JP2016084104A - 自動車用内装材、及び、その製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】自動車用内装材(1,2)は、通気性を有する意匠層(10,11)と、通気性を有する緩衝材層30,31と、意匠層(10,11)と緩衝材層30,31との間に設けられた通気接着層20,21とを有する。通気接着層20,21は、複数の通気孔23が形成され、少なくとも熱可塑性樹脂25と充填材26とを含有している。熱可塑性樹脂25と充填材26とを合わせた含有量に対する充填材26の含有量の比率が5重量%以上50重量%以下である。
【選択図】図2
Description
通気性を有する緩衝材層と、
複数の通気孔が形成され、前記意匠層と前記緩衝材層との間に設けられた通気接着層とを有し、
前記通気接着層は、少なくとも熱可塑性樹脂と充填材とを含有し、
前記熱可塑性樹脂と前記充填材とを合わせた含有量に対する前記充填材の含有量の比率が5重量%以上50重量%以下である、態様を有する。
まず、図1〜3を参照して本技術の概要を説明する。
上記緩衝材層の材料には、フェルトといった繊維集合体、再生綿といった再生繊維の集合体、連泡ウレタンといった連続気泡材料、チップウレタンといった合成樹脂発泡品の粉砕物の集合体、等が含まれる。緩衝材層は、単層でもよいし、異なる材料の積層構造を有する層でもよい。
上記熱可塑性樹脂には、熱可塑性エラストマーも含まれる。
上記通気接着層は意匠層と緩衝材層の少なくとも一方に含浸されてもよく、この含浸された通気接着層も意匠層と緩衝材層との間に設けられていることに含まれる。また、通気接着層は、単層でもよいし、異なる材料の積層構造を有する層でもよい。
また、上記通気接着層は、熱可塑性樹脂及び充填材とは異なる材料を含有してもよい。このような異なる材料を含有していない通気接着層における熱可塑性樹脂と充填材とを合わせた含有量は、不純物が無ければ理論上100%となる。
尚、意匠面の一部に意匠層が無い自動車用内装材も、本技術に含まれる。意匠面とは反対側となる裏面の一部に緩衝材層が無い自動車用内装材も、本技術に含まれる。接着面の一部に通気接着層の無い自動車用内装材も、本技術に含まれる。フェルト等の別部材が後貼りされた自動車用内装材も、本技術に含まれる。
ここで、熱成形は、加熱した材料に型で形を与え次いで冷却することを意味する。熱成形のための加熱は、熱風による加熱が好ましいものの、輻射加熱等でもよい。
通気度は、JIS L1096:2010(織物及び編物の生地試験方法)に規定されたA法(フラジール形法)に従った通気度とする。
図1,2は、本技術の自動車用内装材を自動車用フロアカーペット1に適用した例を模式的に示している。図1中、FRONT、REAR、LEFT、RIGHT、UP、DOWNは、それぞれ、前、後、左、右、上、下を示す。左右の位置関係は、自動車の前を見る方向を基準とする。また、符号D1は自動車の前後方向、符号D2は自動車の左右方向、符号D3はフロアカーペット1の厚み方向を示す。分かり易く示すため、前後方向D1、左右方向D2、及び、上下方向の拡大率は異なることがあり、各図は整合していないことがある。尚、自動車用内容材を単に内装材とも記載する。
熱可塑性樹脂に充填材を混合すると、通気接着層全体としては同じ目付でも熱可塑性樹脂成分で見たときの目付が少なくなる。通気接着層となるフィルム層に多数のニードルで通気孔として貫通孔を形成する場合、充填材の混合により熱可塑性樹脂成分が少なくなるとフィルム層にニードルが貫通し易くなって積層材料の通気度が上がると推測される。
