JP2016089000A - 非含水不溶化硬化性材料、及びそれを用いた非含水不溶化硬化物 - Google Patents
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Abstract
【課題】水溶性樹脂を原料としつつ水等の溶媒を含有せずに簡素な組成で簡易に水に不溶に変質することができる非含水不溶化硬化性材料を提供する。
【解決手段】非含水不溶化硬化性材料は、熱可塑性を示して架橋性反応基を有する水溶性樹脂と、前記水溶性樹脂の分子同士が前記架橋性反応基を介して架橋する架橋反応を起こさせる重合開始剤とを含んでおり、前記架橋反応により前記水溶性樹脂を不溶化させるものである。前記水溶性樹脂が、前記架橋性反応基を有することにより変性した、変性ポリエチレンオキサイド樹脂、変性ポリビニルアルコール樹脂、変性ポリビニルピロリドン樹脂、変性ポリ(メタ)アクリル酸樹脂、変性セルロース樹脂、変性デンプン樹脂、及び変性ゼラチン樹脂から選ばれる少なくとも何れかである。
【選択図】なし
【解決手段】非含水不溶化硬化性材料は、熱可塑性を示して架橋性反応基を有する水溶性樹脂と、前記水溶性樹脂の分子同士が前記架橋性反応基を介して架橋する架橋反応を起こさせる重合開始剤とを含んでおり、前記架橋反応により前記水溶性樹脂を不溶化させるものである。前記水溶性樹脂が、前記架橋性反応基を有することにより変性した、変性ポリエチレンオキサイド樹脂、変性ポリビニルアルコール樹脂、変性ポリビニルピロリドン樹脂、変性ポリ(メタ)アクリル酸樹脂、変性セルロース樹脂、変性デンプン樹脂、及び変性ゼラチン樹脂から選ばれる少なくとも何れかである。
【選択図】なし
Description
本発明は、水溶性樹脂を原料として水に不溶化することができる非含水不溶化硬化性材料、及びそれを硬化させた非含水不溶化硬化物に関するものである。
水溶性樹脂は、水への溶解性が高いため、耐溶出性を付与する場合、変質させて水に対して不溶化させた不溶化樹脂へ誘導される。
従来、水溶性樹脂を不溶化させる場合、大抵、水溶性樹脂に架橋性反応基を付与する変性化の後、重合開始剤存在下で水溶液中又は、トルエン、酢酸エチル等の有機溶媒溶液中でその反応基同士を架橋させて水溶性樹脂を変質させて不溶性樹脂へ誘導されていた。このとき、得られる不溶性樹脂の組成物は、高い含水率を有する高含水ゲル状組成物となったり、高い溶媒残留率の含溶媒不溶性組成物となったりしていた。
これらの高含水ゲル状組成物や含溶媒不溶性組成物に、各種塩類をはじめとする機能性付与添加剤を含有させている場合、その塩類等のイオン解離や遊離を引き起こすため、塩類等に由来する酸性物質やアルカリ性物質の生成が起こり易くなり、塩類が水で溶出され易くなってしまう。さらに、作用の異なる二種以上の塩類のような複数の機能性付与添加剤を含有させた場合、複数の添加剤同士で所望の作用を妨げるイオン反応等が起こり易くなるため、所期の機能が得られなくなってしまう。或いは、含溶媒不溶性組成物中の残存有機溶媒の所為で、添加剤の機能の阻害、その揮発又は残存による環境面や人体への健康面への問題を生じてしまう。
また、含水率を下げたゲル状組成物として、ポリビニルアルコール(PVA)系含水ゲルを製造する方法として、特許文献1や特許文献2に、PVA水溶液の凍結・脱水や、凍結、融解を繰り返すことによるゲルの製法が提案されている。しかし、これらの方法では、PVA水溶液を凍結させるための装置が必要であり、操作が煩雑で面倒であり、また、ゲルの耐水性が不十分なうえ、ゲルの強度のコントロールが困難であった。
ゲル状組成物を真空乾燥したとしても、操作が煩雑で面倒なうえ、工程が増えて処理費用が高騰することによる製品価格への転嫁の懸念や、機能性付与添加剤による折角の機能が消失する恐れがあった。
特許文献3に、ポリオレフィン系樹脂のような熱可塑性樹脂にp−ターシャリ・ブチル安息香酸金属塩を少なくとも一種含有する金属防錆用の樹脂組成物が開示されているが、この樹脂組成物は、防錆を必要とする各種金属製品を不溶性のポリオレフィン系樹脂等で包装・収容するために用いられるものであり、水溶性樹脂を不溶化するためのものではない。
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、水溶性樹脂を原料としつつ水等の溶媒を含有せずに簡素な組成で簡易に水に不溶に変質することができる非含水不溶化硬化性材料、及びそれを用い硬化させ各種添加物を安定に包含し得る非含水不溶化硬化物を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するためになされた本発明の非含水不溶化硬化性材料は、熱可塑性を示して架橋性反応基を有する水溶性樹脂と、前記水溶性樹脂の分子同士が前記架橋性反応基を介して架橋する架橋反応を起こさせる重合開始剤とを含んでおり、前記架橋反応により前記水溶性樹脂を不溶化させるものである。
この非含水不溶化硬化性材料は、前記水溶性樹脂が、前記架橋性反応基を有することにより変性した、変性ポリエチレンオキサイド樹脂、変性ポリビニルアルコール樹脂、変性ポリビニルピロリドン樹脂、変性ポリ(メタ)アクリル酸樹脂、変性セルロース樹脂、変性デンプン樹脂、及び変性ゼラチン樹脂から選ばれる少なくとも何れかであることが好ましい。
