JP2016079057A - キラルな固体金属及び固体複合体、並びにそれらの製造方法 - Google Patents

キラルな固体金属及び固体複合体、並びにそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】これまでにない新規なキラル材料を提供すること。
【解決手段】本発明のキラル材料は、主として珪素からなり、この珪素が結晶性であって、200〜800nmの波長範囲の少なくともいずれかにおける円二色性スペクトル測定において円二色性が観察されることを特徴とするキラルな固体金属である。このような固体金属は、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマー及びキラルなジカルボン酸化合物を反応させて調製された酸塩基型錯体のキラル超分子結晶に対して、加水分解性の珪素化合物を作用させてその加水分解物の層をキラル超分子結晶の表面に形成させ、さらにこれを焼成して得たキラルなシリカ粒子を還元剤で還元した後で、還元されなかったシリカをフッ化水素酸で溶出させるという手法により調製できる。
【選択図】図3

Description

本発明は、キラルな固体金属及び固体複合体、並びにそれらの製造方法に関する。
近年、分子間相互作用により有機化合物を平衡又は非平衡状態で自己組織化させて得られる、特定の空間形状やナノメートルオーダーの規則的構造等を備えたナノ構造体が盛んに提案されている。これらのナノ構造体は、様々な組成の有機/無機複合ナノ材料を構築するための基盤として用いることができるばかりでなく、各種の材質からなるナノ構造体を形成するための鋳型としても用いることができることから、学際的分野や産業的分野等から関心を寄せられている。
このようなナノ構造物の例として、例えば特許文献1には、特定の化学構造を備えた界面活性剤を溶液中で自己組織化させ、その周囲でシリカ源となる化合物をゾルゲル反応させてメソポーラスシリカ粒子を形成させることが提案されている。また、特許文献2には、互いに相溶しない非水溶性及び水溶性である2種のポリマーからミクロな相分離構造を形成させ、これをもとに平均孔径1〜200nmのシリンダー構造の細孔を備えた多孔質膜を形成させることが提案されている。さらに、生体高分子であるDNAやタンパク質が自己組織化により独特な立体構造を備えたナノ構造体となることもよく知られている。しかし、結晶性を備えたポリマーからなる結晶性のナノ構造物は少ない。
また、キラリティーを備えたナノ構造体を鋳型とし、その周囲にシリカ等の金属酸化物の層を成長させることにより、鋳型の持つキラリティーを金属酸化物に転写させることが提案されている。このような例として、例えば特許文献3には、らせん構造等の光学活性なキラル配向構造を備えた重合体を鋳型とし、当該鋳型に金属ソースを作用させてキラルな有機/無機複合体を得ることが提案されている。このような有機/無機複合体では、金属酸化物にキラリティーが転写されているので、例えば触媒活性を備えた金属酸化物を当該有機/無機複合体の無機成分として選択すれば、キラルな反応場を備えた金属酸化物触媒が得られる可能性があると考えられる。
一方、本発明者らは、既に、直鎖状ポリエチレンイミンの結晶化に着目し、その繊維状結晶及びその結晶体を反応場に用いることによる複雑階層シリカ構築を展開してきた。そして、本発明者らは、直鎖状ポリエチレンイミンと、炭素数が4のジカルボン酸である酒石酸とから酸塩基型錯体であるナノシート状の超分子結晶が生成することを見出した(特許文献4を参照)。また、本発明者らは、直鎖状ポリエチレンイミンと、キラルなジカルボン酸化合物とから超分子結晶を調製し、これに加水分解性アルコキシシラン類化合物を加えて反応させることでキラリティーを有するシリカが得られることを見出した(非特許文献1を参照)。さらに、アルコキシシラン以外の加水分解性遷移金属化合物を作用させて焼成することで、キラルな遷移金属酸化物の結晶が得られることを見出した(特許文献5を参照)。これらの無機酸化物におけるキラリティーは、鋳型となった超分子結晶に含まれるキラルなジカルボン酸化合物のキラリティーを由来とするものである。こうしたキラルな無機酸化物は、キラルな生成物を得ることのできる反応場としての用途が期待できるとともに、円偏光のような特殊な偏光を備えた光にのみ感応するセンサー等としてセキュリティー分野への用途も期待されるものである。
特開2010−208907号公報 特開2009−256592号公報 特開2005−239863号公報 特開2011−126964号公報 国際公開第2014/068631号
Hiroyuki Matsukizono,Ren−Hua Jin,Angew.Chem.Int.Ed.,51,5862−5865(2012)
本発明は、以上のような状況のもと、これまでにない新規なキラル材料を提供することを目的とする。
シリカから珪素(金属シリコン)を得るには、通常、高温水素による還元反応が利用されることが多い。しかし、近年、比較的に低温域で、外見上一定形状のシリカをマグネシウムで還元させると、その形状が崩れること無く、シリカが珪素へ還元されることが報告された(Z.Bao et al.,Nature 446 172−175(2007))。また、本発明者らは、シリカナノ構造体をマグネシウムで低温還元させると、ナノ構造体の基本形態は維持されるものの、その形態の内部でナノスケールの珪素結晶ドメインが生成されることを報告した(Xinling Liu et al.,Nano Energy,4,31−38(2014))。これらの結果は、アモルファス(非晶性)のシリカであっても、還元される際に酸素原子が脱離し、内部構造が大きく収縮しながら珪素の結晶へと成長することを示唆すると考えられる。しかしながら、このような内部構造の大きな収縮を伴う状況で、シリカに付与された微細の構造情報が珪素へと転写できるかどうかについては全く知見が示されていなかった。
このような状況のもと、本発明者らは、非晶性シリカに付与された内部構造情報を低温還元により生成される結晶性の珪素へ転写させることに関して強い関心を持つに至った。この転写とは、具体的には、非晶性シリカに付与されたキラリティー構造情報を消失させること無く還元後の珪素に転写することである。
