JP2016081955A - 導電性材料の製造方法および導電性材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】パターンの視認性(難視認性)に優れ、かつ経時による導電性の低下を抑えることが可能な導電性材料の製造方法、およびこれらが改善された導電性材料を提供する。
【解決手段】支持体上に形成された膜厚が0.3μm以下の銀パターンを、分子内に2つ以上のメルカプト基を有するトリアジンもしくはその誘導体を含有し、かつ電導度が3.0mS/cm以下である処理液にて処理する。
【選択図】なし
【解決手段】支持体上に形成された膜厚が0.3μm以下の銀パターンを、分子内に2つ以上のメルカプト基を有するトリアジンもしくはその誘導体を含有し、かつ電導度が3.0mS/cm以下である処理液にて処理する。
【選択図】なし
Description
本発明は、電気回路、電磁波シールド材、タッチパネル等の用途に用いることができる導電性材料の製造方法およびこれにより得られた導電性材料に関するものである。
近年、電気回路、電磁波シールド材、タッチパネル等の用途で、導電性材料の需要が急速に伸びてきている。
このような導電性材料において、例えば、電気回路パターンなどを形成する方法としては、1)銀、銅、金、ITO、酸化スズなどの導電性材料で被覆された支持体上に、2)感光性樹脂などのフォトレジスト剤を設け、3)所望のパターンのマスクをかけて紫外線などを照射して、4)フォトレジスト剤を硬化させ、5)未硬化部分を取り除いた後、6)化学エッチングなどによって不要な導電性材料部分を除去し電気回路を形成する方法(サブトラクティブ法)や、1)支持体上に無電解めっき触媒を付与し、2)フォトレジスト剤を塗布し、露光および現像し、3)無電解めっきを施し、導電パターンを形成し、4)めっきレジストを除去する方法(フルアディティブ法)、あるいは、1)支持体上に無電解めっき触媒を付与し、無電解めっきを施し、2)フォトレジスト剤を塗布し、露光および現像し、3)電解めっきを施し、導電パターンを形成し、4)めっきレジスト等を剥離する方法(セミアディティブ法)などが知られている。
また、簡易な製造方法としては金属ペーストを支持体上にスクリーン印刷法やインクジェット印刷法等で印刷し、焼結等させることで電気回路パターンを形成する方法や無電解めっき触媒を有するペーストを支持体上にスクリーン印刷法やインクジェット印刷法等で印刷し、無電解めっきを施し電気回路パターンを形成する方法が知られている。
電磁波シールド材、タッチパネルなどで使用される導電性材料の性能として光透過率が求められ、このような導電性材料の支持体としては光透過性支持体が用いられる。この場合、光透過性支持体上に、金属細線を例えばメッシュパターン状に形成し、金属細線の線幅やピッチ、さらにはパターン形状などを調整することにより、高い光線透過率を維持し、高い導電性を付与することが知られている。
金属細線により形成されるメッシュパターンの形状に関しては、各種パターンが紹介されている。特開平10−41682号公報では、正三角形、二等辺三角形、直角三角形などの三角形、正方形、長方形、菱形、平行四辺形、台形などの四角形、(正)六角形、(正)八角形、(正)十二角形、(正)二十角形などの(正)n角形、円、だ円、星形などを組み合わせた模様でありこれらの単位の単独の繰り返しあるいは2種類以上の組み合わせパターンが開示されている。これらのパターンの中でも、正方形、菱形、平行四辺形および正六角形のパターンが多用されている。
通常、これらのメッシュパターンの細線幅や膜厚については、金属細線の視認性(難視認性)や導電性、および光透過性等を考慮して、一般的には1〜50μm程度の線幅、1〜50μm程度の膜厚で、可能な限り均一な金属細線が用いられる。ピッチについては100〜1000μm程度に設定される。メッシュパターンの細線幅やピッチについては、それぞれの用途に応じて適宜調整される。
電気回路やメッシュパターンを形成する金属の中でも、銀は最も導電性が高いため、他の金属に比べ、より線が細く膜厚が薄い細線で高い導電性を得ることができる。線幅が細ければ、光透過性やパターンの視認性の点で有利である。また、パターンを形成する細線の厚みが薄ければ粘着剤層やハードコート層など種々の機能性層をパターン上に設けることが容易となる。例えば、2枚の電極を貼り合わせるタッチセンサーや窓ガラスなどに貼り合わせる電磁波シールドフィルムなど、金属パターン側の面に粘着剤層を設ける場合、金属パターンの厚みが薄い程、凹凸による空気の混入が少なく均一に貼合することが容易であるため、金属パターンの厚みが薄いことは大きな利点となる。そのため、銀パターンを有する導電性材料への期待が高まってきている。
銀パターンを支持体上に形成する方法としては、先に述べたようなサブトラクティブ法、フルアディティブ法やスクリーン印刷法の他、例えば国際公開第04/007810号パンフレットに開示されたような銀塩拡散転写方式を用いたもの、および特開2004−221564号公報に開示されたような化学現像銀を利用する感光性ハロゲン化銀を用いる方法を用いることができる。しかしながら上記のようにして得られた銀パターンは、細線の幅が細くても、また厚みが薄くても高い導電性が得られるものの、銀の金属光沢により銀パターンが視認されやすいという問題や、時間の経過に伴い導電性が低くなる、いわゆる経時安定性が悪いという問題が生じ、改善が求められていた。
一方、特開2007−88218号公報(特許文献1)には、有機メルカプト化合物によって金属銀の変色を防止する技術が開示され、特開2013−196779号公報(特許文献2)には、特定のメルカプト系化合物によって導電性のフレを改善する技術が開示され、特開2013−125797号公報(特許文献3)には特定のメルカプト系化合物によって、銀イオンのマイグレーションを防止し、金属配線間の絶縁信頼性を高める技術が開示されている。
本発明の目的は、パターンの視認性(難視認性)に優れ、かつ経時による導電性の低下を抑えることが可能な導電性材料の製造方法、およびこれらが改善された導電性材料を提供することにある。
本発明の上記課題は以下の発明によって達成される。
(1)支持体上に形成された膜厚が0.3μm以下の銀パターンを、分子内に2つ以上のメルカプト基を有するトリアジンもしくはその誘導体を含有し、かつ電導度が3.0mS/cm以下である処理液にて処理する導電性材料の製造方法。
