に係る電子抽選の結果に基づいて所定の演出態様を表示するものであって、本実施形態では液晶表示装置が用いられている。この演出表示装置34には、画面全体に背景画像が表示されるほか、所定の演出態様の一部として、特別図柄表示装置17に変動表示される第1特別図柄または第2特別図柄と同期をとってダミー図柄(演出図柄)が変動表示されるようになっている。
なお、この演出表示装置34には、保留球乱数が保留球乱数記憶部(メモリ)に記憶された場合に保留表示(保留球乱数が記憶された旨の表示)を行うための表示領域が区画形成されている。具体的には、演出表示装置34の左下側に第1特別図柄用保留球乱数記憶部115aに保留球乱数が記憶されたことを表示する第1保留球表示領域34aが設けられ、右下側に第2特別図柄用保留球乱数記憶部115bに保留球乱数が記憶されたことを表示する第2保留球表示領域34bが設けられている。
特別図柄表示装置17は、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞することを契機に行われる第1特別図柄に係る電子抽選の結果、または第2始動入賞口37bに遊技球が入賞することを契機に行われる第2特別図柄に係る電子抽選の結果を表示するためのものである。より具体的には、特別図柄表示装置17は、特別図柄に係る抽選結果を、第1特別図柄あるいは第2特別図柄(例えば、数字や絵柄)を変動させた後に停止させるといった態様で表示する。本実施形態では、特別図柄表示装置17として7セグメント表示器が用いられている。この特別図柄表示装置17は、演出表示装置34を見ている遊技者の視界に同時に入らないように遊技盤3の右下部分に離れて設けられている。そして、7セグメント表示器を点滅表示させることにより特別図柄が変動し、その点滅が停止して点灯表示に変わることで特別図柄の変動が停止する。この点滅中の時間が、特別図柄(第1特別図柄、第2特別図柄)の変動時間である。
なお、本実施形態では、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことに基づく遊技と第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことに基づく遊技とが同時に進行することはない。より詳しくは、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことに基づく遊技より、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことに基づく遊技の方を優先して実行するように構成されている。即ち、第1特別図柄用保留球乱数記憶部115aと第2特別図柄用保留球乱数記憶部115bの両方に保留球乱数が記憶されている場合には、主制御処理部100は、第2特別図柄用保留球乱数記憶部115bに記憶されている保留球乱数の方を先に読み出して遊技に係る処理を実行する。そのため、第1始動入賞口37aと第2始動入賞口37bの両方の抽選結果を同時に表示することはない。よって、2つの始動入賞口37a、37bに遊技球が入賞したことに基づく抽選の結果を1つの特別図柄表示装置17で表示している。
スルーチャッカ21は、遊技球が通過可能なゲート構造を成しており、その内部には遊技球が通過したことを検知する磁気センサタイプのスルーチャッカ検知センサ46が内蔵されている。また、このスルーチャッカ21を遊技球が通過したことを契機に行われる普通図柄に係る電子抽選の結果を表示するための普通図柄表示装置22が、特別図柄表示装置17の隣に設けられている。この普通図柄表示装置22は、本実施形態では、二つのLEDランプで構成されており、普図当たりのときに一方のLEDランプが点灯し、ハズレのときには他方のLEDランプが点灯するようになっている。なお、2つのLEDランプを交互に点滅表示させることにより普通図柄が変動し、その点滅が停止して点灯表示に変わることで普通図柄の変動が停止する。この点滅中の時間が、普通図柄の変動時間である。
なお、特別図柄表示装置17の表示制御は、主制御処理部100の第1特別図柄表示制御部101aおよび第2特別図柄表示制御部101bによって行われ、普通図柄表示装置22の表示制御は、主制御処理部100の普通図柄表示制御部102によって行われている(図5参照)。
電動チューリップ(普通電動役物)49は、第2始動入賞口37bの入口に設けられ、遊技盤3の面に直交する軸を中心に回動する一対の羽根部材を備えており、ソレノイドに通電がなされると一対の羽根部材が互いに離れる方向に回動して、第2始動入賞口37bの入口を拡大するようになっている。そして、電動チューリップ49が開放されると、第2始動入賞口37bへの遊技球の入賞が可能となる。
アタッカー装置(特別電動役物)41は、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞することを契機に行われる第1特別図柄に係る電子抽選の結果、大当たりとなって大当たり遊技に移行した場合と、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞することを契機に行われる第2特別図柄に係る電子抽選の結果、大当たりとなって大当たり遊技に移行した場合に、所定回数開放される装置である。つまり、アタッカー装置41は、両始動入賞口37a,bでの抽選結果に応じて作動する。
そして、このアタッカー装置41は、水平な軸を中心として前後方向に開閉する板状の蓋部材を備えており、図示しないソレノイドを駆動することにより蓋部材が水平軸回りに回動する構成となっている。そして、蓋部材が開いた状態では遊技領域31の下部に設けられた大入賞口42が露呈され、その大入賞口42に遊技球を入賞させることができる構成となっている。
つまり、アタッカー装置41は、常態では蓋部材が大入賞口42を閉じているため、大入賞口42に遊技球が入賞することはないが、上記したように、大当たり遊技に移行すると、蓋部材が開放されて大入賞口42が露呈されるため、遊技球を大入賞口42内に入賞させることが可能となるのである。そして、大入賞口42に遊技球が入賞すると、所定個数の遊技球が賞球として遊技者に払い出される。即ち、遊技者は、大入賞口42に遊技球を入賞させることによって出玉を獲得できるのである。なお、大入賞口42は、横長な長方形の開口であり、アタッカー装置41の蓋部材は、この大入賞口42の形状とほぼ同じ形状を成している。