この非含水不溶化硬化性材料は、前記架橋性反応性基が、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリレート基、カルボキシル基、アミノ基、及びチオール基から選ばれる少なくとも何れかであってもよい。
この非含水不溶化硬化性材料は、前記水溶性樹脂が、前記変性ポリエチレンオキサイド樹脂であって、(エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド・アリルグリシジルエーテル)ランダム共重合樹脂とすることが好ましい。
この非含水不溶化硬化性材料は、前記水溶性樹脂を45〜99.5重量%とし、前記重合開始剤を0.05〜15重量%とすることが好ましい。
この非含水不溶化硬化性材料は、前記重合開始剤が、ラジカル重合開始剤、又はイオン重合開始剤で例示されるものである。
この非含水不溶化硬化性材料は、前記水溶性樹脂の45〜99.5重量%と、前記重合開始剤の0.05〜15重量%と、機能性付与添加剤の0.001〜54.95重量%とを含むものであってもよい。
前記の目的を達成するためになされた本発明の非含水不溶化硬化物は、前記の非含水不溶化硬化性材料が、活性エネルギー線及び/又は加熱で前記架橋反応により不溶化されている不溶化樹脂を有するものである。
この非含水不溶化硬化物は、前記不溶化樹脂が、透湿性包装材で包装されているものであってもよい。
前記の目的を達成するためになされた本発明の非含水不溶化硬化物の製造方法は、架橋性反応基を有することにより変性した、変性ポリエチレンオキサイド樹脂、変性ポリビニルアルコール樹脂、変性ポリビニルピロリドン樹脂、変性ポリ(メタ)アクリル酸樹脂、変性セルロース樹脂、変性デンプン樹脂、及び変性ゼラチン樹脂から選ばれる少なくとも何れかの水溶性樹脂と、前記水溶性樹脂の分子同士が前記架橋性反応基を介して架橋する架橋反応を起こさせる重合開始剤とを混合する、非含水不溶化硬化性材料の調製工程と、非含水不溶化硬化性材料に活性エネルギー線処理及び/又は加熱処理を施して、前記架橋反応により不溶化する、不溶化樹脂への硬化工程とを、有する。
本発明の非含水不溶化硬化性材料及びそれを用いた非含水不溶化硬化物によれば、希釈有機溶媒を使用せずに水溶性樹脂を非含水状態で水に不溶化させている。非含水不溶化硬化性材料及び非含水不溶化硬化物は、水のみならず有機溶媒を使用しないことから、含水率や残留溶媒率が限りなく0%に近い状態で得られる。このため、溶媒によって遊離やイオン解離しやすい塩類を安定して非含水不溶化硬化物に内包できるうえ、希釈されることなく固体のまま含有させることが可能となる。しかも、水溶性樹脂が本来有する吸湿・放湿特性を最大限に活用しつつ不溶化した資材を得ることが可能となる。
本発明の非含水不溶化硬化物の製造方法によれば、簡便に、高品質で高純度の非含水不溶化硬化物を効率良く製造することができる。
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
本発明の非含水不溶化硬化性材料の好ましい一形態は、架橋性反応基を有することにより変性した水溶性樹脂と、その水溶性樹脂の分子同士の架橋性反応基で架橋反応させる重合開始剤とを含みつつ媒体となる水を実質上含んでおらず、架橋反応により不溶化させるためのものである。非含水不溶化硬化性材料は、必要に応じ各種塩類をはじめとする機能性付与添加剤を含有している。
非含水不溶化硬化性材料は、水溶性樹脂として、例えば架橋性反応基として不飽和基を含有する架橋性プレポリマーである変性共重合樹脂を含有している。水溶性樹脂の分子同士の架橋性反応基で重合反応させて三次元的に架橋反応させ始める重合開始剤として例えばラジカル重合開始剤を混在させているので、活性エネルギー線照射、例えば可視光のような光照射処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、放射線照射処理、又は、赤外線照射処理、中性子線照射処理、プラズマ処理等、若しくは加熱溶融加工処理のような加熱処理を施した時に、水溶性樹脂が高分子量化して不溶化された不溶化樹脂へ誘導される。
水溶性樹脂例えば変性共重合樹脂は、重量平均分子量が5千〜50万の範囲であることが好ましい。その重量平均分子量が50万を超えると、非含水不溶化硬化性材料の加熱溶融加工のような加熱処理時でのせん断発熱が大きくなり、その加熱処理時の樹脂温度が高くなり過ぎる所為、機能性付与添加剤が熱分解し、本来の機能を失い、溶融粘度が重合開始剤や機能付与添加剤と大きく異なるため、分散性が悪く、十分な不溶化処理が得られないことになる。また、その重量平均分子量が5千未満であると、メルトフローインデックス(MFR)が大きくなりすぎて、成形加工時の成形性やその作業前後の取り扱いが困難になるばかりか、重合開始剤や機能付与添加剤との分散性が悪いものとなる。
この非含水不溶化硬化性材料に使用される好ましい水溶性樹脂として、熱可塑性であり且つ架橋性反応基のアリル基を側鎖に持つ変性共重合樹脂、例えば変性ポリエチレンオキサイド樹脂、より好ましくは変性ポリエチレンオキサイドランダム共重合樹脂のような架橋性プレポリマーが挙げられる。
