JP2016080965A - 位相差フィルム、組成物、位相差フィルムの製造方法、偏光板および液晶表示装置 - Google Patents
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- MAFZFJMYGUMKMV-UHFFFAOYSA-N CCC(C(C)C)OC(NCCOC(CC)=O)=O Chemical compound CCC(C(C)C)OC(NCCOC(CC)=O)=O MAFZFJMYGUMKMV-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- HGPYFUCWOBZONA-UHFFFAOYSA-N Cc1cc(OC(c(cc2)ccc2OC(OCCCCOC(C=C)=O)=O)=O)ccc1OC(c(cc1)ccc1OC(OCCCCOC(C=C)O)=O)=O Chemical compound Cc1cc(OC(c(cc2)ccc2OC(OCCCCOC(C=C)=O)=O)=O)ccc1OC(c(cc1)ccc1OC(OCCCCOC(C=C)O)=O)=O HGPYFUCWOBZONA-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
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Abstract
Description
(2)上記高分子化合物は、一般式IXで示される化合物である、(1)に記載の位相差フィルム:
(3)上記配向制御剤が、下記一般式Iで表される化合物である、(1)又は(2)に記載の位相差フィルム:
(4)上記配向制御剤の含有量が、上記高分子化合物100質量部に対して、0.1〜20質量部である、(1)から(3)の何れかに記載の位相差フィルム。
(5)単層フィルムである、(1)から(4)の何れかに記載の位相差フィルム。
(6)Nzが−0.29〜0.29である、(1)から(5)の何れかに記載の位相差フィルム;
但し、Nz=(nx−nz)/(nx−ny)であり、nxはフィルム面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyはフィルム面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。
(7)厚さが5μm以下である、(1)から(6)の何れかに記載の位相差フィルム。
(8)高分子化合物と配向制御剤とを含む組成物であって、上記高分子化合物は、1個以上のアゾ基および/またはシンナメート基と3個以上10個以下のアリーレン基とを有する側鎖を有し、上記側鎖はさらに、置換されていてもよいアミノ基、または炭化水素基を末端に有し、上記組成物中における上記高分子化合物の含有量が全固形分に対して71質量%以上である組成物。
(9)(8)に記載の組成物を基板上に塗布する工程を含む、(1)から(7)の何れかに記載の位相差フィルムの製造方法。
(10)上記基板上に塗布した組成物を40℃以上で加熱する工程と、上記加熱後の組成物を300〜30000mJ/cm2で光照射する工程とをさらに含む、(9)に記載の位相差フィルムの製造方法。
(11)偏光子と、(1)から(7)の何れかに記載の位相差フィルムとを有する、偏光板。
(12)(1)から(7)の何れかに記載の位相差フィルム又は(11)に記載の偏光板を有する、液晶表示装置。
(13)IPS液晶表示装置である、(12)に記載の液晶表示装置。
また、本明細書において、各部材の光学特性を示す数値、数値範囲については、液晶表示装置やそれに用いられる部材について一般的に許容される誤差を含む数値、数値範囲及び性質を示していると解釈されるものとする。
本発明の位相差フィルムは、所定の側鎖を有する高分子化合物と配向制御剤とを含む組成物から形成した位相差フィルムである。位相差フィルムとは、全面または一部に複屈折性を有するフィルムを意味する。
本発明の位相差フィルムは、単層フィルムでもよいし、複数の層からなる多層フィルムでもよいが、単層フィルムであることが好ましい。
本発明の位相差フィルムの波長550nmにおける面内方向のレタデーションReは、10〜200nmであることが好ましく、10〜150nmであることがより好ましい。
本発明の位相差フィルムのNzは、−0.29〜0.29であることが好ましく、−0.2〜0.2であることがより好ましく、−0.15〜0.15であることが特に好ましい。但し、Nz=(nx−nz)/(nx−ny)であり、nxはフィルム面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyはフィルム面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。
本発明で用いる高分子化合物は、1個以上のアゾ基および/またはシンナメート基と3個以上10個以下のアリーレン基とを有する側鎖を有し、上記側鎖はさらに、置換されていてもよいアミノ基、または炭化水素基を末端に有する。高分子化合物とは重量平均分子量が10000以上の化合物を意味し、好ましくはモノマーの重合体である。