さらに、大入賞口42内には、入賞した遊技球を検知するための大入賞口検知センサ45a,45b,45cが取り付けられている。これらのセンサは、何れも磁気センサから成り、図4に示すように、第1大入賞口検知センサ45aは、大入賞口42の水平方向における左端側に設けられて、図4のルートAを流下して大入賞口42に入賞した遊技球を主に検知している。第2大入賞口検知センサ45bは、大入賞口42の略中央に設けられて、図4のルートBを流下して大入賞口42内に入賞した遊技球を主に検知している。また、第3大入賞口検知センサ45cは、大入賞口42の水平方向における右端側に設けられて、同じくルートBを流下して大入賞口42内に入賞した遊技球を主に検知している。
ここで、第1大入賞口検知センサ45aは、大抵の場合、ルートAを流下してきた遊技球を検知するが、遊技球の勢いや遊技球同士の衝突等により、ルートBを流下してきた遊技球を検知することも稀にある。そのため、上記の説明では、第1大入賞口検知センサ45aは「主に」ルートAを流下して大入賞口42内に入賞した遊技球を検知することになっている。このことは、第2大入賞口検知センサ45bおよび第3大入賞口検知センサ45cについても同じである。
なお、本実施形態では、大当たり遊技におけるアタッカー装置41の開放回数は15R(ラウンド)と4R(ラウンド)の2種類がある。何れのラウンド数になるかは、特別図柄の種類に応じて異なるようになっており、決定された特別図柄の種類によって、獲得できる賞球数に差が生じるようになる。なお、これについては、後ほど詳しく説明する。
また、一般入賞口38に遊技球が入賞すると、所定個数の遊技球が賞球として遊技者に払い出される。そして、第1始動入賞口37a、第2始動入賞口37b、一般入賞口38、およびアタッカー装置41の何れにも入らなかった遊技球は、アウト口39から回収される。なお、第1始動入賞口37a、第2始動入賞口37b、一般入賞口38の内部にはそれぞれ遊技球の通過を検知するためのセンサ43a,43b,44(図5参照)が設けられている。
前面ボード6には遊技球を収容するとともに、外部に排出可能な受皿5が取り付けられている。この受皿5は、遊技者が投入した遊技球を収容するだけでなく、賞球払出装置14から賞球として払い出された遊技球も収容可能となっている。また、遊技球を遊技領域31に向けて発射するための発射装置9が本体枠2の下部に取り付けられており、受皿5に収容されている遊技球がこの発射装置9に1個ずつ供給される。そして、前面ボード6の右下に取り付けられたハンドル7を回動させると、その回動量に応じた発射強度で発射装置9が遊技球を遊技領域31へと発射することができるようになっている。また、図1に示すように、受皿5の側部には、遊技者が押下操作する演出用タッチボタン60が設けられている。
主制御処理部100は、遊技盤3の裏面に支持部材等を介して設けられている。この主制御処理部100は、CPU(Central Processing Unit)、予め定められた制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)、生成された処理情報の一時記憶及び記憶した情報の削除を行うRAM(Random Access Memory)等により構成されている。このCPUがROMに格納された各種プログラムやデータを読み込んで実行することにより、遊技に関する主要な処理が行われる。
具体的には、図4に示すように、主制御処理部100は、始動入賞口37a,37bに遊技球が入賞したことを契機に特別図柄の当否に係る抽選を行う特別図柄抽選処理部110(特別図柄抽選手段)と、この特別図柄抽選処理部110による抽選で大当たりに当選した場合に、その当選に係る特別図柄の種類を抽選で決定する特別図柄種類決定処理部120と、特別図柄の変動時間に関する情報を含むコマンドである変動パターンコマンドを決定するための特別図柄変動パターンコマンド決定部130と、所定条件が成立したことに基づいて、特別図柄に係る遊技状態および普通図柄に係る遊技状態をそれぞれ設定する遊技状態設定部140と、特別図柄抽選処理部110による抽選結果の判定が大当たりとなった場合に、特別図柄種類決定処理部120で決定した特別図柄の種類に応じてアタッカー装置41(のソレノイド)を作動させて大当たり遊技に移行する大当たり遊技制御部(大当たり遊技制御手段)160とを備えている。
さらに、主制御処理部100は、スルーチャッカ21を遊技球が通過したことを契機に普通図柄の当否に係る抽選を行う普通図柄抽選処理部170と、普通図柄の変動時間を決定するための普通図柄変動時間決定部190と、電動チューリップ49の作動を制御する電動チューリップ作動制御部180と、特別図柄表示装置17の表示制御を行う第1特別図柄表示制御部101aおよび第2特別図柄表示制御部101bと、普通図柄表示装置22の表示制御を行う普通図柄表示制御部102と、を備えて構成されている。
特別図柄抽選処理部110は、図6に示すように、周期的に入力されるクロック信号に基づいてループカウンタの値を所定の範囲(例えば、0〜65535までの範囲)で1ずつ更新させることによりハードウェア乱数を生成する特別図柄当否判定用乱数発生部111と、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことを契機に、第1特別図柄の当否に係る抽選を行う第1特別図柄当否抽選部119aと、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことを契機に、第2特別図柄の当否に係る抽選を行う第2特別図柄当否抽選部119bとを備えて構成されている。
第1特別図柄当否抽選部119aは、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことを契機に(始動入賞口検知センサ43aからの検知信号が主制御処理部100に入力されたタイミングで)、特別図柄当否判定用乱数発生部111で発生した特別図柄当否判定用の乱数(第1乱数)を1つ取得(ラッチ)する第1特別図柄当否判定用乱数取得部112aと、この第1特別図柄当否判定用乱数取得部112aが取得した乱数が大当たりであるか否かを、第1特別図柄高確率判定テーブル116aまたは第1特別図柄低確率判定テーブル117aを参照して決定する第1特別図柄当否判定部113aと、第1特別図柄当否判定用乱数取得部112aが乱数を取得したときに第1特別図柄または第2特別図柄が変動中である場合に、この取得した乱数を第1特別図柄に係る保留球乱数として最大4個まで(別言すれば、所定個数である4個の上限まで)記憶する第1特別図柄用保留球乱数記憶部115aとを備えている。
