以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1〜図4において、1は作業用走行車であるコンバインであって、該コンバイン1は、茎稈を刈り取る前処理部2と、茎稈から穀粒を脱穀して選別する脱穀部3と、選別した穀粒を貯留する穀粒タンク4と、穀粒タンク4内の穀粒を機外に搬出するオーガ5と、脱穀済の排稈を後処理する後処理部6と、オペレータが乗車する操縦部7と、クローラ式の走行部8とを備えて構成されている。
図5に示すように、操縦部7には、オペレータが座る運転席9が設けられるとともに、その近傍には、マルチステアリングレバー38、主変速レバー62、副変速レバー63、設定操作パネル13、液晶表示部14などが配置されている。
マルチステアリングレバー38は、運転席9の前方右側に配置されるジョイスティック型の操作レバーであり、その前後方向の操作に基いて前処理部2を昇降させる前処理昇降操作具と、その左右方向の操作に基いて機体の向きを変化させる操向操作具とに兼用されており、主にオペレータの右手で操作される。
主変速レバー62及び副変速レバー63は、運転席9の左側方に配置されている。一方の主変速レバー62は、走行速度を無段変速する無段変速操作具と、前後進を切換える前後進切換操作具とを兼ねており、主にオペレータの左手で操作される。また、他方の副変速レバー63は、主変速レバー62による変速レンジを段階的に切換える有段変速操作具であり、主にオペレータの左手で操作される。
図5〜図7に示すように、設定操作パネル13は、運転席9の前方左側に配置されており、ここに各種の設定操作具が集中的に配置されている。そして、これらの設定操作具は、主にオペレータの左手で操作される。なお、設定操作パネル13に設けられる設定操作具及びその配置については後述する。
液晶表示部14は、液晶パネル14aにタッチパネル14bを積層させたタッチパネル式の液晶ディスプレイであり、運転席9の前方左右中央部に配置されている。具体的に説明すると、本実施形態の液晶表示部14は、オペレータの右手で操作されるマルチステアリングレバー38の左側方に配置されており、主にオペレータの左手でタッチ操作される。
液晶表示部14は、マイコンなどを用いて構成される表示制御部24(図13参照)に接続され、該表示制御部24により表示制御される。図8に示すように、表示制御部24は、液晶表示部14の表示内容を切換操作可能な複数のタッチ操作ボタン25a〜25eを液晶表示部14に表示させるにあたり、液晶表示部14の左右端部のうち、マルチステアリングレバー38とは反対側の端部、つまり、左側の端部に複数のタッチ操作ボタン25a〜25eを縦並び状に表示させる。このようにすると、走行中に右手でマルチステアリングレバー38を操作しつつ、左手で液晶表示部14のタッチ操作ボタン25a〜25eをタッチ操作できるだけでなく、その際、タッチ操作する手が液晶表示部14の表示画面を遮ることを回避し、液晶表示部14の視認性も向上させることができる。
また、本実施形態では、液晶表示部14の隣接位置に、複数のタッチ操作ボタン25a〜25eと並列状に隣接する複数の物理的操作ボタン26a〜26eを配置している。具体的には、液晶表示部14の左側の隣接位置に、複数の物理的操作ボタン26a〜26eを縦並び状に配置している。そして、表示制御部24は、物理的操作ボタン26a〜26eが操作されたとき、該操作された物理的操作ボタン26a〜26eに隣接するタッチ操作ボタン25a〜25eがタッチ操作された場合と同様に液晶表示部14の表示内容を切換える。このようにすると、液晶表示部14のタッチ機能に不具合が生じている状況や、汚れや手袋によってタッチ操作が不可能な状況においても、表示内容の切換操作が許容され、必要な情報を取得することが可能になる。
また、本実施形態では、前述したように、液晶表示部14の左右側方のうち、マルチステアリングレバー38とは反対側の側方である左側方に複数の設定操作具(設定操作パネル13)を集中配置している。このようにすると、走行中に右手でマルチステアリングレバー38を操作しつつ、左手で設定操作パネル13に設けられる複数の設定操作具を操作できるだけでなく、その際、設定操作具を操作する手が液晶表示部14の表示画面を遮ることを回避し、液晶表示部14の視認性も向上させることができる。
表示制御部24は、液晶表示部14の表示モードとして、通常作業時に使用される通常作業モード(通常作業画面)と、メンテナンス時に使用されるメンテナンスモード(メンテナンス画面)とを現出させる。まず、通常作業モードにおいて表示可能な画面及びその遷移について、図8及び図9を参照して説明する。
表示制御部24は、通常作業モードにおいて、液晶表示部14の表示画面を、タッチ操作ボタン25a〜25e又は物理的操作ボタン26a〜26eによる画面切換操作(以下、適宜人為的な画面切換操作という。)に応じて、デフォルト表示画面である通常表示画面Aから、各種設定情報を表示する設定情報表示画面Bと、カメラ画像を表示するカメラ画像表示画面Cと、後述するシンプル表示画面Dとに切換える。
なお、タッチ操作ボタン25a〜25eには、切換可能な画面の名称を表示し、そのタッチ操作又は隣接する物理的操作ボタン26a〜26eの操作に応じて、対応する画面への切換えを実行するとともに、表示中画面に対応するタッチ操作ボタン25a〜25eの表示色を変化させ、現在の表示画面を認識可能としている。
通常表示画面Aの表示情報には、重要度が高い基本情報群aと、該基本情報群aよりも重要度が低い附属情報群bとが含まれており、本実施形態では、基本情報群aと附属情報群bとを液晶表示部14の左右の表示領域に分けて表示する。例えば、本実施形態の基本情報群aには、方向・作業灯情報、エンジン回転情報、エンジン負荷率情報、車速情報、燃料情報、タンク籾量情報などが含まれ、附属情報群bには、選別負荷情報、唐箕風量情報、機体の傾き情報、チャフシーブ開度情報などが含まれている。
表示制御部24は、通常表示画面Aから設定情報表示画面B又はカメラ画像表示画面Cへの切換えに際し、基本情報群aの表示を維持しつつ、附属情報群bに代えて各種設定情報c又はカメラ画像dを表示させる。このようにすると、設定情報表示画面B又はカメラ画像表示画面Cへの切換え後も、基本情報を容易に確認することができ、その結果、基本情報の欠如によって作業に支障をきたすような不都合を解消することができる。しかも、基本情報群aの表示位置や表示形態は、表示画面が切換っても大きく変わらない(略同じ)ので、基本情報を容易に確認することができる。ちなみに、各種設定情報cには、選別自動設定情報、こぎ深さ設定情報、ブレーキ/スピン設定情報、刈り高さ設定情報、方向自動設定情報、左右水平設定情報などが含まれている。
また、表示制御部24は、液晶表示部14の表示画面を、人為的な画面切換操作に応じて、カメラ画像表示画面Cから、他のカメラ画像を表示する第2のカメラ画像表示画面Eに切換可能となっている。そして、第2のカメラ画像表示画面Eでも、基本情報群aの表示を維持しつつ、カメラ画像を他のカメラ画像に切換える。このようにすると、例えば、機体後方を撮影する安全確認用のバックカメラ画像と、オーガ排出口に取り付けられた排出位置調整用のオーガカメラ画像を必要に応じて切換表示することが可能になる。なお、このようなカメラ画像の切換えには、表示制御部24に複数のカメラ画像を入力して切換表示する場合と、外部の切換操作具で切換えられたカメラ画像を入力して表示する場合とが含まれるものとする。
また、表示制御部24は、液晶表示部14の表示画面を、人為的な画面切換操作に応じて、カメラ画像表示画面Cから、カメラ画像を拡大表示するカメラ画像拡大表示画面Fに切換可能となっている。そして、カメラ画像拡大表示画面Fでは、基本情報群aの表示領域を縮小又は省略してカメラ画像を拡大表示させる。このようにすると、必要に応じて、カメラ画像を拡大表示することができるので、例えば、バックカメラ画像を拡大させて安全確認を容易にしたり、オーガカメラ画像を拡大させて排出位置調整の精度を高めることができる。ちなみに、カメラ画像表示画面Cでは、タッチ操作ボタン25bの説明文が「カメラ拡大」となり、このボタンをタッチ操作することにより、カメラ画像拡大表示画面Fに切り換わる。また、カメラ画像拡大表示画面Fでは、タッチ操作ボタン25bの説明文が「カメラ縮小」となり、このボタンをタッチ操作することにより、カメラ画像表示画面Cに戻ることができる。
また、表示制御部24は、液晶表示部14の表示画面を、人為的な画面切換操作に応じて、基本情報群aを拡大表示するシンプル表示画面D(基本情報群拡大表示画面)に切換可能となっている。このようにすると、必要に応じて、基本情報群aを拡大表示することができるので、例えば、附属情報bを必要としない非作業走行時に、基本情報の視認性を向上させることができる。
つぎに、メンテナンスモードにおいて表示可能な画面及びその遷移について、図10〜図12を参照して説明する。