上記側鎖は、1個以上のアゾ基を有することが好ましい。上記側鎖は、3個以上8個以下のアリーレン基を有することがより好ましく、4個以上7個以下のアリーレン基を有することがさらに好ましい。
また、炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数3〜10、さらに好ましくは炭素数3〜7のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を示し、これらは直鎖、分岐鎖、環状又はこれらの組み合わせの何れでもよい。
末端結合型の高分子化合物は、下記一般式IXで表される化合物が好ましい。
式中、Lは、単結合、−(CH2)xO−(xは2〜10の整数であり、好ましくは2〜6である。)又は、−(CH2CH2O)y−(yは1〜5の整数であり、好ましくは1〜3である。)を表し、−(CH2)xO−が好ましい。
式中、R2は、置換されていてもよいアミノ基、または炭化水素基を表す。
式中、Mは、下記一般式(X)で表される構造を表す。
式中、m1は1または2を表し、m2は1または2を表す。
Ra、Rb、及びRcはそれぞれ置換基(好ましくは、炭素原子数1〜2のアルキル基、ハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子、塩素原子))を表す。
x、y、及びzはそれぞれ、0〜4の整数を表し、0が好ましい。
式中、m1は0〜2の整数を表し、m2は1〜2の整数を表す。Ra、Rb、及びRcはそれぞれ置換基(好ましくは、炭素原子数1〜2のアルキル基、ハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子、塩素原子))を表し;x、y、及びzはそれぞれ、0〜4の整数を表す。
式中、Lは、単結合、−(CH2)xO−(xは2〜10の整数であり、好ましくは2〜6である。)又は、−(CH2CH2O)y−(yは1〜6の整数であり、好ましくは3〜6である。)を表す。
式中、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基(好ましくは炭素原子数が1〜5であり、特に好ましくは1〜3である。)、炭素原子数1〜9のアルコキシ基(好ましくは炭素原子数が1〜4であり、特に好ましくは1〜2である。)又は置換基を有していてもよいアミノ基を表す。
式中、Y1及びY2は、それぞれ独立に、アゾ基、−OCO−CH=CH−又は−CH=CH−CO2−を表し、m1及びm2は、それぞれ独立に、1〜2の整数を表す。m1又はm2が2の場合は、複数あるY1又はY2が同じでも異なっていてもよい。
本発明で用いる配向制御剤は、高分子化合物が光配向する際に配向状態に影響を及ぼす化合物である。配向制御剤としては、少なくとも二つの芳香族環を有する化合物を用いることが好ましい。「芳香族環」は、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性複素環を含む。
芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが好ましい。
芳香族性複素環は一般に、不飽和複素環である。芳香族性複素環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。複素環のヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性複素環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環及び1,3,5−トリアジン環が含まれる。
芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、縮合ベンゼン環、ビフェニール類が好ましい。
芳香族環としては、特に1,3,5−トリアジン環が好ましく用いられる。
具体的には例えば特開2001−166144号公報に開示の化合物が好ましく用いられる。
二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合及び(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。
c1:−CO−O−
c2:−CO−NH−
c3:−アルキレン−O−
c4:−NH−CO−NH−
c5:−NH−CO−O−
c6:−O−CO−O−
c7:−O−アルキレン−O−
c8:−CO−アルケニレン−
c9:−CO−アルケニレン−NH−
c10:−CO−アルケニレン−O−
c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−
c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−O−
c13:−O−CO−アルキレン−CO−O−
c14:−NH−CO−アルケニレン−
c15:−O−CO−アルケニレン−
