JP2016079335A - フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた耐溶剤性、耐衝撃性、流動性を兼ね備えたフィルム、および、そのフィルムからなる成形材料の提供。【解決手段】式(1)で表される繰り返し単位を有するポリビフェニルエーテルサルホン樹脂、及び、熱可塑性ポリイミドを含有し、前記ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂及び前記熱可塑性ポリイミド樹脂の合計量に対する、熱可塑性ポリイミド樹脂の含有割合が、30〜50質量%であるフィルム。JIS K 7196に基いて測定される軟化温度が200℃以上で試験温度400℃、せん断速度100sec−1における溶融粘度が200〜800Pa・sであるフィルム(aは0又は1;bは0又は1;R1〜R4は各々独立に、−O−、−SO2−、−S−、又は、−C(=O)−;但し、R1〜R4の少なくとも1つは、−SO2−で、かつ、R1〜R4の少なくとも1つは、−O−;Ar1〜Ar3は各々独立に、C6〜24のアリーレン基)【選択図】なし

Description

本発明は、耐溶剤性、耐衝撃性、流動性に優れるフィルムに関する。
従来から、電気・電子機器に用いられるプラスチックフィルムとして、ポリエーテルエーテルケトンやポリエーテルイミド、ポリサルホンなどに代表される、耐熱性に優れる、いわゆるスーパーエンジニアリングプラスチックフィルムが広く採用されている。
しかし、近年の電気・電子機器の小型化、薄型化、高性能化に伴い、フィルムには、耐熱性、耐衝撃性、耐薬品性、剛性、成形性などの種々の性能において、より高いレベルが要求されている。
そこで、このような要望に応えるため、例えば、種々の特性を有する2種以上のポリマーをブレンドしてなる下記の組成物やフィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、結晶性ポリイミド50〜95質量%と、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂)、液晶ポリマー樹脂(LCP樹脂)、ポリエーテルサルホン樹脂(PES樹脂)、ポリサルホン樹脂(PSU樹脂)、ポリアリレート樹脂(PAR樹脂)、ポリアミド樹脂(PA樹脂)、ポリエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂(PEI樹脂)、ポリアミドイミド樹脂(PAI樹脂)、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂(PI樹脂)から選ばれて1種または2種以上の樹脂50〜5質量%とからなるポリイミド樹脂組成物が開示されている。
特開2000−191908号公報
しかしながら、特許文献1に開示の組成物からなるフィルムは、結晶性ポリイミドと、その他の樹脂との相溶性が十分ではなく、薄いフィルム形状で使用される場合に耐衝撃性が十分ではない場合がある。また、ポリイミドがマトリックスとなっているために耐熱性、耐薬品性には優れるものの、ポリエーテルイミド系樹脂やポリサルホン系樹脂と比べると流動性に劣るものである。そのため、耐溶剤性、耐衝撃性、流動性の全てを満足することはできず、より一層の改良が求められている。
本発明の目的は、優れた耐溶剤性、耐衝撃性、流動性を兼ね備えたフィルム、および、そのフィルムからなる成形材料を提供することにある。
本発明のフィルムは、下記構造式(1)の繰り返し単位を有するポリビフェニルエーテルサルホン樹脂、および、熱可塑性ポリイミド樹脂を含有し、前記ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂および前記熱可塑性ポリイミド樹脂の合計量に対する、前記熱可塑性ポリイミド樹脂の含有割合が、30質量%以上50質量%未満であることを特徴としている。
Figure 2016079335
(式中、aは、0または1を示し、bは、0または1を示す。R〜Rは、それぞれ独立に、−O−、−SO−、−S−、又は、−C(=O)−を示す。ただし、R〜Rの少なくとも1つは、−SO−を示し、かつ、R〜Rの少なくとも1つは、−O−を示す。Ar 〜Ar は、それぞれ独立に、6〜24の炭素原子を有するアリーレン基を示す。)
本発明のフィルムは、優れた耐熱性、耐衝撃性、耐溶剤性、流動性を兼ね備える。
