JP2019189568A - 2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】入手が容易な原料から、安全かつ経済的でありながら、高活性な触媒を用いて、簡便な反応操作により効率よく2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)を製造する方法を提供する。【解決手段】一般式(1):CF2Cl−CFX−CH2Y(XおよびYは、一方がHであり、他方がFまたはClである。)で表される含フッ素プロパンを、フッ素化された酸化アルミニウムを含む触媒に接触させて(ただし、前記含フッ素プロパンが、一般式(1)におけるXおよびYの一方がHであり他方がClである含フッ素プロパンである場合には、フッ化水素の存在下に該触媒と接触させて)1234yfを得る、1234yfの製造方法であって、フッ素化された酸化アルミニウムのフッ素とアルミニウムの原子比であるF/Alが、0.7≦F/Al≦3.0を満たす1234yfの製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法に関する。
2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CFCF=CH、HFO−1234yf。以下、1234yfとも記す。)は、毒性が少なく、地球温暖化への影響が低い化合物であり、温室効果ガスである1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)に代わる新しい冷媒として、近年大きな期待が寄せられている。
1234yfの製造方法としては、各種原料成分を用いた種々の反応機構による方法が知られている。なかでも、入手が容易な原料から一段階の反応操作により効率よく製造できる方法として、特許文献1および特許文献2には、1−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパン(CFCl−CF−CH、HCFC−244cc。以下、「244cc」とも記す。)を気相中で、酸化クロム、フッ素化された酸化クロムおよびフッ化鉄から選ばれる触媒に接触させることで1234yfを製造する方法が記載されている。
また、特許文献3には、244ccをルイス酸触媒に接触させることで構造異性体である2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパン(HCFC−244bb)を得るとともに1234yfを製造する方法が記載されている。特許文献3では、ルイス酸触媒として、各種アルミニウム化合物、ジルコニウム化合物が記載されており、実施例では酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムを使用した例が記載されている。
特許第5348240号公報 特許第5413451号公報 国際公開第2009/148191号
しかしながら、特許文献1および特許文献2における1234yfの製造方法では、触媒としてクロム化合物を用いる場合には、六価クロムの強い毒性と、それに伴う厳しい工程管理の必要性から、安全性および経済性の点で問題であり、触媒としてフッ化鉄を用いる場合には、244ccの転化率が十分に高いものではなかった。さらに、特許文献3の製造方法において、触媒として酸化アルミニウムや酸化ジルコニウムを用いた場合には、反応温度が高い上に、244ccの転化率が低く、1234yfの選択率が十分に高いものではなかった。
本発明は上記観点からなされたものであり、入手が容易な原料から、安全かつ経済的でありながら、高活性な触媒を用いて、簡便な反応操作により効率よく1234yfを製造する方法を提供することを課題とする。
本発明は、以下に示す構成の2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)の製造方法を提供する。本明細書において、ハロゲン化炭化水素については、化合物名の後の括弧内にその化合物の略称を記し、必要に応じて化合物名に代えてその略称を用いる。また、略称として、ハイフン(−)より後ろの数字およびアルファベット小文字部分だけ(例えば、「HFO−1234yf」においては「1234yf」)を用いることがある。本明細書において、数値範囲を表す「〜」では、上下限を含む。
[1]一般式(1):CFCl−CFX−CHY(一般式(1)中、XおよびYは、一方がHであり、他方がFまたはClである。)で表される含フッ素プロパンを、フッ素化された酸化アルミニウムを含む触媒に接触させて(ただし、前記含フッ素プロパンが、一般式(1)におけるXおよびYの一方がHであり他方がClである含フッ素プロパンである場合には、フッ化水素の存在下に前記触媒と接触させて)2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)を得る、1234yfの製造方法であって、
前記フッ素化された酸化アルミニウムのフッ素とアルミニウムの原子比であるF/Alが、0.7≦F/Al≦3.0を満たす1234yfの製造方法。
[2]前記フッ素化された酸化アルミニウムのフッ素とアルミニウムの原子比であるF/Alが、1.7≦F/Al<3.0を満たす請求項[1]に記載の1234yfの製造方法。
[3]前記含フッ素プロパンが1−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパン(244cc)である[1]または[2]記載の1234yfの製造方法。
[4]前記1−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパンを前記触媒に接触させる温度が150℃以上430℃以下である[3]に記載の1234yfの製造方法。
本発明によれば、入手が容易な原料から、安全かつ経済的でありながら、高活性な触媒を用いて、簡便な反応操作により効率よく1234yfを製造できる。
本発明の製造方法の一実施形態に使用される反応装置の一例を表わす模式図である。 本発明の製造方法の別の実施形態に使用される反応装置の一例を表わす模式図である。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
[1234yfの製造方法]
本発明の1234yfの製造方法(以下、製造方法(I)ともいう。)は、一般式(1):CFCl−CFX−CHY(一般式(1)中、XおよびYは、一方がHであり、他方がFまたはClである。)で表される含フッ素プロパン(以下、含フッ素プロパン(1)ともいう。)を、フッ素化された酸化アルミニウムを含む触媒に接触させて、1234yfを得る1234yfの製造方法であって、前記フッ素化された酸化アルミニウムのフッ素とアルミニウムの原子比であるF/Alが、0.7≦F/Al≦3.0を満たすことを特徴とする。ただし、前記含フッ素プロパンが、一般式(1)におけるXおよびYの一方がHであり他方がClである含フッ素プロパンである場合には、フッ化水素の存在下に前記触媒と接触させる。
本明細書において、フッ素化された酸化アルミニウムにおけるフッ素とアルミニウムの原子比を示す「F/Al」は、蛍光X線分析(XRF)により測定される原子比である。本明細書において、0.7≦F/Al≦3.0を満たすフッ素化された酸化アルミニウムを「フッ素化アルミナ(X)」、「フッ素化アルミナ(X)」を含む触媒を「触媒(C1)」ともいう。
含フッ素プロパン(1)を触媒(C1)と接触させて生起する反応においては、主として下記式(a)で示される2段の反応により含フッ素プロパン(1)から脱XY(HClまたはHF)によりにより1233yfが生成され(式(a)中、「反応(a−1)」で示す。)、次いで1233yfの3位の塩素原子がフッ素原子に置換されて1234yfが生成する(式(a)中、「反応(a−2)」で示す。)と想定される。
Figure 2019189568
