JP2016079099A - 1,1,1−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパンの製造方法 - Google Patents

1,1,1−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパンの製造方法 Download PDF

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真理 村田
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真理 村田
岡本 秀一
Shuichi Okamoto
秀一 岡本
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Takashi Seki
隆司 関
允彦 中村
Nobuhiko Nakamura
允彦 中村
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Abstract

【課題】1,1,1−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン(HCFC−233fb)を効率的に製造する方法の提供。【解決手段】1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン(HCFC−243fa)を60モル%以上含む原料組成物を、塩素と接触させるHCFC−233fbの製造方法。式(1)で示される塩素化反応を促進するために、HCFC−243faと塩素の反応は、光照射下に行うことが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、1,1,1−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパンの製造方法に関する。
1,1,1−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン(HCFC−233fb)は、機能性材料の原料モノマーおよび合成用中間体として有用なヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)である。本明細書において、ハロゲン化炭化水素については、化合物名の後の括弧内にその化合物の略称を記すが、本明細書では必要に応じて化合物名に代えてその略称を用いる。
HCFC−233fbは、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1223za)を得るための合成用中間体である。HCFO−1223zaは、洗浄剤、冷媒、発泡剤、溶剤、エアゾールなどの用途に用いられる化合物である。
HCFC−233fbを得る方法としては、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン(HCFC−253fb)を光照射下に塩素(Cl)と反応させて、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン(HCFC−243fa)およびHCFC−233fbを含む混合物を得る方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、HCFC−253fbと塩素の原料混合ガスを、光を照射した反応場に供給し、一定時間滞留させることで、HCFC−253fb中の1つまたは2つの水素原子と、塩素原子との置換反応が起こり、HCFC−243faおよびHCFC−233fbが生成する。
上記した方法では、塩素過剰の条件下においてHCFC−253fbの転化率が高く、かつHCFC−233fbの選択率が高くなる。つまり、原料であるHCFC−253fbの転化率、またはHCFC−233fbの選択率、を上げるためには塩素の流量に対する原料混合ガスの流量を少なくする必要がある。しかしながら、この場合、反応器の単位体積あたりのHCFC−233fbの生成量が少なくなり、工業スケールで製造を行う場合に効率的ではない。さらに、原料混合ガス調製の際に、塩素に対するHCFC−253fbの比率を小さくするとHCFC−233fbの選択率が向上するが、前述と同様に製造効率が下がるという欠点がある。
また、HCFC−253fbを原料とした場合、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン(HCFC−243db)、1,2,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン(HCFC−233aa)を生成する副反応が起こり易いため、HCFC−233fbの選択率が低く、その分塩素が消費されること、さらに、精製工程が必要となることから製造効率が低い。