変性共重合樹脂である変性ポリエチレンオキサイドランダム共重合樹脂は、より具体的に例示すると、エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド・アリルグリシジルエーテルとのランダム共重合樹脂(n:m:l=94〜98:1:1〜5、nmlはエチレンオキサイドユニットとプロピレンオキサイドユニットとアリルグリシジルエーテルユニットとのモル比)(アルコックスCPA:明成化学工業社製)であり、融点:約50℃、重量平均分子量8万を示す樹脂のものである。
前記変性ポリエチレンオキサイドランダム共重合樹脂は、変性されていないポリエチレンオキサイドよりも融点が10〜20℃程低いので、より低融点である機能性付与添加剤を安定した状態で含有させることが可能となる。そのため一層広範な機能性付与添加剤を用いることができるようになる。
非含水不溶化硬化性材料は、変性共重合樹脂のような変性した水溶性樹脂と、重合開始剤とを、適宜組み合わせて、含有する組成物である。この非含水不溶化硬化性材料を用いれば、活性エネルギー線処理や加熱処理により水溶性樹脂を架橋反応させて不溶化処理して不溶化樹脂へ誘導して非含水不溶化硬化物を調製できる。この場合、潮解性塩類のように、含水樹脂中で液状化してしまうような機能性付与添加剤を含有させても、非含水であることと架橋によって潮解性塩類の粒子を固体粒子のまま網目構造中に内包することにより、潮解化乃至液状化しなくなる。その結果、得られた非含水不溶化硬化物は、潮解した塩類の所為で周辺を汚してしまうことなく、綺麗なまま使用し続けることができる。また、機能性添加剤の徐放性、内包(固定)性、耐熱性にも寄与することになる。
しかも、架橋反応させて不溶化樹脂へ誘導する際に、含水ゲルのように水等の多量な溶媒を含まなくて済むので、異なる機能性付与添加剤が加水分解反応をするような不都合、例えば亜硝酸塩と有機アンモニウム塩との混合系では、水等の多量な溶媒があることで瞬時に反応し合って防錆性の維持が困難になるばかりか、含有する水分が放出され結露が大量に発生してしまう不都合がある。つまり、非含水不溶化硬化性材料に上記の異種多成分となる機能性添加剤を含有させた組み合わせでは、熱溶融加工および不溶化加工時まで、水等の溶媒と接触しないため、遊離や解離反応をさせずに含有させることが可能となる。得られた非含水不溶化硬化物は、使用時にはじめて吸湿(除湿)作用が生まれ、その水分を利用した酸・塩基の反応を適度に起こさせて所期の機能を発現させることになる。
非含水不溶化硬化性材料は、例えば変性ポリエチレンオキサイド樹脂のような水溶性樹脂が、ポリエチレンと比較して遥かに低温の条件下で、活性エネルギー線の照射処理及び/又は加熱溶融加工のような加熱処理を施して、非含水不溶化硬化物を形成することができる。
このように加工して得られた非含水不溶化硬化物によれば、適度な水分の吸収特性と機能性付与添加剤の放出特性を有し、その後の吸湿、含水後に蓄えた非含水不溶化硬化物中の湿気と共に表面に機能性付与添加剤が浸潤・拡散して移動していく。そのため、非含水不溶化硬化物は、非吸湿性のポリオレフィンに含有させた場合と比べ、含有させた機能性添加剤がすべて反応に寄与するため吸湿性や徐放性に優れる特性が得られることになる。ポリオレフィンに機能性添加剤を含有させた場合は、非親水性樹脂で添加剤周辺を覆うため機能性付与添加剤の効果がかなり弱まるため、高濃度に含有させる必要があった。本発明となる非含水不溶化硬化性材料は、ポリオレフィンに機能性添加剤を含有させた場合と比較した場合、1.2倍から50倍前後の初期効果と持続効果が得られることになる。
非含水不溶化硬化性材料中の水溶性樹脂として、変性ポリエチレンオキサイドランダム共重合樹脂を例に詳しく説明したが、架橋性反応基を有することによりその他の変性した水溶性樹脂を用いた場合でも、同様な効果を奏する。
変性ポリエチレンオキサイド系樹脂以外の変性した水溶性樹脂として、変性ポリビニルアルコール系樹脂、変性ポリビニルピロリドン系樹脂、変性ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、変性セルロース系樹脂、変性デンプン系樹脂、変性ゼラチン系樹脂が挙げられる。
変性した水溶性樹脂として、不飽和基であるアリル基が架橋性反応基である樹脂の例を詳細に説明したが、アリル基若しくはメタアリル基である(メタ)アリル基、ビニル基、アクリレート基若しくはメタクリレート基である(メタ)アクリレート基であってもよい。変性水溶性樹脂の分子同士がそれらの架橋性反応基である不飽和基同士で、ラジカル重合のような架橋反応により三次元的に架橋する。
非含水不溶化硬化性材料中、水溶性樹脂の添加量は、45〜99.5重量%、好ましくは65〜95重量%、より好ましくは75〜90重量%である。
架橋反応のための重合開始剤としてラジカル重合開始剤を用いる場合、ラジカル重合開始剤には、熱重合開始剤と光重合開始剤とがある。
非含水不溶化硬化性材料に加熱溶融加工を施して架橋反応させて水溶性樹脂を不溶化樹脂へ誘導する場合は、経時的な安定性を加味した場合、光重合開始剤を使用することが望ましい。一方、熱重合開始剤を使用する際は、特に加熱溶融加工を加える際の加工熱の影響を考慮し、反応抑制剤等の反応調整剤を共存させて加熱溶融加工を施すことで品質の安定化を図ることができる。
