JP2016077295A - 生物及び物質の製造方法 - Google Patents

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福田 裕章
Hiroaki Fukuda
裕章 福田
昌彦 池内
Masahiko Ikeuchi
昌彦 池内
雅夫 永久保
Masao Nagakubo
雅夫 永久保
侑 広瀬
Yu Hirose
侑 広瀬
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Abstract

【課題】生物の増殖と、物質の生産とを適切に制御することができる生物及び物質の製造方法を提供すること。
【解決手段】生物の増殖に関する増殖関与領域と、第1の化合物と結合することを条件に前記増殖関与領域を発現させる第1のプロモータ領域と、物質の生産に関与する物質生産関与領域と、第2の化合物と結合することを条件に前記物質生産関与領域を発現させる第2のプロモータ領域と、CcaS遺伝子領域と、CcaR遺伝子領域と、RcaE遺伝子領域と、RcaF遺伝子領域と、RcaC遺伝子領域と、をDNAに備え、前記第1の化合物、及び前記第2の化合物のうちの一方は、緑色光を照射したとき生じるリン酸化したCcaRであり、他方は、赤色光を照射したときに生じるリン酸化したRcaCである生物。
【選択図】図1A

Description

本発明は生物及び物質の製造方法に関する。
近年、環境問題等の観点から、燃料等の用途に使用可能な物質を、生物を用いて生産する技術が注目されている。特許文献1には、独立栄養有機体を用いて、ブタノール等の物質を生産する方法が開示されている。
特表2014−501109号公報
生物を用いて物質を効率的に生産するには、生物自体の増殖と、生物による物質の生産とを適切に制御する必要がある。本発明は以上の点に鑑みなされたものであり、上記の制御が容易である生物、及び物質の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の局面の生物は、そのDNAに、生物の増殖に関する増殖関与領域と、第1の化合物と結合することを条件に増殖関与領域を発現させる第1のプロモータ領域と、物質の生産に関与する物質生産関与領域と、第2の化合物と結合することを条件に物質生産関与領域を発現させる第2のプロモータ領域と、CcaS遺伝子領域と、CcaR遺伝子領域と、RcaE遺伝子領域と、RcaF遺伝子領域と、RcaC遺伝子領域とを備える。
そして、第1の化合物、及び第2の化合物のうちの一方は、緑色光を生物に照射したとき生じるリン酸化CcaRであり、他方は、赤色光を生物に照射したときに生じるリン酸化RcaCである。
本発明の第1の局面の生物は、緑色光の照射の有無に応じてオン/オフが切り替わる光スイッチの機能と、赤色光の照射の有無に応じてオン/オフが切り替わる光スイッチの機能とを有する。この光スイッチは、遺伝子スイッチである。
本発明の第1の局面の生物は、緑色光の照射の有無に応じてオン/オフが切り替わる光スイッチの機能により、生物の増殖と、物質の生産のうちの一方を促進したり、抑制したりすることができる。また、本発明の第1の局面の生物は、赤色光の照射の有無に応じてオン/オフが切り替わる光スイッチの機能により、生物の増殖と、物質の生産のうちの前記一方とは異なる他方を促進したり、抑制したりすることができる。
よって、本発明の第1の局面の生物は、生物自体の増殖と、物質の生産とを容易に制御することができる。
本発明の第2の局面の生物は、そのDNAに、生物の増殖に関する増殖関与領域と、リン酸化CcaRと結合することを条件に増殖関与領域を発現させるプロモータ領域と、物質の生産に関与する物質生産関与領域と、リン酸化CcaRと結合することを条件に物質生産関与領域の発現を抑制する発現抑制領域と、CcaS遺伝子領域と、CcaR遺伝子領域とを備える。本発明の第2の局面の生物は、第1の局面の生物と同様の効果を奏する。
本発明の第3の局面の生物は、そのDNAに、生物の増殖に関する増殖関与領域と、リン酸化CcaRと結合することを条件に増殖関与領域の発現を抑制する発現抑制領域と、物質の生産に関与する物質生産関与領域と、リン酸化CcaRと結合することを条件に物質生産関与領域を発現させるプロモータ領域と、CcaS遺伝子領域と、CcaR遺伝子領域とを備える。本発明の第3の局面の生物は、第1の局面の生物と同様の効果を奏する。
本発明の第4の局面の生物は、そのDNAに、生物の増殖に関する増殖関与領域と、リン酸化RcaCと結合することを条件に増殖関与領域を発現させるプロモータ領域と、物質の生産に関与する物質生産関与領域と、リン酸化RcaCと結合することを条件に物質生産関与領域の発現を抑制する発現抑制領域と、RcaE遺伝子領域と、RcaF遺伝子領域と、RcaC遺伝子領域とを備える。本発明の第4の局面の生物は、第1の局面の生物と同様の効果を奏する。
本発明の第5の局面の生物は、そのDNAに、生物の増殖に関する増殖関与領域と、リン酸化RcaCと結合することを条件に増殖関与領域の発現を抑制する発現抑制領域と、物質の生産に関与する物質生産関与領域と、リン酸化RcaCと結合することを条件に物質生産関与領域を発現させるプロモータ領域と、RcaE遺伝子領域と、RcaF遺伝子領域と、RcaC遺伝子領域とを備える。本発明の第5の局面の生物は、第1の局面の生物と同様の効果を奏する。
本発明の物質の製造方法は、上記の生物のいずれかを用いて、物質を製造する。本発明の物質の製造方法によれば、生物の増殖と、物質の生産とを適切に制御し、物質を効率的に製造することができる。
遺伝子カセット1をDNAに導入する方法を表す説明図である。 遺伝子カセット1が導入されたDNAを表す説明図である。 増幅断片をpMD20プラスミドのTAクローニングサイトにライゲーションする方法を表す説明図である。 第1のシアノバクテリアおよび野生株のシアノバクテリアにおける増殖曲線を表すグラフである。 遺伝子断片をプラスミドライゲーションにより挿入する方法を表す説明図である。 第3のシアノバクテリアの増殖曲線を表すグラフである。 培地中のIBA濃度を表す表である。 炭素代謝を表す説明図である。 遺伝子カセット1をDNAに導入する方法を表す説明図である。 遺伝子カセット1が導入されたDNAを表す説明図である。 第4のシアノバクテリアの増殖曲線を表すグラフである。 第6のシアノバクテリアの増殖曲線を表すグラフである。 培地中のIBA濃度を表す表である。 CcaS/Rシステムの遺伝子コンストラクタを表す説明図である。 SycpcG2遺伝子の発現量を表すグラフである。 SycpcG2遺伝子の波長依存性を表すグラフである。 遺伝子カセット101をDNAに導入する方法を表す説明図である。 遺伝子カセット101が導入されたDNAを表す説明図である。 緑色光下での遺伝子組み換えシアノバクテリアの増殖曲線を表すグラフである。 赤色光下での遺伝子組み換えシアノバクテリアの増殖曲線を表すグラフである。 遺伝子組み換えシアノバクテリアの増殖曲線を表すグラフである。 培地中のIBA濃度を表す表である。 コンストラクトの作成方法を表す説明図である。 遺伝子カセット201をDNAに導入する方法を表す説明図である。 遺伝子カセット201が導入されたDNAを表す説明図である。 遺伝子組み換えシアノバクテリアの増殖曲線を表すグラフである。 培地中のIBA濃度を表す表である。