さらに、HCFC−233fbを1モル製造する際に、2モルの塩化水素(HCl)が副生するために、反応器が大きくなる、多量の塩化水素の処理が必要となるという課題があった。
中国特許第102064206号明細書
本発明は、HCFC−233fbを効率的に製造する方法の提供を目的とする。
本発明は、HCFC−243faを60モル%以上含む原料組成物を、塩素と接触させる、HCFC−233fbの製造方法を提供する。
本発明のHCFC−233fbの製造方法によれば、HCFC−233fbを効率的に製造することができる。
本発明の製造方法は、HCFC−243faを60モル%以上含む原料組成物と塩素(Cl)を接触させて、HCFC−233fbを製造する方法である。
(塩素化反応)
本発明の製造方法における、HCFC−243faと塩素の反応は、下記式(1)で示されるHCFC−243faの塩素化反応である。
Figure 2016079099
本発明の製造方法において、HCFC−243faと塩素を反応させる方法は特に限定されず、例えば、反応器内にHCFC−243faと塩素を供給することで行うことができる。以下、本発明の製造方法について、説明する。
(原料組成物)
本発明の製造方法における原料組成物は、HCFC−243faの60モル%以上を含有する。原料組成物中の、HCFC−243fa以外の化合物は、上記式(1)に示す塩素化に対して活性な化合物であって、例えば、HCFC−233fb以外の副生物を生成する化合物である。このような、HCFC−233fb以外の副生物を生成する化合物を40モル%よりも多く含む組成物を塩素と反応させた場合には、塩素の利用効率を低下させることになる。
また、HCFC−243fa以外の化合物としては、上記式(1)で示される塩素化によって、HCFC−233fbを生成する化合物であってもよい。ただし、HCFC−233fbを生成するHCFC−243fa以外の化合物を含んでいても、例えば、上記した従来の方法によってHCFC−253fbを原料として製造される混合物は、HCFC−253fbと塩素の反応によって生成するHFCF−243db、HFCF−233aa等を含むため、HCFC−243faの含有割合を60モル%以上にすることができず、原料組成物として用いることができない。
原料組成物に含まれるHCFC−243fa以外の化合物として具体的には、上記HCFC−243faを製造する際に副生する化合物であるHCFC−243dbや、1,3−ジクロロ−1,1,3−トリフルオロプロパン(HCFC−243fb)、クロロホルム(CHCl)等のHCFC類、HFC類及びハイドロクロロカーボン(HCC)類等の分子内に水素原子を含む化合物が挙げられる。
このように、HCFC−243faの含有量が60モル%以上の原料組成物を用いる本願発明の製造方法によれば、副生物の生成を抑え、添加した塩素量に対してHCFC−243faの転化率、HCFC−233fbの収率を高めることができる。また、塩素化反応に発生する塩化水素の生成量を低減することができ、HCFC−233fbの精製を容易に行うことができる点で有利である。
原料組成物に含まれるHCFC−243faの量は、60モル%以上であり、70モル%以上が好ましく、95モル%以上がより好ましい。
本発明の製造方法において用いられる原料組成物は、HCFC−243faを60モル%以上含有する組成物であれば特に限定されず、公知の組成物を用いることができる。公知の原料組成物としては、例えば、特許第3484824号に示される、次の方法で得られる組成物が挙げられる。
気相または液相で、1,1−ジフルオロエチレン(Vdf)とジクロロフルオロメタン(HCFC−21)を、ルイス酸触媒の存在下に付加反応させる。これにより、HCFC−243faを含む組成物(以下、「HCFC−243fa含有組成物」という。)が得られる。得られたHCFC−243fa含有組成物に対し、必要に応じて、蒸留、精製を行い、HCFC−243faの含有割合が60モル%以上の原料組成物を得ることができる。
上記VdfとHCFC−21の付加反応におけるルイス酸触媒としては、B、Al、GaおよびInの13族元素、Fe、NiおよびCoの鉄族元素、Ti、ZrおよびHfの4族元素、Nb、Taなどの5族元素、Sb、SnおよびWから選ばれる少なくとも1種の元素のハロゲン化物またはハロゲン化酸化物、具体的には、フッ素化物、AlCl、ZrCl、TiCl、HfCl等の塩素化物、AlClF、ZrCl、ZrClF、TiCl、HfClF等の塩素化フッ素化物を用いることができる。
上記VdfとHCFC−21の付加反応における反応条件は、例えば、反応温度が−40℃〜+200℃、圧力は、常圧でも支障ないが、微加圧〜10kg/cm(ゲージ圧)程度である。反応後に反応粗液をろ過により分離して、反応粗液としてHCFC−243fa含有組成物を得ることができる。なお、本明細書において特に断らない限り、反応器内の圧力はゲージ圧で示す。