ここで、第1特別図柄高確率判定テーブル116aは、第1特別図柄低確率判定テーブル117aよりも大当たりとなる確率が高くなっており、より詳しく言うと、第1特別図柄高確率判定テーブル116aは、大当たりの当選確率がおよそ1/30、第1特別図柄低確率判定テーブル117aは、大当たりの当選確率がおよそ1/300に設定されている。つまり、第1特別図柄高確率判定テーブル116aの方が、第1特別図柄低確率判定テーブル117aに比べて10倍大当たりに当選する確率が高くなるように設定されている。
第2特別図柄当否抽選部119bも第1特別図柄当否抽選部119aと同様に、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことを契機に(始動入賞口検知センサ43bからの検知信号が主制御処理部100に入力されたタイミングで)、特別図柄当否判定用乱数発生部111で発生した特別図柄当否判定用の乱数を1つ取得(ラッチ)する第2特別図柄当否判定用乱数取得部112bと、この第2特別図柄当否判定用乱数取得部112bが取得した乱数が大当たりであるか否かを、第2特別図柄高確率判定テーブル116bまたは第2特別図柄低確率判定テーブル117bを参照して決定する第2特別図柄当否判定部113bと、第2特別図柄当否判定用乱数取得部112bが乱数を取得したときに第1特別図柄または第2特別図柄が変動中である場合に、この取得した乱数を第2特別図柄に係る保留球乱数として最大4個まで(別言すれば、所定個数である4個の上限まで)記憶する第2特別図柄用保留球乱数記憶部115bとを備えている。
ここで、第2特別図柄高確率判定テーブル116bは、第2特別図柄低確率判定テーブル117bよりも大当たりとなる確率が高くなっており、より詳しく言うと、第2特別図柄高確率判定テーブル116bは、大当たりの当選確率がおよそ1/30、第2特別図柄低確率判定テーブル117bは、大当たりの当選確率がおよそ1/300に設定されている。つまり、第2特別図柄高確率判定テーブル116bの方が、第2特別図柄低確率判定テーブル117bに比べて10倍大当たりに当選する確率が高くなるように設定されている。
なお、先にも触れたが、第1特別図柄用保留球乱数記憶部115aと第2特別図柄用保留球乱数記憶部115bの両方に保留球乱数が記憶されている場合には、第2特別図柄用保留球乱数記憶部115bに記憶されている方を優先的に読み出して大当たりであるか否かの判定が行なわれ、その判定に従って遊技が進行するような制御がなされている(特図2優先処理)。
次に、特別図柄種類決定処理部120について説明する。上述した特別図柄抽選処理部110が大当たりに当選しているか否か(特別図柄の当否)を決定するものであるのに対して、特別図柄種類決定処理部120は、特別図柄の種類を決定するためのものである。つまり、本実施形態では、特別図柄に関する大当たり/ハズレの決定は特別図柄抽選処理部110によって行われるが、大当たりの内容(種別、ラウンド数、電サポ回数、アタッカー開放パターン)は特別図柄種類決定処理部120によって決定される構成となっている。
特別図柄種類決定処理部120は、周期的(例えば4ミリ秒毎)に入力される割り込み信号に基づいてループカウンタの値を所定の範囲(例えば、0〜399までの範囲)で1ずつ更新させることによりソフトウェア乱数を生成する特別図柄種類決定用乱数発生部と、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことを契機に、抽選により第1特別図柄の種類を決定するための第1特別図柄種類抽選部と、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことを契機に、抽選により第2特別図柄の種類を決定するための第2特別図柄種類抽選部と、を備えて構成されている。
第1特別図柄種類抽選部は、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことを契機に(始動入賞口検知センサ43aからの検知信号が主制御処理部100に入力されたタイミングで)、特別図柄種類決定用乱数発生部で発生した特別図柄種類決定用の乱数を1つ取得(ラッチ)する第1特別図柄種類決定用乱数取得部と、この第1特別図柄種類決定用乱数取得部が取得した乱数から、第1特別図柄種類決定テーブルを参照して第1特別図柄の種類を決定する第1特別図柄種類決定部と、第1特別図柄種類決定用乱数取得部が乱数を取得したときに第1特別図柄または第2特別図柄が変動中である場合に、この取得した乱数を最大4個まで(別言すれば、所定個数である4個の上限まで)記憶する第1特別図柄種類決定用乱数記憶部と、を備えている。
第1特別図柄種類決定テーブルは、特別図柄種類決定用の乱数と第1特別図柄の種類とが予め対応付けられたテーブル構成を成している。詳しくは図示しないが、このテーブルには、「15R特定時短有図柄」、「4R特定時短有図柄」、「15R通常時短有図柄」、および「4R通常時短有図柄」の合計4の第1特別図柄が規定されており、これら4種類の第1特別図柄のそれぞれに特別図柄種類決定用乱数0〜399までの値が対応付けられている。そして、各第1特別図柄に割り当てられる特別図柄種類決定用乱数値の範囲が異なるテーブル構成となっているから、第1特別図柄のそれぞれが第1特別図柄種類決定部によって選択される確率は異なるものとなる。
なお、詳しくは後述するが、特別図柄の種類のうち、「15R」は大当たり遊技のラウンド数が15ラウンドであることを、「4R」は大当たり遊技のラウンド数が4ラウンドであることを、「特定」は所謂、確変当たりを、「通常」は所謂、通常当たりを、「時短有」は電サポが付与されることを、それぞれ示している。