本発明者らの鋭意検討の結果、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマー及びキラルなジカルボン酸化合物を反応させて得た、特許文献5にも記載された酸塩基型錯体のキラル超分子結晶に対して、加水分解性の珪素化合物を作用させてからこれを焼成するとキラルなシリカ粒子が得られること、そして、このシリカ粒子が、マグネシウムにより還元され、次いでフッ化水素酸で処理されることにより珪素粉末(金属シリコン粉末)に転換されることが見出された。そして、本発明者らは、この珪素粉末を詳細に調べたところ、上記のような還元処理やフッ化水素酸による処理を経ているにもかかわらず、この珪素粉末がキラルなシリカ粒子に由来するキラリティーをそのまま保持していることを見出した。上記シリカ粒子のキラリティーは、キラル超分子結晶を構成するキラルなジカルボン酸化合物のキラリティーを由来としたものであるので、最終生成物である珪素粉末のキラリティーをコントロールすることも可能である。本発明は、こうした知見に基づいて完成されたものであり、より具体的には以下のものを提供する。
(1)本発明は、主として珪素からなり、上記珪素が結晶性であって、200〜800nmの波長範囲の少なくともいずれかにおける円二色性スペクトル測定において円二色性が観察されることを特徴とするキラルな固体金属である。
(2)また本発明は、粉末である(1)項記載のキラルな固体金属である。
(3)本発明は、主として珪素及び酸化珪素からなり、上記珪素が結晶性であって、200〜800nmの波長範囲の少なくともいずれかにおける円二色性スペクトル測定において円二色性が観察されることを特徴とする、金属及びその酸化物のキラルな固体複合体でもある。
(4)また本発明は、粉末である(3)項記載のキラルな固体複合体である。
(5)本発明は、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマー及びキラルなジカルボン酸化合物を反応させて酸塩基型錯体のキラル超分子結晶を得る結晶生成工程と、上記キラル超分子結晶に加水分解性の珪素化合物を作用させるゾルゲル法により、上記キラル超分子結晶の表面に上記珪素化合物の加水分解物の層を形成させるゾルゲル工程と、上記ゾルゲル工程を経たキラル超分子結晶を焼成することで、有機物であるキラル超分子結晶を分解させるとともに上記加水分解物の層をシリカに転換させてシリカの構造体を得る焼成工程と、上記シリカの構造体と還元剤との混合物を調製した後、この混合物を加熱して上記構造体に含まれるシリカの一部を還元することで、シリカ及び珪素を含んだ固体複合体を得る還元工程と、上記還元工程を経た固体複合体にフッ化水素酸を作用させ、上記還元工程で還元されなかったシリカを溶解除去して主として珪素からなる固体金属を得る除去工程と、を備えたキラルな固体金属の製造方法でもある。
(6)また本発明は、上記還元剤がマグネシウムの粉末である(5)項記載のキラルな固体金属の製造方法である。
(7)本発明は、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマー及びキラルなジカルボン酸化合物を反応させて酸塩基型錯体のキラル超分子結晶を得る結晶生成工程と、上記キラル超分子結晶に加水分解性の珪素化合物を作用させるゾルゲル法により、上記キラル超分子結晶の表面に上記珪素化合物の加水分解物の層を形成させるゾルゲル工程と、上記ゾルゲル工程を経たキラル超分子結晶を焼成することで、有機物であるキラル超分子結晶を分解させるとともに上記加水分解物の層をシリカに転換させてシリカの構造体を得る焼成工程と、上記シリカの構造体と還元剤との混合物を調製した後、この混合物を加熱して上記構造体に含まれるシリカの一部を還元することで、シリカ及び珪素を含んだ固体複合体を得る還元工程と、を備えたキラルな固体複合体の製造方法でもある。
(8)また本発明は、上記還元剤がマグネシウムの粉末である(7)項記載のキラルな固体金属の製造方法である。
本発明によれば、キラルな固体金属、又は固体金属及びその酸化物からなるキラルな固体複合体、といったこれまでにない新規なキラル材料が提供される。
図1は、L−SiO−Si−600、L−SiO−Si−500、D−SiO−Si−600及びD−SiO−Si−500のそれぞれについて、粉末X線回折(XRD)の測定を行った際のチャートである。 図2は、PEI/L−Tart@SiO及びPEI/D−Tart@SiOのそれぞれについての円二色性(CD)スペクトルである。 図3は、L−SiO−Si−600、L−SiO−Si−500、D−SiO−Si−600及びD−SiO−Si−500のそれぞれについての円二色性(CD)スペクトルである。 図4は、L−SiO−Si−600、L−SiO−Si−500、D−SiO−Si−600及びD−SiO−Si−500のそれぞれについての紫外−可視吸収スペクトルである。 図5は、キラルな金属シリコンであるL−Si、及びL−SiO−Si−600の円二色性(CD)スペクトルである。 図6は、L−SiO−Si−600についての透過型電子顕微鏡(TEM)での観察画像であり、上段が低分解率での画像であり、下段が高分解率での画像である。 図7は、L−Siについての透過型電子顕微鏡(TEM)での観察画像であり、上段が低分解率での画像であり、下段が高分解率での画像である。
以下、本発明に係るキラルな固体金属及びキラルな固体複合体の一実施形態、並びにキラルな固体金属の製造方法及びキラルな固体複合体の製造方法の一実施態様について説明する。なお、本発明は、以下の実施形態及び実施態様に限定されるものではなく、本発明の範囲において適宜変更を加えて実施することができる。
<キラルな固体金属>
まずは、本発明に係るキラルな固体金属の一実施形態について説明する。本発明に係るキラルな固体金属は、主として珪素からなり、上記珪素が結晶性であって、200〜800nmの波長範囲の少なくともいずれかにおける円二色性スペクトル測定において円二色性が観察されることを特徴とする。つまり、本発明に係るキラルな固体金属は、固体の金属シリコン(珪素)であり、より具体的には粉末状態の金属シリコンである。
通常、金属シリコンは、単結晶、多結晶又はアモルファスの形態をとり、これらが自然にキラリティーを示す(すなわち、円二色性スペクトル測定において円二色性が観察される)ようになることはない。しかしながら、既に述べたように、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマー及びキラルなジカルボン酸化合物を反応させて調製された酸塩基型錯体のキラル超分子結晶に対して、加水分解性の珪素化合物を作用させてその加水分解物の層をキラル超分子結晶の表面に形成させ、さらにこれを焼成して得たキラルなシリカ粒子を還元剤で還元した後で、還元されなかったシリカをフッ化水素酸で溶出させるという手法により得られた金属シリコンは、意外にも、200〜800nmの波長範囲の少なくともいずれかにおける円二色性スペクトル測定において円二色性が観察され、キラリティーを備えるものであることが本発明者らの検討によって明らかになった。
