以下に、第1の実施の形態について、図1乃至図6を参照して説明する。なお、実施形態に係る構成要素や、当該要素の説明について、複数の表現を併記することがある。当該構成要素及び説明について、記載されていない他の表現がされることは妨げられない。さらに、複数の表現が記載されない構成要素及び説明について、他の表現がされることは妨げられない。
図1は、第1の実施の形態に係る処理装置10を概略的に示す図である。処理装置10は、例えばレーザ加工を行うための装置である。なお、処理装置10はこれに限らない。図1に示すように、処理装置10は、制御部11と、タンク12と、ポンプ13と、処理室14と、複数のノズル装置15とを備える。タンク12は、収容部の一例である。ポンプ13は、供給部の一例である。
制御部11は、ポンプ13や、処理装置10の他の部分を制御する。タンク12は、例えば、アルゴンのような不活性ガスを収容する。不活性ガスは流体の一例である。なお、流体はこれに限らず、他の気体や液体であっても良い。ポンプ13は、制御部11に制御されることで、タンク12の不活性ガスを、複数のノズル装置15に供給する。処理室14は、例えば複数の壁によって密閉可能に形成される。図1は、処理室14を概略的に二点鎖線で示す。処理装置10は、処理室14内に配置された加工物をレーザ加工する。
複数のノズル装置15は、処理室14に設けられ、例えば、加工物が配置されたステージを囲むように配置される。複数のノズル装置15は、加工物の周りから、ポンプ13によって供給された不活性ガスを加工物に向かって吐出する。
図2は、ノズル装置15を示す斜視図である。図2に示すように、ノズル装置15は、基体21と、供給口22と、複数の吐出口23と、管路部24とを有する。供給口22は、第1の開口部の一例である。吐出口23は、第2の開口部の一例である。管路部24は、第1の管路部の一例である。
基体21は、例えば直方体のブロック状に形成される。これにより、基体21の剛性がより高くされ得る。なお、基体21の形状はこれに限られない。基体21は、第1の面21aと、第2の面21bとを有する。第1及び第2の面21a,21bはそれぞれ略平坦に形成され、互いに直交する。
図面に示されるように、本明細書において、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、基体21の長さに沿う。Y軸は、基体21の奥行き(幅)に沿う。Z軸は、基体21の厚さ(高さ)に沿う。基体21の第1の面21aは、Y軸に沿う方向に向く。基体21の第2の面21bは、Z軸に沿う方向に向く。
供給口22は、基体21の第1の面21aに開口する。供給口22は、ポンプ13に接続される。複数の吐出口23は、基体21の第2の面21bにそれぞれ開口する。吐出口23は、X軸に沿う方向に一列に並んで配置され、処理室14の内部に開口する。なお、供給口22及び吐出口23の配置はこれに限らない。
管路部24は、基体21の内部に設けられ、供給口22と複数の吐出口23とを接続する流路である。言い換えると、管路部24の一方の端部に供給口22が設けられ、管路部24の他方の端部に吐出口23が設けられる。管路部24は、複数の分岐部31と、複数のノズル部32とを有する。分岐部31は、第1の分岐部の一例である。
分岐部31は、供給口22から吐出口23に向かう経路を途中で複数(例えば二つ)に分岐させる部分である。本実施形態において、複数の分岐部31は、供給口22から吐出口23に向かう経路を三段階に分岐する。言い換えると、管路部24は、供給口22から吐出口23に向かう経路において三回分岐される。以下の説明において、一段階目の分岐部31は分岐部31Aと、二段階目の分岐部31は分岐部31Bと、三段階目の分岐部31は分岐部31Cとそれぞれ個別に称されることがある。
図3は、分岐部31の形状を示す斜視図である。図3に示すように、第1の実施形態の分岐部31は、T字状に形成される。分岐部31は、第1の部分41と、二つの第2の部分42と、接合部43とをそれぞれ有する。なお、図3は、説明のため、一つの分岐部31のみならず、当該分岐部31に接続された他の分岐部31の第1及び第2の部分41,42をも示す。
第1の部分41は、Y軸に沿う方向に直線状に延びる。Y軸に沿う方向は、第1の方向の一例である。複数の分岐部31の第1の部分41は、それぞれY軸に沿う方向に平行に延びる。
