JP2016086952A - 移動体の挙動計測方法および挙動計測装置 - Google Patents
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Abstract
Description
ここで、計測対象となる移動体は高速で移動するため、通常のカメラでは撮影が困難である。高速で移動する移動体の画像を撮影する方法としては、フレームレートが高い高速ビデオを用いる方法の他、例えば1枚の画像を撮影する間に複数回シャッタを開閉する方法や(下記特許文献1参照)、1回シャッタを開閉する間に複数回のストロボ露光をする多重露光による方法(下記特許文献2参照)が知られている。
前記第1の撮影工程で撮影された第1の画像と、前記第2の撮影工程で撮影された第2の画像と、前記ドップラー信号とに基づいて、前記移動体の移動方向、回転軸方向およびスピン成分を算出する挙動算出工程と、を含んだことを特徴とする。
請求項2の発明にかかる移動体の挙動計測方法は、前記挙動算出工程では、前記移動体が移動開始してから前記第2の画像が撮影されるまでの経過時間と前記ドップラー信号とに基づいて前記移動体の移動速度を更に算出する、ことを特徴とする。
請求項3の発明にかかる移動体の挙動計測方法は、前記第1の撮影工程および前記第2の撮影工程では、同一の撮影領域内の画像を撮影し、前記挙動算出工程では、前記第1の画像における前記移動体の位置と前記第2の画像における前記移動体の位置との変位方向を前記移動方向として算出する、ことを特徴とする。
請求項4の発明にかかる移動体の挙動計測方法は、前記移動体は、直径が既知のボールであり、前記挙動算出工程では、前記第1の画像および前記第2の画像における前記ボールの直径の比率に基づいて、前記第1の撮影工程および前記第2の撮影工程における撮影方向と直交する方向の前記移動方向を算出する、ことを特徴とする。
請求項5の発明にかかる移動体の挙動計測方法は、前記第1の撮影工程および前記第2の撮影工程では、複数台のカメラを用いて前記移動体の画像を撮影し、前記挙動算出工程では、前記複数台のカメラでそれぞれ撮影された複数の前記第1の画像に基づいて移動開始前の前記移動体の3次元空間上の位置を特定し、前記複数台のカメラでそれぞれ撮影された複数の前記第2の画像に基づいて移動開始後の前記移動体の3次元空間上の位置を特定し、移動開始前後における前記移動体の3次元空間上の位置の差分に基づいて前記移動方向を算出する、ことを特徴とする。
請求項6の発明にかかる移動体の挙動計測方法は、前記ドップラーセンサは複数のチャンネルを有し、前記挙動算出工程では、前記複数のチャンネルでそれぞれ得られた前記ドップラー信号に基づいて上下方向および左右方向の前記移動方向を算出する、ことを特徴とする。
請求項7の発明にかかる移動体の挙動計測方法は、前記挙動算出工程では、前記第1の画像における前記図柄の位置および向きと前記第2の画像における前記図柄の位置および向きとの差分から前記回転軸方向を算出する、ことを特徴とする。
請求項8の発明にかかる移動体の挙動計測方法は、前記移動体は、打撃具によって打撃されることによって移動を開始し、前記配置検知工程では、前記ドップラーセンサによって前記打撃具による打撃挙動の開始を検知することにより、前記移動体が前記移動開始地点に配置されたことを検知する、ことを特徴とする。
請求項9の発明にかかる移動体の挙動計測方法は、前記配置検知工程では、外部から入力される配置完了信号を検知することにより、前記移動体が前記移動開始地点に配置されたことを検知する、ことを特徴とする。
請求項10の発明にかかる移動体の挙動計測方法は、前記移動体は、打撃具によって打撃されることによって移動を開始し、前記移動開始検知工程では、前記打撃具による前記移動体の打撃音を検知して前記移動体が移動を開始したことを検知する、ことを特徴とする。
請求項11の発明にかかる移動体の挙動計測方法は、前記移動開始地点周辺の温度を検知する温度検知工程を更に含み、前記移動開始検知工程では、前記移動開始地点周辺の温度に基づいて前記移動体の移動開始したタイミングを補正する、ことを特徴とする。
請求項12の発明にかかる移動体の挙動計測装置は、移動体の挙動を計測する移動体の挙動計測装置であって、前記移動体が移動開始地点に配置されたことを検知する配置検知手段と、前記移動体が移動を開始したことを検知する移動開始検知手段と、前記移動開始地点を撮影領域に含むよう配置された撮影手段と、前記配置検知手段および前記移動開始検知手段による検知結果に基づいて、前記撮影手段による撮影動作を制御する撮影制御手段と、前記移動体に向けて送信波を送信するとともに、前記移動体で反射された反射波を受信し、ドップラー周波数を有するドップラー信号を計測するドップラーセンサと、前記移動開始地点に配置された状態の前記移動体の画像である第1の画像と、移動開始後の前記移動体の画像である第2の画像と、前記ドップラー信号とに基づいて、前記移動体の移動方向、回転軸方向およびスピン成分を算出する挙動算出手段と、を備えることを特徴とする。
請求項13の発明にかかる移動体の挙動計測装置は、前記挙動算出手段は、前記移動体が移動開始してから前記第2の画像が撮影されるまでの経過時間と前記ドップラー信号とに基づいて前記移動体の移動速度を更に算出する、ことを特徴とする。
請求項14の発明にかかる移動体の挙動計測装置は、前記撮影手段は、同一の撮影領域で前記第1の画像および前記第2の画像を撮影し、前記挙動算出手段は、前記第1の画像における前記移動体の位置と前記第2の画像における前記移動体の位置との変位方向を前記移動方向として算出する、ことを特徴とする。
請求項15の発明にかかる移動体の挙動計測装置は、前記移動体は、直径が既知のボールであり、前記挙動算出手段は、前記第1の画像および前記第2の画像における前記ボールの直径の比率に基づいて、前記撮影手段の撮影方向と直交する方向の前記移動方向を算出する、ことを特徴とする。
請求項16の発明にかかる移動体の挙動計測装置は、前記撮影手段は、複数台のカメラであり、前記挙動算出手段は、前記複数台のカメラでそれぞれ撮影された複数の前記第1の画像に基づいて移動開始前の前記移動体の3次元空間上の位置を特定し、前記複数台のカメラでそれぞれ撮影された複数の前記第2の画像に基づいて移動開始後の前記移動体の3次元空間上の位置を特定し、移動開始前後における前記移動体の3次元空間上の位置の差分に基づいて前記移動方向を算出する、ことを特徴とする。
請求項17の発明にかかる移動体の挙動計測装置は、前記ドップラーセンサは複数のチャンネルを有し、前記挙動算出手段は、前記複数のチャンネルでそれぞれ得られた前記ドップラー信号に基づいて上下方向および左右方向の前記移動方向を算出する、ことを特徴とする。
