JP2016084580A - 緊急放流システム、及び、それに用いられる緊急開放弁 - Google Patents
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Abstract
【課題】地震発生時にため池の水位を自動的に所定の高さまで下降できる緊急放流システムと、これに用いられる緊急開放弁を提供する。
【解決手段】緊急放流システムは、ため池R内とため池R外とを接続する放流流路14を遮断及び開放する、ため池R内に設置された弁本体2を備える。弁本体2は、弁箱と、弁箱に回転可能に支持された弁軸、弁軸に取付けられて弁箱の開口部を開閉する弁体とを有する。本システムは、地震を感知する、ため池R外に設置された地震感知機構4と、地震感知機構4が地震を感知したときに、弁体が開口部を開く方向に弁軸を回転させる、ため池R外に設置された駆動機構3と、駆動機構3の駆動力を弁軸へ伝達する、駆動機構3と弁本体2とに連結された伝達機構5とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】緊急放流システムは、ため池R内とため池R外とを接続する放流流路14を遮断及び開放する、ため池R内に設置された弁本体2を備える。弁本体2は、弁箱と、弁箱に回転可能に支持された弁軸、弁軸に取付けられて弁箱の開口部を開閉する弁体とを有する。本システムは、地震を感知する、ため池R外に設置された地震感知機構4と、地震感知機構4が地震を感知したときに、弁体が開口部を開く方向に弁軸を回転させる、ため池R外に設置された駆動機構3と、駆動機構3の駆動力を弁軸へ伝達する、駆動機構3と弁本体2とに連結された伝達機構5とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、地震発生時にため池内の水を外部へ放流してその水位を所定の高さまで下降させる緊急放流システム、及び、該システムに用いられる緊急開放弁に関する。
近年、地震発生直後の堤体保全を目的として、ため池の水位を一日で所定の高さまで下降させる緊急放流システムを設計することが提案されている。具体的には、緊急放流システムが、ため池の水位を、地震発生から一日で「常時満水位−2m」または「常時満水位−(貯水深さ×1/3)」のうち、いずれか高い水位まで放流できる放流能力を有することが条件とされている。
特許文献1に、緊急放流システムの一例が開示されている。この文献の緊急放流システムでは、地震が発生したときに、作業者がハンドルを操作すると、ため池内の緊急放流口を塞ぐ扉体が開き、ため池内の水が緊急放流口から外部へ放流されるようになっている。それによって、ため池の水位が緊急放流口の高さにまで下降するようになっている。
上記の通り、特許文献1の緊急放流システムは、作業者のハンドル操作を必要とするものであり、地震発生時に水位が自動的に下降するものではない。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、地震発生時にため池の水位を自動的に所定の高さまで下降させることができる緊急放流システム、及び、該システムに用いられる緊急開放弁を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る緊急放流システムは、
ため池内とため池外とを接続する放流流路を遮断及び開放する、ため池内に設置された弁本体を備え、前記弁本体は、弁箱と、前記弁箱に回転可能に支持された弁軸と、前記弁軸に取り付けられて前記弁箱の開口部を開閉する弁体とを有し、さらに、
地震を感知する、ため池外に設置された地震感知機構と、
前記地震感知機構が地震を感知したときに、前記弁体が前記開口部を開く方向に前記弁軸を回転させる、ため池外に設置された駆動機構と、
前記駆動機構の駆動力を前記弁軸へ伝達する、前記駆動機構と前記弁本体とに連結された伝達機構と、を備え、
地震が発生した時に前記放流流路を開放することで、前記放流流路を通じてため池内の水を放出してため池の水位を所定の高さまで下降させる、ことを特徴とする。