重合開始剤には、ラジカル重合開始剤やイオン重合開始剤がある。ラジカル重合開始剤には、アゾ化合物、有機過酸化物系、ハロゲン系、アルキルフェノン系、アシルフォスフィンオキサイド系、チタノセン系、カチオン系等に分けることができ、イオン重合開始剤には、アニオン重合開始剤やカチオン重合開始剤があり、それらの群から1種以上を適宜選定して使用することが可能である。重合開始剤が、アルキルフェノン系光重合開始剤とする前記ラジカル重合開始剤であると一層好ましい。
非含水不溶化硬化性材料中、重合開始剤は、光や熱のエネルギーを吸収して振動することにより、重合開始剤分子中のC=O結合又はC−O−C−O−C結合等の振動を引き起こし、ラジカル反応性有機材料のC=O結合部が共振してC=C不飽和結合部に伝播してラジカルを発生し、反応基を持つ変性水溶性樹脂の連鎖重合が進むことになる。
変性した水溶性樹脂として、不飽和基が架橋性反応基である樹脂の例を示したが、水溶性樹脂が、カルボキシル基、アミノ基、チオール基のいずれかの架橋性反応性基とその反応性基で開環するエポキシ基とを有するものであってもよい。この場合、変性水溶性樹脂の分子同士が、架橋性反応性基とエポキシ基とのイオン重合のような架橋反応により三次元的に架橋する。
イオン重合のためには重合開始剤として、光アニオン重合開始剤、光カチオン重合開始剤が挙げられる。
非含水不溶化硬化性材料は、これらの変性水溶性樹脂を樹脂主成分とするものであれば、重量比でその変性水溶性樹脂100重量部に対し0.1〜49重量部のポリオレフィン系樹脂やポリアクリル酸ナトリウム等の吸水性樹脂、ハロゲン系ガス吸着剤(樹脂)をさらに含んでいてもよい。
非含水不溶化硬化性材料中、重合開始剤の添加量は、水溶性樹脂中の反応基の種類や比率、更には活性エネルギー線処理条件や加熱溶融加工条件等によって異なるが、0.05〜15重量%の範囲で含有させる必要があり、好ましくは0.5〜8重量%の範囲で含有させることで、非含水不溶化硬化物の機能を充分に発現できるようになる。
非含水不溶化硬化性材料に加熱溶融加工を施して架橋反応させて水溶性樹脂を不溶化樹脂へ誘導する際には、重合開始剤の混合比率だけでなく、その融点が重要な因子となる。水溶性樹脂の融点と同域の融点を有する重合開始剤を選定することが望ましく、温度域としては、−50℃〜+70℃の範囲に入る融点を有する重合開始剤を選定する。最適には水溶性樹脂の融点と同じか±40℃の重合開始剤を選定し、水溶性樹脂の融点から10〜80℃高い成形温度(最適には、30〜50℃高い温度)で加熱溶融加工を施すことで、一方が粉末や固形状で残ったり、一方が局在したり、成形性が悪化したりする不都合を、回避することができる。
非含水不溶化硬化性材料は、前記のような水溶性樹脂と重合開始剤との組み合わせにより、加熱溶融加工時に、双方が溶融状態に達し、反応基周辺に重合開始剤が均一分散される。それにより、十分反応可能な環境が形成されるので、非含水不溶化硬化物の機能を充分に発現できるようになっている。
非含水不溶化硬化性材料中の機能性付与添加剤は、水溶性樹脂の不溶化と直接は関係しないため、特にその融点の温度範囲は限定されないが、加熱溶融加工時の熱分解や劣化等がないものを選定して使用することが望ましい。
また、機能性付与添加剤として、抗菌剤や防黴剤、防虫剤、芳香剤等を含有させた場合も同様に、非含水不溶化硬化性材料を活性エネルギー線照射や加熱して水溶性樹脂を架橋させて非含水不溶化硬化物の網目構造中に、水溶媒を用いない非含水状態で機能性付与添加剤を内包させることができる。
非含水不溶化硬化性材料中、水溶性樹脂や重合開始剤と、それらと共に添加される機能性付与添加剤とは、粉剤、顆粒剤、錠剤、マイクロカプセル、芯材に、全有効成分を吸着・含浸させた顆粒や粉末、エマルジョンになっている組成物にして、用いることができる。その有効成分が、液状の場合は、水溶性樹脂に蒸気圧の高い原体から蒸散させたり、燻製化させたり、多孔質物質に担持させたり、少量であれば、粉末水溶性樹脂に直接噴霧して加工機へ投入したりするような方法で、非含水不溶化硬化性材料の組成物を調製できる。
非含水不溶化硬化性材料中の機能性付与添加剤として、防錆剤、防黴剤、殺虫剤、誘引剤、忌避剤、防虫剤、抗菌剤、殺菌剤、抗ウイルス剤、消毒剤、芳香剤、消臭剤、脱臭剤、防臭剤、除湿剤、蓄熱剤、冷熱剤を、一種又は複数組み合わせて用いる。機能性付与添加剤は、水溶性であってもよい。非含水不溶化硬化性材料に機能性を付与する場合に添加する機能性付与添加剤の量は例えば0.001〜54.95重量%である。この範囲未満であると十分に機能性を付与できない恐れがある。この範囲を超えるともはやそれ以上機能性を付与できなくなってしまう恐れがある。
例えばその防錆剤には、アミン又はアンモニウムの無機酸塩、それらの有機酸塩が挙げられる。