請求項18の発明にかかる移動体の挙動計測装置は、前記移動体は、全方位から視認可能な図柄を有し、前記挙動算出手段は、前記第1の画像における前記図柄の位置および向きと前記第2の画像における前記図柄の位置および向きとの差分から前記回転軸方向を算出する、ことを特徴とする。
請求項19の発明にかかる移動体の挙動計測装置は、前記移動体は、打撃具によって打撃されることによって移動を開始し、前記配置検知手段は、前記ドップラーセンサによって前記打撃具による打撃挙動の開始を検知することにより、前記移動体が前記移動開始地点に配置されたことを検知する、ことを特徴とする。
請求項20の発明にかかる移動体の挙動計測装置は、前記配置検知手段は、外部から入力される配置完了信号を検知することにより、前記移動体が前記移動開始地点に配置されたことを検知する、ことを特徴とする。
請求項21の発明にかかる移動体の挙動計測装置は、前記移動体は、打撃具によって打撃されることによって移動を開始し、前記移動開始検知手段は、前記打撃具による前記移動体の打撃音を検知して前記移動体が移動を開始したことを検知する、ことを特徴とする。
請求項22の発明にかかる移動体の挙動計測装置は、前記移動開始地点周辺の温度を検知する温度検知手段を更に備え、前記移動開始検知手段は、前記移動開始地点周辺の温度に基づいて前記移動体の移動開始したタイミングを補正する、ことを特徴とする。
請求項2および請求項13の発明によれば、移動体の移動方向や回転軸方向に加えて移動速度を計測するので、より詳細な移動体の挙動情報を得ることができる。
請求項3および請求項14の発明によれば、2枚の画像における移動体の位置の変位方向を移動方向として算出するので、画像平面内における移動方向を簡易に計測することができる。
請求項4および請求項15の発明によれば、2枚の画像における移動体(ボール)の直径の比率に基づいて撮影方向(画像平面)と直交する方向の移動方向を算出するので、3次元空間内における移動体の移動方向を計測することができ、より詳細な移動体の挙動情報を得ることができる。
請求項5および請求項16の発明によれば、請求項5および請求項16の発明によれば、複数台のカメラを用いたステレオ撮影によって移動体の移動方向を算出するので、特に撮影方向(画像平面)と直交する方向の移動方向をより正確に算出することができる。
請求項6および請求項17の発明によれば、マルチチャンネルのドップラーセンサを用いて上下方向および左右方向の移動方向を算出するので、より精度高く移動体の移動方向、特に左右方向の移動方向を計測することができる。
請求項7および請求項18の発明によれば、2枚の画像における図柄の位置および向きの差分から回転軸方向を算出するので、ドップラーセンサ等でも測定が困難な回転軸方向を容易に計測することができる。
請求項8および請求項19の発明によれば、打撃具による打撃挙動の開始を検知することによって移動体が移動開始地点に配置されたことを検知するので、計測者が操作等を行うことなく第1の画像を撮影することができ、計測操作を簡素化することができる。
請求項9および請求項20の発明によれば、外部から入力される配置完了信号を検知することによって移動体が移動開始地点に配置されたことを検知するので、打撃具による打撃挙動の開始を検知するのと比較して、より確実に移動体が移動開始地点に配置されたことを検知することができる。
請求項10および請求項21の発明によれば、打撃具による移動体の打撃音を検知して移動体が移動を開始したことを検知するので、マイクを用いて容易かつ短時間のうちに移動体の移動開始を検知することができる。
請求項11および請求項22の発明によれば、移動開始地点周辺の温度に基づいて移動体の移動開始したタイミングを補正するので、移動体の移動開始したタイミングをより正確に特定することができる。
本実施の形態では、移動体の一例として、ゴルフクラブ22によって打撃されて移動するゴルフボール20を挙げて説明する。
図1は、実施の形態にかかる移動体の挙動計測装置10の概略構成を示す説明図である。
図1Aは挙動計測装置10の構成を側面から見た図であり、図1Bは図1Aにおけるゴルフボール20の周辺を上面から見た図である。
図1Aには、ゴルフクラブ22によってゴルフボール20を打撃しようとする計測者(プレイヤー)Iが示されている。ゴルフボール20は、地面(水平面)Gに差し込まれたティー24上に載置されており、この状態でゴルフクラブ22により打撃され、移動を開始する。すなわち、図1Aの例では、ティー24上のゴルフボール20の位置が移動開始地点P0となる。
なお、ゴルフボール20をティー24に載置した状態で計測を行うか、地面Gに載置した状態で計測を行うか、すなわち、ティー24上のゴルフボール20の位置を移動開始地点とするか、地面G上のゴルフボール20の位置を移動開始地点とするかは計測者Iの任意である。
また、符号Xは、ゴルフクラブ22によってゴルフボール20を打撃した際の目標移動方向である。以下、挙動計測装置10が設置された空間の座標の原点を移動開始地点P0とし、目標移動方向Xを向き地面Gと平行な方向にx軸、重力方向と反対方向をz軸、x軸およびz軸と直交する方向をy軸とする。なお、図1では図示の都合上、各座標軸を原点である移動開始地点P0から離れた位置に図示している。
また、符号Mは、ゴルフボール20の表面に付与されたマークである。
カメラ12は、静止画を撮影するカメラであり、ゴルフボール20の移動開始地点P0を含む領域を撮影領域とするように設置される。本実施の形態では、カメラ12は地面G付近に固定して設置されており、図1Bに示すように移動開始地点P0を含む撮影領域H内を撮影する。
カメラ12によって撮影された画像は、後述するコンピュータ18へと出力される。
また、カメラ12の撮影タイミングは、後述するコンピュータ18の撮影制御手段108で制御される。
照明13は、カメラ12の撮影タイミングに連動して点灯し、撮影領域H付近を明るくする。これにより、撮影画像にゴルフボール20を鮮明に映すことができる。
なお、図1Bではカメラ12と後述するドップラーセンサ15との位置関係を明確にするため、照明13の図示を省略している。
マイク14は、周囲の音声を集音して音声信号としてコンピュータ18へと出力される。
本実施の形態では、マイク14はゴルフボール20の打撃音を集音し、ゴルフボール20の移動開始を検知するために設けられている。
なお、図1Bではカメラ12と後述するドップラーセンサ15との位置関係を明確にするため、マイク14の図示を省略している。
ドップラー信号とは、送信波W1の周波数F1と受信波W2の周波数F2との差分の周波数F1−F2で定義されるドップラー周波数Fdを有する信号である。
ドップラーセンサ15は、市販されている種々のものが使用可能である。
なお、前記の送信波W1としては、例えば、24GHzのマイクロ波が使用可能であり、ドップラー信号Sdを得られるものであれば送信波W1の周波数は限定されない。