つまり、キラル超分子結晶を鋳型としてその表面にシリカを生成させると、得られたシリカには鋳型であるキラル超分子結晶のキラリティーが転写され、そのようにして転写されたキラリティーは、還元操作等を行った後でも維持されていることが本発明者らの検討により明らかになった。本発明はこのような知見によってなされたものである。なお、このキラリティーは、それ自身がキラリティーを持たない化合物又は原子(本発明の場合は珪素原子)が、結晶化される際にある規則性をもって配置されることにより発現されたものと考えられ、驚くべきことに、それは乳鉢等を用いて粉砕状態とされた後であっても失われるものでない。
このような安定なキラリティーは、キラルシリカでも、それを還元して得られたキラルな金属シリコンでも同様に観察される。こうしたキラリティーが観察される理由は、必ずしも明らかではないものの、おおよそ次のようなものと推察される。キラルシリカには、酸素原子−珪素原子で構成された、かなり安定な短いキラル軸(螺旋軸となっている可能性がある。)が存在し、それ故キラルシリカでは円二色性が観察されると推察されるが、還元に伴ってこのキラル軸から酸素原子が脱離してその構造が変化してもなおそのキラリティーは維持され、珪素原子−珪素原子で構成された新しいキラル軸が形成されるためと考えられる。このときの詳細な構造は不明だが、驚くべきことに、キラルな金属シリコンの円二色性スペクトルにおける信号はかなり強いものであり、測定の際のキラルな金属シリコンの濃度がわずか7.6質量%であっても顕著な円二色性信号が得られる一方で、キラルな金属シリコンの前駆体ともいえるキラルシリカでは、40質量%程度まで濃度を増加させないと円二色性信号をうまく拾うことができない。なお、本発明のキラルな固体金属の製造方法については後述する。
本発明のキラルな固体金属は、主として珪素からなる。つまり、ここでいう固体金属とは金属シリコンを意味する。「主として」とは、不純物として含まれ得る他の原子やシリカ等を除外して、の意である。よって、不純物と見なせる程度の含有量であり、本発明の効果に影響を与えない程度であれば他の化学種を含んだとしても本発明の範囲に含まれる。この場合、固体金属に含まれる珪素の含有量、すなわち珪素の純度は70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、85質量%以上がさらに好ましい。特に、金属シリコンは、空気中において容易に酸化されて、その表面にSi−OH又はSi−O−Si等の化学種を生じがちであり、表面積の大きな粉末状であれば不純物である酸素原子の存在比率がどうしても高くなる。このとき、場合によっては得られた固体金属のうち10質量%以上を酸素原子が占めることもある。このような場合であっても、酸化によって結合した酸素原子の質量を除いた純度が上記の範囲であれば、その金属シリコンは本発明の範囲に含まれるものとする。また、この珪素は結晶性である。ここでいう結晶性とは、XRD(X線回折)測定において、結晶化した珪素原子由来のピークが観察されれば足り、一部に非晶質の珪素が含まれていたとしても本発明の範囲に含まれる。なお、本発明の固体金属の結晶性は、透過型電子顕微鏡(TEM)の高分解観察により確認することもできる。この場合、その結晶性は、珪素結晶由来の格子縞模様から確認することができる。
本発明のキラルな固体金属は、200〜800nmの波長範囲の少なくともいずれかにおける円二色性スペクトル測定において円二色性が観察されることを特徴とする。これは、本発明のキラルな固体金属がキラリティーを備えることを意味する。円二色性は、典型的には、円二色性スペクトルの測定において正又は負のコットン効果として観察されることになる。
なお、本発明のキラルな固体金属は固体の粒子であるので、円二色性スペクトル観察を行うに際しては、この金属酸化物構造体を乳鉢等ですり潰して粉末状とし、この粉末をKClやKBrの固体中に分散させた上で、拡散反射円二色性(DRCD)分光装置を用いて観察を行うことになる。興味深い点は、このようにキラルな固体金属を粉砕して粉末状とした後であっても円二色性スペクトルにおいてキラリティーが観察されることである。このことから本発明のキラルな固体金属は、原子の配列といったレベルにおいて構造的なキラリティーを備えているといえる。
本発明のキラルな固体金属は、金属シリコンであり、半導体材料として光電変換や多様なデバイスに用いることができるものだが、それ自身がキラリティーを備えるという点で従来にない特異な材料といえる。最近の学術研究において、キラルな磁気材料ではアキラルな磁気材料では見られない物性(スキルミオン)が発現することが報告されており(”Thermally Driven Ratchet Motion of a Skyrmion Microcrystal and Topological Magnon Hall Effect”,Nature Materials,2013,doi:10.1038/nmat3862)、半導体や導体においてもキラリティーを付与させることにより予期せぬ現象が発現される可能性がある。
<キラルな固体複合体>
次に、本発明に係るキラルな固体複合体の一実施形態について説明する。本発明に係るキラルな固体複合体は、主として珪素及び酸化珪素からなり、上記珪素が結晶性であって、200〜800nmの波長範囲の少なくともいずれかにおける円二色性スペクトル測定において円二色性が観察されることを特徴とする。つまり、本発明に係るキラルな固体複合体は、固体の金属シリコン(珪素)と、固体の金属酸化物であるシリカ(酸化珪素)との複合体であり、より具体的には粉末状態の複合体である。
既に説明したキラルな固体金属(金属シリコン)は、キラルなシリカ粒子を調製してからこれを還元し、さらにフッ化水素酸を用いて未反応のシリカを溶出させて調製される。本発明のキラルな固体複合体は、上記の手順から、フッ化水素酸を用いて未反応のシリカを溶出させる最後の工程を省いたものであり、還元体である金属シリコンと未反応(非還元)体であるシリカとを含む固体である。このような固体は、上記のキラルな固体金属の前駆体として用いられるものであり、上記のキラルな固体金属と同様にキラリティーを備える。なお、本発明のキラルな固体複合体の製造方法については後述する。
