JP2016090508A - 繊維基材端面の毛羽脱落性評価装置及び繊維基材端面の毛羽脱落性評価方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】繊維基材のとくに毛羽が脱落しやすい部分である端面からの毛羽脱落性を評価する装置及び方法を提供する。【解決手段】回転するターンテーブルと、ターンテーブル上に固定された非平滑表面を有する円板シートと、試験片となる少なくとも1枚の真円状の繊維基材シートに荷重を掛けて、その端面を非平滑表面に荷重を加えて接触させて、非平滑表面との摩擦力により転がるように繊維基材シートを真円状の中心で支持する基材シート支持具と、を備える繊維基材端面毛羽脱落評価装置を用いる。【選択図】図1
Description
本発明は、例えば、不織布,織布,編物のような繊維基材において、端面から繊維が脱落する現象である端面の毛羽脱落性を評価するための装置及び方法に関する。
繊維基材の好ましくない特性として毛羽脱落性がある。毛羽脱落は、他の物体と擦れた場合に繊維が脱落する現象である。
毛羽脱落性を評価する方法としては、例えば、下記特許文献1は、ワイパー用不織布に関し、鏡面に0.1gの水を滴下し、四つ折にした不織布で円を描くようにして10回拭き取った後に残った毛羽本数から毛羽脱落性を判定する方法を開示する。また、特許文献2は、セルロース繊維不織布を超音波洗浄した後、黒色ろ紙でろ過して回収された糸屑の量により毛羽脱落性を判定する方法を開示する。
特許文献1に開示されたような方法によれば、不織布の表面からの毛羽脱落性を評価することができる。しかしながら、そのような方法によれば、繊維基材の端面からの毛羽脱落性を正確に評価することができなかった。また、特許文献2に開示された方法によれば、不織布の表面、裏面、端面など繊維基材全体としての毛羽脱落性しか評価できず、とくに毛羽が脱落しやすい端面の毛羽脱落性の評価ができなかった。また、いずれの方法においても、繊維基材の端面に荷重が付加された場合の毛羽脱落性の評価ができなかった。
本発明は、例えば繊維基材のとくに毛羽が脱落しやすい部分である端面の毛羽脱落性を評価する装置及び方法を提供することを目的とする。
本発明の一局面は、回転するターンテーブルと、ターンテーブル上に固定された非平滑表面を有する円板シートと、試験片となる少なくとも1枚の真円状の繊維基材シート(以下、単に基材シートとも称する)に荷重を掛けて、その端面を非平滑表面に接触させて、非平滑表面との摩擦力により転がるように繊維基材シートを真円状の中心で支持する基材シート支持具と、を備える繊維基材端面の毛羽脱落性評価装置である。このような毛羽脱落性評価装置によれば、繊維基材(以下、単に基材とも称する)のとくに毛羽が脱落しやすい部分である端面の毛羽脱落性を、非平滑表面にリング状に残される繊維の濃さや途切れ方等を観察することにより簡便且つ正確に判定できる。
また、円板シートが織布である場合には繊維基材に適度に摩擦力を付与することができる。
また、円板シートが非平滑表面に残される基材シートから脱落した繊維による跡が識別しやすいような色を有する場合には、非平滑表面に付着した繊維の跡がより明瞭に確認できる。
また、本発明の他の一局面は、上記何れかの繊維基材端面の毛羽脱落性評価装置を用いる繊維基材端面の毛羽脱落性評価方法であって、ターンテーブルを所定の周回数、回転させる工程と、試験片となる少なくとも1枚の真円状の繊維基材シートに荷重を掛けて端面を非平滑表面に接触させて、真円状の基材シートを非平滑表面との摩擦力により転がせる工程と、ターンテーブルを所定の周回数回転させた後、非平滑表面における繊維基材シートから脱落した繊維の残留状態に基づき、基材端面の毛羽脱落状態を判定する工程と、を備える
また、試験片として複数枚の真円状の繊維基材シートの積層体を用いる場合には、繊維基材の端面の毛羽脱落性の差を増幅して明瞭に判定することができる。また、繊維基材シートが含水している場合には繊維が水で遊離しやすくなるために非平滑表面に残される繊維の跡をより明瞭にすることができる。
また、端面を非平滑表面に接触させたとき、試験片の総厚みに対して1〜1.1倍になる幅で接触させることが評価の再現性が高い点から好ましい。試験片に付与される荷重が大きすぎる場合には試験片の端面を含む端部が折れ曲がって表面の一部が非平滑表面に押し付けられることになる。この場合には、端面のみが接触することによる毛羽脱落性が正確に判定できなくなる。
