JP2016086814A - 組換えヒトDNaseIの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】医薬として使用できる高純度の組換えヒトDNaseIを製造するための方法を提供すること。【解決手段】組換えヒトDNaseIの製造方法であって,組換えヒトDNaseIを産生する細胞を培養するステップ,培養上清を陰イオン交換カラムクロマトグラフィーに付して組換えヒトDNaseIを含有する画分を回収するステップ,該画分を,リン酸基に親和性をもつ材料を固定相として用いたカラムクロマトグラフィーに付して組換えヒトDNaseIを含有する画分を回収するステップ,該画分を,陽イオン交換カラムクロマトグラフィーに付して組換えヒトDNaseIを含有する画分を回収するステップ,及び該画分を,色素親和性カラムクロマトグラフィーに付して組換えヒトDNaseIを含有する画分を回収するステップを含む,製造方法。【選択図】図3

Description

本発明は,組換えヒトDNaseIの製造方法に関し,より詳しくは,組換えヒトDNaseIを産生する哺乳動物細胞を無血清培地を用いて培養することにより培地中に分泌させた組換えヒトDNaseIを,カラムクロマトグラフィーにより,医薬として使用できる高純度にまで精製するための製造方法に関する。
嚢胞性線維症(Cystic Fibrosis)は,cAMP依存性Clチャネル(CFTR)の機能不全を原因とする遺伝子病である。CFTRは,細胞内から塩素イオンを排出することにより,細胞膜を挟んで電気化学的勾配を生じさせて,細胞内へのナトリウムイオンの取り込みを抑制し,細胞外の浸透圧を高める機能を有する。細胞外の浸透圧が高められることにより,細胞から水分が流出し,細胞を覆う粘液の粘性が低く保たれる。CFTRが機能不全になると,水分が粘液に供給されずにその粘性が上昇し,粘液が移動し難くなり粘稠な粘性分泌物として気管支等に滞留することとなる。この滞留した粘性分泌物に緑膿菌等の細菌が感染すると好中球等が大量に動員され,その結果,好中球の死細胞からDNAが放出されて,粘性分泌物の粘性が更に上昇する。
本疾患の主な臨床症状は,膵酵素分泌不全による消化吸収障害,気管支の粘稠な粘性分泌物による慢性閉塞性肺疾患症状である。本疾患の発症頻度は,欧米では出生児約2,500人当たり一人とされているが,日本を含む東アジアでは極めて稀である。患者の多くは,ムコイド型緑膿菌による慢性反復性気道感染により30代までに死亡する。
ヒトのDNaseI(hDNaseI)は,260個のアミノ酸からなる分子量約37kDの糖蛋白質である。この酵素はDNAを非特異的に分解して5’−リン酸基と3’−ヒドロキシル基末端を持つジヌクレオチド,トリヌクレオチド,オリゴヌクレオチドを産生するエンドヌクレアーゼ活性を有する。hDNaseIの生理的な主な役割は,食物に含まれるDNAを消化器官内で分解することである。
hDNaseIをコードする遺伝子は1990年にクローニングされ,組換えヒトDNaseI(rhDNaseI)が,約35kDの分子量を有する糖蛋白質として作製されている(特許文献1,非特許文献1)。
DNaseIは,嚢胞性線維症患者の気道中の粘性分泌物に含まれるDNAを加水分解することにより,粘性分泌物の粘性を低下させる活性を有する(非特許文献1)。このDNaseIの活性に着目して,嚢胞性線維症患者の気道中の粘性分泌物の粘性を低下させて,気道からの除去を容易にすることを目的とした,DNaseIを用いた嚢胞性線維症の治療が1950年代から実施され,DNaseIが嚢胞性線維症患者の肺機能を改善する薬効を有することが示された。当初は,ウシ膵臓由来DNaseIが用いられたが,夾雑物に由来すると考えられるアレルギー反応等の重篤な有害事象が報告されたので,現在では,rhDNaseIが用いられている。このrhDNaseIを有効成分として含む嚢胞性線維症の治療剤は,プルモザイム(PULMOZYME,登録商標)の名称で,販売されている。
プルモザイムは,これを含む薬液を噴霧器(ネブライザー)を用いて霧状にし,この霧状にした薬液を,患者が吸入することにより,患部に投与される(非特許文献2)。投与されたプルモザイムは,気道中の粘性分泌物と混じり合って,粘性分泌物中に存在するDNAを分解し,その粘性を低下させる。
rhDNaseIの製造方法に関して,その精製工程において,触手カチオン交換(TCX)カラムクロマトグラフィー又はヘパリンカラムクラマトグラフィーによりrhDNaseIの脱アミド体を除去する方法が知られている(特許文献2)。また,DNaseIの製造工程において,1mM〜1Mの濃度のカルシウムイオンによりrhDNaseIの凝集を阻害させる方法が知られている(特許文献3)。rhDNaseIの製造工程において,2糖類を用いてその凝集を阻害する方法についても報告がある(特許文献4)。
上記のように,rhDNaseIを精製する方法に関する報告はあるが,rhDNaseIが夾雑物を含むと,これを患者に投与したときに,ウシ膵臓由来DNaseIが投与されたときに報告のあったアレルギー反応等の重篤な有害事象が起こるおそれがあるので,医薬品として用いるrhDNaseIは高度に精製されたものである必要がある。また,rhDNaseIを嚢胞性線維症患者の治療剤として用いるとき,大量のrhDNaseIを患者に投与する必要があるので,治療に要する薬剤費を低減するためにも,効率よく安価に製造する必要がある。従って,精製度の高いrhDNaseIを効率よく製造する方法の開発が求められている。
国際公開第1990/07572号 国際公開第1993/025670号 国際公開第1995/023854号 US2003/0054532
Shak S. et al., Proc Natl Acad Sci. 87, 9188−92 (1990) Quan JM. et al., J Pediatr. 139, 813−20 (2001)
上記背景の下で,本発明の目的は,rhDNaseI産生細胞の培養液中から,嚢胞性線維症の治療剤として使用できる高い純度にまで,効率よくrhDNaseIを精製する方法を提供することである。
上記目的に向けた研究において,本発明者らは,無血清培地中で培養したrhDNaseI産生細胞の培養液の培養上清中に含まれるrhDNaseIを,陰イオン交換カラムクロマトグラフィー,リン酸基に親和性をもつ材料を固定相として用いたカラムクロマトグラフィー,陽イオン交換カラムクロマトグラフィー,及び色素リガンドアフィニティーカラムクロマトグラフィーの組み合わせにより精製することによって,高い純度のrhDNaseIを効率よく精製することができることを見出した。本発明は,これらの知見に基づき更に検討を加えて完成させたものである。すなわち,本発明は以下を提供する。
1.組換えヒトDNaseIの製造方法であって,
(a)組換えヒトDNaseIを産生する哺乳動物細胞を無血清培地中で培養して組換えヒトDNaseIを培養液中に分泌させるステップと,
(b)上記ステップ(a)で得られた培養液から該哺乳動物細胞を除去することにより培養上清を回収するステップと,
(c)上記ステップ(b)で得られた培養上清を陰イオン交換カラムクロマトグラフィーに付して組換えヒトDNaseIを含有する画分を回収するステップと,
(d)上記ステップ(c)で回収された該画分をリン酸基に親和性をもつ材料を固定相として用いたカラムクロマトグラフィーに付して組換えヒトDNaseIを含有する画分を回収するステップと,
(e)上記ステップ(d)で回収された該画分を陽イオン交換カラムクロマトグラフィーに付して組換えヒトDNaseIを含有する画分を回収するステップと,
(f)上記ステップ(e)で回収された該画分を色素リガンドアフィニティーカラムクロマトグラフィーに付して組換えヒトDNaseIを含有する画分を回収するステップと,
をこの順で含んでなるものである,製造方法。
2.該陰イオン交換カラムクロマトグラフィーのイオン交換体が,強陰イオン交換体である,上記1に記載の製造方法。
3.該強イオン交換体が,トリメチルアンモニウム基をもつものである,上記2に記載の方法。
4.リン酸基に親和性をもつ該材料が,フルオロアパタイト又はハイドロキシアパタイトのいずれかである,上記1乃至3のいずれかに記載の製造方法。
5.リン酸基に親和性をもつ該材料が,ハイドロキシアパタイトである,上記4に記載の製造方法。
6.該陽イオン交換カラムクロマトグラフィーのイオン交換体が,強陽イオン交換体である,上記1乃至5のいずれかに記載の製造方法。
7.該強イオン交換体が,スルホ基をもつものである,上記6に記載の製造方法。
8.該色素リガンドアフィニティーカラムクロマトグラフィーの色素が,トリアジン色素である,上記1乃至7のいずれかに記載の製造方法。
9.上記1乃至8のいずれかに記載の製造方法により得られた組換えヒトDNaseIを含有する画分を,ゲルろ過カラムクロマトグラフィーに付して,組換えヒトDNaseIを含有する画分を回収するステップを更に含むものである,組換えヒトDNaseIの製造方法。
10.該陰イオン交換カラムクロマトグラフィーが,0.5〜2.0mMのカルシウムイオン存在下で行わるものである,上記1乃至9のいずれかに記載の製造方法。