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(実施例1)
1.遺伝子組み換えシアノバクテリアの製造
(1)増殖に関する光スイッチの導入
本実施例において光スイッチを導入する宿主には、シアノバクテリアであるSynechocystis sp. PCC 6803を用いた。導入する光スイッチは遺伝子スイッチである。本実施例では、改良NpCpeCプロモータ(配列番号1)を作成し、宿主に導入した。この改良NpCpeCプロモータは、Nostoc punctiforme ATCC 29133由来の、リン酸化CcaRを認識するCpeCプロモータにおけるSD領域の配列をAGGGGATTTからTAGTGGAGGに変更したものである。SD領域の配列を上記のように変更する目的は、蛋白質の翻訳効率を上げるためである。改良NpCpeCプロモータは、光スイッチプロモータとして機能する。
図1Aに示すように、この改良NpCpeCプロモータの5‘側の上流にカナマイシン薬剤耐
性遺伝子を配置した遺伝子カセット1を作製した。カナマイシン薬剤耐性遺伝子は、pRL161プラスミドからHincII処理により切り出したものである。
そして、図1A、図1Bに示すように、Synechocystis sp. PCC 6803におけるピルビン酸脱水素酵素のβサブユニットとそのプロモータ領域との間に、相同組換えで遺伝子カセット1を導入した。なお、図1A及び図1Bにおいて、pdhBはピルビン酸脱水素酵素のβサブユニットを表し、Kmはカナマイシン薬剤耐性遺伝子を表し、NpCpeC promoterは改良NpCpeCプロモータを表す。
次に、改良NpCpeCプロモータを光スイッチとして働かすために、Nostoc punctiforme ATCC 29133由来のCcaSとCcaR遺伝子をコードする領域をSynechocystis sp. PCC 6803に導
入した。具体的には、(配列番号2)と(配列番号3)とで示したプライマーを用いてNostocpunctiforme ATCC 29133からこの遺伝子領域をPCR増幅した後、得られた約6.2Kbpの増幅断片を、図2に示すように、pMD20プラスミド(TaKaRa製)のTAクローニングサイトにライゲーションした。
そして、プラスミドのMCSにおけるBamHIサイトに、pACYC184由来のクロラムフェニコール耐性カセットを挿入した。引き続き、MCSのPstI/NdeIサイトに、Synechocystis sp. PCC6803におけるCcaS遺伝子の上流の600bp領域を挿入した。また、MCSのKpnI/SacIサイトに、Synechocystis sp. PCC6803におけるCcaR遺伝子の下流の600bp領域を挿入した。
ここで、Synechocystis sp. PCC6803におけるCcaS遺伝子の上流の600bp領域は、配列番号4と配列番号5とでPCR増幅して得られる遺伝子断片である。また、Synechocystis sp. PCC6803におけるCcaR遺伝子の下流の600bp領域は、配列番号6と配列番号7とでPCR増幅して得られる遺伝子断片である。
Nostoc punctiforme ATCC 29133由来のCcaSとCcaR遺伝子とクロラムフェニコール
耐性遺伝子とを含む領域を相同組換えによりSynechocystis sp. PCC 6803に導入した。
ここで得られた遺伝子組換えSynechocystis sp.(以下では、第1のシアノバクテリア
とする)を、まず、緑色光を照射しながら培養し、次に、赤色光を照射しながら培養した。緑色光を照射するときは、赤色光は照射せず、赤色光を照射するときは、緑色光は照射しなかった。ここで緑色光とは、波長が500〜560nmの光である。また、赤色光とは、波長が620〜680nmの光である。
図3に、その際の第1のシアノバクテリア及び光スイッチを有してない野生株のシアノバクテリアの増殖曲線を示す。緑色光を照射しながら培養している間は第1のシアノバクテリアが増殖した。一方、赤色光を照射しながら培養している間は、第1のシアノバクテリアの増殖が抑制された。
以上のように、第1のシアノバクテリアは、増殖に関する光スイッチの機能を有する。光スイッチは以下のように働くと推定できる。Ccas遺伝子領域と、CcaR遺伝子領域とは、緑色光を照射したとき、リン酸化CcaRを生じる。そのリン酸化CcaRが改良NpCpeCプロモータと結合し、その改良NpCpeCプロモータが、ピルビン酸脱水素酵素のβサブユニットを発現させ、第1のシアノバクテリアの増殖を促進する。一方、緑色光を照射しないときは、上記の機序が働かず、増殖が抑制される。
(2)物質の生産に関する光スイッチの導入
次に、上記のようにして得た第1のシアノバクテリアに、Fremyella diplosiphon由来
のRcaE、RcaF、RcaC遺伝子を導入した。具体的には、RcaC遺伝子を含む領域を配列番号8
および配列番号9のプライマーでPCR増幅させ、pMD20プラスミド(TaKaRa製)のEcoRVクローニングサイトにTAクローニングした。
引き続き、RcaEとRcaF遺伝子を含む領域を配列番号10および配列番号11のプライマーでPCR増幅させ、NdeI制限酵素処理した上記プラスミドにIn-Fusion Advantage PCR Cloning
Kit(クロンテック社製)を用いてライゲーションした。
その後、プラスミドのMCSにおけるBamHIサイトにpRL453由来のスペクチノマイシン耐性カセットを挿入した。そして、Nostoc punctiforme ATCC 29133由来のCcaRにおける3’末端領域をSphI/SpeIサイトに挿入し、CcaR遺伝子における下流の600bp領域をKpnI/SacIサイトに挿入した。
ここで、Nostoc punctiforme ATCC 29133由来のCcaRにおける3’末端領域は、配列番号12と配列番号13とでPCR増幅して得られる564bpの遺伝子断片であり、CcaR遺伝子における下流の600bp領域は、配列番号6と配列番号7とでPCR増幅して得られる遺伝子断片である。
このFremyella diplosiphon由来のRcaE、RcaF、RcaC遺伝子と、スペクチノマイシン耐
性遺伝子とを含む領域を、相同組換えにより、上記のようにして得られた第1のシアノバクテリアに導入した。導入後のシアノバクテリアを第2のシアノバクテリアとする。上記の相同組換えにより、第2のシアノバクテリアはクロラムフェニコール耐性が無く、スペクチノマイシン耐性が付与されている。
そして、この第2のシアノバクテリアに導入するプラスミド(以下ではIBA生産用プラ
スミドとする)を、以下のステップで調製した。なお、このIBA生産用プラスミドは、イ
ソブチルアルデヒド(IBA)を生産させるためのものである。イソブチルアルデヒドは、生産する物質に対応する。
IBA生産用プラスミドの調製に使用したプラスミドは、pKUT1121の薬剤耐性領域(すなわち、制限酵素MluIで挟まれた領域)をストレプロマイシンからクロラムフェニコールに変更したpKUT3121である。なお、pKUT1121は、「光合成研究22(2) 2012 「代謝工学による新たなクロロフィル分子の合成」 京都大学大学院 人間・環境学研究科 土屋 徹」において開示された、周知のプラスミドである。