ここで、含フッ素プロパン(1)におけるXとYの組み合わせがHとFである場合、1233yf生成時に発生したHFが、1233yfのハロゲン置換反応に用いられる。しかし、含フッ素プロパン(1)におけるXとYの組み合わせが、HとClの場合、1233yf生成時にはHClが生成するのみであり、1233yfがハロゲン置換されて1234yfを生成するためには反応系にHFを導入することが必須となる。
製造方法(I)においては、含フッ素プロパン(1)と触媒を接触させて行う反応において、触媒として、F/Alが特定の範囲にあるフッ素化アルミナ(X)を含む触媒(C1)を選択することで、式(a)で示される反応を選択的に効率よく行わせることを可能としたものである。
製造方法(I)によれば、フッ素化アルミナ(X)に代表されるように触媒(C1)に含まれる金属は安全かつ経済的である。また、含フッ素プロパン(1)は入手が容易であり、該含フッ素プロパン(1)を触媒(C1)に接触させるという簡便な操作により、反応(a−1)および反応(a−2)を行うことで1234yfを製造できる。さらに、製造方法(I)によれば、後述の実施例に示されるとおり、含フッ素プロパン(1)の転化率および、1234yfの選択率はともに工業上利用可能な程度からそれ以上の数値を示す。また、1233yfと1234yfの選択率の合計が高く、触媒を用いた含フッ素プロパン(1)の反応において、式(a)の反応が選択的に行われることの裏付けになっている。
ここで、触媒(C1)、より具体的には、フッ素化アルミナ(X)は、含フッ素プロパン(1)から脱XYにより、すなわち脱HClまたは脱HFにより、1233yfが生成する反応(a−1)を特に選択的かつ効率的に生起させる触媒である。反応(a−1)が選択的かつ効率的に行われれば、含フッ素プロパン(1)からその異性体、例えば244ccから2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパン(HCFC−244bb)、が得られるような副反応を抑制し、1233yfが選択的に生成される。生成された1233yfは反応(a−2)によりハロゲン置換されて1234yfとなる。このようにして、1233yfと1234yfの選択率の合計が高くなる。
式(a)に示される2段の反応を効率よく行うためには、まず、反応(a−1)を促進することが必須であり、そのために製造方法(I)においては触媒(C1)、より具体的には、フッ素化アルミナ(X)を使用する。製造方法(I)においては、触媒(C1)の使用に加えて、さらに、反応(a−2)を効率的に行うために、好ましくは、金属酸化物、金属酸化物の部分ハロゲン化物および金属ハロゲン化物から選ばれる少なくとも1種からなる金属化合物を含む触媒(以下、「触媒(C2)」ともいう。)を組み合わせて用いる。
具体的には、製造方法(I)においては、含フッ素プロパン(1)を触媒(C1)と接触させて(以下、第1の接触工程)反応生成物を得て、得られた反応生成物を触媒(C2)と接触させる(以下、第2の接触工程)ことが好ましい。すなわち、製造方法(I)は、少なくとも第1の接触工程を有し、第1の接触工程に次いで第2の接触工程を有することが好ましい。第1の接触工程と第2の接触工程を有する場合には、含フッ素プロパン(1)から1234yfを得る製造方法(I)において、反応(a−1)および反応(a−2)のそれぞれに好ましい触媒を組み合わせて用いることが可能となる。
なお、含フッ素プロパン(1)を触媒(C1)と接触させる第1の接触工程で得られる反応生成物(以下、反応生成物(11)という。)は、未反応の含フッ素プロパン(1)、式(a)による生成物である1233yf、XY、1234yf、HClを含む。第2の接触工程では、第1の接触工程で得られる反応生成物(11)を触媒(C2)と接触させる。
反応生成物(11)が触媒(C2)と接触する第2の接触工程では、反応生成物(11)に含まれる1234yfが反応せずに1233yfが1234yfとなる反応(a−2)のみが触媒(C2)により促進されることが好ましい。そうすれば、反応生成物(11)が触媒(C2)と接触した後に得られる、製造方法(I)における最終的な反応生成物において、1234yfの含有量は高く、含フッ素プロパン(1)からの1234yfの選択率も高い。
ここで、製造方法(I)において1234yfの選択率が若干低い場合においても、1233yfと1234yfの選択率の合計が高ければ、高選択率で得られた1233yfを、さらに触媒(C2)を用いて効率よく反応させることで1234yfを効率よく製造できる。
上記のとおり製造方法(I)において、含フッ素プロパン(1)におけるXとYの組み合わせがHとFである場合、特に反応系にHFを導入しなくとも、触媒(C1)を用いることで1234yfを効率よく製造できる。なお、この場合においても、反応系にHFを導入しながら1234yfの製造を行ってもよい。
含フッ素プロパン(1)は、具体的には、一般式(1)においてXがFでありYがHである244cc、XがHでありYがFである1−クロロ−1,1,2,3−テトラフルオロプロパン(HCFC−244ec。以下、244ecとも記す。)、XがClでありYがHである1,2−ジクロロ−1,1,2−トリフルオロプロパン(HCFC−243bc。以下、243bcとも記す。)、XがHでありYがClである1,3−ジクロロ−1,1,2−トリフルオロプロパン(HCFC−243ec。以下、243ecとも記す。)の4種類の化合物である。製造方法(I)に用いる含フッ素プロパン(1)は、これらの1種でもよく、2種以上であってもよい。
上記4種の化合物のうち、製造方法(I)においては、1234yfの生産性、化合物自体の入手容易性等の点で244ccが好ましい。以下、含フッ素プロパン(1)として244ccを用いた1234yfの製造を例にして、本発明の製造方法(I)を説明する。
反応(a)において、含フッ素プロパン(1)を244ccにした場合の反応式(a1)を以下に示す。
Figure 2019189568
反応(a1)においては、反応(a−1)において1233yf生成時に244ccから脱HFしたHFが、反応(a−2)において1233yfのハロゲン置換反応に用いられる。したがって、式(a1)で示される反応においては、特に反応系にHFを導入しなくとも、以下に説明するとおり触媒(C1)を用いることで1234yfを効率よく製造できる。なお、この場合においても、反応系にHFを導入しながら1234yfの製造を行ってもよい。
(244cc)
製造方法(I)の原料として用いる244ccは、公知の方法により製造できる。244ccの入手方法は特に限定されず、例えば、以下の方法(A)または方法(B)によって製造できる。
方法(A):テトラフルオロエチレン(TFE)と、CCl、CHClおよびCHClから選ばれる少なくとも1種とを反応させて、一般式(2):CFCl−CF−CClAB(一般式(2)中、AとBは互いに独立してHまたはClである。)で表される化合物(以下、化合物(2)ともいう。)を得る第1の工程と、前記第1の工程で得られた前記一般式(2)で表される化合物を水素化させて、244ccを得る第2の工程を有する方法。
方法(B):TFEとCHClを反応させて、244ccを得る第3の工程を有する方法。
方法(A)では、第1の工程において、TFEと、CCl、CHClおよびCHClから選ばれる少なくとも1種を、例えば、塩化アルミニウムなどのルイス酸触媒の存在下で反応させて、化合物(2)として、一般式(2)においてA、BがともにClである1,3,3,3−テトラクロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパン(CFC−214cb。以下、214cbともいう。)、AとBがClとHの組み合わせである1,3,3−トリクロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパン(HCFC−224ca。以下、224caともいう。)、A、BがともにHである1,3−ジクロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパン(HCFC−234cc。以下、234ccともいう。)の少なくとも1種を得る。
