JP2016078136A - 超硬工具 - Google Patents

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【課題】工具寿命を向上可能な超硬工具を提供する。【解決手段】超硬工具1は、焼結体2を備える。焼結体2は、超硬合金成分と、窒化物生成成分とを含有する。超硬合金成分は、WC、Co、TiC及びTaCからなる群から選択される2種以上からなり、少なくともWC及びCoを含有する。窒化物生成成分は、下記の第1〜第3群から選択される2種以上からなり、少なくとも第1群から選択される1種及び第2群から選択される1種を含有する。超硬合金成分を100質量%とした場合の窒化物生成成分の総含有量は0.7〜3.0質量%である。焼結体2は、上記窒化物生成成分の窒化物を含む窒化層3を表層に備える。第1群:Al、Ti及びV第2群:Cr及びSi第3群:B、Nb及びZr【選択図】図1

Description

本発明は、超硬工具に関し、さらに詳しくは、高硬度鋼材加工用の超硬工具に関する。
高硬度鋼材等の鋼材を加工するために、超硬工具が利用される。超硬工具はたとえば、ねじ切削工具、冷間引き抜きプラグ及びビレット穿孔工具等である。鋼材を加工する際、超硬工具と被加工鋼材との摩擦により、超硬工具に機械的摩耗が生じる。特に、高硬度鋼材を切削加工する際は、超硬工具の機械的摩耗が早く、刃先欠損が著しい。そのため工具寿命が短くなる傾向がある。
超硬工具の工具寿命を向上する技術が、たとえば、特許第4638373号公報(特許文献1)、及び、特許第3621943号公報(特許文献2)に提案されている。これらの文献では、物理蒸着法により、硬質の保護膜を超硬工具等の表面に形成する。
具体的には、特許文献1に開示された切削工具インサートは、超硬合金のボディの表面に、物理蒸着層を形成する。物理蒸着層は、正方晶又は立方晶のジルコニアと、ジルコニアを取り囲む結晶質又は非晶質のアルミナとからなる金属酸化物である。
特許文献2では、物理蒸着法を用いて、工具等の基材上に高硬度被膜を形成する。高硬度被膜は、Al、Cr及びSiを主成分とする金属窒化物からなり、1000℃以上での耐摩耗性に優れる、と記載されている。
上述の硬質保護層を形成して、超硬工具の工具寿命を向上する技術は数多く提案されている。一方、特開2002−210525号公報(特許文献3)は、上述の技術とは異なる技術を提案する。特許文献3に開示された超硬工具は、WC(炭化タングステン)の粉末をCo(コバルト)で焼結成形した超硬合金に窒化又は軟窒化処理を施す。この場合、超硬合金のCoに微量ながら含まれる不純物(Fe、Mo等)が窒化され、表面の硬度が高くなる、と記載されている。
特開昭62−250134号公報(特許文献4)では、炭化タングステンのほかに、(W、M)XCからなるイータ相(M:金属成分)が分散した組織を有する炭化タングステン基超硬合金に、液相出現温度以上の温度で浸炭、窒化、あるいは浸炭窒化処理する。これにより、耐クラック伝播性に優れた超硬合金が製造される、と記載されている。
特許第4638373号公報 特許第3621943号公報 特開2002−210525号公報 特開昭62−250134号公報
しかしながら、上述の特許文献1〜4に開示された超硬工具であっても、十分な耐摩耗性及び潤滑性が得られない場合がある。この場合、工具寿命を向上しにくい。
本発明の目的は、工具寿命を向上可能な超硬工具を提供することである。
本実施形態による超硬工具は、焼結体を備える。焼結体は、超硬合金成分と、窒化物生成成分とを含有する。超硬合金成分は、WC、Co、TiC及びTaCからなる群から選択される2種以上からなり、少なくともWC及びCoを含有する。窒化物生成成分は、下記の第1〜第3群から選択される2種以上からなり、少なくとも第1群から選択される1種及び第2群から選択される1種を含有する。超硬合金成分を100質量%とした場合の窒化物生成成分の総含有量は0.7〜3.0質量%である。焼結体は、上記窒化物生成成分の窒化物を含有する窒化層を表層に備える。
第1群:Al、Ti及びV
第2群:Cr及びSi
第3群:B、Nb及びZr