ドップラーセンサ15のアンテナ部152は指向性を有しており、本実施の形態では、アンテナ部152の指向方向Nがゴルフボール20の目標移動方向X(x軸)と一致するように設置される。すなわち、ドップラーセンサ15は移動開始地点P0の後方に、アンテナ部152を目標移動方向Xに向けて設置される。
なお、実施の形態1では、ドップラーセンサ15のチャンネル数は1(アンテナ部152が1つ)である。
また、図1Aではx軸方向から挙動計測装置10を図示しているので、ドップラーセンサ15の図示を省略している。
温度センサ16によって検知された温度は、後述するコンピュータ18へと出力される。
本実施の形態では、温度センサ16はマイク14で集音した打撃音の発生時刻をより正確に推定するために設けられている。
図2は、コンピュータ18の構成を示すブロック図である。
コンピュータ18は、CPU1802と、不図示のインターフェース回路およびバスラインを介して接続されたROM1804、RAM1806、ハードディスク装置1808、ディスク装置1810、キーボード1812、マウス1814、ディスプレイ1816、プリンタ1818、入出力インターフェース1820などを有している。
ROM1804は制御プログラムなどを格納し、RAM1806はワーキングエリアを提供するものである。
ハードディスク装置1808はゴルフボール20の挙動の計測を行うための専用のプログラム(挙動計測プログラム)を格納している。
ディスク装置1810はCDやDVDなどの記録媒体に対してデータの記録および/または再生を行うものである。
キーボード1812およびマウス1814は、操作者による操作入力を受け付けるものである。
ディスプレイ1816はデータを表示出力するものであり、プリンタ1818はデータを印刷出力するものであり、ディスプレイ1816およびプリンタ1818によってデータを出力する。
入出力インターフェース1820は、カメラ12、マイク14、ドップラーセンサ15、温度センサ16等との間でデータの授受を行うものである。
また、図1ではドップラーセンサ15やカメラ12等と、コンピュータ18とを配線で接続して図示しているが、これらの機器間の通信を無線通信で行ってもよい。
また、コンピュータ18(スマートホンやタブレット等を含む)がカメラ12やマイク14を備えている場合には、コンピュータ18が備えるカメラ12やマイク14を用いて画像の撮影や音声の集音を行ってもよい。この場合、挙動計測装置10を構成する機器の数を少なくして、機器の設置の手間やスペースを省くことができる。
挙動計測装置10は、機能的には、配置検知手段102、移動開始検知手段104、撮影手段106、撮影制御手段108、挙動算出手段110、温度検知手段112によって構成される。
これらの構成のうち、撮影制御手段108および挙動算出手段110は、上述したコンピュータ18のCPU1802が挙動計測プログラムを実行することによって実現する。
本実施の形態のようにゴルフボール20の移動開始地点がティー24上である場合、配置検知手段102は、ゴルフボール20がティー24上に配置されたことを検知する。
本実施の形態では、例えばドップラーセンサ15によって配置検知手段102を実現する。
上述のように、ドップラーセンサ15は、図1Bに示すように移動開始地点P0の後方に、アンテナ部152を目標移動方向Xに向けて設置される。よって、ドップラーセンサ15では、x軸に沿った移動体の接近(ドップラー信号の周波数変化)を計測可能である。
ここで、計測者Iがアドレス姿勢を取ってバックスイングを行うと、ゴルフクラブ22がx軸にほぼ沿って移動するため、ドップラーセンサ15でドップラー信号の周波数変化が検知される。計測者Iがティー24(移動開始位置P0)周辺でスイング動作を行う場合、ゴルフボール20がティー24に設置されていることが予測される。よって、ドップラーセンサ15でゴルフクラブ22の接近を検知することによって、ゴルフボール20がティー24上に配置されている、すなわち移動開始地点に配置されたことを検知することができる。
すなわち、移動体であるゴルフボール20は、打撃具であるゴルフクラブ22によって打撃されることによって移動を開始し、配置検知手段102は、打撃具であるゴルフクラブ22による打撃挙動(スイング)の開始を検知することにより、移動体が移動開始地点に配置されたことを検知する。
すなわち、ゴルフボール20をティー24上に配置したことを計測者Iがコンピュータ18のキーボード1812を用いて入力したり、専用のリモコンやスイッチ等を用いて入力したりしてもよい。
本実施の形態では、マイク14によってゴルフボール20の打撃音を集音し、ゴルフボール20の移動開始を検知する。すなわち、移動開始検知手段104は、打撃具による移動体の打撃音を検知して移動体が移動を開始したことを検知する。
なお、マイク14には計測者Iの話し声等、様々な音声が集音されるため、予めゴルフボール20の打撃音を示す周波数帯を特定しておき、音声認識を用いてこの周波数帯の音声が集音されたことを識別することによって、ゴルフボール20が移動を開始したことを検知してもよい。
具体的には、ゴルフボール20の設置位置の前方が検知エリアとなるように通過検知センサを設置し、検知エリア内をゴルフボール20またはゴルフクラブ22が通過したことを検知することにより、ゴルフボール20が移動を開始したことを検知してもよい。
すなわち、移動体の移動経路上を検知領域とする通過検知センサを用いて移動体が移動を開始したことを検知するようにしてもよい。
この場合、通過検知センサの検知エリアは、後述する撮影手段106の撮影領域内にゴルフボール20が位置するうちに撮影が行えるように、ティー24のごく近傍に設定するのが好ましい。
上述のように、本実施の形態ではカメラ12が撮影手段106を構成し、移動開始地点P0であるティー24上を含むように撮影領域Hが設定されている。
撮影手段106は、高速ビデオ等の特殊なカメラである必要はなく、後述する撮影制御手段108による撮影タイミング制御によって画像(静止画)が撮影できればよい。
より詳細には、撮影制御手段108は、配置検知手段102でゴルフボール20が移動開始地点に配置されたと検知された場合、移動開始地点に配置された状態のゴルフボール20の画像(第1の画像)を撮影するように撮影手段106を制御する。また、撮影制御手段108は、移動開始検知手段104によってゴルフボール20が移動を開始したことを検知された場合、移動開始後のゴルフボール20の画像(第2の画像)を撮影するように撮影手段106を制御する。
これにより、ゴルフボール20の移動開始前後(打ち出し前後)の2枚の画像が得られる。
また、挙動算出手段110は、移動体が移動開始してから第2の画像が撮影されるまでの経過時間と、ドップラー信号とに基づいて移動体の移動速度を更に算出する。