また、第2特別図柄種類抽選部も第1特別図柄種類抽選部と同様に、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことを契機に(始動入賞口検知センサ43bからの検知信号が主制御処理部100に入力されたタイミングで)、特別図柄種類決定用乱数発生部で発生した特別図柄種類決定用の乱数を1つ取得(ラッチ)する第2特別図柄種類決定用乱数取得部と、この第2特別図柄種類決定用乱数取得部が取得した乱数から、第2特別図柄種類決定テーブルを参照して第2特別図柄の種類を決定する第2特別図柄種類決定部と、第2特別図柄種類決定用乱数取得部が乱数を取得したときに第1特別図柄または第2特別図柄が変動中である場合に、この取得した乱数を最大4個まで(別言すれば、所定個数である4個の上限まで)記憶する第2特別図柄種類決定用乱数記憶部と、を備えている。
第2特別図柄種類決定テーブルは、第1特別図柄種類決定テーブルと同様の構成であるが、この第2特別図柄種類決定テーブルに規定されている第2特別図柄の種類は、「15R特定時短有図柄1」と「15R通常時短有図柄1」の2つしかない点で第1特別図柄種類決定テーブルと相違する。
なお、後ほど詳しく説明するが、「15R特定時短有図柄」は「4R特定時短有図柄」に比べて獲得できる賞球数が多く、「15R通常時短有図柄」は「4R通常時短有図柄」に比べて獲得できる賞球数が多い大当たり遊技の内容となっているので、第2始動入賞口37bの方が、第1始動入賞口37aに比べて、賞球数(出球数)において遊技者に有利となっている。
次に、普通図柄抽選処理部170について説明する。この普通図柄抽選処理部170は、乱数を発生させる普通図柄用当否判定用乱数発生部と、スルーチャッカ21を遊技球が通過したことを契機に普通図柄に係る抽選を行って当否を判定するための普通図柄当否抽選部とを備えて構成されている。普通図柄当否判定用乱数発生部は、特別図柄当否判定用乱数発生部と同じ構成から成るものである。また、普通図柄当否抽選部は、スルーチャッカ21を遊技球が通過したことを契機に(スルーチャッカ検知センサ46からの検知信号が主制御処理部100に入力されたタイミングで)、普通図柄当否判定用乱数発生部で発生した普通図柄当否判定用の乱数を1つ取得(ラッチ)する普通図柄当否判定用乱数取得部と、この普通図柄当否判定用乱数取得部が取得した乱数が普図当たりであるか否かを、判定テーブルを参照して決定する普通図柄当否判定部と、普通図柄当否判定用乱数取得部が乱数を取得したときに普通図柄が変動中である場合に、この取得した乱数を上限4個まで普通図柄に係る保留球乱数として記憶する普通図柄用保留球乱数記憶部と、判定テーブルとして、普図当たりに当選する確率が低い普通図柄低確率判定テーブルと、この普通図柄低確率判定テーブルよりも普図当たりに当選する確率が高い普通図柄高確率判定テーブルとを備えている。
ここで、普通図柄高確率判定テーブルは、普通図柄低確率判定テーブルよりも普図当たりとなる確率が高くなっており、より詳しく言うと、普通図柄高確率判定テーブルは、普図当たりの当選確率が1/1.1、普通図柄低確率判定テーブルは、普図当たりの当選確率が1/20に設定されている。つまり、普通図柄高確率判定テーブルの方が、普通図柄低確率判定テーブルに比べて格段に普図当たりに当選する確率が高くなるように設定されている。そして、普通図柄高確率判定テーブルを参照して抽選が行われると、殆どの場合、普図当たりに当選することになる。
次に、電動チューリップ作動制御部180は、普通図柄抽選処理部170による抽選で普図当たりに当選した結果に基づいて、電動チューリップ49のソレノイドに通電して開閉するよう制御している。この電動チューリップ作動制御部180は、普通図柄高確率判定テーブルを参照する遊技状態においては、1回の普図当たりに対して、電動チューリップ49を開放時間1.2秒(インターバル0.8秒)で2回開放する(つまり、1.2秒開放→0.8秒閉鎖→1.2秒開放の順となる)よう制御する。一方、普通図柄低確率判定テーブルを参照する遊技状態においては、1回の普図当たりに対して、電動チューリップ49を開放時間0.2秒で1回開放するよう制御している。
本実施形態では、先に述べた特別図柄(第1特別図柄または第2特別図柄)の種類が決定されると、その特別図柄の種類と各遊技状態とから、大当たり種別、ラウンド数、電サポ回数(時短回数)、および、アタッカー開放パターンが決まるようになっている。これについて、以下、詳しく説明を行っていくことにする。
なお、以下の説明において、「特図低確」とは、第1特別図柄低確率判定テーブル117aまたは第2特別図柄低確率判定テーブル117bが参照される遊技状態のことであり、「特図高確」とは、第1特別図柄高確率判定テーブル116aまたは第2特別図柄高確率判定テーブル116bが参照される遊技状態のことである。つまり、「特図低確」より「特図高確」の方が大当たりに当選する確率が高いということになる。また、「普図低確」とは、普通図柄低確率判定テーブルが参照される遊技状態のことであり、「普図高確」とは、普通図柄高確率判定テーブルが参照される遊技状態のことである。つまり、「普図低確」より「普図高確」の方が普図当たりに当選する確率が高いということになる。
さて、上記した「大当たり種別」とは、大当たり遊技後の特別図柄に係る遊技状態を特図低確とする「通常当たり」と、特図高確とする「確変当たり」との何れにするかを定めたものである。通常当たりの場合には、その後の遊技状態が特図低確となるので、なかなか次の大当たりに当選しないが、確変当たりの場合、その後の遊技状態が特図高確となるので、直ぐに次の大当たりに当選する可能性が高い。特別図柄の種類のうち、「特定」が含まれる「15R特定時短有図柄」および「4R特定時短有図柄」は「確変当たり」であり、「通常」が含まれる「15R通常時短有図柄」および「4R通常時短有図柄」は「通常当たり」である。
「ラウンド数」とは、大当たり遊技中にラウンド遊技が何回実行されるかを定めたものである。本実施形態では、大当たり遊技中のラウンド遊技の回数が15ラウンド(R)のものと4ラウンド(R)のものとがある。「15R特定時短有図柄」および「15R通常時短有図柄」は15ラウンドの大当たり遊技であり、「4R特定時短有図柄」および「4R通常時短有図柄」は4ラウンドの大当たり遊技である。なお、以下に説明するように、1回のラウンド遊技におけるアタッカー開放パターンは15ラウンドと4ラウンドとで同じであるから、ラウンド数が多い方が獲得できる賞球数が多くなる。
