JP2016076701A - 電磁波シールド膜およびそれを備えた成形体 - Google Patents

電磁波シールド膜およびそれを備えた成形体 Download PDF

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秀一郎 大田
Shuichiro Ota
秀一郎 大田
大喜 三宮
Daiki Sannomiya
大喜 三宮
亘 原田
Wataru Harada
亘 原田
鈴木 浩一
Koichi Suzuki
浩一 鈴木
小林 和也
Kazuya Kobayashi
和也 小林
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Abstract

【課題】より多様な対象に被覆することができ、電磁波シールド性が高く、電磁波遮断能に対する厚みが薄い電磁波シールド膜10およびそれを備えた成形体30を提供する。
【解決手段】電磁波シールド膜10は、マグネシウムを80質量%以上含有し、かつ、溶融温度が発火温度より低いマグネシウム基合金を溶射して形成される電磁波シールド性を有する膜である。
【選択図】図1

Description

本発明は、マグネシウム基合金を溶射して形成された電磁波シールド膜およびそれを備えた成形体に関する。
従来の電磁波シールド膜として、たとえば、特許文献1の電磁波シールド材が知られている。この電磁波シールド材は、基材膜と溶射層とを積層したシートにより構成されている。基材膜は磁性材料で形成され、溶射層は、Al、Cu、Zn、Si、Au、AgおよびPtにより形成されている。
特開平9−289395号公報
上記特許文献1の電磁波シールド材は、基材膜により一定の形状を有している。よって、複雑な形状などの製品には電磁波シールド材を隙間なく覆うことは困難であり、被覆対象が制限されてしまう。また、電磁波シールド材の厚みを大きくすることにより、電磁波シールド性が向上させることができるが、重量およびコストが増えると共に、作業の手間が嵩み作業性に劣ってしまう。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、より多様な対象に被覆することができ、電磁波シールド性が高く、電磁波遮断能に対する厚みが薄い電磁波シールド膜およびそれを備えた成形体を提供することを目的としている。
本発明のある態様に係る電磁波シールド膜は、マグネシウムを80質量%以上含有し、かつ、溶融温度が発火温度より低いマグネシウム基合金を溶射して形成される電磁波シールド性を有する膜である。この電磁波シールド膜では、平均膜厚が50μm以上であることが好ましい。また、電磁波シールド膜では、前記マグネシウム基合金を溶射して形成された被膜の表面に封孔処理が施されていてもよい。
本発明のある態様に係る成形体は、上記電磁波シールド膜と、前記電磁波シールド膜に被覆されている基材と、を備えている。
本発明は、以上に説明した構成を有し、より多様な対象に被覆することができ、電磁波シールド性が高く、電磁波遮断能に対する厚みが薄い電磁波シールド膜およびそれを備えた成形体を提供することができるという効果を奏する。
本発明の上記目的、他の目的、特徴および利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
本発明の実施形態1に係る電磁波シールド膜を概略的に示す断面図である 図1の電磁波シールド膜の製造工程を概略的に示す図である。 図3(a)は図1の電磁波シールド膜を概略的に示す断面図である。図3(b)は板材やめっきなどにより形成されたバルク材を概略的に示す断面図である。図3(c)は球状の紛体を塗布して形成された被膜を概略的に示す断面図である。 本発明の実施形態3に係る成形体を概略的に示す断面図である 図1の電磁波シールド膜の第1評価の結果を示すグラフである。 図1の電磁波シールド膜の第2評価の結果を示すグラフである。 図7(a)は、図5の第1評価に用いた実施例1および比較例1〜3の構成を示す表であり、図7(b)は、図6の第2評価に用いた実施例1〜4および比較例4、5の構成を示す表である。 