挙動算出手段110は、移動方向算出手段1102、回転軸方向算出手段1104、移動速度算出手段1106、スピン成分算出手段1108を備える。これらは、移動体の挙動情報である、移動方向、回転軸方向、移動速度およびスピン成分をそれぞれ算出する。
図5は、撮影手段106による撮影画像の一例を模式的に示す説明図である。
図5Aは第1の画像を示し、移動開始地点に配置された状態のゴルフボール20を撮影したものであり、図5Bは第2の画像を示し、移動開始後のゴルフボール20を撮影したものである。また、図5Cは図5Bからゴルフボール20以外の要素を消去した上で、図5Aおよび図5Bを重畳している。
また、図6も、撮影手段106による撮影画像の一例を模式的に示す説明図であり、図6Aは図5Aと同一の図、図6Bはゴルフボール20がカメラ12に対して近づく方向(y座標プラス方向)に移動した場合の画像であり、図6Cはゴルフボール20がカメラ12に対して遠ざかる方向(y座標マイナス方向)に移動した場合の画像である。
まず、上下方向(x−z平面上)における移動方向θhの算出方法について説明する。
図5Cに示すように、第1の画像におけるゴルフボール20の中心点P1と第2の画像におけるゴルフボール20の中心点P2とを結ぶ線分L1と、第1の画像におけるゴルフボール20の中心点P1を通り地面Gと平行な線分L2とがなす角θhによって、上下方向(x−z平面上)の移動方向を特定することができる。
すなわち、挙動算出手段110は、第1の画像における移動体の位置と第2の画像における移動体の位置との変位方向を移動方向として算出する。
なお、カメラ12の光軸が地面Gと平行でなく、上下方向に傾いている場合は、当該傾きを補正した上で上下方向の移動方向θhを算出する。
ゴルフボール20が目標移動方向Xに対して左右方向に傾いて移動している場合には、図6に示すように移動開始前後で画像上のゴルフボール20の直径が異なる。
図6の例では、図6Aの移動開始前のゴルフボール20の直径R0に対して、図6Bのようにゴルフボール20がカメラ12に対して近づく方向に移動した場合には直径R1が大きくなり(R1>R0)、図6Cのようにゴルフボール20がカメラ12に対して遠ざかる方向に移動した場合には直径R2が小さくなる(R2<R0)。
カメラ12の撮影倍率および画角は既知であるので、移動開始前後のゴルフボール20の直径の差分に基づいて、左右方向(x−y平面上)の移動方向θwを特定することができる。
例えば、図6Bのようにゴルフボール20がカメラ12に対して近づく方向(y座標プラス方向)に移動した場合には、画像上のゴルフボール20の直径が大きいほどカメラ12方向に大きく曲がっていることになる。また、図6Cのようにゴルフボール20がカメラ12に対して遠ざかる方向(y座標マイナス方向)に移動した場合には、画像上のゴルフボール20の直径が小さいほどカメラ12と反対方向に大きく曲がっていることになる。
すなわち、挙動算出手段110は、第1の画像および第2の画像におけるゴルフボールの直径の比率に基づいて、カメラ12の撮影方向と直交する方向の移動方向を算出する。
図13は、挙動計測装置10の他の構成例を示す説明図である。
図13では、ゴルフボール20の移動開始地点P0を含む領域を撮影領域とするように2台のカメラ12A,12Bが設置されている。カメラ12A,12Bの位置や撮影方向(向き)や撮影倍率などのカメラパラメータは、予め特定されている。
このカメラ12A,12Bで、それぞれ同時にゴルフボール20の移動開始前後(打ち出し前後)の画像を撮影する。
そして、それぞれのカメラ12A,12Bで撮影した画像上におけるゴルフボール20の位置を特定し、上記のカメラパラメータを用いて移動開始前後におけるゴルフボール20の3次元空間上の位置を特定する。この移動開始前後におけるゴルフボール20の3次元空間上の位置の差分からゴルフボール20の移動方向θwを算出することができる。
すなわち、複数台のカメラ12A,12Bでそれぞれ撮影された複数の第1の画像に基づいて移動開始前の移動体の3次元空間上の位置を特定し、複数台のカメラ12A,12Bでそれぞれ撮影された複数の第2の画像に基づいて移動開始後の移動体の3次元空間上の位置を特定し、移動開始前後における移動体の3次元空間上の位置の差分に基づいて移動方向を算出するようにしてもよい。
このように、複数台のカメラを用いて撮影することによって、ゴルフボール20の移動方向θwをより精度高く算出することができる。
つぎに、回転軸方向の算出方法について説明する。
図5に示すように、ゴルフボール20にはマークMが付加されている。移動開始前後のゴルフボール20のマークMの位置および方向に基づいて、ゴルフボール20の回転軸方向を特定することができる。
回転軸方向は、例えば移動方向と同様に、上下方向における回転軸の傾きと左右方向における回転軸の傾きとによって表すことができる。
なお、ゴルフボール20に付加するマークMは、ゴルフボール20がどの方向に回転しても画像上に写るような図柄にするのが好ましい。このような図柄としては、例えば図5等のようにゴルフボール20の全周に渡って描かれた線分など従来公知の様々な図柄を用いることができる。
すなわち、移動体は全方位から視認可能な図柄を有し、挙動算出手段110は、第1の画像における図柄の位置および向きと第2の画像における図柄の位置および向きとの差分から回転軸方向を算出する。
つづいて、移動速度の算出方法について説明する。
移動速度の算出には、<1>ドップラー信号を用いた方法と<2>画像を用いた方法とがある。
従来から知られているように、ドップラー周波数Fdは式(1)で表される。
Fd=F1−F2=2・V・F1/c (1)
ただし、V:ゴルフボール20の速度、c:光速(3・108m/s)
したがって、式(1)をVについて解くと、式(2)となる。
V=c・Fd/(2・F1) (2)
すなわち、ゴルフボール20の速度Vは、ドップラー周波数Fdに比例することになる。
したがって、ドップラー信号Sdからドップラー周波数Fdの周波数成分を検出し、検出したドップラー周波数成分から式(2)に基づいてゴルフボール20の速度Vを求めることができる。
ここで、式(2)によって得られるゴルフボール20の速度Vは、アンテナ部152の指向方向と一致する方向(x軸方向)の速度成分である。よって、カメラ12で撮影した画像から算出したゴルフボール20の移動方向に基づいて、ゴルフボール20の真の移動方向を算出することができる。
なお、例えば上記式(2)によって得られる移動速度と、移動方向毎に実測された(真の)ゴルフボール20の移動速度との間の相関関係を予め取得しておき、それら2つの相関関係に基づいてゴルフボール20の移動速度を求めることも可能である。