「アタッカー開放パターン」とは、大当たり遊技中のアタッカー装置41の開放パターンを定めたものであり、本実施形態では、常に「フル開放」となっている。ここで、「フル開放」とは、1回のラウンド遊技が、ラウンド遊技開始後にアタッカー装置41が1回開き、露呈した大入賞口42に10個(本実施形態においてM=10である)の遊技球が入賞すること、またはラウンド遊技が開始されてから30秒が経過したことの何れかの終了条件(ラウンド終了条件)が成立すると終了するという内容に定められたものである。よって、15Rは、このラウンド遊技が15回(ラウンド)行われ、4Rは、このラウンド遊技が4回行われる。
なお、このアタッカー装置41の作動を制御して、特別図柄の種類に応じたアタッカー開放パターンで大当たり遊技を提供しているのが、大当たり遊技制御部(大当たり遊技制御手段)160である。
また、「電サポ回数」とは、電動チューリップ49によるサポートを受けながら遊技を行うことができる遊技回数のことであり、より詳しくは、遊技状態が普図高確の状態で、特別図柄抽選処理部110による抽選を行うことのできる回数(遊技回数)のことである。なお、本実施形態では、電サポ回数は、100回および10000回(次回まで)の2種類が設けられており、特別図柄の種類が、「15R通常時短有図柄」と「4R通常時短有図柄」の場合、電サポ回数が100回、「15R特定時短有図柄」と「4R特定時短有図柄」の場合、電サポ回数が10000回付与されるようになっている。
ここで、本実施形態では、特図高確時の当選確率が1/30となっているから、10000回も遊技を行う間には、ほぼ間違いなく大当たりに当選する。つまり、次回の大当たりに当選するまでの遊技回数が10000回を超えることは皆無である。よって、確変当たりの場合、電サポ回数が10000回付与されるので、遊技球をあまり減らすことなく大当たりが連荘することが実質上、確定することになる。
次に、特別図柄の変動時間を決定するための処理について説明する。特別図柄の変動時間は、変動パターンコマンドというコマンドに含まれており、特別図柄変動パターンコマンド決定部130が遊技の開始時に変動パターンコマンドを決定することにより、その遊技に係る特別図柄の変動時間が決定されるようになっている。
特別図柄変動パターンコマンド決定部130は、変動パターンコマンドの決定に用いる変動パターン用乱数を発生させるための特別図柄変動パターン用乱数発生部と、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことに基づいて第1変動パターンコマンドを決定するための第1特別図柄変動パターン抽選部と、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことに基づいて第2変動パターンコマンドを決定するための第2特別図柄変動パターン抽選部と、を備えて構成されている。
特別図柄変動パターン用乱数発生部は、周期的(例えば4ミリ秒毎)に入力される割り込み信号に基づいてループカウンタの値を所定の範囲(例えば0〜199まで)で1ずつ更新させることによりソフトウェア乱数を生成するものである。
第1特別図柄変動パターン抽選部は、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことを契機に、特別図柄変動パターン用乱数発生部にて発生した特別図柄変動パターン用の乱数の中から1つの乱数を取得する第1特別図柄変動パターン用乱数取得部と、この第1特別図柄変動パターン用乱数取得部が取得した乱数から、特別図柄共通変動パターンコマンドテーブルを参照して第1変動パターンコマンドを決定する第1特別図柄変動パターン決定部と、第1特別図柄または第2特別図柄が変動中の場合に、第1特別図柄変動パターン用乱数取得部が取得した乱数を上限4個まで記憶する第1特別図柄変動パターン用乱数記憶部と、を備えて構成されている。なお、第1特別図柄変動パターン抽選部は、第1始動入賞口37aに遊技球が1個入賞すると、第1特別図柄当否抽選部と同様に、その入賞につき1つの特別図柄変動パターン用乱数を取得する。
第2特別図柄変動パターン抽選部も第1特別図柄変動パターン抽選部と同様に、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことを契機に、特別図柄変動パターン用乱数発生部にて発生した特別図柄変動パターン用の乱数の中から1つの乱数を取得する第2特別図柄変動パターン用乱数取得部と、この第2特別図柄変動パターン用乱数取得部が取得した乱数から、特別図柄共通変動パターンコマンドテーブルを参照して第2変動パターンコマンドを決定する第2特別図柄変動パターン決定部と、第1特別図柄または第2特別図柄が変動中の場合に、第2特別図柄変動パターン用乱数取得部が取得した乱数を上限4個まで記憶する第2特別図柄変動パターン用乱数記憶部と、を備えて構成されている。なお、第2特別図柄変動パターン抽選部は、第2始動入賞口37bに遊技球が1個入賞すると、第2特別図柄当否抽選部と同様に、その入賞につき1つの特別図柄変動パターン用乱数を取得する。
特別図柄共通変動パターンコマンドテーブルは、第1特別図柄変動パターン抽選部および第2特別図柄変動パターン抽選部の両方の抽選部が共通で用いるテーブルであって、図示しないが、遊技状態が特図低確かつ普図低確の場合(いわゆる通常中)に参照される通常変動パターンテーブルと、この通常変動パターンテーブルより相対的に変動時間が短いものが規定され、遊技状態が特図高確かつ普図高確(いわゆる確変中)、または特図低確かつ普図高確(いわゆる時短中)に参照される短縮変動パターンテーブルとを備えている。
これらの変動パターンテーブルは、特図1(第1特別図柄)および特図2(第2特別図柄)の変動時間が規定されている(つまり、第1特別図柄の変動時間に関するテーブルと第2特別図柄の変動時間に関するテーブルとを有している)と共に、特図1と特図2とがそれぞれ特有の変動時間となるよう設定されている。なお、このテーブル構成自体は周知であるため、ここでの説明は省略する。
次に、図5に示す、普通図柄変動時間決定部190は、普通図柄の変動開始時における普通図柄の遊技状態が普図高確と普図低確の何れであるかを判断し、その判断結果に応じて予め定めた普通図柄の変動時間を決定する。具体的には、普図高確の場合、普通図柄変動時間決定部190は、普通図柄に係る変動時間を2秒に決定し、普図低確の場合、普通図柄変動時間決定部190は、普通図柄に係る変動時間を30秒に決定する。