本実施例では、pKUT3121に4つの遺伝子を導入したDNAコンストラクトを作製した。4つの遺伝子は、kdc、alsS、ilvC、ilvDである。このDNAコンストラクトは、kdcとalsS遺伝子については、制限酵素サイトを利用したライゲーションを順次行って挿入し、ilvCとilvD遺伝子については、In-Fusion Advantage PCR Cloning Kit(クロンテック社製)を用いて、SpeIサイトに順次挿入することにより作製した。
kdc遺伝子については、(配列番号14)と(配列番号15)で示したプライマーを用いて
、乳酸菌(Lactococcus lactis)ゲノムDNAを鋳型としてPCR反応により取得した。取得したkdc遺伝子をXbaI-SpeIの制限酵素で切断し、pKUT3121のXbaIサイトに挿入した。
alsS遺伝子については、(配列番号16)と(配列番号17)で示したプライマーを用いて枯草菌(Bacillus subtillus)ゲノムDNAを鋳型としてPCR反応により取得した。取得したalsS遺伝子をXbaI-SpeIの制限酵素で切断し、kdc遺伝子を導入したpKUT3121のXbaIサイトに挿入した。
ilvC遺伝子については、(配列番号18)と(配列番号19)とで示したプライマーを用いて大腸菌(Escherichia coli)ゲノムDNAを鋳型としてPCR反応により取得した。
ilvD遺伝子については、(配列番号20)と(配列番号21)とで示したプライマーを用いて大腸菌(Escherichia coli)ゲノムDNAを鋳型としてPCR反応により取得した。なお、全てのPCR反応は、KOD plus ver.2 (TOYOBO)を用いた。
引き続き、kdcとilvDの3’側にSynechocystis sp. PCC6803におけるpbsA2遺伝子のターミネーターを挿入した。ilvD遺伝子の3’側に挿入する際は、配列番号22で示すDNA合成したターミネーターをNheIとSbfIで切断後、プラスミドのNheIとSbfIサイトにライゲーションにより挿入した。kdc遺伝子の3’側に挿入する際は、配列番号23に示すDNA合成したターミネーターをXbaIとSpeIで切断後、プラスミドのSpeIサイトに挿入した。
引き続き、Fremyella diplosiphon由来の光スイッチとなるCpc2プロモータ(配列番号24)をAlsS遺伝子とilvC遺伝子の5’側にそれぞれ挿入した。AlsS遺伝子の5’側に挿入する場合は、5’側にSacI制限酵素サイト、3’側にXbaI制限酵素サイトをつけたCpc2プロモータを準備し、遺伝子断片とプラスミドをそれぞれ制限酵素で切断してライゲーションにより導入した。
ilvC遺伝子の5’側に挿入する場合は、図4に示すように、5’側にSpeI制限酵素サイト、3’側にBamHI制限酵素サイトをつけたCpc2プロモータを準備し、遺伝子断片とプラスミドをそれぞれ制限酵素で切断してライゲーションにより挿入した。
以上のステップで調製したIBA生産用プラスミドを、前述した第2のシアノバクテリア
に、接合法により導入した。IBA生産用プラスミドを導入後のシアノバクテリアを第3の
シアノバクテリアとする。
なお、第3のシアノバクテリアは、生物の増殖に関する増殖関与領域として、ピルビン酸脱水素酵素のβサブユニットを備える。
また、第3のシアノバクテリアは、緑色光を照射したとき生じるリン酸化CcaRと結合することを条件に前記増殖関与領域を発現させる第1のプロモータ領域として、改良NpCpeCプロモータを備える。なお、リン酸化CcaRは第1の化合物に対応する。
また、第3のシアノバクテリアは、IBAの生産に関与する物質生産関与領域として、IBA生産用プラスミドを備える。
また、第3のシアノバクテリアは、赤色光を照射したときに生じるリン酸化RcaCと結合することを条件に前記物質生産関与領域を発現させる第2のプロモータ領域として、Cpc2プロモータを備える。なお、リン酸化RcaCは、第2の化合物に対応する。
また、第3のシアノバクテリアは、CcaS遺伝子領域と、CcaR遺伝子領域とを備える。これらは、緑色光を照射したとき、リン酸化CcaRを生じさせる。
また、第3のシアノバクテリアは、RcaE遺伝子領域と、RcaF遺伝子領域と、RcaC遺伝子領域とを備える。これらは、赤色光を照射したとき、リン酸化RcaCを生じさせる。
2.第3のシアノバクテリアの使用
上記のようにして得られた第3のシアノバクテリアを、まず、緑色光を照射しながら培養し、次に、赤色光を照射しながら培養した。緑色光を照射するときは、赤色光を照射せず、赤色光を照射するときは、緑色光を照射しなかった。
その際の増殖曲線を図5に示す。第3のシアノバクテリアは、緑色光を照射している間は増殖したが、赤色光を照射している間は増殖しなかった。
また、緑色光を照射して培養した場合と、赤色光を照射して培養した場合との、培地中のIBA濃度を図6に示す。緑色光を照射して培養した場合はIBA濃度が0mg/Lであった。すなわち、IBAは生産されなかった。一方、赤色光の照射に切り替えて培養した場合はIBA濃度が高くなった。すなわち、IBAが生産された。
よって、第3のシアノバクテリアは、緑色光の照射により増殖を促進し、緑色光の照射停止により増殖を抑制する光スイッチを備えている。この光スイッチは遺伝子スイッチである。
また、第3のシアノバクテリアは、赤色光の照射により物質生産を促進し、赤色光の照射停止により物質生産を抑制する光スイッチを備えている。この光スイッチは遺伝子スイッチである。
物質生産を制御する光スイッチは以下のように作用すると推測できる。赤色光を照射したとき、RcaE遺伝子領域、RcaF遺伝子領域、及びRcac遺伝子領域は、リン酸化Rcacを生じさせる。このリン酸化RcacがCpc2プロモータと結合し、そのCpc2プロモータがIBA生産用プラスミドを発現させ、IBAを生産する。一方、赤色光を照射しないときは、上記の機序が働かず、物質生産が抑制される。
なお、第3のシアノバクテリアにおいても、増殖を制御する光スイッチは、第1のシアノバクテリアの場合と同様の機序で機能すると推測できる。
第3のシアノバクテリアを用いて、IBAを製造する製造方法を実施することができる。
例えば、まず、緑色光を照射し、赤色光は照射しない条件(すなわち、第3のシアノバクテリアの増殖を促進し、IBAの生産は抑制する条件)で、第3のシアノバクテリアを増殖し、次に、緑色光は照射せず、赤色光を照射する条件(すなわち、第3のシアノバクテリアの増殖を抑制し、IBAの生産は促進する条件)で、第3のシアノバクテリアを用い、IBAを製造することができる。この場合、IBAの製造効率を高くすることができる。
(実施例2)
1.遺伝子組み換えシアノバクテリアの製造
(1)増殖に関する光スイッチの導入
本実施例において光スイッチを導入する宿主には、シアノバクテリアであるSynechocystis sp. PCC 6803を用いた。導入する光スイッチは遺伝子スイッチである。本実施例では、改良NpCpeCプロモータ(配列番号1)を作成し、宿主に導入した。この改良NpCpeCプロモータは、Nostoc punctiforme ATCC 29133由来の、リン酸化CcaRを認識するCpeCプロモータにおけるSD領域の配列をAGGGGATTTからTAGTGGAGGに変更したものである。SD領域の配列を上記のように変更する目的は、蛋白質の翻訳効率を上げるためである。改良NpCpeCプロモータは、光スイッチプロモータとして機能する。