第2の部分42は、接合部43によって、第1の部分41の一方の端部41aにそれぞれ接続される。第2の部分42は、接合部43から、X軸に沿う方向にそれぞれ直線状に延びる。言い換えると、第2の部分42は、Y軸と90度交差する方向にそれぞれ延びる。Y軸と90度交差する方向は、第1の方向と交差する方向の一例である。二つの第2の部分42は、第1の部分41が延びる方向に対して鏡面対称及び回転対称にそれぞれ延びる。なお、第2の部分42はこれに限らない。
一段階目の分岐部31Aにおいて、第1の部分41の他方の端部41bは、供給口22に接続される。第1の部分41の他方の端部41bは、一方の端部41aの反対側に位置する。一段階目の分岐部31Aの第2の部分42は、連結部44によって、対応する二段階目の分岐部31Bの、第1の部分41の他方の端部41bにそれぞれ接続される。すなわち、分岐部31Aの第2の部分42と、分岐部31Bの第1の部分41の他方の端部41bとが、連結部44に接続される。
二段階目の分岐部31Bの第2の部分42は、連結部44によって、対応する三段階目の分岐部31Cの、第1の部分41の他方の端部41bにそれぞれ接続される。図2のように、分岐部31Cの第1の部分41は、分岐部31A,31Bの第1の部分41が延びる方向の反対方向に延びる。これにより、基体21のY軸に沿う方向における長さが低減され得る。
三段階目の分岐部31Cの第2の部分42は、連結部44によって、対応するノズル部32にそれぞれ接続される。すなわち、分岐部31Cの第2の部分42と、ノズル部32とが、連結部44に接続される。ノズル部32は、Z軸に沿う方向に延び、分岐部31Cの第2の部分42と、対応する吐出口23とを接続する。
二段階目の分岐部31Bの第1及び第2の部分41,42の断面積は、一段階目の分岐部31Aの第1及び第2の部分41,42の断面積よりも狭い。三段階目の分岐部31Cの第1及び第2の部分41,42の断面積は、二段階目の分岐部31Bの第1及び第2の部分41,42の断面積よりも狭い。このように、管路部24の断面積は、供給口22から吐出口23に向かうに従って狭くなる。
管路部24において、供給口22とそれぞれの吐出口23との間における経路長は同一である。なお、本明細書において、供給口22とそれぞれの吐出口23との間における経路長が同一である場合とは、例えば寸法公差によって生じる各経路長の誤差がある場合を含む。
さらに、管路部24において、供給口22とそれぞれの吐出口23との間における分岐部31の数は同一である。すなわち、供給口22からそれぞれの吐出口23に向かう各経路において、同一の数(本実施形態においては三つ)の分岐部31が設けられる。
加えて、各段階における分岐部31の形状及び大きさは、互いに同一である。すなわち、二つの二段階目の分岐部31Bは、互いに同一の形状及び大きさを有する。さらに、四つの三段階目の分岐部31Cは、互いに同一の形状及び大きさを有する。
以上のように、供給口22とそれぞれの吐出口23との間の各経路の経路長と構造とは、互いに同一である。このため、供給口22とそれぞれの吐出口23との間の経路を流れる流体に作用する抵抗はそれぞれ等しい(等コンダクタンス)。
図3に示すように、分岐部31を含む管路部24は、略長円形の断面形状を有する。図3に示す管路部24の断面形状は、Z軸に沿う方向に延びる二つの平行な辺を有する長円形であるが、管路部24の断面形状は楕円形であっても良い。なお、管路部24の断面形状はこれに限らず、例えば、円形、矩形、及び四角形のような他の形状であっても良い。
例えば、第1の部分41の断面形状は、Z軸に沿う方向に長い長円形である。すなわち、第1の部分41の断面形状は、X軸に沿う方向における長さが、Z軸に沿う方向における長さよりも短い形状である。X軸に沿う方向における長さは、幅の一例であり、第1の部分41が延びる方向からの平面視(Y軸方向の視点)において、第1の部分41と直交する、他の分岐部31の第2の部分42が延びる方向の長さである。Z軸に沿う方向における長さは、第2の方向における長さの一例であり、第1の方向(Y軸に沿う方向)と直交するとともに第2の部分42が延びる方向(XY平面上の方向)とも直交する方向における長さである。