(2)上記(1)記載の導電性材料の製造方法により得られた導電性材料。
(1)支持体上に形成された膜厚が0.3μm以下の銀パターンを、分子内に2つ以上のメルカプト基を有するトリアジンもしくはその誘導体を含有し、かつ電導度が3.0mS/cm以下である処理液にて処理する導電性材料の製造方法。
(2)上記(1)記載の導電性材料の製造方法により得られた導電性材料。
本発明により、パターンの視認性に優れ、かつ経時による導電性の低下を抑えることが可能な導電性材料の製造方法、およびこれらが改善された導電性材料を提供することができる。
本発明により得られる導電性材料の形態は、支持体上に銀パターンを有する。銀パターンの一例としては、メッシュパターン状に銀を描画した光透過性を有する導電性材料や、配線部を金属銀で描画した電気回路等を挙げることができる。
支持体上に銀パターンを形成する方法について説明する。本発明においては種々の方法を用いることができ、例えば、印刷方式、フォトリソグラフィー方式、感光性ハロゲン化銀を用いる銀塩方式等を用いることができる。
印刷方式としては、例えば特開昭55−91199号公報に開示されたような、金属銀インキやペーストをスクリーン印刷等の手段によって支持体上に印刷した後、導電性を付与するために焼成する方法や、国際公開第04/39138号パンフレットに開示されたような、無電解めっき触媒を含有する樹脂塗料等を支持体上に印刷した後、無電解銀めっきを施して導電性パターンを付与する方法等を用いることができる。
フォトリソグラフィー方式には、均一な金属銀層を有する支持体上にフォトレジストを塗布し、露光、現像後、レジストが剥離された金属銀層をエッチング除去し導電性パターンを得るサブトラクティブ方式をとるもの、特開平11−170421号公報に開示されたような、無電解めっき触媒を含有するレジストを基板上に塗布し、露光、現像し未露光部のレジストを除去後、無電解銀めっきすることにより導電性パターンを得るアデティブ方式をとるもの等を用いることができる。
感光性ハロゲン化銀を用いる銀塩方式としては、国際公開第04/007810号パンフレット、特開2003−77350号公報、特開2005−250169号公報や特開2007−188655号公報に開示されたような銀塩拡散転写方式を用いる方式および国際公開第2001/51276号パンフレットや特開2004−221564号公報に開示されたような化学現像銀を用いる方式を用いることができる。
化学現像銀を用いる方式は、露光された部位のハロゲン化銀が現像液中に存在する現像主薬によって還元されてできる化学現像銀を触媒核として、無電解めっきを施すことによって導電性とするものである。
銀塩拡散転写方式を用いる方式は、支持体上に物理現像核層と称する、銀錯体が現像主薬によって還元されて金属銀となるための触媒核層、およびその上層にハロゲン化銀乳剤層を設けた材料を使うものである(ハロゲン化銀写真乳剤層は別の支持体に塗設されていても良い)。また、現像処理時には現像主薬の他にハロゲン化銀を溶解する化合物(ハロゲン化銀溶剤)を作用させる。この材料に露光および現像を行うと、ネガ型のハロゲン化銀乳剤を用いた場合、露光部のハロゲン化銀は化学現像銀に変換されて、ハロゲン化銀乳剤層に留まる。一方、未露光部のハロゲン化銀は、上記現像液中に添加されたハロゲン化銀溶剤によって溶解されて銀錯体となり支持体上の物理現像核層まで移動・拡散し、そこで現像主薬により還元されることにより、導電性の金属銀が析出する。その後、露光部位にある化学現像銀を含む乳剤層は、ウォッシュオフを行うことにより除去される。
支持体上に銀パターンを形成させる方法の中でも、0.3μm以下の均一な膜厚を有する銀パターンを容易にかつ安定的に製造することができる銀塩拡散転写方式を用いる方法が特に好ましい。銀パターンの膜厚が不均一であると安定した性能の導電性材料が得られない場合があり、この現象は銀パターンの膜厚が薄くなるほど顕著になる。
銀塩拡散転写方式を用いた方法で作製した銀パターンは、パターンがほとんど金属銀のみから形成されており、バインダー等の含有量は極めて少ない。このことは導電性という観点からは大変好ましく、銀パターンの膜厚が0.3μm以下であっても、極めて高い導電性が得られる。
本発明においては、銀パターンの膜厚が0.3μm以下である必要がある。金属銀の厚みが0.3μmを超える場合、パターンが容易に視認できてしまうため望ましくない。
また、タッチパネル用センサー電極などで求められる高い透過率、銀パターンの優れた視認性(難視認性)を達成するためには10μm以下の細線幅パターン(例えば、メッシュパターン)が求められる場合があるが、銀塩拡散転写方式を用いる方法で得られた銀パターンは、均一であり、また高精細であるため、このようなパターンを容易にかつ安定的に実現することができる。
本発明の導電性材料の製造方法および導電性材料において、支持体上に銀パターンを形成させる最も好ましい方法である銀塩拡散転写方式について以下に詳しく説明する。
代表的な形態として、支持体上に物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層を少なくともこの順に有する導電性材料前駆体を任意のパターン状に露光した後、可用性銀塩形成剤および還元剤を含むアルカリ現像液中で作用させて、支持体上に銀パターンを形成させ導電性材料を製造する形態を挙げることができる。
上記導電性材料前駆体は支持体上に少なくとも物理現像核層、ハロゲン化銀乳剤層を支持体に近い方からこの順で有する。さらには、非感光性層を支持体から最も遠い最外層および/または物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層との間の中間層、あるいは支持体と物理現像核層との間の下引き層として有していても良い。
導電性材料前駆体の物理現像核層が含有する物理現像核としては、重金属あるいはその硫化物からなる微粒子(粒子サイズは1〜数十nm程度)が用いられる。例えば、金、銀等のコロイド、パラジウム、亜鉛等の水溶性塩と硫化物を混合した金属硫化物等が挙げられる。これらの物理現像核の微粒子層は、コーティング法または浸漬処理法によって、前記下引き層を形成させた支持体上に設けることができる。生産効率の面からコーティング法が好ましく用いられる。物理現像核層における物理現像核の含有量は、固形分で1m2あたり0.1〜10mg程度が適当である。
