JPWO2018179864A1 - ガス吸着材料及びその製造方法、並びに、包装材料 - Google Patents

ガス吸着材料及びその製造方法、並びに、包装材料 Download PDF

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Abstract

ガス吸着材料は、ポリマー層、非晶質シリカと、ガス吸着剤と、水溶性樹脂とを含み、かつ空隙を有するガス吸着層、及び、ガスバリア層をこの順に有する。また、上記ガス吸着材料の製造方法、及び、上記ガス吸着材料を用いた包装材料が提供される。

Description

本開示は、ガス吸着材料及びその製造方法、並びに、包装材料に関する。
食品や医薬品等の商品は、包装内の商品を酸素による酸化から保護するため、また、商品から生じる臭いや外部より混入する臭いを抑制するため、酸素吸着剤や脱臭剤が入った小袋等を包装内に同梱することが一般的に行われている。この包装は、商品を袋状包装材に投入し、更に上記小袋を投入し、そして袋状包装材を密封することにより行われる。上記小袋を投入する工程は、通常自動化されているものの、包装工程を煩雑にし、商品によっては手作業となることがあり、面倒である。更に、菓子類等の食品では、酸素吸着剤や脱臭剤が食品に同封されることになるので、酸素吸着剤や脱臭剤が誤って食品に混入されたり、誤飲されたりする恐れもある。
従来の脱臭剤としては、Cu、Zn、Al、Fe、Ag、Mg、Ni、Mn及びCoから選ばれる元素の水溶性金属塩を、平均細孔径が5〜50nmで、細孔容積が0.5〜2.0ml/gで且つ平均粒子径が0.01〜2mmであるシリカゲルに含有させてなることを特徴とする脱臭剤(特開平7−185324号公報参照)が知られている。
また、従来の吸湿材料としては、透湿性を有するポリマー層、平均2次粒子径が10μm以下である非晶質シリカと水溶性樹脂と吸湿剤とを含む多孔構造を有するガス吸着層、及びガスバリア層をこの順に有する吸湿材料(特開2014−237121号公報参照)が知られている。
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、ガス吸着性能に優れ、透明性が高いガス吸着材料及びその製造方法、並びに、包装材料を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> ポリマー層、非晶質シリカと、ガス吸着剤と、水溶性樹脂とを含み、かつ空隙を有するガス吸着層、及び、ガスバリア層をこの順に有するガス吸着材料。
<2> 上記ガス吸着層の厚みが、20μm〜50μmである上記<1>に記載のガス吸着材料。
<3> 上記ガス吸着層の空隙率が、45%〜85%である上記<1>又は<2>に記載のガス吸着材料。
<4> 上記ガス吸収剤が、還元性有機化合物、水溶性金属塩、酸性リン酸塩、及び、カキノキ科植物抽出液よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載のガス吸着材料。
<5> 上記ガス吸着層中の空隙の平均細孔径が、40nm以下である上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載のガス吸着材料。
<6> 上記非晶質シリカが、気相法シリカ及び湿式シリカのうちの少なくとも一方である上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載のガス吸着材料。
<7> 上記非晶質シリカが、平均2次粒子径が10μm以下の湿式シリカである上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載のガス吸着材料。
<8> 上記非晶質シリカが、平均1次粒子径が10nm以下の気相法シリカである上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載のガス吸着材料。
<9> 上記水溶性樹脂が、けん化度が99%以下であり、かつ重合度が1,500以上であるポリビニルアルコールである上記<1>〜<8>のいずれか1つに記載のガス吸着材料。
<10> 上記ガス吸着層に、架橋剤としてホウ酸を含有する上記<1>〜<9>のいずれか1つに記載のガス吸着材料。
<11> 上記ガス吸着層における上記水溶性樹脂の含有量に対する上記非晶質シリカの含有量の質量比が、非晶質シリカ/水溶性樹脂の比で1.5/1〜10/1である上記<1>〜<10>のいずれか1つに記載のガス吸着材料。
<12> 上記ガスバリア層と上記ガス吸収層との間に、厚みが3g/m〜15g/mの接着層を有する上記<1>〜<11>のいずれか1つに記載のガス吸着材料。
<13> 上記<1>〜<12>のいずれか1つに記載の1つ又は複数のガス吸着材料を含み、上記1つのガス吸着材料Aのポリマー層の一部とガス吸着材料Aの他の一部とが接着された接着部位、又は、上記複数のガス吸着材料から選ばれる第1のガス吸着材料のポリマー層の一部と上記第1のガス吸着材料とは異なる第2のガス吸着材料の一部とが接着された接着部位を有する包装材料。
<14> ポリマー層及びガスバリア層のいずれか一方の上に、非晶質シリカと水溶性樹脂とを含む塗布液の塗布によりガス吸着準備層を形成する工程と、
上記ガス吸着準備層にガス吸着剤を含む溶液を付与し、ガス吸着層を形成する工程と、
上記ガス吸着層の上に、上記ポリマー層及び上記ガスバリア層の他方を積層する工程と、を含む
ガス吸着材料の製造方法。
本発明の実施形態によれば、ガス吸着性能に優れ、透明性が高いガス吸着材料及びその製造方法、並びに、包装材料を提供することができる。
本開示に係るガス吸着材料の積層構造の一例を示す概略断面図である。 ガス吸着材料を折り返し、折り返し部以外の3辺を接着して、袋状にした包装材料の一例を示す斜視図である。 第1のガス吸着材料と第2のガス吸着材料との対応する各4辺を接着して、袋状にした包装材料の一例を示す斜視図である。 本開示に係る包装材料の一例を示す概略断面図である。 袋状にした包装材料の接着部位の断面を拡大した図である。 本開示に係る包装材料の他の一例を示す概略断面図である。
以下、本開示のガス吸着材料及びその製造方法、並びに、これらを用いた包装材料について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではない。
本明細書において「全固形分」とは、組成物の全組成から溶剤を除いた成分の総質量をいう。また、「固形分」とは、上述のように、溶剤を除いた成分であり、例えば、25℃において固体であっても、液体であってもよい。
なお、本願明細書において、数値範囲を示す「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本開示における各図面において、同一の符号を用いて示される構成要素は、同一の構成要素であることを意味する。
また、本願明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの両方を包含する概念で用いられる語であり、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの両方を包含する概念として用いられる語である。
また、本明細書中の「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。 また、本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
更に、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
<ガス吸着材料>
本開示に係るガス吸着材料は、ポリマー層、非晶質シリカと、ガス吸着剤と、水溶性樹脂とを含み、かつ空隙を有するガス吸着層、及び、ガスバリア層をこの順に有する。
本開示におけるガス吸着材料は、必要に応じて接着層などの他の層を含んでもよい。
本開示に係るガス吸着材料の作用は明確ではないが、以下のように推定している。