ため池内とため池外とを接続する放流流路を遮断及び開放する、ため池内に設置された弁本体を備え、前記弁本体は、弁箱と、前記弁箱に回転可能に支持された弁軸と、前記弁軸に取り付けられて前記弁箱の開口部を開閉する弁体とを有し、さらに、
地震を感知する、ため池外に設置された地震感知機構と、
前記地震感知機構が地震を感知したときに、前記弁体が前記開口部を開く方向に前記弁軸を回転させる、ため池外に設置された駆動機構と、
前記駆動機構の駆動力を前記弁軸へ伝達する、前記駆動機構と前記弁本体とに連結された伝達機構と、を備え、
地震が発生した時に前記放流流路を開放することで、前記放流流路を通じてため池内の水を放出してため池の水位を所定の高さまで下降させる、ことを特徴とする。
好ましくは、前記駆動機構は、前記地震感知機構が地震を感知したときに回転する駆動軸を備え、前記伝達機構は、ユニバーサルジョイントと、一端が前記弁軸に連結され他端が前記ユニバーサルジョイントを介して前記駆動軸に連結された伝達軸とを備える。
好ましくは、前記弁本体は、前記弁軸及び前記弁軸に連結された前記伝達軸が堤体の傾斜面に沿ってのびるように堤体に設置され、前記駆動機構は、前記駆動軸が水平にのびるように堤頂に設置される。
好ましくは、前記弁本体は、前記ため池内の前記所定の高さに設置される。
本発明に係る緊急開放弁は、地震が発生したときに、ため池内の水を放流流路を通じて放流してため池の水位を所定の高さまで下降させるために、前記放流流路を開放する緊急開放弁であって、
弁箱と、前記弁箱に回転可能に支持された弁軸と、前記弁軸に取り付けられて前記弁箱の開口部を開閉する弁体とを有し、ため池内に設置される弁本体と、
地震を感知する、ため池外に設置される地震感知機構と、
前記地震感知機構が地震を感知したときに前記弁体が前記開口部を開く方向に前記弁軸を回転させる、ため池外に設置される前記駆動機構と、
前記駆動機構の駆動力を前記弁軸へ伝達する伝達機構と、を備え、
前記駆動機構は、前記地震感知機構が地震を感知したときに回転する駆動軸を備え、
前記伝達機構は、ユニバーサルジョイントと、一端が前記弁本体の前記弁軸に連結され他端が前記ユニバーサルジョイントを介して前記駆動機構の前記駆動軸に連結された伝達軸とを備える、ことを特徴とする。
弁箱と、前記弁箱に回転可能に支持された弁軸と、前記弁軸に取り付けられて前記弁箱の開口部を開閉する弁体とを有し、ため池内に設置される弁本体と、
地震を感知する、ため池外に設置される地震感知機構と、
前記地震感知機構が地震を感知したときに前記弁体が前記開口部を開く方向に前記弁軸を回転させる、ため池外に設置される前記駆動機構と、
前記駆動機構の駆動力を前記弁軸へ伝達する伝達機構と、を備え、
前記駆動機構は、前記地震感知機構が地震を感知したときに回転する駆動軸を備え、
前記伝達機構は、ユニバーサルジョイントと、一端が前記弁本体の前記弁軸に連結され他端が前記ユニバーサルジョイントを介して前記駆動機構の前記駆動軸に連結された伝達軸とを備える、ことを特徴とする。
本発明の緊急放流システムによれば、地震が発生したとき、地震感知機構がこれを感知する。次いで、ため池外の駆動機構が、伝達機構を介して、ため池内の弁本体の弁軸を回転して、放流流路を開放する。すると、ため池内の水は放流流路を通って外部へ放流されて、ため池の水位が所定の高さまで下降する。このように、本発明の緊急放流システムは、地震発生時に、作業者の操作なく自動的に、ため池の水位を所定の高さまで下降させることができる。
以下、添付図面を参照して本発明に係る緊急放流システム及び緊急開放弁の好ましい一実施形態について説明する。
[全体構成]
図1Aは、緊急放流システムの概略平面図であり、堤体内の構成は一点鎖線で示されている。図1Bは、緊急放流システムの概略縦断面図である。
緊急放流システムは、地震が発生したときに、ため池Rの水をため池R外へ放流して、ため池Rの水位を所定の高さに下降させるものである。
図1Aは、緊急放流システムの概略平面図であり、堤体内の構成は一点鎖線で示されている。図1Bは、緊急放流システムの概略縦断面図である。