本発明のフィルムは、ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂および熱可塑性ポリイミド樹脂を含有する樹脂組成物からフィルム形状に成形される。
本発明で用いるポリビフェニルエーテルサルホン樹脂は、その構造単位に芳香核結合、スルホン結合、エーテル結合およびビフェニル結合を含む熱可塑性樹脂であり、具体的には、下記構造式(1)の繰り返し単位を有する芳香族ポリサルホン樹脂である。
Figure 2016079335
(式中、aは、0または1を示し、bは、0または1を示す。R〜Rは、それぞれ独立に、−O−、−SO−、−S−、又は、−C(=O)−を示す。ただし、R〜Rの少なくとも1つは、−SO−を示し、かつ、R〜Rの少なくとも1つは、−O−を示す。Ar 〜Ar は、それぞれ独立に、6〜24の炭素原子を有するアリーレン基を示す。)
は、好ましくは、−O−、−SO−を示し、より好ましくは、−SO−を示す。
は、好ましくは、−O−、又は、−SO−を示し、より好ましくは、−O−を示す。
は、好ましくは、−O−、又は、−SO−を示す。
は、好ましくは、−O−、又は、−SO−を示し、より好ましくは、−O−を示す。
Ar、ArおよびArのそれぞれは、6〜24の炭素原子を有するアリーレン基を示す。Ar、ArおよびArのそれぞれの炭素原子数は、例えば、6以上24以下であり、好ましくは、6以上12以下である。
Ar、ArおよびArにおけるアリーレン基は、置換基を有していてもよく、また、置換基を有していなくてもよい。好ましくは、アリーレン基は置換基を有しない。上記置換基としては、例えば、メチル基、エチル基などのアルキル基、例えば、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基などが挙げられる。Ar、ArおよびArとしては、それぞれ、好ましくは、フェニレン基、ビフェニレン基などが挙げられ、より好ましくは、フェニレン基が挙げられる。
aは、0または1を示し、好ましくは、1を示す。bは、0または1を示し、好ましくは、0を示す。構造式(1)の繰り返し単位数(重合度)は、例えば、1以上100以下の整数である。好ましくは、機械物性確保の点から、20以上50以下の整数である。
ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂は、分子構造中に、構造式(1)を備えていればよく、本発明の効果を損なわない範囲で、構造式(1)以外の繰り返し単位を備えることもできる。ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂における構造式(1)の繰り返し単位が占める割合は、全繰り返し単位に対して、例えば、50モル%を超過し、好ましくは、60モル%以上、より好ましくは、70モル%以上であり、また、例えば、100モル%以下である。
ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂のガラス転移温度(Tg)は、例えば、180℃以上、好ましくは、190℃以上、より好ましくは、200℃以上であり、また、例えば、300℃以下、好ましくは、280℃以下、より好ましくは、260℃以下である。ガラス転移温度が上記下限以上であると、フィルムが、実用上十分な耐熱性を備える。一方、ガラス転移温度が上記上限以下であると、フィルムの二次加工時において過剰な加熱を不要とすることができる。
ガラス転移温度は、JIS K 7121(2012年)に準じて、加熱速度10℃/分で示差走査熱量計を用いて測定することにより求めることができる。
ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂は、好ましくは、下記構造式(2)の繰り返し単位を有するポリビフェニルエーテルサルホン樹脂が挙げられる。
Figure 2016079335
樹脂組成物、または、該樹脂組成物から成形されるフィルムが構造式(2)の繰り返し単位を有するポリビフェニルエーテルサルホン樹脂を含有することにより、製膜加工性、フィルムの耐熱性、耐衝撃性などの点で良好となる。
ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂は、公知の製法により得ることができる。具体的には、ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂は、例えば、米国特許第3,634,355号、米国特許第4,008,203号、米国特許第4,108,837号、米国特許第4,175,175号などの明細書に詳述されている方法により製造することができる。