本発明のキラルな固体複合体は、主として珪素及び酸化珪素からなる。つまり、ここでいう固体複合体とは、金属シリコンとシリカとの複合体を意味する。「主として」とは、不純物として含まれ得る他の原子等を除外して、の意である。よって、不純物と見なせる程度の含有量であり、本発明の効果に影響を与えない程度であれば他の化学種を含んだとしても本発明の範囲に含まれる。この場合、固体金属に含まれる珪素及び酸化珪素の含有量は、合計で、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、98質量%以上がさらに好ましい。また、ここに含まれる珪素は結晶性である。ここでいう結晶性とは、XRD(X線回折)測定において、結晶化した珪素原子由来のピークが観察されれば足り、一部に非晶質の珪素が含まれていたとしても本発明の範囲に含まれる。
本発明のキラルな固体複合体は、200〜800nmの波長範囲の少なくともいずれかにおける円二色性スペクトル測定において円二色性が観察されることを特徴とする。このことについては、上述のキラルな固体金属にて既に説明したのと同様であるので、ここでの説明を省略する。
本発明のキラルな固体複合体に含まれる(キラルな)金属シリコンは、結晶性であり、キラルな固体複合体のXRD(X線回折)測定においてシリコン(珪素)結晶由来のピークが観察される。より具体的には後述の実施例で述べるが、本発明のキラルな固体複合体では、2θ=28°付近、46°付近、56°付近に比較的大きなピークが観察される。また、本発明のキラルな固体複合体の結晶性は、透過型電子顕微鏡(TEM)の高分解観察により確認することもできる。この場合、結晶性は、珪素結晶由来の格子縞模様から確認することができる。
本発明のキラルな固体複合体は、それ自身がキラリティーを備えるという特異な金属及び金属酸化物の固体なので、キラルな反応場を提供する触媒としての活用が期待される他、上述のキラルな固体金属と同様に、半導体にキラリティーが付与されたことにより予期せぬ現象が発現される可能性もある。さらには、本発明のキラルな固体複合体は、上述のキラルな固体金属の前駆体としても利用可能である。
<キラルな固体金属の製造方法>
次に、本発明に係るキラルな固体金属の製造方法の一実施態様について説明する。この製造方法は、上述のキラルな固体金属を調製する方法であり、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマー及びキラルなジカルボン酸化合物を反応させて酸塩基型錯体のキラル超分子結晶を得る結晶生成工程と、上記キラル超分子結晶に加水分解性の珪素化合物を作用させるゾルゲル法により、上記キラル超分子結晶の表面に上記珪素化合物の加水分解物の層を形成させるゾルゲル工程と、上記ゾルゲル工程を経たキラル超分子結晶を焼成することで、有機物であるキラル超分子結晶を分解させるとともに上記加水分解物の層をシリカに転換させてシリカの構造体を得る焼成工程と、上記シリカの構造体と還元剤との混合物を調製した後、この混合物を加熱して上記構造体に含まれるシリカの一部を還元することで、シリカ及び珪素を含んだ固体複合体を得る還元工程と、上記還元工程を経た固体複合体にフッ化水素酸を作用させ、上記還元工程で還元されなかったシリカを溶解除去して主として珪素からなる固体金属を得る除去工程と、を備える。以下、これらの工程について説明する。
[結晶生成工程]
結晶生成工程は、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマー及びキラルなジカルボン酸化合物を反応させて酸塩基型錯体のキラル超分子結晶を得る工程である。
本発明で用いられる直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマー(以下、単に「ポリマー」とも呼ぶ。)は、下記化学式で表される構造を分子内に備える。下記化学式で表される構造には二級のアミノ基が含まれ、このアミノ基の窒素原子が後述するキラルなジカルボン酸化合物に含まれるカルボキシル基と相互作用して酸塩基型の錯体を形成する。上記キラルなジカルボン酸化合物は、二個のカルボキシル基を備えた二塩基酸であり、二分子のポリマーに含まれるアミノ基のそれぞれと錯体を形成することができるので、ポリマーは、キラルなジカルボン酸化合物によって架橋される。その結果、複数のポリマーと複数のキラルなジカルボン酸化合物とが自己組織化した構造を備えた酸塩基型錯体型の超分子結晶が形成される。この超分子結晶は、上記キラルなジカルボン酸化合物に誘起された、構造的なキラリティーを備える。
(上記化学式中、nは1以上の整数である。)
本発明で用いられるポリマーは、分子内に上記化学式で示す直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えていれば足り、その他の部分の構造は特に問わないので、線状構造はもちろん、星状、櫛状の構造であってもよく、上記化学式からなるホモポリマーであってもよいし、他の繰り返し単位も備えた共重合体であってもよい。ポリマーが共重合体である場合、当該ポリマー中の直鎖状ポリエチレンイミン骨格部分のモル比が20%以上であれば安定な結晶を形成できるとの観点から好ましく、直鎖状ポリエチレンイミン骨格の繰り返し単位数が10以上となるブロック共重合体であることがより好ましい。ポリマーは、上記化学式からなるホモポリマーであることが最も好ましい。
また、ポリマーとしては、後述するキラルなジカルボン酸化合物との間で結晶性の会合体を形成させる能力が高いほど好ましい。したがって、ポリマーは、ホモポリマーであっても共重合体であっても、上記化学式で示される直鎖状ポリエチレンイミン骨格部分に相当する部分の分子量が500〜1,000,000程度の範囲であることが好ましい。これら直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマーは、市販品を用いてもよいし、本発明者らが特開2009−30017号公報等に開示した合成法によって得ることもできる。
本発明で用いられるキラルなジカルボン酸化合物は、既に述べたように、このジカルボン酸の備える2個のカルボキシル基が上記のポリマーを架橋して超分子結晶を形成させるとともに、このジカルボン酸化合物に由来する構造的なキラリティーを当該超分子結晶に誘起させる。ジカルボン酸化合物はD−体であってもL−体であってもよい。なお、ジカルボン酸化合物の光学純度は、必ずしも100%eeである必要はなく、90%ee以上であることが好ましく、95%ee以上であることがより好ましく、98%ee以上であることがさらに好ましい。
ジカルボン酸化合物としては、2個のカルボキシル基と不斉炭素とを備えるものであればよく、4以上の炭素原子を備えることが好ましい。また、ジカルボン酸化合物としては、直鎖状であるか分枝状であるかを問わない。このようなジカルボン酸化合物としては、酒石酸、アルトラル酸、グルカル酸、マンナル酸、グルロン酸、イダル酸、ガラクタル酸、タルロン酸等が例示され、酒石酸が好ましく例示される。