上記付加反応において得られるHCFC−243fa含有組成物には、HCFC−243fa以外に、副生物として生成するHCFC−243fb、クロロホルム(CHCl)、等が含まれる。上記付加反応における、VdfとHCFC−21の供給量や、温度、圧力条件などを調節することで、HCFC−243fa含有組成物中のHCFC−243faの含有割合を60モル%以上とすることができる。この場合には、生成したHCFC−243fa含有組成物をそのまま原料組成物として用いることができる。また、上記したように、HCFC−243faの含有割合が60モル%未満のHCFC−243fa含有組成物を蒸留することで、HCFC−243faを60モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは95モル%以上含む原料組成物を得ることができる。
本発明の製造方法において、反応器に供給するHCFC−243faと塩素の割合は、Cl/HCFC−243faで示されるモル比(以下、「Cl/HCFC−243fa」という。)で、0.5〜3.0が好ましく、0.8〜2.1がより好ましく、0.85〜1.2がより好ましい。Cl/HCFC−243faが0.5未満である場合には、原料であるHCFC−243faの転化率が低く、3.0を超える場合には、未反応の塩素が残留し、塩素の利用効率が悪い。
[液相反応]
本発明の製造方法におけるHCFC−243faと塩素の反応は、HCFC−243faが液体の状態、すなわち液相で行うことが好ましい。反応を液相で行うことで、反応器を小型化することができる。また、反応を液相で行うと、原料混合ガスをあらかじめ調製する必要がないため、反応操作の簡略化が可能である。液相反応は反応溶媒の存在下に実施することが好ましい。
(反応溶媒)
本発明の製造方法は、反応溶媒の存在下に、HCFC−243faと塩素を反応器に供給してもよい。反応溶媒を用いることで、原料であるHCFC−243fa、および目的生成物であるHCFC−233fbを溶解させ、反応系を液相とすることが容易にでき、反応を均一系で行うことができる。また、副生物の生成を抑制することができる。本発明の製造方法における反応溶媒としては、原料を溶解することができ、かつ塩素に不活性であって、蒸留等によって目的生成物(HCFC−233fb)との分離が容易な溶媒を、特に限定なく用いることができる。
反応溶媒として、具体的には、四塩化炭素、ペルフルオロオクタン、ペルフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)等が挙げられる。なかでも、低コストで、目的生成物であるHCFC−233fb(沸点:105℃)と十分な沸点差を有することから四塩化炭素(沸点:76.8℃)が好ましい。
また、反応溶媒として、本反応の目的生成物であるHCFC−233fb自体を用いることも可能である。これは、HCFC−233fbと塩素との反応性が低いことによる。HCFC−233fb自体を反応溶媒に用いた場合の収率と、上記四塩化炭素を反応溶媒として用いた場合の収率は同程度であって、製造上問題にならない程度である。また、HCFC−233fb自体を溶媒とした場合、反応生成物と反応溶媒との分離精製を行う必要がないことから、工程数が削減され、蒸留によるエネルギー消費を省くことができ、効率のよいHCFC−233fbの製造が可能となる。
なお、本発明の製造方法において、HCFC−243faと塩素の接触の場である反応器には、反応溶媒以外の、原料であるHCFC−243fa及び塩素に対して不活性な化合物が存在していても特に問題はない。
また、本発明の製造方法において用いる反応溶媒の量は特に限定されないが、例えば、原料であるHCFC−243faの100質量%に対して好ましくは10〜80質量%、より好ましくは20〜60質量%である。
本発明の製造方法は、連続式の製造方法であっても、バッチ式の製造方法であってもよい。連続式の製造方法において、原料であるHCFC−243faと塩素の反応器への供給、反応器内でのHCFC−243faと塩素の接触、反応、およびHCFC−233fbの前記反応器からの取り出しは、いずれも連続的に行われる。
バッチ式の製造方法は、HCFC−243faと塩素の反応器内への供給は、逐次的であっても、同時であってもよい。逐次的である場合、HCFC−243faと塩素のいずれかの成分を供給し、次いで、他成分を供給し、原料であるHCFC−243faと塩素が反応器内で所定の時間接触させ、反応させればよい。
本発明の製造方法の具体例としては、HCFC−243faと反応溶媒の各所定量を混合した反応液に、塩素を必要に応じて窒素等の不活性ガスで希釈して、反応時に時間あたりの所定量を、断続的または連続的に吹き込むことによって行うことができる。また、反応前に、反応器内を加圧状態としつつ、HCFC−243faおよび反応溶媒の各所定量、塩素の所定量を仕込むことで行うことができる。
本発明の製造方法は、製造効率の点で連続式の方法であることが好ましい。なお、上記式(1)で示される塩素化反応に際しては、通常の方法、装置等を用いて、反応液を撹拌することが好ましい。