表示制御部24は、液晶表示部14の表示画面を、人為的な画面切換操作に応じて、通常作業時に必要な情報を表示する通常表示モード(通常表示画面A〜F)と、メンテナンスに必要な情報を表示するメンテナンスモード(メンテナンス画面G〜Q)とに切換え可能とするにあたり、通常作業モードとメンテナンスモードとのいずれかを選択する初期画面Rを表示するとともに、この初期画面Rで通常作業モードが選択された後は、メンテナンスモードへの移行を規制する。このようにすると、初期画面Rで通常作業モードが選択された後は、メンテナンスモードへの移行が規制されるので、作業中に不用意に通常作業モードからメンテナンスモードに切り換わって作業に支障をきたす虞がない。
また、表示制御部24は、エンジン停止状態でキースイッチがONした場合にのみ初期画面Rを表示させる。このようにすると、通常作業モードを選択した後は、エンジンの停止操作を行わない限り、通常作業モードからメンテナンスモードへの移行を禁止することができる。
また、表示制御部24は、初期画面Rでメンテナンスモードが選択された場合、ユーザ用メンテナンス画面H〜Lとディーラー用メンテナンス画面M〜Qとのいずれかを選択するメンテナンスメニュートップ画面G(メンテナンス選択画面)を表示させる。このようにすると、メンテナンスモードの画面階層を深くし、ユーザーの誤操作でディーラー用メンテナンス画面M〜Qに移行する可能性を低減することができる。以下、初期画面R及びメンテナンスモードの各画面G〜Qについて説明する。
図10に示すように、表示制御部24は、液晶表示部14の初期画面Rにおいて、タッチ操作ボタン25aの説明文に「メンテナンス」を表示させるとともに、タッチ操作ボタン25bの説明文に「通常作業」を表示させる。そして、タッチ操作ボタン25aがタッチ操作された場合は、メンテナンスメニュートップ画面Gを表示させる一方、タッチ操作ボタン25bがタッチ操作された場合は、通常作業モードのデフォルト画面である前述の通常表示画面Aを表示させる。
表示制御部24は、メンテナンスメニュートップ画面Gにおいて、タッチ操作ボタン25aの説明文に「メンテナンス」を表示させ、タッチ操作ボタン25bの説明文に「ディーラーメニュー」を表示させ、タッチ操作ボタン25eの説明文に「もどる」を表示させる。そして、タッチ操作ボタン25aがタッチ操作された場合は、ユーザー用メンテナンス画面のトップ画面であるメンテナンスメニュー画面Hを表示させ、タッチ操作ボタン25bがタッチ操作された場合は、ディーラー用メンテナンス画面のトップ画面であるディーラーメニュー画面Mを表示させ、タッチ操作ボタン25eがタッチ操作された場合は、初期画面Rを表示させる。
図11に示すように、表示制御部24は、メンテナンスメニュー画面Hにおいて、タッチ操作ボタン25aの説明文に「交換時期」を表示させ、タッチ操作ボタン25bの説明文に「調整寸法」を表示させ、タッチ操作ボタン25cの説明文に「設定ガイド」を表示させ、タッチ操作ボタン25dの説明文に「DPF再生」を表示させ、タッチ操作ボタン25eの説明文に「もどる」を表示させる。そして、タッチ操作ボタン25aがタッチ操作された場合は、交換時期表示画面Iを表示させ、タッチ操作ボタン25bがタッチ操作された場合は、調整寸法表示画面Jを表示させ、タッチ操作ボタン25cがタッチ操作された場合は、設定ガイド表示画面Kを表示させ、タッチ操作ボタン25dがタッチ操作された場合は、DPF再生手順表示画面Lを表示させ、タッチ操作ボタン25eがタッチ操作された場合は、メンテナンスメニュートップ画面Gを表示させる。
交換時期表示画面Iは、エンジンオイル、作動油、T/Mオイル、エンジンオイルフィルタ、HSTオイルフィルタ、燃料フィルタ、エアクリーナエレメントなどの交換時期を示す画面であり、タッチ操作ボタン25aの説明文に「前ページ」を表示させ、タッチ操作ボタン25bの説明文に「次ページ」を表示させ、タッチ操作ボタン25dの説明文に「最初にもどる」を表示させ、タッチ操作ボタン25eの説明文に「もどる」を表示させる。そして、タッチ操作ボタン25aがタッチ操作された場合は、交換時期表示画面Iを構成する複数の画面のうち、現在の表示画面の前ページに相当する画面を表示させ、タッチ操作ボタン25bがタッチ操作された場合は、交換時期表示画面Iを構成する複数の画面のうち、現在の表示画面の次ページに相当する画面を表示させ、タッチ操作ボタン25dがタッチ操作された場合は、交換時期表示画面Iを構成する複数の画面のうち、最初のページに相当する画面(交換時期表示画面I)を表示させ、タッチ操作ボタン25eがタッチ操作された場合は、メンテナンスメニュー画面Hを表示させる。
調整寸法表示画面Jは、走行ベルト、作業機入力(脱穀駆動)、前処理入力(前処理駆動)、二番駆動、一番駆動などの調整寸法を示す画面であり、タッチ操作ボタン25aの説明文に「前ページ」を表示させ、タッチ操作ボタン25bの説明文に「次ページ」を表示させ、タッチ操作ボタン25dの説明文に「最初にもどる」を表示させ、タッチ操作ボタン25eの説明文に「もどる」を表示させる。そして、タッチ操作ボタン25aがタッチ操作された場合は、調整寸法表示画面Jを構成する複数の画面のうち、現在の表示画面の前ページに相当する画面を表示させ、タッチ操作ボタン25bがタッチ操作された場合は、調整寸法表示画面Jを構成する複数の画面のうち、現在の表示画面の次ページに相当する画面を表示させ、タッチ操作ボタン25dがタッチ操作された場合は、調整寸法表示画面Jを構成する複数の画面のうち、最初のページに相当する画面(調整寸法表示画面J)を表示させ、タッチ操作ボタン25eがタッチ操作された場合は、メンテナンスメニュー画面Hを表示させる。
設定ガイド表示画面Kは、稲収穫時の選別設定の目安、稲収穫時の送塵設定の目安、麦収穫時の選別設定の目安、麦収穫時の送塵設定の目安など作物毎の設定の目安を示す画面であり、タッチ操作ボタン25eの説明文に「もどる」を表示させる。そして、タッチ操作ボタン25eがタッチ操作された場合は、メンテナンスメニュー画面Hを表示させる。
DPF再生手順表示画面Lは、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)の再生手順を示す画面であり、タッチ操作ボタン25eの説明文に「もどる」を表示させる。そして、タッチ操作ボタン25eがタッチ操作された場合は、メンテナンスメニュー画面Hを表示させる。
図12に示すように、表示制御部24は、ディーラーメニュー画面Mにおいて、タッチ操作ボタン25aの説明文に「入力チェック」を表示させ、タッチ操作ボタン25bの説明文に「履歴」を表示させ、タッチ操作ボタン25cの説明文に「バックアップ」を表示させ、タッチ操作ボタン25dの説明文に「故障診断」を表示させ、タッチ操作ボタン25eの説明文に「もどる」を表示させる。そして、タッチ操作ボタン25aがタッチ操作された場合は、入力チェック画面Nを表示させ、タッチ操作ボタン25bがタッチ操作された場合は、エラー履歴表示画面Oを表示させ、タッチ操作ボタン25cがタッチ操作された場合は、バックアップ画面Pを表示させ、タッチ操作ボタン25dがタッチ操作された場合は、故障診断画面Qを表示させ、タッチ操作ボタン25eがタッチ操作された場合は、メンテナンスメニュートップ画面Gを表示させる。
入力チェック画面Nは、センサなどの信号入力をチェックするための画面であり、チェックしたい部品の操作に応じて、表示制御部24に正常な信号が入力された場合、それをブザー音で報知する。この画面Nでは、タッチ操作ボタン25eの説明文に「もどる」を表示させ、そのタッチ操作に応じてディーラーメニュー画面Mを表示させる。
エラー履歴表示画面Oは、エラー履歴を表示する画面であり、タッチ操作ボタン25aの説明文に「前ページ」を表示させ、タッチ操作ボタン25bの説明文に「次ページ」を表示させ、タッチ操作ボタン25dの説明文に「最初にもどる」を表示させ、タッチ操作ボタン25eの説明文に「もどる」を表示させる。そして、タッチ操作ボタン25aがタッチ操作された場合は、エラー履歴表示画面Oを構成する複数の画面のうち、現在の表示画面の前ページに相当する画面を表示させ、タッチ操作ボタン25bがタッチ操作された場合は、エラー履歴表示画面Oを構成する複数の画面のうち、現在の表示画面の次ページに相当する画面を表示させ、タッチ操作ボタン25dがタッチ操作された場合は、エラー履歴表示画面Oを構成する複数の画面のうち、最初のページに相当する画面(エラー履歴表示画面O)を表示させ、タッチ操作ボタン25eがタッチ操作された場合は、ディーラーメニュー画面Mを表示させる。
バックアップ画面Pは、各種のデータやソフトウェアをバックアップするための画面であり、この画面Pでは、タッチ操作ボタン25eの説明文に「もどる」を表示させ、そのタッチ操作に応じてディーラーメニュー画面Mを表示させる。