緊急放流システムは、地震が発生したときに、ため池Rの水をため池R外へ放流して、ため池Rの水位を所定の高さに下降させるものである。
図1Bを参照して、ため池Rには堤体1が備えられている。堤体1には傾斜面10が形成されており、ため池Rの周囲の一部を構成している。堤体1内には、傾斜面10に沿ってのびる斜樋管11が設けられている。斜樋管11には、ため池R内の水を取得するための取水口(図示されない)がその長さ方向に沿って適宜の間隔をあけて形成されている。
堤体1の底部には、底樋管12が設けられている。底樋管12は、一端がため池R内に位置し図示されない他端がため池R外に位置するよう堤体1を貫通し、かつ、一端から多他端に向かって僅かに下方に傾斜してのびている。底樋管12の一端には扉体15が設けられており、通常は閉じられている。底樋管12は一端側において斜樋管11の下端に接続されている。底樋管12の他端は開かれている。
図示されない操作装置のハンドルを操作することにより、斜樋管11の取水口が開かれ、ため池R内の水が斜樋管11及び底樋管12を通ってため池R外に流れる。それによって、ため池Rからの取水ができる。
上記は、ため池Rに一般的に備えられている取水施設である。
上記は、ため池Rに一般的に備えられている取水施設である。
本実施形態の緊急放流システムでは、ため池Rに既設のこの取水施設の一部及び緊急開放弁が利用されている。
分岐管13が堤体1内の斜樋管11から分岐してため池R内にまでのびている。この分岐管13と、上記の斜樋管11及び底樋管12とによって、ため池R内とため池R外とを接続する放流流路14が構成されている。
分岐管13が堤体1内の斜樋管11から分岐してため池R内にまでのびている。この分岐管13と、上記の斜樋管11及び底樋管12とによって、ため池R内とため池R外とを接続する放流流路14が構成されている。
[緊急開放弁]
緊急開放弁は、ため池R内に設けられ、放流流路14を開放及び遮断する弁本体2を備えている。弁本体2は、堤体1の傾斜面10に形成された段差に設置される。弁本体2は、地震が発生したときに下降させたい水位の高さ(本実施形態では符号L2で示される高さ)に設置される。
緊急開放弁は、ため池R内に設けられ、放流流路14を開放及び遮断する弁本体2を備えている。弁本体2は、堤体1の傾斜面10に形成された段差に設置される。弁本体2は、地震が発生したときに下降させたい水位の高さ(本実施形態では符号L2で示される高さ)に設置される。
図2A、図2Bを参照して、弁本体2は、内部に開口部を有する弁箱20(図2A)と、弁箱20に回転可能に支持された弁軸21と、弁軸21に取り付けられ、弁箱20の開口部を開閉するように弁軸21周りに回転する弁体とを備えている。
弁軸21が鉛直方向ではなく堤体1の傾斜面10に沿ってのびるように、弁箱20の一端が分岐管13の端部(即ち、放流流路14の一端)に接続されている。弁箱20の他端は、ラッパ口22の小径側の端部に接続されている。ラッパ口22の大径側の端部はため池内に開かれている。なお、大径側の端部にはスクリーン23が取り付けられている。
弁体が弁軸21周りに回転して弁箱20内の弁座に当接すると弁箱20の開口部が閉じられ、それによって放流流路14が遮断される。弁体が弁軸21周りに回転して弁座から離れると弁箱20の開口部が開かれ、それによって放流流路14が開放される。こうして、弁本体2は弁軸21の回転によって放流流路14を遮断及び開放する。
図1を参照して、緊急開放弁は、弁体が弁箱20の開口部を開く方向に弁軸21を回転させる駆動機構3と、地震を感知する地震感知機構4とをため池R外に備えている。本実施形態では、これらは堤体1の堤頂16に設置されている。駆動機構3及び地震感知機構4は堤頂16の水平面に配置された設置台17に取り付けられている。このように、弁本体2はため池R内に設置され、駆動機構3はため池R外に設置されており、これらは互いに離れて設置されている。そこで、緊急開放弁は、弁本体2と駆動機構3とに連結され、駆動機構3の駆動力を弁本体2の弁軸21へ伝達する伝達機構5を備えている。