次いで、第2の工程において、214cb、224caおよび234ccから選ばれる少なくとも1種を、例えば、パラジウム触媒の存在下で水素と反応させて、244ccを含む反応生成物を得る。なお、方法(A)で得られる244ccを含む反応生成物中には、244ccの他に、製造原料であるTFE、214cb、224ca、234cc、CCl、CHCl、CHCl、製造過程で副生する副生物等が含まれる。
方法(B)では、TFEとCHClを上記同様にルイス酸触媒の存在下で、温度、圧力、原料供給比等の反応条件を適宜調整し反応させて、244ccを含む反応生成物を得る。方法(B)で得られる244ccを含む反応生成物中には、244ccの他、製造原料であるTFE、CHCl、製造工程で副生する副生物等が含まれる。
製造方法(I)に用いる244ccとしては、蒸留、抽出蒸留、共沸蒸留、膜分離、二層分離、吸着等の公知の精製工程により244ccの純度を高めたものを用いてもよく、例えば、上記で得られる反応生成物のような、244ccと244cc以外の成分(不純物)を含む組成物を用いてもよい。ただし、後者の組成物を用いる場合においては、不純物が製造方法(I)における反応に活性な不純物である場合には、予め除去しておく、または反応に影響を及ぼさない程度まで含有量を低減させておく、のが好ましい。
例えば、244ccと244cc以外の成分(不純物)を含む組成物において、不純物として水を含有する場合、カールフィッシャー電量滴定法により測定される組成物全量に対する水分含有量を0〜5000ppmの範囲とするのが好ましく、0〜1000ppmがより好ましく、0〜100ppmが好ましい。
(触媒(C1)および触媒(C2))
製造方法(I)においては、上記の方法等で入手した含フッ素プロパン(1)としての244ccを触媒(C1)と接触させる第1の接触工程により1234yfを得る。製造方法(I)においては、好ましくは、244ccを触媒(C1)と接触させる第1の接触工程の後に、第1の接触工程で得られた反応生成物(11)を触媒(C2)と接触させる第2の接触工程を経て1234yfを得る。
触媒(C1)は、フッ素化アルミナ(X)を含み、含フッ素プロパン(1)から1234yfを生成する反応、具体的には上記式(a)で表される反応、特には反応(a−1)の反応性を向上させ、該反応を促進する。触媒(C1)、より具体的には、フッ素化アルミナ(X)を用いることで、1234yfの製造効率を向上させることができる。
フッ素化アルミナ(X)は、酸化アルミニウムをフッ素化して、F/Alを0.7以上3.0以下としたものである。F/Alが該範囲にあることで、フッ素化アルミナ(X)は、式(a)で示される反応、特に反応(a−1)を選択的に効率よく行わせることが可能である。すなわち、反応温度を低く、例えば、特許文献3の方法よりも低く設定しつつ、含フッ素プロパン(1)の転化率および1233yfと1234yfの選択率の合計を高くできる。また、1234yfの選択率を工業上利用可能な程度以上とできる。
フッ素化アルミナ(X)におけるF/Alは、より低い反応温度で含フッ素プロパン(1)の転化率および1233yfと1234yfの選択率の合計を高くできる点から、0.7以上が好ましく、1.7以上がより好ましく、2.2以上が特に好ましい。フッ素化アルミナ(X)におけるF/Alは、製造容易性の点から3.0未満が好ましく、2.99以下がより好ましい。フッ素化アルミナ(X)におけるF/Alは、1.7以上3.0未満が好ましく、2.2以上2.99以下がより好ましい。
フッ素化アルミナ(X)は、Al、F、O以外の元素(以下、「その他の元素」という。)を含んでいてもよい。その他の元素としては、Al以外の金属元素(以下、「金属元素(M)」ともいう。)、F以外のハロゲン元素(以下、「ハロゲン元素(Y1)」ともいう。)等が挙げられる。フッ素化アルミナ(X)は、原料の酸化アルミニウムを、得られるフッ素化アルミナ(X)においてF/Alが0.7以上3.0以下となるようにフッ素化して得られる。すなわち、本発明において、フッ素化とは、原料の酸化アルミニウムの酸素原子の一部または全部がフッ素原子に置換されることをいう。以下、フッ素化する操作をフッ素化処理といい、フッ素化処理に用いる処理剤をフッ素化処理剤という。
ここで、金属元素(M)は、典型的には、フッ素化に用いる原料の酸化アルミニウム(以下、「原料酸化アルミニウム」ともいう。)が含有することで、フッ素化アルミナ(X)に持ち込まれる。ハロゲン元素(Y1)は、典型的には、フッ素化に用いるフッ素化処理剤に含まれることで、フッ素化アルミナ(X)に持ち込まれる。
原料酸化アルミニウムが含有してもよい金属元素(M)としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Si等が挙げられる。なお、原料酸化アルミニウムは、Crを実質的に含まない。アルカリ金属として、具体的には、Li、Na、K、Csが、アルカリ土類金属として、具体的には、Mg、Ca、Sr、Baが挙げられる。
原料酸化アルミニウムが金属元素(M)を含む場合、金属元素(M)は1種でもよく2種以上でもよい。原料酸化アルミニウムにおける金属元素(M)の合計の含有量は、1233yfと1234yfの選択率の合計を高くできるという観点から、Alに対するモル%で、0〜50%が好ましく、0〜20%がより好ましく、0〜10%がさらに好ましく、実質的に含有しないのが最も好ましい。本明細書において、「実質的に含有しない」とは、積極的には含有させないが、不可避不純物による混入を許容することを意味する。
一方で、原料酸化アルミニウムに金属元素(M)を加えることでフッ素化アルミナの触媒活性を制御することが可能である。より具体的には金属元素(M)の添加により、同一反応条件における転化率や選択率を変更することが可能である。この場合、通常、金属元素(M)は、金属元素(M)の酸化物として、原料酸化アルミニウムに添加される。1234yfの選択率を高くできるという観点から、金属元素(M)としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Si等から選ばれる1種以上が好ましく、原料酸化アルミニウムにおける金属元素(M)の合計の含有量は、Alに対するモル%で、0.1〜50%が好ましく、1〜20%がより好ましく、2〜10%がさらに好ましい。
原料酸化アルミニウムが金属元素(M)を含む場合、原料酸化アルミニウムにおけるAlに対する金属元素(M)の割合は、フッ素化して得られるフッ素化アルミナ(X)においても変わらない。なお、フッ素化アルミナ(X)が、金属元素(M)を含む場合、F/Alは、Alと金属元素(M)の価数とモル比に応じて各金属にFを割り振った後のF/Alとして算出される。
例えば、AlMgO2.5(Al/Mg=1/1(モル比))の組成の原料酸化アルミニウムをフッ素化して、AlMgFOの組成のフッ素化アルミナ(X)を得た場合、Alは3価、Mgは2価であり、モル比はAl/Mg=1/1のため、Fの3個を3:2で割り振って、Alに対してはFが1.8となり、F/Al=1.8と算出する。
ハロゲン元素(Y1)としては、Cl、Br、I等が挙げられる。フッ素化アルミナ(X)がハロゲン元素(Y1)を含む場合、ハロゲン元素(Y1)は1種でもよく2種以上でもよい。フッ素化アルミナ(X)における、ハロゲン元素(Y1)の合計の含有量は、Fに対するモル%で、0〜50%が好ましく、0〜10%がより好ましく、実質的に含有しないのが最も好ましい。なお、フッ素化アルミナ(X)が、ハロゲン元素(Y1)を含む場合、F/Alは、Fとハロゲン元素(Y1)にAlを割り振った後のF/Alとして算出される。
また、フッ素化アルミナ(X)が、金属元素(M)およびハロゲン元素(Y1)の両方を含む場合においても、F/Alは上記の算出方法を組み合わせて算出できる。
原料酸化アルミニウムをフッ素化してフッ素化アルミナ(X)を得る方法としては、加熱下または非加熱下で原料酸化アルミニウムをフッ素化処理剤と接触させる方法が挙げられる。原料酸化アルミニウムとしては、上記組成の酸化アルミニウムが挙げられる。原料酸化アルミニウムの結晶構造は特に限定されないが、γ、δ、θ、η、χ、κが好ましく、γ、ηが特に好ましい。