また物理現像核層は水溶性高分子化合物を含有することが好ましい。水溶性高分子化合物を用いる場合の添加量は、物理現像核に対して10〜10000質量%程度が好ましい。水溶性高分子化合物としては、ゼラチン、アラビアゴム、セルロース、アルブミン、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、各種澱粉、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミンとビニルイミダゾールの共重合体等を用いることができる。
更に物理現像核層は、高分子ラテックスを含有することもできる。高分子ラテックスは水分散液を用い、水系塗工することが好ましい。高分子ラテックスとしては単独重合体や共重合体など各種公知のラテックスを用いることができる。単独重合体としては酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、メタクリロニトリル、ブタジエン、イソプレンなどの重合体があり、共重合体としてはエチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・p−メトオキシスチレン共重合体、スチレン・酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル・マレイン酸ジエチル共重合体、メチルメタクリレート・アクリロニトリル共重合体、メチルメタクリレート・ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート・スチレン共重合体、メチルメタクリレート・酢酸ビニル共重合体、メチルメタクリレート・塩化ビニリデン共重合体、メチルアクリレート・アクリロニトリル共重合体、メチルアクリレート・ブタジエン共重合体、メチルアクリレート・スチレン共重合体、メチルアクリレート・酢酸ビニル共重合体、アクリル酸・ブチルアクリレート共重合体、メチルアクリレート・塩化ビニル共重合体、ブチルアクリレート・スチレン共重合体、ポリエステル、各種ウレタン等がある。
更に物理現像核層には、前記した水溶性高分子化合物の架橋剤(硬膜剤)を含有することが好ましい。架橋剤としては、例えばクロム明ばんのような無機化合物、ホルムアルデヒド、グリオキサール、マレアルデヒド、グルタルアルデヒドのようなアルデヒド類、尿素やエチレン尿素等のN−メチロール化合物、ムコクロル酸、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサンのようなアルデヒド等価体、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン塩や、2,4−ジヒドロキシ−6−クロロ−トリアジン塩のような活性ハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、ジビニルケトンやN,N,N−トリアクリロイルヘキサヒドロトリアジン、活性な三員環であるエチレンイミノ基を二個以上有する化合物、エポキシ基を分子中に二個以上有する化合物類、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテルやポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等、あるいはこれら以外に「高分子の化学反応」(大河原 信著 1972、化学同人社)の2・6・7章、5・2章、9・3章など記載の架橋剤等の公知の高分子架橋剤を含有させることもできる。好ましくはグリオキサール、グルタルアルデヒド、3−メチルグルタルアルデヒド、サクシンアルデヒド、アジポアルデヒド等のジアルデヒド類であり、より好ましい架橋剤はグリオキサールである。架橋剤は、物理現像核層に含まれる水溶性高分子化合物に対して0.1〜80質量%を物理現像核層に含有させるのが好ましい。
物理現像核層の塗布には、例えばディップコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、バーコーティング、エアーナイフコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティング等の塗布方式で塗布することができる。
上記導電性材料前駆体においては光センサーとしてハロゲン化銀乳剤層が設けられる。ハロゲン化銀に関する銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等で用いられる技術はそのまま用いることもできる。
ハロゲン化銀乳剤に含有されるハロゲン化物としては、塩化物、臭化物、ヨウ化物およびフッ化物のいずれであってもよく、これらの組み合わせでもよい。ハロゲン化銀乳剤粒子の形成には、順混合、逆混合、同時混合等の当業界では周知の方法が用いられる。中でも同時混合法の1種で、粒子形成される液相中のpAgを一定に保ついわゆるコントロールドダブルジェット法を用いることが、粒径の揃ったハロゲン化銀乳剤粒子が得られる点において好ましい。本発明においては、好ましいハロゲン化銀乳剤粒子の平均粒径は0.25μm以下、特に好ましくは0.05〜0.2μmである。ハロゲン化銀乳剤のハロゲン化物組成には好ましい範囲が存在し、塩化物を80mol%以上含有するのが好ましく、特に90mol%以上が塩化物であることが特に好ましい。
ハロゲン化銀粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、立方体状、平板状(六角平板状、三角形平板状、四角形平板状など)、八面体状、十四面体状など様々な形状であることができる。
ハロゲン化銀乳剤の製造において、必要に応じて、ハロゲン化銀粒子の形成あるいは物理熟成の過程において、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩、あるいはロジウム塩もしくはその錯塩、イリジウム塩もしくはその錯塩などVIII族金属元素の塩もしくはその錯塩を共存させてもよい。また、種々の化学増感剤によって増感することができ、イオウ増感法、セレン増感法、貴金属増感法など当業界で一般的な方法を、単独、あるいは組み合わせて用いることができる。