上述した移動方向および回転軸方向の算出は移動開始前後の2枚の画像のみで行うことができるが、画像を用いて移動速度を算出するには、移動体が移動を開始してから第2の画像を撮影するまでの経過時間を特定する必要がある。
移動速度の算出には、まずゴルフボール20の移動距離を算出する。上述のようにカメラ12の撮影倍率は既知であるので、画像上の距離と実空間上の距離との比率は既知であり、第1の画像におけるゴルフボール20の位置(移動開始地点)と第2の画像におけるゴルフボール20の位置との間の距離から移動距離の上下方向成分を算出することができる。
また、移動距離の上下方向成分と左右方向(x−y平面上)の移動方向θwとから、移動距離の左右方向成分を算出することができる。
移動距離の上下方向成分および左右方向成分から、移動体の直線移動距離を算出することができる。
この時、移動開始地点とマイク14と間の距離を音速で除した値を打撃音がマイク14に到達するまでの遅れ時間として算出し、この遅れ時間をマイク14によって打撃音を検知した時刻から差し引いてもよい。
図7は、温度補正の有無による誤差を示す説明図である。
図7Aには、マイク14と移動開始地点P0との間の距離が0.5mである場合に、移動開始地点P0で発生した打撃音がマイク14に到達するまでの所要時間を示している。なお、図7では音速値の小数点以下の値を省略している。
音速値は、気温0℃の場合331m/sであり、気温35℃の場合352m/sである。
よって、打撃音がマイク14に到達するまでの所要時間は、気温0℃で1.51ms、気温35℃で1.42msとなる。
図7Bは、ゴルフボール20の移動速度別に推定される誤差を示している。
例えば、ゴルフボール20の移動速度が40m/sの場合、打撃音がマイク14に到達するまでの所要時間(図7A参照)内にゴルフボール20が移動する距離は、気温0℃で60.4mm(1.51msで移動する距離)、気温35℃で56.8mm(1.42msで移動する距離)となる。
ここで、上記のような音速値の温度補正を行わなかった場合、上記の移動距離は気温0℃と同様に1.51msで移動する距離として計算される。すなわち、気温35℃では、1.42msで移動した距離が1.51msで移動する距離として計算され、実際よりも速度が遅いように計算される。
具体的には、気温0℃では40.0m/sと正しい移動速度が算出される一方で、気温35℃では37.6m/sと算出され、実際よりも2.4m/s遅い値に(−2.4m/s)移動速度が算出される。
このような誤差はゴルフボール20の移動速度が速いほど大きくなり、速度80m/sでは−4.8m/sにもなる。
本願のような温度補正を行うことによって、上記のような誤差を防止し、より精度よく移動速度を算出することができる。
このように算出したゴルフボール20の移動距離を、ゴルフボール20が移動を開始してから第2の画像を撮影するまでの経過時間で除すことによって、2枚の画像からゴルフボール20の移動速度を算出することができる。
つづいて、スピン成分の算出方法について説明する。
ゴルフボール20のスピン成分には、サイドスピン成分とバックスピン成分とがある。上述のように、カメラ12で撮影した画像からゴルフボール20の回転軸方向は既知であるので、ドップラー信号から移動体のスピン量(スピン総量)を計測し、回転軸の方向成分(上下方向および左右方向)にスピン量を分割することにより、スピン成分を算出することができる。
図8は、ゴルフボールのスピン量を検出する原理の説明図である。
ゴルフボール20の表面のうち、送信波W1の送信方向となす角度が90度に近い表面の部分である第1部分Aでは送信波W1が効率よく反射され、したがって、第1部分Aでは反射波W2の強度が高い。
一方、ゴルフボールの表面のうち、送信波W1の送信方向となす角度が0度に近い表面の部分である第2部分B、第3部分Cでは送信波W1が効率よく反射されず、したがって、第2、第3部分B、Cでは反射波W2の強度が低い。
第2部分Bは、ゴルフボール2のスピンによって移動する方向とゴルフボールの移動方向とが反対向きとなる部分である。
第3部分Cは、ゴルフボール2のスピンによって移動する方向とゴルフボールの移動方向とが同じ向きとなる部分である。
第1部分Aで反射される反射波W2に基づいて検出される速度を第1部分速度Va、第2部分Bで反射される反射波W2に基づいて検出される速度を第2部分速度Vb、第3部分Cで反射される反射波W2に基づいて検出される速度を第3部分速度Vcとする。
すると、以下の式(3)〜(5)が成立する。
Va=Vα(3)
Vb=Va−ωr(4)
Vc=Vb+ωr(5)
(ただし、Vαはゴルフボール20の移動速度、ωは角速度(rad/s)、rはゴルフボール20の半径)
したがって、式(3)に基づいて第1部分速度Vaからゴルフボール20の移動速度Vαを算出でき、式(4)または式(5)に基づいて、第2、第3部分速度Vb,Vcから角速度ωが求められるので、角速度ωからスピン量を算出できることになる。
図9は、移動体をドップラーセンサ15で計測した場合におけるドップラー信号Sdをウェーブレット解析した結果を示す図である。
横軸は時間t(ms)、縦軸はドップラー周波数Fd(kHz)および移動体の移動速度V(m/s)を示す。また、横軸における時刻t0は、移動体が打ち出された時刻を示す。
このような線図は、たとえば、ドップラー信号Sdをサンプリングしてデジタルオシロスコープに取り込んでデジタルデータに変換し、該デジタルデータをコンピュータ18などを用いてウェーブレット解析、あるいは、FFT解析することで得られる。
図9に示す周波数分布において、ハッチングで示した部分はドップラー信号Sdの強度が大きく、実線で示した部分はドップラー信号Sdの強度がハッチングで示した部分よりも小さいことを示している。
したがって、符号DAで示す周波数分布は、信号強度が強く、第1部分速度Vaに対応する部分である。
符号DBで示す周波数分布は、周波数分布DAよりも信号強度が低く、第2部分速度Vbに対応する部分である。
符号DCで示す周波数分布は、周波数分布DAよりも信号強度が低く、第3部分速度Vcに対応する部分である。
したがって、ドップラー信号Sdの強度を周波数について解析することにより、周波数分布DA、DB、DCを特定し、それぞれの周波数分布DA、DB、DCから前記式(3)〜(5)の原理を用いることによって、第1〜第3部分速度Va、Vb、Vcを時系列データとして得ることができるのである。
挙動計測装置10は、まずドップラーセンサ15(配置検知手段102)による計測を開始し(ステップS400)、移動体が移動開始地点に配置されたことを検知する(ステップS402:配置検知工程)。本実施の形態では、ドップラー信号によりゴルフクラブ22のスイング開始が検知された場合に移動体が移動開始地点に配置されたと判断する。