防錆剤として、より具体的には、フタル酸アンモニウム、安息香酸アンモニウム、ステアリン酸アンモニウム、オレイン酸アンモニウム、パルミチン酸アンモニウム、リン酸三アンモニウム、モリブテン酸アンモニウム、アジピン酸アンモニウム、セバシン酸アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジシクロヘキシルアンモニウムカプリレート、シクロヘキシルアミンカーバメート、シクロヘキシルアミンラウレート、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、ニトロナフタリンアンモニウムナイトライト、シクロヘキシルアミンベンゾエート、ジシクロヘキシルアミンリン酸塩、炭酸アンモニウム、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。
別な防錆剤は、より具体的には、複素環式アミン又はイミン化合物として、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、メチルベンゾトリアゾール、3−メチル−5−ヒドロキシピラゾール、3−メチル−5−ヒドロキシベンゾトリアゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、2−ヘプタデジルイミダゾール、3−メチル−5−ピラゾロン、トリアジンジチオールモノナトリウム、1−ヒドロキシエチリデン−1等が挙げられる。
別な防錆剤は、より具体的には、尿素系化合物として、尿素、チオ尿素、ウロトロピン等が挙げられ、芳香族酸塩として、ナトリウムベンゾエート、フタル酸ナトリウム、p-tertブチル安息香酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム等の安息香酸塩が挙げられ、水溶性化合物として、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、B2O3−SiO2−M2O(M:Na又はK)等のホウ酸系焼結生成物、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム等のアルカリ金属を有する水溶性化合物が挙げられる。
機能性付与添加剤は、防黴剤として、イソチアゾロン系、アゾール系、ブロノポール、クロロタロニル、メチルスルホニルテトラ、カルベンタジム、チアベンタゾール、フルオロフォルペット、二酢酸ナトリウム、ジヨードメチルパラトリルスルホン、オルトフェニルフェノール、ビフェニル、チアベンタゾール、イマザリル、金属イオン系化合物、光触媒系化合物、有機合成系化合物、天然物系化合物等が挙げられる。
機能性付与添加剤は、殺虫剤として、有機塩素系殺虫剤、有機リン系殺虫剤、カーバメート系殺虫剤、ニコチン系殺虫剤等が挙げられ、防虫剤として、パラジクロロベンゼン系防虫剤、ナフタリン系防虫剤、ピレスロイド系防虫剤、樟脳系防虫剤等が挙げられる。
機能性付与添加剤は、誘引剤や忌避剤として、ホドロン剤や、マダラコール剤等の性フェロモン剤が挙げられ、忌避剤として、ディート、ピカリジン、天然植物抽出エキス等が挙げられる。
機能性付与添加剤は、抗菌剤として、有機系抗菌剤、無機系抗菌剤等が挙げられ、抗ウイルス剤として、核酸系抗ウイルス剤、非核酸系抗ウイルス剤等が挙げられ、消毒剤として、生石灰、酸化カルシウム、クロル石灰、次亜塩素酸ナトリウム等が挙げられる。
機能性付与添加剤は、芳香剤として、天然系、合成系の各種香料が挙げられ、消臭剤、脱臭剤、防臭剤として、有機系化合物、無機系化合物が挙げられる。
機能性付与添加剤は、除湿剤として、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸マグネシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化水素ナトリウム、炭酸カリウム等からなる無機塩類除湿剤や潮解性塩等が挙げられ、蓄熱剤、蓄冷剤、及び冷熱剤として、パラフィン等を内包したマイクロカプセル化剤等が挙げられる。
非含水不溶化硬化性材料の調製方法、及び非含水不溶化硬化物の製造方法は、以下の通りである。架橋性反応基を有する変性水溶性樹脂と、重合開始剤と、必要に応じて機能性付与添加剤とを、無溶媒下で混合して、非含水不溶化硬化性材料を調製する工程と、次いで非含水不溶化硬化性材料に活性エネルギー線処理や加熱溶融加工のような加熱処理を施して、架橋性反応基で架橋反応させて変性水溶性樹脂を不溶化する硬化工程とを、経て、非含水不溶化硬化物を得る。
変性ポリエチレンオキサイド系樹脂のような変性水溶性樹脂及び適宜に加えられる非水溶性樹脂と、ラジカル重合開始剤のような重合開始剤と、防錆剤等のような機能性付与添加剤とを、混合するには、例えばこれらの樹脂の原料ペレットと、重合開始剤や機能性付与添加剤の原料粉末とを、適当な混練手段、例えばバンバリーミキサー、ミキシングロールニーダーおよび二軸混練押出し機等の装置を用いて混練してコンパウンド化し、非含水不溶化硬化性材料を得る。
その非含水不溶化硬化性材料材は、ペレット、シート、フィルム、ストランド、キューブ、平板、又は錠剤の形状の成体品に成型加工して成形し、非含水不溶化硬化物とし、そのまま用いてもよい。その成型加工法は、インフレーション法、T−ダイキャスト法、チューブラー延伸法、ブロー成形、インジェクション成形、真空成型、プレス成型、打ち抜き成形、打錠成形が挙げられる。