本実施形態による超硬工具は、耐摩耗性及び潤滑性に優れる。そのため、優れた工具寿命を有する。
図1は、本実施形態による超硬工具の断面図である。 図2は、図1とは異なる、他の実施形態による超硬工具の断面図である。
以下、図面を参照して、本実施形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[超硬工具]
図1は本実施形態による超硬工具の断面図である。図1を参照して、超硬工具1は焼結体2からなる。焼結体2は、表層に窒化層3を備える。窒化層3は、焼結体2に対して窒化処理を実施することにより形成される。
[焼結体]
焼結体2は、超硬合金成分と、窒化物生成成分とを含有する。
[超硬合金成分]
超硬合金成分は、WC、Co、TiC及びTaCからなる群から選択される2種以上からなり、少なくともWC及びCoを含有する。
炭化タングステン(WC)は、高硬度及び高融点の炭化物であり、靱性及び抗折強度に優れる。そのため、WCは、主に重切削の環境下で工具寿命を向上する。さらに、WCの熱伝導率が高いため、切削等の加工時に、超硬工具1に発生する摩擦熱を外部へ逃がすことができる。コバルト(Co)はWCの結晶粒の粒界に介在する。CoはWC結晶粒のバインダ(結合材)として機能し、WC結晶粒の粒界すべり強度を高める。
超硬合金成分はさらに、任意の成分として、炭化チタン(TiC)又は炭化タンタル(TaC)を含有してもよい。TiCはWCと比較して硬度が高い。そのため、TiCを含有した場合、超硬工具の強度が向上する。タンタル(Ta)はW及びTiと比較して、炭化物を生成し易い。Cが、WC及びTiCの生成に必要な量よりも多く含有された場合、Taは過剰分の炭素(C)と結合して化学的に安定なTaCを形成する。過剰分のCが遊離した状態で残存すると、WCの結晶粒界に存在して脆弱層となり、超硬工具の強度を低下させる可能性がある。Taは、過剰分のCと結合して遊離状態のCを低減するため、遊離状態のCによる超硬工具の強度の低下を抑制できる。したがって、超硬合金成分はWC及びCoとともに、TiC及びTaCのいずれか1種以上を含有するのが好ましい。
[窒化物生成成分]
窒化物生成成分は、下記第1〜第3群から選択される2種以上からなり、少なくとも第1群から選択される1種及び第2群から選択される1種を含有する。
第1群:Al、Ti及びV
第2群:Cr及びSi
第3群:B、Nb及びZr
[第1群]
第1群のアルミニウム(Al)、チタン(Ti)及びバナジウム(V)は、Nとの親和力が大きい。そのため、焼結体2を窒化処理した場合に、第1群の元素は安定な窒化物を形成する。第1群の元素の窒化物は優れた硬さを有するため、焼結体2を窒化処理すれば、表層に形成される窒化層の硬さが高まる。第1群の元素の窒化物は、焼結体2の最表層、具体的には、表面から数10nm〜数μmの厚みの範囲に特に生成する。
[第2群]
第2群のクロム(Cr)及びシリコン(Si)も、Nと親和力が大きい。そのため、第2群の元素も、安定な窒化物を形成する。第2群の元素の窒化物は、第1群の元素の窒化物よりも、表面から深い範囲に生成しやすい。具体的には、第2群の元素の窒化物は、焼結体2の表面から100μm深さの範囲に生成する。
窒化物生成成分は、少なくとも第1群から選択される1種及び第2群から選択される1種を含有する。そのため、窒化処理により形成される窒化層の全体に窒化物が形成される。具体的には、窒化層の表面に向かうにしたがって、第2群の元素の窒化物だけでなく、第1群の元素の窒化物が増加する。
[第3群]
第3群のボロン(B)、ニオブ(Nb)及びジルコニウム(Zr)は任意元素であり、含有されなくてもよい。第3群の元素も窒化物を形成する。これらの元素の窒化物は、窒化層の最表層に形成されやすい。
[窒化物生成成分の総含有量]
超硬合金成分を100質量%とした場合の窒化物生成成分の総含有量は、0.7〜3.0質量%である。窒化物生成成分の総含有量が低すぎれば、窒化処理により生成される窒化物が少なすぎる。この場合、窒化層の硬度が低い。一方、窒化物生成成分の総含有量が高すぎれば、窒化物が過剰に生成される。この場合、焼結体2に含まれる窒化物が過剰に表面に析出するため、表面粗さが粗くなる。表面粗さが粗ければ、摩擦係数が高くなり、潤滑性が低下する。したがって、窒化物生成成分の総含有量は0.7〜3.0質量%である。窒化物生成成分の総含有量の好ましい下限は1.0質量%である。