置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、スルホ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ウレイド基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基及び非芳香族性複素環基が含まれる。
アルケニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。アルケニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルケニル基の例には、ビニル基、アリル基及び1−ヘキセニル基が含まれる。
アルキニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルキニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が特に好ましい。アルキニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルキニル基の例には、エチニル基、1−ブチニル基及び1−ヘキシニル基が含まれる。
脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセトキシ基が含まれる。
アルコキシ基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルコキシ基は、さらに置換基(例えば、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコキシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基及びメトキシエトキシ基が含まれる。
アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基が含まれる。
アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノ基及びエトキシカルボニルアミノ基が含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタンスルホニル基及びエタンスルホニル基が含まれる。
脂肪族アミド基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミドが含まれる。
脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基及びn−オクタンスルホンアミド基が含まれる。
脂肪族置換アミノ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基及び2−カルボキシエチルアミノ基が含まれる。
脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル基及びジエチルカルバモイル基が含まれる。
脂肪族置換スルファモイル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモイル基及びジエチルスルファモイル基が含まれる。
脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウレイド基が含まれる。
非芳香族性複素環基の例には、ピペリジノ基及びモルホリノ基が含まれる。
配向制御剤の分子量は、300〜800であることが好ましい。
R201は、各々独立に、オルト位、メタ位及びパラ位の少なくともいずれかに置換基を有する芳香族炭化水素環または複素環を表す。
X201は、各々独立に、単結合または−NR202−を表す。ここで、R202は、各々独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、芳香族炭化水素環基または複素環基を表す。
R201が表す芳香族炭化水素環は、フェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルであることが特に好ましい。R201が表す芳香族炭化水素環はいずれかの置換位置に少なくとも一つの置換基を有してもよい。上記置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルキル基、アルケニル基、芳香族炭化水素環基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、アルキル置換スルファモイル基、アルケニル置換スルファモイル基、アリール置換スルファモイル基、スルオンアミド基、カルバモイル、アルキル置換カルバモイル基、アルケニル置換カルバモイル基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基及びアシル基が含まれる。
X201が単結合である場合の複素環基は、窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基である