この非含水不溶化硬化物は、前記不溶化樹脂が、透湿性包装材で包装されていてもよい。この非含水不溶化硬化物は、前記透湿性包装材が、0.5〜9000g/m2・24Hの透湿度を有するものであることが好ましい。
この非含水不溶化硬化性材料材を成型加工した後、その包装資材として透湿度0.5〜9,000g/m2・24H(JIS L−1099A−140℃、90%RH)の範囲からなる透湿性及び/又は多孔質性である、フィルム、紙、不織布等でできた小袋又は小容器内に収納して包装して、非含水不溶化硬化物として、用いていると一層好ましい。これにより、機能性付与添加剤の徐放効果や、水溶性樹脂から誘導された不溶性樹脂の吸湿・放湿効果が、充分に得られ易くなる。
潮解性塩類である機能性付与添加剤を含有させつつ水溶性樹脂に重合開始剤を添加し不溶化処理を施さない場合、激しい潮解が起きて液状化し、たとえ包装資材で包装しても潮解液が染み出して、周辺を汚してしまう。しかし、本発明のように潮解性塩類を含有させて不溶化処理して非含水不溶化硬化物を調製することにより、非含水不溶化硬化物に適度な調湿特性(吸・放湿特性)を付与し、必要に応じ透湿性包装材で包装することにより、非包装又は透湿性包装材包装に関わらず、潮解性塩類の潮解液が染み出したり、滴ったりすることが、簡便かつ確実に回避できる。
以下、本発明を適用する実施例、及び本発明を適用外の比較例について説明する。
(実施例1)
アリル基を有する変性水溶性樹脂であるエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド・アリルグリシジルエーテルとのランダム共重合樹脂(n:m:l=96:1:3)(アルコックスCPA−2H:明成化学工業社製 融点:50℃)に対し、アルキルフェノン系光重合開始剤 IRGACURE181(BASF社製 融点48℃)を上記の変性水溶性樹脂に対して3重量%添加してブレンドし、非含水不溶化硬化性材料である原料組成物を調製した。この原料組成物を、二軸押出機により100℃の成形温度で加熱溶融加工して、厚さ0.3mmのシート状成型物にした後、紫外線(UV)照射(波長:365nm、パワー:36W、30秒間)して不溶化処理を施し、非含水不溶化硬化物を試験体として得た。
アリル基を有する変性水溶性樹脂であるエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド・アリルグリシジルエーテルとのランダム共重合樹脂(n:m:l=96:1:3)(アルコックスCPA−2H:明成化学工業社製 融点:50℃)に対し、アルキルフェノン系光重合開始剤 IRGACURE181(BASF社製 融点48℃)を上記の変性水溶性樹脂に対して3重量%添加してブレンドし、非含水不溶化硬化性材料である原料組成物を調製した。この原料組成物を、二軸押出機により100℃の成形温度で加熱溶融加工して、厚さ0.3mmのシート状成型物にした後、紫外線(UV)照射(波長:365nm、パワー:36W、30秒間)して不溶化処理を施し、非含水不溶化硬化物を試験体として得た。
(実施例2)
アリル基を有する変性水溶性樹脂であるエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド・アリルグリシジルエーテルとのランダム共重合樹脂(n:m:l=96:1:3)(アルコックスCPA−2H:明成化学工業社製 融点:50℃)92重量%と、アルキルフェノン系光重合開始剤 IRGACURE181(BASF社製 融点48℃)を、上記の変性水溶性樹脂に対して3重量%添加し、機能性付与添加剤である潮解性塩として亜硝酸ナトリウムを5.0重量%添加してよくブレンドし、非含水不溶化硬化性材料である原料組成物を、調製した。この原料組成物を、二軸押出機により100℃の成形温度で加熱溶融加工して、厚さ0.3mmのシート状成型物にした後、UV(波長:365nm、パワー36W 30秒)照射して不溶化処理を施し、非含水不溶化硬化物を試験体として得た。
アリル基を有する変性水溶性樹脂であるエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド・アリルグリシジルエーテルとのランダム共重合樹脂(n:m:l=96:1:3)(アルコックスCPA−2H:明成化学工業社製 融点:50℃)92重量%と、アルキルフェノン系光重合開始剤 IRGACURE181(BASF社製 融点48℃)を、上記の変性水溶性樹脂に対して3重量%添加し、機能性付与添加剤である潮解性塩として亜硝酸ナトリウムを5.0重量%添加してよくブレンドし、非含水不溶化硬化性材料である原料組成物を、調製した。この原料組成物を、二軸押出機により100℃の成形温度で加熱溶融加工して、厚さ0.3mmのシート状成型物にした後、UV(波長:365nm、パワー36W 30秒)照射して不溶化処理を施し、非含水不溶化硬化物を試験体として得た。
(比較例1)
ベース樹脂として非水溶性熱可塑性樹脂である低密度ポリエチレン樹脂(住友化学工業社製スミカセンF218−1(密度0.919g/cm3、メルトフロレート値1.0g/10min)ペレットを用いて190℃でプレス加工したシート状硬化物を試験体として作製した。