比較評価の結果を示すグラフである。 図1の電磁波シールド膜の第3評価の結果を示すグラフである。 図10(a)は、図8の比較評価に用いた比較例4、6および7の構成を示す表であり、図10(b)は、図9の第3評価に用いた実施例5〜9の構成を示す表であり、図10(c)は、実施例5〜9の溶射膜の平均膜厚を示す表である。 第1〜第3評価で用いた溶射基材の電磁波シールド性能を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
(実施の形態1)
図1は、電磁波シールド膜10を概略的に示す断面図である。図1に示す電磁波シールド膜10は、各種電気機器や配線などに設けられ、これらの内部空間に電磁波が侵入することを遮断したり、これらから発生した電磁波が外部へ放射されることを遮断したりする。電気機器としては、たとえば、掃除機、クーラー、ヒーター、電気毛布、冷蔵庫、電子レンジ、テレビ、携帯電話、電子機器、医療機器などが挙げられる。
電磁波シールド膜10は、マグネシウム基合金を溶射材として溶射基材に溶射することにより形成される薄い被膜(溶射膜)である。この被膜には、扁平形状の溶射材の粒子(溶射粒子)12が積み重ねられて形成されている。電磁波シールド膜10の平均厚みは、電磁波シールド性の観点から、たとえば、50μm以上が好ましい。
電磁波シールド膜10の形状は、平面状、曲面状やその他の複雑な形状など、被覆する形状に応じて定められる。電磁波シールド膜10のサイズは、被覆する範囲に応じて適宜設定される。電磁波シールド膜10は、電磁波に対する遮断能(電磁波シールド性)を有している。たとえば、200MHz以上の電磁波に対する電磁波シールド膜10の遮断能は、同じ厚みのステンレス(13Cr鋼)などの他の金属の溶射膜に比べて高い。
マグネシウム基合金は、マグネシウム金属元素に一種類以上の他の元素を加えた合金であって、マグネシウム金属元素を80質量%以上含む。他の元素としては、たとえば、カルシウム、アルミニウム、ケイ素、亜鉛、マンガンおよびリチウムなどが挙げられる。マグネシウム基合金の発火温度は溶融温度より高い。発火温度を上げる方法としては、たとえば、マグネシウムにカルシウムを添加することにより実現される。このマグネシウムに対するカルシウムの添加率は、たとえば、0.5重量%以上5.0重量%以下であることが好ましい。
溶射は、粉末、線状または棒状などの溶射材の粒子を溶射基材に衝突させて被膜を形成する表面処理である。この溶射としては、扁平形状の溶射粒子12を堆積させて被膜を形成する方法であれば、特に限定されず、既知の溶射法を用いることができる。たとえば、溶射材を加熱して吹き付ける溶射法、および、溶射粒子12を加熱せずに吹き付けるコールドスプレーなどが挙げられる。溶射材を加熱して吹き付ける溶射法には、たとえば、プラズマ溶射法、高速ガス炎溶射法、ガスフレーム溶射法、アーク溶射法などが例示される。
次に、図2を参照して、電磁波シールド膜10の製造方法について説明する。図2は、電磁波シールド膜10の製造工程を概略的に示す図である。電磁波シールド膜10が形成される溶射基材20は、溶射時の熱などにより破損しないものであれば、特に限定されない。溶射基材20には、たとえば、金属、コンクリート、セラミックス、樹脂などが用いられる。
マグネシウム基合金の線材(ワイヤ)14を溶射ガン16で送給しながら、フレーム(燃焼炎)18内で加熱して、溶融した溶射粒子12aを溶射基材20の表面に圧縮空気圧などで吹き付ける。これにより、微粒子状の溶射粒子12aは、高速で溶射基材20に衝突し、扁平に潰れて、凝固しながら層状に積み重ねられる。このようにして、マグネシウム基合金の被膜が電磁波シールド膜10として溶射基材20の表面上に作成される。
なお、水溶性の下地処理剤を溶射基材20の表面に予め塗布してから、上記のようにマグネシウム基合金を溶射基材20に溶射してもよい。この場合、溶射皮膜の形成後に溶射基材20を水に浸漬して、溶射基材20の表面上の下地処理剤を溶解させる。これにより、溶射被膜が溶射基材20から取り外されて、溶射被膜が電磁波シールド膜10として作成される。この電磁波シールド膜10は他の基材に貼り付けて使用することができる。