本開示に係るガス吸着材料は、非晶質シリカと水溶性樹脂とガス吸着剤とを含むガス吸着層が空隙を有し、空隙を形成している非晶質シリカ表面にガス吸着剤が吸着した状態となることで、ガス吸着剤のガス吸着容量に加え、表面積の広いガス吸着層の空隙内にもガスを保持することができる。これにより、ガスが吸着可能な表面を広く確保することが可能になり、ガス吸着性能に優れると考えられる。また、非晶質シリカがガス吸着層に分散されていることで、ガス吸着材料の透明性を高く維持することができるため、ガス吸着材料としてガス吸着性能と透明性とを両立することができるものと考えられる。
−ガス吸着層−
本開示におけるガス吸着層は、非晶質シリカと、ガス吸着剤と、水溶性樹脂とを含み、かつ空隙を有する。
また、ガス吸着層は、架橋剤を更に含んでもよい。また、ガス吸着層は、必要に応じて、分散剤や界面活性剤などの他の成分を含んでもよい。
ガス吸着層は、層の厚みやガス吸着剤の種類を変えることで、吸着するガスの種類や、ガス吸着速度を制御することが可能であり、また積層した際の層間の貼り合せに用いられる接着層の厚みや接着剤の種類を変えることで、ガス吸着速度を制御することも可能である。
(ガス吸着剤)
本開示におけるガス吸着層は、ガス吸着剤を含む。
ガス吸着剤としては、種々のガスのうち、用途に応じ、少なくとも1種を吸着するガス吸着剤であればよい。
本開示に係るガス吸着材料が吸着するガスとしては、特に制限はないが、酸素、硫黄系気体、含窒素化合物、アルデヒド類、及び、脂肪酸類よりなる群から選ばれた少なくとも1種のガスが好ましく挙げられる。
ガス吸着剤としては、ガス吸着性能及び透明性の観点から、還元性有機化合物、水溶性金属塩、酸性リン酸塩、及び、カキノキ科植物抽出液よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
還元性有機化合物としては、エリソルビン酸、グアヤク脂、アスコルビン酸、グリセリン、カテコール、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、DL−α−トコフェロール(ビタミンE)、ノルジヒドログアヤレチック酸、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸、及び、これらの塩等が挙げられる。また、塩としては、特に制限はないが、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。中でも、アルカリ金属塩が好ましい。
これらの中でも、還元性有機化合物としては、ガス吸着性能及び透明性の観点から、エリソルビン酸塩が好ましく、エリソルビン酸ナトリウムが特に好ましい。
また、これら還元性有機化合物は、酸素の吸着性に優れる。
水溶性金属塩としては、硫黄系気体、特に硫化水素に対する吸着性の観点から、Cu、Zn、Al、Fe、Ag、Mg、Ni、Mn及びCoよりなる群から選ばれる元素の水溶性塩が好ましく挙げられ、Cu、Fe、Ag、Ni、Mn及びCoよりなる群から選ばれる元素の水溶性塩がより好ましく挙げられる。
ここで水溶性とは、20℃の水に対する溶解度が5質量%以上であることをいう。
水溶性塩には、塩化物、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩などが挙げられる。
水溶性金属塩の具体例としては、硫酸銅、塩化銅、硝酸銅、酢酸銅などの銅塩;硫酸亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛などの亜鉛塩;硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウムなどのアルミニウム塩;硝酸銀、酢酸銀などの銀塩;硫酸第一鉄、塩化第一鉄、硝酸第二鉄などの鉄塩;硫酸ニッケル、塩化ニッケル、硝酸ニッケルなどのニッケル塩;硫酸マンガン、塩化マンガン、硝酸マンガンなどのマンガン塩;硫酸コバルト、塩化コバルト、硝酸コバルト、酢酸コバルトなどのコバルト塩;硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウムなどのマグネシウム塩;等が挙げられる。
これらの水溶性金属塩のうち、硫化水素、メルカプタン類等の硫黄系気体に対する吸着性の観点から、銅塩が好ましい。また、この銅塩に亜鉛塩、アルミニウム塩又は銀塩を組み合わせたものも好ましい。
酸性リン酸塩としては、含窒素化合物の吸着性の観点から、例えば、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素リチウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素バリウム、リン酸二水素亜鉛等のリン酸二水素塩、リン酸水素アンモニウムナトリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸水素ストロンチウム、リン酸水素バリウム等のリン酸水素塩、酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウムなどの酸性ピロリン酸塩、リン酸ジルコニウム、リン酸チタン、リン酸セリウム等の4価金属の酸性リン酸塩が好ましく挙げられる。
酸性リン酸塩は、空気中のアミン、アンモニアなどの塩基性物質の捕捉に有効である。また、酸性リン酸塩が吸着する含窒素化合物としては、例えば、アミノピリジン、エチルピリジン、ピコリン、ルチジン、ニコチン、ニコチンアミド、キノリン等のピリジン誘導体;シトシン、チミン、ウラシル、ピリミジン等のピリミジン系化合物;イミダゾール、イミダゾリン、ヒスチジン等のイミダゾール系化合物;トリアジン、メラミン等のトリアジン系化合物;トルイジン、ナフチルアミン、アミノジフェニル等の芳香族アミン系化合物等が挙げられる。
カキノキ科植物抽出液としては、例えば、カキ Diospyros kaki、マメガキ Diospyros lotus、アブラガキ Diospyros oleifera、アメリカガキ Diospyros virginianaなどのカキノキ科の植物の果実、葉、枝、幹、根などから抽出した液を用いることができる。
カキノキ科植物抽出液は、その採取を目的として、カキノキ科の植物の果実、葉、枝、幹、根などから抽出することができ、あるいは、落果した果実、干し柿製造の際に発生する果実の皮、柿渋製造の際に発生する絞りかす、柿の木の整枝や剪定の際に発生する余剰の枝葉などを利用し、抽出することもできる。
カキノキ科植物抽出液は、必要に応じて、カキノキ科植物抽出物に加えて、多糖類、アミノ酸、無機塩類、有機酸などを加えて使用することができる。
カキノキ科植物抽出液は、各種のフラボン誘導体を含有し、フラボン誘導体が有する多数のフェノール性ヒドロキシル基によって悪臭成分と結合し、悪臭成分を吸着するものと考えられ、特にアルデヒド類と脂肪酸類との脱臭(吸着)に有効である。
これらの中でも、ガス吸着剤としては、ガス吸着性能及び透明性の観点から、エリソルビン酸、グアヤク脂、アスコルビン酸、グリセリン、カテコール、ジブチルヒドロキシトルエン、dl−α−トコフェロール(ビタミンE)、ノルジヒドログアヤレチック酸、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸、これらの塩;Cu、Fe、Ag、Ni、Mn及びCoよりなる群から選ばれる元素の水溶性塩;リン酸二水素塩、リン酸水素塩、酸性ピロリン酸塩、4価金属の酸性リン酸塩;及びカキノキ科植物抽出物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましく挙げられ、エリソルビン酸ナトリウム、水溶性銅塩、酸性ピロリン酸塩、4価金属の酸性リン酸塩、及び、カキノキ科植物抽出物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物がより好ましく挙げられる。
ガス吸着層は、ガス吸着剤を1種単独で含んでいても、2種以上を含んでいてもよい。
上記ガス吸着層におけるガス吸着剤の含有量は、ガス吸着性能及び透明性の両立の観点から、1g/m〜20g/mが好ましく、2.5g/m〜15g/mがより好ましく、5g/m〜13g/mが特に好ましい。
また、本開示に係るガス吸着材料は、上記ガス吸着層を2層以上有していてもよく、各ガス吸着層のガス吸着剤は、用途に応じ、同じであっても、異なっていてもよい。また、上記ガス吸着剤の含有量は、2層以上ガス吸着層を有する場合、各層毎において上記範囲を満たしていることが好ましい。
(非晶質シリカ)
本開示におけるガス吸着層は、非晶質シリカを含む。