ことが好ましい。窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、5員環であることが特に好ましい。複素環基は、複数の窒素原子を有していてもよい。また、複素環基は、窒素原子以外のヘテロ原子(例えば、O、S)を有していてもよい。以下に、窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基の例を示す。ここで、−C4H9 nは、n−C4H9を示す。
が、鎖状アルキル基が好ましく、分岐を有する鎖状アルキル基よりも、直鎖状アルキル基がより好ましい。アルキル基の炭素原子数は、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、1〜10であることがさらに好ましく、1〜8がさらにまた好ましく、1〜6であることが最も好ましい。アルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基)及びアシルオキシ基(例えば、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基)が含まれる。
もよいが、鎖状アルケニル基を表すのが好ましく、分岐を有する鎖状アルケニル基よりも、直鎖状アルケニル基を表すのがより好ましい。アルケニル基の炭素原子数は、2〜30であることが好ましく、2〜20であることがより好ましく、2〜10であることがさらに好ましく、2〜8であることがさらにまた好ましく、2〜6であることが最も好ましい。アルケニル基は置換基を有していてもよい。置換基の例には、前述のアルキル基の置換基と同様である。
R202が表す芳香族炭化水素環基及び複素環基は、R201が表す芳香族炭化水素環及び複素環と同様であり、好ましい範囲も同様である。芳香族炭化水素環基及び複素環基はさらに置換基を有していてもよく、置換基の例にはR201の芳香族炭化水素環及び複素環の置換基と同様である。
本発明の組成物(以下、「位相差フィルム用組成物」ともいう。)は、上記高分子化合物と上記配向制御剤とを含む。
位相差フィルム用組成物中における上記高分子化合物の含有量は、組成物中の全固形分に対して71質量%以上であり、75質量%が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。上記高分子化合物の含有量の上限は99.9質量%以下が好ましく、99質量%以下がより好ましく。97質量%以下がより好ましい。
位相差フィルム用組成物中における配向制御剤の含有量は、位相差フィルム用組成物中における上記高分子化合物の含有量100質量部に対して0.1〜20質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましく、1〜15質量部がさらに好ましい。
本発明の位相差フィルムの製造方法は、上記した位相差フィルム用組成物を基板上に塗布する工程と塗布した組成物を光照射する工程を少なくとも含む。本発明の位相差フィルムの製造方法は、基板上に塗布した組成物を40℃以上で加熱する工程と、加熱後の組成物を300〜30000mJ/cm2で偏光照射する工程とをさらに含むことが好ましい。
位相差フィルム用組成物は、例えば、ポリマーフィルム、ガラス板、石英板等の基板の表面に、又は必要であれば、基板上に形成された配向膜表面に塗布することが好ましい。塗布は、スピンコート、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ダイコート法等が挙げられ、ワイヤーバーコート法が好ましい。塗布量は、所望の厚さの位相差フィルムを製造できるように調節することが好ましい。
本発明の製造方法は、上記の塗布工程で塗布された組成物を乾燥する工程を有することが好ましい。乾燥工程は、加熱したホットプレートで、塗布膜(塗布された組成物)を有する基板を加熱する方法などにより行うことができる。乾燥工程は所定の温度の風を塗布膜にあてることによって行うこともできる。
加熱温度は40℃以上が好ましく、40〜80℃がより好ましく、50℃〜70℃がさらに好ましい。加熱時間は5秒〜600秒が好ましく、5秒〜200秒がより好ましく、10秒〜100秒間がさらに好ましい。
光照射する工程では、基板上に形成したフィルムに光照射を施す。
光照射は非偏光でも偏光でもよいが、偏光を用いることが好ましく、直線偏光を用いることがさらに好ましい。偏光照射を用いることにより、フィルムの偏光性を発現させ、偏光性が制御された位相差フィルムを製造することができる。
直線偏光照射とは、光反応を生じさせるための操作である。用いる光の波長は、用いるアゾ基および/またはシンナメート基を有する高分子化合物により異なり、その光反応に必要な波長であれば特に限定されるものではない。好ましくは、光照射に用いる光のピーク波長が200〜700nmであり、より好ましくは光のピーク波長が400nm以下の紫外光である。