上記構成によれば、電磁波シールド膜10は、マグネシウム基合金により形成されている。これにより、電磁波シールド膜10は電磁波を遮断することができる。よって、電気機器における電磁波による誤作動、および、電気機器から発生する電磁波による人体への影響などを抑制することができる。
また、電磁波シールド膜10の平均膜厚を50μm以上とすることにより、電磁波を効果的に遮断することができる
さらに、溶融温度が発火温度より低いマグネシウム基合金を用いていることにより、溶射によって電磁波シールド膜10を作成することができる。このため、複雑な形状や大きな面積の電磁波シールド膜10を作成することができる。これにより、電磁波シールド膜10は、基材を隙間なく被覆し、電磁波を遮断することができる。
また、この溶射により形成された電磁波シールド膜10では、マグネシウム基合金の溶射粒子12が扁平形状になり、それが積層されて形成される。このような多層膜によって、マグネシウム基合金のバルクの板材(バルク材)などより高い電磁波遮断効果を電磁波シールド膜10は発揮することができる。このため、同程度の電磁波遮断効果を有するバルク材などに比べて電磁波シールド膜10の厚みを薄くすることができ、軽量化および低コスト化が図れる。
具体的には、本実施の形態の電磁波シールド膜10、板材やめっきなどにより形成されたバルク材22、および、球状の紛体24を塗布して形成された被膜26の各電磁波シールド性について説明する。図3(a)は電磁波シールド膜10を概略的に示す断面図であり、図3(b)はバルク材22を概略的に示す断面図であり、図3(c)は被膜26を概略的に示す断面図である。
図3(b)に示すバルク材22では、その入射側面および出射側面に電磁波が当たり外部へ反射されるとともに、出射側面で反射された電磁波はバルク材22内において入射側面と出射側面との間を反射しながら熱エネルギーとして吸収される。このような電磁波はバルク材22により遮断されるが、これ以外の電磁波はバルク材22を透過する。
図3(c)に示す紛体24の被膜26では、電磁波が球状の紛体24に当たると、紛体24内に渦電流が発生する。この渦電流により電磁波が再度発生し、元の電磁波が打ち消されるが、残る電磁波は放射される。よって、打ち消される電磁波は紛体24の被膜26により遮断されるが、これ以外の電磁波は紛体24の被膜26を透過する。
これに対して、図3(a)に示す電磁波シールド膜10では、扁平形状の溶射粒子12の入射側面および出射側面に電磁波が当たり外部へ反射されるとともに、出射側面で反射された電磁波は溶射粒子12内において入射側面と出射側面との間を反射しながら溶射粒子12に吸収される。特に、電磁波シールド膜10では扁平形状の溶射粒子12が積み重なっているため、溶射粒子12間においても電磁波が反射を繰り返すため、電磁波が熱エネルギーとして溶射粒子12に吸収される。
さらに、電磁波により溶射粒子12内では渦電流が発生し、渦電流による電磁波により元の電磁波が打ち消される。電磁波シールド膜10の厚みが、薄く、紛体24の被膜26と同じ場合、電磁波の入射方向に直交する方向において、扁平形状の溶射粒子12の面積は球状の紛体24より広い。このため、溶射粒子12における渦電流の寸法は紛体24より大きく、溶射粒子12において打ち消される電磁波は紛体24より多くなる。このように、電磁波シールド膜10は、渦電流による電磁波損失、および、多数回の反射や吸収によって、高い電磁波シールド効果を発揮することができる。
(実施の形態2)
実施の形態2では、マグネシウム基合金を溶射して形成された溶射被膜の表面に封孔処理が施されている。この点を除いて、実施の形態2の電磁波シールド膜10は実施の形態1と同様である。封孔処理としては、電磁波シールド膜10に形成された孔を塞ぐものであれば、特に限定されない。封孔処理は、使用する環境に応じても変えることもできる。