原料酸化アルミニウムの形態は、粉末状、ペレット状、粒状等が挙げられ、そのいずれであってもよい。反応効率を向上させる観点からペレット状や粒状が好ましい。ペレット状の酸化アルミニウムは、粉末状に解砕された酸化アルミニウムを、打錠機などにより成形して得られる。ペレットの形状は問わないが、例えば、円柱状、リング状、球状、板状等が挙げられ、製造の容易さからから円柱状、球状が好ましい。円柱状の場合、例えば、直径3.0mm程度、高さ4.0mm程度であればよい。原料酸化アルミニウムをペレット状に成形する場合、必要に応じて、カーボン、セルロースなどのバインダーを、原料酸化アルミニウムの100質量部に対して100質量部以下、好ましくは50質量部以下、より好ましくは10質量部以下で混合してもよい。また、原料酸化アルミニウムの比表面積は、10〜400m/gが好ましく、50〜400m/gがより好ましい。なお、本明細書において、比表面積はBET法で測定される値である。
フッ素化処理剤としては、例えば、フッ化水素、フッ素、含フッ素炭化水素、パーハロゲン化カーボン(ただし、フッ素原子を含む。)などを用いることができる。フッ素化処理剤としては1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、フッ素化処理剤としては、フッ化水素、パーハロゲン化カーボン(ただし、フッ素原子を含む。)、含フッ素炭化水素を用いることが好ましい。
フッ素化処理剤として用いるパーハロゲン化カーボン(ただし、フッ素原子を含む。)としては、例えば、トリクロロフルオロメタン(CFC−11)、ジクロロジフルオロメタン(CFC−12)、クロロトリフルオロメタン(CFC−13)、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)等が好適である。含フッ素炭化水素としては、例えば、ジクロロフルオロメタン(HCFC−21)、クロロジフルオロメタン(HCFC−22)、トリフルオロメタン(HFC−23)が好適である。これらのなかでも、HCFC−22、HFC−23、フッ化水素がより好ましく、HCFC−22、HFC−23が特に好ましい。また、本発明の製造方法において、原料である244cc等の含フッ素プロパン(1)をフッ素化処理剤として用いてもよい。
原料酸化アルミニウムのフッ素化処理において、原料酸化アルミニウムとフッ素化処理剤と接触は、容器内で行われる。該容器は、例えば、含フッ素プロパン(1)を式(a)の反応に供する反応器であってよい。すなわち、反応器に原料酸化アルミニウムを収容し、該反応器にフッ素化処理剤を導入してフッ素化処理を行うことで、フッ素化アルミナ(X)を調製してもよい。原料酸化アルミニウムは、反応器に収容される前にフッ素化処理が行われていてもよいが、操作が簡便で作業効率が良いため、反応器に収容した状態でフッ素化処理を行うことが好ましい。
なお、上記においてフッ素化処理はF/Alがフッ素化アルミナ(X)の範囲となるように行われる。具体的には、上記接触させる原料酸化アルミニウムとフッ素化処理剤の割合(反応器内の滞留時間)、接触温度を調整する。フッ素化処理剤の反応器内の滞留時間は、0.1〜1000秒が好ましく、1〜100秒がより好ましい。また、フッ素化処理剤は希釈ガスとともに反応器に導入してもよい。希釈ガスとしては、窒素、二酸化炭素、希ガス(ヘリウムなど)、フッ素化処理剤に不活性な有機化合物のガス等が挙げられる。不活性な有機化合物としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の飽和炭化水素が挙げられる。希釈ガスは1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
上記フッ素化処理における、接触温度の調整は反応器内の温度を調整することで行う。接触温度、すなわち、反応器内の温度は50〜500℃が好ましく、300〜500℃がより好ましく、350〜450℃が特に好ましい。反応器内の温度の調整は反応器を加熱することで行う。この際、フッ素化処理剤は、常温のまま反応器に導入してもよいが、反応器内の温度を一定に保持する観点から、反応器に導入する際に加熱等により温度調節を行うことが好ましい。
なお、触媒(C1)における水分含有量を後述のとおり少なくする観点から、例えば、フッ素化アルミナ(X)を製造する際に、予め反応器内で原料酸化アルミニウムから水分の除去、すなわち、乾燥を行うことが好ましい。これにより、その後のフッ素化処理が効率よく行えるとともに、得られるフッ素化アルミナ(X)、さらには触媒(C1)における水分含有量を後述の範囲に調整できる。
このようにして得られるフッ素化アルミナ(X)においては、原料酸化アルミニウムの形態および形状がそのまま維持される。原料酸化アルミニウムの比表面積はフッ素化処理により低下する。フッ素化後の比表面積は、10〜150m/g程度であることが好ましいが、この範囲に限定されるものではない。
触媒(C1)は、フッ素化アルミナ(X)を含有する。触媒(C1)は、本発明の効果を損なわない範囲で、フッ素化アルミナ(X)に加えて、他の触媒を含有してもよい。触媒(C1)における、以下の不純物を除く触媒のみの全量に対するフッ素化アルミナ(X)の含有量は、50〜100質量%が好ましく、85〜100質量%が好ましく、100質量%が好ましい。
触媒(C1)がフッ素化アルミナ(X)以外に含有する他の触媒としては、例えば、触媒(C2)が含有する金属酸化物、金属酸化物の部分ハロゲン化物および金属ハロゲン化物から選ばれる少なくとも1種からなる金属化合物やその他触媒が挙げられる。製造工程を少なくするという観点からは、触媒(C1)にフッ素化アルミナ(X)と触媒(C2)をともに含有させ、反応(a−1)と反応(a−2)を1工程で行うことが好ましい。なお、触媒(C1)は、本発明の効果を損なわない範囲で、触媒以外の不純物を含有していてもよい。
触媒(C1)がフッ素化アルミナ(X)と、他の触媒、例えば、触媒(C2)を含有する場合には、フッ素化アルミナ(X)と他の触媒の形態や形状は同様であるのが好ましい。なお、フッ素化アルミナ(X)と他の触媒を粉末の形態で準備し、混合した混合粉末を上記と同様のペレット状に成形して用いてもよい。
触媒(C1)は、反応性を向上させるために、あらかじめ不活性雰囲気中、例えば窒素気流中で乾燥されていることが好ましい。触媒(C1)が乾燥される場合、操作の簡便化および作業効率の向上の点からは、触媒(C1)は、例えば気相で反応を行う場合には、反応器内に収容した状態で、上記同様に乾燥されてもよい。
また、触媒(C1)に対しては、再活性化処理を行うことができる。すなわち、触媒(C1)の活性が低下し、含フッ素プロパン(1)の転化率が低下したときには、触媒(C1)を再活性化処理することができる。これにより、触媒(C1)の活性を再生させて触媒(C1)を再利用することができる。
触媒(C1)の活性が低下する要因の一つとしては、フッ素化アルミナ(X)におけるF/Alが低下することが考えられる。したがって、触媒(C1)の再活性化処理としては、フッ素化アルミナ(X)のフッ素化処理と同様の方法が適用される。具体的には、フッ素化処理と同様に、触媒(C1)を加熱下または非加熱下でフッ素化処理剤と接触させる方法が挙げられる。
また、再活性化処理のための処理剤(再活性化処理剤)としては、フッ素化処理剤の他に、酸素、塩素、塩化水素等を用いることができる。これにより、フッ素化アルミナ(X)におけるF/Alの低下以外に起因して低下した触媒(C1)の活性を再生することが可能となる。さらに、再活性化処理において、副反応の抑制および触媒の耐久性向上等の点から、再活性化処理剤を希釈するために窒素、二酸化炭素、希ガス(ヘリウムなど)の不活性ガスを用いることができる。