ハロゲン化銀乳剤は、必要に応じて、分光増感することもできる。また、ハロゲン化銀乳剤は必ずしもネガ感光性でなくてもよく、必要に応じて、ポジ感光性を持つ直接反転乳剤としてもよい。これにより、ネガ型をポジ型に、ポジ型をネガ型に変換することができる。直接反転乳剤に関しては、特開平8−17120号公報、同平8−202041号公報に記載されている方法によって作製することができる。
ハロゲン化銀乳剤層はハロゲン化銀粒子の保護コロイドとしてバインダーを含有する。バインダーとしては天然ポリマー、水溶性の合成ポリマー、非水溶性の合成ポリマーが挙げられる。
天然ポリマーとしてはゼラチン、カゼイン、アルブミンなどのタンパク質、澱粉、デキストリン等の多糖類、セルロースおよびその誘導体(例えばカルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシルプロピルセルロース、メチルセルロースなど)、アルギン酸、カラギーナン、フコイダン、キトサン、ヒアルロン酸などを用いることができ、その中でも最も好ましい天然ポリマーはゼラチンである。またコハク化ゼラチンなど公知の方法で修飾した天然ポリマーを用いることもできる。
水溶性の合成ポリマーとしては、例えばポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアミン、ポリリジン、ポリアクリル酸等が挙げられる。また、これらのグラフト重合ポリマーなども用いることができる。
非水溶性の合成ポリマーとしての高分子ラテックス(水分散体)としては単独重合体や共重合体など各種公知のラテックスを用いることができる。単独重合体としては酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、メタクリロニトリル、ブタジエン、イソプレンなどがあり、共重合体としてはエチレン・ブタジエン、スチレン・ブタジエン、スチレン・p−メトオキシスチレン、スチレン・酢酸ビニル、酢酸ビニル・塩化ビニル、酢酸ビニル・マレイン酸ジエチル、メチルメタクリレート・アクリロニトリル、メチルメタクリレート・ブタジエン、メチルメタクリレート・スチレン、メチルメタクリレート・酢酸ビニル、メチルメタクリレート・塩化ビニリデン、メチルアクリレート・アクリロニトリル、メチルアクリレート・ブタジエン、メチルアクリレート・スチレン、メチルアクリレート・酢酸ビニル、アクリル酸・ブチルアクリレート、メチルアクリレート・塩化ビニル、ブチルアクリレート・スチレン等がある。高分子ラテックスの平均粒径は0.01〜1.0μmであることが好ましく、更に好ましくは0.05〜0.8μmである。
本発明の導電性材料前駆体が有するハロゲン化銀乳剤層の銀/バインダー質量比は2以上であることが好ましく、ハロゲン化銀乳剤を銀換算で3g/m2以上含有することが好ましい。更に好ましくは銀/バインダー質量比が2.5〜3.5、ハロゲン化銀乳剤塗布量は銀換算で3.5〜4.0g/m2である。銀/バインダー質量比は高すぎるとハロゲン化銀粒子の保護コロイドとしてのバインダーの割合が不足することとなり、塗布液中でハロゲン化銀粒子の沈降が起きやすくなるため好ましくない。また、塗布銀量を増やしすぎることは、現像後のハロゲン化銀乳剤層の除去性を悪化させる、あるいは長い現像時間を必要とする、支持体に近い側のハロゲン化銀乳剤粒子の感光性が低下するなどの問題が生じる場合がある。
ハロゲン化銀乳剤層は架橋剤を含有することができる。かかる架橋剤としては、前述した物理現像核層に用いるような架橋剤を挙げることができる。架橋剤を用いる場合は、現像処理において、現像後に不要となったハロゲン化銀乳剤層を少なくとも水洗除去するため、これを妨げない範囲で用いることが必要となる。
またハロゲン化銀乳剤層は、現像主薬を含有してもよい。現像主薬としては、写真現像の分野で公知の現像主薬を用いることができ、後述する現像液が含有する現像主薬が挙げられる。これらを2種類以上併用して用いることができる。これら現像主薬は塗液に溶解させても各層に含有させてもよいし、オイル分散液に溶解させて各層中に含有させることも可能である。
ハロゲン化銀乳剤層には更に種々の目的のために、公知の写真用添加剤を用いることができる。これらは、Research Disclosure Item 17643(1978年12月)および18716(1979年11月)、308119(1989年12月)に記載、あるいは引用された文献に記載されている。また界面活性剤および増粘剤等の各種塗布助剤を含有することができる。
本発明に用いる導電性材料前駆体には、必要に応じて、裏塗り層、中間層およびオーバー層等の非感光性層を設けることができる。本発明の導電性材料前駆体において、オーバー層はハロゲン化銀乳剤層の傷付きなどから保護する効果に加え、現像処理で導電性材料前駆体中の銀が系外に拡散するのを抑制し、物理現像核上への銀の析出効率を高める効果がある。従って、オーバー層はハロゲン化銀乳剤層の上に設けることが好ましい。これらの非感光性層は、水溶性高分子化合物を主たるバインダーとする層であり、前述のハロゲン化銀乳剤層が含有する天然ポリマーや水溶性の合成ポリマーを用いることができる。非感光性層の水溶性高分子化合物量としては、各々の用途によって異なるが、0.001〜10g/m2の範囲が好ましい。また、これら非感光性層には水溶性高分子化合物の架橋剤を用いることができるが、現像後に不要なハロゲン化銀乳剤層等を少なくとも除去するため、これを妨げない範囲で用いることが望ましい。
上記した各構成層中には、ハロゲン化銀乳剤の感光波長域に吸収極大を有する非増感性染料または顔料を、画質向上のためのハレーション、あるいはイラジエーション防止剤として用いることが好ましい。ハレーション防止剤としては、上記裏塗り層あるいは、例えば易接着層、物理現像核層等のハロゲン化銀乳剤層と支持体の間に設けられる層に用いることが好ましく、これら2つ以上の層に分けて用いてもよい。イラジエーション防止剤としては、ハロゲン化銀乳剤層に用いることが好ましい。これら非増感性染料または顔料の添加量は、目的の効果が得られるのであれば広範囲に変化しうるが、約0.01〜約1g/m2の範囲が好ましい。また必要に応じて公知の写真用添加剤、界面活性剤、マット剤、滑剤や、前述したハロゲン化銀乳剤層と同様な現像主薬等を含有することができる。
上記導電性材料前駆体を用いて、銀パターンを描画するための方法について説明する。