光照射に用いる光源は、通常使われる光源、例えばタングステンランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、キセノンフラッシュランプ、水銀ランプ、水銀キセノンランプ、カーボンアークランプ等のランプ、各種のレーザー( 例、半導体レーザー、ヘリウムネオンレーザー、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザー、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)レーザー)、発光ダイオード、陰極線管などを挙げることができる。
高分子化合物に直線偏光を照射すると、分子長軸がその電場ベクトルに平行に配置されているアゾ基またはシンナメート基が優先的に光子を吸収して、トランス体からシス体への異性化が起こり、二色性が発生する。またこのとき位相差層の遅相軸は、直線偏光に対して平行である。
光照射量は好ましくは300〜30000mJ/cm2であり、より好ましくは1000〜20000mJ/cm2である。光照射量を調節することにより、高分子化合物中のアゾ基又はシンナメート基の配向状態を変化させ、位相差フィルムのNz値を調節することができる。本発明においては、位相差フィルムに必要とされるNz値に応じて、光照射量を調節することによって、所望のNz値を有する位相差フィルムを製造することができる。
本発明の位相差フィルムは、特に偏光板保護フィルムとして有用である。本発明の偏光板の製造方法は特に限定されず、一般的な方法で製造することができる。本発明の位相差フィルムを必要によりアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の表面に接着剤を用いて貼り合わせる方法がある。接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
偏光板は、偏光子及びその両面を保護する2枚の偏光板保護フィルムで構成されており、本発明の位相差フィルムは上記2枚の偏光板保護フィルムのうちの少なくとも一方として使用することができる。
本発明の液晶表示装置は、上記した本発明の位相差フィルム又は偏光板を有する。
液晶表示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光子、および液晶セルと偏光子との間に少なくとも一枚の位相差フィルムを配置した構成を有している。液晶セルの液晶層は、通常は、二枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶を封入して形成する。透明電極層は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成する。液晶セルには、さらにガスバリアー層、ハードコート層あるいは(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層(下塗り層)を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。液晶セルの基板は、好ましくは50μm〜2mmの厚さを有する。
TD60UL(富士フイルム(株)製)を、温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度を40℃に昇温した後に、フィルムの片面に下記に示す組成のアルカリ溶液を、バーコーターを用いて塗布量14ml/m2で塗布し、110℃に加熱し、(株)ノリタケカンパニーリミテド製のスチーム式遠赤外ヒーターの下に、10秒間搬送した。続いて、同じくバーコーターを用いて、純水を3ml/m2塗布した。次いで、ファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返した後に、70℃の乾燥ゾーンに10秒間搬送して乾燥し、アルカリ鹸化処理した支持体を作製した。
アルカリ溶液組成
─────────────────────────────────────
・水酸化カリウム 4.7質量部
・水 15.8質量部
・イソプロパノール 63.7質量部
・界面活性剤SF−1:C14H29O(CH2CH2O)20H 1.0質量部
・プロピレングリコール 14.8質量部
─────────────────────────────────────
アルカリ鹸化処理した支持体のアルカリ鹸化処理を行った面に、下記組成の配向膜塗布液(A)を#14のワイヤーバーで連続的に塗布した。60℃の温風で60秒、更に100℃の温風で120秒乾燥した。使用した変性ポリビニルアルコールの鹸化度は96.8%であった。
配向膜塗布液(A)の組成
───────────────────────────────────────
・下記の変性ポリビニルアルコール(a/b/c=12/88/0) 10質量部
・水 308質量部
・メタノール 70質量部
・イソプロパノール 29質量部
・光重合開始剤(イルガキュアー(登録商標)2959、BASF社製)0.8質量部
───────────────────────────────────────
<<実施例1>>
下記高分子化合物1を100質量部と、下記配向制御剤1を20質量部と、メチルエチルケトン775質量部を混合して、実施例1の位相差フィルム用組成物を調製した。