本工程では、上述のポリマーとキラルなジカルボン酸化合物とを水中で作用させて、これらと水分子とからなる超分子結晶を形成させる。次に、このような超分子結晶を形成させるための一態様について説明する。この態様では、ポリマー水溶液調製小工程と、ジカルボン酸水溶液調製小工程と、混合小工程と、析出小工程と、を順次行う。以下、これらの工程について説明する。
ポリマー水溶液調製小工程では、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマーの水溶液が調製される。このとき、水溶液を調製するのに用いる水は、加温されることにより、80℃以上の熱水となっていることが好ましい。また、このとき用いられる直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマーについては、既に述べた通りである。
ポリマーの水溶液を調製する手順の一例としては、ポリマーの粉末を蒸留水に加え、それを80℃以上まで加熱することによってポリマーを溶解させることを挙げることができる。このとき、水溶液におけるポリマーの濃度は、0.5〜8質量%の範囲であることが好ましいが、特に限定されない。
調製されたポリマーの水溶液は、加温された状態のままで、後述の混合小工程に付される。
ジカルボン酸水溶液調製小工程は、特に限定されないが、上記のポリマー水溶液調製小工程と並行して行われることが好ましい。この小工程では、上述のジカルボン酸化合物の水溶液を調製する。ここで用いられるジカルボン酸化合物はキラル(光学活性体)である。なお、水溶液を調製するのに用いる水は、加熱されることにより、80℃以上の熱水となっていることが好ましい。
ジカルボン酸化合物の水溶液を調製する手順の一例としては、当該ジカルボン酸化合物の粉末を蒸留水に加え、それを80℃以上まで加熱することによってジカルボン酸化合物を溶解させることを挙げることができる。このとき、水溶液におけるジカルボン酸化合物の濃度は、0.5〜15質量%の範囲であることが好ましいが、特に限定されない。
調製されたジカルボン酸化合物の水溶液は、加温された状態のままで、後述の混合小工程に付される。
混合小工程では、上記のポリマーの水溶液とジカルボン酸化合物の水溶液とを混合させて混合水溶液を得る。このとき、混合される2つの水溶液は、いずれも80℃以上程度の温度に加温されていることが好ましい。
ポリマーの水溶液とジカルボン酸化合物の水溶液とを混合させる際、ポリマーの直鎖状ポリエチレンイミン骨格に含まれる二級アミノ基1当量に対して、ジカルボン酸化合物に含まれるカルボキシル基が、0.5〜1.5当量であることが好ましく、0.9〜1.1当量であることがより好ましく、1当量であることがさらに好ましい。
この小工程で調製された混合水溶液は、析出小工程に付される。
析出小工程では、混合小工程で得られた混合水溶液中にポリマーとジカルボン酸化合物との酸塩基型錯体を析出させる。この酸塩基型錯体は、既に述べたように、キラルな超分子結晶(キラル超分子結晶)である。
この小工程を行うにあたり、加温された状態である混合水溶液を徐々に冷却させる。このときの冷却方法については、特に限定されるものでないが、一例として空気雰囲気下で自然冷却して室温まで水温を下げる方法を挙げることができる。この過程で水溶液中に白い固体が析出するが、この固体は、ナノサイズである酸塩基型錯体の結晶(超分子結晶)が凝集してできた多孔質の複合体である。なお、上記のように自然冷却を行うに際して、混合された水溶液を静置したまま放置してもよいし、当該水溶液に撹拌や振動を与えることによって固体の析出を促進してもよい。得られた白色の析出物は、濾別等の手段により単離される。単離された後の析出物を蒸留水やエタノール、アセトン等の有機溶媒で適宜洗浄し、乾燥させてもよい。
結晶生成工程で得られたキラル超分子結晶は、ゾルゲル工程に付される。
[ゾルゲル工程]
ゾルゲル工程は、上記キラル超分子結晶に加水分解性の珪素化合物を作用させるゾルゲル法により、上記キラル超分子結晶の表面に上記珪素化合物の加水分解物の層を形成させる工程である。
本工程で用いられる加水分解性の珪素化合物は、水と反応することにより加水分解され、ゾルゲル反応を生じさせるものであればよい。このような化合物としては、テトラメトキシシラン、トリメトキシシラン、ジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリエトキシシラン、ジエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、トリプロポキシシラン、ジプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、トリイソプロポキシシラン、ジイソプロポキシシラン等のアルコキシシラン、ジクロロシラン、テトラクロロシラン等のハロゲン化シラン、オルトケイ酸テトラエチル等を挙げることができる。これらの珪素化合物は、一種を単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
本工程を実施するにあたり、上記結晶生成工程で得られたキラル超分子結晶は、上述の、加水分解性の珪素化合物との反応に付される。この反応は、水中に分散させたキラル超分子結晶に、加水分解性の珪素化合物、又は加水分解性の珪素化合物と水との混合物を加えて室温で撹拌することにより行われる。この過程で加水分解性の珪素化合物は、ゾルゲル反応を生じ、キラル超分子結晶の表面に加水分解物の層を形成させる。この層に含まれる加水分解物としては、珪素原子(Si)と酸素原子(O)とからなるポリマー[(−Si−O−)]や、珪素の水酸化物等が含まれる。
キラル超分子結晶と加水分解性の珪素化合物との混合比は、特に限定されず、キラル超分子結晶のほぼ全体に加水分解物の層が形成されるように適宜調節すればよい。このような混合比の一例として、加水分解性の珪素化合物としてテトラメトキシシランを用いた場合には、3g程度のキラル超分子結晶が分散された100mLの水に対して、3mLのテトラメトキシシランと200mLの水との混合物を加えることを挙げられるが、特に限定されない。
ゾルゲル工程を経たキラル超分子結晶は、焼成工程に付される。
[焼成工程]
焼成工程は、上記ゾルゲル工程を経たキラル超分子結晶を焼成することで、有機物であるキラル超分子結晶を分解させるとともに上記加水分解物の層をシリカに転換させてシリカの構造体を得る工程である。なお、ここでいうシリカの構造体とは、ミクロな視点では上記キラル超分子結晶を鋳型とした形状からなるナノオーダーからマイクロオーダーの粒子であり、マクロな視点ではこれらの粒子の凝集した粒子として観察されるものであるが、ここではシリカが何らかの形状を持ったものであるという程度の意味として用いる。