非晶質シリカとは、SiOの三次元構造が形成された多孔性の不定形粒子のことであり、一般には製造法によって湿式法粒子と乾式法(気相法)粒子とに大別される。非晶質シリカとしては、例えば、乾式法により得られる気相法シリカ、及び、湿式法により得られる湿式シリカ等の合成非晶質シリカなどが挙げられる。
上記ガス吸着層における非晶質シリカは、ガス吸着性能及び透明性の観点から、気相法シリカ及び湿式シリカのうちの少なくとも一方であることが好ましい。
−気相法シリカ−
気相法シリカとは、ケイ素塩化物を気化し、高温の水素炎中において気相反応させることで合成されるシリカ(シリカ粒子)である。
気相法シリカは、屈折率が低いので、適切な粒子径まで分散を行うことでガス吸着層に透明性を付与することができる。このようにガス吸着層が透明であるということは、包装の内容物の視認が可能であり、また、インジケータ機能などを付与することができるという観点より重要である。
また、気相法シリカは、含水シリカとは表面のシラノール基の密度、空孔の有無等に相違があり、異なった性質を示すが、空隙率が高い三次元構造を形成するのに適している。この理由は明らかではないが、含水シリカの場合には、粒子表面におけるシラノール基の密度が5個/nm〜8個/nmと多く、シリカ粒子が密に凝集(アグリゲート)し易く、一方、気相法シリカの場合には、粒子表面におけるシラノール基の密度が2個/nm〜3個/nmと少ないことから疎な軟凝集(フロキュレート)となり、その結果、空隙率が高い多孔構造になるものと推定される。
ガス吸着層に含まれる気相法シリカとしては、表面におけるシラノール基の密度が2個/nm〜3個/nmである気相法シリカが好ましい。
ガス吸着層に含まれる気相法シリカの平均1次粒子径には特に限定はないが、ガス吸着層の透明性の観点から、20nm以下が好ましく、10nm以下がより好ましい。また、下限値は、1nm以上であることが好ましい。
ガス吸着層に含まれる気相法シリカの平均2次粒子径は、ガス吸着層の透明性の観点から、10μm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、25nm以下であることが更に好ましい。また、下限値は、1nm以上であることが好ましい。
また、ガス吸着層の透明性の観点から、2次粒子径分布は均一であることが好ましく、標準偏差として10nm以下であることが好ましく、8nm以下であることがより好ましく、5nm以下であることが特に好ましい。
気相法シリカの平均2次粒子径が10μm以下であると、透明性、視認性に優れる。
本開示における平均1次粒子径とは、透過型電子顕微鏡で観察し、100個の粒子について、それぞれ投影面積を求めてその面積に等しい円を仮定したときの直径を求め、100個の粒子の直径を単純平均して求めた一次粒子の平均径をいう。
また、本開示における平均2次粒子径とは、走査型電子顕微鏡で観察し、100個の凝集粒子について、それぞれ投影面積を求めてその面積に等しい円を仮定した場合の直径を求め、100個の凝集粒子の直径を単純平均して求めた2次粒子の平均径をいう。
気相法シリカの例としては、AEROSIL(日本アエロジル(株)製)、レオロシール(トクヤマ(株)製)、WAKER HDK(旭化成(株)製)、CAB−O−SIL(CABOT社製)などを挙げることができ、AEROSIL300SF75(日本アエロジル(株)製)が好ましい。
−湿式シリカ−
湿式シリカは、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させて凝集沈降させて得られる含水シリカである。
湿式シリカは、製造方法により沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカは、珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集及び沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕及び分級の工程を経て得られる。沈降法シリカの例としては、東ソー・シリカ(株)製のニップシール、トクヤマ社製のトクシールが挙げられる。また、ゲル法シリカは、珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて得られ、具体例として、東ソー・シリカ(株)製のニップゲル、グレースジャパン社製のサイロイド、サイロジェットが挙げられる。
ガス吸着層に含まれる湿式シリカの平均2次粒子径は、ガス吸着層の透明性の観点から、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることが更に好ましい。また、下限値は、10nm以上であることが好ましい。
湿式シリカの平均2次粒子径が20μm以下であると、透明性に優れる。
ガス吸着層に含まれる非晶質シリカのBET法による比表面積は、200m/g以上が好ましく、250m/g以上がより好ましい。また、上限値は、2,000m/g以下であることが好ましい。非晶質シリカの比表面積が200m/g以上であることで、ガス吸着層の透明性を高く保つことが可能である。
本開示でいうBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、すなわち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、又は容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer Emmett Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。
ガス吸着層は、非晶質シリカを、1種単独で含んでいても、2種以上を含んでいてもよい。
非晶質シリカのガス吸着層中における含有量は、ガス吸着性能及び透明性の観点から、ガス吸着層の全固形分に対して、20質量%〜80質量%が好ましく、30質量%〜70質量%がより好ましい。
本開示のガス吸着層において、気相法シリカの2次粒子径を実現するための分散手段として、分散剤を添加することが好ましく、例えば、カオチン性のポリマーを用いることができる。カオチン性のポリマーとしては、特開2006−321176号公報の段落0138〜0148に記載の媒染剤の例などが挙げられる。
また、上記非晶質シリカの2次粒子径を実現するための分散方法としては、例えば、高速回転分散機、媒体撹拌型分散機(ボールミル、サンドミル、ビーズミルなど)、超音波分散機、コロイドミル分散機、高圧分散機など、従来公知の各種分散機を用いることができるが、その中でもビーズミル分散機、液液衝突型分散機が好ましく、液液衝突型分散機がより好ましい。液液衝突型分散機としては、例えば、アルティマイザー((株)スギノマシン製)が挙げられる。
(水溶性樹脂)
ガス吸着層は、水溶性樹脂を含む。
水溶性樹脂の含有により、非晶質シリカがより好適に分散された状態で含有され、層強度がより向上したものとなる。
本開示における水溶性樹脂とは、加熱又は冷却工程を経て、最終的に20℃の水100gに対して0.05g以上溶解するものをいい、好ましくは0.1g以上溶解する樹脂のことをいう。
本開示における水溶性樹脂としては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシ基を有する樹脂であるポリビニルアルコール系樹脂〔ポリビニルアルコール(PVA)、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール等〕、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等〕、キチン類、キトサン類、デンプン、エーテル結合を有する樹脂〔ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE)等〕、カルバモイル基を有する樹脂〔ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸ヒドラジド等〕等が挙げられる。また、解離性基としてカルボキシル基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等も挙げることができる。