故障診断画面Qは、電装部品のトラブルの有無についてチェックを行うための画面であり、タッチ操作ボタン25aの説明文に「自動チェック」を表示させ、タッチ操作ボタン25bの説明文に「手動チェック」を表示させ、タッチ操作ボタン25eの説明文に「もどる」を表示させる。そして、タッチ操作ボタン25aがタッチ操作された場合は、自動チェックモードを実行し、タッチ操作ボタン25bがタッチ操作された場合は、手動チェックモードを実行し、タッチ操作ボタン25eがタッチ操作された場合は、ディーラーメニュー画面Mを表示させる。
つぎに、表示制御部24の入出力及び表示制御の制御手順について、図13及び図14を参照して説明する。
図13に示すように、表示制御部24は、液晶表示部14のタッチパネル操作信号、物理的操作ボタン26a〜26eの操作信号、カメラ画像、センサ情報、設定情報などを入力し、これらの入力信号に基いて液晶表示部14の表示制御を行う。
図14に示すように、表示制御では、まず、エンジンが停止状態であるか否かを判断するとともに(S1)、キースイッチのON操作の有無を判断し(S2)、ここで両判断の結果がいずれもYESである場合は、液晶表示部14に初期画面Rを表示させる(S3)。初期画面Rの表示後は、モード選択操作を判断し(S4)、ここで、メンテナンスモードが選択された場合は、メンテナンスモードを実行する(S5)。メンテナンスモードの実行中は、初期画面Rへの戻り操作が可能であり、該戻り操作の判断(S6)に基いて初期画面Rを再表示させる。一方、初期画面Rで通常表示モードが選択された場合は、通常表示モードを実行する(S7)。そして、通常表示モードを選択した後は、初期画面Rへの移行が制限される。つまり、エンジン停止状態でキースイッチがONした場合にのみ初期画面Rを表示させるので、通常作業モードを選択した後や、エンジン始動に応じて通常作業モードに移行した後は、エンジンの停止操作を行わない限り、通常作業モードからメンテナンスモードへの移行が禁止される。
つぎに、操縦部7に配置される操作具の詳細について、図7及び図15〜図19を参照して説明する。
操縦部7に配置される操作具は、マイクロコンピュータ等から構成する電子制御装置ECU(Electronic Control Unit)を介して機体各部の作動を制御する。或いは、機械的に連係して機体各部の作動を制御する。なお、電子制御装置ECUは、機体に複数設け、各ユニットはコントロールエリアネットワーク(CAN)で相互通信可能に結んでいる。そして、具体的には、図15に示すように、運転席9の前方右側寄りに機体の旋回や前処理部2の昇降を行う操作具であるマルチステアリングレバー38を設け、マルチステアリングレバー38の後方に、マルチステアリングレバー38を操作する際に使用するアームレスト39を設けている。
マルチステアリングレバー38は、前後・左右に揺動自在に支持され、基部に設ける操向ポテンショメータとリフト昇降ポテンショメータによって、マルチステアリングレバー38の操作角度がECUに入力される。また、ECUは、マルチステアリングレバー38の左右方向の傾倒を検出すると、ソレノイドバルブによって油圧シリンダを作動させ、ミッションケースのサイドクラッチを切って、方向の微調整を行う。或いは、さらなる傾倒操作を検出すると、マルチステアリングレバー38の操作角度に応じて、走行部8の旋回方向内側となる駆動力をコントロールして旋回力を変更する。そして、マルチステアリングレバー38の前後方向の傾倒を検出すると、油圧リフトシンダを作動させて、前処理部2をマルチステアリングレバー38の操作角度に比例した昇降速度で昇降させる。
運転席9の前方左側寄りには、設定操作パネル13が設けられる。設定操作パネル13は、スイッチケース42に第1の操作具群を設けて構成されている。そして、第1の操作具群は、各機能毎に線引きによって区画された樹脂シート43の複数の領域に、操作具と必要に応じてLED(Light Emitting Diode)ランプを配置する。なお、樹脂シート43はスイッチケース42に貼り付け、操作具の名称や図柄を印刷している。以下、第1の操作具群の個々の操作具について説明する。
先ず、スイッチケース42の右寄りの前部に、刈取りクラッチと脱穀クラッチを断続する操作具であるパワークラッチスイッチ44と、その切替状態を表示するLEDランプ45を設ける。そして、パワークラッチスイッチ44は、モーメンタリ型のシーソースイッチで構成し、スイッチ44の前部側を押す度に脱穀クラッチ入り、刈取りクラッチ入りと切り替わり、後部側を押す度に刈取りクラッチ切り、脱穀クラッチ切りに切り替わる。なお、上記パワークラッチスイッチ44を操作すると、ECUはクラッチモータを作動させて、ベルトテンションクラッチ方式の脱穀クラッチ、及び刈取りクラッチを断続する。
また、スイッチケース42の右寄りの後部に、エンジン回転数を設定する操作具であるエンジン回転自動ダイヤル46と自動制御状態を表示するLEDランプ47を設ける。そして、エンジン回転自動ダイヤル46は、モーメンタリ型のスイッチとボリューム(可変抵抗器)を作動させ、ダイヤル46を押す度にスイッチがオンとなり、エンジン回転自動制御が入り・切りされる。また、ダイヤル46によってボリュームを回転操作すると、回転角度に応じたエンジン回転数に設定される。なお、エンジン回転自動ダイヤル46の信号に基づいてエンジンECUは、前述のエンジン回転自動制御を行い、或いはエンジン回転自動ダイヤル46で設定したエンジン回転数になるようにエンジンを制御する。
さらに、スイッチケース42の中央寄りの前部に、リフトシャットスイッチ48とその状態を表示するLEDランプ49を設ける。また、スイッチケース42の中央寄りの後部に、方向自動スイッチ50と扱深さ自動制御を入り切りする操作具である扱深さ自動スイッチ52、並びにそれらの状態を表示するLEDランプ51、53を左右に併設する。そして、これらのスイッチ48、50、52は何れもタクタイルスイッチで構成し、スイッチケース42の表面に設ける樹脂シート43の下方に設け、スイッチ48、50、52への塵埃の侵入を防止している。
なお、リフトシャットスイッチ48は、刈取り脱穀作業時に前処理部2がリフトポテンショメータによって所定の高さまで上昇したことを検出した際に、ECUを介して刈取りクラッチを切断して、刈取部Bの駆動を自動的に停止させる制御を、有効、或いは無効にする切替えスイッチであり、係るリフトシャットスイッチ48を入りにすると、一行程の穀稈を刈り終えて次行程の刈取りを行うべく前処理部2を上昇させ、その後に機体の旋回や移動走行を行う際に、前処理部2の駆動が自動的に停止するから、前処理部2の駆動振動や騒音の発生が防止される。
また、方向自動スイッチ50は、方向自動制御を入り切りするスイッチであり、係る方向自動制御は、刈取作物の条間に対して中央のデバイダの通過位置を方向センサで感知し、デバイダが穀稈条列に近づきすぎると、ECUがサイドクラッチを断続させて、中央のデバイダが条間の中央を通過するように機体の進行方向を制御する。さらに、扱深さ自動スイッチ52は、扱深さ自動制御を入り切りするスイッチであり,係る扱深さ自動制御は、穀稈の搬送中途に設けたセンサで穀稈の長短を検出し、脱穀部3に供給する穀稈の扱ぎ深さが適正になるように、ECUが扱ぎ深さ搬送装置をモータで上下作動させて制御する。
そして、スイッチケース42の左寄りの前部に、機体を傾斜させる操作具である水平手動レバー54と水平ダイヤル55と水平自動スイッチ56と水平自動制御状態を表示するLEDランプ57を設ける。この内、水平手動レバー54は、前後及び左右操作自在なクロスレバースイッチで構成し、水平手動レバー54を左又は右に操作すると、ECUは機体を左傾斜又は右傾斜させ、水平手動レバー54を前又は後に操作すると、ECUは機体を前傾又は後傾させる。
また、水平自動スイッチ56は、タクタイルスイッチで構成し、水平自動スイッチ56を押す度に左右水平自動制御を入り切りし、また、前後水平自動制御を入り切りする。さらに、水平ダイヤル55は、モーメンタリ型のスイッチとボリュームを作動させ、ダイヤル55を押すとスイッチがオンとなり、機体3の前後傾斜を基準とする機体フレームと走行部8のトラックフレームが平行となる位置に戻す(前後水平リセット)。また、水平ダイヤル55によってボリュームを回転させると、そのボリュームの回転角度が、左右水平自動制御時の目標傾斜角度に設定される。因みに水平ダイヤル55の中央操作位置は、機体を絶対水平に制御する位置となる。
また、スイッチケース42の左寄りの後部に、前処理部2の下降位置を設定する操作具である刈り高さダイヤル61を設ける。刈り高さダイヤル61はボリュームを作動させ、その回転角度が前処理部2の下降位置の設定値となる。また、刈り高さダイヤル61を最低よりさらに回すと、前処理部2の下降位置の設定が解除される。そして、前処理部2の下降位置の設定が解除されると、ECUは、マルチステアリングレバー38の前後動操作によって油圧リフトシリンダを作動させて、前処理部2を自由に昇降させる。