下記液晶性化合物1を91質量部と、下記低分子化合物1を5.2質量部、下記配向制御剤2を0.09質量部、下記配向制御剤3を0.25質量部、下記重合開始剤1を3質量部、下記増感剤を1質量部、メチルエチルケトン775質量部を混合して、比較例1の位相差フィルム用組成物を調製した。
下記液晶性化合物2を75質量部と、下記液晶性化合物3を25質量部と、下記配向制御剤4を0.35質量部、上記光重合開始剤1を3質量部、上記増感剤を1質量部、及びメチルエチルケトン775質量部を混合して、比較例2の位相差フィルム用組成物を調製した。
<<実施例1>>
実施例1の位相差フィルムは以下の方法で作製した。
上記で作製した配向膜に、実施例1の位相差フィルム用組成物を、バー塗布により乾燥膜厚が0.4μmになるように塗布した。その後、高分子化合物の運動性を上げるために塗膜を60℃で30秒間搬送加熱した後、148mWの紫外線(UV)を表に記載の照射量になる時間で偏光板を通して照射した。これにより実施例1の位相差フィルムを製造した。
なお、本実施例では基材として配向膜を用いているが、ガラス基板上でも、一般的な偏光子の上でも同様に直接塗布し同等の性能をもつフィルムを作製することができる。
比較例1の位相差フィルムは以下の方法で作製した。
上記で作製した配向膜に連続的にラビング処理を施した。このとき、長尺状のフィルムの長手方向と搬送方向は平行であり、フィルム長手方向とラビングローラーの回転軸とのなす角度が0°とした。次いで、比較例1の位相差フィルム用組成物を、上記のラビング処理した配向膜上に乾燥膜厚が0.4μmになるようにバー塗布をした。その後、塗布液の溶媒の乾燥および液晶化合物の配向熟成のために、130℃の温風で150秒間加熱し、80℃にてUV照射を行い、液晶化合物の配向を固定化し、位相差フィルムを作製した。
比較例2の位相差フィルム用組成物を使用し、配向熟成のために60℃温風で150秒加熱、60℃でUV照射に条件を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、位相差フィルムを作製した。
乾燥膜厚を1.5μmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、位相差フィルムを作製した。
乾燥膜厚を2.8μmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、位相差フィルムを作製した。
配向制御剤1を0質量部に変更して組成物を調整したこと以外は実施例1と同様にして、位相差フィルムを作製した。
配向制御剤1の添加量を5質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、位相差フィルムを作製した。
配向制御剤1の添加量を45質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、位相差フィルムを作製した。
配向制御剤1の添加量を60質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、位相差フィルムを作製した。
高分子化合物を下記高分子化合物2に変更したこと、乾燥膜厚を1.5μmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、位相差フィルムを作製した。
高分子化合物2 重量平均分子量28600
高分子化合物を下記高分子化合物3に変更したこと、乾燥膜厚を2.8μmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、位相差フィルムを作製した。
高分子化合物1の代わりに液晶性化合物2を75質量部と液晶性化合物3を25質量部とを用いたこと、配向制御剤1の添加量を5質量部にしたこと以外は、実施例1と同様にして、位相差フィルムを作製した。
<<Re及びNz>>
波長550nmにおいてRe及びNzを、Axometics社のAxoscanを用いて測定を行った。
以下の方法で評価した。
位相差フィルムを2枚の偏光板の間に挟み、光輝度測定装置(トプコン社製BM5)により最大輝度及び最小輝度を測定し、下記式(1)によってフイルムコントラスト値を得た。
式(1):
フイルムコントラスト値=1÷[1÷[(平行ニコル状態の2枚の偏光板の間に配置された位相差フィルムの最小輝度)÷(クロスニコル状態の2枚の偏光板の間に配置された位相差フィルムの最小輝度)]―1÷[(平行ニコル状態の2枚の偏光板の間に位相差フィルムが配置されないときの最小輝度)÷(クロスニコル状態の2枚の偏光板の間に位相差フィルムが配置されないときの最小輝度)]]
実施例及び比較例で製造した位相差フィルム及びフジタック(登録商標)TD60UL(富士フイルム(株)製)を37℃に調温した4.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(けん化液)に1分間浸漬した後、フィルムを水洗し、その後、0.05mol/Lの硫酸水溶液に30秒浸漬した後、更に水洗浴を通した。そして、エアナイフによる水切りを3回繰り返し、水を落とした後に70℃の乾燥ゾーンに15秒間滞留させて乾燥し、鹸化処理したフィルムを作製した。