水溶性樹脂の中でも、ガス吸着層の膜強度及びガス吸着性能の観点から、ポリビニルアルコール系樹脂が好ましく、ポリビニルアルコールがより好ましく、けん化度が99%以下であり、かつ重合度が1,500以上であるポリビニルアルコールであることが特に好ましい。
水溶性樹脂の重合度としては、1,500以上が好ましく、2,000以上がより好ましく、3,300以上が更に好ましい。また、重合度は、4,500以下が好ましい。
中でも、ガス吸着層の膜強度の観点から、水溶性樹脂がポリビニルアルコール系樹脂であって、ポリビニルアルコール系樹脂の重合度が1,800以上であることが好ましく、ポリビニルアルコール系樹脂の重合度が2,000以上であることがより好ましく、更には、ポリビニルアルコール系樹脂の重合度が2,400以上であることが好ましい。また、ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、4,500以下がより好ましい。
また、水溶性樹脂のけん化度としては、99%以下が好ましく、95%以下がより好ましく、90%以下が更に好ましい。また、けん化度は、70%以上が好ましく、78%以上がより好ましく、85%以上が更に好ましい。
中でも、ガス吸着層の透明性の観点から、水溶性樹脂がポリビニルアルコール系樹脂であって、ポリビニルアルコール系樹脂のけん化度が70%以上99%以下であることが好ましく、ポリビニルアルコール系樹脂のけん化度が78%以上99%以下であることがより好ましく、ポリビニルアルコール系樹脂のけん化度が85%以上99%以下であることが更に好ましい。
水溶性樹脂のけん化度が70%以上であると、実用上水溶性を保つのに適している。
更には、水溶性樹脂がポリビニルアルコールであることが好ましく、この場合のけん化度、重合度は以下の範囲であることが好ましい。すなわち、
ポリビニルアルコールの架橋剤としてホウ酸を用いる場合は、ポリビニルアルコールのけん化度は78%〜99%の範囲が好ましく、また、重合度は1,500〜4,500の範囲が好ましく、2,400〜3,500の範囲がより好ましい。
一方、ポリビニルアルコールの架橋剤を用いない場合は、ポリビニルアルコールはけん化度が低く高重合度であることが、架橋剤を用いた場合と同等の多孔構造を形成できる点で好ましい。具体的には、ポリビニルアルコールのけん化度は78%〜99%の範囲が好ましく、ポリビニルアルコールの重合度は2,400〜4,500の範囲が好ましい。
水溶性樹脂は、上記の具体例の誘導体も含まれ、ガス吸着層に含有される水溶性樹脂は1種単独でもよいし、2種以上を併用してもよい。
ガス吸着層における水溶性樹脂の含有量(2種以上を併用する場合はその合計量)は、含有量の過少による、膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止すると共に、含有量の過多によって空隙が樹脂により塞がれ易くなり、空隙率が減少することでガス吸着性能が低下することを防止する観点から、ガス吸着層の全固形分に対して、4.0質量%〜16.0質量%が好ましく、6.0質量%〜14.0質量%がより好ましい。
また、水溶性樹脂をポリビニルアルコールとし、ポリビニルアルコールの架橋剤としてホウ酸を用いる場合、ポリビニルアルコールのガス吸着層における含有量は、非晶質シリカの量に対して、10質量%〜60質量%が好ましく、15質量%〜30質量%がより好ましい。水溶性樹脂をポリビニルアルコールとし、ポリビニルアルコールの架橋剤を用いない場合、ポリビニルアルコールのガス吸着層における含有量は、非晶質シリカの量に対して、25質量%〜60質量%の範囲が好ましい。
水溶性樹脂は、その構成単位に水酸基を有するが、この水酸基と非晶質シリカ表面のシラノール基とが水素結合を形成して、非晶質シリカの2次粒子を鎖単位とする三次元網目構造を形成し易くする。このような三次元網目構造の形成によって、空隙率の高いガス吸着層を形成し得ると考えられる。得られたガス吸着層は、ガス吸着剤に応じたガスを吸着し保持する層として機能すると推定される。
(架橋剤)
本開示におけるガス吸着層には、架橋剤の少なくとも一種を含有することができる。ガス吸着層は、水溶性樹脂(例えばポリビニルアルコール)の架橋反応によって硬化された多孔構造を有する態様が好ましい。
架橋剤としては、ガス吸着層に含まれる水溶性樹脂との関係で好適なものを適宜選択すればよいが、中でも、ホウ素化合物は、架橋反応が迅速である点で好ましく、ホウ素化合物の例として、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩(例えば、オルトホウ酸塩、InBO、ScBO、YBO、LaBO、Mg(BO、Co(BO、二ホウ酸塩(例えば、Mg、Co)、メタホウ酸塩(例えば、LiBO、Ca(BO、NaBO、KBO)、四ホウ酸塩(例えば、Na・10HO)、五ホウ酸塩(例えば、KB・4HO、Ca11・7HO、CsB)等を挙げることができる。
ホウ素化合物の中では、より速やかに架橋反応を進行させ、膜強度を向上させることができる点で、ホウ砂、ホウ酸、又は、ホウ酸塩が好ましく、ホウ酸が特に好ましく、水溶性樹脂として好適に用いられるポリビニルアルコール系樹脂とホウ酸とを組合せて使用することが最も好ましい。
一方、環境適性の観点からは、ホウ酸を含まない構成にしてもよい。
ガス吸着層では、架橋剤が、水溶性樹脂4.0質量%〜16.0質量%に対して、0.15質量%〜5.80質量%の範囲で含有されることが好ましく、0.75質量%〜3.50質量%の範囲で含有されることがより好ましい。架橋剤の含有量が上記範囲であると、水溶性樹脂を効果的に架橋し、ひび割れ等が防止される。
水溶性樹脂としてゼラチンを用いる場合などは、ホウ素化合物以外の下記化合物も架橋剤(以下、「他の架橋剤」ともいう。)として用いることができる。
他の架橋剤としては、例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N'−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;メラミン樹脂(例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン);エポキシ樹脂;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;米国特許第3017280号明細書、同第2983611号明細書に記載のアジリジン系化合物;米国特許第3100704号明細書に記載のカルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;乳酸チタン、硫酸アルミ、クロム明ばん、カリ明ばん、酢酸ジルコニル、酢酸クロム等の金属含有化合物、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、オキサゾリン基を2個以上含有する低分子又はポリマー等である。他の架橋剤は、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本開示におけるガス吸着層の厚みは、ガス吸着性能及び透明性の両立の観点から、20μm〜50μmが好ましく、25μm〜45μmがより好ましく、30μm〜45μmが特に好ましい。ガス吸着層の厚みが上記範囲であると、ガス吸着性能及び透明性により優れる。
本開示におけるガス吸着層の空隙率は、45%〜85%が好ましく、50%〜80%がより好ましく、55%〜75%が特に好ましい。ガス吸着層の空隙率が45%以上であると、ガス吸着性能により優れ、また、ガス吸着層の空隙率が85%以下であると、膜強度の低下防止、及び、乾燥時のひび割れを抑制することができる。
空隙率の測定方法の例としては、水銀圧入法又はガス吸着層をジエチレングリコール等の有機溶剤に浸漬させてその質量変化から空隙容量を測定し、ガス吸着層の厚みを断面の顕微鏡観察により測定し算出する方法が挙げられる。
本願発明におけるガス吸着層は、厚みが20μm〜50μmであり、かつ、空隙率が45%〜85%であることが好ましい。
本開示におけるガス吸着層の平均細孔径は、ガス吸着性能の観点から、40nm以下であることが好ましく、30nm以下がより好ましく、25nm以下が特に好ましい。また、下限値は、1nm以上であることが好ましい。ガス吸着層の平均細孔径が40nm以下であると十分な透明性が得られる。