また、ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂は、市販品を用いることもできる。特に、構造式(2)の繰り返し単位を有するポリビフェニルエーテルサルホン樹脂としては、具体的には、ソルベイアドバンストポリマーズ社製の商品名「レーデルR」シリーズ、BASF社製の商品名「ウルトラゾーンP」シリーズなどが挙げられる。
ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂は、1種単独で使用してもよく、または2種以上を混合して使用してもよい。
本発明で用いる熱可塑性ポリイミド樹脂は、下記構造式(3)の繰り返し単位を有する熱可塑性ポリイミド樹脂である。
Figure 2016079335
Xは直接結合、あるいは、−O−、−SO−、−S−、又は、−C(=O)−から選ばれる二価の残基を示し、Y〜Yはそれぞれ独立に、水素、アルキル基、又は、アルコキシル基から選ばれる一価の残基を示す。
上記構造式(3)の繰り返し単位を有する熱可塑性ポリイミド樹脂の具体例としては、下記構造式(4)の繰り返し単位を有する三井化学社製の商品名「AURUM」シリーズがあげられる。
Figure 2016079335
結晶性ポリイミド樹脂は、1種単独で使用してもよく、または2種以上を混合して使用してもよい。
ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂および熱可塑性ポリイミド樹脂の合計量に対する、熱可塑性ポリイミド樹脂の含有割合は、30質量%以上、50質量%未満である。熱可塑性ポリイミド樹脂の含有割合の下限は、好ましくは32質量%以上、より好ましくは35質量%以下である。また、熱可塑性ポリイミド樹脂の含有割合の上限は、好ましくは48質量%以下、より好ましくは45質量%以下である。熱可塑性ポリイミド樹脂の含有割合を上記範囲とすることにより、流動性、耐衝撃性を維持しながら、耐溶剤性を向上することができる。すなわち、熱可塑性ポリイミド樹脂の含有割合が30質量%未満であると、熱可塑性ポリイミド樹脂を含有する効果(耐溶剤性の付与効果)が発揮されない。一方、熱可塑性ポリイミド樹脂の含有割合が50質量%以上となると流動性が低下し、二次加工性を損なう場合がある。
ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂および熱可塑性ポリイミド樹脂の合計量に対する、ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂の含有割合の下限は、例えば50質量%以上、好ましくは52質量%以上、より好ましくは55質量%以上であり、また、上限は、例えば70質量%以下、好ましくは68質量%以下、より好ましくは65質量%以下である。ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂の含有割合がかかる範囲を下回る場合、流動性が低下する場合がある。一方、ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂の含有割合がかかる範囲を上回る場合、耐溶剤性が不十分となる場合がある。すなわち、ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂の含有割合をかかる範囲内とすることで、流動性、耐溶剤性に優れたフィルムを提供することができる。
樹脂組成物、または、該樹脂組成物から成形されるフィルムにおける、ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂および熱可塑性ポリイミド樹脂の合計量の含有割合は、例えば、90質量%以上、好ましくは、95質量%以上、より好ましくは、99質量%以上であり、また、100質量%以下である。
なお、樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂および熱可塑性ポリイミド樹脂以外の樹脂、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂などの各種熱可塑性エラストマーを含有することができる。また、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、抗菌・防かび剤、帯電防止剤、滑剤、顔料、染料などの添加剤を含有することもできる。