封孔処理では、たとえば、マグネシウム基合金を溶射して形成された溶射被膜の表面に封孔処理剤を塗布することにより行われる。この封孔処理剤としては、たとえば、酸化ケイ素系などの無機系封孔剤、および、エポキシ系などの有機系封孔剤が挙げられる。
この電磁波シールド膜10の製造方法では、マグネシウム基合金を溶射して形成された溶射被膜の表面に封孔処理剤を塗布する。これにより封孔処理を施された溶射被膜が電磁波シールド膜10として溶射基材20上に作成される。
上記構成によれば、封孔処理により溶射被膜の孔が塞がれるため、この孔を介した水などの侵入が防がれる。よって、電磁波シールド膜10を基材に装着した成形体について、孔から浸入した水などによる基材の腐食を防止することができる。
なお、封孔処理剤に導電性材料を用いてもよい。これにより、電磁波シールド膜10の溶射粒子12界面の電気抵抗を下げることができる。
(実施の形態3)
実施の形態3に係る成形体30は、図4に示すように、電磁波シールド膜10および基材32を備えている。この電磁波シールド膜10は、実施の形態1に係る電磁波シールド膜10と同様のものである。図4は、実施の形態3に係る成形体30を示す断面図である。
成形体30では、基材32の表面が電磁波シールド膜10で被覆されている。基材32の形状は特に限定されておらず、基材32の表面も、平面、曲面やその他の複雑な形状など、特に限定されていない。基材32は、溶射の熱などにより破損しないものであれば、特に限定されない。基材32として、たとえば、金属、プラスチック、布、紙、石膏および石などが挙げられる。金属には、鉄、アルミニウム、銅、ステンレスなどが例示される。プラスチックは、繊維強化プラスチック(FRP)や炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などが例示される。
次に、電磁波シールド膜10を備えた成形体30の製造方法について説明する。マグネシウム基合金を加熱して基材32に吹き付けると、基材32の表面上にマグネシウム基合金の溶射被膜が形成されて、成形体30が作成される。
上記構成によれば、電磁波シールド膜10は、小さな溶射粒子12が熱や圧力により互いに結合しながら積み重なって形成されている。このため、基材32の材質、形状および寸法などにほとんど制限なく、多様な基材32に対応することができる。
なお、上記構成において、実施の形態2の、封孔処理を電磁波シールド膜10に施してもよい。これにより、実施の形態2と同様に、基材32の腐食を防止することができる。
また、基材32の表面には、溶射に先立って清浄化処理および粗面化処理を行ってもよい。ただし、清浄化処理および粗面化処理のいずれか一方であってもよい。たとえば、プラスチック製基材32において、溶融粒子を表面にめり込ませて堆積させる場合には、粗面化処理を行わずに清浄化処理を行う。また、紙、石膏やコンクリートなどの基材32では、その表面が粗い。このため、粗面化処理を行わなくてもよいし、または、要求される電磁波シールド膜10の密着性に応じた粗さになるように基材32に粗面化処理を行ってもよい。
清浄化処理としては、たとえば、酸やアルカリなどを用いた薬液洗浄、および、中性洗剤や有機溶剤を用いた脱脂などが挙げられる。ただし、基材32の表面の油脂や汚れを除去して、基材32に対する電磁波シールド膜10の密着性を向上させる処理であれば、これらに限定されない。この清浄化処理により電磁波シールド膜10の剥離を防止することができる。
粗面化処理としては、たとえば、アルミナ粒子などの硬質粒子を圧縮空気を利用して基材32の表面に吹き付けるブラスト法、および、エッチング処理などが挙げられる。ただし、基材32の表面を粗面化して、基材32に対する電磁波シールド膜10の投錨効果を向上させる処理であれば、これらに限定されない。この粗面化処理によって、電磁波シールド膜10の剥離を防止することができる。なお、鋳型で形成する金属鋳造品や射出成形プラスチックなどの基材32では、基材32に粗面化処理を施すのではなく、鋳型を粗面化してもよい。これにより、鋳型によって転写された基材32の表面が粗面になる。