ベース樹脂として非水溶性熱可塑性樹脂である低密度ポリエチレン樹脂(住友化学工業社製スミカセンF218−1(密度0.919g/cm3、メルトフロレート値1.0g/10min)ペレットを用いて190℃でプレス加工したシート状硬化物を試験体として作製した。
(比較例2)
ベース樹脂として反応基を有さない水溶性熱可塑性樹脂であるポリエチレンオキサイド(住友精化株式会社製 PEO−1(商品名) 融点66℃)9重量%に対し、潮解性塩として亜硝酸ナトリウムを5重量%となるよう添加した。アルキルフェノン系光重合開始剤 IRGACURE181(BASF社製 融点48℃)を上記の変性水溶性樹脂に対して3重量%添加してよくブレンドした原料を調製した。この原料を、二軸押出機により130℃の成形温度で加熱溶融加工して、厚さ0.3mmのシート状成型物にした後、UV(波長:365nm、パワー36W 30秒)照射して不溶化処理を施し試験体とした。
ベース樹脂として反応基を有さない水溶性熱可塑性樹脂であるポリエチレンオキサイド(住友精化株式会社製 PEO−1(商品名) 融点66℃)9重量%に対し、潮解性塩として亜硝酸ナトリウムを5重量%となるよう添加した。アルキルフェノン系光重合開始剤 IRGACURE181(BASF社製 融点48℃)を上記の変性水溶性樹脂に対して3重量%添加してよくブレンドした原料を調製した。この原料を、二軸押出機により130℃の成形温度で加熱溶融加工して、厚さ0.3mmのシート状成型物にした後、UV(波長:365nm、パワー36W 30秒)照射して不溶化処理を施し試験体とした。
(比較例3)
実施例2と同様に作製した非含水組成物を透湿度0g/m2・24Hのアルミラミネートフィルムで小袋状に個包装して試験体とした。
実施例2と同様に作製した非含水組成物を透湿度0g/m2・24Hのアルミラミネートフィルムで小袋状に個包装して試験体とした。
(試験方法)
(試験(1))防錆能力および不溶化の確認試験
低密度ポリエチレン製ガゼット袋を作製し、10cm×15cm×15cmのプラスチック製の籠の上部に、洗浄した金属試験片(鋳鉄:Fc250)を中心に吊るしてヒートシールで密閉包装し封入した。この包装内部には、実施例1〜2及び比較例1〜2で得たシート状の試験体各1gを透湿度6000g/m2・24H(JIS L−1099A−140℃、90%RH)の不織布で小袋状に個包装した試験体と比較例3の試験体とを夫々包装したまま、金属試験片に隣接するように籠に別々に吊り下げて、試験体封入体としてある。下記の試験環境下(2サイクル試験)に10日間放置した後に、試験体封入体内の金属試験片の錆の状況を確認した。
(試験環境)(2サイクル試験条件:12時間/1サイクル×2/日)
25℃,70%RH(4時間)⇒50℃,95%RHへ移動(2時間)
⇒50℃,95%RH(4時間)⇒25℃,70,%RHへ移動(2時間)
(試験(1))防錆能力および不溶化の確認試験
低密度ポリエチレン製ガゼット袋を作製し、10cm×15cm×15cmのプラスチック製の籠の上部に、洗浄した金属試験片(鋳鉄:Fc250)を中心に吊るしてヒートシールで密閉包装し封入した。この包装内部には、実施例1〜2及び比較例1〜2で得たシート状の試験体各1gを透湿度6000g/m2・24H(JIS L−1099A−140℃、90%RH)の不織布で小袋状に個包装した試験体と比較例3の試験体とを夫々包装したまま、金属試験片に隣接するように籠に別々に吊り下げて、試験体封入体としてある。下記の試験環境下(2サイクル試験)に10日間放置した後に、試験体封入体内の金属試験片の錆の状況を確認した。
(試験環境)(2サイクル試験条件:12時間/1サイクル×2/日)
25℃,70%RH(4時間)⇒50℃,95%RHへ移動(2時間)
⇒50℃,95%RH(4時間)⇒25℃,70,%RHへ移動(2時間)
(防錆能力の評価基準)
金属試験片の錆や変色等の発生状況を目視によって確認し、下記の基準で評価した。
錆、変色、異物の付着なし :◎
僅かな点状の錆、変色、異物の付着発生 :○
試験片の80%未満に錆、変色、異物の付着発生:×
全面に錆、変色、異物の付着発生 :××
金属試験片の錆や変色等の発生状況を目視によって確認し、下記の基準で評価した。
錆、変色、異物の付着なし :◎
僅かな点状の錆、変色、異物の付着発生 :○
試験片の80%未満に錆、変色、異物の付着発生:×
全面に錆、変色、異物の付着発生 :××
(不溶化の評価基準)
試験体の液状化がある:×
液状化なし :◎
非水溶性樹脂、透湿度がない包材で包装した場合は試験対象外: −
試験体の液状化がある:×
液状化なし :◎
非水溶性樹脂、透湿度がない包材で包装した場合は試験対象外: −
(試験(2))除湿能力の確認試験
低密度ポリエチレン製ガゼット袋を作製し、10cm×15cm×15cmのプラスチック製の籠を使用し、試験(1)と同じように実施例1〜2及び比較例1〜2で得たサイズ約1g:0.3×30×60mmのシート状の各試験体と比較例3の試験体とを夫々別々に上部に吊るし、内部には、データロガー(温湿度記録計)を同梱して、40℃,90%RH環境下となるようにそのガゼット袋をヒートシールで密閉包装し封入して試験体封入体とした。その試験体封入体内の湿度変化を72時間後まで確認した。試験体封入体内の湿度が90%RHより低下すれば除湿能力あり(評価:◎)、試験体封入体内の湿度が上昇すれば除湿能力なし(評価:×)とした。