また、再活性化処理剤を含フッ素プロパン(1)とともに触媒層に接触させることで、反応系内で触媒(C1)を再活性化し、触媒(C1)の活性の低下を抑制することができる。再活性化処理剤の供給量は、反応器に供給される含フッ素プロパン(1)に対して(ただし、含フッ素プロパン(1)を含む組成物を原料として用いる場合には該組成物に対して)0.001〜1000モル%が好ましい。触媒(C1)の再活性化効果を高める観点から、0.01モル%以上がより好ましく、0.05%以上がさらに好ましく、0.1%以上が特に好ましい。反応器の容積効率を向上し、また再活性化処理剤由来の不純物を低減する観点から、100モル%以下がより好ましく、10モル%以下がさらに好ましく、1モル%以下が特に好ましい。
触媒(C2)は、金属酸化物、金属酸化物の部分ハロゲン化物および金属ハロゲン化物から選ばれる少なくとも1種からなる金属化合物を含み、製造方法(I)において、第2の接触工程に用いられる。触媒(C2)は、上記式(a)で表される反応のうち反応(a−2)の反応性を向上させ、該反応を促進する。製造方法(I)においては、触媒(C1)を用いた第1の接触工程に加えて、第1の接触工程後に、触媒(C2)を用いた第2の接触工程を有することで、1234yfの製造効率をより向上させることができる。
触媒(C2)における、金属酸化物としては、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化マンガン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化銅、酸化パラジウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等が挙げられ、酸化アルミニウム、酸化コバルト、酸化カルシウムが好ましい。
触媒(C2)における、金属酸化物の部分ハロゲン化物の金属酸化物としては、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化マンガン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化銅、酸化パラジウム、酸化マグネシウム等が挙げられる。金属酸化物の部分ハロゲン化物のハロゲンとしては、フッ素、塩素等が挙げられる。金属酸化物の部分ハロゲン化物としては、金属酸化物が、部分的にフッ素化された金属酸化物の部分フッ化物であることが好ましく、酸化カルシウムの部分フッ素化物、酸化アルミニウムの部分フッ素化物、および酸化コバルトの部分フッ素化物が特に好ましく、酸化カルシウムの部分フッ素化物が最も好ましい。この場合、金属酸化物の部分フッ化物は、フッ素以外のハロゲンを含んでいてよい。
なお、金属酸化物の部分ハロゲン化は、例えば、上記フッ素化アルミナ(X)の製造において、原料酸化アルミニウムを金属酸化物に変更し、フッ素化処理剤をハロゲン化処理剤に変更することにより、実行できる。ただし、部分ハロゲン化は、金属酸化物の酸素を全てハロゲン化する場合を含まない。すなわち、金属酸化物の部分ハロゲン化物とは酸素原子の一部がハロゲン原子で置き換わった化合物である。金属原子、酸素原子、ハロゲン原子の割合は適宜調整される。ハロゲン化処理剤としては、上に例示したフッ素化処理剤の他に、四塩化炭素等のフッ素原子を含まないパーハロゲン化カーボン等が挙げられる。
触媒(C2)における、金属ハロゲン化物の金属としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウムおよびチタン、ジルコニウム、バナジウム、マンガン、亜鉛、鉄、コバルト、ニッケル、銅、パラジウムから選ばれる少なくとも1種の金属が好ましい。ハロゲンとしては、フッ素、塩素が好ましく、フッ素と塩素両方を含んでいてもよい。触媒(C2)における、金属ハロゲン化物としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウムおよびジルコニウムから選ばれる少なくとも1種の金属のフッ化物または鉄、コバルト、ニッケル、銅、パラジウムから選ばれる少なくとも1種の金属の塩化物または鉄、コバルト、ニッケル、銅、パラジウムから選ばれる少なくとも1種の金属の塩化物の部分フッ素化物がより好ましく、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム、塩化コバルトおよび塩化コバルトの部分フッ素化物が特に好ましく、フッ化カルシウムおよび塩化コバルトが最も好ましい。
触媒(C2)が含有する金属化合物は、1種のみからなってもよく、2種以上からなってもよい。触媒(C2)は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記金属化合物物以外の触媒や不純物等を含んでもよい。
触媒(C2)、例えば、触媒(C1)と同様に、粉末状、ペレット状、粒状の形態で用いられる。触媒(C2)は、反応性を向上させるために、粉末状に解砕した後、打錠機などによりペレット状として使用するのが好ましい。ペレットの形状、大きさ等は、触媒(C1)と同様にできる。
なお、触媒(C2)をペレット状に成形する場合、必要に応じて、カーボン、セルロース、アルミナ、シリカなどのバインダーを、触媒(C2)の100質量部に対して100質量部以下、好ましくは50質量部以下、より好ましくは10質量部以下で混合してもよい。
触媒(C2)または触媒(C2)を含むペレットにおいて、例えば上記バインダーを用いない場合、金属酸化物触媒および金属酸化物の部分ハロゲン化物触媒の比表面積は10〜400m/gが好ましく、金属ハロゲン化物触媒の比表面積は3〜300m/gが好ましい。上記バインダーを用いる場合は、バインダーの比表面積にも依存するため一概には言えないが、例えば高比表面積のカーボンバインダーを用いた場合、触媒(C2)とカーボンバインダーの混合物における比表面積は20〜1200m/g程度が好ましい。
触媒(C2)は、担体に担持して使用されてもよい。担体としては、活性炭、カーボンブラック、カーボンファイバー等のカーボン材料、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物等の酸化物材料等が挙げられるが、活性炭、アルミナ、シリカ、ジルコニア、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物が好ましい。これらの中でも、比表面積が大きく、触媒を担持させやすいことから、活性炭、アルミナ、ジルコニアが特に好ましい。
触媒(C2)は、反応性を向上させるために、あらかじめ不活性雰囲気中、例えば窒素気流中で乾燥されていることが好ましい。具体的には、触媒(C1)の場合と同様な乾燥方法が適用できる。
また、触媒(C2)においても、触媒(C2)の活性が落ちた場合に、触媒(C1)の場合と同様に再活性化処理により、触媒(C2)の活性を再生させて触媒(C2)を再利用することができる。
(製造方法(I)による1234yfの製造)
<第1の接触工程>
製造方法(I)において、含フッ素プロパン(1)である244ccを、触媒(C1)と接触させる方法としては、244ccと触媒(C1)を、反応器内で接触させる方法が挙げられる。触媒(C1)は反応器に充填して触媒層を形成して用いることが好ましい。244ccを、フッ化水素の存在下で触媒(C1)と接触させる方法は、244ccと触媒(C1)を接触させる反応器内にフッ化水素を供給して行うことができる。
なお、製造方法(I)において、含フッ素プロパン(1)として、244ccおよび/または244ecを用いる場合は、上記のとおり反応器へのフッ化水素の供給は必須ではない。すなわち、特に反応系にHFを導入しなくとも、触媒(C1)を用いることで1234yfを効率よく製造できる。ただし、この場合に、反応系にHFを導入しながら1234yfの製造を行ってもよい。また、含フッ素プロパン(1)として、243bcおよび/または243ecを用いる場合は、上記のとおり反応器へのフッ化水素の供給を必須とする。
244ccと触媒(C1)の接触は、液相で行ってもよいし、気相で行ってもよい。気相での反応は、反応時間を短くすることができ、副生物の生成を抑制できるといった利点があるため、好ましい。