11.該陰イオン交換カラムクロマトグラフィーが,0.8〜1.2mMのカルシウムイオン存在下で行わるものである,上記1乃至9のいずれかに記載の製造方法。
12.該陽イオン交換カラムクロマトグラフィーが,2〜20mMのカルシウムイオン存在下で行わるものである,上記1乃至11のいずれかに記載の製造方法。
13.該陽イオン交換カラムクロマトグラフィーが,8〜12mMのカルシウムイオン存在下で行わるものである,上記1乃至11のいずれかに記載の製造方法。
14.該哺乳動物細胞が,rhDNaseIを発現させるための発現ベクターであって,ヒト伸長因子−1アルファプロモーター,その下流にrhDNaseIをコードする遺伝子,更に下流にマウス脳心筋炎ウイルスの5’非翻訳領域に由来する内部リボソーム結合部位,及び更に下流にグルタミン合成酵素をコードする遺伝子を含み,且つ別の遺伝子発現制御部位及びその下流にピューロマイシン又はネオマイシン耐性遺伝子を更に含む発現ベクターが導入されたものである,上記1乃至13のいずれかに記載の製造方法。
15.該内部リボソーム結合部位が,野生型のマウス脳心筋炎ウイルスの5’非翻訳領域の内部リボソーム結合部位に由来するものであり,且つ該内部リボソーム結合部位に含まれる複数の開始コドンのうちの一部が破壊されたものである,上記14に記載の製造方法。
16.該内部リボソーム結合部位が,配列番号2の塩基配列を含むものである,上記15に記載の製造方法。
17.該哺乳動物細胞が,rhDNaseIを発現させるための発現ベクターであって,ヒト伸長因子−1アルファプロモーター,その下流にrhDNaseIをコードする遺伝子,更に下流にマウス脳心筋炎ウイルスの5’非翻訳領域に由来する内部リボソーム結合部位,及び更に下流にグルタミン合成酵素をコードする遺伝子を含み,且つ別の遺伝子発現制御部位及びその下流にジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子を更に含む発現ベクターが導入されたものである,上記1乃至13のいずれかに記載の製造方法。
18.該内部リボソーム結合部位が,野生型のマウス脳心筋炎ウイルスの5’非翻訳領域の内部リボソーム結合部位に由来するものであり,且つ該内部リボソーム結合部位に含まれる複数の開始コドンのうちの一部が破壊されたものである,上記17に記載の製造方法。
19.該内部リボソーム結合部位が,配列番号2の塩基配列を含むものである,上記18に記載の製造方法。
20.上記1乃至19に記載の何れかの製造法により製造され,且つ960U/mg以上の比活性を示す組換えヒトDNaseI。
21.上記1乃至19に記載の何れかの製造法により製造され,且つ960〜1000U/mgの比活性を示す組換えヒトDNaseI。
本発明によれば,嚢胞性線維症の治療剤として使用できる,高い純度のrhDNaseIを効率よく製造することができる。
rhDNaseI発現ベクター(pE−mIRES−GS−puro/DRNI)の構築方法の流れを示す図。 rhDNaseI産生細胞の生産培養時における,細胞の生存率を示す図。縦軸は細胞の生存率(%),横軸は培養日数をそれぞれ示す。 rhDNaseI産生細胞の生産培養時における,培地中のrhDNaseIの濃度を示す図。縦軸はrhDNaseIの濃度(mg/L),横軸は培養日数をそれぞれ示す。 精製したrhDNaseIのSDS−PAGE電気泳動によって得られたパターンを示す図。 精製したrhDNaseIのSE−HPLCチャートを示す図。縦軸は215nmでの吸光度,横軸は保持時間(分)をそれぞれ示す。
本発明は,無血清培地中で培養したrhDNaseI産生細胞の培養液の培養上清中に含まれるrhDNaseIを,陰イオン交換カラムクロマトグラフィー,リン酸基に親和性をもつ材料を固定相として用いたカラムクロマトグラフィー,陽イオン交換カラムクロマトグラフィー,及び色素リガンドアフィニティーカラムクロマトグラフィーの組み合わせにより精製し,rhDNaseIを製造する方法に関するものである。
天然型のヒトDNaseIは,260個のアミノ酸からなる糖蛋白質である。本発明において,「ヒトDNaseI(hDNaseI)」というときは,特に天然型のhDNaseIと同一のアミノ酸配列を有するhDNaseIのことをいうが,これに限らず,天然型のhDNaseIを構成する1つ又は複数のアミノ酸残基を,置換,欠失,挿入させたhDNaseIの類似物であって,DNaseI活性を有するものも含む。また,組換えヒトDNaseI(rhDNaseI)というときは,遺伝子組換え技術を用いて生産したヒトDNaseI(hDNaseI)のことをいう。
本発明において,rhDNaseIは,hDNaseIをコードする遺伝子が発現又は強発現することによって,rhDNaseIを産生するように人為的な操作を加えた,哺乳動物細胞を培養することにより産生される。このときrhDNaseIを産生する哺乳動物細胞内で強発現させる該遺伝子は,該遺伝子が組み込まれた発現ベクターで形質転換させることにより該哺乳動物細胞に導入するのが一般的であるが,これに限らず,該哺乳動物細胞がもともと有する内在性の遺伝子を強発現できるように人為的に改変したものでもよい。内在性の遺伝子を強発現できるように人為的に改変する手段としては,内在性の遺伝子の上流に存在するプロモーターを,強力な遺伝子発現を誘導するプロモーターに置き換える方法が挙げられるが,これに限られない。また,該哺乳動物細胞について特に限定はないが,ヒト,マウス,チャイニーズハムスター由来の細胞が好ましく,特にチャイニーズハムスター卵巣細胞由来のCHO細胞が好ましい。本発明において,rhDNaseIというときは,特に,このようなrhDNaseIを産生する哺乳動物細胞を培養したときに,培地中に分泌されるhDNaseIのことをいう。
hDNaseIをコードする遺伝子を組み込んで発現させるために用いる発現ベクターは,哺乳動物細胞内に導入させたときに,該遺伝子を発現させるものであれば特に限定なく用いることができる。発現ベクターに組み込まれた該遺伝子は,哺乳動物細胞内で遺伝子の転写の頻度を調節することができるDNA配列(遺伝子発現制御部位)の下流に配置される。本発明において用いることのできる遺伝子発現制御部位としては,例えば,サイトメガロウイルス由来のプロモーター,SV40初期プロモーター,ヒト伸長因子−1アルファ(EF−1α)プロモーター,ヒトユビキチンCプロモーター等が挙げられる。
このような発現ベクターが導入された哺乳動物細胞は,発現ベクターに組み込まれた所望の蛋白質を発現するようになるが,その発現量は個々の細胞により異なり一様ではない。従って,組換え蛋白質を効率よく生産するためには,発現ベクターが導入された哺乳動物細胞から,所望の蛋白質の発現レベルが高い細胞を選択するステップが必要となる。この選択ステップを行うために,発現ベクターには選択マーカーとして働く遺伝子が組み込まれている。
選択マーカーとして最も一般的なものはピューロマイシン,ネオマイシン等の薬剤を分解する酵素(薬剤耐性マーカー)である。哺乳動物細胞は一定濃度以上の上記薬剤の存在下で死滅する。しかし,発現ベクターが導入された哺乳動物細胞は,発現ベクターに組み込まれた薬剤耐性マーカーにより上記薬剤を分解し,これを無毒化又は弱毒化することができるので,上記薬剤存在下でも生存可能となる。選択マーカーとして薬剤耐性マーカーが組み込まれた発現ベクターを哺乳動物細胞に導入し,その薬剤耐性マーカーに対応する薬剤を含有する選択培地中で,その薬剤の濃度を徐々に上昇させながら培養を続けると,より高濃度の薬剤存在下でも増殖可能な細胞が得られる。このようにして選択された細胞では,薬剤耐性マーカーとともに,一般に,発現ベクターに組み込まれた所望の蛋白質をコードする遺伝子の発現量も増加するので,結果として所望の蛋白質の発現レベルの高い細胞が選択される。
また,選択マーカーとして,グルタミン合成酵素(GS)を用いることもできる。グルタミン合成酵素は,グルタミン酸とアンモニアからグルタミンを合成する酵素である。哺乳動物細胞を,グルタミン合成酵素の阻害剤,例えばメチオニンスルホキシミン(MSX)を含有し,且つグルタミンを含有しない選択培地中で培養すると,細胞は死滅する。しかし,選択マーカーとしてグルタミン合成酵素が組み込まれた発現ベクターを哺乳動物細胞に導入すると,該細胞では,グルタミン合成酵素の発現レベルが上昇するようになるので,より高濃度のMSX存在下でも増殖可能となる。このとき,MSXの濃度を徐々に上昇させながら培養を続けると,より高濃度のMSX存在下でも増殖可能な細胞が得られる。このようにして選択された細胞では,グルタミン合成酵素とともに,一般に,発現ベクターに組み込まれた所望の蛋白質をコードする遺伝子の発現量も増加するので,結果として所望の蛋白質の発現レベルの高い細胞が選択される。
また,選択マーカーとして,ジヒドロ葉酸レデクターゼ(DHFR)を用いることもできる。DHFRを選択マーカーとして用いる場合,発現ベクターを導入した哺乳動物細胞は,メトトレキセート,アミノプテリン等のDHFR阻害剤を含有する選択培地中で培養される。DHFR阻害剤の濃度を徐々に上昇させながら培養を続けると,より高濃度のDHFR阻害剤存在下でも増殖可能な細胞が得られる。このようにして選択された細胞では,DHFRとともに,一般に,発現ベクターに組み込まれた所望の蛋白質をコードする遺伝子の発現量も増加するので,結果として所望の蛋白質の発現レベルの高い細胞が選択される。