図8Aに示すように、この改良NpCpeCプロモータの5‘側の上流にカナマイシン薬剤耐
性遺伝子を配置した遺伝子カセット1を作製した。カナマイシン薬剤耐性遺伝子は、pRL161プラスミドからHincII処理により切り出したものである。
そして、図8A、図8Bに示すように、Synechocystis sp. PCC 6803における分枝アミノ酸アミノトランスフェラーゼ(ilvE)とそのプロモータ領域との間に、相同組換えで遺伝子カセット1を導入した。なお、図8A及び図8Bにおいて、Kmはカナマイシン薬剤耐性遺伝子を表し、NpCpeC promoterは改良NpCpeCプロモータを表す。
次に、改良NpCpeCプロモータを光スイッチとして働かすために、Nostoc punctiforme ATCC 29133由来のCcaSとCcaR遺伝子をコードする領域をSynechocystis sp. PCC 6803に導入した。具体的には、(配列番号2)と(配列番号3)とで示したプライマーを用いてNostocpunctiforme ATCC 29133からこの遺伝子領域をPCR増幅した後、得られた約6.2Kbpの増幅断片を、図2に示すように、pMD20プラスミド(TaKaRa製)のTAクローニングサイトにライゲーションした。
そして、プラスミドのMCSにおけるBamHIサイトに、pACYC184由来のクロラムフェニコール耐性カセットを挿入した。引き続き、MCSのPstI/NdeIサイトに、Synechocystis sp. PCC6803におけるCcaS遺伝子の上流の600bp領域を挿入した。また、MCSのKpnI/SacIサイトに、Synechocystis sp. PCC6803におけるCcaR遺伝子の下流の600bp領域を挿入した。
ここで、Synechocystis sp. PCC6803におけるCcaS遺伝子の上流の600bp領域は、配列番号4と配列番号5とでPCR増幅して得られる遺伝子断片である。また、Synechocystis sp. PCC6803におけるCcaR遺伝子の下流の600bp領域は、配列番号6と配列番号7とでPCR増幅して得られる遺伝子断片である。
Nostoc punctiforme ATCC 29133由来のCcaSとCcaR遺伝子とクロラムフェニコール耐性遺伝子とを含む領域を相同組換えによりSynechocystis sp. PCC 6803に導入した。ここで得られた遺伝子組換えSynechocystis sp.(以下では、第4のシアノバクテリアとする)を、まず、緑色光を照射しながら培養し、次に、赤色光を照射しながら培養した。緑色光を照射するときは、赤色光は照射せず、赤色光を照射するときは、緑色光は照射しなかった。ここで緑色光とは、波長が500〜560nmの光である。また、赤色光とは、波長が620〜680nmの光である。
図9に、その際の第4のシアノバクテリア及び光スイッチを有してない野生株のシアノバクテリアの増殖曲線を示す。緑色光を照射しながら培養している間は第4のシアノバクテリアが増殖した。一方、赤色光を照射しながら培養している間は、第4のシアノバクテリアの増殖が抑制された。
以上のように、第4のシアノバクテリアは、増殖に関する光スイッチの機能を有する。光スイッチは以下のように働くと推定できる。Ccas遺伝子領域と、CcaR遺伝子領域とは、緑色光を照射したとき、リン酸化CcaRを生じる。そのリン酸化CcaRが改良NpCpeCプロモータと結合し、その改良NpCpeCプロモータが、分枝アミノ酸アミノトランスフェラーゼを発現させ、第4のシアノバクテリアの増殖を促進する。一方、緑色光を照射しないときは、上記の機序が働かず、増殖が抑制される。
(2)物質の生産に関する光スイッチの導入
次に、上記のようにして得た第4のシアノバクテリアに、Fremyella diplosiphon由来のRcaE、RcaF、RcaC遺伝子を導入した。具体的には、RcaC遺伝子を含む領域を配列番号8および配列番号9のプライマーでPCR増幅させ、pMD20プラスミド(TaKaRa製)のEcoRVクローニングサイトにTAクローニングした。
引き続き、RcaEとRcaF遺伝子を含む領域を配列番号10および配列番号11のプライマーでPCR増幅させ、NdeI制限酵素処理した上記プラスミドにIn-Fusion Advantage PCR Cloning
Kit(クロンテック社製)を用いてライゲーションした。
その後、プラスミドのMCSにおけるBamHIサイトにpRL453由来のスペクチノマイシン耐性カセットを挿入した。そして、Nostoc punctiforme ATCC 29133由来のCcaRにおける3’末端領域をSphI/SpeIサイトに挿入し、CcaR遺伝子における下流の600bp領域をKpnI/SacIサイトに挿入した。
ここで、Nostoc punctiforme ATCC 29133由来のCcaRにおける3’末端領域は、配列番号12と配列番号13とでPCR増幅して得られる564bpの遺伝子断片であり、CcaR遺伝子における下流の600bp領域は、配列番号6と配列番号7とでPCR増幅して得られる遺伝子断片である。
このFremyella diplosiphon由来のRcaE、RcaF、RcaC遺伝子と、スペクチノマイシン耐性遺伝子とを含む領域を、相同組換えにより、上記のようにして得られた第4のシアノバクテリアに導入した。導入後のシアノバクテリアを第5のシアノバクテリアとする。上記の相同組換えにより、第5のシアノバクテリアはクロラムフェニコール耐性が無く、スペクチノマイシン耐性が付与されている。
そして、この第5のシアノバクテリアに導入するプラスミド(以下ではIBA生産用プラスミドとする)を、以下のステップで調製した。なお、このIBA生産用プラスミドは、イソブチルアルデヒド(IBA)を生産させるためのものである。イソブチルアルデヒドは、生産する物質に対応する。
IBA生産用プラスミドの調製に使用したプラスミドは、pKUT1121の薬剤耐性領域(すなわち、制限酵素MluIで挟まれた領域)をストレプロマイシンからクロラムフェニコールに変更したpKUT3121である。なお、pKUT1121は、「光合成研究22(2) 2012 「代謝工学による新たなクロロフィル分子の合成」 京都大学大学院 人間・環境学研究科 土屋 徹」において開示された、周知のプラスミドである。
本実施例では、pKUT3121に4つの遺伝子を導入したDNAコンストラクトを作製した。4つの遺伝子は、kdc、alsS、ilvC、ilvDである。このDNAコンストラクトは、kdcとalsS遺伝子については、制限酵素サイトを利用したライゲーションを順次行って挿入し、ilvCとilvD遺伝子については、In-Fusion Advantage PCR Cloning Kit(クロンテック社製)を用いて、SpeIサイトに順次挿入することにより作製した。
kdc遺伝子については、(配列番号14)と(配列番号15)で示したプライマーを用いて、乳酸菌(Lactococcus lactis)ゲノムDNAを鋳型としてPCR反応により取得した。取得したkdc遺伝子をXbaI-SpeIの制限酵素で切断し、pKUT3121のXbaIサイトに挿入した。