次に、図5に示す第1評価結果について説明する。図5は、電磁波シールド膜10の第1評価の結果を示すグラフである。横軸は電磁波の周波数(MHz)を示し、縦軸は遮断能(dB)を示す。遮断能は、電磁波の減衰の割合を対数で表したものであり、20×log(遮断後の電界強度/遮断前の電界強度)で求められる。なお、以下の説明において、溶射膜の厚みは、溶射前の溶射基材の厚みと、溶射後の溶射膜が形成された溶射基材の厚みとの差を5点測定した。この溶射前後の厚みは、マイクロメータにより測定した。
第1評価では、図7(a)に示す実施例1および比較例1〜3を用いて、溶射材の材質について、100〜1000MHzの電磁波に対する遮断効果を評価した。この評価では、KEC法(一般社団法人 KEC関西電子工業振興センターにより開発された電磁シールド効果の測定方法)を用いた。
図7(a)の表に示すように、実施例1および比較例1〜3はそれぞれ、厚み2mmのアクリル板を溶射基材として、これに溶射材を0.20〜0.25mmの厚みで溶射したものである。この溶射材の材質は、実施例1がマグネシウム基合金(AZX912)であり、比較例1がアルミニウムであり、比較例2が銅であり、比較例3がステンレス(13Cr鋼)である。
図5の第1評価結果に示すように、200MHz以上の電磁波に対しては実施例1の遮断能は比較例1〜3より高くなっている。これにより、200MHz以上の電磁波に対して実施例1の電磁波シールド膜10が他の金属の溶射膜より高い遮断性を発揮することがわかる。
次に、図6に示す第2評価結果について説明する。第2評価では、実施例1〜4および比較例4、5を用いて、周波数100〜1000MHzの電磁波に対する遮断能をKEC法により測定した。図6は、電磁波シールド膜10の第2評価の結果を示すグラフである。横軸は電磁波の周波数(MHz)を示し、縦軸は遮断能(dB)を示す。
図7(b)の表に示すように、実施例1〜4はそれぞれ、厚み2mmのアクリル板を溶射基材として、これに溶射材を溶射したものである。実施例1は、厚み0.20〜0.25mmのマグネシウム基合金の電磁波シールド膜10であり、上記第1評価の実施例1と同じ電磁波シールド膜10である。実施例2は厚み0.15〜0.18mmのマグネシウム基合金の電磁波シールド膜10である。実施例3は厚み0.10〜0.15mmのマグネシウム基合金の電磁波シールド膜10である。実施例4は厚み0.05〜0.08mmのマグネシウム基合金の電磁波シールド膜10である。比較例4は厚み0.5mmのマグネシウム基合金(AZ31)の板材(バルク材)であり、比較例5は厚み0.3mmのマグネシウム基合金(AZ31)の板材である。なお、実施例1〜4のマグネシウム基合金には、AZX912を用いた。
図6の第2評価結果に示すように、200MHz以上の電磁波に対しては実施例1〜4の遮断能は、電磁波シールドより厚い比較例4、5の板材より高くなっている。これにより、200MHz以上の電磁波に対して、溶射により作成された実施例1〜4の電磁波シールド膜10がマグネシウム基合金の板材より高い遮断性を発揮することがわかる。また、100MHz以上の電磁波に対して実施例1〜4の遮断能は、コンピュータなどの電気機器の誤作動を防止するとされている遮断能:30dBより大きな値となっている。
さらに、実施例1〜4の電磁波シールド膜10では、厚みが大きくなるほど高い遮断性を発揮することがわかる。つまり、実施例の電磁波シールド膜10は、遮断能に対する膜厚を他の金属に比べて薄くすることができる。よって、高い電磁波遮断能を要する場合には、電磁波シールド膜10を厚くすることができる。
次に、図8に示す比較評価結果について説明する。比較評価では、比較例4、6および7を用いて、周波数100〜1000MHzの電磁波に対する遮断能をKEC法により測定した。図10(a)の表に示すように、比較例4は厚み0.5mmのマグネシウム基合金(AZ31)の板材(バルク材)であり、上記第2評価の比較例4と同じである。比較例6は厚み0.5mmの銅の板材である。比較例7は厚み0.5mmのアルミニウムの板材である。