所望の蛋白質をコードする遺伝子の下流側に内部リボソーム結合部位(IRES:internal ribosome entry site)を介して,選択マーカーとしてグルタミン合成酵素(GS)を配置させた発現ベクターが知られている(国際特許公報WO2012/063799,WO2013/161958)。これら文献に記載された発現ベクターは,本発明の製造方法に特に好適に使用することができる。
例えば,蛋白質を発現させるための発現ベクターであって,遺伝子発現制御部位,並びに,その下流に該蛋白質をコードする遺伝子,更に下流に内部リボソーム結合部位,及び更に下流にグルタミン合成酵素をコードする遺伝子を含み,且つ,該遺伝子発現制御部位の又は該遺伝子発現制御部位とは別の遺伝子発現制御部位の下流にジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子又は薬剤耐性遺伝子を更に含んでなる,発現ベクターは,本発明の製造方法に好適に使用できる。この発現ベクターにおいて,遺伝子発現制御部位又は別の遺伝子発現制御部位としては,サイトメガロウイルス由来のプロモーター,SV40初期プロモーター,ヒト伸長因子−1アルファプロモーター(hEF−1αプロモーター),ヒトユビキチンCプロモーターが好適に用いられるが,hEF−1αプロモーターが特に好適である。
また,内部リボソーム結合部位としては,ピコルナウイルス科のウイルス,口蹄疫ウイルス,A型肝炎ウイルス,C型肝炎ウイルス,コロナウイルス,ウシ腸内ウイルス,サイラーのネズミ脳脊髄炎ウイルス,コクサッキーB型ウイルス,ヒト免疫グロブリン重鎖結合蛋白質遺伝子,ショウジョウバエアンテナペディア遺伝子,ショウジョウバエウルトラビトラックス遺伝子からなる群から選択されるウイルス又は遺伝子の5’非翻訳領域に由来するものが好適に用いられるが,マウス脳心筋炎ウイルスの5’非翻訳領域に由来する内部リボソーム結合部位が特に好適である。マウス脳心筋炎ウイルスの5’非翻訳領域に由来する内部リボソーム結合部位を用いる場合,野生型のもの以外に,野生型の内部リボソーム結合部位に含まれる複数の開始コドンのうちの一部が破壊されたものも好適に使用できる。また,この発現ベクターにおいて,好適に用いられる薬剤耐性遺伝子は,好ましくはピューロマイシン又はネオマイシン耐性遺伝子であり,より好ましくはピューロマイシン耐性遺伝子である。
また,例えば,蛋白質を発現させるための発現ベクターであって,ヒト伸長因子−1アルファプロモーター,その下流に該蛋白質をコードする遺伝子,更に下流にマウス脳心筋炎ウイルスの5’非翻訳領域に由来する内部リボソーム結合部位,及び更に下流にグルタミン合成酵素をコードする遺伝子を含み,且つ別の遺伝子発現制御部位及びその下流にジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子を更に含む発現ベクターであって,該内部リボソーム結合部位が,野生型の内部リボソーム結合部位に含まれる複数の開始コドンのうちの一部が破壊されたものである発現ベクターは,本発明の製造方法に好適に使用できる。このような発現ベクターとして,WO2013/161958に記載された発現ベクターが挙げられる。
また,例えば,蛋白質を発現させるための発現ベクターであって,ヒト伸長因子−1アルファプロモーター,その下流に該蛋白質をコードする遺伝子,更に下流にマウス脳心筋炎ウイルスの5’非翻訳領域に由来する内部リボソーム結合部位,及び更に下流にグルタミン合成酵素をコードする遺伝子を含み,且つ別の遺伝子発現制御部位及びその下流に薬剤耐性遺伝子を更に含む発現ベクターであって,該内部リボソーム結合部位が,野生型の内部リボソーム結合部位に含まれる複数の開始コドンのうちの一部が破壊されたものである発現ベクターは,本発明の製造方法に好適に使用できる。このような発現ベクターとして,WO2012/063799に記載されたpE−mIRES−GS−puro及びWO2013/161958に記載されたpE−mIRES−GS−mNeoが挙げられる。
野生型のマウス脳心筋炎ウイルスの5’非翻訳領域に由来する内部リボソーム結合部位の3’末端には,3つの開始コドン(ATG)が存在しており,その3つの開始コドンを含む配列は配列番号1(5’-ATGataatATGgccacaaccATG-3’)で示される。配列番号1に含まれる開始コドンのうちの一部が破壊されたものとしては,例えば,配列番号2(5’-atgataagcttgccacaaccatg-3’)で示されるものがある。上記のpE−mIRES−GS−puro及びpE−mIRES−GS−mNeoは,開始コドンのうちの一部が破壊された配列番号2で示される配列を含むIRESを有する発現ベクターである。
本発明において,hDNaseIをコードする遺伝子が組み込まれた発現ベクターが導入された哺乳動物細胞は,rhDNaseIの発現レベルの高い細胞を選択するために,選択培地中で選択培養される。
選択培養において,DHFRを選択マーカーとして使用する場合,選択培地に含まれるDHFR阻害剤の濃度を段階的に上昇させる。その最大濃度は,DHFR阻害剤がメトトレキセートの場合,好ましくは0.25〜5μMであり,より好ましくは0.5〜1.5μMであり,更に好ましくは約1.0μMである。
GSを選択マーカーとして使用する場合,選択培地に含まれるGS阻害剤の濃度を段階的に上昇させる。その最大濃度は,GS阻害剤がMSXの場合,好ましくは100〜1000μMであり,より好ましくは200〜500μMであり,更に好ましくは約300μMである。またこのとき,一般的にグルタミンを含有しない培地が選択培地として用いられる。
ピューロマイシンを分解する酵素を選択マーカーとして使用する場合,選択培地に含まれるピューロマイシンの最大濃度は,好ましくは3〜30μg/mLであり,より好ましくは5〜20μg/mLであり,更に好ましくは約10μg/mLである。
ネオマイシンを分解する酵素を選択マーカーとして使用する場合,選択培地に含まれるG418の最大濃度は,好ましくは0.1mg〜2mg/mLであり,より好ましくは0.5〜1.5mg/mLであり,更に好ましくは約1mg/mLである。
また,哺乳動物細胞の培養のための培地としては,選択培養で用いる培地,後述するrhDNaseIを産生させるために用いる培地(rhDNaseI産生用培地)ともに,哺乳動物細胞を培養して増殖させることのできるものであれば,特に限定なく用いることができるが,好ましくは無血清培地が用いられる。
選択培養により選択されたrhDNaseIの発現レベルの高い細胞は,rhDNaseI産生細胞として,rhDNaseIの生産に用いられる。rhDNaseIの生産は,rhDNaseI産生細胞をrhDNaseI産生用培地中で培養することにより行われる。この培養を生産培養という。
本発明において,rhDNaseI産生用培地として用いられる無血清培地としては,例えば,アミノ酸を3〜700mg/L,ビタミン類を0.001〜50mg/L,単糖類を0.3〜10g/L,無機塩を0.1〜10000mg/L,微量元素を0.001〜0.1mg/L,ヌクレオシドを0.1〜50mg/L,脂肪酸を0.001〜10mg/L,ビオチンを0.01〜1mg/L,ヒドロコルチゾンを0.1〜20μg/L,インシュリンを0.1〜20mg/L,ビタミンB12を0.1〜10mg/L,プトレッシンを0.01〜1mg/L,ピルビン酸ナトリウムを10〜500mg/L,及び水溶性鉄化合物を含有する培地が好適に用いられる。所望により,チミジン,ヒポキサンチン,慣用のpH指示薬及び抗生物質を培地に添加してもよい。
またrhDNaseI産生用培地として用いられる無血清培地として,DMEM/F12培地(DMEMとF12の混合培地)を基本培地として用いてもよく,これら各培地は当業者に周知である。更にまた,無血清培地として,炭酸水素ナトリウム,L−グルタミン,D−グルコース,インスリン,ナトリウムセレナイト,ジアミノブタン,ヒドロコルチゾン,硫酸鉄(II),アスパラギン,アスパラギン酸,セリン及びポリビニルアルコールを含むものである,DMEM(HG)HAM改良型(R5)培地を使用してもよい。更には市販の無血清培地,例えば,CD OptiCHOTM培地,CHO−S−SFM II培地又はCD CHO培地(Life technologies社),IS CHO−VTM培地(Irvine Scientific社),EX−CELLTM302培地又はEX−CELLTM325−PF培地(SAFC Biosciences社)等を基本培地として使用することもできる。
rhDNaseI産生細胞の生産培養は,rhDNaseI産生細胞のrhDNaseI産生用培地中における密度を,好ましくは0.2×10〜5×10個/mL,より好ましくは1×10〜4×10個/mL,更に好ましくは約2×10個/mLに調整して開始される。
生産培養は,細胞の生存率(%)を経時的に観察しながら行い,生産培養期間中の細胞の生存率が,好ましくは85%以上,より好ましくは90%以上に維持されるようにして行われる。