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを、ヨウ素1質量部、ヨウ化カリウム2質量部、及びホウ酸4質量部を含む水溶液に浸漬し、温度50℃で4倍に延伸し、偏光子を作製した。
上記で得た偏光子と、鹸化処理したフィルムのうちから2枚選び、これらで上記偏光子を挟んだ後、PVA((株)クラレ製、PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、偏光軸とフィルムの長手方向とが直交するようにロールツーロールで貼り合わせて偏光板を作成した。ここで、偏光膜の一方のフィルムは、実施例又は比較例のフィルムを鹸化したフィルムとし、他方のフィルムはフジタックTD60ULを鹸化したフィルムとした。
また偏光板に直接位相差層を塗布し、熟成・乾燥、UV照射をした場合は、上記の偏光板作製工程は省略するものとする。
iPad(登録商標、Apple社製)の液晶セルから視認側の偏光板を剥し、IPSモードの液晶セルとして利用した。
剥がした偏光板の代わりに、上記で作製した偏光板を液晶セルに貼合し、液晶表示装置をそれぞれ作製した。このとき、液晶セル基板面に対して垂直な方向から観察したとき、偏光板の吸収軸と、液晶セル内の液晶層の光軸とが垂直な方向になるように貼りあわせた。
貼り合せた液晶表示装置の電源をつけ、問題なく画像が表示されることを確認した。
本発明の条件を満たす高分子化合物と配向制御剤とを含む実施例1〜6の位相差フィルムは、従来のような液晶性化合物を使用した位相差フィルムと比べると面内レタデーションを発現した状態において格段に高いコンストラストを達成でき、また従来は達成することが困難であったNzを0に近づけることを達成することができた。また、本発明で規定する高分子化合物を含まない比較例1、2及び8の位相差フィルムはコントラストが低く、またNzを0に近づけることができない。配向制御剤を含まない比較例3の位相差フィルムはNzを0に近づけることが出来ない。比較例4及び5の位相差フィルムは、本発明で規定する面内レタデーションを発現できていない。高分子化合物の側鎖中のアリーレン基の数が本発明で規定する範囲外である比較例6は本発明で規定する面内レタデーションを発現できない。高分子化合物の側鎖中のアリーレン基の数が本発明で規定する範囲外である比較例7の位相差フィルムは、コントラストが低く、またNzを0に近づけることが出来ない。
Claims (13)
- 高分子化合物と配向制御剤とを含む位相差フィルムであって、前記高分子化合物は、1個以上のアゾ基および/またはシンナメート基と3個以上10個以下のアリーレン基とを有する側鎖を有し、前記側鎖はさらに、置換されていてもよいアミノ基、または炭化水素基を末端に有し、前記位相差フィルム中における前記高分子化合物の含有量が71質量%以上であり、かつ波長550nmにおける面内レタデーションが10nm以上200nm以下である位相差フィルム。
- 前記高分子化合物は、一般式IXで示される化合物である、請求項1に記載の位相差フィルム:
- 前記配向制御剤の含有量が、前記高分子化合物100質量部に対して、0.1〜20質量部である、請求項1から3の何れか一項に記載の位相差フィルム。
- 単層フィルムである、請求項1から4の何れか一項に記載の位相差フィルム。
- Nzが−0.29〜0.29である、請求項1から5の何れか一項に記載の位相差フィルム;
但し、Nz=(nx−nz)/(nx−ny)であり、nxはフィルム面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyはフィルム面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。 - 厚さが5μm以下である、請求項1から6の何れか一項に記載の位相差フィルム。
- 高分子化合物と配向制御剤とを含む組成物であって、前記高分子化合物は、1個以上のアゾ基および/またはシンナメート基と3個以上10個以下のアリーレン基とを有する側鎖を有し、前記側鎖はさらに、置換されていてもよいアミノ基、または炭化水素基を末端に有し、前記組成物中における前記高分子化合物の含有量が全固形分に対して71質量%以上である組成物。
- 請求項8に記載の組成物を基板上に塗布する工程を含む、請求項1から7の何れか1項に記載の位相差フィルムの製造方法。
- 前記基板上に塗布した組成物を40℃以上で加熱する工程と、前記加熱後の組成物を300〜30000mJ/cm2で光照射する工程とをさらに含む、請求項9に記載の位相差フィルムの製造方法。
- 偏光子と、請求項1から7の何れか一項に記載の位相差フィルムとを有する、偏光板。
- 請求項1から7の何れか一項に記載の位相差フィルム又は請求項11に記載の偏光板を有する、液晶表示装置。
- IPS液晶表示装置である、請求項12に記載の液晶表示装置。
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