図3、図4を参照して、駆動機構3は、フレーム30と、フレーム30に対して軸周りに回転可能に支持されて水平方向にのびる駆動軸31とを備えている。さらに、駆動機構3は、弁体が弁箱20の開口部を開く方向に駆動軸31を回転付勢するスプリング式の付勢手段6と、付勢手段6による付勢に抗して駆動軸31をロックするロック手段7とを備えている。また、駆動軸31を手動操作するためのハンドル装置32が備えられている。なお、図4ではハンドル装置32の構成は図示されない。
図4、図5を参照して、付勢手段6は、スプリング60と、該スプリング60を収納するシリンダケース61と、シリンダケース61内をその長手方向に沿って摺動するピストンロッド62とを備えている。図5の通り、シリンダケース61内は、ピストンロッド62のピストン部620によってピストン室610とロッド室611とに区画されている。スプリング60はピストン室610に収納されている。
さらに、ピストンロッド62と駆動軸31とを連結し、ピストンロッド62の移動と駆動軸31の回転とを連動させる連動連結部が設けられている。連動連結部は、ピストンロッド62のロッド部621に取り付けられた連結ピン63と、駆動軸31に取り付けられ、連結ピン63が嵌る切欠き640を有する連結片64とからなる。この構成によって図5A、図5Bの通り、ピストンロッド62が直線移動すると駆動軸31が回転するようになっている。
図5Aの通り、ピストンロッド62が退避しているとき、スプリング60はピストンロッド62とシリンダケース61の間に挟まれて圧縮されており、その弾性付勢力によってピストンロッド62を付勢する。それによって駆動軸31が回転付勢される。
図4を参照して、ロック手段7は、フレーム30に対して回転自在に支持された回転軸70と、下端が回転軸70に取り付けられて回転軸70周りに揺動可能な揺動アーム71と、揺動アーム71の上端に取り付けられたフック72と、係止切欠き74が形成されたロックプレート73とを備えている。
図4、図5A、図6Aを参照して、退避したピストンロッド62はスプリング60によって付勢されているとき、ピストンロッド62の先端にあるピン75が揺動アーム71の係止切欠き76に嵌って係止されている。揺動アーム71はピストンロッド62を介してスプリング60の弾性付勢力を受けているが、図4の通り、揺動アーム71のフック72がロックプレート73の係止切欠き74に挿入されて係止されることにより、揺動アーム71の揺動が規制されている。その結果、駆動軸31が回転しないようにロックされている。
さらに、図7を参照して、駆動機構3は、ロック手段7による駆動軸31のロックを解除するロック解除手段8を備えている。ロック解除手段8は、ロックプレート73を回転可能に支持する支軸80と、ロックプレート73の回転を規制する規制ピン81とを備える。ロック解除手段8は、ロックプレート73に形成され規制ピン81が嵌る規制孔82と、規制孔82から抜け出た規制ピン81の移動を許容する規制解除孔83とを有している。規制解除孔83は、支軸80を中心とする円弧状に形成されており、規制孔82は、規制解除孔83の一端から、支軸80を中心とする円の径方向にのびるように形成されている。
さらに、ロック解除手段8は、一端側で規制ピン81を支持し、ロック手段7による駆動軸31のロックを解除するために作動するロック解除アーム84を備えている。ロック解除アーム84は、第1アーム部841と、第2アーム部842と、第3アーム部843とからなる。第1アーム部841は、支軸85aに回転可能に支持され、第2アーム部842は、支軸85bに回転可能に支持され、第3アーム部843は、第1及び第2アーム部841、842を連結している。規制ピン81は、第2アーム部842に取り付けられている。
ピストンロッド62が図5Aのように退避しているとき、スプリング60の付勢力が揺動アーム71及びフック72を介してロックプレート73に作用し、ロックプレート73を回転させようとするが、規制ピン81が規制孔82に嵌りロックプレート73の回転は規制されているので、揺動アーム71が揺動しない。こうして、ロック手段7による駆動軸31のロック状態が保持されている。