また,生産培養期間中,培養温度は,好ましくは35〜37.5℃,より好ましくは37℃に維持され,生産培地中の溶存酸素飽和度は,好ましくは58〜62%,より好ましくは約60%に維持される。ここで,溶存酸素飽和度とは,酸素の飽和溶解量を100%としたときの,同条件下での酸素の溶解量のことをいう。
また,生産培養期間中,生産培地はインペラ(羽根車)で撹拌される。このときのインペラの回転速度は,好ましくは67〜72回転/分であり,より好ましくは70回転/分に調整されるが,インペラの形状等によりその回転速度は適宜変更される。
生産培養における好適な培養条件として,例えば,生産培養の開始時におけるrhDNaseI産生細胞のrhDNaseI産生用培地中における密度が2×10個/mLであり,生産培養期間中の培養温度が37℃であり,生産培地中の溶存酸素飽和度が60%であり,生産培地1L当たり酸素が培地内に31.25mL/分の量で通気され,培地液面上に空気が125mL/分及びCOが37.5mL/分の量で通気され,且つ培地が70回転/分の速度で回転するインペラで撹拌されるものが挙げられる。
生産培養において,rhDNaseIが,rhDNaseI産生細胞から分泌されて培地中に蓄積する。生産培養は,培地中のrhDNaseI濃度が,好ましくは400mg/L以上,より好ましくは550mg/L以上,更に好ましくは700mg/L以上になるまで行われる。また,生産培養における細胞の培養期間は,好ましくは8〜16日,より好ましくは10〜14日,更に好ましくは11〜14日である。
生産培養において培地中に蓄積したrhDNaseIは,各種クロマトグラフィーを用いた工程により精製される。rhDNaseIを精製するための各クロマトグラフィーは,状況に応じて,蛋白質の非特異的吸着を防止するため,非イオン性界面活性剤の存在下で行うことができる。非イオン性界面活性剤としては,特に限定はないが,好ましくはポリソルベート系界面活性剤が,更に好ましくはポリソルベート80が用いられる。非イオン性界面活性剤の濃度は,好ましくは0.005%(w/v)〜0.015%(w/v),より好ましくは0.01%(w/v)である。
rhDNaseIの精製は,室温又は低温環境で行うことができるが,好ましくは低温環境で行われ,特に1〜10℃の温度で行われることが好ましい。
精製工程の第一ステップは陰イオン交換クロマトグラフィーである。このとき用いられる陰イオン交換樹脂に特に限定はないが,強陰イオン交換樹脂が好ましく,特にトリメチルアンモニウム基をもつものが好ましい。第一ステップにおいて,rhDNaseIは,塩及びカルシウムイオンを含む中性付近のpHの緩衝液で平衡化させておいた陰イオン交換樹脂に結合させられる。このときに用いられる緩衝液は,好ましくはトリス塩酸緩衝液であり,そのpHは好ましくは7.2〜7.8であり,より好ましくは約7.5である。また,緩衝液に含まれる塩に特段の限定はないが,塩化ナトリウムが好ましく,その濃度は好ましくは30〜70mMであり,より好ましくは約50mMである。また,緩衝液に含まれるカルシウムイオンの濃度は,好ましくは0.1〜10mMであり,より好ましくは0.5〜2.0mMであり,更に好ましくは0.8〜1.2mMであり,特に好ましくは約1.0mMである。
rhDNaseIを結合させたカラムを洗浄した後,rhDNaseIを塩及びカルシウムイオンを含む酸性の緩衝液でカラムから溶出させて,rhDNaseIを含有する画分を回収する。このときに用いられる酸性の緩衝液は,好ましくは酢酸緩衝液であり,そのpHは好ましくは4.0〜5.0であり,より好ましくは4.2〜4.8であり,更に好ましくは約4.5である。また,緩衝液に含まれる塩に特段の限定はないが,塩化ナトリウムが好ましく,その濃度は好ましくは170〜230mMであり,より好ましくは190〜210mMであり,更に好ましくは約200mMである。また,緩衝液に含まれるカルシウムイオンの濃度は,好ましくは0.1〜10mMであり,より好ましくは0.5〜2.0mMであり,更により好ましくは0.8〜1.2mMであり,特に好ましくは約1.0mMである。
精製工程の第二ステップはリン酸基に親和性をもつ材料を固定相として用いたカラムクロマトグラフィーである。このとき用いられるリン酸基に親和性を有する固定相に特に限定はないが,ハイドロキシアパタイト及びフルオロアパタイトが好ましく,特にハイドロキシアパタイトが好ましい。第二ステップのカラムクロマトグラフィーに負荷する前に,第一ステップで回収したrhDNaseIを含む溶出液のpHは,好ましくは6.2〜6.8に,より好ましくは約6.5に調整される。
精製工程の第二ステップにおいて,rhDNaseIは,塩及びカルシウムイオンを含む中性付近のpHの緩衝液で平衡化させておいた固定相に結合させられる。このときに用いられる緩衝液は,好ましくはMES緩衝液であり,そのpHは好ましくは6.2〜6.8であり,より好ましくは約6.5である。また,緩衝液に含まれる塩に特段の限定はないが,塩化ナトリウムが好ましく,その濃度は好ましくは70〜130mMであり,より好ましくは90〜110mMであり,更に好ましくは約100mMである。また,緩衝液に含まれるカルシウムイオンの濃度は,好ましくは0.2〜2.0mMであり,より好ましくは0.5〜1.5mMであり,更に好ましくは約1.0mMである。
rhDNaseIを結合させたカラムを洗浄した後,rhDNaseIを塩及びカルシウムイオンを含む中性付近のpHの緩衝液でカラムから溶出させて,rhDNaseIを含有する画分を回収する。このときに用いられる緩衝液は,好ましくはMES緩衝液であり,そのpHは好ましくは6.2〜6.8であり,より好ましくは約6.5である。また,緩衝液に含まれるリン酸イオンの濃度は,好ましくは10〜20mMであり,より好ましくは13〜17mMであり,更に好ましくは約15mMである。また,緩衝液に含まれるカルシウムイオンの濃度は,好ましくは0.2〜1.0mMであり,より好ましくは0.4〜0.6mMであり,更に好ましくは約0.5mMである。
精製工程の第三ステップは陽イオン交換クロマトグラフィーである。このとき用いられる陽イオン交換樹脂に特に限定はないが,強陽イオン交換樹脂が好ましく,特にスルホ基を有するものが好ましい。第三ステップのカラムクロマトグラフィーに負荷する前に,第二ステップで回収したrhDNaseIを含む溶出液のpHは,好ましくは4.2〜4.8,より好ましくは約4.5に調整される。
精製工程の第三ステップにおいて,rhDNaseIは,塩及びカルシウムイオンを含む酸性のpHの緩衝液で平衡化させておいた陽イオン交換樹脂に結合させられる。このときに用いられる緩衝液は,好ましくは酢酸緩衝液であり,そのpHは好ましくは4.2〜4.8であり,より好ましくは約4.5である。また,緩衝液に含まれる塩に特段の限定はないが,塩化ナトリウムが好ましく,その濃度は好ましくは10〜20mMであり,より好ましくは12〜18mMであり,更に好ましくは約15mMである。また,緩衝液に含まれるカルシウムイオンの濃度は,好ましくは2〜20mMであり,より好ましくは5〜15mMであり,更に好ましくは8〜12mMであり,特に好ましくは約10mMである。
rhDNaseIを結合させたカラムを洗浄した後,rhDNaseIを,塩及びカルシウムイオンを含む中性付近pHの緩衝液でカラムから溶出させて,rhDNaseIを含有する画分を回収する。このときに用いられる緩衝液は,好ましくはHEPES緩衝液であり,そのpHは好ましくは6.7〜7.8であり,より好ましくは7.0〜7.5である。また,緩衝液に含まれる塩に特段の限定はないが,塩化ナトリウムが好ましく,その濃度は好ましくは40〜70mMであり,より好ましくは45〜55mMであり,更に好ましくは約50mMである。また,緩衝液に含まれるカルシウムイオンの濃度は,好ましくは2〜20mMであり,より好ましくは5〜15mMであり,更に好ましくは8〜12mMであり,特に好ましくは約10mMである。
精製工程の第四ステップは色素リガンドアフィニティーカラムクロマトグラフィーである。このとき用いられる色素リガンドアフィニティー樹脂は,樹脂に色素を結合させたものである。樹脂に結合させる色素に特に限定はないが,トリアジン色素が好ましく,CibacronTM Blue F3GAに代表されるブルートリアジン色素が特に好適に用いられる。例えば,セファロースに色素CibacronTM Blue F3GAを共有結合させた,次の概略式に示すBlue Sepharose 6 FF (Fast Flow, GEヘルスケア)は,精製工程の第四ステップで用いられる樹脂として好適である。
Figure 2016086814
第四ステップのカラムクロマトグラフィーに負荷する前に,第三ステップで回収したrhDNaseIを含む溶出液のpHは,好ましくは4.2〜4.8,より好ましくは約4.5に調整される。
精製工程の第四ステップにおいて,rhDNaseIは,塩及びカルシウムイオンを含む酸性のpHの緩衝液で平衡化させておいた色素親和性カラムに結合させられる。このときに用いられる緩衝液は,好ましくは酢酸緩衝液であり,そのpHは好ましくは4.2〜4.8であり,より好ましくは約4.5である。また,緩衝液に含まれる塩に特段の限定はないが,塩化ナトリウムが好ましく,その濃度は好ましくは60〜80mMであり,より好ましくは65〜75mMであり,更に好ましくは約70mMである。また,緩衝液に含まれるカルシウムイオンの濃度は,好ましくは0.2〜2mMであり,より好ましくは0.5〜1.5mMであり,更に好ましくは約1.0mMである。