また、払出・発射制御処理部105は、主制御処理部100と相互通信可能に接続されているうえ、CRユニットとも中継基板を介して相互通信可能に接続されており、賞球払出装置14の払出モータの駆動を制御することにより、所定個数の賞球や貸球を払い出したり、発射ボリュームの値に応じて発射装置9の発射用モータ(発射用ロータリーソレノイドが用いられることもある)の駆動を制御することにより、所定の発射強度で遊技球を発射できるようにしたり、整流器の球送りソレノイドの駆動を制御することにより、遊技球を1個ずつ発射装置9に送り出すようにする等の処理を担っている。なお、CRユニットが払出・発射制御処理部105と電気的に接続されていない場合には、発射装置9から遊技球が発射されることはないように制御されている。
ここまで、主に主制御処理部100が行う各処理について説明したが、ここからは、主制御処理部100から指令を受けて各種演出を行うためのサブ制御処理部200について説明する。サブ制御処理部200は、演出制御処理部201と、枠ランプや盤面ランプ等の各種ランプの制御を行うためのランプ制御処理部202と、スピーカ20やサウンドプロセッサ等の制御を行うための音声制御処理部203と、を備えて構成され、図3に示すように遊技盤3の裏面に支持部材等を介して設けられている。
演出制御処理部201は、処理部として、演出態様を決定するための演出態様決定部、演出態様決定部が決定した演出態様を演出表示装置34に表示するよう制御する演出表示制御部、保留球表示領域34a,34bに保留球を表示する制御を行う保留球表示制御部、に加えて、大当たり遊技中に推奨ルートを報知する推奨ルート報知制御部210を備えている。さらに、演出制御処理部201は、複数種類の演出画像データを記憶した演出パターンテーブルを備えている。
演出態様決定部は、遊技の開始時に送られてきた第1変動パターンコマンドまたは第2変動パターンコマンドに基づいて、演出パターンテーブルの中から今回用いる演出態様(使用する演出画像データ)を決定する。演出表示制御部は、演出態様決定部にて決定された演出パターンを演出表示装置34に表示するよう制御している。また、保留球表示制御部は、主制御処理部100から保留球乱数が記憶された旨のコマンドを受信すると、それに従って、第1保留球表示領域34aまたは第2保留球表示領域34bに白色の保留球を表示するよう制御している。
また、推奨ルート報知制御部(推奨ルート報知手段)210は、大当たり遊技中の大入賞口検知センサ45a,45b,45cからの検知信号を主制御処理部100を介して受信し、その入力信号に基づいて、遊技球の推奨ルートを演出表示装置34に表示するよう制御している。なお、この制御処理の手順の詳細は後述する。
次に、本発明の第1の実施の形態例に係るパチンコ機Pの遊技処理の手順について図7を参照して説明するが、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞した場合の遊技処理と第2始動入賞口37bに遊技球が入賞した場合の遊技処理とは同じであるため、以下では、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞した場合についてのみ説明する。
図7に示すように、遊技球が第1始動入賞口37bに入賞したか否かを主制御処理部100は判断する(ステップS1)。入賞した場合(ステップS1でYes)には、第1特別図柄当否判定用乱数取得部112aは特別図柄当否判定用の乱数を取得し、第1特別図柄種類決定用乱数取得部は特別図柄種類決定用の乱数を取得し、第1特別図柄変動パターン用乱数取得部は特別図柄変動パターン用の乱数を取得する(ステップS2)。
第1特別図柄または第2特別図柄が変動中の場合(ステップS3でYes)には、ステップS2で取得した特別図柄当否判定用乱数を第1特別図柄用保留球乱数記憶部115aに、特別図柄種類決定用乱数を第1特別図柄種類決定用乱数記憶部に、特別図柄変動パターン用乱数を第1特別図柄変動パターン用乱数記憶部に、それぞれ記憶する(ステップS4)。このとき、保留球表示制御部が白色の保留球を第1保留球表示領域34aに表示する。そして、ステップS3の手前に戻って、今回の入賞に係る遊技の順番が来るまで待機する。なお、既に第1特別図柄用保留球乱数記憶部115aに、上限である4個の保留球乱数が記憶されている場合には、ステップS4の処理は行われないということは言うまでもない。
一方、第1特別図柄および第2特別図柄の何れも変動していない場合、即ち、遊技の順番が来た場合(ステップS3でNo)には、ステップS5にて特図当たり判定処理が行われる。つまり、ステップS2で取得した特別図柄当否判定用乱数が大当たりであるか否かを第1特別図柄当否判定部113aが判断する。
なお、本実施形態は、前述したように、特図2優先処理を行う構成となっているので、第1特別図柄用保留球乱数記憶部115aに記憶されている保留球乱数に基づく遊技が開始される(即ち、ステップS3でNoとなる)ためには、第2特別図柄用保留球乱数記憶部115bに保留球乱数が記憶されていないことが前提となる。
次いで、ステップS6にて、特別図柄種類決定処理が行われる。具体的には、ステップS5での特図当たり判定処理の結果、大当たりと判定された場合には、第1特別図柄種類決定部が、ステップS2で取得した特別図柄種類決定用乱数に基づいて、その大当たりに対する第1特別図柄の種類を決定する。一方、ステップS5でハズレと判定された場合には、第1特別図柄の種類を決定することなくステップS6の処理は終了する。
次いで、ステップS7にて特別図柄変動パターンコマンド決定処理が行われる。この特別図柄変動パターンコマンド決定処理では、ステップS2で取得した特別図柄変動パターン用乱数に基づいて、第1特別図柄変動パターン決定部は、変動パターンテーブルを参照して第1変動パターンコマンドを決定する。次いで、ステップS8にて、演出態様決定処理が行われる。この演出態様決定処理では、演出態様決定部が、演出パターンテーブルを参照して、第1変動パターンコマンドに対応する演出パターンを今回の遊技に用いる演出パターンに決定する。
次いで、ステップS9で、第1特別図柄表示制御部101aが特別図柄表示装置17に第1特別図柄の変動表示を開始させ、演出表示制御部が演出表示装置34にステップS8で決定された演出パターンの表示を開始する。
次いで、ステップS10で、所定時間経過後に、第1特別図柄表示制御部101aが特別図柄表示装置17に第1特別図柄を停止表示させる。このとき、特別図柄表示装置17に停止表示される図柄は、ステップS5で大当たりと判定された場合には、ステップS6にて決定された第1特別図柄の種類に対応した当たり図柄となるが、ステップS5でハズレと判定された場合には、ハズレに対応したハズレ図柄となる。また、ステップS10では、第1特別図柄の変動停止と同期して、演出パターンの表示が停止され、所定の演出図柄が演出表示装置34に停止表示される。