カーペット表皮層と通気接着層と緩衝材層の積層材料2を加熱すると、通気接着層の熱可塑性樹脂が溶融し収縮して通気孔が拡がる。通気孔が拡がる程度は、通気接着層の目付が少なくなるほど大きくなる傾向にある。しかし、低密度PE等の熱可塑性樹脂をTダイ(フラットダイ)等でフィルム状に押し出すときの厚みに下限があるため、目付の下限は80〜100g/m2程度となる。表皮材と熱可塑性樹脂フィルム層とフェルトの積層材料をニードルパンチ加工機でニードリングして前記目付の熱可塑性樹脂フィルム層に通気孔を形成する場合、そもそもニードルの返しによる繊維が通気孔の中に入って初期の通気度が低いうえ、熱成形時に通気孔が拡がる程度が十分ではない。そのため、ニードルパンチ加工機のニードルの径及び密度を最大にしても、積層材料の通気度が十分に大きい通気度とはならず、積層材料への加熱が不充分となって積層材料を良好に熱成形することができない。熱可塑性樹脂に充填材を混合すると、熱可塑性樹脂成分で見たときの目付が前記下限よりも少なくなる結果、通気孔の拡がる程度が大きくなって積層材料の通気度が十分に大きい通気度になると推測される。
一方、充填材の上記比率Rfが50重量%よりも大きいと、通気接着層の形成が難しく、フロアカーペットを形成しても吸音率のピークが2kHzよりも大きい周波数になって500Hz〜2kHzにおける吸音性が不充分となる。そこで、上記比率Rfの上限を50重量%にしている。通気接着層形成を容易化させる観点、及び、吸音性能を向上させる観点から、上記比率Rfは、45重量%以下がより好ましく、40重量%以下がさらに好ましい。
熱成形後となる通気接着層20の通気孔23の直径は、例えば、0.3〜2.0mm程度とすることができる。通気孔をニードルパンチ加工機で形成する場合、通気孔の直径は前記の範囲程度となる。熱成形前の通気接着層21の通気孔23の直径は、例えば、0.2〜1.0mm程度とすることができる。通気孔をニードルパンチ加工機で形成する場合、通気孔の直径は前記の範囲程度となる。
フロアカーペット1の通気度は、図4に例示するように、15〜40cc/cm2/secが好ましい。通気度が15cc/cm2/sec以上になると、フロアカーペットの通気性が高まることにより500Hz〜2kHzにおいて良好な吸音性が得られる。また、通気度が40cc/cm2/sec以下になると、フロアカーペットの吸音特性のピーク周波数が2kHz以下になることにより500Hz〜2kHzにおいて良好な吸音性が得られる。尚、フロアカーペットの通気度を上げるためには、例えば、充填材の含有量Afの比率Rfを大きくすればよい。フロアカーペットの通気度を下げるためには、例えば、充填材の含有量Afの比率Rfを小さくすればよい。
次に、図3等を参照してフロアカーペット1の製造方法の具体例を説明する。
図3に示す製造方法では、まず、カーペット表皮層10,11になる表皮材12を形成している(表皮材形成工程S1)。表皮材12としてニードルパンチカーペットを形成する場合、例えば、ニードルパンチ加工機で不織布に多数のニードルを突き刺し、不織布の繊維を絡めて表面に毛羽を形成すればよい。
以上説明したように、本技術は、吸音性能の良好な内装材、及び、その製造方法を提供することができる。
尚、本発明は、種々の変形例が考えられる。
例えば、本発明を適用可能な自動車用内装材は、フロアカーペット以外にも、ドアトリムやラゲージサイドトリムやピラーガーニッシュ内装材といった側壁トリム、ダッシュサイレンサ、ルーフライナ内装材、等でもよい。従って、意匠層は、カーペットの他、不織布、織物、編物、等でもよい。
意匠層は、カーペットの裏に不織布を積層した二層構造等、異なる材料の積層構造を有する層でもよい。
緩衝材層は、繊維集合体の裏にチップウレタンを積層した二層構造等、異なる材料の積層構造を有する層でもよい。
以下、実施例を示して具体的に本発明を説明するが、本発明は以下の例により限定されるものではない。