製造方法(I)は、バッチ方式、連続方式のどちらの方法でも行うことができる。製造方法(I)は、製造効率の点で連続式の方法であるのが好ましい。
製造方法(I)を気相で行う場合、触媒(C1)を収容した反応器内に、244ccを所定の時間通流させる方法で行うことができる。この場合、副反応の抑制、244ccの反応器への供給のしやすさ、流量の調整のしやすさの点から、244ccとともに、希釈ガスを反応器に供給することが好ましい。また、希釈ガスを用いることで触媒の耐久性を向上させるという利点もある。
希釈ガスとしては、窒素、二酸化炭素、希ガス(ヘリウムなど)、本実施形態の反応において不活性な有機化合物のガス等が挙げられる。不活性な有機化合物としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の飽和炭化水素が挙げられる。希釈ガスの量は、特に制限されないが、具体的には、反応器に供給される244ccに対して(ただし、244ccを含む組成物を原料として用いる場合には該組成物に対して)1〜10000モル%、好ましくは10〜1000モル%、さらに好ましくは30〜500モル%の量が挙げられる。希釈ガスは1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
製造方法(I)において、244ccは、予熱した後に反応器に導入されてもよい。この際の予熱温度は、244ccを気化させ、反応性を向上させる点から、20〜500℃であることが好ましく、50〜400℃であることが好ましい。
また、希釈ガスを用いる場合、244ccと希釈ガスは、反応性を向上させる点から、上記した好ましい温度に予熱してから反応器に導入されてもよい。244ccと希釈ガスは、それぞれ上記温度に予熱してから混合し、その後反応器に供給してもよいし、244ccと希釈ガスを混合した後、予熱して反応器に供給してもよい。
製造方法(I)において、244ccと触媒(C1)との接触を気相で行う場合、反応圧力の条件については、減圧下でも加圧下でもよい。製造方法(I)を気相で行う場合の反応圧力は、工業的な実施のしやすさの点から、減圧、常圧、もしくは1.0MPa以下の微加圧が好ましい。
244ccと触媒(C1)の接触温度(反応温度)は、用いるフッ素化アルミナ(X)のF/Alにもよるが、反応器内の温度として、150℃以上500℃以下が好ましく、150℃以上430℃以下が好ましく、200℃以上370℃以下がより好ましく、230℃以上320℃以下が特に好ましい。反応温度が下限値以上であれば、1234yfの生成反応を効率的に進行させることができる。一方、反応温度が上限値以下であれば、副生物の生成を抑えることができる。
製造方法(I)において、反応器内での244ccと触媒(C1)の接触時間(反応時間)は、0.1〜1000秒間が好ましく、1〜100秒間がより好ましい。接触時間は、244ccの反応器内での滞留時間に相当し、244ccの反応器への供給量(流量)を調節することで制御できる。
製造方法(I)において、反応器にフッ化水素を供給する場合、フッ化水素の供給量は244ccの1モルに対して0.01〜10モルが好ましく、0.1〜1モルが特に好ましい。フッ化水素は、反応器への供給に際して上記した244ccの好ましい温度に予熱されてもよい。また、フッ化水素は予め乾燥して無水状態にして反応器に供給する。
なお、含フッ素プロパン(1)として244ecを用いる場合、フッ化水素の供給量は、244ccの場合と同様であり、含フッ素プロパン(1)として、243bcおよび/または243ecを用いる場合は、フッ化水素の供給量は、243bcおよび/または243ecの1モルに対して0.01〜20モルが好ましく、1〜5モルが特に好ましい。
<第2の接触工程>
製造方法(I)において、第1の接触工程で得られた反応生成物(11)を触媒(C2)と接触させる方法としては、反応生成物(11)と触媒(C2)を、反応器内で接触させる方法が挙げられる。触媒(C2)は反応器に充填して触媒層を形成して用いることが好ましい。フッ化水素の存在下で第2の接触工程を行う場合には反応生成物(11)と触媒(C2)を接触させる反応器内にフッ化水素を供給して行うことができる。
反応器を用いて第2の接触工程を行う方法として、具体的には、上記第1の接触工程において、触媒(C1)を触媒(C2)に代え、さらに含フッ素プロパン(1)としての244ccを反応器に供給するかわりに反応生成物(11)を供給する方法が挙げられる。反応生成物(11)の予熱温度、希釈ガスを用いる場合の種類、供給方法、予熱温度、反応器内の反応圧力、反応生成物(11)と触媒(C2)の接触時間(反応時間)、接触温度(反応温度)についても上記第1の接触工程の条件と同様にできる。
製造方法(I)が第1の接触工程と第2の接触工程を有する場合、例えば、供給口と排出口を有し触媒(C1)を充填した触媒層を有する第1の反応器の排出口と、供給口と排出口を有し触媒(C2)を充填した触媒層を有する第2の反応器の供給口を連結して用いてもよい。その場合、第1の反応器の供給口から244ccを供給することで、244ccが触媒(C1)の触媒層を通流し、得られた反応生成物(11)が連続的に第2の反応器内で触媒(C2)の触媒層を通流して、第2の反応器の排出口から1234yfの含有量の高い反応生成物が得られる。
また、例えば、供給口と排出口を有する1つの反応器内の上流側に触媒(C1)を充填した触媒層を設け、下流側に触媒(C2)を充填した充填層を設けて、1つの反応器内で第1の接触工程と第2の接触工程を連続的に行ってもよい。
なお、製造方法(I)が第1の接触工程と第2の接触工程を有する場合に、反応器にフッ化水素を供給する場合には、第2の接触工程においてのみフッ化水素を供給するのが好ましい。
(反応器)
製造方法(I)に用いられる反応器としては、上記した反応器内の温度および圧力に耐えるものであれば、特に限定されず、例えば、ガラスフラスコやオートクレーブ、円筒状の縦型反応器を用いることができる。反応器の材質としては、ガラス、鉄、ニッケルまたは鉄、ニッケルを主成分とする合金等が用いられる。また、反応器は、反応器内を加熱する電気ヒータ等を備えていてもよい。
(反応装置)
製造方法(I)に使用される反応装置の一例を、図1に示す。図1に示す反応装置20は、電気ヒータ等の加熱手段を備えた反応器1を有する。反応器1は内部に触媒(C1)を充填した触媒層2を有する。図1に示す反応装置に20では、含フッ素プロパン(1)である244ccを、触媒(C1)と接触させる第1の接触工程のみを有する製造方法(I)が実行可能である。
反応器1には、244cc(図1中、「原料」で表示)の供給ライン3および希釈ガスの供給ライン4が以下のように接続されている。なお、反応器1における加熱手段および希釈ガスの供給ライン4の設置は必須ではなく、必要に応じて設けられる。
244ccの供給ライン3および希釈ガスの供給ライン4には、それぞれ電気ヒータ等を備えた予熱器(図示せず)が設置されていてもよい。この場合には、244ccおよび希釈ガスがそれぞれ予熱器によって所定の温度に予熱されてから反応器1に供給される。
244ccの供給ライン3および希釈ガスの供給ライン4は、それぞれ別々に反応器1に接続されていてもよいが、図1に示すように、244ccの供給ライン3および希釈ガスの供給ライン4を連結し、244cc・希釈ガス供給ライン5によって反応器1と接続することで、全ての成分が混合されたものが、反応器1に供給されるように構成してもよい。244ccの供給ライン3または希釈ガスの供給ライン4が予熱器を備える場合、当該予熱器を経た後の244ccの供給ライン3または希釈ガスの供給ライン4を連結し、244cc・希釈ガス供給ライン5によって反応器1と接続すればよい。
反応器1にフッ化水素を供給して製造方法(I)を行う場合、フッ化水素の供給ラインを、244ccの供給ライン3および希釈ガスの供給ライン4とは別に設けてもよいが、例えば、希釈ガスの供給ライン4をフッ化水素の供給に用いてもよい。具体的には、反応の初期には供給ライン4を用いて希釈ガスを供給し所定の時間が経過した後、希釈ガスの供給をフッ化水素と希釈ガスの混合物の供給に切り替える等の方法が挙げられる。