本発明の製造方法において、上記式(1)で示される塩素化反応を促進するために、HCFC−243faと塩素の反応は、触媒の存在下または光照射下に行うことが好ましい。
HCFC−243faと塩素の反応を触媒の存在下で行う場合に用いられる触媒としては、塩素の活性化を促進するものであれば特に限定されない。このような触媒として、例えば、活性炭触媒、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等のアゾビス系化合物等が挙げられる。
HCFC−243faと塩素の反応を光照射下に行う場合に、照射する光の波長は、塩素の活性化を促進する波長であれば特に限定されない。照射する光の波長は、HCFC−243faと塩素の反応を促進するために、200〜700nmが好ましく、250〜400nmがより好ましい。照射する光が、350nmの波長を含むことが好ましい。照射する光が、200nm未満の波長の光を含むと、上記式(1)の反応による反応生成物が分解することがあり、700nmを超えると、製造効率が低下するおそれがある。
このような光照射を行うことが可能な光源としては、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等を挙げることができる。
光照射の方法としては、反応時間を通じて反応液全体に均一に照射できる方法であれば特に制限されない。例えば、上記反応に必要な波長の光を透過し、反応液成分に不活性で、耐食性の材料で構成されたジャケットを装着した光源を反応液中に挿入し、反応液内部から反応液に対して光を照射する等の方法が挙げられる。また、光源が熱を発生する場合には、反応温度によっては、上記ジャケットは冷却手段を有するジャケットであることが好ましい。
(反応条件)
本発明の製造方法において、HCFC−243faと塩素の反応を光照射下で行う場合、反応器内の温度(反応温度)は、−10〜60℃であることが好ましく、0〜40℃がより好ましい。反応温度が、−10℃未満である場合は、十分な反応速度を得られにくく、製造効率が低下することがある。また、反応温度が60℃を超える場合には、原料であるHCFC−243faが気化し、液相での反応を行い難くなる。さらに、HCFC−243faを含む反応液に塩素が残存する時間が短くなることで、HCFC−243faと塩素の接触時間が短くなり、反応効率が低下するおそれがある。
反応器内の圧力は、反応温度により適宜調整することができる。反応器内の圧力は、反応器内の温度条件で、上記式(1)の反応を液相で行い得る圧力とすることが好ましい。例えば反応器内の温度が上記好ましい範囲(−10〜60℃)である場合には、反応器内を加圧せずに、常圧で反応を行ってもよく、反応器を0.1〜0.9MPaに加圧してもよい。
(反応器)
HCFC−243faと塩素を反応させる反応器としては、形状および構造は特に限定されない。反応器の材質としては、ガラス、鉄、ニッケル、または鉄、ニッケルを主成分とする合金等が挙げられ、これらの中でも、ステンレス鋼が好ましく用いられる。また、反応器は、温度調節手段を内部に備えていてもよい。
(反応生成物)
本発明の製造方法における上記HFC−243faと塩素の反応においては、目的生成物であるHCFC−233fbを含む反応粗液を得ることができる。得られた反応粗液に含まれる、塩酸等の酸性成分を、アルカリ洗浄、水洗浄によって除去し、有機相を分離して、有機相として目的生成物であるHCFC−233fbを含む反応生成物を得ることができる。反応生成物に含まれるHCFC−233fb以外の化合物としては、未反応原料であるHFC−243faに加えて、HCFC−233da(1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン)HCFC−233db(1,1,1,2−テトラクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン)、HCFC−213ab(1,1,1,2,2−ペンタクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン)等が挙げられる。
反応生成物に含まれる、HCFC−233fb以外の上記成分は、蒸留等の既知の手段により、望まれる程度に除去することができる。
以下に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[分析条件]
組成分析はガスクロマトグラムを用いた。カラムはDB−1301(長さ60m×内径250μm×厚み1μm、アジレント・テクノロジー株式会社製)を用いた。
[製造例]
(HCFC−243fa含有組成物の合成)
2リットルのハステロイC製オートクレーブに塩化アルミニウム(AlCl)20gを加え、減圧脱気後、1200g(11.65モル)のHCFC−21を加えた。オートクレーブを−20℃に保ちながら、オートクレーブ内のHCFC−21に、VdFを連続的に760g(11.88モル)加えた。その後、さらに1時間撹拌を続け、反応液を濾別して反応粗液1920gを回収した。