図4は、分岐部31の形状を示す平面図である。図4に示すように、第1の部分41は、他方の端部41bから一方の端部41aに向かうに従って、断面積が狭くなる。すなわち、第1の部分41の一方の端部41aの断面積は、第1の部分41の他方の端部41bの断面積よりも狭い。
第1の部分41の一方の端部41aの、X軸に沿う方向における長さ(幅)L1は、第1の部分41の他方の端部41bの、X軸に沿う方向における長さ(幅)L2よりも短い。長さL1は、例えば、長さL2の8割以下である。なお、長さL1はこれに限らない。
図5は、不活性ガスGが流れる分岐部31を模式的に示す平面図である。ポンプ13は、供給口22に不活性ガスGを供給する。不活性ガスGは、供給口22から管路部24に流入し、複数の分岐部31を通過する。不活性ガスGは、三段階の分岐部31A,31B,31Cによって三回にわたって二分割され、ノズル部32を通り、各吐出口23から処理室14の内部へ吐出される。
図5に示すように、上流側の分岐部31の第2の部分42を流れる不活性ガスGが、連結部44を通って、下流側の分岐部31の第1の部分41に流入する。図5は、分岐部31を流れる不活性ガスGを模式的に矢印で示す。
第2の部分42は、X軸に沿う方向に延びる。このため、第1の部分41に流入した不活性ガスGは、慣性力により、第1の部分41の外側(図5の左側)に寄って、第1の部分41を流れる。第1の部分41の外側は、上流側の分岐部31の接合部43から遠い側である。すなわち、第1の部分41の不活性ガスGは、X軸に沿う方向において偏在する。なお、第1の部分41の不活性ガスGは、Z軸に沿う方向においては大よそ均一に分布する。
上述のように、第1の部分41の断面積は、他方の端部41bから一方の端部41aに向かうに従って狭くなる。このため、第1の部分41の不活性ガスGは、一方の端部41aに向かうに従って、X軸に沿う方向における中央部分に収束する。すなわち、第1の部分41の一方の端部41aにおける不活性ガスGは、第1の部分41の他方の端部41bにおける不活性ガスGよりも、X軸に沿う方向において均一に分布する。
不活性ガスGは、第1の部分41の一方の端部41aから、接合部43を通って、二つの第2の部分42にそれぞれ送られる。第1の部分41の一方の端部41aにおいて収束することで、不活性ガスGは、より均等に分かれ、二つの第2の部分42に流入する。すなわち、一方の第2の部分42に流入する不活性ガスGの流量と、他方の第2の部分42に流入する不活性ガスGの流量とが、大よそ等しくなる。
図6は、第1の部分41の幅の比に対する、二つの第2の部分42への不活性ガスGの分岐誤差を示すグラフである。図6の横軸は、長さL2に対する長さL1の百分率(分岐部幅比)を示す。図6の縦軸は、二つの第2の部分42にそれぞれ流入する不活性ガスGの偏り(分岐誤差)を示す。分岐誤差1%とは、二つの第2の部分42に流入する不活性ガスGの流量の比が51:49であることを意味する。
図6に示すように、分岐部幅比が80%以下になることで、分岐誤差がより急激に小さくなる。すなわち、長さL1が長さL2の8割以下に設定されることで、分岐誤差がより効果的に低減される。
以上のようなノズル装置15は、例えば、三次元プリンタによって積層造形される。ノズル装置15は、合成樹脂や金属のような種々の材料によって作られる。ノズル装置15の材料として、ノズル装置15が供給する流体(不活性ガスG)に対して耐性を有する材料が選択される。
三次元プリンタは、例えば、Z軸に沿う方向において、材料の層の形成と、材料の層の固化とを繰り返すことで、ノズル装置15を形成する。管路部24は、ノズル装置15を形成する層の積層途中において、切削加工されても良い。ノズル装置15を形成する層の積層途中において、例えば管路部24の、下方に向く面以外の面は、切削加工され得る。
ノズル装置15は、積層造形以外の方法によって形成されても良い。例えば、切削によって管路部24の一部がそれぞれ形成された複数の部材を互いに接合させることで、ノズル装置15が形成されても良い。
第1の実施の形態に係る処置装置10において、供給口22とそれぞれの吐出口23との間の各経路の経路長と構造とは、互いに同一である。このため、供給口22に供給される不活性ガスGの流量にかかわらず、複数の吐出口23から吐出される不活性ガスGの流出量がより均等になる。言い換えると、複数の吐出口23から吐出される不活性ガスGの流出量の分布が、供給口22に供給される不活性ガスGの流量によって変化することが抑制される。