この工程で行われる焼成により、鋳型となったキラル超分子結晶が熱分解により蒸発し、鋳型の回りに存在する加水分解物の層が熱により転換された、キラルなシリカ構造体(粒子)のみが残る。なお、上記のように、ゾルゲル工程を経た加水分解物の層は珪素原子(Si)と酸素原子(O)とからなるポリマーや珪素の水酸化物等だったが、この工程における焼成を経ることにより、これらがシリカに変換されるとともに、初期の頃はアモルファス状態だったシリカが結晶化してキラルなシリカの構造体となる。
焼成の条件としては300〜800℃程度にて空気雰囲気で加熱することを挙げることができるが、特に限定されない。
焼成工程を経たシリカの構造体は、還元工程に付される。
[還元工程]
還元工程は、上記シリカの構造体と還元剤との混合物を調製した後、この混合物を加熱して上記構造体に含まれるシリカの一部を還元することで、シリカ及び珪素を含んだ固体複合体を得る工程である。
この工程で行われる還元により、キラルなシリカの構造体に含まれるシリカの一部が金属シリコン(珪素)に転換される。シリカの還元は一般に容易でないので、一度の還元操作により全てのシリカが還元されるわけではなく、一部のシリカは還元されずに残留する。上述の「上記構造体に含まれるシリカの一部を還元する」とは、このように、還元されずに残留するシリカが存在することを意味するものである。なお、還元されずに残留したシリカは、後述する除去工程にてフッ化水素酸により溶出除去(すなわちエッチング処理)される。
この工程で用いられる還元剤としては、シリカを還元できるものであれば特に限定されないが、マグネシウムの粉末を好ましく挙げることができる。還元剤としてマグネシウムの粉末を用いる場合、シリカ:マグネシウムのモル比が1:2〜1:3程度、好ましくは1:2.5程度となるように上記のキラルなシリカの構造体とマグネシウムの粉末とを乳鉢でよく混ぜ合わせて混合物とし、これを耐熱性のセラミック製容器中に入れて不活性ガス雰囲気下で加熱することを例示することができる。この場合、不活性ガスとしては窒素、アルゴン等が挙げられ、アルゴンが好ましく挙げられる。また、加熱する際の条件としては、500〜800℃にて、3〜5時間程度保持することを挙げられる。
この加熱処理の過程で、シリカが還元されて金属シリコンへと転換されるが、その生成物には還元剤が酸化された酸化物も含まれることになる。本発明の製造方法において、上述のようにマグネシウムの粉末が還元剤として好ましく用いられるが、その場合、上記の加熱処理における生成物には酸化マグネシウムが含まれることになる。したがって、目的物であるキラルな固体複合体(金属シリコンとシリカの混合物)を得るには、還元工程の最後にて、還元剤が酸化して生成した酸化物に応じた処理を施してこれを除去しておくことが好ましい。このような除去は公知の方法を用いて容易に行うことが可能であるが、上記のように還元剤としてマグネシウムの粉末を選択すれば、生成物を酸の溶液で処理するだけで酸化物である酸化マグネシウムを除去できるので簡便である。このような酸としては、エタノール等の有機溶媒に含まれた1M塩酸を好ましく例示できる。
この工程を経ることにより、キラルなシリカの構造体に含まれるシリカの一部が還元により金属シリコン(珪素)に転換され、シリカと金属シリコンとを含むキラルな固体複合体が得られる。この固体複合体は、除去工程に付される。
[除去工程]
除去工程は、上記還元工程を経た固体複合体にフッ化水素酸を作用させ、上記還元工程で還元されなかったシリカを溶解除去して主として珪素からなる固体金属を得る工程である。
この工程を経ることにより、上記固体複合体に含まれるシリカがフッ化水素酸により溶出され、主として金属シリコン(珪素)からなるキラルな固体金属が得られる。言い換えれば、フッ化水素酸を用いて、シリカと金属シリコンとからなるキラルな固体複合体からシリカをエッチングしてキラルな固体金属を得る工程である。
固体複合体にフッ化水素酸を作用させるに際しては、まず、処理対象である固体複合体を水系溶媒に懸濁させ、その後この懸濁液にフッ化水素酸を添加して作用させればよい。固体複合体を懸濁させるに際しては、懸濁性を高めるために水溶性の有機溶媒を加えてもよい。このような有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の各種の低級アルキルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等が挙げられ、これらの中でもアセトンが好ましく挙げられる。
懸濁液に添加するのに用いるフッ化水素酸は、市販のもの(約48wt%)でも、これを適宜希釈したものでもよい。懸濁液中へのフッ化水素酸の添加量や溶解除去のための反応時間については、シリカの溶出状況に応じて適宜設定すればよいが、一例として、10mLの水と10mLのアセトンの混合溶液に0.2g程度の固体複合体を懸濁させ、これに10wt%のフッ化水素酸を添加して10時間程度撹拌して反応させる態様を挙げることができる。反応終了後、遠心分離等の公知の手段により固体部分を回収し、これを適宜洗浄することで、主として金属シリコンからなるキラルな固体金属が得られる。本発明における還元後の金属シリコンはナノスケールであり、それ故、その表面は空気中で酸化されやすい傾向にある。このため、その表面にはSi−OH又はSi−O−Siの結合が存在し得るが、この場合であっても勿論本発明の範囲に含まれる。
<キラルな固体複合体の製造方法>
最後に、本発明に係るキラルな固体複合体の製造方法の一実施態様について説明する。この製造方法は、上述のキラルな固体複合体を調製するための方法であり、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマー及びキラルなジカルボン酸化合物を反応させて酸塩基型錯体のキラル超分子結晶を得る結晶生成工程と、上記キラル超分子結晶に加水分解性の珪素化合物を作用させるゾルゲル法により、上記キラル超分子結晶の表面に上記珪素化合物の加水分解物の層を形成させるゾルゲル工程と、上記ゾルゲル工程を経たキラル超分子結晶を焼成することで、有機物であるキラル超分子結晶を分解させるとともに上記加水分解物の層をシリカに転換させてシリカの構造体を得る焼成工程と、上記シリカの構造体と還元剤との混合物を調製した後、この混合物を加熱して上記構造体に含まれるシリカの一部を還元することで、シリカ及び珪素を含んだ固体複合体を得る還元工程と、を備える。