樹脂組成物は、ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、および、必要に応じて添加される添加剤を上記の割合でドライブレンドなどによって混合することにより調製される。
本発明のフィルムは、樹脂組成物からフィルム形状、または、シート形状に成形することにより製造される。
フィルムの製造方法においては、特に限定されないが、例えば、樹脂組成物を、無延伸シートまたは延伸シートとして製造することができる。本発明のフィルムは、二次加工性の観点から、好ましくは、無延伸シートとして製造される。
無延伸シートは、例えば、樹脂組成物を溶融混合する工程、溶融混合された樹脂組成物を押出成形する工程、および、成形された樹脂組成物を冷却する工程により得られる。
溶融混合には、単軸押出機、二軸押出機などの公知の混合機を用いることができる。
樹脂組成物の溶融温度は、樹脂の種類、混合比率、添加剤の有無や種類に応じて適宜決定されるが、例えば、360℃以上、好ましくは、380℃以上であり、また、例えば、420℃以下、好ましくは400℃以下である。
押出成形は、例えば、Tダイなどの金型を用いて、樹脂組成物を押出成形する。
押出成形された樹脂組成物を冷却するには、例えば、冷却されたキャストロールなどの冷却機に、樹脂組成物を接触させ、急冷する。これにより、樹脂組成物が固化され、無延伸シートが得られる。
冷却温度は、溶融温度よりも低温であれば限定されないが、例えば、300℃以下、好ましくは、250℃以下であり、また、例えば、100℃以上、好ましくは、150℃以上である。
なお、無延伸シートとは、シートの強度を高める目的で、積極的に延伸しないシートであるが、ここでは、押出成形時に延伸ロールによって2倍未満に延伸されたシートも無延伸シートに含むものとする。
このようにして得られる本発明のフィルムの引張伸度保持率は、例えば50%以上、好ましくは、55%以上、より好ましくは、60%以上である。
本発明のフィルムの引張伸度保持率が上記下限以上であると、溶剤による洗浄工程などを経た場合においても十分な耐衝撃性を維持できるため好ましい。
引張伸度保持率は、後述する実施例に記載の方法により測定される。
フィルムの厚さを0.1mmとした場合における−20℃での破壊エネルギーは、例えば、30kgf・mm以上、好ましくは、50kgf・mm以上、より好ましくは、100kgf・mm以上である。
破壊エネルギーが上記下限以上であると、フィルムの加工時や使用時における破損を抑制できる。また、フィルムを薄肉化できるため、省スペース化および省資源化が可能となる。
破壊エネルギーは、後述する実施例に記載の方法により測定される。
試験温度400℃、せん断速度100sec−1における溶融粘度の下限は、例えば200Pa・s以上、好ましくは300Pa・s以上、より好ましくは400Pa・s以上であり、また、上限は、例えば、800Pa・s以下、好ましくは700Pa・s以下、より好ましくは600Pa・s以下である。
本発明のフィルムの溶融粘度が上記範囲内であれば、優れた機械物性を維持しながら、フィルム製膜時の生産性にも優れるため好ましい。
本発明のフィルムの溶融粘度は、後述する実施例に記載の方法により測定される。
本発明のフィルムの軟化温度は、例えば、200℃以上、好ましくは、210℃以上、より好ましくは、220℃以上である。
本発明のフィルムの軟化温度が上記下限以上であると、耐熱性が必要とされる用途に幅広く使用することができるため好ましい。
本発明のフィルムの軟化温度は、JIS K 7196(2012年)に基づいて測定される。
本発明のフィルムは、耐溶剤性、耐衝撃性、流動性が要求される種々の分野に好適に用いられる。具体的には、電気・電子機器に搭載するフィルム、繊維強化プラスチックのマトリックス材料などに用いることができる。
電気・電子機器に搭載するフィルムとして使用する場合、モーター用絶縁フィルム、マイクロモーター用スラストワッシャー、TABスペーサーテープ、コンデンサー、トランス、プリント基板などの用途などが好適に挙げられる。
繊維強化プラスチックのマトリックス材料として使用する場合、マトリックス材料が含浸される繊維としては、公知または市販のものが挙げられ、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、ポリマー繊維、金属繊維などが挙げられ、好ましくは、炭素繊維が挙げられる。