alsS遺伝子については、(配列番号16)と(配列番号17)で示したプライマーを用いて枯草菌(Bacillus subtillus)ゲノムDNAを鋳型としてPCR反応により取得した。取得したalsS遺伝子をXbaI-SpeIの制限酵素で切断し、kdc遺伝子を導入したpKUT3121のXbaIサイトに挿入した。
ilvC遺伝子については、(配列番号18)と(配列番号19)とで示したプライマーを用いて大腸菌(Escherichia coli)ゲノムDNAを鋳型としてPCR反応により取得した。
ilvD遺伝子については、(配列番号20)と(配列番号21)とで示したプライマーを用いて大腸菌(Escherichia coli)ゲノムDNAを鋳型としてPCR反応により取得した。なお、全てのPCR反応は、KOD plus ver.2 (TOYOBO)を用いた。
引き続き、kdcとilvDの3’側にSynechocystis sp. PCC6803におけるpbsA2遺伝子のターミネーターを挿入した。ilvD遺伝子の3’側に挿入する際は、配列番号22で示すDNA合成したターミネーターをNheIとSbfIで切断後、プラスミドのNheIとSbfIサイトにライゲーションにより挿入した。kdc遺伝子の3’側に挿入する際は、配列番号23に示すDNA合成したターミネーターをXbaIとSpeIで切断後、プラスミドのSpeIサイトに挿入した。
引き続き、Fremyella diplosiphon由来の光スイッチとなるCpc2プロモータ(配列番号24)をAlsS遺伝子とilvC遺伝子の5’側にそれぞれ挿入した。AlsS遺伝子の5’側に挿入する場合は、5’側にSacI制限酵素サイト、3’側にXbaI制限酵素サイトをつけたCpc2プロモータを準備し、遺伝子断片とプラスミドをそれぞれ制限酵素で切断してライゲーションにより導入した。
ilvC遺伝子の5’側に挿入する場合は、図4に示すように、5’側にSpeI制限酵素サイト、3’側にBamHI制限酵素サイトをつけたCpc2プロモータを準備し、遺伝子断片とプラスミドをそれぞれ制限酵素で切断してライゲーションにより挿入した。
以上のステップで調製したIBA生産用プラスミドを、前述した第5のシアノバクテリアに、接合法により導入した。IBA生産用プラスミドを導入後のシアノバクテリアを第6のシアノバクテリアとする。
なお、第6のシアノバクテリアは、生物の増殖に関する増殖関与領域として、分枝アミノ酸アミノトランスフェラーゼを備える。
また、第6のシアノバクテリアは、緑色光を照射したとき生じるリン酸化CcaRと結合することを条件に前記増殖関与領域を発現させる第1のプロモータ領域として、改良NpCpeCプロモータを備える。なお、リン酸化CcaRは第1の化合物に対応する。
また、第6のシアノバクテリアは、IBAの生産に関与する物質生産関与領域として、IBA生産用プラスミドを備える。
また、第6のシアノバクテリアは、赤色光を照射したときに生じるリン酸化RcaCと結合することを条件に前記物質生産関与領域を発現させる第2のプロモータ領域として、Cpc2プロモータを備える。なお、リン酸化RcaCは、第2の化合物に対応する。
また、第6のシアノバクテリアは、CcaS遺伝子領域と、CcaR遺伝子領域とを備える。これらは、緑色光を照射したとき、リン酸化CcaRを生じさせる。
また、第6のシアノバクテリアは、RcaE遺伝子領域と、RcaF遺伝子領域と、RcaC遺伝子領域とを備える。これらは、赤色光を照射したとき、リン酸化RcaCを生じさせる。
2.第6のシアノバクテリアの使用
上記のようにして得られた第6のシアノバクテリアを、まず、緑色光を照射しながら培養し、次に、赤色光を照射しながら培養した。緑色光を照射するときは、赤色光を照射せず、赤色光を照射するときは、緑色光を照射しなかった。
その際の増殖曲線を図10に示す。第6のシアノバクテリアは、緑色光を照射している間は増殖したが、赤色光を照射している間は増殖しなかった。
また、緑色光を照射して培養した場合と、赤色光を照射して培養した場合との、培地中のIBA濃度を図11に示す。緑色光を照射して培養した場合はIBA濃度が0mg/Lであった。すなわち、IBAは生産されなかった。一方、赤色光の照射に切り替えて培養した場合はIBA濃度が高くなった。すなわち、IBAが生産された。
よって、第6のシアノバクテリアは、緑色光の照射により増殖を促進し、緑色光の照射停止により増殖を抑制する光スイッチを備えている。この光スイッチは遺伝子スイッチである。
また、第6のシアノバクテリアは、赤色光の照射により物質生産を促進し、赤色光の照射停止により物質生産を抑制する光スイッチを備えている。この光スイッチは遺伝子スイッチである。
物質生産を制御する光スイッチは以下のように作用すると推測できる。赤色光を照射したとき、RcaE遺伝子領域、RcaF遺伝子領域、及びRcac遺伝子領域は、リン酸化Rcacを生じさせる。このリン酸化RcacがCpc2プロモータと結合し、そのCpc2プロモータがIBA生産用プラスミドを発現させ、IBAを生産する。一方、赤色光を照射しないときは、上記の機序が働かず、物質生産が抑制される。
なお、第6のシアノバクテリアにおいても、増殖を制御する光スイッチは、第4のシアノバクテリアの場合と同様の機序で機能すると推測できる。
第6のシアノバクテリアを用いて、IBAを製造する製造方法を実施することができる。例えば、まず、緑色光を照射し、赤色光は照射しない条件(すなわち、第6のシアノバクテリアの増殖を促進し、IBAの生産は抑制する条件)で、第6のシアノバクテリアを増殖し、次に、緑色光は照射せず、赤色光を照射する条件(すなわち、第6のシアノバクテリアの増殖を抑制し、IBAの生産は促進する条件)で、第6のシアノバクテリアを用い、IBAを製造することができる。この場合、IBAの製造効率を高くすることができる。
(実施例3)
1.遺伝子組み換えシアノバクテリアの製造
本実施例では、光スイッチを導入する宿主として、シアノバクテリアであるSynechocystis sp. PCC 6803を用いた。本実施例において宿主に導入する光スイッチは、CcaS遺伝子領域及びCcaR遺伝子領域を用いる光スイッチである。CcaS遺伝子領域は、Nostoc punctiforme ATCC 29133由来の遺伝子である。
本実施例では、Synechocystis sp. PCC 6803のCcaS遺伝子におけるORF部位に、Nostoc punctiforme ATCC 29133由来の遺伝子を相同組換えで導入する。そのために、以下の工程を行った。まず、SyToNpCcaS_1プライマー(配列番号25)とSyToNpCcaS_2プライマー(配列番号26)とにより、Synechocystis sp. PCC 6803における相同組換え箇所の上流域の遺伝子断片を増幅させた。この増幅により得られた遺伝子断片を第1の遺伝子断片とする。
次に、Nostoc punctiforme ATCC 29133由来のNpCcaSのORFを増幅させた。すなわち、SyToNpCcaS_3プライマー(配列番号27)とSyToNpCcaS_4プライマー(配列番号28)とにより、NpCcaSのORF遺伝子領域を増幅させた。この増幅により得られた遺伝子断片を第2の遺伝子断片とする。