しかし、前処理部2の下降位置の設定が行われている際は、ECUが刈り高さダイヤル61で設定される設定値と刈取部Bの昇降位置を検出するリフトポテンショメータとの値を比較し、両者の値が一致した時に、油圧リフトシリンダ5の下降作動を停止させ、前処理部2の下降を停止させる。また、その状態で刈り高さダイヤル61を操作して設定値を変更すると、ECUは設定値に追従させて前処理部2の昇降を行う。
機体の走行変速を行う操作具としては、主変速レバー62と副変速レバー63とが設けられる。この内、主変速レバー62は、中立(停止)の横溝64aと前進側の縦溝64bと後進側の縦溝64cを備えるガイド溝64に挿通して、上端にグリップ62aを備える前後・左右回動自在な操作レバーであって、主変速レバー62の前後動操作によって走行用の静油圧式無段変速装置(HST)のサーボバルブを切り替え、前後進の切替えと無段変速を行う。
なお、主変速レバー62は、運転席31から立上がって操作した場合にも、容易に操作することができるように、その前後回動操作領域(前進側と後進側に亘るガイド溝64の領域)をできるだけ機体前方側に設定するものであって、因みに実施形態では中立の横溝64aが運転席9の座面先端より前方に位置するように配置する。
また、副変速レバー63は、主変速レバー62の前進側ガイド溝64bの機体内方側に前後回動自在に併設し、副変速レバー63をそのグリップ63aを握ってガイド溝65aに沿って前後動操作すると、ミッションケースに設けた歯車式副変速装置を、例えば、中立、低速、標準(中速)、走行(高速)に機械的に切り換える。また、副変速レバー63の低速切り換え位置で左側に操作して横溝65bの左端に操作すると、ミッションケースに設ける旋回力切換装置を機械的にスピンターンに切り換える。なお、副変速レバー63の後方に、コンビネーションスイッチ66を設ける。係るコンビネーションスイッチ66は、ライティングスイッチとフラッシャスイッチとホーンスイッチを備える。
主変速レバー62の後方には、第2の操作具群が設けられる。第2の操作具群は、旋回モード設定ダイヤル67と唐箕風量設定ダイヤル68と選別ダイヤル69とDPFスイッチ70で構成し、各操作具は操作ボックスに取り付けたカバー71の前後方向に整列させた夫々の開口部から、操作部を突出させて設ける。そして、この内、旋回モード設定ダイヤル67は、ボリュームを回転操作し、そのボリュームの回転角度によってECUは、ブレーキターンモード、減速ターンモード、或いはフルモードターンモードに切替えると共に、フルモードターンにおける旋回力の調整圧を設定する。
すなわち、ミッションケース37に設ける旋回力切換装置は、ECUの制御の基に、サイドクラッチが切断された旋回内側となる走行部8を制動させるブレーキターンと、サイドクラッチが切断された旋回内側となる走行部8を減速して外側の走行部8と同一方向に駆動する減速ターンと、減速ターン並びにブレーキターンを連続して行うフルモードターンと、サイドクラッチが切断された旋回内側となる走行部8を逆回転させるスピンターンに切換自在になす。
従って、旋回モード設定ダイヤル67をブレーキターン側、又は減速ターン側に最大限回転させると、ECUは旋回力切換装置をブレーキターン、又は減速ターンに切り換えるモードになり、それ以外の回転角度では、旋回力切換装置をフルモードターンに切り換えるモードとなる。また、副変速レバー63が低速切り換え位置で左側に操作されると、ECUはこれをスイッチによって検出し、スピンターンに切り換えるモードになる。なお、上記各旋回モードにおいて、実際に旋回力切換装置が切り換えられるタイミングは、マルチステアリングレバー38の左右方向の傾倒角度によって決定される。
また、唐箕風量設定ダイヤル68はボリュームを作動させ、そのボリュームの回転角度によって脱穀部3の唐箕ファンの風量が設定される。そして、唐箕ファンの風量が設定されると、ECUはベルト無段変速装置の割りプーリーの開度をモータによって変更し、設定された風量が得られるように制御する。また、選別ダイヤル69は、モーメンタリ型のスイッチとボリュームを作動させ、ダイヤル69を押す度にスイッチがオンとなり、選別自動制御が入り・切りされると共に、自動制御状態を表示するLEDランプ72が点灯、又は消灯する。また、ダイヤル69によってボリュームを回転操作すると、選別自動制御における稲と麦等の材料条件が設定される。さらに、DPFスイッチ70は、モーメンタリ型のスイッチによって構成し、DPFスイッチ70をオンすると、前述のDPF再生が行われる。
以上、操縦部7に設ける操作具について説明したが、つぎに刈取り脱穀作業中におけるオペレータの動向について考察すると、オペレータは運転席9に座った状態で機体各部の操作を行う場合も勿論ある。しかし、畦際刈り時の前処理部2の昇降操作、回り刈り時の機体の前後進操作、条合わせ、或いは条刈り及び横刈り時の機体の方向修正操作等において、これらの操作を迅速、且つ正確に行うために、オペレータは運転席9から立ち上がる場合が多い。
また、圃場の硬軟に基づく走行部8の沈下、或いは機体の傾斜に基づく刈り高さへの対応、また、刈取り材料の倒伏、或いは草丈の長い雑草を同時に刈り取る際の対応等に当たり、オペレータは運転席9から立ち上がって、機体前方の圃場状態、或いは刈取り材料の状態を確認しながら、操作具を操作して迅速、且つ適正に対応することが要求される。
すなわち、刈取り脱穀作業時には、機体の傾斜操作(水平手動レバー54)、或いは刈り高さ設定値の変更(刈り高さダイヤル55)による刈り高さの調節、扱ぎ深さ自動制御の入り切り操作(扱深さ自動スイッチ52)による扱ぎ深さの調節、畦際の刈り上げ操作に伴う刈取部3の継続的な駆動操作(リフトシャットスイッチ48)、条刈り及び横刈りに伴う方向自動制御の入り切り操作(方向自動スイッチ50)、エンジン負荷の増減によるエンジン回転数の調節(エンジン回転自動ダイヤル47)、籾排出等のための圃場内移動走行時の刈取り脱穀クラッチの断続操作(パワークラッチスイッチ44)等が求められる。
従って、オペレータが運転席9から立ち上がって、機体前方の圃場状態、乃至刈取り材料の状態を見ながら、或いは多少目を離した間に、操作具を迅速、且つ適正に操作して対応するためには、これらの操作具がオペレータの前方にあって、即座に手が届く位置にあることが望ましい。そこで、本発明は、係る人間工学的な見地に立って、操作具の配置箇所を決定する。また、操作具の機能によって、その操作頻度には自ずと高低差が生ずる。そこで、本発明は、コンバインを取り扱う場合に、一番長時間作業となる刈取り脱穀作業中をターゲットに、この刈取り脱穀作業中の操作具の操作頻度に基づいて、その配置箇所を最終的に決定する。
具体的には、操作具の操作頻度に基づいて、第1の操作具群と第2操作具群とに分ける。そして、運転席9の側方前部に、刈取り脱穀作業中に使用する操作頻度の高い第1の操作具群を配置する。これにより、オペレータが運転席9から立ち上がって前方を注視しながら刈取り脱穀作業を行っている際、第1の操作具群はオペレータの前方に位置して、右手でマルチステアリングレバー38を握って機体の方向修正等を行っている時でも、第1の操作具群の操作具に左手を伸ばして、これを操作することができ、迅速な対応が可能となる。
また、第1の操作具群の後方には、機体の走行変速を行う操作具(主変速レバー62、副変速レバー63)を配置する。これにより、オペレータが運転席9から立ち上がった状態でも、機体の前後進操作、或いは圃場内移動速度(中速、又は高速)に変速することができる。そして、機体の走行変速を行う操作具の後方には、操作頻度の低い第2の操作具群を配置する。ところで、係る第2の操作具群は、刈取り脱穀作業開始時、又は終了後に一度、操作すれば足り、刈取り脱穀作業中には殆んど操作することが稀な操作具(旋回モード設定ダイヤル67、唐箕風量設定ダイヤル68、選別ダイヤル69、DPFスイッチ70)であるから、オペレータが運転席9に座った状態で落ち着いて操作できれば事が足りる。
さらに、第2の操作具群を第1の操作具群に加えると、第1の操作具群の操作具数が増えて第1の操作具群の設置スペースを広くとらなければならず、後方に設ける機体の走行変速を行う操作具(主変速レバー62、副変速レバー63)の配置位置に支障を来す虞がある。しかし、第2の操作具群に分けて、第1の操作具群の操作具数を必要最小限に止めることによって、これを解消することができる。また、第1の操作具群の操作具数が少なく、両者を加えたもののように操作具が混在しないため、必要な操作具を誤りなく選定することができ、迅速な対応によって刈取り脱穀精度を向上させることができる。