平均細孔径は、島津オートポア9220((株)島津製作所製)を用いて水銀圧入法により測定される値である。
−ガス吸着層における非晶質シリカと水溶性樹脂との含有比−
本開示のガス吸着層において、非晶質シリカ(x)と水溶性樹脂(y)との含有比〔PB比(x/y)、水溶性樹脂1質量部に対する非晶質シリカの質量〕は、ガス吸着層の層構造にも大きな影響を与える場合がある。すなわち、PB比が大きくなると、空隙率や細孔容積が大きくなる。
具体的には、ガス吸着層のPB比(x/y)としては、PB比が大き過ぎることに起因する層強度の低下や乾燥時のひび割れを防止し、かつPB比が小さ過ぎることによって、空隙が樹脂により塞がれ易くなり、空隙率が減少することでガス吸着性能が低下するのを防止する観点から、1.5/1〜10/1が好ましい。また、PB比は、膜強度の低下や乾燥時のひび割れの抑制効果をより効果的に高める観点から、2/1〜8/1がより好ましい。
また、包装材料として使用される場合、内容物を保護する観点から、ガス吸着層は充分な膜強度を有していることが必要である。更にフィルムに裁断加工する場合、ガス吸着層の割れ及び剥がれ等を防止する上でも、ガス吸着層には充分な膜強度が必要である。このような観点より、ガス吸着層のPB比(x/y)としては10/1以下が好ましい。
具体的なガス吸着層のPB比(x/y)としては、例えば、1.7/1、2.5/1、5/1などが挙げられるが、無論これらに限定されるものではない。
例えば、平均1次粒子径が10nm以下の気相法シリカと高けん化ポリビニルアルコールとをPB比(x/y)が1.5/1〜10/1で水溶液中に完全に分散した塗布液を支持体上に塗布し、塗布層を乾燥した場合、シリカ粒子の2次粒子を鎖単位とする三次元網目構造が形成され、平均細孔径が20nm以下、空隙率が45%〜85%、透明性の高い多孔構造を有する膜を容易に形成することができる。
−ポリマー層−
本開示におけるガス吸着材料は、ポリマー層を有する。
また、ポリマー層は、ガス吸着層にて吸着するガスを透過可能であることが好ましい。
ポリマー層は、少なくともポリマーを含み、必要に応じて他の成分を含んでもよい。
ポリマーの種類としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリアクリロニトリル(PAN)等が挙げられる。特に汎用性の点でLLDPE、CPPが好ましく、CPPがより好ましい。
ポリマー層の厚みは、20μm〜100μmが好ましく、25μm〜80μmがより好ましい。
ポリマー層の厚みが上記の範囲であると、ガス吸着材料全体のハンドリング性と、包装材料等とした場合の取り扱い性と、をより高いレベルで両立することができる。
本開示におけるポリマー層は、材質又は厚みにより、ガス吸着層へのガス吸着速度を制御することができる。
本開示のガス吸着材料を包装材料として用いる場合、ポリマー層を接着部位とすることができる。
−ガスバリア層−
本開示におけるガス吸着材料は、ガスバリア層を有する。
本開示におけるガスバリア層は、ガス吸着層にて吸着するガスの透過が上記ポリマー層よりも少ない層であることが好ましい。
ガスバリア層としては、1つの材料を用いてもよく、2以上の材料を積層したものを用いてもよい。ガスバリア層として、例えば、あらかじめ金属が蒸着された材料を用いてもよい。
ガスバリア層を形成する材料は、ガスバリア性の観点から、シリカ蒸着フィルム、又はアルミナ蒸着フィルムを用いることが好ましい。また、ガスバリア性が高いアルミ箔やアルミ蒸着フィルムを用いてもよい。市販品を用いてもよく、市販品の例としては、三菱樹脂(株)製のテックバリアMX(シリカ蒸着PET)、東レ(株)製のバリアロックス(アルミナ蒸着PET)等が挙げられる。
ガスバリア層の厚みは、ガスバリア性の観点から、6μm〜120μmが好ましく、6μm〜100μmがより好ましい。
−接着層−
本開示におけるガス吸着材料は、接着層を有してもよい。
接着層は、密着性の観点から、上記ガスバリア層と上記ガス吸着層との間に有していることが好ましい。
接着層に用いる接着剤の種類は特に限定されないが、例えばウレタン樹脂系、ポリエステル系、アクリル樹脂系、エチレン酢酸ビニル樹脂系、ポリビニルアルコール系、ポリアミド系、シリコーン系が挙げられ、接着強度の観点からウレタン樹脂系接着剤が好ましい。
接着層には、少なくとも1種のウレタン樹脂系接着剤が含まれることが好ましく、他の1つ以上の接着剤を併用してもよい。
接着層の厚みは、接着強度及び包装材料等とした場合の取り扱い性の観点から、3g/m〜15g/mであることが好ましく、3g/m〜10g/mであることがより好ましい。接着層の厚みが上記範囲であると、接着強度と包装材料等とした場合の取り扱い性とをより高いレベルで両立することができる。
本開示のガス吸着材料は、例えば、図1に示すように、ポリマー層16と、ガス吸着層15と、ガスバリア層13と、をこの順に積層したものでもよく、更にガス吸着層15とガスバリア層13との間に接着剤を付与して接着層を介して構成されていてもよい。
<ガス吸着材料の製造方法>
本開示に係るガス吸着材料の製造方法は、特に制限はないが、ポリマー層及びガスバリア層のいずれか一方の上に、非晶質シリカと水溶性樹脂とを含む塗布液の塗布によりガス吸着準備層を形成する工程と、上記ガス吸着準備層にガス吸着剤を含む溶液を付与し、ガス吸着層を形成する工程と、上記ガス吸着層の上に、上記ポリマー層及び上記ガスバリア層の他方を積層する工程と、を含むことが好ましい。
非晶質シリカを用いて空隙を有するガス吸着準備層において、ガス吸着剤が付与されることにより、ガス吸着剤は非晶質シリカ表面に吸着した状態が形成され、ガス吸着層が形成される。これにより、ガス吸着表面を広く確保することが可能になり、ガス吸着速度が高く、ガス吸着容量の大きいものとなり、また、透明性も付与され、本開示に係るガス吸着材料は、光透過性(すなわち材料を通しての視認性)を有するものとなる。
−ガス吸着準備層形成工程−
本開示に係るガス吸着材料の製造方法は、ポリマー層及びガスバリア層のいずれか一方の上に、非晶質シリカと水溶性樹脂とを含む塗布液の塗布によりガス吸着準備層を形成する工程(ガス吸着準備層形成工程)を含むことが好ましい。
塗布液は、非晶質シリカ、水溶性樹脂、及び必要に応じて分散剤や水、架橋剤などの多の成分を混合し、分散処理することで調製することができる。
例えば、顔料である気相法シリカ粒子と分散剤とを水中に添加し、高速回転湿式コロイドミル(例えばエム・テクニック(株)製のクレアミックス)や液液衝突型分散機(例えばスギノマシン社製のアルティマイザー)を用いて、例えば、10,000rpm(好ましくは5,000〜20,000rpm)の高速回転条件下、所定の時間(好ましくは10〜30分間)かけて分散させた後、架橋剤(例えばホウ酸)、水溶性樹脂(好ましくはポリビニルアルコール水溶液)を加え、更に必要に応じて他の成分を加えて、上記と同様の回転条件下、分散させることで調製することができる。
得られる塗布液は、均一性の高いゾル状の液であり、塗布液を公知の塗布法により支持体(ポリマー層及びガスバリア層のいずれか一方)上に塗布し乾燥させることにより、三次元網目構造を有する多孔構造のガス吸着層を形成することができる。
また、非晶質シリカと分散剤を含有する水分散物の調製は、非晶質シリカ水分散液をあらかじめ調製し、この水分散液を分散剤水溶液に添加してもよいし、分散剤水溶液を非晶質シリカ水分散液に添加してよいし、同時に混合してもよい。また、非晶質シリカ水分散液ではなく、粉体の非晶質シリカを用いて上記のように分散剤水溶液に添加してもよい。
非晶質シリカと分散剤とを混合した後、得られた混合液を分散機で細粒化することで、平均粒子径20nm〜5,000nmの水分散液を容易に得ることができる。
分散機としては、高速回転分散機、媒体撹拌型分散機(ボールミル、サンドミルなど)、超音波分散機、コロイドミル分散機、高圧分散機等、従来公知の各種の分散機を使用することができる。中でも、撹拌型分散機、コロイドミル分散機、高圧分散機が好ましい。
塗布液の調製には、溶媒を用いることができる。溶媒の例として、水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。