rhDNaseIを結合させたカラムを洗浄した後,rhDNaseIを,塩及びカルシウムイオンを含む中性付近pHの緩衝液でカラムから溶出させて,rhDNaseIを含有する画分を回収する。このときに用いられる緩衝液は,好ましくはMES緩衝液であり,そのpHは好ましくは6.2〜6.8であり,より好ましくは6.5である。また,緩衝液に含まれる塩に特段の限定はないが,塩化ナトリウムが好ましく,その濃度は好ましくは80〜120mMであり,より好ましくは90〜110mMであり,更に好ましくは約100mMである。また,緩衝液に含まれるカルシウムイオンの濃度は,好ましくは2〜20mMであり,より好ましくは5〜15mMであり,更に好ましくは約10mMである。
精製工程の第五ステップとして,ゲルろ過カラムクロマトグラフィーによる精製工程を適宜追加することができる。ゲルろ過カラムクロマトグラフィーは,rhDNaseIから,エンドトキシン等の低分子の夾雑物質及びrhDNaseIの多量体を取り除くためのステップであり,その手法は周知である。
本発明の製造方法により得られるrhDNaseIの純度は95%以上であり,その比活性は,好ましくは920U/mg以上であり,より好ましくは950U/mg以上であり,更に好ましくは960U/mg以上であり,更により好ましくは970U/mg以上である。従って,本発明の製造方法により得られるrhDNaseIを用いて製造されるrhDNaseI原体の規格値として,その比活性を,920〜1000U/mg,950〜1000U/mg,960〜1000U/mg,970〜1000U/mg等と適宜設定することができる。
rhDNaseIの酵素活性は,0.1M酢酸緩衝液(pH5.0)に1mg/mLの濃度で溶解させたサケ精子由来DNA溶液にrhDNaseIを添加して25℃で反応させたときに,当該DNA溶液の260nmの吸光度(OD260)を,1分間に0.001上昇させる酵素活性を1ユニット(Kunitz unit)として定義されたものであり,Kunitzらにより確立されたものである(Kunitz MJ. Gen Physiol. 33. 349−362 (1950))。実施例9で示すDNA−メチルグリーンアッセイで測定したOD620からOD492を減じた値は,このように定義されたrhDNaseIの活性値と相関するので,活性値が既知のrhDNaseI溶液を標準品としてDNA−メチルグリーンアッセイで検量線を求め,これに所望のrhDNaseI溶液の測定値を内挿することで,その活性を求めることができる。
ウイルス不活化のステップを,本発明における製造工程に所望により加えることができる。どのウイルス不活化工程を適用するかについて特に限定はないが,好ましくは溶媒−界面活性剤法が好適に適用できる。この目的で,rhDNaseIを含有する溶液に非イオン性界面活性剤が添加され,混合液が3時間を超えてインキュベートされる。どの界面活性剤を用いるかについて特に限定はないが,好ましくはポリソルベート20,ポリソルベート80,Triton X−100,及びトリ(n−ブチル)ホスフェ−トが,単独で又はこれらの任意の組み合わせ,そしてより好ましくはポリソルベート80とトリ(n−ブチル)ホスフェ−トの組み合わせの形で用いられる。このようなウイルス不活化の追加的ステップは,rhDNaseIの製造工程中の隣接した如何なる2工程間にも挿入することができる。
以下,実施例を参照して本発明を更に詳細に説明するが,本発明が実施例に限定されることは意図しない。
〔実施例1:rhDNaseI発現ベクターの作製〕
天然型ヒトDNaseIの全長をコードする遺伝子を含むDNA断片を化学的に合成した(配列番号3)。これをMluIとNotIで消化し,哺乳動物細胞発現用ベクターである,pE−mIRES−GS−puroのMluIとNotI間に挿入し,これをrhDNaseI発現ベクター(pE−mIRES−GS−puro/DRNI)として(図1),以下の実験に用いた。なお,pE−mIRES−GS−puroは,国際特許公報(国際特許公報WO2012/063799)に記載された方法で構築したものを用いた。なお,配列番号3で示すDNAは282個のアミノ酸からなるペプチド鎖をコードするが(配列番号4),rhDNaseIのアミノ酸配列は,このペプチド鎖のN末端側の22個のアミノ酸からなるリーダーペプチドを除く,残りの260個からなるものである。
〔実施例2:rhDNaseI発現ベクターの細胞への導入〕
実施例1で作製したrhDNaseI発現ベクター(pE−mIRES−GS−puro/DRNI)を,AseIで消化して直鎖状にした後,エレクロトポレーション法又はリポフェクション法によりCHO−K1細胞に導入し,細胞を形質転換させた。形質転換後の細胞の培養は,10μg/mLのインスリンを含むCD−OptiCHOTM培地(Life technologies社)に,HT supplement 100×(Life technologies社)を1/100(v/v)量添加した培地を基本培地として用いて行った。なお,この基本培地はグルタミンを含有しない。
エレクロトポレーション法は概ね以下の手法で行った。CHO−K1細胞を,細胞密度が5×10個/mLとなるようにOpti−MEMI培地(Life technologies社)に懸濁した。この懸濁液を100μL採取し,上記の直鎖状にした発現ベクターを0.5〜1.0μg添加して混和した後,全量を電極付きキュベット(電極間距離2mm)に移して,エレクトロポレーション装置(Gene Pulser XcellTM,バイオラッド社)を用いて,電圧160V,パルス幅15ミリ秒,パルス回数1回の条件で電気パルスをかけた。次いで,基本培地に4mMのグルタミンを添加した基本培地をキュベットに1mL加えて混和した後,全量を24穴プレートのウェルに移して,5%CO存在下,37℃で約24時間培養した。次いで,ウェル内の細胞を遠心して回収し,30μMのMSXを含む基本培地に懸濁して,24穴プレートの新たなウェルに移した。
リポフェクション法は概ね以下の手法で行った。CHO−K1細胞を,細胞密度が5×10個/mLとなるようにOpti−MEMI培地に懸濁した。この懸濁液を20μL採取し,480μLの基本培地を予め加えた24穴プレートのウェルに添加した。30μLのOpti−MEMI培地に,上記の直鎖状にした発現ベクターを0.5〜1.0μg添加し,更に4μLのHilyMax(遺伝子導入試薬,同仁化学)を添加して混和して混合液とし,室温で15分間静置した。この混合液の全量を,細胞を添加した24穴プレートのウェルに添加して混和した後,5%CO存在下,37℃で約24時間培養した。次いで,ウェル内の細胞を遠心して回収し,30μMのMSXを含む基本培地に懸濁して,24穴プレートの新たなウェルに移した。
〔実施例3:rhDNaseI発現ベクター細胞を導入した細胞のバルク培養〕
上記のエレクロトポレーション法又はリポフェクション法によりrhDNaseI発現ベクターを導入した後に24穴プレートの新たなウェルに移した細胞を,30μMのMSXを含むCD−OptiCHOTM培地で選択培養を開始した。数週間ごとにMSX濃度を徐々に上昇させながら,最終的に300μMのMSXと5μg/mLのピューロマイシンを含むCD−OptiCHOTM培地中で培養し,MSXへの耐性の高い細胞を得た。この細胞をバルク細胞,また,バルク細胞を得るための上記の培養工程をバルク培養と名付けた。
バルク培養終了時の培養上清中のrhDNaseIの酵素活性を,後述する酵素活性測定法により測定したところ,エレクロトポレーション法により得られたバルク細胞の培養上清が,120U/mLの酵素活性を示したので,このバルク細胞を後の実験に用いることとした。
〔実施例4:rhDNaseI産生細胞のクローニング〕
上記実施例3で得たバルク細胞を,300μMのMSXと10μg/mLのピューロマイシンを含む基本培地で懸濁させて細胞懸濁液とし,この細胞懸濁液を,1ウェルに凡そ1個の細胞が含まれるように,96穴プレートの各ウェルに200μLずつ播種した。このとき,各ウェルに,フィーダー細胞として,発現ベクターを導入していないCHO−K1細胞が,1×10個/ウェルの個数で含まれるようにした。培養14日目に,各ウェルのコロニー形成を確認し,単一のコロニーが形成されているウェルの培養上清を採取し,後述する酵素活性測定法により培養上清中のrhDNaseIの酵素活性を測定し,高い酵素活性を示す培養上清を含むウェルを52個選択した。選択したウェルの細胞を,それぞれ24穴プレートの各穴に播種して培養し,最終的に最も高い酵素活性を示すウェルの細胞を選択した。