管路部24の断面積は、供給口22から吐出口23に向かうに従って狭くなる。これにより、管路部24を流れる不活性ガスGの圧力損失が低減されるとともに、複数の吐出口23から吐出される不活性ガスGの流出量がより均等になる。
ノズル装置15は、三次元プリンタによって積層造形される。これにより、管路部24を切削によって形成する場合に比べ、管路部24の形状がより自由に設定され得る。さらに、供給口22と吐出口23がより自由に配置され得る。
第1の部分41の一方の端部41aの断面積が、第1の部分41の他方の端部41bの断面積よりも狭い。これにより、例えば他の分岐部31の第2の部分42から第1の部分41に流入した不活性ガスGが慣性力によって第1の部分41の内部で偏在していたとしても、断面積がより狭い第1の部分41の一方の端部41aで集められて、接合部43を通り複数の第2の部分42に送られる。これにより、複数の第2の部分42により均等に不活性ガスGが送られる。したがって、複数の吐出口23から最終的に吐出される不活性ガスGの流出量がより均等になる。
他の分岐部31の第2の部分42から第1の部分41に流入する不活性ガスGは、慣性力によって第2の部分42が延びる方向(X軸に沿う方向)に偏在する。これに対し、第1の部分41の一方の端部41aの長さL1は、第1の部分41の他方の端部41bの長さL2よりも短い。長さL1,L2は、第1の部分41が延びる方向からの平面視において、第1の部分41と直交する、他の分岐部31の第2の部分42が延びる方向の長さである。これにより、第1の部分41から第2の部分42に送られる不活性ガスGの偏在がより解消され、複数の第2の部分42により均等に不活性ガスGが送られる。
第1の部分41の一方の端部41aの長さL1は、第1の部分41の他方の端部41bの長さL2の8割以下である。長さL2がこのように設定されることで、図6に示すように、複数の第2の部分42により均等に不活性ガスGが送られる。
第1の部分41の断面形状は、X軸に沿う方向における長さ(第1の部分41が延びる方向からの平面視における第1の部分41と直交する他の分岐部31の第2の部分42が延びる方向の長さ)が、Z軸に沿う方向における長さ(Y軸に沿う方向と直交するとともに第2の部分42が延びる方向とも直交する方向の長さ)よりも短い。これにより、例えば他の分岐部31の第2の部分42から連結部44を通って第1の部分41に流入した不活性ガスGが慣性力によって第1の部分41の内部で偏在することが抑制され、接合部43を通って複数の第2の部分42に送られる。さらに、例えば三次元プリンタによって積層造形する場合に、切削によって管路部24の表面を滑らかにできる部分がより広く確保され得る。さらに、X軸に沿う方向における長さがZ軸に沿う方向における長さに対して同一又はより長い場合に比べて、第1の部分41における不活性ガスGのX軸に沿う方向における偏在が抑制される。
以下に、第2の実施の形態について、図7及び図8を参照して説明する。なお、以下の複数の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
図7は、第2の実施の形態に係る分岐部31の形状を示す平面図である。図7に示すように、第2の実施形態において、第1の部分41の一方の端部41aの、X軸に沿う方向における長さL1は、第1の部分41の他方の端部41bの、X軸に沿う方向における長さL2と等しい。図7は、長さL2のみを示す。
第1の部分41の一方の端部41aから他方の端部41bまでの長さL3は、第1の部分41のX軸に沿う方向における長さL1,L2よりも長い。長さL3は、例えば、長さL1,L2の5倍以上である。なお、長さL3はこれに限らない。
図8は、第1の部分41のアスペクト比に対する、二つの第2の部分42への不活性ガスGの分岐誤差を示すグラフである。図8の横軸は、長さL1,L2に対する長さL3の比率(アスペクト比)を示す。図8の縦軸は、二つの第2の部分42にそれぞれ流入する不活性ガスGの偏り(分岐誤差)を示す。
図8に示すように、アスペクト比が5以上になることで、分岐誤差がより小さくなる。すなわち、長さL3が長さL1,L2の5倍以上に設定されることで、分岐誤差がより効果的に低減される。さらに、アスペクト比が8以上になることで、分岐誤差がさらに小さくなる。