移動体が移動開始地点に配置されると(ステップS402:Yes)、撮影制御手段108が撮影手段106に画像撮影を指示し、移動体が移動開始地点にある状態を第1の画像として撮影する(ステップS404:第1の撮影工程)。
つぎに、挙動計測装置10は、移動開始検知手段104によって移動体が移動を開始したことを検知する(ステップS406:移動開始検知工程)。
移動体が移動を開始すると(ステップS406:Yes)、撮影制御手段108が撮影手段106に画像撮影を指示し、移動体が移動している状態を第2の画像として撮影する(ステップS408:第2の撮影工程)。また、この間もドップラー信号の計測も継続して行う。
つづいて、挙動算出手段110によって、ドップラー信号および2枚の画像から移動方向、回転軸方向、移動速度、スピン成分など、移動体の挙動を算出する(ステップS410:挙動算出工程)。
そして、算出した挙動情報をディスプレイ1816や印刷紙等に表示して(ステップS412)、本フローチャートによる処理を終了する。
また、挙動計測装置10は、2枚の画像におけるゴルフボール20の位置の変位方向を移動方向として算出するので、画像平面内における移動方向を簡易に計測することができる。
また、挙動計測装置10は、2枚の画像におけるゴルフボール20の直径の比率に基づいて撮影方向(画像平面)と直交する方向の移動方向を算出するので、3次元空間内における移動体の移動方向を計測することができ、より詳細な移動体の挙動情報を得ることができる。
また、挙動計測装置10は、2枚の画像におけるゴルフボール20の図柄の位置および向きの差分から回転軸方向を算出するので、ドップラーセンサ等でも測定が困難な回転軸方向を容易に計測することができる。
また、挙動計測装置10は、ゴルフクラブ22による打撃挙動の開始を検知することによってゴルフボール20が移動開始地点P0に配置されたことを検知するので、計測者が操作等を行うことなく第1の画像を撮影することができ、計測操作を簡素化することができる。
また、挙動計測装置10において、外部から入力される配置完了信号を検知することによってゴルフボール20が移動開始地点P0に配置されたことを検知するようにすれば、ゴルフクラブ22による打撃挙動の開始を検知するのと比較して、より確実にゴルフボール20が移動開始地点P0に配置されたことを検知することができる。
また、挙動計測装置10は、ゴルフクラブ22によるゴルフボール20の打撃音を検知してゴルフボール20が移動を開始したことを検知するので、マイク14を用いて容易かつ短時間のうちにゴルフボール20の移動開始を検知することができる。
また、挙動計測装置10において、移動開始地点P0周辺の温度に基づいてゴルフボール20の移動開始したタイミングを補正するようにすれば、ゴルフボール20の移動開始したタイミングをより正確に特定することができる。
実施の形態1では、チャンネル数が1のドップラーセンサ15を用いて計測を行ったが、実施の形態2ではチャンネル数が複数(マルチチャンネル)のドップラーセンサを用いて計測を行う。
マルチチャンネル)のドップラーセンサを用いると、単チャンネルのドップラーセンサと比較して移動体の移動速度およびスピン量の計測精度を向上させることができるとともに、移動体の移動方向を算出することができる。
図10に示すマルチチャンネルドップラーセンサ30は、4つのアンテナ34A〜34Dを有する4チャンネルドップラーセンサである。
第1〜第4アンテナ34A〜34Dは同形同大の指向性アンテナで構成され、このような指向性アンテナとしてホーンアンテナを使用している。
指向性アンテナとしては、ホーンアンテナ以外のパラボラアンテナ、パッチアンテナなどの従来公知のさまざまな指向性アンテナを使用可能である。
図10〜図12に示すように、第1〜第4アンテナ34A〜34Dは、ケース36に収容保持されている。
ケース26は、矩形状の本体部2602と、脚部2604とを含んで構成されている。
第1〜第4のアンテナ34A〜34Dは、前記の開口を介して前方を向いた状態で取着され、本体部2602内に収容されている。
本体部2602の開口は、送信波W1および反射波W2の透過が可能な材料で形成された図示しないカバーによって覆われており、第1〜第4のアンテナ34A〜34Dの防塵および保護が図られている。
本実施の形態では、図10に示すように正面から見て第1〜第4のアンテナ34A〜34Dは本体部2602の4つの角部近傍に配置されている。すなわち、本体部2602の右下寄りの箇所に第1アンテナ34Aが配置されている。右上寄りの箇所に第2アンテナ34Bが配置されている。左下寄りの箇所に第3アンテナ34Cが配置されている。左上寄りの箇所に第4アンテナ34Dが配置されている。
図10、図11に示すように、側面視した状態で第1、第2のアンテナ34A、34Bは鉛直方向に間隔dVをおいて配置され、第1、第2の仮想軸LA、LBが単一の鉛直平面上を延在している。
本実施の形態では、第2の仮想軸LBが水平方向に延在し、かつ、第1の仮想軸LAが水平方向に対して上方に傾斜した方向に延在している。したがって、第1、第2の仮想軸LA、LBが交差するように配置されている。
第3、第4のアンテナ34C、34Dも、第1、第2のアンテナ34A、34Bと同様に鉛直方向に間隔dV(第1の間隔)をおいて配置され、第3、第4の仮想軸LC、LDが単一の鉛直平面上を延在している。
本実施の形態では、第4の仮想軸LDが水平方向に延在し、かつ、第3の仮想軸LCが水平方向に対して上方に傾斜した方向に延在している。したがって、第3、第4の仮想軸LC、LDが交差するように配置されている。
本実施の形態では、第2、第4のアンテナ34B、34Dの仮想軸LB、LDが前後方向に対してそれぞれ内方に傾斜した方向に延在している。したがって、第2、第4の仮想軸LB、LDが交差するように配置されている。
第1、第3のアンテナ34A、34Cは、水平方向に間隔dHをおいて配置されている。
第1、第3の仮想軸LA、LCも第2、第4の仮想軸LB、LDと同様に前後方向に対してそれぞれ内方に4度傾斜した方向に延在している。したがって、第1、第3の仮想軸LA、LCが交差するように配置されている。
この場合、移動方向算出手段1102では、例えば予め得られている第1〜第4の速度VA〜VDと、実測されたゴルフボール20の移動方向との相関関係に基づいて、第1〜第4の速度VA〜VDから移動方向を算出する。
より詳細には、まず、専用のボール打ち出し装置(スイングロボットまたはエアキャノン)によって基準位置(例えば移動開始地点P0)に位置するゴルフボール20を、さまざまな方向に打ち出す。言い換えると、左右角度(左右方向の移動方向)θwおよび上下角度(上下方向の移動方向)θhを異ならせて発射する。