[窒化層]
焼結体2は、窒化層3を表層に備える。窒化層3は焼結体2の一部である。窒化層3は、焼結体2を窒化処理することにより形成される。上述のとおり、窒化層3は、窒化物生成成分の窒化物を含有する。そのため、窒化層3は優れた硬さを有する。
焼結体2の表層である窒化層3の硬度が高ければ、切削等の加工時の摩擦に対して超硬工具の摩耗が少ない。したがって、超硬工具の耐摩耗性が高まる。耐摩耗性が高まれば、超硬工具の工具寿命が向上する。
窒化層3はさらに、潤滑性に優れる。潤滑性が低ければ、切削時に刃先が欠けるチッピングが発生し易くなる。チッピングの大きいものは、欠損とよばれる。欠損した超硬工具は、欠損部分又は全体を交換する必要がある。そのため、潤滑性が低いと超硬工具の工具寿命が短くなる。窒化層3は、0.7〜3.0質量%の総含有量の窒化物生成成分により形成された窒化物を含有するため、潤滑性に優れる。そのため、超硬工具1の工具寿命が向上する。窒化層3の厚さはたとえば、100μm以下である。窒化層3の厚みを100μmよりも大きくした場合でも、窒化層3の耐摩耗性及び潤滑性は高い。しかし、窒化層3の厚みを100μmよりも大きくした場合には、窒化処理の時間が長くなり、処理コストが増大する。
[硬質保護層]
図2は、図1とは異なる他の超硬工具10の断面図である。図2の超硬工具10は、図1の超硬工具1と比較して、硬質保護層4を窒化層3上に備える。超硬工具10のその他の構成は、超硬工具1と同じである。
硬質保護層4は、超硬工具10の耐摩耗性及び潤滑性をさらに高める。硬質保護層4は、金属窒化物、金属炭化物、金属炭窒化物及び金属酸化物からなる群から選択される1種以上を含有する。硬質保護層4はたとえば、TiやAlを含む金属窒化物、金属炭化物、
金属炭窒化物、金属酸化物又はこれらの複合化合物である。硬質保護層4は、焼結体2と同等又はそれ以上の硬さを有する。硬質保護層4はさらに、切削等の加工環境下において十分な化学的安定性を有する。そのため、加工対象材、たとえば、高硬度鋼材との凝着が抑制される。
硬質保護層4は、窒化層3上に単層又は複層で形成される。硬質保護層4の表面は、下地となる窒化層3の表面性状の影響を受ける。
超硬工具が硬質保護層4を備える場合、窒化物生成元素の含有量の下限を1.0質量%とするのが好ましい。1.0質量%以上含有することによって、窒化層3と硬質保護層4との密着力が向上する。
[製造方法]
本実施形態の超硬工具の製造方法の一例を説明する。本実施形態の超硬工具の製造方法は、焼結体を製造する工程と、窒化処理工程とを備える。超硬工具が硬質保護層4を備える場合はさらに、成膜工程を備える。以下、各工程を詳述する。
[焼結体の製造工程]
初めに、焼結体2を製造する。焼結体2の製造方法は特に限定されない。たとえば、上述の超硬合金成分及び窒化物生成成分を含有した原料の炭化物及び金属粉末を、整粒及び混合して混合原料を製造する。混合原料を所定形状の金型で加圧成形して打ち抜きする。得られた成形体を真空中で焼成して、焼結体2を製造する。
[窒化処理工程]
焼結体2に対して窒化処理を実施する。窒化処理は周知の方法を採用できる。たとえば、電気炉内に焼結体2、NH3ガス、N2ガス及び必要に応じてCO2ガスを導入する。電気炉内を500〜550℃に加熱して窒化処理を実施する。加熱時間は特に限定されないが、2時間程度が好ましい。加熱により、NH3ガスからN原子が乖離する。乖離したN原子が焼結体2の表面から内部に侵入し、拡散する。さらに、焼結体2内部に存在する窒化物生成成分がN原子と結合して、窒化物が形成され、焼結体2の表層に、窒化物を含有する窒化層3が形成される。CO2ガスを炉内へ導入した場合は、C原子が乖離する。乖離したC原子は窒化物の生成領域を拡げる。C原子により、窒化層3の安定形成が促進される。以上の工程により、本実施形態の超硬工具を製造できる。
[成膜工程]