第2の実施形態の処理装置10において、第1の部分41の一方の端部41aから他方の端部41bまでの長さL3が、第1の部分41の長さL1,L2の5倍以上である。これにより、例えば他の分岐部31の第2の部分42から第1の部分41に流入した不活性ガスGが慣性力によって第1の部分41の内部で偏在していたとしても、第1の部分41を通過する間に不活性ガスGの偏在がほぼ解消され、接合部43を通って複数の第2の部分42に送られる。これにより、図8に示すように、複数の第2の部分42により均等に不活性ガスGが送られる。したがって、複数の吐出口23から最終的に吐出される不活性ガスGの流出量がより均等になる。
以下に、第3の実施の形態について、図9を参照して説明する。図9は、第3の実施の形態に係る分岐部31の形状を示す平面図である。図9に示すように、第3の実施形態の第2の部分42は、接合部43から、Y軸に対して交差角度θだけ交差する方向にそれぞれ延びる。すなわち、二つの第2の部分42は、第1の部分41が延びる方向に対して鏡面対称及び回転対称にそれぞれ延びる。なお、第2の部分42はこれに限らない。
交差角度θは、例えば、90度より小さく0度よりも大きい。このため、第2の部分42は、Y軸に沿う方向において、第1の部分41の一方の端部41aから他方の端部41bに近づくように延びる。
第3の実施形態の処理装置10において、第2の部分42は、接合部43から、Y軸と交差角度θで交差する方向にそれぞれ延びる。交差角度θは、90度より小さい。これにより、Y軸に沿う方向における第1の部分41の長さL3をより長くしつつ、Y軸に沿う方向における管路部24全体の長さをより短くすることができ、ノズル装置15が小型化され得る。
さらに、Y軸に沿う方向において、第1の部分41を流れる不活性ガスGの進行方向と、第2の部分42を流れる不活性ガスGの進行方向とが反対になる。これにより、接合部43において不活性ガスGの慣性力が低減され、複数の第2の部分42により均等に不活性ガスGが送られる。
図10は、第3の実施形態の分岐部31の変形例を示す平面図である。図10に示すように、当該変形例の第2の部分42は、直交部42aと、傾斜部42bとをそれぞれ有する。
直交部42aは、接合部43から、X軸に沿う方向にそれぞれ直線状に延びる。言い換えると、直交部42aは、Y軸と90度交差する方向にそれぞれ延びる。このため、第1の部分41の一方の端部41aに対向する接合部43の内面も、Y軸と90度交差する方向に延びる。
傾斜部42bは、直交部42aから、Y軸に対して交差角度θだけ交差する方向にそれぞれ延びる。交差角度θは、90度より小さい。直交部42a及び傾斜部42bをそれぞれ有する二つの第2の部分42は、第1の部分41が延びる方向に対して鏡面対称及び回転対称にそれぞれ延びる。
図10の分岐部31のように、接合部43の、第1の部分41の一方の端部41aに対向する内面は、第1の部分41が延びる方向に対して直交しても良い。また、第2の部分42は、図10の第2の部分42のように曲げられた形状を有しても良い。
以下に、第4の実施の形態について、図11を参照して説明する。図11は、第4の実施の形態に係る分岐部31の形状を示す平面図である。図11に示すように、分岐部31は、振り分け部45を有する。
振り分け部45は、第1の部分41の一方の端部41aに面する位置で、接合部43に設けられる。なお、振り分け部45の一部が、第2の部分42に設けられても良い。
振り分け部45は、第1の部分41の一方の端部41aに対して窪んでいる。言い換えると、振り分け部45は、第1の部分41の一方の端部41aから遠ざかるように形成された凹部である。
第1の部分41から接合部43に流入した不活性ガスGは、慣性力によって、凹部である振り分け部45に入る。不活性ガスGは、振り分け部45で慣性力を低減された状態で、二つの第2の部分42に送られる。
第4の実施形態の処理装置10において、振り分け部45が、第1の部分41の一方の端部41aに面する位置で接合部43に設けられ、一方の端部41aに対して窪んでいる。窪んだ振り分け部45は、第1の部分41の一方の端部41aから接合部43に流入した不活性ガスGを受け止め、勢いを減じた後に当該不活性ガスGを第2の部分42に送る。このため、複数の第2の部分42に、より均等に不活性ガスGが送られ得る。