次いで,選択したウェルから細胞を回収し,回収した細胞を,300μMのMSXと10μg/mLのピューロマイシンを含む基本培地で懸濁させて細胞懸濁液とし,この細胞懸濁液を,1ウェルに凡そ1個の細胞が含まれるように,96穴プレートの各ウェルに200μLずつ播種した。このとき,各ウェルに,フィーダー細胞として,発現ベクターを導入していないCHO−K1細胞が,1×10個/ウェルの個数で含まれるようにした。培養14日目に,各ウェルのコロニー形成を確認し,単一のコロニーが形成されているウェルの培養上清を採取し,後述する酵素活性測定法により培養上清中のrhDNaseIの酵素活性を測定し,高い酵素活性を示す培養上清を含むウェルを70個選択した。選択したウェルの細胞を,それぞれ24穴プレートの各穴に播種して培養し,最終的に最も高い酵素活性を示すウェルの細胞を選択した。
次いで,選択したウェルから細胞を回収し,上記と同様の操作を更に1回繰り返し,最も高い酵素活性を示す培養上清を含むウェルを1個選択し,このウェルから細胞を回収し,回収された細胞をrhDNaseI産生細胞として,以下の実験に用いた。
〔実施例5:rhDNaseI産生細胞の生産培養〕
実施例4で得たrhDNaseI産生細胞を段階的に拡大培養し,最終的に,2×10個/mLの密度で細胞を800mLの培地に懸濁させた。この細胞懸濁液を,バイオリアクター(Single−Use Bioreactor, サーモフィッシャーサイエンティフィック社)の1Lチャンバーに添加し,バイオリアクターを表1に示す条件に設定して,細胞を14日間培養した。また培養期間中,培養開始4日目,7日目及び10日目に,50mLのEfficient feed kit Aと50mLのEfficient feed kit Bからなるフィード液を,チャンバーに添加した。なお,拡大培養及び生産培養は,培地として,20μg/mLのインスリンを含むCD−OptiCHOTM培地に,HT supplement 100×を1/100(v/v)量添加したものを用いて行った。
Figure 2016086814
培養期間中,経時的に細胞の生存率と培地中に含まれるrhDNaseIの量を測定した。rhDNaseIの量の測定は,後述するELISA法により行った。培養期間中,細胞の生存率は常に90%以上に保たれており,表1に示すバイオリアクターの設定条件が,rhDNaseI産生細胞の培養条件として好適であることがわかった(図2)。また,培地中に含まれるrhDNaseIの量は,培養開始11日目までは急速に増加し,培養開始11日目には728mg/Lに達した(図3)。その後も,培地中に含まれるrhDNaseIの量は増加し,培養開始14日目には778mg/Lとなった(図3)。すなわち,実施例2で示したrhDNaseI発現ベクターを,CHO細胞に導入し,選択培養で選択して得たrhDNaseI産生細胞を,表1に示すバイオリアクターの設定条件で培養することにより,極めて高い発現レベルで培地中にrhDNaseIが得られることがわかった。
〔実施例6:rhDNaseIの精製〕
生産培養の終了後に培地を回収し,膜フィルター(孔径0.22μm,Millipore社)でろ過して,培養上清とした。培養上清を75mL分取し,これに1mMのCaClを含む20mM Tris緩衝液(pH7.5)を等量加えて希釈した。この培養上清の希釈液を,カラム体積の2倍容の50mMのNaClと1mMのCaClを含む20mM Tris緩衝液(pH7.5)で平衡化した,陰イオン交換カラムであるNuviaQ media(カラム体積5mL,ベッド高25cm,BioRad社)に,1.8mL/分の流速で負荷し,rhDNaseIを樹脂に吸着させた。引き続き同流速で,カラム体積の6倍容の1mMのCaClを含む40mM酢酸緩衝液(pH5.0)でカラムを洗浄した後,カラム体積の6倍容の200mMのNaClと1mMのCaClを含む40mM酢酸緩衝液(pH4.5)でrhDNaseIをカラムから溶出させた。
上記の陰イオン交換カラム溶出画分に1M Tris緩衝液(pH8.0)を添加して,pHを6.5に調整した。このpH調整後の溶出画分を,カラム体積の2倍容の100mMのNaClと1mMのCaClを含む20mM MES(pH6.5)で平衡化した,ハイドロキシアパタイトカラムであるBio−Scale Mini CHT Type I Cartridge(カラム体積5mL,BioRad社)に,2mL/分の流速で負荷し,rhDNaseIを固相に吸着させた。次いで2.5mL/分の流速で,カラム体積の5倍容の0.5mMのCaClを含む20mM MES(pH6.5)でカラムを洗浄した後,カラム体積の6倍容の15mMのKHPOと0.5mMのCaClを含む20mM MES緩衝液(pH6.5)でrhDNaseIをカラムから溶出させた。
上記のハイドロキシアパタイトカラム溶出画分に酢酸を添加して,pHを4.5に調整した。このpH調整後の溶出画分を,カラム体積の2倍容の15mMのNaClと10mMのCaClを含む40mM酢酸緩衝液(pH4.5)で平衡化した,陽イオン交換カラムであるFractogelTM EMD SO (M)(カラム体積5mL,ベッド高25cm,Merck社)に,1.8mL/分の流速で負荷し,rhDNaseIを担体に吸着させた。引き続き同流速で,カラム体積の5倍容の15mMのNaClと10mMのCaClを含む40mM酢酸緩衝液(pH4.5)でカラムを洗浄した後,カラム体積の6倍容の50mMのNaClと10mMのCaClを含む20mM HEPES緩衝液(pH7.0)でrhDNaseIをカラムから溶出させ,引き続いてカラム体積の6倍容の50mMのNaClと10mMのCaClを含む20mM HEPES緩衝液(pH7.5)でrhDNaseIをカラムから更に溶出させた。
上記の陽イオン交換カラム溶出画分に酢酸を添加して,pHを4.5に調整した。このpH調整後の溶出画分を,カラム体積の2倍容の70mMのNaClと1mMのCaClを含む40mM酢酸緩衝液(pH4.5)で平衡化した,色素リガンドアフィニティーカラムであるHiScreen Blue Sepharose FF(カラム体積4.7mL,GEヘルスケア社)に1.8mL/分の流速で負荷し,rhDNaseIを樹脂に吸着させた。引き続き同流速で,カラム体積の5倍容の70mMのNaClと1mMのCaClを含む40mM酢酸緩衝液(pH4.5)でカラムを洗浄した後,カラム体積の6倍容の100mMのNaClと1mMのCaClを含む20mM MES緩衝液(pH6.5)でrhDNaseIをカラムから溶出させた。ここで溶出させて得られたrhDNaseIを,rhDNaseI精製品とした。
rhDNaseIの精製に用いた培養上清とrhDNaseI精製品に含まれるrhDNaseIを後述するELISA法により定量した結果,精製開始時の培養上清に含まれたrhDNaseIの約72%が,rhDNaseI精製品として回収されたことがわかった。この結果は,上記のrhDNaseI精製法が,精製過程におけるrhDNaseIの損失の少ない,rhDNaseIの精製法として極めて効率のよいものであることを示すものである。
〔実施例7:抗rhDNaseI抗体の作製〕
上記実施例3で得たバルク細胞を,4mMグルタミンを含有するCD−OptiCHOTM培地に全量が240mLとなるように2×10個/mLの密度で懸濁した。この細胞懸濁液を30mLずつ,径15cmのシャーレ8枚に加えて,5日間,5%CO存在下,37℃で培養した。培養終了後に培地を回収し,膜フィルター(孔径0.22μm,Millipore社)でろ過して,培養上清とした。220mLの培養上清に等量の1mM CaCl溶液を加えて混和し,その1/2量を,50mM NaClと1mM CaClを含有する20mM MES緩衝液(pH6.5)で平衡化した陰イオン交換カラムであるHiTrap Capto Q(カラム体積5mL,GEヘルスケア社)に,3mL/分の流速で負荷し,rhDNaseIを樹脂に吸着させた。引き続き同流速で,カラム体積の5倍容の50mM NaClと1mM CaClを含有する20mM MES緩衝液(pH6.5)で洗浄した。次いで,溶出緩衝液A(50mM NaClと1mM CaClを含有する20mM MES緩衝液(pH6.5))と溶出緩衝液B(300mM NaClと1mM CaClを含有する20mM MES緩衝液(pH6.5))とを用いて,溶出開始時は溶出緩衝液Aを100%,溶出終了時は溶出緩衝液Bを100%とする直線的な濃度勾配により,カラム体積の30倍容の溶出緩衝液でrhDNaseIをカラムから溶出させた。残りの1/2量についても,この陰イオン交換カラムクロマトグラフィーによる精製を行った。rhDNaseIを含む画分を回収し,これをAmicon Ultra 10Kを用いて1.5mLまで濃縮してrhDNaseIの濃縮液を得た。
上記の濃縮液を,150mM NaClと1mM CaClと0.05% Tween80を含有する10mM MES緩衝液(pH6.3)で平衡化したゲルろ過カラムであるHiLaod 16/60 Superdex75(GEヘルスケア社)に1.0mL/分の流速で負荷した。引き続いて同流速・同緩衝液で,ゲルろ過をし,rhDNaseIを含む画分を回収して,rhDNaseI粗精製品を得た。このrhDNaseI粗精製品を抗原として2羽のウサギ(ニュージーランドホワイト)を免疫した。免疫は,1回当たり0.2mgのrhDNaseI粗精製品を,2〜4週間の間隔を空けて計4回,ウサギに皮下注射して行った。初回の免疫にはFreund’s Complete Adjuvant用い,以後の免疫にはFreund’s Incomplete Adjuvantを用いた。免疫したウサギ血清から,常法によりウサギ抗hDNaseI抗体を精製して,ウサギ抗hDNaseI抗体を調製した。更に,調製したウサギ抗hDNaseI抗体の一部を,HRP標識キット(同仁化学)を用いて標識して,HRP標識抗hDNaseI抗体を調製した。