ポリマー繊維としては、例えば、アラミド繊維、ポリエチレン繊維などが挙げられる。金属繊維としては、例えば、アルミニウム繊維、チタン繊維、マグネシウム繊維などが挙げられる。
繊維強化プラスチックは、例えば、平織、綾織、繊維ペーパーやUD材(繊維が一方向に配向したもの)と、本発明のフィルムとを熱プレスすることにより製造することができる。本発明のフィルムは耐熱性、耐衝撃性、耐溶剤性、流動性に優れるため、本発明のフィルムを用いて繊維強化プラスチックを製造すると、フィルムを形成する樹脂組成物が、繊維フィルムの内部に効率的にかつ均一に含浸し、耐熱性、耐衝撃性および耐溶剤性に優れた繊維強化プラスチックを得ることができる。
また、本発明のフィルムは、繊維強化プラスチック以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、他の層を積層してなる多層フィルムとすることもできる。多層化の方法については、公知の方法、例えば、共押出、押出ラミネート、熱ラミネート、ドライラミネートなどの方法を用いることができる。
なお、一般的に「フィルム」とは、長さおよび幅に比べて厚みが極めて小さく、最大厚みが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(日本工業規格JIS K 6900(1994年))。他方、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚みが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されない。以下に示す実施例の数値は、上記の実施形態において記載される数値(すなわち、上限値または下限値)に代替することができる。
(実施例1)
ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂(下記)および熱可塑性ポリイミド樹脂(下記)を70:30の質量割合でドライブレンドして、樹脂組成物を得た。
次いで、樹脂組成物を、40mmφ単軸押出機を用いて380℃で混練した後、Tダイより押出成形した。続いて、押出成形された樹脂組成物(フィルム形状)を約200℃のキャスティングロールにて急冷することにより、厚み0.1mmの実施例1のフィルムを製造した。
・ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂:商品名「ウルトラゾーンP3010N」、上記構造式(2)の樹脂、Tg=220℃、BASF社製
・熱可塑性ポリイミド樹脂:商品名「AURUM PL500A」、上記構造式(4)の樹脂、Tg=251℃、三井化学社製
(実施例2)
ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂、及び、熱可塑性ポリイミド樹脂の混合質量比を60:40とした以外は、実施例1と同様の方法により、実施例2のフィルムを製造した。
(比較例1)
ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂、及び、熱可塑性ポリイミド樹脂の混合質量比を80:20とした以外は、実施例1と同様の方法により、比較例1のフィルムを製造した。
(比較例2)
ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂の代わりに、ポリエーテルイミド樹脂(商品名「Ultem1000−1000」、SABIC社製)を用い、ポリエーテルイミド樹脂、及び、熱可塑性ポリイミド樹脂を60:40の質量割合でドライブレンドした以外は、実施例1と同様の方法により、比較例2のフィルムを製造した。
(比較例3)
ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂の代わりに、ビフェニル骨格を有しないポリエーテルサルホン樹脂(商品名「スミカエクセル4800G」、住友化学社製)を用い、ポリエーテルサルホン樹脂、及び、熱可塑性ポリイミド樹脂を60:40の質量割合でドライブレンドした以外は、実施例1と同様の方法により、比較例3のフィルムを製造した。
(比較例4)
熱可塑性ポリイミド樹脂を単独で用い、実施例1と同様にして、比較例4のフィルムを製造した。
(比較例5)
ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂、及び、熱可塑性ポリイミド樹脂の混合質量比を40:60とした以外は、実施例1と同様の方法により、比較例5のフィルムを製造した。