そして、本発明は、第1の操作具群の中の個々の操作具の配置についても考慮する。即ち、第1の操作具群の操作具の中にも自ずと操作頻度に高低差が生ずる。例えば、刈取り作業前後、或いは圃場内移動走行の前後には、刈取りクラッチと脱穀クラッチの断続操作を必要とする。また、刈取りクラッチと脱穀クラッチの断続操作を行うと、それに合わせてエンジン回転数を刈取り脱穀作業に必要な高回転に変更する、又は移動走行に適した回転数に変更する、或いは一時的に機体を停止する待機状態では、アイドリング状態に変更するといった操作が必要となり、これらの操作は、他の操作に比べて操作頻度が高い。
従って、第1の操作具群の中でも操作頻度が高い刈取りクラッチと脱穀クラッチを断続する操作具(パワークラッチスイッチ44)と、エンジン回転数を設定する操作具(エンジン回転自動ダイヤル46)とを、第1の操作具群を設けるスイッチケース42の最も右寄りに配置する。それ故、これらの操作具は最も運転席31に近くなり、運転席31から立ち上がったオペレータが左手で素早く操作することができる。また、これらの操作具の操作タイミングは略前後するから、一方の操作具を操作した後、他方の操作具への移行を極短時間で行うことができ、操作頻度が高くともオペレータの疲労を軽減して、作業能率を向上させることができる。
また、刈取り脱穀作業中に前処理部2や脱穀部3に詰まり等が発生した際には、刈取りクラッチと脱穀クラッチを断続する操作具(パワークラッチスイッチ44)を操作して、いち早く刈取部Bと脱穀部Cを停止させることができ、それにより深刻な詰まりの発生を防止することができる。さらに、エンジン回転数を設定する操作具(エンジン回転自動ダイヤル46)を液晶表示部14に最も近い側に設けるから、液晶表示部14に表示されるエンジン回転数を視野に入れながら適正なエンジン回転数に素早く設定することができると共に、同じく液晶表示部14に表示されるエンジン負荷率に基づいてエンジン回転数を増減して、余裕を持ったエンジン負荷状態で刈取り脱穀作業を能率的に行うことができる。
また、刈取りクラッチと脱穀クラッチを断続する操作具(パワークラッチスイッチ44)とエンジン回転数を設定する操作具(エンジン回転自動ダイヤル46)を除く第1の操作具群の操作頻度は、細かく検討すれば相互の操作具間で差異があるが、その差はあまり大きくない。そこで、ここでは、操作具の機能に基づく関連性(纏まり)を第1に考慮すると共に、第2に周囲の設置環境、操作性等を総合的に判断して、操作具の配置を決定する。
即ち、第1の観点から機体の傾斜制御に関する水平手動レバー54と水平ダイヤル55と水平自動自動スイッチ56、及び水平自動制御状態を表示するLEDランプ57は、同一領域に纏めて配置する。また、自動制御の入り切りのみを行うスイッチは、同一領域、又は近接して纏めて配置する。さらに、第2の観点から第1の操作具群は、機体の走行変速を行う操作具(主変速レバー62、副変速レバー63)の、特にグリップによつてオペレータから見た時、影になり易い。そこで、影になっても操作具の操作性を損なわない配置とする。
そして、具体的には、リフトシャットスイッチ48とその状態を表示するLEDランプ49、及び方向自動スイッチ50と扱深さ自動スイッチ52、並びにそれらの状態を表示するLEDランプ51、53は、自動制御の入り切りのみを行うスイッチであるから、纏めて配置する。また、これらの自動制御を入り切りするスイッチ48、50、52は、指のタッチ操作で自動制御の入り切り操作を行うものであるから、操作空間をあまり必要としない。
また、これらのスイッチ48、50、52は、何れもタクタイルスイッチで構成し、スイッチケース42の表面に設ける樹脂シート43からのスイッチの突出量が少なく、走行変速を行う主変速レバー62が最大前進側に操作され、オペレータから見てそのグリップ62aの影側になっても、上記少ない平面的な操作空間とグリップとスイッチの間隔を広くとることができる上下方向の操作空間とが相まって、操作に支障を来さないから、主変速レバー62前方のスイッチケース42の中央寄りに設ける。なお、主変速レバー62が最大前進側に操作され、オペレータから見てそのグリップ62aの影側となる直下には、空きスペースSを設け、この空きスペースSを小物入れ等にすることもできる。
さらに、水平手動レバー54は、クロスレバースイッチで構成し、レバー54のスイッチケース42からの突出量は多く、また、レバー操作のための広い操作空間を必要とするから、機体3の走行変速を行う操作具(主変速レバー62、副変速レバー63)から最も離れたスイッチケース42の左寄りの前部に設ける。また、水平自動自動スイッチ56は、自動制御を入り切りするスイッチで操作空間をあまり必要としないから、水平手動レバー54と同一領域に設けるものの、リフトシャットスイッチ48と並ぶ、主変速レバー62前方となる水平手動レバー54の右側に設ける。さらに、水平自動自動スイッチ56に付随する水平自動制御状態を表示するLEDランプ57も水平自動自動スイッチ56に近接して設ける。残る水平ダイヤル55は水平手動レバー54の後方に設ける。
そして、最後に残った刈り高さダイヤル61は、スイッチケース42の左寄りの後部に設ける。なお、水平ダイヤル55と刈り高さダイヤル61は、ダイヤルを掴んで回転操作するため広い操作空間を必要とし、また、多少スイッチケース42から突出するから、走行変速を行う操作具の影側から離してこれらの操作性を確保する。また、こらのダイヤル55、61は、副変速レバー63の前方側に設けることになるが、副変速レバー63を最大に前方側に傾倒させた変速段は走行(高速)となるから、刈取り脱穀作業中に副変速レバー63が、係る走行段に変速されることは少なく、これらのダイヤル55、61を副変速レバー63の前方側に設けても大きな支障はない。
なお、第1の操作具群の操作具の配置は前述した通りであるが、コンバイン1の仕様や型式によって第1の操作具群の操作具の種類や、操作具の数を変更する場合がある。即ち、図17に示す例は、機体の傾斜制御を左右傾斜制御のみ行い、前後傾斜制御を行わないものであって、水平手動レバー54の前後方向操作によって、機体の左右を同時に上げ又は下げ操作できるようにする。また、水平自動自動スイッチ56は左右水平制御の入り切りのみを行うようにして、LEDランプ57の数も減らす。さらに、水平ダイヤル55はボリュームを回転させるものだけにし、スイッチを無くす。
また、図18に示す例は、機体の傾斜制御に関する制御を無くし、水平手動レバー54、水平ダイヤル55、水平自動自動スイッチ56、水平自動制御状態を表示するLEDランプ57を全て取り去ったものである。さらに、図19に示す例は、汎用型コンバインにおける第1の操作具群の配置を示し、この場合、機体の傾斜制御は左右傾斜制御のみ行い、前後傾斜制御を行わない。また、水平手動レバー54の前後方向操作によって、機体の左右を同時に上げ又は下げ操作できるようにする。
さらに、水平自動自動スイッチ56は、左右水平制御、又は対地平衡制御に切替えできるようにする。なお、対地平衡制御は前処理部2を構成するヘッダ部の下部にソリセンサを設け、係るソリセンサによってヘッダ部の左右が地面(畝)に平行になるように左右傾斜制御する。また、水平ダイヤル55に替えて、リール回転ダイヤル73と自動制御の入り切り状態を表示するLEDランプ74を設ける。リール回転ダイヤル73は、モーメンタリ型のスイッチとボリュームを作動させ、ダイヤル73を押す度にスイッチがオンとなり、リール回転自動制御が入り・切りされる。また、ダイヤル73によってボリュームを回転させると、回転角度に応じたリール回転数が設定される。
なお、リール回転自動制御は、ヘッダ部に設ける掻き込みリールの回転数を車速に同調するように自動制御するものであり、掻き込みリールの回転数はリール回転ダイヤル73で調整することもできる。また、方向自動制御と扱ぎ深さ自動制御は行わないので、方向自動スイッチ50と扱ぎ深さ自動スイッチ52を無くす替りに、対地刈高自動スイッチ75と自動制御の入り切り状態を表示するLEDランプ76を設ける。なお、対地刈高自動制御はソリセンサの検出値に基づいてヘッダ部を自動的に昇降し、材料の刈り高さを制御するものである。
叙述の如く構成された本実施形態によれば、液晶表示部14と、該液晶表示部14の表示を制御する表示制御部24とを備えるコンバイン1であって、表示制御部24は、液晶表示部14の表示画面を、人為的な画面切換操作に応じて、通常表示画面Aから、カメラ画像を表示するカメラ画像表示画面Cに切換えるにあたり、通常表示画面Aの表示情報を、重要度が高い基本情報群aと、該基本情報群aよりも重要度が低い附属情報群bとに分けて表示するととともに、カメラ画像表示画面Cへの切換えに際し、基本情報群aの表示を維持しつつ、附属情報群bに代えてカメラ画像dを表示させるので、カメラ画像表示画面Cへの切換え後も、基本情報aを容易に確認することができ、その結果、基本情報aの欠如によって作業に支障をきたすような不都合を解消することができる。