振り分け部45は、第1の部分41の一方の端部41aに対し突出しても良い。この場合、突出した振り分け部45は、第1の部分41の一方の端部41aから接合部43に流入した不活性ガスGの流れを分割し、二つの第2の部分42に誘導する。これにより、振り分け部45は、複数の第2の部分42により均等に不活性ガスGを送ることができる。
以下に、第5の実施の形態について、図12及び図13を参照して説明する。図12は、第5の実施の形態に係るノズル装置15を概略的に示す平面図である。図12に示すように、第5の実施形態のノズル装置15は、第1の供給口61と、複数の第1の吐出口62と、第1の管路部63と、第2の供給口64と、複数の第2の吐出口65と、第2の管路部66とを有する。第1の供給口61は、第1の開口部の一例である。第1の吐出口62は、第2の開口部の一例である。第2の供給口64は、第3の開口部の一例である。第2の吐出口65は、第4の開口部の一例である。
第1の供給口61、複数の第1の吐出口62、第1の管路部63、第2の供給口64、複数の第2の吐出口65、及び第2の管路部66は、基体21に設けられる。複数の第1の吐出口62と、複数の第2の吐出口65とは、基体21の同一の面21cに設けられる。第1の管路部63と第2の管路部66とは、基体21の内部に設けられる。
第1の供給口61と第2の供給口64とは、ポンプ13にそれぞれ接続される。制御部11は、ポンプ13を制御することで、ポンプ13から第1の供給口61と第2の供給口64とのいずれか一方に選択的に不活性ガスGを供給する。
第1の管路部63は、第1の供給口61と複数の第1の吐出口62とを接続する流路である。言い換えると、第1の管路部63の一方の端部に第1の供給口61が設けられ、第1の管路部63の他方の端部に第1の吐出口62が設けられる。第1の管路部63は、複数の分岐部31と、複数の第1のノズル部71とを有する。第1の管路部63の分岐部31は、第1の分岐部の一例である。
第1の管路部63の分岐部31は、第1の実施形態の分岐部31と同じく、第1の供給口61から第1の吐出口62に向かう経路を途中で二つに分岐させる部分である。本実施形態において、複数の分岐部31は、第1の供給口61から第1の吐出口62に向かう経路を二段階に分岐する。言い換えると、第1の管路部63は、第1の供給口61から第1の吐出口62に向かう経路において二回分岐される。
第2の管路部66は、第2の供給口64と複数の第2の吐出口65とを接続する流路である。言い換えると、第2の管路部66の一方の端部に第2の供給口64が設けられ、第2の管路部66の他方の端部に第2の吐出口65が設けられる。第2の管路部66は、複数の分岐部31と、複数の第2のノズル部72とを有する。第2の管路部66の分岐部31は、第2の分岐部の一例である。
第2の管路部66の分岐部31は、第1の実施形態の分岐部31と同じく、第2の供給口64から第2の吐出口65に向かう経路を途中で二つに分岐させる部分である。本実施形態において、複数の分岐部31は、第2の供給口64から第2の吐出口65に向かう経路を二段階に分岐する。言い換えると、第2の管路部66は、第2の供給口64から第2の吐出口65に向かう経路において二回分岐される。
第1の管路部63の分岐部31と、第2の管路部66の分岐部31とは、第1の実施形態と同じく、第1の部分41と、二つの第2の部分42と、接合部43とをそれぞれ有する。第2の管路部66の第1の部分41は、第3の部分の一例である。第2の管路部66の第2の部分42は、第4の部分の一例である。第1の実施形態と同じく、第1の部分41は、Y軸に沿う方向に直線状に延びる。
第1の実施形態と同じく、第2の部分42は、接合部43によって第1の部分41の一方の端部41aに接続される。第2の部分42は、接合部43から、X軸に沿う方向にそれぞれ直線状に延びる。言い換えると、第2の部分42は、Y軸と90度交差する方向にそれぞれ延びる。
第1の管路部63において、第1の供給口61とそれぞれの第1の吐出口62との間における経路長は同一である。さらに、第1の管路部63において、第1の供給口61とそれぞれの第1の吐出口62との間における分岐部31の数は同一である。加えて、各段階における分岐部31の形状及び大きさは、互いに同一である。このように、第1の供給口61とそれぞれの第1の吐出口62との間の各経路の経路長と構造とは、互いに同一である。このため、第1の供給口61とそれぞれの第1の吐出口62との間の経路を流れる流体に作用する抵抗はそれぞれ等しい(等コンダクタンス)。