導電性材料前駆体の露光について説明する。導電性材料前駆体のハロゲン化銀乳剤層は像様に露光されるが、露光方法として、所望のパターンの透過原稿とハロゲン化銀乳剤層を密着して露光する方法、あるいは各種レーザー光を用いて所望のパターンを走査露光する方法等がある。上記したレーザー光で露光する方法においては、例えば400〜430nmに発振波長を有する青色半導体レーザー(バイオレットレーザーダイオードともいう)を用いることができる。
導電性材料前駆体の銀塩拡散転写現像液による現像処理について説明する。上記のように像様に露光された導電性材料前駆体のハロゲン化銀乳剤層は、銀塩拡散転写現像液で処理することにより物理現像が起こり、現像可能なだけの潜像核を有さないハロゲン化銀が可溶性銀錯塩形成剤により溶解されて銀錯塩になり、物理現像核上で還元されて金属銀が析出し、例えばメッシュパターンの銀薄膜を得ることができる。一方、露光により現像可能なだけの潜像核を有するハロゲン化銀はハロゲン化銀乳剤層中で化学現像されて黒化銀となる。現像後、不要となったハロゲン化銀乳剤層(黒化銀もこれに含まれる)および中間層、保護膜等は除去されて、銀薄膜が表面に露出する。
現像処理後のハロゲン化銀乳剤層等の物理現像核層の上に設けられた層の除去方法は、水洗除去あるいは剥離紙等に転写剥離する方法がある。水洗除去は、スクラビングローラ等を用いて温水シャワーを噴射しながら除去する方法や温水をノズル等でジェット噴射しながら水の勢いで除去する方法がある。また、剥離紙等で転写剥離する方法は、ハロゲン化銀乳剤層上の余分なアルカリ液(銀錯塩拡散転写用現像液)を予めローラ等で絞り取っておき、ハロゲン化銀乳剤層等と剥離紙を密着させてハロゲン化銀乳剤層等をプラスチック樹脂フィルムから剥離紙に転写させて剥離する方法である。剥離紙としては吸水性のある紙や不織布、あるいは紙の上にシリカのような微粒子顔料とポリビニルアルコールのようなバインダーとで吸水性の空隙層を設けたものが用いられる。
上記導電性材料前駆体の現像処理において使用する、銀塩拡散転写現像の現像液について説明する。現像液は、可溶性銀錯塩形成剤および還元剤を含有するアルカリ液である。可溶性銀錯塩形成剤は、ハロゲン化銀を溶解し可溶性の銀錯塩を形成させる化合物であり、還元剤はこの可溶性銀錯塩を還元して物理現像核上に金属銀を析出させるための化合物である。
現像液に用いられる可溶性銀錯塩形成剤としては、チオ硫酸ナトリウムやチオ硫酸アンモニウムのようなチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウムやチオシアン酸アンモニウムのようなチオシアン酸塩、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸カリウム、および亜硫酸水素カリウムのような亜硫酸塩、オキサゾリドン類、2−メルカプト安息香酸およびその誘導体、ウラシルのような環状イミド類、アルカノールアミン、ジアミン、特開平9−171257号公報に記載のメソイオン性化合物、米国特許第5,200,294号明細書に記載のようなチオエーテル類、5,5−ジアルキルヒダントイン類、アルキルスルホン類、他に、「The Theory of the photographic Process(4th edition,p474〜475)」、T.H.James著に記載されている化合物等が挙げられる。
これらの可溶性銀錯塩形成剤は単独で、または複数組み合わせて使用することができる。
現像液に用いられる還元剤は、Research Disclosure Item 17643(1978年12月)および18716(1979年11月)、308119(1989年12月)に記載されているような写真現像の分野で公知の現像主薬を用いることができる。例えば、ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、メチルハイドロキノン、クロロハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン類、アスコルビン酸およびその誘導体、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン等の3−ピラゾリドン類、パラメチルアミノフェノール、パラアミノフェノール、パラヒドロキシフェニルグリシン、パラフェニレンジアミン等が挙げられる。これらの還元剤は単独で、または複数組み合わせて使用することができる。
可溶性銀錯塩形成剤の含有量は、現像液1Lあたり0.001〜5モルが好ましく、より好ましくは0.005〜1モルの範囲である。還元剤の含有量は現像液1Lあたり0.01〜1モルが好ましく、より好ましくは0.05〜1モルの範囲である。
現像液のpHは10以上が好ましく、さらに11〜14が好ましい。所望のpHに調整するために、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ剤、リン酸、炭酸などの緩衝剤を単独、または組み合わせて含有させる。また、本発明の現像液には、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸カリウム等の保恒剤を含むことが好ましい。
上記導電性材料前駆体を拡散転写現像するための現像液の適用は、現像液を浸漬する方法や塗布する方法であってもよい。浸漬法は、例えば、タンクに大量に貯留された現像液中に、露光済みの導電性材料前駆体を浸漬しながら搬送するものであり、塗布法は、例えばハロゲン化銀乳剤層に現像液を1m2あたり40〜120ml程度塗布するものである。浸漬法の具体的な方法として、特開2006−190535号公報に開示されたような処理方法、処理装置を挙げることができるが、導電性材料の銀パターン面の非接触での処理を基本としているので銀パターンの断線が生じにくいため好ましい。現像液の適用温度は2〜30℃が好ましく、10〜25℃がさらに好ましい。現像液の適用時間は、20秒〜3分程度が適当である。この態様は、特に浸漬法式の場合に好適である。
本発明の導電性材料の製造方法において、上記のように導電性材料前駆体を銀塩拡散転写現像液で現像し、支持体上に銀パターンが形成された導電性材料に対し、さらに無電解銀めっきを施すことも好ましい。