また、表示制御部24は、液晶表示部14の表示画面を、人為的な画面切換操作に応じて、基本情報群aを拡大表示するシンプル表示画面Dに切換可能なので、例えば、附属情報bを必要としない非作業走行時に、基本情報aの視認性を向上させることができる。
また、表示制御部24は、液晶表示部14の表示画面を、人為的な画面切換操作に応じて、カメラ画像表示画面Cから、他のカメラ画像を表示する第2のカメラ画像表示画面Eに切換可能であり、第2のカメラ画像表示画面Eでは、基本情報群aの表示を維持しつつ、カメラ画像を他のカメラ画像に切換えるので、例えば、機体後方を撮影する安全確認用のバックカメラ画像と、オーガ排出口に取り付けられた排出位置調整用のオーガカメラ画像を必要に応じて切換表示することが可能になる。
また、表示制御部24は、液晶表示部14の表示画面を、人為的な画面切換操作に応じて、カメラ画像表示画面Cから、カメラ画像を拡大表示するカメラ画像拡大表示画面Fに切換可能であり、カメラ画像拡大表示画面Fでは、基本情報群aの表示領域を縮小又は省略してカメラ画像を拡大表示させるので、例えば、バックカメラ画像を拡大させて安全確認を容易にしたり、オーガカメラ画像を拡大させて排出位置調整の精度を高めることができる。
つぎに、本発明の第2実施形態について、図20〜図35を参照して説明する。ただし、前記実施形態と共通の構成については、前記実施形態と同じ符号を用いることにより、前記実施形態の説明を援用する。
第2実施形態の表示制御部24は、前記実施形態と同様に、タッチ操作ボタン25a〜25e又は物理的操作ボタン26a〜26eによる画面切換操作(以下、適宜人為的な画面切換操作という。)に応じて液晶表示部14の表示画面を切り換える。第2実施形態において切換可能な表示画面には、作業時に必要な情報を表示する複数種類の作業画面(通常表示画面)と、カメラ画像を拡大表示するカメラ画像拡大表示画面DD(図23参照)と、設定時に表示される設定画面EE(図24参照)とが用意されており、複数種類の作業画面には、詳細表示画面AA(図20参照)、シンプル表示画面BB(図21参照)及びカメラ画像表示画面CC(図22参照)が含まれている。
なお、対応するタッチ操作ボタン25a〜25eには、それぞれ「通常(詳細)」、「シンプル」、「カメラ(又はカメラ縮小)」、「カメラ拡大」、「設定」などのボタン名称が動的に付加され、そのタッチ操作又は隣接する物理的操作ボタン26a〜26eの操作に応じて、対応する画面への切換えを実行するとともに、表示中画面に対応するタッチ操作ボタン25a〜25eの表示色を変化させて現在の表示画面を認識可能としている。
図20及び図25に示すように、詳細表示画面AAには、タッチ操作ボタン25a〜25eを表示するタッチ操作ボタン表示領域aaと、機体に係る情報のうち、重要度が高い基本情報群を表示する基本情報表示領域bbと、機体に係る情報のうち、基本情報群bbよりも重要度が低い附属情報群を表示する附属情報表示領域ccと、が含まれており、タッチ操作ボタン表示領域aaは、詳細表示画面AAの左端部に確保され、基本情報表示領域bbは、タッチ操作ボタン表示領域aaを除く詳細表示画面AAの左半部に確保され、附属情報表示領域ccは、タッチ操作ボタン表示領域aaを除く詳細表示画面AAの右半部に確保されている。ちなみに、本実施形態の基本情報群には、方向指示器情報、作業灯情報、エンジン回転情報、車速情報、燃料情報、エンジン負荷率情報、タンク籾量情報などが含まれ、附属情報群には、機体の傾き情報、チャフシーブ開度情報、唐箕風量情報などが含まれている。
図21及び図25に示すように、シンプル表示画面BBには、タッチ操作ボタン表示領域aaと、基本情報表示領域bbと、が含まれており、タッチ操作ボタン表示領域aaは、シンプル表示画面BBの左端部に確保され、基本情報表示領域bbは、タッチ操作ボタン表示領域aaを除くシンプル表示画面BBの全面に確保されている。つまり、シンプル表示画面BBでは、詳細表示画面AAの附属情報表示領域ccが省略され、基本情報表示領域bbが拡大表示される。
図22及び図25に示すように、カメラ画像表示画面CCには、タッチ操作ボタン表示領域aaと、基本情報表示領域bbと、カメラ画像を表示するカメラ画像表示領域ddと、が含まれており、タッチ操作ボタン表示領域aaは、カメラ画像表示画面CCの左端部に確保され、基本情報表示領域bbは、タッチ操作ボタン表示領域aaを除くカメラ画像表示画面CCの左半部に確保され、カメラ画像表示領域ddは、タッチ操作ボタン表示領域aaを除くカメラ画像表示画面AAの右半部上部に確保されている。ちなみに、カメラ画像表示画面CCにおけるカメラ画像表示領域ddの占有率は50%未満であり、カメラ画像よりも基本情報の表示を優先した画面構成となっている。また、カメラ画像表示画面CCでは、「カメラ切換」というボタン名称のタッチ操作ボタン25eが表示され、そのタッチ操作に応じて表示するカメラ画像の切換えが行われる。例えば、機体後方を撮影する安全確認用のバックカメラ画像と、オーガ排出口に取り付けられた排出位置調整用のオーガカメラ画像を必要に応じて切換表示することが可能になる。
図23及び図25に示すように、カメラ画像拡大表示画面DDには、タッチ操作ボタン表示領域aaと、基本情報表示領域bbと、カメラ画像を拡大表示するカメラ画像拡大表示領域eeと、が含まれており、タッチ操作ボタン表示領域aaは、カメラ画像拡大表示画面DDの左端部に縮小状態(第1タッチ操作ボタン25aと第5タッチ操作ボタン25eのみ表示)で確保され、基本情報表示領域bbは、タッチ操作ボタン表示領域aaを除くカメラ画像拡大表示画面DDの左端部に縮小状態で確保され、カメラ画像拡大表示領域eeは、縮小されたタッチ操作ボタン表示領域aa及び基本情報表示領域bbを除くカメラ画像拡大表示画面DDの広い範囲に確保されている。ちなみに、カメラ画像拡大表示画面DDにおけるカメラ画像拡大表示領域eeの占有率は50%以上であり、基本情報よりもカメラ画像の表示を優先した画面構成となっている。
図24に示すように、設定画面EEには、タッチ操作ボタン表示領域aaと、複数の自動制御設定ボタンが表示される自動制御設定ボタン表示領域ffと、が含まれており、例えば、本実施形態の自動制御設定ボタン表示領域ffには、エンジン回転自動制御、こぎ深さ自動制御、機体水平自動制御、リフトシャット制御、選別自動制御、方向自動制御、唐箕回転自動制御などの自動制御設定ボタンが表示される。
設定画面EEのタッチ操作ボタン表示領域aaに表示されるタッチ操作ボタン25a〜25eには、ボタン名称としてそれぞれ「交換時期」、「調整寸法」、「給油・給水」、「DPF再生」、「戻る」が付加されている。そして、タッチ操作ボタン25aがタッチ操作された場合は、交換時期表示画面(図示せず)を表示させ、タッチ操作ボタン25bがタッチ操作された場合は、調整寸法表示画面(図示せず)を表示させ、タッチ操作ボタン25cがタッチ操作された場合は、給油・給水表示画面(図示せず)を表示させ、タッチ操作ボタン25dがタッチ操作された場合は、DPF再生表示画面(図示せず)を表示させ、タッチ操作ボタン25eがタッチ操作された場合は、設定画面EEへの移行操作が行われた表示画面AA〜CCに戻る。
ちなみに、交換時期表示画面は、エンジンオイル、作動油、T/Mオイル、エンジンオイルフィルタ、HSTオイルフィルタ、燃料フィルタ、エアクリーナエレメントなどの交換時期を表示する画面であり、調整寸法表示画面は、走行ベルト、作業機入力(脱穀駆動)、前処理入力(前処理駆動)、二番駆動、一番駆動などの調整寸法を表示する画面であり、給油・給水表示画面は、給水や給油を必要とする各部の給油量や給水量を表示する画面であり、DPF再生表示画面は、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)の堆積量やDPF手動再生ボタンを表示する画面である。
つぎに、液晶表示部14の画面切換操作について、図25及び図26を参照して説明する。なお、液晶表示部14のタッチ操作には、画面に指を短時間接触させるタップ操作、画面に触れた指を滑らせるスワイプ操作、画面に触れた指を滑らせつつ画面から離すフリック操作などが含まれる。本実施形態の表示制御部24は、これらの操作を識別するが、スワイプ操作とフリック操作は同種の操作として扱う。
液晶表示部14の画面切換操作には、タッチ操作ボタン25a〜25eのタップ操作によるものと、物理的操作ボタン26a〜26eの押下操作によるものと、画面のフリック操作有効領域におけるフリック操作(又はスワイプ操作)によるものと、画面の拡大操作有効領域におけるタップ操作によるものと、が含まれる。
タッチ操作ボタン25a〜25eをタップ操作すると、当該タップ操作したタッチ操作ボタン25a〜25eに対応する表示画面に切り換わる。換言すれば、表示させたい画面に対応するボタン名称が付与されたタッチ操作ボタン25a〜25eを探し、当該タッチ操作ボタン25a〜25eをタップ操作することにより所望の表示画面に切換えられる。