本発明によれば、例えば繊維基材のとくに繊維が脱落しやすい部分である端面に由来する毛羽脱落性を、非平滑表面に残される繊維の状態により簡便に判定できる。
本発明に係る繊維基材端面の毛羽脱落性評価装置及びその装置を用いた繊維基材端面の毛羽脱落性評価方法の一実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態の毛羽脱落性評価装置10の模式説明図である。毛羽脱落性評価装置10は、回転軸1を中心としてAで示した回転方向に回転するターンテーブル2を備える。また、ターンテーブル2の表面には非平滑表面3aを有する円板シート3が固定されている。また、毛羽脱落性評価装置10は、ターンテーブル2の上方に、回転軸1の軸方向と垂直な方向に回転可能に配設されるシャフト4、シャフト4の先端に配設されて非平滑表面3a上の定位置に真円状の試験片5を転がり自在に支持する試験片ホルダ6、及び試験片5に荷重を付与してその端面を非平滑表面3aに押し当てる負荷機構7を備える。シャフト4,試験片ホルダ6及び負荷機構7は基材シート支持具を構成する。また、8はターンテーブル2の周回数を計数するカウンター、9aはターンテーブル2の回転をオンまたはオフに切り替えるスイッチ、9bはターンテーブル2の回転数を切り替える切替スイッチである。
毛羽脱落性評価装置10においては、ターンテーブル2は回転軸1を中心として図略のモータにより駆動されて水平回転する。ターンテーブル2の回転数は特に限定されないが、50〜100rpm、さらには60〜70rpmであることが好ましい。
ターンテーブル2上には円板シート3が固定されている。円板シート3は非平滑表面3aを有し、非平滑表面3aの定位置で真円状の試験片5の端面に接触し、その端面を摩擦する。非平滑表面3aに真円状の試験片5の端面を接触させたときの摩擦力により、真円状の試験片5はその端面でBで示した方向に転がり、また、非平滑表面3aに脱落した繊維を付着させてリング状の付着跡を形成させる。
真円状の試験片5としては、不織布、織布、編布等の繊維を主体とする繊維基材が挙げられる。真円状の試験片5を形成する繊維基材の端面が他の物体と接触した場合、端面から繊維が毛羽脱落しやすい。毛羽脱落性評価装置10によれば、真円状の試験片5を形成する繊維基材はその端面が回転する円板シート3の非平滑表面3aと接触することにより繊維が脱離しやすくなり、脱離した繊維が非平滑表面3aにリング状に付着する。そして、リング状に形成された繊維の付着跡を観察することにより、繊維基材の端面からの毛羽脱落性を判定することができる。
図2は、リング状に形成された繊維の付着跡の様子を説明するための模式図である。図2(a)は毛羽脱落しやすい繊維基材の繊維の付着跡11、図2(b)は毛羽脱落しにくい繊維基材の繊維の付着跡12を示す。図2(a)に示すように、毛羽脱落しやすい基材の繊維の付着跡11は、リングが途切れていないか、殆ど途切れておらず、リング状の跡が濃く明瞭になる。一方、図2(b)に示すように、毛羽脱落しにくい基材の繊維の付着跡12は、リングが途切れていたり、リング状の跡が薄く不明瞭になったりする。
試験片としては、所定の厚みの1枚の繊維基材シートを単層で用いても、複数枚の繊維基材シートを重ねた積層体を用いてもよい。繊維の付着跡をより明瞭にして判定の再現性を高めるためには、複数枚の繊維基材シートを重ねた積層体を用いることが好ましい。
また、繊維を遊離させやすくするためには、繊維基材に適度に含水させることが好ましい。なお、含水させ過ぎた場合には繊維基材のコシが低下して折れ曲がりやすくなるために、その含水率としては、ピックアップ率で50〜200%、さらには100〜150%程度であることが好ましい。
円板シートの材質としては、表面は非平滑であって試験片の端面を適度に摩擦するものであればとくに限定されず、試験片の特性に応じて適宜選択される。具体的には、織布,編布,不織布等の繊維を主体とする繊維基材が好ましく用いられる。これらの中では、繊維により形成される非平滑表面の凹凸が適度であるとともに、繊維基材が折れ曲がることを抑制する程度に柔軟である点から織布がとくに好ましい。
また、円板シートは、繊維の付着跡をより明瞭に視認させるために、試験片である繊維基材の色に対して繊維基材から脱落した繊維による跡が識別しやすいような色を有することが好ましい。