本発明の導電性材料の製造方法において、上記のように導電性材料前駆体を銀塩拡散転写現像液で現像し、支持体上に銀パターンが形成された導電性材料、あるいは該導電性材料に更に無電解銀めっきを施し得られた導電性材料には、分子内に2つ以上のメルカプト基を有するトリアジンもしくはその誘導体を有する処理液(以下DM処理液と称する)による処理(以下DM処理と称する)が施される。
処理の方法としては特に規定はないが、例えば、支持体上に銀パターンが形成された導電性材料をDM処理液に浸漬する方法や、銀パターンが形成された導電性材料にDM処理液を塗布する方法等が挙げられる。処理温度は10〜50℃が好ましく、20〜40℃がさらに好ましい。処理時間は5〜60秒が好ましく、10〜30秒がさらに好ましい。
本発明で用いられる、分子内にメルカプト基を2つ以上含有するトリアジンもしくはその誘導体として、例えばチオシアヌル酸、2,4−ジメルカプトトリアジン、2,4−ジメルカプト−6−ジブチルアミノトリアジン、2,4−ジメルカプト−6−フェニルアミノトリアジン、2,4−ジメルカプト−6−ベンジルトリアジン等が挙げられるがこれらには限定されない。
DM処理液の溶媒としては、例えば、水、エタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、メチルセロソルブ、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等、電導度が3.0mS/cmを超えない範囲で任意のものを選択し用いることができる。なお本発明におけるDM処理液の電導度は、該処理液の温度が20℃の時に測定して得られる値である。
本発明で用いられるDM処理液が含有する、分子内にメルカプト基を2つ以上含有するトリアジンもしくはその誘導体の含有量は、電導度が3.0mS/cmを超えない範囲であれば任意の量を含有することができるが、DM処理液の全質量に対して0.001〜0.02質量%であることが好ましい。
上記DM処理液には必要に応じて、電導度が3.0mS/cmを超えない範囲で他の化合物を含有することができる。例えば、DM処理液のpHを調整するための、アルカリや酸、緩衝剤等を含有させることができる。例えば、水を溶媒とする場合のDM処理液の好ましいpHは8以上である。さらに消泡剤、防腐剤、酵素、界面活性剤等も含有させることができる。これらの化合物を含有させることで処理液の電導度を調整し、本発明に望ましい電導度の処理液を得ることができる。DM処理液の乾燥は、フィルムドライヤーの温風を用いる等任意の方法で実施することができる。乾燥前に水道水や純水で水洗することもできる。
後述する実施例において示したとおり、電導度が3.0mS/cmを超えるDM処理液にて導電性材料を処理すると、導電性材料の極表面の銀のみならず、内部の銀にも作用してしまい、長期間の経時により内部での反応が進み、導電性の低下、つまり抵抗値上昇が起こると考えられる。そのため、本発明においては、DM処理液の電導度は3.0mS/cm以下にする必要がある。
本発明において、高い導電性を得る観点から、本発明のDM処理と、特開2008−34366号公報に記載されているような、銀パターンのX線回折法での2θ=38.2°のピークの半値幅が0.41以下とする処理を併用することは好ましい。後者の処理としては、アスコルビン酸やハイドロキノンモノスルホン酸カリウム等の還元性物質、ヘキサメタリン酸ナトリウムやピロリン酸二水素二ナトリウム等の水溶性リンオキソ酸化合物、あるいは塩化ナトリウム、ヨウ化カリウム等の水溶性ハロゲン化合物を含有する液で処理する方法が挙げられる。かかる処理は本発明のDM処理の前でも後でもどちらでも処理することはできるが、DM処理の後に実施することが好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、無論この記述により本発明が制限されるものではない。
(実施例1)
支持体として、塩化ビニリデンを含有する層により易接着加工が施された、全光線透過率が90%で厚みが100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。物理現像核層を塗布する前に、このフィルムにゼラチンを500mg/m2含有する下引き層を塗布し乾燥した。
支持体として、塩化ビニリデンを含有する層により易接着加工が施された、全光線透過率が90%で厚みが100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。物理現像核層を塗布する前に、このフィルムにゼラチンを500mg/m2含有する下引き層を塗布し乾燥した。
次に、硫化パラジウムゾル液を下記のようにして作製し、得られたゾルを用いて物理現像核液を作製した。
<硫化パラジウムゾルの調整>
A液 塩化パラジウム 5g
塩酸 40ml
蒸留水 1000ml
B液 硫化ソーダ 8.6g
蒸留水 1000ml
A液とB液を攪拌しながら混合し、30分後にイオン交換樹脂の充填されたカラムに通し硫化パラジウムゾルを得た。
A液 塩化パラジウム 5g
塩酸 40ml
蒸留水 1000ml
B液 硫化ソーダ 8.6g
蒸留水 1000ml
A液とB液を攪拌しながら混合し、30分後にイオン交換樹脂の充填されたカラムに通し硫化パラジウムゾルを得た。
<物理現像核液組成/1m2あたり>
前記硫化パラジウムゾル(固形分として) 0.4mg
2質量%グリオキザール水溶液 0.2ml
界面活性剤(S−1) 3mg
テナコールEX−830 10mg
(ナガセケムテックス(株)製ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル)
SP−200 20mg
(日本触媒(株)製ポリエチレンイミン:平均分子量10,000)
前記硫化パラジウムゾル(固形分として) 0.4mg
2質量%グリオキザール水溶液 0.2ml
界面活性剤(S−1) 3mg
テナコールEX−830 10mg
(ナガセケムテックス(株)製ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル)
SP−200 20mg
(日本触媒(株)製ポリエチレンイミン:平均分子量10,000)
この物理現像核液を、上記した下引き層の上に塗布、乾燥し、物理現像核層を形成した。
続いて、上記物理現像核層を塗布した側と反対側の面に下記組成の裏塗り層を塗布した。
<裏塗り層組成/1m2あたり>