〔実施例8:rhDNaseIの定量(ELISA法)〕
0.1%BSAを含有するTBS−Tで,上記実施例7で調製したHRP標識抗hDNaseI抗体を0.0625μg/mLの濃度に希釈し,これをHRP標識抗hDNaseI抗体溶液とした。0.025Mクエン酸溶液を等量の0.05M NaHPO溶液と混和しpH5.0に調整したものをOPD溶解液とした。o−フェニルジアミン塩酸塩(OPD錠,和光純薬)を0.4mg/mLの濃度でOPD溶解液に溶解し,これにHを0.0086%となるように添加したものを基質溶液とした。また,rhDNaseI(PROSPEC社)を,0.1%BSAを含有するTBS−Tで希釈したものをrhDNaseIの標準品として用いた。
上記実施例7で調製したウサギ抗hDNaseI抗体を,0.05M NaHCOで希釈して0.5μg/mLの濃度に調整した。この抗体希釈液を,100μLずつ96穴プレートの各ウェルに添加し,37℃で1時間静置した。溶液を除き,各ウェルを300μLのTBS−Tで1回洗浄した後,各ウェルに1%BSAを含有するTBS−Tを300μLずつ添加し,室温で30分間静置した。溶液を除いた後,rhDNaseIの標準品及びrhDNaseI精製品を各ウェルに添加し,室温で1時間静置した。溶液を除き,各ウェルを300μLのTBS−Tで3回洗浄した後,各ウェルにHRP標識抗hDNaseI抗体溶液を100μLずつ添加し,室温で1時間静置した。溶液を除き,各ウェルを300μLのTBS−Tで3回洗浄した後,各ウェルに基質溶液を100μLずつ添加し,室温で10分静置した。次いで,各ウェルに反応停止液を100μLずつ添加した後,各ウェルの490nmの吸光度をプレートリーダーを用いて測定した。rhDNaseIの標準品の測定値により検量線を作成するとともに,rhDNaseI精製品の測定値を検量線に内挿して,rhDNaseI精製品の濃度を測定した。
〔実施例9:rhDNaseIの酵素活性測定(DNA−メチルグリーンアッセイ)〕
サケ精巣DNA(Sigma−Aldrich)を,1mM EDTAを含有する25mM HEPES緩衝液(pH7.5)に2mg/mLの濃度となるように添加し,室温で2日間撹拌してDNAを完全に溶解させて,0.2%DNA溶液を調製した。メチルグリーン粉末(Sigma−Aldrich)を20mM酢酸/NaOH(pH4.2)に,0.4(w/v)の濃度となるように溶解して,メチルグリーン溶液を調製した。0.2%DNA溶液とメチルグリーン溶液と希釈溶液(4mM CaClと4mM MaClと0.1% BSA と0.05% Tween20とを含有する25mM HEPES(pH7.5))を,128:7.7:114の割合で混和し,室温で1晩撹拌した後,膜フィルター(孔径0.22μm,コーニング社)でろ過して,これを基質溶液とした。基質溶液は凍結保存し,用時解凍して使用した。
希釈溶液にrhDNaseI(PROSPEC社)を100U/mLの濃度で溶解して,これをrhDNaseIの標準品溶液とした。この標準品溶液を,検量線を作成するために希釈溶液を用いて1U/mL〜0.0078U/mLの範囲で2段階希釈した。また,実施例6で得たrhDNaseI精製品を,適宜,希釈溶液を用いて希釈した。
上記rhDNaseI標準品溶液の希釈液及びrhDNaseI精製品の希釈液を96穴マイクロタイタ―プレートのウェルにそれぞれ100μL添加し,次いで,基質溶液を100μLずつ各ウェルに添加して混和した後,30℃で3時間静置して反応させた。次いで,プレートリーダーを用いて,各ウェルの620nmの吸光度(OD620)と492nm(OD492)の吸光度を測定した。OD620からOD492を減じた値をとって検量線を作成するとともに,rhDNaseI精製品の測定値を検量線に内挿して,rhDNaseI精製品の活性を測定した。
rhDNaseI精製品の活性測定値と,実施例8で測定されたrhDNaseI精製品の濃度から,rhDNaseIの比活性を求めた。また,このとき,対照として市販の医療用rhDNaseI(対照品)の比活性も求めた。その結果,rhDNaseI精製品と対照品の比活性は,それぞれ974U/mgと950U/mgと測定され,rhDNaseI精製品が,少なくとも製造ロットによっては,対照品より高い比活性を有することがわかった。この結果は,実施例6で得られたrhDNaseI精製品が,市販の医療用rhDNaseIと同等レベルにまで精製されたものであることを示すものである。
〔実施例10:rhDNaseIの純度測定(SDS−PAGE電気泳動)〕
10μLのrhDNaseI精製品を,等量のloading buffer(4% SDS,4% メルカプトエタノール,8M 尿素を含有する125mM Tris緩衝液(pH6.5))と混ぜて50℃で10分間加熱した後,ポリアクリルアミドゲル(Super SepTM Ace 10−20%,和光純薬)を用いて電気泳動した。電気泳動後,ゲルをオリオール染色した。オリオール染色したゲル上には,分子量35〜37kDに相当する位置にrhDNaseIに由来するバンドのみが認められた(図4)。
〔実施例11:rhDNaseIの純度測定(SE−HPLC)〕
TSKgelG3000SWXLカラム(内径7.8 mm×30 cm,東ソー)をLC−20Aシステム,SPD−20AVのUV/VIS検出器(島津製作所)にセットした。10μLのrhDNaseI精製品を,25 mMリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で平衡化されたカラムに,流速0.5mL/分で負荷した。溶出プロファイルは,215nmにおける吸光度を測定して作成した。得られた溶出プロファイルは,ほぼrhDNaseIに由来する単一のピークのみを示した(図5)。
上記rhDNaseI精製品の比活性値,SDS−PAGE電気泳動のパターン及び,SE−HPLCによる分析結果から,rhDNaseI精製品の純度は,95%を超えるものであることが示された。
本発明によれば,例えば,医薬として使用できる高純度にまで精製されたrhDNaseIを提供することができる。
3a 配列番号2に示す塩基配列を含む変異型マウス脳心筋炎ウイルス由来の内部リボソーム結合部位
5 ヒトEF−1αプロモーター及び第一イントロンを含む塩基配列
6 SV40後期ポリポリアデニル化領域
7 SV40初期プロモーターを含む領域
8 合成ポリポリアデニル化領域
10 グルタミン合成酵素遺伝子
11 ヒトDNaseI遺伝子
配列番号2 変異型マウス脳心筋炎ウイルス由来の内部リボソーム結合部位の部分配列,合成
配列番号3 ヒトDNaseIをコードする配列,合成
上記目的に向けた研究において,本発明者らは,無血清培地中で培養したrhDNaseI産生細胞の培養液の培養上清中に含まれるrhDNaseIを,陰イオン交換カラムクロマトグラフィー,リン酸基に親和性をもつ材料を固定相として用いたカラムクロマトグラフィー,陽イオン交換カラムクロマトグラフィー,及び色素リガンドアフィニティーカラムクロマトグラフィーの組み合わせにより精製することによって,高い純度のrhDNaseIを効率よく精製することができることを見出した。本発明は,これらの知見に基づき更に検討を加えて完成させたものである。すなわち,本発明は以下を提供する。
1.組換えヒトDNaseIの製造方法であって,
(a)組換えヒトDNaseIを産生する哺乳動物細胞を無血清培地中で培養して組換えヒトDNaseIを培養液中に分泌させるステップと,
(b)上記ステップ(a)で得られた培養液から該哺乳動物細胞を除去することにより培養上清を回収するステップと,
(c)上記ステップ(b)で得られた培養上清を陰イオン交換カラムクロマトグラフィーに付して組換えヒトDNaseIを含有する画分を回収するステップと,
(d)上記ステップ(c)で回収された該画分をリン酸基に親和性をもつ材料を固定相として用いたカラムクロマトグラフィーに付して組換えヒトDNaseIを含有する画分を回収するステップと,
(e)上記ステップ(d)で回収された該画分を陽イオン交換カラムクロマトグラフィーに付して組換えヒトDNaseIを含有する画分を回収するステップと,
(f)上記ステップ(e)で回収された該画分を色素リガンドアフィニティーカラムクロマトグラフィーに付して組換えヒトDNaseIを含有する画分を回収するステップと,
をこの順で含んでなるものである,製造方法。
2.該陰イオン交換カラムクロマトグラフィーのイオン交換体が,強陰イオン交換体である,上記1に記載の製造方法。
3.該強イオン交換体が,トリメチルアンモニウム基をもつものである,上記2に記載の方法。
4.リン酸基に親和性をもつ該材料が,フルオロアパタイト又はハイドロキシアパタイトのいずれかである,上記1乃至3のいずれかに記載の製造方法。
5.リン酸基に親和性をもつ該材料が,ハイドロキシアパタイトである,上記4に記載の製造方法。