反応器1の出口には、出口ライン6が接続されている。なお、図示されていないが、出口ライン6から反応により得られた反応生成物(以下、「粗ガス」ともいう。)を取り出し、これに含まれる各成分をガスクロマトグラフィ(GC)のような分析装置により分析・定量する構成にしてもよい。出口ライン6には、水冷器のような冷却手段7が設置され、さらに、蒸気および酸性液回収槽8、アルカリ洗浄装置9および脱水塔10が順に設置されている。反応後の粗ガスは出口ライン6から脱水塔10までの各装置を順に通過することで、水洗・アルカリ洗・脱水が施され、酸分・水分および吸着性の強い成分が除去された出口ガスとして脱水塔10の出口より得られる。
(出口ガス成分)
含フッ素プロパン(1)として244ccを用いた製造方法(I)においては、最終目的物である1234yfおよび中間生成物である1233yfおよび副生成物として、ペンタフルオロプロパン(CF−CF−CH、HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(CF−CCl=CH、HCFO−1233xf)、1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(Z)(CF−CF=CHCl、HCFO−1224yd(Z))、1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(E)(CF−CF=CHCl、HCFO−1224yd(E))、2−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CF−CCl=CHF、HCFO−1224xe)、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(E)(CF−CCl=CHCl、HCFO−1223xd(E))、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(Z)(CF−CCl=CHCl、HCFO−1223xd(Z))、1,1,2−トリクロロ−2−フルオロエテン(CCl=CClF)、234cc、224ca、CFCl(HCFO−1231異性体)、CCl(HCFO−1232異性体)を上記出口ガスの成分として得ることができる。出口ガスに含まれる1234yf以外の上記成分は、蒸留、抽出蒸留、共沸蒸留、膜分離、二層分離、吸着等の既知の手段により、望まれる程度に除去することができる。なお、1233yfは以下に説明する本発明の第2の態様の1234yfの製造方法の原料とすることができる。
(触媒(C1)の再活性化処理)
なお、触媒(C1)は、連続使用することによって活性が低下して、含フッ素プロパン(1)の転化率を低下させることがある。その場合には、触媒(C1)に対して再活性化処理を行うことができ、これにより、触媒(C1)、特には、フッ素化アルミナ(X)の活性を再生させて触媒(C1)を再利用することができる。再活性化処理の方法としては、上記のとおりである。
図2に、製造方法(I)が第1の接触工程と第2の接触工程を有する場合に使用される反応装置の一例を示す。図2に示す反応装置30は、図1に示す反応装置20と、反応器1の構成が異なる以外は全て同様である。すなわち、反応装置20では、1本の反応器1内に触媒(C1)を充填した触媒層2が形成されているのに対し、反応装置30では、反応器1は、上流側から順に、触媒(C1)を充填した触媒層2Aを有する第1の反応器1Aと、触媒(C2)を充填した触媒層2Bを有する第2の反応器1Bが連結して構成される。第1の反応器1Aおよび第2の反応器1Bを繋ぐ連結部にはサンプリングライン11が設けられている。
反応装置30では、第1の反応器1A内の触媒層2Aにおいて第1の接触工程が行われ、続いて第2の反応器1B内の触媒層2Bにおいて第2の接触工程が行われる。反応装置30を用いた場合の244cc、希釈ガス等の反応器1への供給および、出口ライン6以降の処理、粗ガス成分の分析等は、上記反応装置20の場合と同様にできる。さらに、触媒(C2)の再活性処理は、触媒(C1)の再活性処理と同時に行うことができる。なお、反応装置30を用いて、反応器1にフッ化水素を供給して製造方法(I)を行う場合、フッ化水素の供給は、第1の反応器1A(触媒層2A)と第2の反応器1B(触媒層2B)の間に行われることが好ましい。
以上、含フッ素プロパン(1)として244ccを用いた例により製造方法(I)説明したが、含フッ素プロパン(1)として244ec、243bc、243ecを用いる場合も上記同様にできる。ただし、フッ化水素の供給に関しては、上記のとおりとする。製造方法(I)によれば、入手の容易な含フッ素プロパン(1)、特には、244ccを原料とし、フッ素化アルミナ(X)を含有する触媒(C1)を用いて反応を行わせることで、簡便な反応操作により効率よく1234yfを製造できる。また、製造方法(I)によれば、反応温度を低く、例えば、特許文献3の方法よりも低く設定しつつ、244ccの転化率を高く、かつ、1234yfの選択率と、容易に1234yfにできる中間体の1233yfの選択率の合計を高くすることができ、総合的に評価して、1234yfの効率的な製造方法であると言える。
以下に、本発明を実施例および比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの記載によって限定されるものではない。例1〜7が実施例であり、例8が比較例である。
[244ccの調製]
TFEとCHClから上記方法(A)にしたがい以下のとおり、第1の工程で224caを製造し、得られた224caから第2の工程により244ccを製造した。
(1)224caの製造
下記反応式にしたがって、次の手順で、1,1,3−トリクロロ−2,2,3,3−テトラフルオロプロパン(224ca)を製造した。
CHCl + TFE → 224ca
まず、500mLステンレス製オートクレーブに、無水塩化アルミニウム(25g、0.19mol)、CHCl(500g、4.19mol)および224ca(100g、0.45mol)を入れて撹拌しながら減圧脱気した後、TFEをオートクレーブ内が0.05MPaとなるまで供給し、オートクレーブ内を80℃に昇温した。その後、オートクレーブ内の圧力を0.8MPaで維持しながら、TFEをさらに供給した。オートクレーブに供給されたTFEは総量で0.17kg(1.65mol)であった。
さらに1時間撹拌した後、室温まで冷却して、反応液をガスクロマトグラフィで分析したところ、CHClの転化率は33%であり、224caの選択率は84%であった。反応後の液を濾別し得られた粗液に、モレキュラーシーブ4Aを102g加え一晩撹拌して、脱水した。撹拌後の粗液を濾別し得られた粗生成物を蒸留精製することにより224ca(230g、1.05mol)を製造した。
(2)244ccの製造
上記した方法で得られた224caを原料として、下記の方法で244ccを得た。
まず、電気炉を備えた円筒形反応管からなる気相反応装置(SUS316製、直径25mm、長さ30cm)に2.0重量%の割合でパラジウムを担持した活性炭ペレット(15g)を充填し、窒素(N)ガス(500NmL/min)を流しながら130℃まで昇温した。反応管を大気圧(1気圧)に維持しながら、反応管の出口から得られるガス中の水分が20ppm以下になるまで触媒を乾燥した。触媒の乾燥終了後、窒素の供給を停止し、水素(180mL/min)を供給しながら反応管を200℃に加熱した後、224ca(0.44g/min)を供給した。
反応管の出口から得られた粗ガスは水洗後、アルカリ洗浄塔およびモレキュラーシーブ5Aを通して酸分と水分とを除去した後、コールドトラップに捕集した。捕集した粗生成物をガスクロマトグラフィで分析したところ、224caの転化率は98%であり、234ccが選択率24%、244ccが選択率70%で得られた。合計500g(2.27mol)の224caを上記で反応させて、298gの粗生成物を得た。