[地震感知機構]
地震感知機構4は、回転可能に支持された回転体40を備えており、回転体40には支持アーム41と係止ピン42とが設けられる。支持アーム41の先端には重り43が取り付けられる。重り43は重力により下降しようとするが、係止ピン42が掛金44に係止されて、回転体40が回転できないため、重り43は当該位置に保持されている。また、カム45が回転体40に取り付けられ、重り43の動作に連動して動くようになっている。カム45は、ロック解除アーム84の規制ピン81とは反対側の端部上方に位置している。
地震感知機構4は、回転可能に支持された回転体40を備えており、回転体40には支持アーム41と係止ピン42とが設けられる。支持アーム41の先端には重り43が取り付けられる。重り43は重力により下降しようとするが、係止ピン42が掛金44に係止されて、回転体40が回転できないため、重り43は当該位置に保持されている。また、カム45が回転体40に取り付けられ、重り43の動作に連動して動くようになっている。カム45は、ロック解除アーム84の規制ピン81とは反対側の端部上方に位置している。
さらに、地震感知機構4は、吊り下げ支持された振り子46と、上下に震動可能に設けられたスプリング47と、掛金44を押し上げるための作動子48とを備える。
地震が発生したときに、地震の振動によって、振り子46及びスプリング47の双方または一方が振動する。地震の振動(地震の大きさ)が設定値以上のとき、作動子48が振り子46またはスプリング47の振動により作動し、掛金44を押し上げる。それによって、掛金44による係止ピン42の係止が解かれ、重り43が自重により所定の位置まで下降する。
以上のように、地震感知機構4は、地震の振動によって下降する重り43よって地震を無電源で感知する。
以上のように、地震感知機構4は、地震の振動によって下降する重り43よって地震を無電源で感知する。
[伝達機構]
図1を参照して、伝達機構5は、弁本体2と駆動機構3との間を堤体1の傾斜面10に沿ってのびる伝達軸50を備えている。伝達軸50は、複数のロッド50aをジョイント51で直線状に繋ぎ合わせることによって構成されている。伝達軸50は、堤体1の傾斜面10に適宜の間隔で設置された振止部材52に回転可能に挿通されている。
図1を参照して、伝達機構5は、弁本体2と駆動機構3との間を堤体1の傾斜面10に沿ってのびる伝達軸50を備えている。伝達軸50は、複数のロッド50aをジョイント51で直線状に繋ぎ合わせることによって構成されている。伝達軸50は、堤体1の傾斜面10に適宜の間隔で設置された振止部材52に回転可能に挿通されている。
図2を参照して、伝達軸50の一端は、傾斜面10に沿ってのびる弁軸21に通常のジョイント53を介して連結されている。図3を参照して、伝達軸50は傾斜面10に沿ってのびる一方、駆動軸31は水平方向にのびており、両者は非平行である。そこで、伝達機構5は、ユニバーサルジョイント54を備えており、伝達軸50の他端はこのユニバーサルジョイント54を介して駆動軸31に連結されている。この構成により、駆動機構3の駆動軸31の回転が、伝達軸50の回転によって弁本体2の弁軸21に伝達されて、弁軸21が回転する。
このように、伝達機構5は、伝達軸50及びユニバーサルジョイント54によって、互いに離れた位置にあり非平行な弁軸21と駆動軸31とを互いに連動するように連結する。
[放流動作]
上記構成からなる緊急放流システムの動作について説明する。
通常、緊急放流システムは待機状態にある。即ち、回転付勢された駆動軸31は回転しないようにロックされ(図4、図5A、図6A参照)、弁本体2の弁体は弁箱20の開口部を閉じており、放流流路14は遮断されている。
本実施形態では、ため池Rの水位は満水位L1にある。
上記構成からなる緊急放流システムの動作について説明する。
通常、緊急放流システムは待機状態にある。即ち、回転付勢された駆動軸31は回転しないようにロックされ(図4、図5A、図6A参照)、弁本体2の弁体は弁箱20の開口部を閉じており、放流流路14は遮断されている。