そして、ゴルフボール20の移動方向を高精度に計測可能な基準計測器によってゴルフボール20の左右角度θwおよび上下角度θhを計測し、左右角度θwおよび上下角度θhの実測データを取得する。
このような基準計測器として、例えば、特許第4104384号に開示されているような従来公知のさまざまな測定装置が使用可能である。
また、左右角度θwおよび上下角度θhの計測と同時に、マルチチャンネルドップラーセンサ30によって第1〜第4の速度VA、VB、VC、VDを取得する。すなわち、左右角度θwおよび上下角度θhの実測データに対応する第1〜第4の速度VA、VB、VC、VDを取得する。
本実施の形態では、鉛直方向において間隔dVをおいて配置された2つのアンテナを用いて実測して得た2つの速度の差分と、実測して得たボール2の上下角度θyとの相関関係に基づいて上下角度θyを算出する。
より詳細には、第1、第2のアンテナ34A、34Bを用いて実測して得た第1、第2の速度VA、VBの差分ΔVAB=VA−VBと第3、第4のアンテナ34C、34Dとを用いて得た第3、第4の速度VC、VDの差分ΔVCD=VC−VDとの平均値(ΔVAB+ΔVCD)/2を、第1〜第4の速度VA〜VDの平均値ΔVAVEで除算した第1の値D1=((ΔVAB+ΔVCD)/2)/ΔVAVEを算出する。
また、予め実測して得た第1の値D1と、実測して得たゴルフボール20の上下角度hyとの相関関係に基づいて、第1の値D1から上下角度θhを算出する。
このように2組のアンテナを用いて得た2つの速度の差分の平均値から上下角度θhを算出することにより上下角度θhの値をより精度よく安定して求める上で有利となる。
すなわち、第1、第3のアンテナ34A、34Cを用いて得た第1、第3の速度VA、VCの差分ΔVAC=VA−VCと第2、第4のアンテナ34B、34Dとを用いて得た第2、第4の速度VB、VDの差分ΔVBD=VB−VDとの平均値(ΔVAC+ΔVBD)/2を、第1〜第4の速度VA〜VDの平均値ΔVAVEで除算した第2の値D2=((ΔVAC+ΔVBD)/2)/ΔVAVEを算出する。
また、実測して得た第2の値D2と、実測して得たボール2の左右角度θwとの相関関係に基づいて、第2の値D2から左右角度θwを算出する。
このように2組のアンテナを用いて得た2つの速度の差分の平均値から左右角度θwを算出することにより左右角度θwの値をより精度よく安定して求める上で有利となる。
言い換えると、上下角度θhと、第1の値D1との関係を離散的に測定したデータを取得する。そして、取得したデータを従来公知の最小二乗法などを用いて回帰分析することによって上下角度θhを第1の値D1の関数(多項式)によって表わした相関式を求める。すなわち、このようにして求められた相関式によって上下角度θhと第1の値D1との関係を示す特性線を得ることができる。
同様に、左右角度θwの実測データと、第1〜第4の速度VA、VB、VC、VDから算出された第2の値D2との相関関係に基づいて左右角度θw算出用の相関式(回帰式)を求める。
言い換えると、左右角度θwと、第2の値D2との関係を離散的に測定したデータを取得する。そして、取得したデータを従来公知の最小二乗法などを用いて回帰分析することによって左右角度θwを第2の値D2の関数(多項式)によって表わした相関式を求める。すなわち、このようにして求められた相関式によって左右角度θwと第2の値D2との関係を示す特性線を得ることができる。
したがって、これら2つの相関式を用いることにより、第1〜第4の速度VA、VB、VC、VDから左右角度θwおよび上下角度θhを求めることが可能となる。
したがって、本実施の形態では、移動方向算出手段1102による移動方向の算出は、予め実測され得られている第1〜第4の速度VA〜VDと予め実測され得られているゴルフボール20の移動方向との相関関係を示す移動方向算出用の相関式に基づいてなされる。
なお、上記のような相関式に代えて、相関式によって示される特性線のデータを左右角度θw算出用のマップとしてあるいは上下角度θh算出用のマップとして記憶しておき、各マップを用いて左右角度θwおよび上下角度θhを算出してもよい。
実施の形態2のようにマルチチャンネルドップラーセンサ30を用いることによって、移動方向および移動速度をより精度よく計測することができる。
特に、マルチチャンネルドップラーセンサ30を用いることによって、左右方向の移動方向θwを精度よく算出できることができる。このような特徴は、図13を用いて説明した複数台のカメラ12A,12Bを用いたステレオ測定法と同様であるが、ドップラーセンサを用いた方法では、ステレオ測定法と比較して制御が複雑になることを回避するとともに、低コストで実現することができる。
なお、このように高精度に計測された移動方向、移動速度、回転軸方向等のデータを用いて、ゴルフボール20の飛翔挙動をシミュレーションしてディスプレイ1816等に表示するようにしてもよい。このように移動体の挙動を数値のみならず画像で示すことによって、挙動計測装置10による挙動計測結果を計測者Iが直感的に理解することができ、例えばスイングフォームの改善に生かすなど、挙動計測の実行性を向上させることができる。
Claims (22)
- 移動体の挙動を計測する移動体の挙動計測方法であって、
前記移動体が移動開始地点に配置されたことを検知する配置検知工程と、
前記移動開始地点に配置された状態の前記移動体の画像を撮影する第1の撮影工程と、 前記移動体が移動を開始したことを検知する移動開始検知工程と、
移動開始後の前記移動体の画像を撮影する第2の撮影工程と、
ドップラーセンサを用いて前記移動体に向けて送信波を送信するとともに、前記移動体で反射された反射波を受信し、ドップラー周波数を有するドップラー信号を計測するドップラー計測工程と、
前記第1の撮影工程で撮影された第1の画像と、前記第2の撮影工程で撮影された第2の画像と、前記ドップラー信号とに基づいて、前記移動体の移動方向、回転軸方向およびスピン成分を算出する挙動算出工程と、
を含んだことを特徴とする挙動計測方法。 - 前記挙動算出工程では、前記移動体が移動開始してから前記第2の画像が撮影されるまでの経過時間と前記ドップラー信号とに基づいて前記移動体の移動速度を更に算出する、 ことを特徴とする請求項1記載の挙動計測方法。
- 前記第1の撮影工程および前記第2の撮影工程では、同一の撮影領域内の画像を撮影し、
前記挙動算出工程では、前記第1の画像における前記移動体の位置と前記第2の画像における前記移動体の位置との変位方向を前記移動方向として算出する、
ことを特徴とする請求項1または2記載の挙動計測方法。 - 前記移動体は、直径が既知のボールであり、
前記挙動算出工程では、前記第1の画像および前記第2の画像における前記ボールの直径の比率に基づいて、前記第1の撮影工程および前記第2の撮影工程における撮影方向と直交する方向の前記移動方向を算出する、