次に、SyToNpCcaS_5プライマー(配列番号29)とSyToNpCcaS_6プライマー(配列番号30)とにより、Synechocystis sp. PCC 6803における相同組換え箇所の下流域の遺伝子断片を増幅させた。この増幅により得られた遺伝子断片を第3の遺伝子断片とする。
上記の第1〜第3の遺伝子断片を、In-Fusion Advantage PCR Cloning Kit(クロンテック社製)を用いてpMD19プラスミドにライゲーションした。その後に、制限酵素SmaIで切り出したpRL453由来のストレプトマイシン遺伝子を、SyToNpCcaS_5プライマーとSyToNpCcaS_6プライマーの増幅断片に含まれる制限酵素サイトApaIに導入し、遺伝子コンストラクトを得た。
以上の工程により調製した遺伝子コンストラクトを、Synechocystis sp. PCC 6803に相同組換えにより導入して形質転換し、光スイッチ遺伝子導入株を得た。この光スイッチ遺伝子導入株を図12に示す。図12、及び後述する図13、図14において光スイッチ遺伝子導入株をNpCcaS-Synと表記している。この光スイッチ遺伝子導入株は、遺伝子組み換えシアノバクテリアであり、生物に対応する。
2.遺伝子組み換えシアノバクテリアの評価
上記のように製造した光スイッチ遺伝子導入株に緑色光を照射した際の遺伝子発現量と、赤色光を照射した際の遺伝子発現量とを測定した。その結果を図13に示す。図13において、「G」は、緑色光を照射した際の遺伝子発現量を表す。また、「R」は赤色光を照射した際の遺伝子発現量を表す。
また、比較例として、野生型のSynechocystis sp. PCC 6803についても同様の測定を行った。その結果を図13に示す。図13及び後述する図14において、野生型のSynechocystis sp. PCC 6803を「S6803WT」と表記する。
光スイッチ遺伝子導入株では、赤色光を照射したとき、遺伝子の発現は完全にオフになっていた。それに対し、野生型のSynechocystis sp. PCC 6803では、赤色光を照射したとき、遺伝子の発現が生じていた。
次に、上記のように製造した光スイッチ遺伝子導入株について、照射する光の波長を変えながら、相対遺伝子発現量を測定した。また、比較例として、野生型のSynechocystis sp. PCC 6803についても同様の測定を行った。それらの結果を図14に示す。
光スイッチ遺伝子導入株では、遺伝子が発現する波長領域の幅は狭く、その波長領域の外では、遺伝子の発現が完全に抑制されていた。それに対し、野生型のSynechocystis sp. PCC 6803では、遺伝子が発現する波長領域が広かった。
以上の結果より、光スイッチ遺伝子導入株は、照射する光の波長の違いにより、遺伝子発現量が顕著に変化した。すなわち、光スイッチのオン/オフ性能が優れていた。本実施例では、Nostoc punctiforme ATCC 29133由来のNpCcaSのORFを用いることにより、光スイッチのオン/オフ性能が一層向上したと推測される。
光スイッチ遺伝子導入株は、リン酸化CcaRと結合することを条件に、生物の増殖に関する増殖関与領域を発現させるプロモータ領域と、リン酸化CcaRと結合することを条件に、物質の生産に関与する物質生産関与領域の発現を抑制する発現抑制領域とを有することができる。
また、光スイッチ遺伝子導入株は、リン酸化CcaRと結合することを条件に増殖関与領域の発現を抑制する発現抑制領域と、リン酸化CcaRと結合することを条件に物質生産関与領域を発現させるプロモータ領域とを有することができる。
(実施例4)
1.遺伝子組み換えシアノバクテリアの製造
図15Aに示すように、前記実施例3で製造した光スイッチ遺伝子導入株におけるcpcG2プロモータと、その5‘側の上流に配置されたカナマイシン薬剤耐性遺伝子とを備える遺伝子カセット101を作製した。カナマイシン薬剤耐性遺伝子は、pRL161プラスミドからHincII処理により切り出したものである。図15A、図15Bにおいてカナマイシン薬剤耐性遺伝子をKmと表記する。
次に、図15Bに示すように、Synechocystis sp. PCC 6803におけるピルビン酸脱水素酵素のβサブユニットと、そのプロモータ領域との間に、上記の遺伝子カセット101を相同組換えで導入した。図15A、図15Bにおいて、ピルビン酸脱水素酵素のβサブユニットを、pdhBと表記する。以下では、上記の遺伝子カセットを導入したSynechocystisを、光スイッチ機能を有するSynechocystis sp.とする。
次に、光スイッチ機能を有するSynechocystis sp. に導入するプラスミドを、以下の工程で調製した。調製するプラスミドは、イソブチルアルデヒド(IBA)を生産する機能を有するプラスミドである。
前記実施例1と同様に、pKUT3121に、kdc、alsS、ilvC、ilvD を導入したDNAコンストラクトを作製した。また、前記実施例1と同様に、kdcとilvDの3’側にSynechocystis sp. PCC6803のpbsA2遺伝子のターミネーターを挿入した。
引き続き、Synechocystis sp. PCC 6803由来の光スイッチとなるcpcG2プロモータ(配列番号31)をAlsS遺伝子の5’側とilvC遺伝子の5’側とにそれぞれ挿入した。AlsS遺伝子の5’側に挿入する場合は、5’側にSacI制限酵素サイト、3’側にXbaI制限酵素サイトをつけたcpcG2プロモータを準備し、遺伝子断片とプラスミドをそれぞれ制限酵素で切断してライゲーションにより導入した。
ilvC遺伝子の5’側に挿入する場合は、図4に示すように、5’側にSpeI制限酵素サイト、3’側にBamHI制限酵素サイトをつけたcpcG2プロモータを準備し、遺伝子断片とプラスミドをそれぞれ制限酵素で切断してライゲーションにより挿入した。
以上の工程で調製したプラスミドを、前述した光スイッチ機能を有するSynechocystis sp.に接合法により導入した。その結果、遺伝子組み換えシアノバクテリアが得られた。
2.遺伝子組み換えシアノバクテリアの評価
(2−1)第1の評価
上記のように製造した遺伝子組み換えシアノバクテリアについて、緑色光を照射しながら培養したときの増殖曲線を図16Aに示し、赤色光を照射しながら培養したときの増殖曲線を図16Bに示す。また、比較例として、遺伝子導入をおこなっていない野生株のSynechocystis sp.についても同様の試験を行った。図16A及び図16Bにおいて遺伝子組み換えシアノバクテリアをPcpcG2-pdh1と表記し、比較例をCtrlと表記する。
遺伝子組み換えシアノバクテリアは、赤色光の下では増殖できた。一方、緑色光の下では、遺伝子組み換えシアノバクテリアの増殖が抑制された。それに対し、比較例では、赤色光の下でも、緑色光の下でも増殖した。
(2−2)第2の評価
上記のように製造した遺伝子組み換えシアノバクテリアを、当初は、赤色光を照射しながら培養し、次に、緑色光を照射しながら培養した。なお、赤色光を照射しているときは、緑色光を照射しなかった。また、緑色光を照射しているときは、赤色光を照射しなかった。
上記のように培養したときの増殖曲線を図17に示す。遺伝子組み換えシアノバクテリアは、赤色光を照射した期間においては増殖し、緑色光を照射した期間においては増殖が抑制された。