ゼラチン 2g
不定形シリカマット剤(平均粒径5μm) 20mg
染料1 200mg
界面活性剤(S−1) 400mg
<裏塗り層組成/1m2あたり>
ゼラチン 2g
不定形シリカマット剤(平均粒径5μm) 20mg
染料1 200mg
界面活性剤(S−1) 400mg
続いて、支持体に近い方から順に下記組成の中間層、ハロゲン化銀乳剤層、および最外層を上記物理現像核層の上に塗布した。ハロゲン化銀乳剤は、写真用ハロゲン化銀乳剤の一般的なダブルジェット混合法で製造した。このハロゲン化銀乳剤は、塩化銀95モル%と臭化銀5モル%で、平均粒径が0.15μmになるように調整した。このようにして得られたハロゲン化銀乳剤を定法に従いチオ硫酸ナトリウムと塩化金酸を用い、金イオウ増感を施した。こうして得られたネガ型のハロゲン化銀乳剤は銀1gあたり0.3gのゼラチンを含む。
<中間層組成/1m2あたり>
シーピーガムFA(大日本製薬(株)製カラギーナン) 0.03g
界面活性剤(S−1) 10mg
シーピーガムFA(大日本製薬(株)製カラギーナン) 0.03g
界面活性剤(S−1) 10mg
<ハロゲン化銀乳剤層組成/1m2あたり>
ゼラチン 0.2g
ハロゲン化銀乳剤 3.8g銀相当
1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール 10mg
界面活性剤(S−1) 20mg
ゼラチン 0.2g
ハロゲン化銀乳剤 3.8g銀相当
1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール 10mg
界面活性剤(S−1) 20mg
<最外層組成/1m2あたり>
ゼラチン 1g
不定形シリカマット剤(平均粒径3.5μm) 15mg
界面活性剤(S−1) 10mg
ゼラチン 1g
不定形シリカマット剤(平均粒径3.5μm) 15mg
界面活性剤(S−1) 10mg
このようにして得た導電性材料前駆体を、水銀灯を光源とする密着プリンターで、細線幅7μmで格子間隔300μmのメッシュ状パターン(開口率95.4%)の透過原稿を密着させて露光した。
その後、露光した導電性材料前駆体を下記拡散転写現像液中に20℃で60秒間浸漬した後、続いてハロゲン化銀乳剤層、中間層、最外層および裏塗り層を40℃の温水で水洗除去し、乾燥処理し、支持体上にメッシュ状の銀パターン(両端に電極端子を有する)が形成された導電性材料を得た。得られた銀パターンの膜厚を共焦点顕微鏡(レーザーテック社製、オプテリクスC130)で調べたところ、0.15μmであった。また、銀パターンの細線幅は7μmであった。
<拡散転写現像液組成>
水酸化カリウム 40g
ハイドロキノン 28g
1−フェニル−3−ピラゾリドン 3g
亜硫酸カリウム 125g
N−メチルエタノールアミン 24g
臭化カリウム 2g
全量を水で1000mlとする。
pH=12.2に調整する。
水酸化カリウム 40g
ハイドロキノン 28g
1−フェニル−3−ピラゾリドン 3g
亜硫酸カリウム 125g
N−メチルエタノールアミン 24g
臭化カリウム 2g
全量を水で1000mlとする。
pH=12.2に調整する。
上記のようにして得られたメッシュパターンが形成された導電性材料に対して、下記DM処理液で30℃20秒間浸漬処理した。その後、35℃の温水で30秒間水洗し、フィルムドライヤーを使用して60℃の温風で2分間乾燥した。
<DM処理液>
水酸化ナトリウム 0.4g
2,4−ジメルカプト−6−ジブチルアミノトリアジン 0.1g
リン酸水素2カリウム 1.7g
全量を水で1000mlとする。
上記したDM処理液の20℃における電導度を東亜ディーケーケー社製CONDUCT METER MODEL CM−6Aを用いて測定したところ、2.3mS/cmであった。
水酸化ナトリウム 0.4g
2,4−ジメルカプト−6−ジブチルアミノトリアジン 0.1g
リン酸水素2カリウム 1.7g
全量を水で1000mlとする。
上記したDM処理液の20℃における電導度を東亜ディーケーケー社製CONDUCT METER MODEL CM−6Aを用いて測定したところ、2.3mS/cmであった。
上記DM処理され、メッシュ状の銀パターンが形成された導電性材料に対して、3質量%塩化ナトリウム水溶液を用いて60℃60秒間の浸漬にて後処理を実施した。その後、35℃の温水で30秒間水洗し、フィルムドライヤーを使用して60℃の温風で2分間乾燥した。
後処理を施した後の導電性材料に対して、光学用透明粘着シート(日東電工株式会社製LUCIACS CS9622T)をフィルム貼り合わせ機のニップロール圧を0.5MPa/mに調整し、分速1mで搬送しながら加圧して、メッシュ状の銀パターン上に貼り合わせた。粘着シートが貼り合わされた導電性材料の電極端子間の電気抵抗を測定し、また該導電性材料を22℃50%条件下で1か月保存し、保存した後の電気抵抗についても同様にして電極端子間の電気抵抗を測定し、電気抵抗の上昇率を求めた。この結果を表1に示す。さらに得られたメッシュ状の銀パターンを目視により観察し、視認性の確認を行った。銀パターンの金属光沢が解消されパターンが容易に視認できないものを○、パターンが容易に視認できるものを×とした。結果を表1に示す。
(実施例2)
DM処理液に塩化ナトリウムを0.01g添加した他は実施例1と同様にして導電性材料を作製し、実施例1と同様に評価を実施した。なお実施例2で用いたDM処理液の20℃における電導度は2.7mS/cmであった。結果を表1に示す。
DM処理液に塩化ナトリウムを0.01g添加した他は実施例1と同様にして導電性材料を作製し、実施例1と同様に評価を実施した。なお実施例2で用いたDM処理液の20℃における電導度は2.7mS/cmであった。結果を表1に示す。
(実施例3)
DM処理液の2,4−ジメルカプト−6−ジブチルアミノトリアジンの量を0.05gに変更し、塩化ナトリウムを0.01g添加した他は実施例1と同様にして導電性材料を作製し、実施例1と同様に評価を実施した。なお実施例3で用いたDM処理液の20℃における電導度は1.5mS/cmであった。結果を表1に示す。
DM処理液の2,4−ジメルカプト−6−ジブチルアミノトリアジンの量を0.05gに変更し、塩化ナトリウムを0.01g添加した他は実施例1と同様にして導電性材料を作製し、実施例1と同様に評価を実施した。なお実施例3で用いたDM処理液の20℃における電導度は1.5mS/cmであった。結果を表1に示す。