物理的操作ボタン26a〜26eを押下操作すると、隣接するタッチ操作ボタン25a〜25eに対応する表示画面に切り換わる。換言すれば、表示させたい画面に対応するボタン名称が付与されたタッチ操作ボタン25a〜25eを探し、当該タッチ操作ボタン25a〜25eに隣接する物理的操作ボタン26a〜26eを押下操作することにより所望の表示画面に切換えられる。
図25に示すように、本実施形態では、詳細表示画面AA、シンプル表示画面BB及びカメラ画像表示画面CCの画面領域をフリック操作有効領域とし、該領域におけるフリック操作に応じて表示画面を切り換える。例えば、詳細表示画面AAでは、左フリック操作に応じてシンプル表示画面BBに切り換える一方、右フリック操作に応じてカメラ画像表示画面CCに切り換える。また、シンプル表示画面BBでは、左フリック操作に応じてカメラ画像表示画面CCに切り換える一方、右フリック操作に応じて詳細表示画面AAに切り換える。また、カメラ画像表示画面CCでは、左フリック操作に応じて詳細表示画面AAに切り換える一方、右フリック操作に応じてシンプル表示画面BBに切り換える。
図26に示すように、本実施形態では、詳細表示画面AAの基本情報表示領域bbと、カメラ画像表示画面CCの基本情報表示領域bb及びカメラ画像表示領域ddを拡大操作有効領域としており、例えば、詳細表示画面AAの基本情報表示領域bbをタップ操作すると、基本情報群が拡大表示されるシンプル表示画面BBに切り換わり、シンプル表示画面BB(拡大戻し操作有効領域)を再度タップ操作すると、詳細表示画面AAに戻る。また、カメラ画像表示画面CCの基本情報表示領域bbをタップ操作すると、基本情報群が拡大表示されるシンプル表示画面BBに切り換わり、シンプル表示画面BBを再度タップ操作すると、カメラ画像表示画面CCに戻る。また、カメラ画像表示画面CCのカメラ画像表示領域ddをタップ操作すると、カメラ画像が拡大表示されるカメラ画像拡大表示画面DDに切り換わり、カメラ画像拡大表示画面DD(拡大戻し操作有効領域)を再度タップ操作すると、カメラ画像表示画面CCに戻る。
つぎに、液晶表示部14の表示動作(初期表示、異常表示、ディーラメニュー表示及びエラー履歴表示)について、図27〜図31を参照して説明する。
液晶表示部14は、作業画面である詳細表示画面AA、シンプル表示画面BB及びカメラ画像表示画面CCを切換操作可能な状態で表示するにあたり、キースイッチSWがON操作されたとき、前回の作業時に最後に表示した作業画面を初期画面として表示させる。例えば、カメラ画像表示画面CCを表示させた状態でキースイッチSWをOFF操作した場合、次回キースイッチSWがON操作されたとき、カメラ画像表示画面CCが初期画面として表示される。なお、本実施形態では、カメラ画像拡大表示画面DDを表示させた状態でキースイッチSWをOFF操作した場合、次回キースイッチSWがON操作されたとき、カメラ画像表示画面CCが初期画面として表示されるが、カメラ画像拡大表示画面DDが初期画面として表示されるようにしてもよい。
また、液晶表示部14に設定画面EEが表示された状態でキースイッチSWがOFF操作された場合は、次回キースイッチSWがON操作されたとき、設定画面EEではなく、前回の作業時に最後に表示した作業画面を初期画面として表示させる。例えば、詳細表示画面AAから設定画面EEに移行し、設定画面EEの表示状態でキースイッチSWがOFF操作された場合は、次回キースイッチSWがON操作されたとき、詳細表示画面AAが初期画面として表示される。
図27及び図28に示すように、液晶表示部14は、機体の異常状態を表示する異常報知を行う。報知する異常項目には、異常の発生に応じて警報が行われる警報項目と、異常の発生に応じてエンジンが停止されるエンジン停止項目とが含まれている。例えば、警報項目としては、エンジ過負荷警報、エンジオイル不足警報、バッテリ電圧異常警報、選別過負荷警報、1番ラセン、2番ラセン過負荷警報、エアクリーナ異常警報、DPF警報、エンジ冷却水温異常警報、ノッタ紐切れ警報、グレンタク満杯警報などがあり、エンジン停止項目としては、前処理部詰まり、1番ラセン、2番ラセン詰まり、排ワラ詰まり、結束機詰まり、グレンタクオーバーフロー、エンジ停止スイッチ操作などがある。
図27に示すように、警報項目に係る異常報知は、表示中画面の上に重なるポップアップウインドウにより表示される。例えば、図27に示す警報項目に係る異常報知は、バッテリ電圧異常警報であり、異常内容を示す「バッテリ充電不足です。」というメッセージと、異常に対する対処方法を示す「オルタネータのベルトを点検してください。」というメッセージが含まれている。ちなみに、警報項目に係る異常報知画面の背景は、「黄色」などの注意を喚起し得る色を選択することが好ましい。
図20〜図23、図27に示すように、警報項目に係る異常報知は、人為操作に応じた拡大表示と縮小表示との表示切換えが可能となっている。つまり、異常警報の表示当初は、図27に示す拡大表示で異常状態に対する注意を喚起するが、警報項目に係る異常状態は、発生しても作業の継続が可能であるため、そのまま作業を継続する場合は、異常報知を縮小表示とすることで、作業画面の表示を優先させることができる。本実施形態では、図27に示す異常表示領域をタップ操作すると、図20〜図23に示すように、異常表示が画面下部に縮小表示される。縮小表示では、異常に対する対処方法は表示されず、異常内容のみが表示される。また、縮小表示された異常表示領域をタップ操作すると、図27に示す拡大された異常表示に切り換わる。ちなみに、異常表示を縮小表示すると、注意喚起効果が低下するので、縮小された異常表示の背景は、「黄色」よりも注意喚起効果が高い「赤色」などを選択することが好ましい。
図28に示すように、エンジン停止項目に係る異常表示は、表示中画面を切換えて全画面で表示される。例えば、図28に示すエンジン停止項目に係る異常報知は、前処理部詰まりであり、異常内容を示す「前処理部詰まり」というメッセージと、異常に対する対処方法を示す「前処理部が詰まりました 点検してください」というメッセージと、「問題を解決しなければこの画面は消えません」というメッセージが含まれている。ちなみに、エンジン停止項目に係る異常報知画面の背景は、「黄色」(警報項目に係る拡大異常表示の背景色)よりも注意喚起効果が高い「赤色」を選択することが好ましい。
エンジン停止項目に係る異常表示は、人為操作に応じた表示切換えが不可能となっており、異常原因が解消されるまで表示が継続される。一方、警報項目に係る異常表示は、人為操作に応じた縮小表示への切換えが可能であり、この状態で作業を継続することが可能であるが、警報項目に係る異常表示(拡大表示及び縮小表示を含む)も、異常原因が解消されるまで表示が継続されるので、異常に対する確実な対応を促すことができる。
複数の異常項目が発生している状況では、これらの異常報知を同時に実行することが不可能であるため、予め優先順位を定めている。例えば、警報項目よりもエンジン停止項目の異常を優先するとともに、エンジン停止項目に含まれる複数の異常種別について優先順位を定め、また、警報項目に含まれる複数の異常種別についても優先順位を定めている。そして、複数の異常項目が発生した場合は、予め定めされた優先順位に従い、優先順位の高い異常項目から異常表示を行う。
図29に示すように、液晶表示部14では、主にディーラのサービスマンが利用するディーラメニュー画面FFを表示させることができる。ディーラメニュー画面FFへの移行は、例えば、設定画面EEにおいて、予め決められた1又は複数のタッチ操作ボタン25a〜25eを長押し操作することにより行われる。
図30に示すように、ディーラメニュー画面FFでは、タッチ操作ボタン25a、25b、25eのボタン名称としてそれぞれ「入力チェック」、「履歴」、「戻る」が付加されている。タッチ操作ボタン25aをタップ操作すると、図示しない入力チェック画面が表示され、タッチ操作ボタン25bをタップ操作すると、図19に示すエラー履歴画面GGが表示され、タッチ操作ボタン25eをタップ操作すると、設定画面EEに戻る。ちなみに、入力チェック画面は、センサなどの信号入力をチェックするための画面であり、例えば、チェックしたい部品の操作に応じて、表示制御部24に正常な信号が入力された場合、それをブザー音で報知する。本実施形態では、入力チェック画面を特殊モードとして扱う。特殊モードとは、一旦移行すると、前の画面に戻ることが規制される制御状態を意味し、エンジンが停止するまでその画面表示が維持される。