6.該陽イオン交換カラムクロマトグラフィーのイオン交換体が,強陽イオン交換体である,上記1乃至5のいずれかに記載の製造方法。
7.該強イオン交換体が,スルホ基をもつものである,上記6に記載の製造方法。
8.該色素リガンドアフィニティーカラムクロマトグラフィーの色素が,トリアジン色素である,上記1乃至7のいずれかに記載の製造方法。
9.上記1乃至8のいずれかに記載の製造方法により得られた組換えヒトDNaseIを含有する画分を,ゲルろ過カラムクロマトグラフィーに付して,組換えヒトDNaseIを含有する画分を回収するステップを更に含むものである,組換えヒトDNaseIの製造方法。
10.該陰イオン交換カラムクロマトグラフィーが,0.5〜2.0mMのカルシウムイオン存在下で行わるものである,上記1乃至9のいずれかに記載の製造方法。
11.該陰イオン交換カラムクロマトグラフィーが,0.8〜1.2mMのカルシウムイオン存在下で行わるものである,上記1乃至9のいずれかに記載の製造方法。
12.該陽イオン交換カラムクロマトグラフィーが,2〜20mMのカルシウムイオン存在下で行わるものである,上記1乃至11のいずれかに記載の製造方法。
13.該陽イオン交換カラムクロマトグラフィーが,8〜12mMのカルシウムイオン存在下で行わるものである,上記1乃至11のいずれかに記載の製造方法。
14.該哺乳動物細胞が,rhDNaseIを発現させるための発現ベクターであって,ヒト伸長因子−1アルファプロモーター,その下流にrhDNaseIをコードする遺伝子,更に下流にマウス脳心筋炎ウイルスの5’非翻訳領域に由来する内部リボソーム結合部位,及び更に下流にグルタミン合成酵素をコードする遺伝子を含み,且つ別の遺伝子発現制御部位及びその下流にピューロマイシン又はネオマイシン耐性遺伝子を更に含む発現ベクターが導入されたものである,上記1乃至13のいずれかに記載の製造方法。
15.該内部リボソーム結合部位が,野生型のマウス脳心筋炎ウイルスの5’非翻訳領域の内部リボソーム結合部位に由来するものであり,且つ該内部リボソーム結合部位に含まれる複数の開始コドンのうちの一部が破壊されたものである,上記14に記載の製造方法。
16.該内部リボソーム結合部位が,配列番号2の塩基配列を含むものである,上記15に記載の製造方法。
17.該哺乳動物細胞が,rhDNaseIを発現させるための発現ベクターであって,ヒト伸長因子−1アルファプロモーター,その下流にrhDNaseIをコードする遺伝子,更に下流にマウス脳心筋炎ウイルスの5’非翻訳領域に由来する内部リボソーム結合部位,及び更に下流にグルタミン合成酵素をコードする遺伝子を含み,且つ別の遺伝子発現制御部位及びその下流にジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子を更に含む発現ベクターが導入されたものである,上記1乃至13のいずれかに記載の製造方法。
18.該内部リボソーム結合部位が,野生型のマウス脳心筋炎ウイルスの5’非翻訳領域の内部リボソーム結合部位に由来するものであり,且つ該内部リボソーム結合部位に含まれる複数の開始コドンのうちの一部が破壊されたものである,上記17に記載の製造方法。
19.該内部リボソーム結合部位が,配列番号2の塩基配列を含むものである,上記18に記載の製造方法。
20.上記1乃至19に記載の何れかの製造法により製造され,且つ960U/mg以上の比活性を示す組換えヒトDNaseI。
21.上記1乃至19に記載の何れかの製造法により製造され,且つ960〜1000U/mgの比活性を示す組換えヒトDNaseI。

Claims (21)

  1. 組換えヒトDNaseIの製造方法であって,
    (a)組換えヒトDNaseIを産生する哺乳動物細胞を無血清培地中で培養して組換えヒトDNaseIを培養液中に分泌させるステップと,
    (b)上記ステップ(a)で得られた培養液から該哺乳動物細胞を除去することにより培養上清を回収するステップと,
    (c)上記ステップ(b)で得られた培養上清を陰イオン交換カラムクロマトグラフィーに付して組換えヒトDNaseIを含有する画分を回収するステップと,
    (d)上記ステップ(c)で回収された該画分をリン酸基に親和性をもつ材料を固定相として用いたカラムクロマトグラフィーに付して組換えヒトDNaseIを含有する画分を回収するステップと,
    (e)上記ステップ(d)で回収された該画分を陽イオン交換カラムクロマトグラフィーに付して組換えヒトDNaseIを含有する画分を回収するステップと,
    (f)上記ステップ(e)で回収された該画分を色素リガンドアフィニティーカラムクロマトグラフィーに付して組換えヒトDNaseIを含有する画分を回収するステップと,
    をこの順で含んでなるものである,製造方法。
  2. 該陰イオン交換カラムクロマトグラフィーのイオン交換体が,強陰イオン交換体である,請求項1に記載の製造方法。
  3. 該強イオン交換体が,トリメチルアンモニウム基をもつものである,請求項2に記載の方法。
  4. リン酸基に親和性をもつ該材料が,フルオロアパタイト又はハイドロキシアパタイトのいずれかである,請求項1乃至3のいずれかに記載の製造方法。
  5. リン酸基に親和性をもつ該材料が,ハイドロキシアパタイトである,請求項4に記載の製造方法。
  6. 該陽イオン交換カラムクロマトグラフィーのイオン交換体が,強陽イオン交換体である,請求項1乃至5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 該強イオン交換体が,スルホ基をもつものである,請求項6に記載の製造方法。
  8. 該色素リガンドアフィニティーカラムクロマトグラフィーの色素が,トリアジン色素である,請求項1乃至7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載の製造方法により得られた組換えヒトDNaseIを含有する画分を,ゲルろ過カラムクロマトグラフィーに付して,組換えヒトDNaseIを含有する画分を回収するステップを更に含むものである,組換えヒトDNaseIの製造方法。
  10. 該陰イオン交換カラムクロマトグラフィーが,0.5〜2.0mMのカルシウムイオン存在下で行わるものである,請求項1乃至9のいずれかに記載の製造方法。
  11. 該陰イオン交換カラムクロマトグラフィーが,0.8〜1.2mMのカルシウムイオン存在下で行わるものである,請求項1乃至9のいずれかに記載の製造方法。
  12. 該陽イオン交換カラムクロマトグラフィーが,2〜20mMのカルシウムイオン存在下で行わるものである,請求項1乃至11のいずれかに記載の製造方法。
  13. 該陽イオン交換カラムクロマトグラフィーが,8〜12mMのカルシウムイオン存在下で行わるものである,請求項1乃至11のいずれかに記載の製造方法。
  14. 該哺乳動物細胞が,rhDNaseIを発現させるための発現ベクターであって,ヒト伸長因子−1アルファプロモーター,その下流にrhDNaseIをコードする遺伝子,更に下流にマウス脳心筋炎ウイルスの5’非翻訳領域に由来する内部リボソーム結合部位,及び更に下流にグルタミン合成酵素をコードする遺伝子を含み,且つ別の遺伝子発現制御部位及びその下流にピューロマイシン又はネオマイシン耐性遺伝子を更に含む発現ベクターが導入されたものである,請求項1乃至13のいずれかに記載の製造方法。
  15. 該内部リボソーム結合部位が,野生型のマウス脳心筋炎ウイルスの5’非翻訳領域の内部リボソーム結合部位に由来するものであり,且つ該内部リボソーム結合部位に含まれる複数の開始コドンのうちの一部が破壊されたものである,請求項14に記載の製造方法。
  16. 該内部リボソーム結合部位が,配列番号2の塩基配列を含むものである,請求項15に記載の製造方法。
  17. 該哺乳動物細胞が,rhDNaseIを発現させるための発現ベクターであって,ヒト伸長因子−1アルファプロモーター,その下流にrhDNaseIをコードする遺伝子,更に下流にマウス脳心筋炎ウイルスの5’非翻訳領域に由来する内部リボソーム結合部位,及び更に下流にグルタミン合成酵素をコードする遺伝子を含み,且つ別の遺伝子発現制御部位及びその下流にジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子を更に含む発現ベクターが導入されたものである,請求項1乃至13のいずれかに記載の製造方法。
  18. 該内部リボソーム結合部位が,野生型のマウス脳心筋炎ウイルスの5’非翻訳領域の内部リボソーム結合部位に由来するものであり,且つ該内部リボソーム結合部位に含まれる複数の開始コドンのうちの一部が破壊されたものである,請求項17に記載の製造方法。
  19. 該内部リボソーム結合部位が,配列番号2の塩基配列を含むものである,請求項18に記載の製造方法。
  20. 請求項1乃至19に記載の何れかの製造法により製造され,且つ960U/mg以上の比活性を示す組換えヒトDNaseI。
  21. 請求項1乃至19に記載の何れかの製造法により製造され,且つ960〜1000U/mgの比活性を示す組換えヒトDNaseI。
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