低密度ポリエチレン製ガゼット袋を作製し、10cm×15cm×15cmのプラスチック製の籠を使用し、試験(1)と同じように実施例1〜2及び比較例1〜2で得たサイズ約1g:0.3×30×60mmのシート状の各試験体と比較例3の試験体とを夫々別々に上部に吊るし、内部には、データロガー(温湿度記録計)を同梱して、40℃,90%RH環境下となるようにそのガゼット袋をヒートシールで密閉包装し封入して試験体封入体とした。その試験体封入体内の湿度変化を72時間後まで確認した。試験体封入体内の湿度が90%RHより低下すれば除湿能力あり(評価:◎)、試験体封入体内の湿度が上昇すれば除湿能力なし(評価:×)とした。
表1から明らかな通り、本発明を適用し不溶化処理している実施例1〜2の非含水不溶化硬化物の試験体は、防錆能力、不溶化性能、除湿能力共に、優れており、本発明を適用外の比較例1〜3の試験体等に比べ、充分な性能を発現していた。
本発明の非含水不溶化硬化性材料及びそれを用いた非含水不溶化硬化物は、金属製品、光学機械、革製品、及び布製品のような被梱包品・被包装品と同梱されたり、被梱包品・被包装品を包装・梱包したりするのに使用される。この非含水不溶化硬化物は、機能性付与添加剤の効能に応じ防錆効果等の各種効果を発現するために、使用される。
Claims (10)
- 熱可塑性を示して架橋性反応基を有する水溶性樹脂と、前記水溶性樹脂の分子同士が前記架橋性反応基を介して架橋する架橋反応を起こさせる重合開始剤とを含んでおり、
前記架橋反応により前記水溶性樹脂を不溶化させるものであることを特徴とする非含水不溶化硬化性材料。 - 前記水溶性樹脂が、前記架橋性反応基を有することにより変性した、変性ポリエチレンオキサイド樹脂、変性ポリビニルアルコール樹脂、変性ポリビニルピロリドン樹脂、変性ポリ(メタ)アクリル酸樹脂、変性セルロース樹脂、変性デンプン樹脂、及び変性ゼラチン樹脂から選ばれる少なくとも何れかであることを特徴とする請求項1に記載の非含水不溶化硬化性材料。
- 前記架橋性反応性基が、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリレート基、カルボキシル基、アミノ基、及びチオール基から選ばれる少なくとも何れかであることを特徴とする請求項1〜2の何れかに記載の非含水不溶化硬化性材料。
- 前記水溶性樹脂が、前記変性ポリエチレンオキサイド樹脂であって、(エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド・アリルグリシジルエーテル)ランダム共重合樹脂とすることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の非含水不溶化硬化性材料。
- 前記水溶性樹脂を45〜99.5重量%とし、前記重合開始剤を0.05〜15重量%とすることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の非含水不溶化硬化性材料。
- 前記重合開始剤が、ラジカル重合開始剤、又はイオン重合開始剤であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の非含水不溶化硬化性材料。
- 前記水溶性樹脂の45〜99.5重量%と、前記重合開始剤の0.05〜15重量%と、機能性付与添加剤の0.001〜54.95重量%とを含むことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の非含水不溶化硬化性材料。
- 請求項1〜7の何れかに記載の非含水不溶化硬化性材料が、活性エネルギー線及び/又は加熱で前記架橋反応により不溶化されている不溶化樹脂を有することを特徴とする非含水不溶化硬化物。
- 前記不溶化樹脂が、透湿性包装材で包装されていることを特徴とする請求項8に記載の非含水不溶化硬化物。
- 架橋性反応基を有することにより変性した、変性ポリエチレンオキサイド樹脂、変性ポリビニルアルコール樹脂、変性ポリビニルピロリドン樹脂、変性ポリ(メタ)アクリル酸樹脂、変性セルロース樹脂、変性デンプン樹脂、及び変性ゼラチン樹脂から選ばれる少なくとも何れかの水溶性樹脂と、前記水溶性樹脂の分子同士が前記架橋性反応基を介して架橋する架橋反応を起こさせる重合開始剤とを混合する、非含水不溶化硬化性材料の調製工程と、
非含水不溶化硬化性材料に活性エネルギー線処理及び/又は加熱処理を施して、前記架橋反応により不溶化する、不溶化樹脂への硬化工程とを、有することを特徴とする非含水不溶化硬化物の製造方法。
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-
2014
- 2014-10-31 JP JP2014223562A patent/JP2016089000A/ja active Pending
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