塗布は、例えば、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、リバースコーター等を用いた塗布法により行える。
塗布液の塗布後は、ガス吸着層は減率乾燥を示すようになるまで乾燥される。乾燥は、好ましくは40℃〜180℃で0.5分〜10分(より好ましくは0.5分〜5分)の範囲で行うことができる。
本開示に係るガス吸着材料の製造方法は、塗布液を塗布し乾燥させてガス吸着準備層を形成した後、形成されたガス吸着準備層に、塩基性化合物を含む溶液を付与してもよい。このようにすることで、良好な細孔構造を有する多孔構造が得られる。
塩基性化合物を含む溶液の付与方法としては、ガス吸着準備層上に更に塗布する方法、スプレー等の方法により噴霧する方法、塩基性化合物を含む溶液中にガス吸着準備層が形成された支持体を浸漬する方法等を挙げることができる。
塩基性化合物を含む溶液は、塩基性化合物の少なくとも1種を含有する。
塩基性化合物としては、弱酸のアンモニウム塩、弱酸のアルカリ金属塩(例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなど)、弱酸のアルカリ土類金属塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸バリウムなど)、ヒドロキシアンモニウム、第1級〜第3級アミン(例えば、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリへキシルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミンなど)、第1級〜第3級アニリン(例えば、ジエチルアニリン、ジブチルアニリン、エチルアニリン、アニリンなど)、置換基を有してもよいピリジン(例えば、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、4−(2−ヒドロキシエチル)−アミノピリジンなど)、等が挙げられる。
また、上記の塩基性化合物とともに、他の塩基性物質及び/又はその塩を併用してもよい。他の塩基性物質としては、例えば、アンモニアや、エチルアミン、ポリアリルアミン等の第一アミン類、ジメチルアミン等の第二アミン類、N−エチル−N−メチルブチルアミン等の第三アミン類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物等が挙げられる。
上記のうち、特に弱酸のアンモニウム塩が好ましい。弱酸とは、化学便覧基礎編II(丸善株式会社)等に記載の無機酸及び有機酸でpKaが2以上の酸である。弱酸のアンモニウム塩としては、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硼酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。中でも、好ましくは炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウムであり、乾燥後において層中に残存せずインク滲みを低減できる点で効果的である。なお、塩基性化合物は、2種以上を併用することができる。
塩基性化合物(特に弱酸のアンモニウム塩)の「塩基性化合物を含む液」中における含有量は、「塩基性化合物を含む液」の全質量(溶媒を含む)に対し、0.5質量%以上10質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以上5質量%以下である。塩基性化合物(特に弱酸のアンモニウム塩)の含有量が上記の範囲内であると、硬化度が良好でアンモニア濃度が高くなり過ぎて作業環境を損なうこともない。
塩基性化合物を含む液は、必要に応じて、金属化合物、架橋剤、他の媒染剤成分、界面活性剤等を更に含有することができる。
塩基性化合物を含む液は、アルカリ溶液として用いられることで膜の硬化を促進する。塩基性化合物を含む液のpH(25℃)は、7.1以上が好ましく、より好ましくはpH8.0以上であり、更に好ましくはpH9.0以上である。pHが7.1以上であると、塗布液に含まれる水溶性樹脂の架橋反応をより促し、層のひび割れがより効果的に抑制される。
塩基性化合物を含む液は、例えば、イオン交換水に、架橋剤(例:ホウ素化合物、例えば0.1質量%〜1質量%)、及び塩基性化合物(例:炭酸アンモニウム;例えば1質量%〜10質量%)と、必要に応じて界面活性剤等の添加剤と、を添加し、攪拌することで調製することができる。
塩基性化合物を含む液を塗布によって付与する場合の塗布方法としては、ガス吸着層形成用に用いる塗布液の塗布方法と同様の方法を挙げることができる。中でも、塩基性化合物を含む溶液を塗布する場合、塗布形成された塗布層にコーターが直接接触しない方法を選択することが好ましい。
塩基性化合物を含む溶液の付与量としては、ガス吸着性能の点で、ガス吸着剤の付与量が1g/m以上20g/m以下となる量が好ましく、ガス吸着剤の付与量が3g/m以上12g/m以下となる量がより好ましい。
塩基性化合物を含む溶液の付与後は、好ましくは40℃〜180℃で0.5分〜30分間加熱され、乾燥及び硬化が行われる。中でも、40℃〜150℃で1分〜20分間加熱することがより好ましい。例えば、上記溶液がホウ素化合物としてホウ砂やホウ酸を含有する場合には、60℃〜100℃での加熱を0.5分〜15分間行うことが好ましい。
また、塩基性化合物を含む溶液は、ガス吸着準備層形成用の塗布液を塗布すると同時に付与してもよい。この場合、塗布液と塩基性化合物を含む溶液とを、塗布液が支持体と接触するようにして支持体上に同時塗布(重層塗布)し、その後、乾燥硬化させることで、多孔構造を有する層とすることができる。
同時塗布(重層塗布)は、例えば、エクストルージョンダイコーター、カーテンフローコーターを用いた塗布方法により行うことができる。同時塗布の後、形成された塗布層は乾燥されるが、この場合の乾燥は、ガス吸着準備層を好ましくは40℃〜150℃で0.5分〜10分加熱することにより行われる。より好ましくは、40℃〜100℃で0.5分〜5分加熱することで行われる。例えば、塩基性化合物を含む溶液に含有する架橋剤としてホウ砂やホウ酸を用いる場合、60℃〜100℃で5分〜20分の加熱を行うことが好ましい。
−ガス吸着層形成工程−
本開示に係るガス吸着材料の製造方法は、上記ガス吸着準備層にガス吸着剤を含む溶液を付与し、ガス吸着層を形成する工程(ガス吸着層形成工程)を含むことが好ましい。
上記のようにして、ガス吸着準備層を形成した後、この層に、ガス吸着剤を含む溶液を付与し、ガス吸着準備層の空隙内にガス吸着剤を含浸させることによりガス吸着層が形成される。
ガス吸着剤を含む溶液の付与は、ガス吸着準備層上に溶液を塗布する方法、スプレー等の方法により溶液を噴霧する方法、ガス吸着準備層を溶液中に浸漬する方法等が挙げられる。
塗布によりガス吸着剤を含む溶液を付与する場合、塗布法としては、ガス吸着層形成用に用いる塗布液の塗布方法と同様の方法を挙げることができる。
ガス吸着剤を含む溶液は、ガス吸着剤の少なくとも1種を含有し、必要に応じて、界面活性剤や溶媒等の他の成分を含んでもよい。
ガス吸着剤を含む液は、例えば、イオン交換水に、ガス吸着剤、及び必要に応じて界面活性剤等の添加剤を添加し、撹拌することで調製することができる。
ガス吸着剤を含む溶液の付与量としては、ガス吸着層のガス吸着量、ガス吸着速度の観点から、ガス吸着剤の付与量が1g/m以上20g/m以下となる量が好ましく、ガス吸着剤の付与量が3g/m以上12g/m以下となる量がより好ましい。
ガス吸着剤を含む溶液の付与後は、好ましくは40℃〜180℃で0.5〜30分間加熱され、乾燥及び硬化が行われる。中でも、40℃〜150℃で1〜20分間加熱することが好ましい。例えば、上記溶液がホウ素化合物としてホウ砂やホウ酸を含有する場合には、60℃〜100℃での加熱を0.5〜15分間行うことが好ましい。
−積層工程−
本開示に係るガス吸着材料の製造方法は、ガス吸着剤が含浸された上記ガス吸着層の上に、上記ポリマー層及び上記ガスバリア層の他方を積層する工程(積層工程)を含むことが好ましい。
例えばガスバリア層(又はポリマー層)の形成方法としては、特に制限されるものではなく、ポリマー層(又はガスバリア層)上に設けられたガス吸着層の上に、防湿性を有する材料(又は透湿性を有する材料)の貼り合せにより形成してもよい。また、防湿性を有する材料(又は透湿性を有する材料)を含む塗布液を調製し、塗布液をガス吸着層の上に塗布してガスバリア層(又はポリマー層)としてもよい。