本実施形態では、ため池Rの水位は満水位L1にある。
図7を参照して、待機状態において、一定以上の大きさの地震が発生すると、地震感知機構4が地震を感知する。
重り43が地震の振動によって下降し、これに連動してカム45も下降してロック解除アーム84の一端を押し下げる。ロック解除アーム84は、支軸85a周りに回転して他端が上昇する。そして、その他端に取り付けられた規制ピン81が規制孔82から離脱し規制解除孔83へ移動する。規制ピン81が規制孔82から離脱することで、ロックプレート73が回転可能になる。それによって、ロックプレート73による揺動アーム71の揺動規制が解除される。即ち、ロック解除手段8は地震が感知されたときにロック手段7による駆動軸31のロックを解除する。
このロック解除動作については、特開2014−62622号公報に開示された構成と同様であり、その詳細な説明については省略する。
重り43が地震の振動によって下降し、これに連動してカム45も下降してロック解除アーム84の一端を押し下げる。ロック解除アーム84は、支軸85a周りに回転して他端が上昇する。そして、その他端に取り付けられた規制ピン81が規制孔82から離脱し規制解除孔83へ移動する。規制ピン81が規制孔82から離脱することで、ロックプレート73が回転可能になる。それによって、ロックプレート73による揺動アーム71の揺動規制が解除される。即ち、ロック解除手段8は地震が感知されたときにロック手段7による駆動軸31のロックを解除する。
このロック解除動作については、特開2014−62622号公報に開示された構成と同様であり、その詳細な説明については省略する。
図6A、図6Bを参照して、揺動アーム71の揺動規制が解除されると、ピストンロッド62は、スプリング60の付勢力によって、揺動アーム71を揺動させながら進出する。なお、揺動アーム71が揺動するときに、フック72がロックプレート73を回転させながら係止切欠き74を抜け出るようになっている(図7参照)。
図5A、図5Bを参照して、ピストンロッド62のこの進出動作に連動して駆動軸31が回転する。
図2、図3を参照して、駆動軸31が回転すると、ユニバーサルジョイント54を介してこれに連結された伝達軸50が回転し、伝達軸50に連結された弁軸21が回転する。この弁軸21の回転によって弁体が弁箱20の開口部を開く。それによって、放流流路14が開放される。
図1を参照して、ため池R内の水は、弁箱20の開口部、及び、放流流路14(分岐管13、斜樋管11、底樋管12)を通じてため池R外へ放流される。この放流は、ため池Rの水位が満水位L1から弁本体2の設置高さL2になるまで続く。
以上のように、緊急放流システムでは、地震感知機構4が地震を感知し、ため池R外の駆動機構3が伝達機構5を介してため池R内の弁本体2の弁軸21を回転し、放流流路14を開放する。そして、ため池R内の水が、放流流路14を通じてため池R外へと放流されて、ため池Rの水位が所定の高さにまで下降する。
このように、本発明の緊急放流システムは、地震発生時に自動的にため池Rの水位を所定の高さまで下降させることができる。従って、作業者の操作は必要ない。
本発明の緊急放流システムは、ため池R内の水を、地震発生から一日で、「常時満水位−2m」または「常時満水位−(貯水深さ×1/3)」のうち、いずれか高い水位まで自動的に放流することが可能である。
本発明の緊急放流システムは、ため池Rに既設の取水施設の一部を利用しているので経済的である。
本発明の緊急放流システムは、ため池R内の水を、地震発生から一日で、「常時満水位−2m」または「常時満水位−(貯水深さ×1/3)」のうち、いずれか高い水位まで自動的に放流することが可能である。
本発明の緊急放流システムは、ため池Rに既設の取水施設の一部を利用しているので経済的である。
以上、本発明に係る好ましい実施形態について説明したが、本発明は本実施形態に限定されない。
例えば、地震感知機構4は無電源で地震を感知する構成であったが、例えば、地震計などで地震を感知し、地震を感知したとき電磁ソレノイド等でロック解除アーム84の一端を押しさげるような電源を必要とする構成でもよい。