また、上記のように培養したときの、培養液中のIBA濃度を図18に示す。遺伝子組み換えシアノバクテリアは、赤色光を照射した期間においてはIBAを生産せず、緑色光を照射した期間においてはIBAを生産した。
本実施例において、ピルビン酸脱水素酵素のβサブユニットは増殖関与領域に対応する。また、本実施例において、kdc、alsS、ilvC、ilvDは、物質生産関与領域に対応する。また、本実施例において、ピルビン酸脱水素酵素のβサブユニットの5’側に配置したcpcG2プロモータは、リン酸化CcaRと結合することを条件に増殖関与領域の発現を抑制する発現抑制領域に対応する。また、本実施例において、AlsS遺伝子の5’側とilvC遺伝子の5’側に配置したcpcG2プロモータは、リン酸化CcaRと結合することを条件に物質生産関与領域を発現させるプロモータ領域に対応する。
(実施例5)
1.遺伝子組み換えシアノバクテリアの製造
Fremyella diplosiphon由来のFdRcaE、FdRcaF、FdRcaC遺伝子を、Synechocystis sp. PCC 6803に導入した。具体的には、図19に示すpMD19プラスミドにFdRcaE、FdRcaF、FdRcaC遺伝子を含むコンストラクトを作製し、そのコントラクトを相同組換え法でSynechocystis sp. PCC 6803に導入した。
次に、PlpAtoRcaEFC-1プライマー(配列番号32)とPlpAtoRcaEFC-2プライマー(配列番号33)とでPCRすることにより、Synechocystis sp. PCC 6803の相同組換え箇所の上流域における遺伝子断片を増幅させた。
次に、PlpAtoRcaEFC-3プライマー(配列番号34)とPlpAtoRcaEFC-4(配列番号35)とでPCRすることにより、Fremyella diplosiphon由来のFdRcaEとFdRcaFの遺伝子を増幅させた。
更に、PlpAtoRcaEFC-5プライマー(配列番号36)とPlpAtoRcaEFC-6(配列番号37)とでPCRすることにより、Fremyella diplosiphon 由来のFdRcaC遺伝子を増幅させた。
引き続き、pRL161プラスミドを鋳型にして、PlpAtoRcaEFC-7プライマー(配列番号38)とPlpAtoRcaEFC-8(配列番号39)とでPCRすることにより、プラスミドに含まれるカナマイシン薬剤耐性遺伝子を増幅させた。
最後に、PlpAtoRcaEFC-9プライマー(配列番号40)とPlpAtoRcaEFC-10プライマー(配列番号41)とでPCRすることにより、Synechocystis sp. PCC 6803の相同組換え箇所の下流域における遺伝子断片を増幅させた。上記により調製した各遺伝子断片をIn-Fusion Advantage PCR Cloning Kit(クロンテック社製)を用いて一気に繋いでpMD19プラスミドに導入した。このプラスミドを常法によりSynechocystis sp. PCC 6803に相同組換えすることで、FdRcaE、FdRcaFおよびFdRcaCを生産できる特性を付与した。相同組換え後のSynechocystis sp. PCC 6803は、光スイッチ機能を有するSynechocystis sp.である。
次に、図20Aに示すように、クロラムフェニコール耐性遺伝子の下流にCpc2プロモータ(配列番号24)を配置した遺伝子カセット201を作製した。図20A、図20Bにおいてクロラムフェニコール耐性遺伝子をCmと表記する。
次に、図20A、図20Bに示すように、Synechocystis sp. PCC 6803のピルビン酸脱水素酵素のβサブユニット(pdhB)とそのプロモーター領域との間に相同組換えで遺伝子カセット201を導入した。
更に、前記実施例1と同様に、IBA生産用プラスミドを調製した。このIBA生産用プラスミドを、上記のように製造した、光スイッチ機能を有するSynechocystis sp.に接合法により導入し、遺伝子組み換えシアノバクテリアを得た。
2.遺伝子組み換えシアノバクテリアの評価
上記のように製造した遺伝子組み換えシアノバクテリアを緑色光下で培養した後、赤色光下でさらに培養した。その際の遺伝子組み換えシアノバクテリアの増殖曲線を図21に示す。
また、緑色光下で培養した場合のIBA濃度と、赤色光下で培養した場合のIBA濃度とを図22に示す。緑色光下で培養した場合、IBAの生産量は少なかった。赤色光下で培養した場合、IBAの生産量は多かった。よって、緑色光から赤色光に変えることで、遺伝子組み換えシアノバクテリアの増殖を抑制し、IBAの生産量を向上させることができる。
本実施例において、ピルビン酸脱水素酵素のβサブユニットは増殖関与領域に対応する。また、本実施例において、kdc、alsS、ilvC、ilvDは、物質生産関与領域に対応する。また、本実施例において、ピルビン酸脱水素酵素のβサブユニットの5’側に配置したCpc2プロモータは、リン酸化RcaCと結合することを条件に増殖関与領域の発現を抑制する発現抑制領域に対応する。また、本実施例において、AlsS遺伝子の5’側とilvC遺伝子の5’側に配置したCpc2プロモータは、リン酸化RcaCと結合することを条件に物質生産関与領域を発現させるプロモータ領域に対応する。
(その他の実施形態)
(1)前記実施例1において、改良NpCpeCプロモータにより、物質生産関与領域を発現させ、Cpc2プロモータにより、増殖関与領域を発現させてもよい。この場合、第3のシアノバクテリアは、赤色光の照射により増殖を促進し、赤色光の照射停止により増殖を抑制する光スイッチを備える。この光スイッチは遺伝子スイッチである。また、上記の場合、第3のシアノバクテリアは、緑色光の照射により物質生産を促進し、緑色光の照射停止により物質生産を抑制する光スイッチを備える。この光スイッチは遺伝子スイッチである。
(2)前記実施例1〜5において、増殖関与領域は、(a)カルビン・ベンソン回路の代謝に関連する領域、(b)カルビン・ベンソン回路から、グリコール酸を経由して、アミノ酸を合成する経路に炭素を流す代謝に関連する領域、(c)カルビン・ベンソン回路の中にあるフルクトース6リン酸からグルコースを合成する系またはグリコーゲンを蓄積する系に炭素を流す代謝に関わる領域、(d)カルビン・ベンソン回路の中にあるホスホグリセリン酸からピルビン酸を経由して脂肪酸を合成する系に炭素を流す代謝に関わる領域、及び(e)ペントースリン酸経路または、その代謝物から生産される物質をコードする領域から選択される1以上とすることができる。
また、前記実施例1〜5において、増殖関与領域は、図7に示す、生物の増殖に関与する炭素代謝に含まれる反応(例えば図7において×印を付した部分)の進行を左右する物質(例えば酵素等)を生成する領域とすることができる。例えば、増殖関与領域は、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDC)、グルコースリン酸イソメラーゼ(GPI)、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(PEPC)、ADPグルコースピロホスホリラーゼ(AGPase)、クエン酸シンターゼ(gltA)、グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼNAD型(gap1)等を生成する領域とすることができる。