<包装材料>
本開示におけるガス吸着材料は、包装材料として用いてもよく、包装材料の形態としては、袋状であってもよい。
包装材料として用いる場合、以下に示す態様として用いてもよい。
本開示の第1の態様に係る包装材料は、1つのガス吸着材料Aのポリマー層の一部と、ガス吸着材料Aの他の一部とが接着された接着部位を有し、ガス吸着材料を包装内部に入れる態様に形成されてもよい。
本開示の第2の態様に係る包装材料は、複数のガス吸着材料から選ばれる、第1のガス吸着材料のポリマー層の一部と、第1のガス吸着材料と異なる第2のガス吸着材料の一部とが接着された接着部位を有し、ガス吸着材料を包装内部に入れる態様に形成されてもよい。
本開示におけるガス吸着材料は、例えば図2に示すように、1枚のガス吸着材料11を折り曲げて、ガス吸着材料11のポリマー層の一部と、ガス吸着材料11の他の一部と、を接着し、袋状にして用いてもよい。この場合、図4〜図5に示されるように、1枚のガス吸着材料11を折り曲げて重なり合ったポリマー層16同士を熱圧着等により接着することで袋状に成形することができる。図2及び図4に示す接着部位12は、図5に示すような積層構造となっている。図5は、図4の接着部位12の層構成を拡大して示す拡大断面図である。
また、図3に示すように、複数のガス吸着材料から選ばれる第1のガス吸着材料21のポリマー層の一部と、第1のガス吸着材料21と異なる第2のガス吸着材料31の一部とを接着し、袋状にして用いてもよい。この場合、2枚のガス吸着材料を互いのポリマー層16が接するように重ね、一方のガス吸着材料(例えばガス吸着材料21)のガスバリア層側から熱を付与し圧着等して接着することで袋状に成形できる。
更に、包装材料の他の例として、図6に示すように、あらかじめガス吸着材料11を成形することにより、収納部となる凹部51が成形されたガス吸着材料11と、ガス吸着材料11の凹部51の開口面側における凹部非形成部でポリマー層16と接着された板状の相手基材41と、で構成された包装材料であってもよい。この場合、ガス吸着材料11のガスバリア層13側から熱を付与して圧着等することで、ガス吸着材料11と相手基材41と接着させて収容部を有する包装材料とすることができる。
具体例には、本開示の包装材料は、薬等の包装に用いられるブリスターパック(「PTP包装」ともいう。)として好適に利用される。
熱の付与は、加熱した棒や板を接触させて加熱したり、加熱圧着することによる熱板シールのほか、インパルスシール、超音波シールにより行うことができる。
以下に実施例を挙げて本発明の実施形態を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順等は、本発明の実施形態の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。したがって、本発明の実施形態の範囲は以下に示す具体例に限定されない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(実施例1)
<ガス吸着層の形成>
−ガス吸着層形成用塗布液の調製−
下記組成に示す(1)気相法シリカ1、(2)イオン交換水、(3)シャロールDC−902P、及び(4)ジルコゾールZA−30を混合し、液液衝突型分散機(アルティマイザー、(株)スギノマシン製)を用いて分散させた(この工程を適宜、シリカ分散処理と称する)、その後、得られた分散液を45℃に加熱し、20時間保持した。その後、分散液を30℃に保持し、分散液に(5)ホウ酸水溶液及び(6)ポリビニルアルコール(PVA)溶解液を加え、ガス吸着層形成用塗布液を調製した。
(ガス吸着層形成用塗布液の組成)
(1)気相法シリカ1(非晶質シリカ):8.9部
(AEROSIL300SF75、日本アエロジル(株)製、平均1次粒子径:7nm、平均2次粒子径:20nm)
(2)イオン交換水:47.3部
(3)「シャロールDC−902P」(51.5%水溶液):0.8部
(分散剤、含窒素有機カチオンポリマー、第一工業製薬(株)製)
(4)「ジルコゾールZA−30」:0.5部
(第一稀元素化学工業(株)製、酢酸ジルコニル)
(5)ホウ酸(5%水溶液):6.6部
(6)ポリビニルアルコール(水溶性樹脂)溶解液:26.0部
−ポリビニルアルコール溶解液の組成−
・JM33:1.81部
(ポリビニルアルコール;けん化度95.5%、重合度3,300、日本酢ビ・ポバール(株)製)
・HPC−SSL:0.08部
(水溶性セルロース、日本曹達(株)製)
・イオン交換水:23.5部
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル:0.55部
(ブチセノール20P、協和発酵ケミカル(株)製)
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤):0.06部
(花王(株)製、「エマルゲン109P」)
−ガス吸着層の形成−
ポリマー層として下記表1に示した厚みの直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)のシート(以下、「LLDPEシート」ともいう。)を用意した。このLLDPEシート上に、上記で得られたガス吸着層形成用塗布液をエクストルージョンダイコーターにて、塗布量が165g/mとなるように塗布した。
塗布により形成された塗布層を、熱風乾燥機にて80℃で(風速3m/秒〜8m/秒)で塗布層の固形分濃度が36%になるまで乾燥させた。乾燥させている間の塗布層は、恒率乾燥を示した。乾燥終了の直後、下記組成の塩基性化合物を含む液に3秒間浸漬し、塩基性化合物を含む液を、塗布層に13g/mを付着させた。更に、72℃の環境下で10分間乾燥させ、多孔構造を有する層を形成した。
その後、形成された層に、以下に示す組成のガス吸着剤塗布液をエクストルージョンダイコーターにより、塗布量を50g/m(ガス吸着剤(エリソルビン酸ナトリウム)付与量:7g/m)として塗布し、熱風乾燥機にて80℃(風速3m/秒〜8m/秒)で乾燥し、厚み40μmのガス吸着層を得た。
形成されたガス吸着層は、空隙率が60%であり、平均細孔径が20nmであった。
(塩基性化合物を含む液の組成)
(1)ホウ酸:0.65部
(2)炭酸アンモニウム(1級:関東化学(株)製):5.0部
(3)イオン交換水:93.75部
(4)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤):0.6部
(花王(株)製、「エマルゲン109P」)
(ガス吸着剤塗布液の組成)
(1)イオン交換水:85.4部
(2)エリソルビン酸ナトリウム(ガス吸着剤、和光純薬工業(株)製):14部
(3)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤):0.6部
(花王(株)製、「エマルゲン109P」)
−ガスバリア層の貼合−
ガスバリア層であるシリカ蒸着PET(テックバリアMX、三菱樹脂(株)製)のシリカ蒸着面に、東洋インキ(株)製の接着剤(ウレタン樹脂系接着剤:LIS−073−50U、硬化剤:CR−001)を、乾燥後の塗布量が3g/mになるように塗布し、ガス吸着層を形成した上記のポリマー層の、ガス吸着層形成面側が接着剤に接するようにして、シリカ蒸着PET上にポリマー層を重ね、ドライラミネートすることにより貼り合せた。このようにして、ガス吸着材料を得た。
得られたガス吸着材料は、LLDPEシート/ガス吸着層/接着層/(蒸着面)シリカ蒸着PETの積層構造に構成されている。
なお、下記表1において、例えば、接着剤塗布量3g/mは接着剤の厚み3μmに相当する。
−ガス吸着材料の成形−
上記で得られたガス吸着材料を、ホットプレートにより130℃で2秒間、予備加熱した後、100℃に加熱した凹凸型の間に挟み込むことにより、図6に示すように凹状の収容部が成形された成型品を作製した。
−評価−
上記のようにして得たガス吸着材料及び成型品に対して、以下の評価を行った。評価結果は、下記表1に示す。
<平均細孔径>
平均細孔径の測定は、島津オートポア9220((株)島津製作所製)を用いて水銀圧入法により行った。