例えば、地震感知機構4は無電源で地震を感知する構成であったが、例えば、地震計などで地震を感知し、地震を感知したとき電磁ソレノイド等でロック解除アーム84の一端を押しさげるような電源を必要とする構成でもよい。
駆動機構3は、スプリング60の弾性付勢力によって駆動軸31を回転付勢していたが、例えば、ウエイトの重力付勢力によって駆動軸31を回転付勢する構成でもよい。また、駆動機構3は無電源で作動する構成であったが、例えば、地震が感知されたときモーターによって駆動軸31を回転させるような電源を必要とする構成でもよい。
ただし、地震発生時には停電が想定されるので、本実施形態のように無電源で作動する構成が好ましい。
上記実施形態の緊急放流システムは、ため池Rの水位を満水位L1から下降させているが、ため池Rの水位は貯水量・使用量によって左右されるものであり、ため池Rの水位を満水位L1から下降させるものだけに本発明の範囲が限定されないことは明らかである。
1 堤体
10 傾斜面
14 放流流路
16 堤頂
2 弁本体
20 弁箱
21 弁軸
3 駆動機構
31 駆動軸
4 地震感知機構
5 伝達機構
50 伝達軸
54 ユニバーサルジョイント
R ため池
10 傾斜面
14 放流流路
16 堤頂
2 弁本体
20 弁箱
21 弁軸
3 駆動機構
31 駆動軸
4 地震感知機構
5 伝達機構
50 伝達軸
54 ユニバーサルジョイント
R ため池
Claims (5)
- ため池内とため池外とを接続する放流流路を遮断及び開放する、ため池内に設置された弁本体を備え、前記弁本体は、弁箱と、前記弁箱に回転可能に支持された弁軸と、前記弁軸に取り付けられて前記弁箱の開口部を開閉する弁体とを有し、さらに、
地震を感知する、ため池外に設置された地震感知機構と、
前記地震感知機構が地震を感知したときに、前記弁体が前記開口部を開く方向に前記弁軸を回転させる、ため池外に設置された駆動機構と、
前記駆動機構の駆動力を前記弁軸へ伝達する、前記駆動機構と前記弁本体とに連結された伝達機構と、を備え、
地震が発生した時に前記放流流路を開放することで、前記放流流路を通じてため池内の水を放出してため池の水位を所定の高さまで下降させる、ことを特徴とする緊急放流システム。 - 前記駆動機構は、前記地震感知機構が地震を感知したときに回転する駆動軸を備え、
前記伝達機構は、ユニバーサルジョイントと、一端が前記弁軸に連結され他端が前記ユニバーサルジョイントを介して前記駆動軸に連結された伝達軸とを備えることを特徴とする請求項1に記載の緊急放流システム。 - 前記弁本体は、前記弁軸及び前記弁軸に連結された前記伝達軸が堤体の傾斜面に沿ってのびるように堤体に設置され、
前記駆動機構は、前記駆動軸が水平にのびるように堤頂に設置されることを特徴とする請求項2に記載の緊急放流システム。 - 前記弁本体は、前記ため池内の前記所定の高さに設置されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の緊急放流システム。
- 地震が発生したときに、ため池内の水を放流流路を通じて放流してため池の水位を所定の高さまで下降させるために、前記放流流路を開放する緊急開放弁であって、
弁箱と、前記弁箱に回転可能に支持された弁軸と、前記弁軸に取り付けられて前記弁箱の開口部を開閉する弁体とを有し、ため池内に設置される弁本体と、
地震を感知する、ため池外に設置される地震感知機構と、
前記地震感知機構が地震を感知したときに前記弁体が前記開口部を開く方向に前記弁軸を回転させる、ため池外に設置される前記駆動機構と、
前記駆動機構の駆動力を前記弁軸へ伝達する伝達機構と、を備え、
前記駆動機構は、前記地震感知機構が地震を感知したときに回転する駆動軸を備え、
前記伝達機構は、ユニバーサルジョイントと、一端が前記弁本体の前記弁軸に連結され他端が前記ユニバーサルジョイントを介して前記駆動機構の前記駆動軸に連結された伝達軸とを備える、
ことを特徴とする緊急開放弁。
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