さらに、窒化層3の上に硬質保護層4を形成する場合、成膜工程を実施する。具体的には、窒化層3を備えた焼結体2に対して、周知の成膜工程を実施する。たとえば、物理蒸着法、化学蒸着法及び溶融塩浴処理法のいずれかを実施する。物理蒸着は、たとえば以下の方法で行うことができる。硬質保護層4を構成する金属元素を用いた混合粉末を、円板形状に加圧成形して成形体を製造する。成形体を真空焼結後、スパッタ法又はアークイオンプレーテイング法を用いて、金属成分から金属イオンを電磁気的に励起させる。その後、装置気相中に窒素ガス等を充填させる。充填された窒素ガスは、分解して窒素イオンとなる。励起した金属イオンは、直流バイアス電源制御により負に帯電した焼結体2の表面に引き付けられる。上述の窒素イオンと金属イオンとが焼結体2の表面で化学結合することにより、窒化層3の表面に硬質保護層4が形成される。
[焼結体作製]
2種類の基材を作製した。基材Aは、超硬合金成分として、WC:85質量%、Co:10質量%、TiC:3質量%、TaC:2質量%を混合した。基材Bは、超硬合金成分として、WC:90質量%、Co:10質量%を混合した。基材A又はBに、表1に示す窒化物生成成分を添加し、各試験番号の混合原料を製造した。
Figure 2016078136
混合原料を整粒及び混合し、200MPaで加圧成形した。得られた成形体に対して、大気中にて、1000℃で仮焼結を実施した。加熱時間は2時間であった。仮焼結後の成形体に対して、真空中にて、1500〜1700℃で本焼結を実施して焼結体を製造した。加熱時間は2時間であった。得られた焼結体をNH3ガス、N2ガスとCO2ガスを導入した電気炉で500〜550℃に加熱し、窒化処理を実施し、窒化層を形成して超硬工具を製造した。窒化処理における均熱時間は2時間であった。
[ビッカース硬さ試験]
窒化層が形成された各超硬工具に対して、ビッカース硬さを測定した。ビッカース硬さはJIS規格Z2244(2009)に基づいて実施し、試験荷重は9.80N(1kgf)とした。測定結果を表1に示す。
[表面粗さ測定試験]
各試験番号の窒化層の表面粗さを測定した。具体的には、表面粗さ触針(ダイアモンド製;外径25μm)を用い、室温、荷重;0.1N、測定速度;0.5mm/秒として、窒化層の任意表面を試験片の長手方向及び長手方向と直交する方向の双方10mm長で計測し、双方向の平均値を以て表面粗さとした。表面粗さは、JIS規格B0601(1994)に定める「算術平均粗さ;Ra」を採用した。測定結果を表1に示す。
[摩擦係数測定試験]
窒化層が形成された超硬工具に対して、摩擦係数を測定した。摩擦係数の測定は、バウデン式滑り試験機を使用した。荷重5N、室温、速度4mm/秒、摺動材;直径5mmのSUJ−2鋼球、摺動長さ;8mmを摺動条件として測定した。測定結果を表1に示す。
[成膜工程]
各試験番号の超硬工具の窒化層上に硬質保護層を成膜した。成膜工程として物理蒸着法(PVD)を用いた。Ti及びAlを用いた混合粉末を、円板形状に加圧成形して成形体を製造した。成形体を真空焼結後、スパッタ法を用いて、金属成分を電気的に励起させた。その後、装置気相中に窒素ガスを充填させた。励起させた金属成分と焼結体の成分とを、窒化層の表面上にて化学結合させて、TiAl−Nからなる硬質保護層を3.0μm厚で成膜した。
[ナノ硬度測定試験]
硬質保護層のナノ硬度を測定した。ナノ硬度の測定には、ナノインデンター(Agilent Technologies社製、XP/DCM)を用いた。押込圧子;ダイアモンド製バーコビッチ型を用いて、以下の条件で測定した。押込方法;連続剛性方式、荷重;200μN、振動周波数;45Hz、振動振幅幅;2nm、最大押込深さ;1.0μm、室温、測定15箇所(間隔は70μm)。押込深さ200nm地点のナノ硬度を、硬質保護層のナノ硬度と定義した。結果を表1に示す。
[硬質保護層の表面粗さ、摩擦係数測定試験]
硬質保護層が形成された超硬工具に対して、表面粗さ及び摩擦係数を測定した。表面粗さ及び摩擦係数の測定試験は、上述の表面粗さ測定試験及び摩擦係数測定試験と同様に行った。結果を表1に示す。
[硬質保護層密着力測定試験]