図1に示すように、真円状の試験片5は、シャフト4の先端に配設された試験片ホルダ6で固定される。また、シャフト4は真円状の試験片5を非平滑表面3a上の定位置で転がり自在に支持する。そして、シャフト4には、試験片5の端面を非平滑表面3aに押し当てるための荷重が負荷機構7により付与されている。負荷機構7としては、通常、シャフトに荷重を付与する錘が用いられる。
負荷機構7により付与される錘の荷重は重要である。すなわち、試験片に付与される荷重が大きすぎる場合には、試験片の端面を含む端部が折れ曲がる。図3は真円状の基材シートの積層体に荷重を加えて端面を非平滑表面に接触させたときの様子を示した模式図である。図3(a)に示すように、理想的には試験片の端面のみが非平滑表面3aに押し当てられることが好ましい。しかしながら、基材シートの剛性に対して荷重が大きすぎる場合には、図3(b)に示すように、非平滑表面3aに試験片の表面の一部も押し当てられる場合がある。この場合には、表面も接触するために、端面のみが接触することによる毛羽脱落性等が正確に測定できなくなる。そのために、負荷機構7により付与される錘の荷重としては、試験片の端面を非平滑表面に押し付けたときに、試験片の総厚みに対して1〜1.1倍、さらには1〜1.05倍の幅で試験片が接触する程度に負荷機構により負荷を与えることが評価の再現性が高い点から好ましい。このような接触性を維持するためには、例えば、不織布の場合には、試験片の総厚みに対する総荷重の割合(総荷重/総厚み)、すなわち1枚あたりに付与される荷重は100〜1000g、さらには250〜500g程度であることが好ましい。
以上説明した本実施形態の繊維基材端面の毛羽脱落性評価装置は、例えば、JIS K7204またはASTM D1044に準拠したテーバー摩耗試験に用いられるような市販のテーバー式摩耗試験機を改造して製造することができる。通常、テーバー式摩耗試験機は、円板状の試験片を固定するターンテーブル、荷重を掛けられて円板状の試験片上で転がされる摩耗輪を備える。本実施形態の繊維基材端面の毛羽脱落性評価装置は、このようなテーバー式摩耗試験機のターンテーブルに非平滑表面を有する円板シートを固定し、摩耗輪を配置するシャフトに摩耗輪の代わりに少なくとも1枚の真円状の試験片を配置することにより、製造することができる。
次に実施例により、本実施形態の繊維基材端面の毛羽脱落性評価装置を用いた毛羽脱落性評価試験の一例を示す。なお、本発明は実施例に何ら限定されるものではない。はじめに、本実施例で用いた繊維基材の製造方法について説明する。
[製造例1]
海成分としてポリブチレンテレフタレート(PBT)、島成分として水溶性熱可塑性PVAを含み、海成分/島成分の質量比50/50である島数12島の海島型複合繊維のストランドを265℃で溶融複合紡糸用口金から吐出した。そして、口金から吐出された樹脂を、口金直下に設置したエアジェット吸引装置により延伸して細化しながら冷却することにより平均繊度2dtexの海島型複合繊維を紡糸した。そして、海島型複合繊維をエアジェット吸引装置の直下に設置した移動式ネット上に連続的に捕集し、表面温度80℃の金属ロールを用いてプレスすることにより目付け35g/m2の長繊維ウェブを得た。長繊維ウェブをクロスラッパーを用いて14枚分に相当する目付けになるように重ね合わせた。次に、長繊維ウェブ両面に交互にニードルパンチング処理を行って長繊維ウェブ同士を絡合させることにより、目付595g/m2の三次元絡合体を得た。次に、高分子弾性体である無黄変性のポリカーボネート系ポリウレタンの水系エマルジョンにカルボジイミド系架橋剤と硫酸アンモニウムを添加することによりポリウレタン含浸液(固形分濃度12.3質量%)を調製した。そして、三次元絡合体にポリウレタン含浸液をピックアップ率200質量%になるようにディップ・ニップすることにより含浸させ、乾燥処理した後、キュア処理した。そして、さらに両表面を240番手のサンドペーパーでバフィングすることにより両面を15/100mmずつ研削して平滑化した。