すなわち、本発明のキラルな固体複合体の製造方法は、上述のキラルな金属固体の製造方法から除去工程を除いたものと同一であり、結晶生成工程、ゾルゲル工程、焼成工程及び還元工程の内容については上述のキラルな金属固体の製造方法と共通である。そのため、ここではこれらの工程に関する説明を省略する。本発明の製造方法により、キラルなシリカの構造体に含まれるシリカの一部が還元されて金属シリコン(珪素)に転換され、シリカと金属シリコンとを含むキラルな固体複合体が得られる。
以下、実施例を示すことにより本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[直鎖状ポリエチレンイミン(PEI)の合成]
市販のポリエチルオキサゾリン(質量平均分子量50,000、平均重合度約500、Aldrich社製)30gを5Mの塩酸水溶液(150mL)に溶解させた。その溶液をオイルバスにて90℃に加温し、その温度で10時間撹拌した。反応溶液にアセトン(500mL)を加えてポリマーを完全に沈殿させ、それを濾別し、メタノールで3回洗浄して白色のポリエチレンイミンの粉末を得た。得られた粉末をH−NMR(重水)にて分析したところ、ポリエチルオキサゾリンの側鎖のエチル基に由来した1.2ppmのピーク(CH)と2.3ppmのピーク(CH)とが完全に消失していることが確認された。したがって、得られたポリマーでは、ポリエチルオキサゾリンが完全に加水分解され、ポリエチレンイミンに変換されたことが示された。
ポリエチレンイミンの粉末を蒸留水(50mL)に溶解し、撹拌しながら、その溶液に15%アンモニア水(500mL)を滴下した。その混合液を一晩放置した後、沈殿したポリマー会合体粉末を濾過し、そのポリマー会合体粉末を冷水で3回洗浄した。洗浄後の結晶粉末をデシケータ中で室温乾燥することで、直鎖状ポリエチレンイミン(PEI)を得た。収量は22g(結晶水含有)であった。なお、ポリマー会合体とは、ポリエチレンイミン分子同士が、その分子に含まれる2級アミノ基を介した水分子との水素結合により架橋されたものであり、高い結晶性を備える超分子錯体である。また、ポリオキサゾリンの加水分解により得られるポリエチレンイミンでは、その側鎖だけが化学反応し、その主鎖には変化がない。したがって、PEIの重合度は加水分解前の約500と同様である。
[キラル超分子錯体の調製、及びそれに対するゾルゲル処理]
スクリュー管にPEIを1.264g(二級アミノ基として16mmol)及び蒸留水16mLを加え、80℃付近を維持するよう加熱しながら撹拌し、均一な溶液を得た。この溶液にD−酒石酸を1.200g(8mmol)加え、80℃付近を維持するよう加熱しながら2〜3分間撹拌した。得られた溶液を室温にて自然冷却し、白色固体を得た。遠心分離器を用いて蒸留水で2回、IPA(イソプロパノール)で2回洗浄してからこの白色固体を回収した。これはPEIとD−酒石酸(D−Tart)との酸塩基型のキラル超分子結晶であり、以降これをPEI/D−Tartと呼ぶ。その後、この白色固体に蒸留水80mLを加え、PEI/D−Tartの分散液を得た。
この分散液にテトラメトキシシラン(TMOS)を12mL滴下し、室温で3.5時間撹拌した。その後、遠心分離器を用いて蒸留水で2回、IPAで2回洗浄することで洗浄してから白色固体を回収した。この白色固体は、キラル超分子結晶であるPEI/D−Tartの表面にTMOSの加水分解物の層が形成されたものであり、以降これをPEI/D−Tart@SiOと呼ぶ。その後、この白色固体を60℃にて一晩減圧乾燥して、PEI/D−Tart@SiOを得た。
また、D−酒石酸に代えてL−酒石酸を用いたこと以外は上記と同様の手順にて、PEI/L−Tart@SiOを得た。
[キラルシリカの調製]
PEI/D−Tart@SiOをセラミック製容器に入れ、これを空気雰囲気下において5時間かけて800℃まで昇温し、その後3時間この温度を保持し焼成した。これにより、キラルなシリカであるD−SiOを得た。同様の操作をPEI/L−Tart@SiOについても行い、キラルなシリカであるL−SiOを得た。
[キラルな固体複合体の調製(キラルシリカの還元)]
0.20gのD−SiOと0.20gのマグネシウム粉末とを乳鉢に入れ(モル比:SiO:Mg=1:2.5)、10分間乳棒で摺り合わせて灰色粉末を得た。その灰色粉末をセラミック製容器に入れ、アルゴン雰囲気下にて600℃まで10℃/minの昇温速度で加熱した後、3時間その温度を保持した。冷却後、得られた固体を、エタノールを溶媒とした1M塩酸中に投入し、一晩撹拌した。その後、遠心分離器を用いて蒸留水で1回、アセトンで1回洗浄してから固体を回収した。この固体を60℃にて一晩減圧乾燥して、キラルな固体複合体であるD−SiO−Si粉末を得た。また、加熱温度を500℃とし、反応時間を6時間として同様の操作を行った。さらに、D−SiOに代えてL−SiOを用いて、600℃及び500℃のそれぞれの反応温度について同様の操作を行い、キラルな固体複合体であるL−SiO−Si粉末を得た。このように、D−体及びL−体の2種について、それぞれ600℃及び500℃で加熱処理を行って4種のキラルな固体複合体を得た。これらのサンプルのそれぞれについて、表1に示すサンプル名を付与するものとした。
[キラルな金属シリコンの調製]
600℃の加熱処理を行って得られたL−SiO−Si−600粉末を、フッ化水素酸を含む溶液(10mLの水+10mLのアセトン+2mLの10wt%HF)に加え、10時間撹拌した後に遠心分離器を用いて蒸留水で1回、アセトンで1回洗浄してから固体を回収した。この固体を60℃にて一晩減圧乾燥して、キラルな金属シリコンであるL−Si粉末を得た。
[粉末XRD測定]
L−SiO−Si−600、L−SiO−Si−500、D−SiO−Si−600及びD−SiO−Si−500のそれぞれについて、粉末X線回折(XRD)の測定を行った。その結果を図1に示す。図1に示すように、L−体及びD−体のいずれについても回折ピークが観察され、これらのサンプルが結晶性を備えていることがわかる。そして、いずれについても熱処理温度が500℃のものよりも600℃のものの方がより大きな回折ピークを示したことから、このピークを示す結晶は還元処理の際の熱処理で成長したものと考えられ、この変化が、還元で生成した金属シリコンの結晶が成長するのに伴ってもたらされたものと推察された。
[固体円二色性(CD)スペクトル測定]