(HCFC−243fa含有組成物の蒸留精製)
マントルヒーターで加熱可能な2Lのガラス製窯、マグネット式還流装置、還流タイマー及びジムロート冷却器を備えた径3cm高さ97cmのガラス蒸留塔に、ヘリパックNo.1(竹中金鋼株式会社製)を段数測定値43段で充填したものを蒸留装置として用いた。製造例1で得られた反応粗液を蒸留装置に仕込み、還流タイマーにより還流時間/留出時間の比を50/1〜300/1に調整しながら常圧で蒸留を行った。
その結果、HCFC−243faが99.5質量%超、HCFC−243fbが0.5質量%未満のHCFC−243fa含有組成物を得た。
[実施例1]
反応器として、撹拌機、フロメーター、フィルター付き差し込み管、ドライアイスコンデンサー及びアルカリ水溶液トラップを設置した1リットル四つ口フラスコを用いた。この四つ口フラスコに、原料組成物として、製造例で得られたHCFC−243fa含有組成物を990.73g加え、フラスコ内の反応液を0℃に冷却した。反応液を攪拌しながら、フラスコに外側から紫外光(高圧水銀灯、英光社製、波長365nm、500W)を照射しつつ、フィルター付き差し込み管から、フラスコ内の反応液に、バブリングにより、0.32mol/hの流量で塩素(Cl)を加えた。この際、反応液の温度(反応温度)は5℃に維持しつつ、フラスコへの塩素の供給量が484.94g(6.84モル)となるまで塩素の供給を行った。その後、撹拌および紫外光照射を停止し、さらに、窒素を一晩バブリングした。このようにして反応粗液1208.69gを得た。
得られた反応粗液を10質量%炭酸水素カリウム水溶液で洗浄し、反応生成物である有機相をのみを回収した。回収した有機相は1097.38gであった。
有機相の組成(質量%)を、ガスクロマトグラフィーを用いて分析した。結果を反応の条件とともに表1に示す。
[実施例2〜5]
実施例1の反応装置の内、反応器を200ミリリットル四つ口フラスコに変え、供給する塩素の流量、塩素の供給量、Cl/HCFC−243faおよび反応温度をそれぞれ表1に示したように変更した。その他は、実施例1と同様の条件および操作で反応を行った。
実施例2〜5において回収した有機相の組成を、実施例1と同様にガスクロマトグラフィーを用いて分析した。結果を反応の条件とともに表1に示す
[実施例6、7]
実施例2において、HCFC−243faとともに、反応溶媒として、四塩化炭素(CCl)を表1に示す量で反応器に供給した。また、反応器に供給する塩素の流量、塩素の供給量、Cl/HCFC−243faおよび反応温度をそれぞれ表1に示したように変更した。その他は、実施例2と同様の条件および操作で反応を行った。実施例6、7において回収した有機相の組成を、実施例1と同様にガスクロマトグラフィーを用いて分析し、有機相に含まれる成分のうち、反応に関与しない反応溶媒(CCl)を除いた成分の合計を100質量%として、各成分の組成を算出した。結果を反応条件とともに表1に示す。
また、実施例1〜7における、「HCFC−243fa転化率」、「HCFC−233fb選択率」、「HCFC−233da選択率」、「HCFC−223db選択率」、「HCFC−213ab選択率」および「HCFC−233fb収率」を算出した。結果を表1の下欄に示す。「HCFC−243fa転化率」、「HCFC−233fb選択率」、「HCFC−233da選択率」、「HCFC−223db選択率」、「HCFC−213ab選択率」及び「HCFC−233fb収率」はそれぞれ以下の式で求められる。
(HCFC−243fa転化率[%])
HCFC−243faの転化率とは、原料組成物中のHCFC−243faの内、反応したHCFC−243faの割合[モル%]を意味する。
HCFC−243fa転化率[%]は、次の式で計算される。
HCFC−243fa転化率[%]={(Xa−Xb)/Xa}×100
但し、Xa=原料組成物中のHCFC−243fa[モル%]
Xb=反応生成物中のHCFC−243fa[モル%]
(HCFC−233fb収率[%])
HCFC−233fbの収率とは、反応生成物中のHCFC−243fa由来の成分のうち、HCFC−233fbの占める割合[モル%]を意味する。HCFC−233fb収率[%]は、次の式で計算される。
HCFC−233fb収率[%]={反応生成物(有機相)回収量[g]×(反応生成物中のHCFC−233fb[質量%]/HCFC−233fbの分子量}/{原料組成物の供給量[g]×(原料組成物中のHCFC―243fa[質量%]/HCFC−243faの分子量)}×100
HCFC−233fb、HCFC−223da、HCFC−233dbの選択率は、反応生成物に含まれる化合物の合計に対する、各化合物の割合[モル%]を意味し、それぞれ次の式で計算される。また、実施例では、反応生成物には、HCFC−233fb、HCFC−223da、HCFC−233db、HCFC−213ab以外の化合物が実質的に含まれないため、反応生成物に含まれるHCFC−243fa由来の化合物のうち、各化合物の割合(モル%)、すなわちHCFC−243fa由来選択率は、上記各成分の選択率とほぼ同じ値であるとみなすことができる。