(3)前記実施例1〜5において、物質生産関与領域はIBA以外の物質、例えば、イソプレノイド系化合物の生産に関与する領域であってもよい。
(4)前記実施例1〜5において、宿主はシアノバクテリア以外の生物であってもよい。例えば、真核細胞の中から宿主を適宜選択することができ、例えば、クロレラ、クラミドモナス等が挙げられる。
(5)前記実施例1において、改良NpCpeCプロモータの代わりに、同様の機能を奏する他のプロモータを用いてもよい。また、Cpc2プロモータの代わりに、同様の機能を奏する他のプロモータを用いてもよい。そのようなプロモータとして、例えば、nostoc punctiformeのcpeCプロモータ(NpCcaR)等、リン酸化CcaRを認識するプロモータを使用することができる。
(6)宿主のDNAに所望の遺伝子を組み込む方法は上述したものには限定されず、公知の方法の中から適宜選択して用いることができる。
(7)前記実施例4において、遺伝子組み換えシアノバクテリアは、リン酸化CcaRと結合することを条件に増殖関与領域を発現させるプロモータ領域と、リン酸化CcaRと結合することを条件に物質生産関与領域の発現を抑制する発現抑制領域とを備えていてもよい。
(8)前記実施例5において、遺伝子組み換えシアノバクテリアは、リン酸化RcaCと結合することを条件に増殖関与領域を発現させるプロモータ領域と、リン酸化RcaCと結合することを条件に物質生産関与領域の発現を抑制する発現抑制領域とを備えていてもよい。
1、101、201・・・遺伝子カセット

Claims (12)

  1. 生物の増殖に関する増殖関与領域と、
    第1の化合物と結合することを条件に前記増殖関与領域を発現させる第1のプロモータ領域と、
    物質の生産に関与する物質生産関与領域と、
    第2の化合物と結合することを条件に前記物質生産関与領域を発現させる第2のプロモータ領域と、
    CcaS遺伝子領域と、
    CcaR遺伝子領域と、
    RcaE遺伝子領域と、
    RcaF遺伝子領域と、
    RcaC遺伝子領域と、
    をDNAに備え、
    前記第1の化合物、及び前記第2の化合物のうちの一方は、緑色光を照射したとき生じるリン酸化CcaRであり、他方は、赤色光を照射したときに生じるリン酸化RcaCである生物。
  2. 請求項1に記載の生物であって、
    前記CcaS遺伝子領域を発現させるプロモータ領域、前記CcaR遺伝子領域を発現させるプロモータ領域、前記CcaR遺伝子領域、及び前記第1のプロモータ領域のうちいずれか1以上は宿主由来の遺伝子である生物。
  3. 請求項1又は2に記載の生物であって、
    前記RcaE遺伝子領域を発現させるプロモータ領域、及び前記RcaC遺伝子領域を発現させるプロモータ領域のうちいずれか1以上は宿主由来の遺伝子である生物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の生物であって、
    前記CcaS遺伝子領域は、Nostoc punctiforme ATCC 29133由来の遺伝子である生物。
  5. 生物の増殖に関する増殖関与領域と、
    リン酸化CcaRと結合することを条件に前記増殖関与領域を発現させるプロモータ領域と、
    物質の生産に関与する物質生産関与領域と、
    リン酸化CcaRと結合することを条件に前記物質生産関与領域の発現を抑制する発現抑制領域と、
    CcaS遺伝子領域と、
    CcaR遺伝子領域と、
    をDNAに備える生物。
  6. 生物の増殖に関する増殖関与領域と、
    リン酸化CcaRと結合することを条件に前記増殖関与領域の発現を抑制する発現抑制領域と、
    物質の生産に関与する物質生産関与領域と、
    リン酸化CcaRと結合することを条件に前記物質生産関与領域を発現させるプロモータ領域と、
    CcaS遺伝子領域と、
    CcaR遺伝子領域と、
    をDNAに備える生物。
  7. 生物の増殖に関する増殖関与領域と、
    リン酸化RcaCと結合することを条件に前記増殖関与領域を発現させるプロモータ領域と、
    物質の生産に関与する物質生産関与領域と、
    リン酸化RcaCと結合することを条件に前記物質生産関与領域の発現を抑制する発現抑制領域と、
    RcaE遺伝子領域と、
    RcaF遺伝子領域と、
    RcaC遺伝子領域と、
    をDNAに備える生物。
  8. 生物の増殖に関する増殖関与領域と、
    リン酸化RcaCと結合することを条件に前記増殖関与領域の発現を抑制する発現抑制領域と、
    物質の生産に関与する物質生産関与領域と、
    リン酸化RcaCと結合することを条件に前記物質生産関与領域を発現させるプロモータ領域と、
    RcaE遺伝子領域と、
    RcaF遺伝子領域と、
    RcaC遺伝子領域と、
    をDNAに備える生物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の生物であって、
    前記増殖関与領域は、(a)カルビン・ベンソン回路の中にある代謝に関連する領域、(b)カルビン・ベンソン回路から、グリコール酸経由して、アミノ酸を合成する経路に炭素を流す代謝に関連する領域、(c)カルビン・ベンソン回路の中にあるフルクトース6リン酸からグルコースを合成する系またはグリコーゲンを蓄積する系に炭素を流す代謝に関わる領域、(d)カルビン・ベンソン回路の中にあるホスホグリセリン酸からピルビン酸を経由して脂肪酸を合成する系に炭素を流す代謝に関わる領域、(e)ペントースリン酸経路または、その代謝物から生産される物質をコードする領域から選択される1以上である生物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の生物であって、
    前記物質生産関与領域は、イソブチルアルデヒド、及びイソプレノイド系化合物から選択される1以上の生産に関与する領域である生物。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の生物であって、
    シアノバクテリアである生物。
  12. 生物を用いて物質を製造する製造方法であって、
    前記生物は、
    生物の増殖に関する増殖関与領域と、
    第1の化合物と結合することを条件に前記増殖関与領域を発現させる第1のプロモータ領域と、
    物質の生産に関与する物質生産関与領域と、
    第2の化合物と結合することを条件に前記物質生産関与領域を発現させる第2のプロモータ領域と、
    CcaS遺伝子領域と、
    CcaR遺伝子領域と、
    RcaE遺伝子領域と、
    RcaF遺伝子領域と、
    RcaC遺伝子領域と、
    をDNAに備え、
    前記第1の化合物、及び前記第2の化合物のうちの一方は、緑色光を照射したとき生じるリン酸化CcaRであり、他方は、赤色光を照射したときに生じるリン酸化RcaCである物質の製造方法。
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