<評価方法>
各実施例のフィルムおよび各比較例のフィルムを以下の方法により評価した。ここで、Tダイから樹脂組成物(フィルム)が押し出されてくる流れ方向を縦方向、その直交方向を横方向とする。
(1)耐溶剤性(引張伸度保持率)
各実施例及び比較例のフィルムをそれぞれ、長さ(縦方向)100mm×幅(横方向)15mmに切断して、試験片(厚み0.1mm)を作製した。該サンプルを23℃のメチルエチルケトン溶液に24時間浸漬した後、メチルエチルケトン溶液から取り出し、23℃雰囲気において24時間静置した。次いで、JIS C 2318に基づき、万能材料試験機(商品名「MODEL205」、インテスコ社製)を用いて、メチルエチルケトン溶液に浸漬する前後の引張破断伸度の測定を行った。雰囲気温度23℃、相対湿度50%、引張り速度100mm/min、つかみ間隔50mmにて測定を行い、n=5での平均値を求めた。なお、引張伸度保持率は以下の式で算出した。

(引張伸度保持率)=(メチルエチルケトン溶液浸漬後の引張破断伸度)/(メチルエチルケトン溶液浸漬前の引張破断伸度)×100
結果を表1に示す。引張伸度保持率は、50%以上を合格とした。
(2)破壊エネルギー(耐衝撃性)
各実施例、及び、比較例のフィルムをそれぞれ、縦方向100mm×横方向100mmに切断して、試験片(厚み0.1mm)を作製した。
ハイドロショット高速衝撃試験器(商品名「HTM−1型」、島津製作所社製)を用いて、試験片をクランプで固定し、次いで、温度−20℃の条件で、試験片中央に直径が1/2インチの撃芯を落下速度3m/秒で落として衝撃を与えた。これにより、試験片が破壊するときの破壊エネルギー(kgf・mm)を測定した。
結果を表1に示す。なお、破壊エネルギーが30kgf・mm以上のフィルムを合格と評価した。
(3)溶融粘度
高化式フローテスター(商品名CFT−500C、島津製作所社製)にノズル(直径1mm、長さ10mm)を取り付け、試料を400℃で5分間予熱した後、溶融粘度のせん断速度依存性を測定し、せん断速度100sec−1の時の見かけ粘度(Pa・s)を求め、溶融粘度とした。
結果を表1に示す。なお、溶融粘度は800Pa・s以下を合格とした。
Figure 2016079335
なお、表の各成分中の数値は、特段の記載がない場合には、質量部数を示す。
<考察>
表1から明らかなように、各実施例のフィルムは、引張伸度保持率(耐溶剤性)、破壊エネルギー(耐衝撃性)、及び、流動性(加工性)のすべてにおいて良好であった。一方、熱可塑性ポリイミド樹脂の含有量が少ない比較例1のフィルムは、耐溶剤性が劣っていた。また、また、熱可塑性ポリイミド樹脂のみからなる比較例4のフィルムは、流動性に劣っていた。
また、ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂の代わりに、ポリエーテルイミド樹脂や、ビフェニル骨格を有しないポリエーテルサルホン樹脂を含有する比較例2、及び、比較例3のフィルムは、結晶性ポリイミド樹脂との親和性が低く、耐溶剤性、及び、耐衝撃性が劣っていた。

Claims (3)

  1. 下記構造式(1)の繰り返し単位を有するポリビフェニルエーテルサルホン樹脂、および、熱可塑性ポリイミドを含有し、
    前記ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂および前記熱可塑性ポリイミド樹脂の合計量に対する、前記熱可塑性ポリイミド樹脂の含有割合が、30質量%以上50質量%未満であることを特徴とするフィルム。
    Figure 2016079335
    (式中、aは、0または1を示し、bは、0または1を示す。R〜Rは、それぞれ独立に、−O−、−SO−、−S−、又は、−C(=O)−を示す。ただし、R〜Rの少なくとも1つは、−SO−を示し、かつ、R〜Rの少なくとも1つは、−O−を示す。Ar 〜Ar は、それぞれ独立に、6〜24の炭素原子を有するアリーレン基を示す。)
  2. JIS K 7196に基いて測定される軟化温度が200℃以上であることを特徴とする、請求項1に記載のフィルム。
  3. 試験温度400℃、せん断速度100sec−1における溶融粘度が200〜800Pa・sであることを特徴とする、請求項1または2に記載のフィルム。
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