PEI/L−Tart@SiO及びPEI/D−Tart@SiOのそれぞれについて、KCl中にサンプルを40質量%の濃度で分散させた粉末を調製し、円二色性(CD)スペクトル測定を行った。その結果を図2に示す。また、L−SiO−Si−600、L−SiO−Si−500、D−SiO−Si−600及びD−SiO−Si−500のそれぞれについて、KCl中にサンプルを7.6質量%の濃度で分散させた粉末を調製し、CDスペクトル測定を行った。その結果を図3に示す。さらに、L−SiO−Si−600、L−SiO−Si−500、D−SiO−Si−600及びD−SiO−Si−500のそれぞれについて、上記のCDスペクトル測定の際に同時に測定された紫外−可視吸収スペクトルを図4に示す。
図2及び図3に示すように、測定したサンプルのいずれも紫外又は可視光領域に円二色性が観察され、これらのスペクトルはL−体とD−体とで互いに正負が反転していることがわかる。このことから、これらのサンプルではキラルな超分子結晶を鋳型としたことによるキラリティーが保持されていることがわかる。とりわけ、L−又はD−Tart@SiOを還元処理して得られたL−又はD−SiO−Siの各サンプルでは、還元処理を経てもなおキラリティーが維持されており、さらに驚くべきことに、還元前のL−又はD−Tart@SiOが40質量%のサンプル濃度でCD信号が得られている(図2)のに対して、これを還元したL−又はD−SiO−Siの各サンプルではわずか7.6質量%のサンプル濃度で十分な強度のCD信号が得られる結果となった(図3)。このことから、還元して得られた金属シリコンが高度なキラリティーを備えていることが理解できる。また図3を参照すると、500℃で還元処理を行ったサンプルよりも、上記のように金属シリコンの結晶化がより進んでいると考えられる600℃のサンプルの方が大きなCD信号を示していることがわかり、このキラリティーが金属シリコンの結晶配列に基づいて発現されているものと推察される。
次に、キラルな金属シリコンであるL−Siについて、KCl中にサンプルを5質量%未満となる濃度で分散させた粉末を調製し、CDスペクトル測定を行った。その結果を図5に示す。なお、図5では、比較のためにL−SiO−Si−600のCDスペクトルの結果(図3に示したものと同じであり、測定濃度7.6質量%である。)も併せて示している。図5を参照するとわかるように、シリカをフッ化水素酸で除去したL−Siについても、その処理前となるL−SiO−Si−600と同符号のCD信号が観察され、キラリティーが保持されていることがわかる。このことから、本発明の製造方法により、キラリティーを備えた金属シリコンが調整可能であることが理解される。
[透過型電子顕微鏡(TEM)による結晶の観察]
キラルな固体複合体であるL−SiO−Si−600、及びキラルな金属シリコンであるL−Siのそれぞれについて透過型電子顕微鏡(TEM)による観察を行った。L−SiO−Si−600についての観察結果を図6に、L−Siについての観察結果を図7にそれぞれ示す。なお、図6及び図7のいずれについても、低分解率での画像を上段に示し、高分解率での画像を下段に示した。
図6及び図7に示すように、キラルな固体複合体であるL−SiO−Si−600、及びキラルな金属シリコンであるL−Siのいずれについても、高分解率の画像を参照すると珪素の結晶に由来する格子縞が明確に観察された。このことから、キラルな固体複合体及びキラルな金属シリコンのいずれについても、そこに含まれる珪素が結晶状体であることが示された。また、TEM観察中のサンプルをEDXにより分析したところ、L−Siサンプルの珪素含有量は89.22質量%であり、酸素含有量は10.77質量%だった。このことは、金属シリコンの表面が酸化された状態(Si−OHやSi−O−Si結合)となっていることを示唆すると考えられる。

Claims (8)

  1. 主として珪素からなり、前記珪素が結晶性であって、200〜800nmの波長範囲の少なくともいずれかにおける円二色性スペクトル測定において円二色性が観察されることを特徴とするキラルな固体金属。
  2. 粉末である請求項1記載のキラルな固体金属。
  3. 主として珪素及び酸化珪素からなり、前記珪素が結晶性であって、200〜800nmの波長範囲の少なくともいずれかにおける円二色性スペクトル測定において円二色性が観察されることを特徴とする、金属及びその酸化物のキラルな固体複合体。
  4. 粉末である請求項3記載の金属及びその酸化物のキラルな固体複合体。
  5. 直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマー及びキラルなジカルボン酸化合物を反応させて酸塩基型錯体のキラル超分子結晶を得る結晶生成工程と、
    前記キラル超分子結晶に加水分解性の珪素化合物を作用させるゾルゲル法により、前記キラル超分子結晶の表面に前記珪素化合物の加水分解物の層を形成させるゾルゲル工程と、
    前記ゾルゲル工程を経たキラル超分子結晶を焼成することで、有機物であるキラル超分子結晶を分解させるとともに前記加水分解物の層をシリカに転換させてシリカの構造体を得る焼成工程と、
    前記シリカの構造体と還元剤との混合物を調製した後、この混合物を加熱して前記構造体に含まれるシリカの一部を還元することで、シリカ及び珪素を含んだ固体複合体を得る還元工程と、
    前記還元工程を経た固体複合体にフッ化水素酸を作用させ、前記還元工程で還元されなかったシリカを溶解除去して主として珪素からなる固体金属を得る除去工程と、を備えたキラルな固体金属の製造方法。
  6. 前記還元剤がマグネシウムの粉末である請求項5記載のキラルな固体金属の製造方法。
  7. 直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマー及びキラルなジカルボン酸化合物を反応させて酸塩基型錯体のキラル超分子結晶を得る結晶生成工程と、
    前記キラル超分子結晶に加水分解性の珪素化合物を作用させるゾルゲル法により、前記キラル超分子結晶の表面に前記珪素化合物の加水分解物の層を形成させるゾルゲル工程と、
    前記ゾルゲル工程を経たキラル超分子結晶を焼成することで、有機物であるキラル超分子結晶を分解させるとともに前記加水分解物の層をシリカに転換させてシリカの構造体を得る焼成工程と、
    前記シリカの構造体と還元剤との混合物を調製した後、この混合物を加熱して前記構造体に含まれるシリカの一部を還元することで、シリカ及び珪素を含んだ固体複合体を得る還元工程と、を備えたキラルな固体複合体の製造方法。
  8. 前記還元剤がマグネシウムの粉末である請求項7記載のキラルな固体複合体の製造方法。
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