同様に、第2の管路部66において、第2の供給口64とそれぞれの第2の吐出口65との間における経路長は同一である。さらに、第2の管路部66において、第2の供給口64とそれぞれの第2の吐出口65との間における分岐部31の数は同一である。加えて、各段階における分岐部31の形状及び大きさは、互いに同一である。このように、第2の供給口64とそれぞれの第2の吐出口65との間の各経路の経路長と構造とは、互いに同一である。このため、第2の供給口64とそれぞれの第2の吐出口65との間の経路を流れる流体に作用する抵抗はそれぞれ等しい(等コンダクタンス)。
第1の管路部63の第1の供給口61と第1の吐出口62との間における経路長は、第2の管路部66の第2の供給口64と第2の吐出口65との間における経路長と等しい。ただし、第1の管路部63の分岐部31の第1及び第2の部分41,42の寸法と、第2の管路部66の分岐部31の第1及び第2の部分41,42の寸法とは異なって良い。
第1のノズル部71は、第1の供給口61から第1の吐出口62に向かう経路において、最も第1の吐出口62に近い分岐部31の第2の部分42と、対応する第1の吐出口62とを接続する。第1のノズル部71は、第1の吐出口62に接続されるとともに、Y軸に対して傾斜して延びる第1の傾斜部71aを有する。第1の傾斜部71aは、例えば、図12における右斜め上に向かって延びる。
第2のノズル部72は、第2の供給口64から第2の吐出口65に向かう経路において、最も第2の吐出口65に近い分岐部31の第2の部分42と、対応する第2の吐出口65とを接続する。第2のノズル部72は、第2の吐出口65に接続されるとともに、Y軸に対して傾斜して延びる第2の傾斜部72aを有する。第2の傾斜部72aは、例えば、図12における左斜め上に向かって延びる。
図13は、第1の傾斜部71aと第2の傾斜部72aとを拡大して示す断面図である。図13に示すように、第1のノズル部71の第1の傾斜部71aと、第2のノズル部72の第2の傾斜部72aとは、互いに交差して接続される。第1の傾斜部71aと第2の傾斜部72aとは、図13に示すように90度に交差しても良いし、他の角度で交差しても良い。
第1のノズル部71の第1の傾斜部71aは、第1の縮径部75を有する。第1の縮径部75は、第1の供給口61から第1の吐出口62に向かう経路において、第2の傾斜部72aに接続された部分よりも第1の供給口61に近い位置(上流側)に設けられる。例えば、第1の縮径部75は、第1の傾斜部71aの、第2の傾斜部72aに接続された部分に隣接して設けられる。
第1の縮径部75は、第1のノズル部71の断面積を縮小する部分である。すなわち、第1の縮径部75の断面積は、第1のノズル部71の他の部分の断面積よりも小さい。第1の縮径部75は、例えば、第1のノズル部71の内面から突出する壁によって形成される。
第2のノズル部72の第2の傾斜部72aは、第2の縮径部76を有する。第2の縮径部76は、第2の供給口64から第2の吐出口65に向かう経路において、第1の傾斜部71aに接続された部分よりも第2の供給口64に近い位置(上流側)に設けられる。例えば、第2の縮径部76は、第2の傾斜部72aの、第1の傾斜部71aに接続された部分に隣接して設けられる。
第2の縮径部76は、第2のノズル部72の断面積を縮小する部分である。すなわち、第2の縮径部76の断面積は、第2のノズル部72の他の部分の断面積よりも小さい。第2の縮径部76は、例えば、第2のノズル部72の内面から突出する壁によって形成される。
このようなノズル装置15において、ポンプ13から、例えば第1の供給口61に不活性ガスGが供給されると、複数の分岐部31を不活性ガスGが通過する。不活性ガスGは、分岐部31によって二回にわたって二分割され、第1のノズル部71に流入する。
第1の縮径部75において、第1のノズル部71の断面積が縮小される。このため、第1の縮径部75を通ることで、不活性ガスGの流速が加速する。加速した不活性ガスGは、第2の傾斜部72aとの接続部分を通過し、第1のノズル部71の端部に位置する第1の吐出口62から吐出される。