<粒子径の測定>
得られたガス吸着層の表面を電子顕微鏡(JEM2100、日本電子(株)製)にて観察し、表面の任意の位置にある100個のシリカ粒子について、それぞれその投影面積を求めてその面積に等しい円を仮定したときの、個々の粒子の直径を求め、100個のシリカ粒子の直径を単純平均することで平均1次粒子径を求めた。
また、得られたガス吸着層の表面を電子顕微鏡(S−4700、HITACHI社製)にて加速電圧10kVにて観察し、表面の任意の位置にある100個の凝集粒子について、それぞれその投影面積を求めてその面積に等しい円を仮定したときの直径を求め、100個の凝集粒子の直径を単純平均することで平均2次粒子径を求めた。
<透明性(内包物視認性)>
ガス吸着材料の全光透過率を、ヘーズメータHGM−2DP(スガ試験機(株)製)を用いて測定し、下記基準で評価した。
−評価基準−
A:全光透過率が80%以上
B:全光透過率が70%以上80%未満
C:全光透過率が60%以上70%未満
D:全光透過率が60%未満
<ガス吸着容量>
ガス吸着材料のガス吸着容量は、以下のように評価した。
−酸素の場合−
テドラーバッグに60mLの空気、及び、200mm×200mmにカットしたガス吸着材料を入れて、23℃において放置し、3日後の酸素濃度を測定した。
−評価基準−
A:1%未満
B:1%以上5%未満
C:5%以上10%未満
D:10%以上
−硫化水素の場合−
テドラーバッグに14ppmの硫化水素ガスを含む空気10L、及び、200mm×200mmにカットしたガス吸着材料を入れて、23℃において放置し、24時間後の硫化水素濃度を測定した。
−評価基準−
A:検知せず
B:2ppm未満
C:2ppm以上5ppm未満
D:5ppm以上
<空隙率>
ガス吸着層の空隙量(ml/m)と厚み(μm)とから単位厚み当たりの空隙量を算出し、空隙率を求めた。
ここで、ガス吸着層の厚みは、光学顕微鏡により観察した結果から求めた。また、ガス吸着層の空隙量は、ガス吸着層上にジエチレングリコール1mlを滴下し、1分間経過後に滴下面を布で拭き、滴下前後での質量変化(単位面積当たり吸収液量)を算出した。この算出値を空隙量とした。
(実施例2〜実施例20、並びに、比較例1及び比較例2)
表1又は表2に記載の材料や厚み等に変更した以外は、実施例1と同様に、ガス吸着材料を作製し、評価した。評価結果を表1又は表2に示す。
表1及び表2において記載した上述した以外の各化合物の詳細を、以下に示す。
湿式シリカ1(非晶質シリカ):ミズカシルP705、水澤化学工業(株)製、平均2次粒子径:3μm
気相法シリカ2(非晶質シリカ):AEROSIL200 日本アエロジル(株)製、平均1次粒子径:12nm、平均2次粒子径:30nm
硫酸銅(II)五水和物:和光純薬工業(株)製
酸性リン酸塩:和光純薬工業(株)製リン酸二水素アンモニウム
カキ抽出液消臭剤:リリース化学工業(株)製FX−10
L−アスコルビン酸:昭和化学(株)製
アルミナ蒸着PET:バリアロックス、東レフィルム加工(株)製
表1及び表2に示すように、実施例1〜実施例20のガス吸着材料は、ガス吸着性能に優れ、透明性が高いガス吸着材料であることがわかる。
これに対し、ガス吸着剤を含まない比較例1のガス吸着材料は、ガス吸着容量が小さく、透明性とガス吸着性能とを両立できるものではないことがわかる。また、ガス吸着層に非晶質シリカを含まない比較例2のガス吸着材料は、ガス吸着剤を保持できず、ガス吸着材料自体を作製できなかった。
(実施例21)
実施例1のガス吸着材料を用い、210mm×148mm、4辺を幅10mmのヒートシールをした袋を作製した。内部に60mLの空気を入れて23℃下に3日間放置し、内部の酸素濃度を測定した結果、1体積%未満となること確認した。
(実施例22及び23)
実施例1及び実施例10において、ホウ酸を使用しなかった以外は、実施例1及び実施例10と同様に、ガス吸着材料を作製した。評価結果はそれぞれ実施例1及び実施例10と同様の結果となることを確認した。
2017年3月29日に出願された日本国特許出願第2017−66079号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び、技術規格は、個々の文献、特許出願、及び、技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
11:ガス吸着材料、12:接着部位、13:ガスバリア層、14:接着層、15:ガス吸着層、16:ポリマー層、21:第1のガス吸着材料、31:第2のガス吸着材料、41:相手基材、51:凹部

Claims (14)

  1. ポリマー層、
    非晶質シリカと、ガス吸着剤と、水溶性樹脂とを含み、かつ空隙を有するガス吸着層、及び、
    ガスバリア層をこの順に有する
    ガス吸着材料。
  2. 前記ガス吸着層の厚みが、20μm〜50μmである請求項1に記載のガス吸着材料。
  3. 前記ガス吸着層の空隙率が、45%〜85%である請求項1又は請求項2に記載のガス吸着材料。
  4. 前記ガス吸収剤が、還元性有機化合物、水溶性金属塩、酸性リン酸塩、及び、カキノキ科植物抽出液よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のガス吸着材料。
  5. 前記ガス吸着層中の空隙の平均細孔径が、40nm以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のガス吸着材料。
  6. 前記非晶質シリカが、気相法シリカ及び湿式シリカのうちの少なくとも一方である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のガス吸着材料。
  7. 前記非晶質シリカが、平均2次粒子径が10μm以下の湿式シリカである請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のガス吸着材料。
  8. 前記非晶質シリカが、平均1次粒子径が10nm以下の気相法シリカである請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のガス吸着材料。
  9. 前記水溶性樹脂が、けん化度が99%以下であり、かつ重合度が1,500以上であるポリビニルアルコールである請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のガス吸着材料。
  10. 前記ガス吸着層に、架橋剤としてホウ酸を含有する請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のガス吸着材料。
  11. 前記ガス吸着層における前記水溶性樹脂の含有量に対する前記非晶質シリカの含有量の質量比が、非晶質シリカ/水溶性樹脂の比で1.5/1〜10/1である請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のガス吸着材料。
  12. 前記ガスバリア層と前記ガス吸収層との間に、厚みが3g/m〜15g/mの接着層を有する請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載のガス吸着材料。
  13. 請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の1つ又は複数のガス吸着材料を含み、
    前記1つのガス吸着材料Aのポリマー層の一部とガス吸着材料Aの他の一部とが接着された接着部位、又は、前記複数のガス吸着材料から選ばれる第1のガス吸着材料のポリマー層の一部と前記第1のガス吸着材料とは異なる第2のガス吸着材料の一部とが接着された接着部位を有する
    包装材料。
  14. ポリマー層及びガスバリア層のいずれか一方の上に、非晶質シリカと水溶性樹脂とを含む塗布液の塗布によりガス吸着準備層を形成する工程と、
    前記ガス吸着準備層にガス吸着剤を含む溶液を付与し、ガス吸着層を形成する工程と、
    前記ガス吸着層の上に、前記ポリマー層及び前記ガスバリア層の他方を積層する工程と、を含む
    ガス吸着材料の製造方法。
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