(HCFC−233fb選択率[%])
HCFC−233fb選択率[%]={Z/(Z+Z+Z+Z)}×100
但し、Z=反応生成物中のHCFC−233fb[モル%]、
=反応生成物中のHCFC−223da[モル%]、
=反応生成物中のHCFC−233db[モル%]、
=反応生成物中のHCFC−213ab[モル%]。
(HCFC−233da選択率[%])
HCFC−233da選択率[%]={Z/(Z+Z+Z+Z)}×100
(HCFC−223db選択率[%])
HCFC−223db選択率[%]={Z/(Z+Z+Z+Z)}×100
(HCFC−213ab選択率[%])
HCFC−213ab選択率[%]={Z/(Z+Z+Z+Z)}×100
[比較例1]
上記で調製したHCFC−243fa含有組成物28.2gにクロロホルム(CHCl)61.74gを混合して、HCFC−243faの含有割合が55.51質量%の原料組成物Bを調製した。実施例2において、原料組成物の代わりに、原料組成物Bを用い、反応器に供給する塩素の流量、塩素の供給量、塩素/(HCFC−243fa+クロロホルム)および反応温度をそれぞれ表1に示したように変更した。その他は、実施例2と同様の条件および操作で反応を行った。結果を反応の条件とともに表1に示す。なお、比較例1において、反応粗液に含まれる四塩化炭素は、クロロホルムと塩素が反応して生成したものである。
また、比較例1における、「HCFC−243fa転化率」、「HCFC−233fb選択率」、「HCFC−233da選択率」、「HCFC−223db選択率」「HCFC−213ab選択率」および「HCFC−233fb収率」を、上記式を用いて算出した。また、「CHCl転化率」を次の式を用いて算出した。CClはCHClからのみ生成するため、CCl選択率は100%だといえる。
(CHCl転化率)
CHCl転化率={(原料組成物B中のCHCl[モル%]−反応生成物中のCHCl[モル%])/原料組成物B中のCHCl[モル%]}×100
Figure 2016079099
(表1中、「GC Area%」は上記式の「質量%」に相当する。)
表1より、HCFC−243faを60モル%以上含む原料組成物を塩素と反応させることで、HCFC−233fbを高い収率で得られたことが分かる。

Claims (7)

  1. 1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパンを60モル%以上含む原料組成物を、塩素と接触させることを特徴とする、1,1,1−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパンの製造方法。
  2. 前記原料組成物が、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパンを95モル%以上含む請求項1に記載の1,1,1−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパンの製造方法。
  3. 前記接触を、液相で行う、請求項1または2に記載の1,1,1−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパンの製造方法。
  4. 前記接触を、反応溶剤の存在下に行う、請求項1〜3のいずれか一項に記載の1,1,1−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパンの製造方法。
  5. 前記接触を、光照射下で行う請求項1〜4のいずれか一項に記載の1,1,1−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパンの製造方法。
  6. 前記接触における温度が、−10〜60℃である請求項1〜5のいずれか一項に記載の1,1,1−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパンの製造方法。
  7. 前記接触における塩素の量は、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパンの1モルに対して、0.5〜3.0モルである請求項1〜6のいずれか一項に記載の1,1,1−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパンの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112979409A (zh) * 2019-12-13 2021-06-18 浙江省化工研究院有限公司 一种气相催化氯化制备3,3,3-三氯-1,1,1-三氟丙烷的方法

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