得られた粗生成物を25段精留塔で常圧精留して、244cc(200g、1.33mol)を得た。なお、得られた244ccの水分含有量をカールフィッシャー電量滴定法により測定したところ、10ppmであった。
(3)1234yfの製造
例1〜10では、反応装置として図1に示す反応装置20と同様のものを用い、上記(2)で得られた244ccを用いて1234yfを製造した。反応器1としては、内径16.1mm、長さ18cmのSUS316製の管状反応器を用いた。
[触媒の調製]
以下の方法により実施例に用いる触媒(C1)として、フッ素化アルミナ(X)である触媒(C11)〜触媒(C17)を調製した。また、比較例に用いる触媒として、触媒(cf1)を調製した。実施例である例1〜7は、製造方法(I)において触媒(C1)を用いて第1の接触工程のみを行った例である。比較例である例8は、上記の触媒(C1)のかわりに触媒(C1)以外の触媒である触媒(cf1)を用いた例である。
(触媒(C11)の調製)
原料酸化アルミニウムとして、酸化アルミニウム(Al、N612N(製品名、日揮触媒化成製、円柱状、直径3mm、高さ3mm))を反応器に充填し、窒素(N)ガス(500NmL/min)を流しながら反応器内を350℃まで昇温した。反応器を大気圧(1気圧)、350℃に維持しながら、反応器の出口から得られるガス中の水分が20ppm以下になるまで触媒を乾燥した。触媒の乾燥終了後、反応器を350℃に維持し、HFC−23(ガス)を37.7NmL/min、窒素(ガス)を75.3NmL/minの流量で反応器に供給した。その状態を2時間保ち、原料酸化アルミニウムのフッ素化処理を行い、反応器内に触媒層を構成する触媒(C11)を得た。
得られた触媒(C11)はフッ素化アルミナ(X)で構成されており、該フッ素化アルミナ(X)のXRF(ZSX100e(製品名、リガク社製)で分析されたF/Alは、0.7であった。
(触媒(C12)〜(C15)および、触媒(cf1)の調製)
触媒(C11)の調製において、フッ素化処理の温度、時間、用いたフッ素化処理剤の種類を表1に示すとおり変更した以外は、同様にして触媒(C12)〜(C15)および、触媒(cf1)を調製した。なお、表1に示す、触媒(C15)におけるフッ素化処理の温度、時間は、350℃で16時間処理した後、400℃で8時間処理したことを意味する。
(触媒(C16)の調製)
原料酸化アルミニウムとして、(Al;94質量%、CaO;4.5質量%、MgO;1質量%、SiO;0.5質量%、SA61169(製品名、サンゴバン社製、円柱状、直径2mm、高さ4mm))を用い、表1に示した条件で実施した以外は、触媒(C11)の調製と同様に実施した。なお、本触媒のAl(100モル%)に対する各金属の含有量は、Caが4.4モル%、Mgが1.3モル%、Siが0.5モル%である。なお、表1に示す、触媒(C16)におけるフッ素化処理の温度、時間は、350℃で16時間処理した後、400℃で8時間処理したことを意味する。
(触媒(C17)の調製)
原料酸化アルミニウムとして、MgOを担持したAlを用い、表1に示した条件で実施した以外は、触媒(C11)の調製と同様に実施した。MgOを担持したAlは次のように調製した。硝酸マグネシウム六水和物21.2g(純正化学社製)をイオン交換水に溶解させ、硝酸マグネシウム水溶液を調製した。酸化アルミニウム80.4gを(Al、N612N(製品名、日揮触媒化成製、円柱状、直径3mm、高さ3mm)に、25℃で4時間含浸したのち、固体をろ別し、得られた固体をN雰囲気下で140℃で17時間乾燥した。さらに、固体を400℃、N雰囲気下で6時間焼成することで、MgOを担持したAlを得た。XRF分析から、Al(100モル%)に対するMgの含有量を求めたところ6モル%であった。
触媒(C11)と同様にして測定された、触媒(C12)〜(C17)および、触媒(cf1)のF/Alを、表1に併せて示す。
Figure 2019189568
(例1)
触媒(C11)の乾燥終了後、反応器の温度を320℃に調整し、HCFC−244ccを0.133g/min、窒素を19.79NmL/minの流量で反応器に供給した。反応器から得られた粗ガスは濃度10質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液に流通させて酸性成分を除去した後、合成ゼオライト(モレキュラーシーブス4A)を充填した脱水塔に通流させて脱水し、酸分・水分および吸着性の強い成分が除去された出口ガスを得た。244ccの反応器への供給開始から1時間後の粗ガスを、ガスクロマトグラフィを用いて分析した結果を、反応条件(使用した触媒の種類、N供給流量、反応器内温度(反応温度)、244ccの供給流量、244ccの反応器内滞留時間(反応時間))とあわせて表2に示す。
粗ガスの分析結果として、表2に、244ccの転化率、1234yf、1233yf、それ以外のその他成分の選択率、および、1234yfの選択率と1233yfの選択率の合計を示した。以下の例についても同様である。
なお、脱水後の出口ガスは、ドライアイスで冷却されたシリンダー内に捕捉した。この捕捉された出口ガスを試料として、理論段数約45段の蒸留塔の塔底に供給し、運転圧力0.8MPa(ゲージ圧)で、バッチ蒸留による蒸留を行い、蒸留塔の塔頂から1234yfを99.8%含む留出液を得た。
(例2〜8)
例1において、使用した触媒の種類、N供給流量、反応器内温度(反応温度)、244ccの供給流量、244ccの反応器内滞留時間(反応時間)を表2に示すとおり変えた以外は例1と同様にして1234yfの製造を行った。例1と同様にして測定した粗ガスの分析結果を表2に示す。なお、例2〜8においては、粗ガスの分析のみを行い、1234yfの精製は行わなかった。
Figure 2019189568
1…反応器、2,2A,2B…触媒層、3…原料の供給ライン、4…希釈ガスの供給ライン、5…原料・希釈ガス供給ライン、6…出口ライン、7…冷却手段、8…蒸気および酸性液回収槽、9…アルカリ洗浄装置、10…脱水塔、11…サンプリングライン、20,30…反応装置。

Claims (4)

  1. 一般式(1):CFCl−CFX−CHY(一般式(1)中、XおよびYは、一方がHであり、他方がFまたはClである。)で表される含フッ素プロパンを、フッ素化された酸化アルミニウムを含む触媒に接触させて(ただし、前記含フッ素プロパンが、一般式(1)におけるXおよびYの一方がHであり他方がClである含フッ素プロパンである場合には、フッ化水素の存在下に前記触媒と接触させて)2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを得る、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法であって、
    前記フッ素化された酸化アルミニウムのフッ素とアルミニウムの原子比であるF/Alが、0.7≦F/Al≦3.0を満たす2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法。
  2. 前記フッ素化された酸化アルミニウムのフッ素とアルミニウムの原子比であるF/Alが、1.7≦F/Al<3.0を満たす請求項1に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法。
  3. 前記含フッ素プロパンが1−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパンである請求項1または2に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法。
  4. 前記1−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパンを前記触媒に接触させる温度が150℃以上430℃以下である請求項3に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法。
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