次いで、停止した第1特別図柄が大当たりの組合せで確定している場合(ステップS11でYes)は、大当たり遊技制御部160は、第1特別図柄の種類に応じた所定のラウンド数(15Rまたは4R)だけアタッカー装置41を開放して大当たり遊技を提供する(ステップS12)。この大当たり遊技中には、推奨ルート報知制御部210による推奨ルートの報知処理が行われるが、この報知処理の詳細が後ほど述べることにする。次いで、ステップS13にて、遊技状態設定部140は、次の遊技における特別図柄および普通図柄の遊技状態を高確率状態または低確率状態に設定する。
このステップS13で、次回の遊技における遊技状態が設定されると、1回の遊技に係る処理が終了する。また、ステップS11でNoの場合は、大当たり遊技が提供されることなくステップS13に進んで、次遊技の遊技状態が設定される。なお、ステップS1でNoの場合は遊技が行われることなく終了となる。
次に、大当たり遊技中の推奨ルート報知処理について、図8を参照しながら詳しく説明する。大当たり遊技が開始されると、推奨ルート報知制御部210は、ラウンド遊技毎に図8に示す処理を行っている。よって、大当たり遊技が15ラウンドの場合は、推奨ルート報知制御部210は、図8に示す処理を15回行うことになる。推奨ルート報知処理が開始されると、まず、ステップS31にて、推奨ルート報知制御部210は、ラウンド遊技の開始時に、ルートAを推奨ルートとして報知する。具体的には、推奨ルート報知制御部210は、演出表示装置34に「ルートAを狙って遊技球を発射した方が良い」旨のメッセージを表示する。これは、大入賞口42に多くの遊技球を入賞させるためには、ラウンド遊技の前半は、遊技領域31に打ち出された遊技球がアタッカー装置41に到達するまでの時間が長い方のルートAを狙う方が良いからである。
次いで、ステップS32に進み、推奨ルート報知制御部210は、第1大入賞口検知センサ45a、第2大入賞口検知センサ45b、第3大入賞口検知センサ45cからの検知信号を、主制御処理部100を介して受信する。次いで、推奨ルート報知制御部210は、ステップS33に進み、ラウンド遊技中に大入賞口42内に遊技球が7個(本実施形態ではN=7である)入賞したか否かを判断する。具体的には、大入賞口検知センサ45a,45b,45cからの検知信号の入力回数が7回に到達したかを、推奨ルート報知制御部210は判断する。ステップS33でNoの場合は、ステップS32の手前に戻る。
一方、ステップS33でYesの場合、つまり、大入賞口42に1回のラウンド遊技中に7個遊技球が入賞した場合には、ステップS34に進んで、推奨ルート報知制御部210は、大入賞口検知センサ45a,45b,45cのうち、最も検知信号の入力が多いものが何であるかを確認する。つまり、大入賞口42に入賞した7個の遊技球は、大入賞口検知センサ45a,45b,45cの何れかによって検知されるが、何れのセンサによる検知が最も多いかを、推奨ルート報知制御部210は、このステップS34で確認しているのである。即ち、このステップS34は、遊技球がルートAとルートBの何れを流下して大入賞口42に入賞したかを確認するための処理である。そして、ルートAを経由して大入賞口42に遊技球が入賞すると、前述したように、殆ど第1大入賞口検知センサ45aからの検知信号が入力されることになる。
ステップS34での確認の結果、最も検知信号の入力が多いセンサが第1大入賞口検知センサ45aである場合は、遊技球が概ねルートAを流下して大入賞口42に入賞しているとみなすことができるから、推奨ルート報知制御部210は、ステップS35にて、演出表示装置34に「右打ちして!」というメッセージを表示する(図4参照)。これを見た遊技者は、ハンドル7を操作して右打ちを行い、遊技球がルートBを流下するようにする。すると、右打ちで遊技領域31に打ち出された遊技球は、ルートBを流下して、直ちに大入賞口42へと到達する。このとき、右打ちする前に既にルートAを流下している遊技球は、大入賞口42に到達するまでの時間が長いので、ルートBを流下してきた遊技球とちょうど同じようなタイミングで大入賞口42に到達することが可能である。
そうすると、1回のラウンド遊技は遊技球が10個入賞するとラウンド遊技が終了するが、ルートAを流下して大入賞口42に10個目として入賞する遊技球と、ルートBを流下して大入賞口42に11個目として入賞する遊技球がたまたま同時である場合には、大入賞口42に11個の遊技球を入賞させて1回のラウンド遊技が終了することになる(オーバー入賞したことになる)。この場合、11個の遊技球が入賞するので、当然、賞球個数も11個の入賞分となる。つまり、遊技者は、遊技球1個分の賞球を余分に獲得することができるのである。このように、本実施形態では、推奨ルート報知制御部210が、大入賞口42へ遊技球が7個入賞したときに推奨ルートを報知しているので、それを見た遊技者は、遊技球を打ち分けることにより、ラウンド遊技毎の賞球の獲得を多くすることができる。つまり、遊技者の技量によって、ラウンド遊技中に獲得できる賞球数を多くすることができる。
なお、ステップS34による処理で、検知信号の入力が最も多いセンサが、第2大入賞口検知センサ45bの場合と第3大入賞口検知センサ45cの場合には、遊技球がルートBを流下して大入賞口42に入賞したとみなすことができる。この場合には、ルートAを狙うように報知したとしても、大入賞口42に余分に遊技球を入賞させることは困難であるから、推奨ルート報知制御部210は、推奨ルートを報知していない(ステップS36)。勿論、大入賞口42に余分に遊技球を入賞させることができる場合には、ルートAを狙うように報知しても良い。
以上、説明したように、第1の実施の形態例に係るパチンコ機によれば、物理的な貯留部を設けることなく、遊技者の技量によってルートAとルートBとに遊技球を打ち分けるだけで、大入賞口42に入賞させる遊技球の個数を増やすことができる。つまり、大当たり遊技中に獲得できる賞球数に遊技者の技術が介入する余地を残すことにより、遊技性を向上させることができるのである。また、貯留部などを設けることなくこのような遊技性を実現できるため、遊技領域を狭めることもなく、かつ、低コストである。さらに、推奨ルート報知制御部210が推奨ルートを報知する構成であるため、遊技者は、演出表示装置34に表示される推奨ルートを見て、容易に遊技球を打ち分けて、より多くの賞球を獲得することができる。