海成分としてポリブチレンテレフタレート(PBT)、島成分として水溶性熱可塑性PVAを含み、海成分/島成分の質量比50/50である島数12島の海島型複合繊維のストランドを265℃で溶融複合紡糸用口金から吐出した。そして、口金から吐出された樹脂を、口金直下に設置したエアジェット吸引装置により延伸して細化しながら冷却することにより平均繊度2dtexの海島型複合繊維を紡糸した。そして、海島型複合繊維をエアジェット吸引装置の直下に設置した移動式ネット上に連続的に捕集し、表面温度80℃の金属ロールを用いてプレスすることにより目付け35g/m2の長繊維ウェブを得た。長繊維ウェブをクロスラッパーを用いて14枚分に相当する目付けになるように重ね合わせた。次に、長繊維ウェブ両面に交互にニードルパンチング処理を行って長繊維ウェブ同士を絡合させることにより、目付595g/m2の三次元絡合体を得た。次に、高分子弾性体である無黄変性のポリカーボネート系ポリウレタンの水系エマルジョンにカルボジイミド系架橋剤と硫酸アンモニウムを添加することによりポリウレタン含浸液(固形分濃度12.3質量%)を調製した。そして、三次元絡合体にポリウレタン含浸液をピックアップ率200質量%になるようにディップ・ニップすることにより含浸させ、乾燥処理した後、キュア処理した。そして、さらに両表面を240番手のサンドペーパーでバフィングすることにより両面を15/100mmずつ研削して平滑化した。
次に、95℃の熱水中で、熱水浸漬時間30分となるようディップ・ニップすることにより三次元絡合体中の海島型複合繊維から島成分の水溶性熱可塑性PVAを溶解除去させた。そして、乾燥処理することにより、横断面に12個の中空部を有する平均繊度2.36dtexのPBTの中空繊維の不織布とポリウレタンとを含む、見かけ密度0.299g/cm3、厚さ1.4mm、高分子弾性体/中空繊維=33/67である繊維基材の原反を得た。
[実施例1]
製造例1で得られた繊維基材の原反を用い、繊維基材端面の毛羽脱落性評価装置を用いて次のようにして毛羽脱落性評価を行った。
はじめに、ターンテーブル上に円板シートとして、青色に着色した織布を固定した。一方、繊維基材の原反から直径40mmの真円状の繊維基材シートを複数枚切り抜いた。そして、得られた真円状の繊維基材シートの中央に直径15mmの貫通孔を形成した。そして、この真円状の繊維基材シートを5枚重ね、貫通孔に鉄製の芯材(シャフト)に通過させ、試験片ホルダで固定することにより総厚約7mmの繊維基材シートの積層体である試験片を作成した。
製造例1で得られた繊維基材の原反を用い、繊維基材端面の毛羽脱落性評価装置を用いて次のようにして毛羽脱落性評価を行った。
はじめに、ターンテーブル上に円板シートとして、青色に着色した織布を固定した。一方、繊維基材の原反から直径40mmの真円状の繊維基材シートを複数枚切り抜いた。そして、得られた真円状の繊維基材シートの中央に直径15mmの貫通孔を形成した。そして、この真円状の繊維基材シートを5枚重ね、貫通孔に鉄製の芯材(シャフト)に通過させ、試験片ホルダで固定することにより総厚約7mmの繊維基材シートの積層体である試験片を作成した。
そして、繊維基材シートの積層体にピックアップ率150%になるように水を含浸させた。そして、水を含浸させた繊維基材シートの積層体を毛羽脱落性評価装置に装着し、総荷重250gの総荷重を付与した。このとき、総厚約7mmの積層体と円板シートである織布との接触幅は約7mmであり、円板シート上に繊維基材シートの積層体の端面のみが当接していた。なお、接触幅は、繊維基材シートと織布を接触させた状態で、接触繊維基材シートの接触部の端から端までの長さを定規で測定した。
そして、円板シートである織布に繊維基材シートの積層体である試験片を接触させた状態で、ターンテーブルを500回転させた。そして、ターンテーブルを500回転させた後の、織布の表面に付着した繊維の状態を下記の基準で目視で判定した。
1級:積層体の厚さとほぼ同じ幅で完全な濃いリング状に繊維が付着していた。
2級:完全ではあるが薄いリング状に繊維が付着していた。
3級:円周が部分的に途切れ、円周の半分以上を形成するように繊維が付着していた。
4級:円周の半分未満を形成するように繊維が付着していた。
5級:円周の4分の1未満を形成するように繊維が付着していた。
6級:繊維が付着していなかった。
1級:積層体の厚さとほぼ同じ幅で完全な濃いリング状に繊維が付着していた。
2級:完全ではあるが薄いリング状に繊維が付着していた。
3級:円周が部分的に途切れ、円周の半分以上を形成するように繊維が付着していた。
4級:円周の半分未満を形成するように繊維が付着していた。
5級:円周の4分の1未満を形成するように繊維が付着していた。
6級:繊維が付着していなかった。
以上の結果を表1に示す。
[実施例2〜12]