ポンプ13から、第2の供給口64に不活性ガスGが供給された場合も、同様である。すなわち、第2の縮径部76を通ることで、不活性ガスGの流速が加速する。加速した不活性ガスGは、第1の傾斜部71aとの接続部分を通過し、第2のノズル部72の端部に位置する第2の吐出口65から吐出される。不活性ガスGが第2の吐出口65から吐出される方向は、不活性ガスGが第1の吐出口62から吐出される方向と異なる。
第5の実施形態の処理装置10において、第1のノズル部71は、第1の供給口61から第1の吐出口62に向かう経路において、第2のノズル部72に接続された部分よりも第1の供給口61に近い位置に設けられ、第1のノズル部71の断面積を縮小する第1の縮径部75を有する。これにより、第1のノズル部71を通って第1の吐出口62に向かう不活性ガスGは、第1の縮径部75によって流速を加速させられ、第1の吐出口62に向かってより直進しやすくなる。これにより、第1のノズル部71の不活性ガスGが第2のノズル部72に入り込むことが抑制される。同様に、第2のノズル部72の不活性ガスGが第1のノズル部71に入り込むことが抑制される。
なお、第5の実施形態において、ポンプ13の不活性ガスGは、選択的に第1の供給口61及び第2の供給口64のいずれか一方に供給された。しかし、処理装置10は、第1の供給口61及び第2の供給口64のいずれか一方に不活性ガスGを供給可能な切換え弁を有しても良い。
以上の複数の実施形態における管路部24,63,66はXY平面上に延びるが、管路部24,63,66は、これに限らない。例えば、二つ以上のXY平面上に延びる管路部が、Z軸に沿う方向に重ねられるとともに互いに接続され、複数階層を形成しても良い。これにより、ノズル装置15はXY平面においてより小型化され得る。
以下に、第6の実施の形態について、図14を参照して説明する。図14は、第6の実施の形態に係るノズル装置15を示す斜視図である。図14に示すように、第6の実施形態のノズル装置15は、一つの供給口22と、四つの吐出口23と、管路部24とを有する。
第6の実施形態の管路部24において、分岐部31は、一つの第1の部分41と、四つの第2の部分42と、一つの接合部43と、を有する。すなわち、本実施形態において、分岐部31は、供給口22から吐出口23に向かう経路を途中で四つに分岐させる。第1の部分41は、Y軸に沿う方向に直線状に延びる。
一つの接合部43は、四つの第2の部分42を、第1の部分41の一方の端部41aに接続する。四つのうち二つの第2の部分42は、接合部43から、X軸に沿う方向にそれぞれ直線状に延びる。一方、他の二つの第2の部分42は、接合部43から、Z軸に沿う方向にそれぞれ直線状に延びる。
上記のように、四つの第2の部分42は、Y軸と90度交差する方向にそれぞれ延びる。また、四つの第2の部分42は、互いに90度交差する方向にそれぞれ延びる。すなわち、二つの第2の部分42は、第1の部分41が延びる方向に対して回転対称にそれぞれ延びる。四つの第2の部分42は、四つの連結部44及び四つのノズル部32によって、対応する吐出口23にそれぞれ接続される。
第6の実施形態の処理装置10において、管路部24は三次元方向に延び、四つの第2の部分42がY軸と90度交差する方向にそれぞれ延びる。このように、三つ以上の第2の部分42が、第1の部分41の一方の端部41aから延びても良い。
なお、複数の第2の部分42は、第1の部分41が延びる方向と交差する角度(交差角度θ)が同一であれば、互いに交差する角度(分岐角度θd)が異なっていても良い。すなわち、図14におけるXZ平面における第2の部分42どうしが交差する角度(分岐角度θd)は、ばらばらであっても良い。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、第1の部分の一方の端部の断面積が、第1の部分の他方の端部の断面積よりも狭い。これにより、複数の第2の開口部を通過する流体の流量がより均等になる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、上記複数の実施形態において、流体の一例である不活性ガスGが、第1の開口部の一例である供給口22から供給され、複数の第2の開口部の一例である複数の吐出口23から吐出された。しかし、流体が複数の第2の開口部から吸引されるとともに、第1の開口部から排出されても良い。