続いて、本発明の第2の実施の形態例に係るパチンコ機について説明するが、第2の実施の形態例に係るパチンコ機は、第1の実施の形態例に係るパチンコ機と比べて、一部の構成が相違するだけであるので、以下では、主にこの相違部分について図9〜図11を用いて説明することとし、それ以外の部分については、説明を省略する。
図9に示すように、第2の実施の形態例に係るパチンコ機では、遊技領域31内のルートAを流下する遊技球を検知するためのルートA検知センサ(第1遊技球検知センサ)55aと、ルートBを流下する遊技球を検知するためのルートB検知センサ(第2遊技球検知センサ)55bとを備えている点、および、大入賞口42に入賞した遊技球を検知するセンサが大入賞口検知センサ45の1つだけである点で第1の実施の形態例に係るパチンコ機と構成上の相違がある。なお、ルートA検知センサ55aおよびルートB検知センサ55bは、反射型のフォトセンサが用いられている。また、ルートA検知センサ55a、ルートB検知センサ55b、および大入賞口検知センサ45は、図10に示すように、何れも主制御処理部100と電気的に接続されている。
第2の実施の形態例に係るパチンコ機は、上記した構成の相違により、推奨ルート報知制御部210が行う報知処理が異なる。そこで、以下、第2の実施の形態例における推奨ルート報知処理について、図11を参照しながら説明する。
図11に示すように、推奨ルート報知処理が開始されると、まず、ステップS51にて、推奨ルート報知制御部210は、ラウンド遊技の開始時に、ルートAを推奨ルートとして報知する。具体的には、推奨ルート報知制御部210は、演出表示装置34に「ルートAを狙って遊技球を発射した方が良い」旨のメッセージを表示する。
次いで、ステップS52に進み、推奨ルート報知制御部210は、大入賞口検知センサ45からの検知信号を、主制御処理部100を介して受信する。次いで、推奨ルート報知制御部210は、ステップS53に進み、ラウンド遊技中に大入賞口42内に遊技球が7個(本実施形態ではN=7である)入賞したか否かを判断する。ステップS53でNoの場合は、ステップS52の手前に戻る。
一方、ステップS53でYesの場合、つまり、大入賞口42に1回のラウンド遊技中に7個遊技球が入賞した場合には、ステップS54に進んで、推奨ルート報知制御部210は、ラウンド遊技中のルートA検知センサ55aからの検知信号とルートB検知センサ55bからの検知信号のどちらが多く入力されたかを確認する。即ち、このステップS54は、遊技球がルートAとルートBの何れを流下して大入賞口42に入賞したかを確認するための処理である。
ステップS54での確認の結果、ルートA検知センサ55aからの検知信号の入力が多いと判断された場合には、遊技球が概ねルートAを流下して大入賞口42に入賞しているとみなすことができるから、推奨ルート報知制御部210は、ステップS55にて、演出表示装置34に「右打ちして!」というメッセージを表示する(図9参照)。これを見た遊技者は、ハンドル7を操作して右打ちを行い、遊技球がルートBを流下するようにする。すると、右打ちで遊技領域31に打ち出された遊技球は、ルートBを流下して、直ちに大入賞口42へと到達する。このとき、右打ちする前に既にルートAを流下している遊技球は、大入賞口42に到達するまでの時間が長いので、ルートBを流下してきた遊技球とちょうど同じようなタイミングで大入賞口42に到達することが可能である。
そうすると、1回のラウンド遊技は遊技球が10個入賞するとラウンド遊技が終了するが、ルートAを流下して大入賞口42に10個目として入賞する遊技球と、ルートBを流下して大入賞口42に11個目として入賞する遊技球がたまたま同時である場合には、大入賞口42に11個の遊技球を入賞させて1回のラウンド遊技が終了することになる(オーバー入賞したことになる)。この場合、11個の遊技球が入賞するので、当然、賞球個数も11個の入賞分となる。このように、第2の実施の形態例においても、遊技者は、技量によって、遊技球1個分の賞球を余分に獲得することができるのである。
なお、ステップS54による処理で、ルートB検知センサ55bからの検知信号の入力が多いと判断された場合には、遊技球がルートBを流下して大入賞口42に入賞したとみなすことができるから、推奨ルート報知制御部210は、推奨ルートを報知していない(ステップS56)。勿論、大入賞口42に余分に遊技球を入賞させることができる場合には、ルートAを狙うように報知しても良い。
以上、説明したように、第2の実施の形態例に係るパチンコ機によっても、第1の実施の形態例に係るパチンコ機と同様に、物理的な貯留部を設けることなく、遊技者の技量によってルートAとルートBとに遊技球を打ち分けるだけで、大入賞口42に入賞させる遊技球の個数を増やすことができる。また、貯留部などを設けることなくこのような遊技性を実現できるため、遊技領域を狭めることもなく、かつ、低コストである。さらに、推奨ルートの報知によって、遊技者は多くの賞球を簡単に獲得することができる。
なお、第2の実施の形態例では、大入賞口42内に大入賞口検知センサ45を1つ設けたが、第1の実施の形態例として例示した第1大入賞口検知センサ45a、第2大入賞口検知センサ45b、および第3大入賞口検知センサ45cの3つのセンサを設けるようにしても良い。この場合、推奨ルート報知制御部210は、ルートA検知センサ55aおよびルートB検知センサ55bからの検知信号と、大入賞口検知センサ45a,45b,45cからの検知信号を総合的に判断して、報知するタイミング等をより高い精度で制御することができる。よって、遊技者に多くの遊技球をより確実に獲得させることができる。
また、大入賞口検知センサやルート検知センサの数は、ルートの数に応じて適宜決定すれば良い。また、上記した実施の形態例では、推奨ルートを報知するタイミングは、ラウンド遊技中に大入賞口42に遊技球が7個入賞したタイミングであったが、ルートを流下する遊技球の速度等を考慮して、適宜報知するタイミングは変更可能である。また、入賞個数以外にもラウンド遊技の開始から所定時間(例えば20秒)経過したタイミングで推奨ルートを報知するようにしても良い。