(実施例4)
DM処理液の水酸化ナトリウム添加量を0.5gとした他は実施例1と同様にして導電性材料を作製し、実施例1と同様に評価を実施した。なお実施例4で用いたDM処理液の20℃における電導度は2.5mS/cmであった。結果を表1に示す。
DM処理液の水酸化ナトリウム添加量を0.5gとした他は実施例1と同様にして導電性材料を作製し、実施例1と同様に評価を実施した。なお実施例4で用いたDM処理液の20℃における電導度は2.5mS/cmであった。結果を表1に示す。
(実施例5)
DM処理液の2,4−ジメルカプト−6−ジブチルアミノトリアジンをチオシアヌル酸に変更した他は実施例1と同様にして導電性材料を作製し、実施例1と同様に評価を実施した。なお実施例5で用いたDM処理液の20℃における電導度は1.8mS/cmであった。結果を表1に示す。
DM処理液の2,4−ジメルカプト−6−ジブチルアミノトリアジンをチオシアヌル酸に変更した他は実施例1と同様にして導電性材料を作製し、実施例1と同様に評価を実施した。なお実施例5で用いたDM処理液の20℃における電導度は1.8mS/cmであった。結果を表1に示す。
(実施例6)
DM処理液の2,4−ジメルカプト−6−ジブチルアミノトリアジンを2,4−ジメルカプト−6−フェニルアミノトリアジンに変更した他は実施例1と同様にして導電性材料を作製し、実施例1と同様に評価を実施した。なお実施例6で用いたDM処理液の20℃における電導度は2.4mS/cmであった。結果を表1に示す。
DM処理液の2,4−ジメルカプト−6−ジブチルアミノトリアジンを2,4−ジメルカプト−6−フェニルアミノトリアジンに変更した他は実施例1と同様にして導電性材料を作製し、実施例1と同様に評価を実施した。なお実施例6で用いたDM処理液の20℃における電導度は2.4mS/cmであった。結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例1においてDM処理を施す前の導電性材料を、35℃の自己触媒型無電解銀めっき液(奥野製薬工業(株)製ムデンシルバーKSS浴)に浸漬して、銀パターンの膜厚を0.20μmとし、これを実施例1と同様にしてDM処理および後処理を施して導電性材料を作製し、実施例1と同様に評価を実施した。結果を表1に示す。
実施例1においてDM処理を施す前の導電性材料を、35℃の自己触媒型無電解銀めっき液(奥野製薬工業(株)製ムデンシルバーKSS浴)に浸漬して、銀パターンの膜厚を0.20μmとし、これを実施例1と同様にしてDM処理および後処理を施して導電性材料を作製し、実施例1と同様に評価を実施した。結果を表1に示す。
(比較例1)
DM処理液での処理を実施しなかった他は実施例1と同様にして導電性材料を作製し、実施例1と同様に評価を実施した。結果を表1に示す。
DM処理液での処理を実施しなかった他は実施例1と同様にして導電性材料を作製し、実施例1と同様に評価を実施した。結果を表1に示す。
(比較例2)
DM処理液に塩化ナトリウムを0.05g添加した他は実施例1と同様にして導電性材料を作製し、実施例1と同様に評価を実施した。なお比較例2で用いたDM処理液の20℃における電導度は3.3mS/cmであった。結果を表1に示す。
DM処理液に塩化ナトリウムを0.05g添加した他は実施例1と同様にして導電性材料を作製し、実施例1と同様に評価を実施した。なお比較例2で用いたDM処理液の20℃における電導度は3.3mS/cmであった。結果を表1に示す。
(比較例3)
DM処理液の2,4−ジメルカプト−6−ジブチルアミノトリアジンを2−アミノ−4,6−ジメルカプトピリミジンに変更した他は実施例1と同様にして導電性材料を作製し、実施例1と同様に評価を実施した。なお比較例3で用いたDM処理液の20℃における電導度は2.2mS/cmであった。結果を表1に示す。
DM処理液の2,4−ジメルカプト−6−ジブチルアミノトリアジンを2−アミノ−4,6−ジメルカプトピリミジンに変更した他は実施例1と同様にして導電性材料を作製し、実施例1と同様に評価を実施した。なお比較例3で用いたDM処理液の20℃における電導度は2.2mS/cmであった。結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例1においてDM処理を施す前の導電性材料を、35℃の自己触媒型無電解銀めっき液(奥野製薬工業(株)製ムデンシルバーKSS浴)に浸漬して、銀パターンの膜厚を0.40μmとし、これを実施例1と同様にしてDM処理および後処理を施して導電性材料を作製し、実施例1と同様に評価を実施した。結果を表1に示す。
実施例1においてDM処理を施す前の導電性材料を、35℃の自己触媒型無電解銀めっき液(奥野製薬工業(株)製ムデンシルバーKSS浴)に浸漬して、銀パターンの膜厚を0.40μmとし、これを実施例1と同様にしてDM処理および後処理を施して導電性材料を作製し、実施例1と同様に評価を実施した。結果を表1に示す。
表1の結果から、本発明に該当する各実施例の導電性材料は、経時による抵抗値の上昇率が5.0%以下と小さく、またパターンの視認性に優れる。一方、本発明の構成要件を満足しない各比較例の導電性材料は、抵抗上昇率が大きくなる、あるいはパターンの視認性が改善されず、十分満足できるものではなかった。
以上の結果から明らかなように、本発明により、パターンの視認性に優れ、かつ経時による導電性の低下を抑えることが可能な導電性材料の製造方法、およびこれらが改善された導電性材料を得られることがわかる。
本発明の導電性材料の製造方法および導電性材料は、各種ディスプレイや窓などの電磁波シールド材として、また、各種タッチパネル用透明電極として利用することができる。また、装飾などを目的として支持体上に銀パターンを設けた材料等にも用いることができる。
Claims (2)
- 支持体上に形成された膜厚が0.3μm以下の銀パターンを、分子内に2つ以上のメルカプト基を有するトリアジンもしくはその誘導体を含有し、かつ電導度が3.0mS/cm以下である処理液にて処理する導電性材料の製造方法。
- 前記請求項1記載の導電性材料の製造方法により得られた導電性材料。
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