硬質保護層の窒化層に対する密着力を測定した。密着力の測定には、スクラッチ式試験機を使用した。ダイアモンド製触針;外径200μmを荷重;0〜100N間で、室温、走査速度10mm/分、荷重速度100N/分で走査させた。異常振動信号が検出された荷重値と、走査動画写真にて硬質保護層の剥離もしくは破壊が確認された時点の荷重値とを比較して、低い方の荷重値を密着力として定義した。測定結果を表1に示す。
[評価結果]
評価結果を表1に示す。表1を参照して、試験番号3〜13及び16の超硬工具の窒化物生成成分の総含有量は適切であった。そのため、窒化処理後において、試験番号3〜13及び16のビッカース硬さは2000以上であり、優れた耐摩耗性を示した。さらに、窒化処理後の試験番号3〜13及び16の超硬工具の表面粗さRaは0.40μm未満、摩擦係数は0.50未満であり、優れた潤滑性を示した。
一方、試験番号1の超硬工具は、第2群の窒化物生成成分を含有しなかった。試験番号2の超硬工具は、第1群の窒化物生成成分を含有しなかった。試験番号17の超硬工具は、窒化物生成成分を含有しなかった。そのため、窒化処理後のビッカース硬さは低く、2000未満であった。窒化物が十分に生成されなかったためと考えられる。
試験番号14及び15の超硬工具は、窒化物生成成分の総含有量が3.0質量%を超えた。そのため、窒化処理後の表面粗さRaが0.40μm以上であった。試験番号14及び15の超硬工具は、表面粗さが粗いため、摩擦係数が0.50以上であり、潤滑性が低かった。
窒化処理に加え、さらに硬質保護層を成膜した場合、試験番号3〜13及び16の超硬工具のナノ硬度は20GPa以上であり、優れた耐摩耗性を示した。試験番号3〜13及び16の超硬工具は、窒化処理後のビッカース硬さが2000以上であった。そのため、窒化処理後のビッカース硬さが2000未満であった試験番号1、2及び17と比較して、硬質保護層成膜後のナノ硬度が高くなったと考えられる。つまり、硬質保護層を支える窒化層の硬度が影響したと考えられる。
硬質保護層成膜後の試験番号3〜13及び16の超硬工具の表面粗さRaは0.20μm未満、摩擦係数は0.40未満であり、窒化処理のみの場合と比較してさらに優れた潤滑性を示した。
試験番号14及び15の超硬工具は、成膜後であっても表面粗さRaが0.40μm以上、摩擦係数が0.50以上であり、潤滑性が低かった。窒化物が過剰に表面に析出し、窒化層の凹凸が大きくなったため、硬質保護層に窒化層の凹凸が反映され、表面が粗くなり、摩擦係数が高くなったと考えられる。
試験番号5〜13及び16の超硬工具では、窒化物生成成分の総含有量が1.0質量%以上であった。そのため、硬質保護層の密着力が100N超となった。
以上、本発明の実施の形態を説明した。しかしながら、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。したがって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変更して実施することができる。
1,10 超硬工具
2 焼結体
3 窒化層
4 硬質保護層

Claims (2)

  1. WC、Co、TiC及びTaCからなる群から選択される2種以上からなり、少なくともWC及びCoを含有する超硬合金成分と、第1〜第3群から選択される2種以上からなり、少なくとも前記第1群から選択される1種及び前記第2群から選択される1種を含有し、前記超硬合金成分を100質量%とした場合の総含有量が0.7〜3.0質量%である窒化物生成成分とを含有する焼結体を備え、
    前記焼結体は、前記窒化物生成成分の窒化物を含む窒化層を表層に備える、超硬工具。
    第1群:Al、Ti及びV
    第2群:Cr及びSi
    第3群:B、Nb及びZr
  2. 請求項1に記載の超硬工具であってさらに、
    金属窒化物、金属炭化物、金属炭窒化物及び金属酸化物からなる群から選択される
    1種以上を含有する硬質保護層を前記窒化層上に備える、超硬工具。
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