表1に記載のように、錘を変えることにより総荷重を変える、繊維基材シートの積層枚数を変える、または、繊維基材シートの積層体に吸収させる水のピックアップ率を変えることにより、試験条件を変えた以外は、実施例1と同様にして評価した。
表1に記載のように、錘を変えることにより総荷重を変える、繊維基材シートの積層枚数を変える、または、繊維基材シートの積層体に吸収させる水のピックアップ率を変えることにより、試験条件を変えた以外は、実施例1と同様にして評価した。
以上の結果を表1に示す。
表1の結果から、次のことがわかる。すなわち、実施例1〜4を比較すると、総荷重が500gを超えた実施例3、4の場合には、接触幅/総厚みが1.1を超えていた。この場合には、繊維基材シートが折れ曲がって端面だけでなく表面の一部も円板シートである織布に接触していると思われる。そして、このような場合には、繊維基材シートの端面から脱落した繊維だけでなく表面から脱落した繊維も織布に付着した。このことから、接触幅/総厚みは1.1以下程度である場合には端面からのみの毛羽脱落性をより正確に評価することができることがわかる。
また、実施例5〜8を比較すると、水ピックアップ率が200%の実施例7の場合には、接触幅/総厚みが1.1になり、繊維基材シートが折れ曲がって端面だけでなく表面の一部も円板シートである織布に接触しはじめた。そして、このような場合にも、繊維基材シートの端面から脱落した繊維だけでなく表面から脱落した繊維も織布に付着した。一方、含水させなかった実施例8の場合には、接触幅/総厚みが1.0であったが、繊維が付着しなかった。このことから、水ピックアップ率200%以下で含水させた場合には、端面のみからの毛羽脱落性をより正確に評価することができることがわかる。
また、実施例1,9〜12を比較すると、積層枚数が4枚で総厚み5.6mmの実施例12の場合、及び積層枚数が5枚で総厚み7mmの実施例1の場合には、より明瞭に繊維の付着が確認できることがわかる。一方、積層数が1枚で総厚み1.4mmの実施例9の場合には、繊維の付着が充分に確認できなかった。
本発明の繊維基材端面の毛羽脱落性評価装置及び繊維基材端面の毛羽脱落性評価方法によれば、繊維基材の端面の毛羽脱落性を簡便に評価することができる。
1 回転軸
2 ターンテーブル
3 非平滑表面
4 シャフト
5 試験片(繊維基材)
6 試験片ホルダ
7 負荷機構(錘)
2 ターンテーブル
3 非平滑表面
4 シャフト
5 試験片(繊維基材)
6 試験片ホルダ
7 負荷機構(錘)
Claims (7)
- 回転するターンテーブルと、
前記ターンテーブル上に固定された非平滑表面を有する円板シートと、
試験片となる少なくとも1枚の真円状の繊維基材シートに荷重を掛けて、その端面を前記非平滑表面に接触させて、前記非平滑表面との摩擦力により転がるように前記繊維基材シートを前記真円状の中心で支持する基材シート支持具と、を備えることを特徴とする繊維基材端面の毛羽脱落性評価装置。 - 前記円板シートは織布である請求項1に記載の繊維基材端面の毛羽脱落性評価装置。
- 前記円板シートは、前記繊維基材シートから脱落した繊維による跡が識別しやすいような色を有する請求項1または2に記載の繊維基材端面の毛羽脱落性評価装置。
- 請求項1〜3の何れか1項に記載の繊維基材端面摩耗評価装置を用いる繊維基材端面の毛羽脱落性評価方法であって、
前記ターンテーブルを所定の周回数、回転させる工程と、
試験片となる少なくとも1枚の前記真円状の繊維基材シートに荷重を掛けて前記端面を前記非平滑表面に接触させて、前記真円状の基材シートを前記非平滑表面との摩擦力により転がせる工程と、
前記ターンテーブルを所定の周回数回転させた後、前記非平滑表面における前記基材シートから脱落した繊維の残留状態に基づき、前記繊維基材端面の毛羽脱落状態を判定する工程と、を備えることを特徴とする繊維基材端面の毛羽脱落性評価方法。 - 試験片として、複数枚の真円状の前記繊維基材シートの積層体を用いる請求項4に記載の繊維基材端面の毛羽脱落性評価方法。
- 前記繊維基材シートは含水している請求項5に記載の繊維基材端面の毛羽脱落性評価方法。
- 前記端面を前記非平滑表面に接触させたとき、前記試験片の総厚みに対して1〜1.1倍になる幅で接触させる請求項5または6に記載の繊維基材端面の毛羽脱落性評価方法。
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