表皮材12には、PET繊維と低融点繊維(バインダー)とを混合した目付200g/m2の混合繊維をニードルパンチ加工機でニードリングしたニードルパンチカーペットを用いた。フェルト32には、PET繊維と低融点繊維(バインダー)とを混合した目付450g/m2の混合繊維を用いた。充填材には、平均粒径9.5μmの炭酸カルシウムを用いた。実施例1〜4のフィルム層22は、LDPE(低密度ポリエチレン)と前記炭酸カルシウムとを下記の配合比で加熱しながら混合した混合材料を目付100g/m2となるように押出成形機のTダイから押し出して表皮材12の裏面にフィルム層22を形成した。比較例1のフィルム層は、LDPEを加熱して目付100g/m2となるように押出成形機のTダイから押し出して表皮材の裏面にフィルム層を形成した。
JIS L1096:2010に規定されたA法(フラジール形法)に準拠したフラジール型通気度試験機を使用して、実施例1〜4及び比較例1の積層材料サンプル及びフロアカーペットサンプルを試験片として、通気度を測定した。測定結果を、表2及び図4に示す。尚、「原反通気度」は積層材料サンプルの通気度を示し、「成形品通気度」はフロアカーペットサンプルの通気度を示す。図4には、積層材料の熱成形性が特に好ましくなる下限の通気度6cc/cm2/sec、並びに、フロアカーペットの吸音性が500Hz〜2kHzにおいて良好になる下限の通気度15cc/cm2/sec、及び、上限の通気度40cc/cm2/secを太線で示している。
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、吸音性能の良好な自動車用内装材、及び、その製造方法等の技術を提供することができる。むろん、従属請求項に係る構成要件を有しておらず独立請求項に係る構成要件のみからなる技術でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
10,11…カーペット表皮層(意匠層)、12…表皮材、
13,14…凹凸形状、15…略平坦部、16…トンネル部(隆起部)、
20,21…通気接着層、22…フィルム層、23…通気孔、
25…熱可塑性樹脂、26…充填材、27…添加剤、
30,31…緩衝材層、30a,30b…外面、32…フェルト(緩衝材)、
34…繊維、35…主繊維、36…接着性繊維、
80…車体パネル、80a…車室側面、81…縁部、82…トンネル部(隆起部)、
110…押出成形機、112…Tダイ、
200…プレス成形機、210…成形型、212…上型、214…下型、
C1…車室、D1…前後方向、D2…左右方向、D3…厚み方向。
Claims (5)
- 通気性を有する意匠層と、
通気性を有する緩衝材層と、
複数の通気孔が形成され、前記意匠層と前記緩衝材層との間に設けられた通気接着層とを有し、
前記通気接着層は、少なくとも熱可塑性樹脂と充填材とを含有し、
前記熱可塑性樹脂と前記充填材とを合わせた含有量に対する前記充填材の含有量の比率が5重量%以上50重量%以下である、自動車用内装材。 - 前記充填材が無機充填材である、請求項1に記載の自動車用内装材。
- 前記通気接着層の目付が80〜400g/m2である、請求項1又は請求項2に記載の自動車用内装材。
- 本自動車用内装材は、熱成形され、通気度が15cc/cm2/sec以上である、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の自動車用内装材。
- 通気性を有する意匠層と、通気性を有する緩衝材層と、の間に、複数の通気孔が形成された通気接着層であって少なくとも熱可塑性樹脂と充填材とを含有し前記熱可塑性樹脂と前記充填材とを合わせた含有量に対する前記充填材の含有量の比率が5重量%以上50重量%以下である通気接着層を有する積層材料を熱成形して、通気度15cc/cm2/sec以上の内装材を製造する、自動車用内装材の製造方法。
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