ことを特徴とする請求項3記載の挙動計測方法。 - 前記第1の撮影工程および前記第2の撮影工程では、複数台のカメラを用いて前記移動体の画像を撮影し、
前記挙動算出工程では、前記複数台のカメラでそれぞれ撮影された複数の前記第1の画像に基づいて移動開始前の前記移動体の3次元空間上の位置を特定し、前記複数台のカメラでそれぞれ撮影された複数の前記第2の画像に基づいて移動開始後の前記移動体の3次元空間上の位置を特定し、移動開始前後における前記移動体の3次元空間上の位置の差分に基づいて前記移動方向を算出する、
ことを特徴とする請求項1または2記載の挙動計測方法。 - 前記ドップラーセンサは複数のチャンネルを有し、
前記挙動算出工程では、前記複数のチャンネルでそれぞれ得られた前記ドップラー信号に基づいて上下方向および左右方向の前記移動方向を算出する、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の挙動計測方法。 - 前記移動体は、全方位から視認可能な図柄を有し、
前記挙動算出工程では、前記第1の画像における前記図柄の位置および向きと前記第2の画像における前記図柄の位置および向きとの差分から前記回転軸方向を算出する、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の挙動計測方法。 - 前記移動体は、打撃具によって打撃されることによって移動を開始し、
前記配置検知工程では、前記ドップラーセンサによって前記打撃具による打撃挙動の開始を検知することにより、前記移動体が前記移動開始地点に配置されたことを検知する、 ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の挙動計測方法。 - 前記配置検知工程では、外部から入力される配置完了信号を検知することにより、前記移動体が前記移動開始地点に配置されたことを検知する、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の挙動計測方法。 - 前記移動体は、打撃具によって打撃されることによって移動を開始し、
前記移動開始検知工程では、前記打撃具による前記移動体の打撃音を検知して前記移動体が移動を開始したことを検知する、
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項記載の挙動計測方法。 - 前記移動開始地点周辺の温度を検知する温度検知工程を更に含み、
前記移動開始検知工程では、前記移動開始地点周辺の温度に基づいて前記移動体の移動開始したタイミングを補正する、
ことを特徴とする請求項10記載の挙動計測方法。 - 移動体の挙動を計測する移動体の挙動計測装置であって、
前記移動体が移動開始地点に配置されたことを検知する配置検知手段と、
前記移動体が移動を開始したことを検知する移動開始検知手段と、
前記移動開始地点を撮影領域に含むよう配置された撮影手段と、
前記配置検知手段および前記移動開始検知手段による検知結果に基づいて、前記撮影手段による撮影動作を制御する撮影制御手段と、
前記移動体に向けて送信波を送信するとともに、前記移動体で反射された反射波を受信し、ドップラー周波数を有するドップラー信号を計測するドップラーセンサと、
前記移動開始地点に配置された状態の前記移動体の画像である第1の画像と、移動開始後の前記移動体の画像である第2の画像と、前記ドップラー信号とに基づいて、前記移動体の移動方向、回転軸方向およびスピン成分を算出する挙動算出手段と、
を備えることを特徴とする挙動計測装置。 - 前記挙動算出手段は、前記移動体が移動開始してから前記第2の画像が撮影されるまでの経過時間と前記ドップラー信号とに基づいて前記移動体の移動速度を更に算出する、
ことを特徴とする請求項12記載の挙動計測装置。 - 前記撮影手段は、同一の撮影領域で前記第1の画像および前記第2の画像を撮影し、
前記挙動算出手段は、前記第1の画像における前記移動体の位置と前記第2の画像における前記移動体の位置との変位方向を前記移動方向として算出する、
ことを特徴とする請求項12または13記載の挙動計測装置。 - 前記移動体は、直径が既知のボールであり、
前記挙動算出手段は、前記第1の画像および前記第2の画像における前記ボールの直径の比率に基づいて、前記撮影手段の撮影方向と直交する方向の前記移動方向を算出する、 ことを特徴とする請求項14記載の挙動計測装置。 - 前記撮影手段は、複数台のカメラであり、
前記挙動算出手段は、前記複数台のカメラでそれぞれ撮影された複数の前記第1の画像に基づいて移動開始前の前記移動体の3次元空間上の位置を特定し、前記複数台のカメラでそれぞれ撮影された複数の前記第2の画像に基づいて移動開始後の前記移動体の3次元空間上の位置を特定し、移動開始前後における前記移動体の3次元空間上の位置の差分に基づいて前記移動方向を算出する、
ことを特徴とする請求項12または13記載の挙動計測方法。 - 前記ドップラーセンサは複数のチャンネルを有し、
前記挙動算出手段は、前記複数のチャンネルでそれぞれ得られた前記ドップラー信号に基づいて上下方向および左右方向の前記移動方向を算出する、
ことを特徴とする請求項12から16のいずれか1項記載の挙動計測方法。 - 前記移動体は、全方位から視認可能な図柄を有し、
前記挙動算出手段は、前記第1の画像における前記図柄の位置および向きと前記第2の画像における前記図柄の位置および向きとの差分から前記回転軸方向を算出する、
ことを特徴とする請求項12から17のいずれか1項記載の挙動計測装置。 - 前記移動体は、打撃具によって打撃されることによって移動を開始し、
前記配置検知手段は、前記ドップラーセンサによって前記打撃具による打撃挙動の開始を検知することにより、前記移動体が前記移動開始地点に配置されたことを検知する、
ことを特徴とする請求項12から18のいずれか1項記載の挙動計測装置。 - 前記配置検知手段は、外部から入力される配置完了信号を検知することにより、前記移動体が前記移動開始地点に配置されたことを検知する、
ことを特徴とする請求項12から18のいずれか1項記載の挙動計測装置。 - 前記移動体は、打撃具によって打撃されることによって移動を開始し、
前記移動開始検知手段は、前記打撃具による前記移動体の打撃音を検知して前記移動体が移動を開始したことを検知する、
ことを特徴とする請求項12から20のいずれか1項記載の挙動計測装置。 - 前記移動開始地点周辺の温度を検知する温度検知手段を更に備え、
前記移動開始検知手段は、前記移動開始地点周辺の温度に基づいて前記移動体の移動開始したタイミングを補正する、
ことを特徴とする請求項20記載の挙動計測装置。
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