図31に示すように、エラー履歴画面GGでは、エラー履歴番号(例えば、エラー履歴01)、エラー発生時間(例えば、アワメータ8888.8)及びエラー内容(例えば、前処理詰まり(エンジン停止))で特定される複数のエラー履歴が、時系列で上下方向に並べて表示される。エラー履歴画面GGに表示されるエラー履歴には、電装部品系エラー履歴として記憶された電装部品の異常に関するエラー情報と、機体状態系エラー履歴として記憶された機体状態の異常に関するエラー情報と、が含まれており、電装部品系エラー履歴及び機体状態系エラー履歴が時系列で一元的に表示される。このようなエラー履歴表示によれば、電装部品系エラーの発生原因をそれ以前の機体状態系エラー履歴に基づいて究明することが可能になる。例えば、前処理詰まりが2回発生した後に、前処理リフトボテンショエラーが発生している場合、前処理詰まりに起因する前処理リフトポテンショの異常と考えられるので、単に前処理リフトポテンショを交換するだけでなく、その周辺の破損の有無の確認が必要であることを理解できる。
図31には、機体状態系エラー履歴として表示される機体状態系エラーの項目として、エラーの発生に応じてエンジンが停止される前述のエンジン停止エラー項目のつり、前処理詰まりを例示しているが、その他のエンジン停止エラー項目が含まれることは言うまでもない。また、機体状態系エラー履歴として表示される機体状態系エラーの項目として、エラーの発生に応じて警報が行われる前述の警報エラー項目を含むようにしてもよい。このようにすると、例えば、伝動ベルトが破損して交換する場合に、エラー履歴として選別やラセンの過負荷警報履歴が残っていれば、オペレータの機械の使用方法に原因があると推定することが可能になる。
エラー履歴画面GGでは、エラーの種別に応じてエラー履歴の表示色を相違させることが好ましい。例えば、電装部品系エラー履歴を「黄色」、機体状態系エラー履歴を「赤色」で表示させる。このようにすると、表示色に基づいてエラーの種別を識別できるので、エラーの原因究明が容易になる。
つぎに、上記のような液晶表示部14の画面切換操作及び表示動作を実現する表示制御部24の制御手順について、図32〜図35を参照して説明する。
表示制御部24は、ハードウエアとソフトウエアとの協働により実現される機能的な構成として、初期表示制御手段、拡大表示手段、異常報知手段及びエラー履歴表示手段を備えており、以下、初期表示制御手段を実現する初期表示制御と、拡大表示手段を実現する画面表示切換制御と、異常報知手段を実現する異常報知制御と、エラー履歴表示手段を実現するエラー履歴表示制御の具体的な制御手順を説明する。
図32に示すように、初期表示制御では、まず、エンジンが停止状態であるか否かを判断するとともに(S11)、キースイッチSWのON操作を判断し(S12)、ここで両判断の結果がいずれもYESである場合は、記憶画面の有無を判断する(S13)。この判断結果が無しである場合は、作業画面である詳細表示画面A、シンプル表示画面B及びカメラ画像表示画面Cのうち、予め定められたデフォルト作業画面(例えば、詳細表示画面)を液晶表示部14に表示させる一方(S14)、記憶画面が有ると判断した場合は、記憶している作業画面を液晶表示部14に表示させる(S15)。続いて、画面表示切換制御(S16)、異常報知制御(S17)、エラー履歴表示制御(S18)などのサブルーチンを実行した後、現在の表示画面が作業画面であるかそれ以外の画面であるかを判断する(S19)。ここで作業画面であると判断した場合は、現在表示している作業画面の種別を記憶(記憶画面の書換)する一方(S20)、作業画面以外であると判断した場合は、そのまま上位ルーチンへ復帰する。これにより、キースイッチSWがON操作されたとき、前回の作業時に最後に表示した作業画面を初期画面として表示させることが可能になる。
図33に示すように、画面表示切換制御では、物理的操作ボタン26a〜26eの操作及び液晶表示部14のタッチ操作(タップ操作及びフリック操作)を判断する(S31、S33、S40)。物理的操作ボタン26a〜26eが操作されたと判断した場合は、操作された物理的操作ボタン26a〜26eに対応する画面を液晶表示部14に表示させる(S32)。また、液晶表示部14がタップ操作されたと判断した場合は、タップ操作位置がタッチ操作ボタン25a〜25eであるか否か(S34)、拡大操作有効領域であるか否か(S35)、拡大戻し操作有効領域(S36)であるか否かを判断する。ここで、タップ操作位置がタッチ操作ボタン25a〜25eであると判断した場合は、タップ操作されたタッチ操作ボタン25a〜25eに対応する画面を液晶表示部14に表示させ(S37)、タップ操作位置が拡大操作有効領域であると判断した場合は、タップ操作された拡大操作有効領域に対応する画面を液晶表示部14に表示させ(S38)、タップ操作位置が拡大戻し操作有効領域であると判断した場合は、タップ操作された拡大戻し操作有効領域に対応する画面を液晶表示部14に表示させる(S39)。また、液晶表示部14がフリック操作されたと判断した場合は、フリック操作位置がフリック操作有効領域であるか否かを判断し(S41)、この判断結果がYESの場合は、フリック操作されたフリック操作有効領域及びフリック操作方向に対応する画面を液晶表示部14に表示させる(S42)。
図34に示すように、異常報知制御では、まず、異常状態が発生したか否かを判断し(S51)、この判断結果がNOである場合は、異常表示をクリアするとともに(S52)、異常表示の拡大・縮小を切り換えるためのフラグFに初期値である「0」(拡大表示)をセットする(S53)。一方、異常状態が発生していると判断した場合は、優先順位処理を実行する(S54)。この優先順位処理は、複数の異常状態が発生している状況において、予め定められた優先順位に従い、優先的に異常表示を行う異常項目を抽出する処理である。つぎに、抽出した異常項目が「エンジン停止項目」、「警報項目」のいずれに属するかを判断し(S55)、この判断結果が「エンジン停止項目」である場合は、当該異常項目に関する異常表示を液晶表示部14に全画面表示する(S56)。一方、「警報項目」に係る異常項目であると判断した場合は、フラグFを参照し(S57)、ここでフラグFが「0」であると判断した場合は、当該異常項目に係る異常表示を液晶表示部14にポップアップウインドウとして拡大表示させる(S58)。その後、拡大表示領域のタップ操作を判断するとともに(S59)、該判断結果がYESの場合は、フラグFに「1」をセットする(S60)。また、ステップS57の判断結果が「1」である場合は、当該異常項目に係る異常表示を液晶表示部14に縮小表示させる(S61)。その後、縮小表示領域のタップ操作を判断するとともに(S62)、該判断結果がYESの場合は、フラグFに「0」をセットする(S63)。
図35に示すように、エラー履歴表示制御では、まず、サブルーチンである電装部品系エラー履歴記憶処理(S71)と機体状態系エラー履歴記憶処理(S72)とを実行する。電装部品系エラー履歴記憶処理は、電装部品のエラーが発生した場合に、そのエラー種別を発生時間情報(アワメータ値)とともにエラー履歴データベースに記憶する処理であり、機体状態系エラー履歴記憶処理は、機体状態のエラーが発生した場合に、そのエラー種別を発生時間情報とともにエラー履歴データベースに記憶する処理である。つぎに、エラー履歴表示画面の表示操作を判断し(S73)、該判断結果がYESである場合は、エラー履歴データベースに記憶された電装部品系エラー履歴及び機体状態系エラー履歴を液晶表示部14に時系列で一元表示させる(S74)。このとき、電装部品系エラー履歴と機体状態系エラー履歴は異なる色で表示される。
叙述の如く構成された第2実施形態によれば、表示制御部24は、作業時に必要な情報を表示する複数種類の作業画面AA〜CCを切換操作可能な状態で液晶表示部14に表示するにあたり、キースイッチSWがON操作されたとき、前回の作業時に最後に表示した作業画面AA〜CCを液晶表示部14に表示させるので、キースイッチSWのON操作後、いちいち好みの作業画面AA〜CCに切り換える手間が不要となる。
また、複数種類の作業画面AA〜CCには、シンプル表示画面BB(第1作業画面)と、詳細表示画面AA(第2作業画面)と、カメラ画像表示画面CC(第3作業画面)と、が含まれ、シンプル表示画面BBは、重要度が高い基本情報を表示し、詳細表示画面AAは、基本情報と、該基本情報よりも重要度が低い附属情報とを表示し、カメラ画像表示画面CCは、基本情報と、機体に設置されたカメラの画像とを表示するので、いずれの作業画面AA〜CCを選択しても、重要度が高い基本情報の表示を維持し、基本情報の欠如によって作業に支障をきたすことを防止できる。
また、本実施形態の表示制御部24は、各作業画面AA〜CCから設定画面EEへの移行、及び、設定画面EEから各作業画面AA〜CCへの移行を許容し、液晶表示部14に設定画面EEが表示された状態でキースイッチSWがOFF操作された場合、次回キースイッチSWがON操作されたとき、設定画面EEではなく、前回の作業時に最後に表示した作業画面AA〜CCを液晶表示部14に表示させるので、キースイッチSWのON操作後、いちいち設定画面EEから好みの作業画面AA〜CCに切り換える手間が不要となる。