図8の比較評価結果に示すように、100MHz以上の電磁波に対しては比較例4のマグネシウムのバルク材は、比較例6の銅のバルク材および比較例7のアルミニウムのバルク材に比べて明らかな優位性は見られなかった。
この図8の比較評価結果で示したとおり、バルク材ではマグネシウム基合金の電磁波の遮断能が他の金属より優れているという結果は得られなかった。これに対して、図5の第1評価結果で示したとおり、溶射膜ではマグネシウム基合金の電磁波の遮断能が他の金属より優れていた。したがって、他の金属と異なり、マグネシウム基合金は溶射膜の状態で優れた電磁波の遮断能を発揮することがわかる。
つまり、比較例1のアルミニウムの溶射膜の電磁波の遮断能は比較例7のアルミニウムのバルク材とほぼ同等である。また、比較例2の銅の溶射膜の電磁波の遮断能は比較例6の銅のバルク材とほぼ同等である。これらに比べて、実施例1のマグネシウム基合金の溶射膜の電磁波の遮断能は比較例4のマグネシウム基合金のバルク材より大きく向上している。このように、他の金属に比べて、マグネシウム基合金は溶射膜の状態で優れた電磁波に対する遮断効果を発揮することがわかる。
次に、図9に示す第3評価結果について説明する。第3評価では、実施例5〜9を用いて、周波数100〜1000MHzの電磁波に対する遮断能をKEC法により測定した。図10(b)の表に示すように、実施例5〜9はそれぞれ、厚み2mmのアクリル板を溶射基材として、これに溶射材を溶射した電磁波シールド膜10である。この溶射材は、マグネシウム基合金(AMX602)である。これらは膜厚が異なり、実施例5は0.03〜0.08mmであり、実施例6は0.15〜0.16mmであり、実施例7は0.27〜0.31mmであり、実施例8は0.30〜0.33mmであり、実施例9は0.32〜0.39mmである。なお、図10(c)に、実施例5〜9の溶射膜の平均膜厚を示す。実施例5は0.05mmであり、実施例6は0.15mmであり、実施例7は0.28mmであり、実施例8は0.31mmであり、実施例9は0.35mmである。
実施例5〜9のマグネシウム基合金(AMX602)は、実施例1〜4のマグネシウム基合金(AZX912)と異なる種類である。ただし、図9の第3評価結果に示すように、実施例5〜9は、実施例1〜4と同等に高い遮断能を示している。また、実施例5〜9の電磁波シールド膜10では、膜厚が大きくなるほど高い遮断性を発揮している。
このように、マグネシウム基合金の種類が異なっていても、80質量%以上のマグネシウムを含有する溶射膜であれば、電磁波シールド膜10は高い遮断能を発揮することがわかる。よって、電磁波シールド膜10は、電磁波遮断能に対する膜厚を他の金属より薄くすることができる。また、たとえば、実施例5〜9のように、平均膜厚が50μm以上の溶射膜は電磁波遮断能を発揮することがわかる。
なお、溶射基材の影響を見るために、図11に示すように、溶射基材について、周波数100〜1000MHzの電磁波に対する遮断効果をKEC法により評価した。この溶射基材は、厚みが2mmのアクリル板である。図11のとおり、アクリル板は大きな電磁波の遮蔽効果を示さなかった。
なお、上記全実施の形態は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせてもよい。上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更できる。
本発明の電磁波シールド膜およびそれを備えた成形体は、より多様な対象に被覆することができ、電磁波シールド性が高く、電磁波遮断能に対する厚みが薄い電磁波シールド膜およびそれを備えた成形体等として有用である。
10 :電磁波シールド膜
12 :溶射粒子
14 :線材
20 :溶射基材
30 :成形体
32 :基材

Claims (4)

  1. マグネシウムを80質量%以上含有し、かつ、溶融温度が発火温度より低いマグネシウム基合金を溶射して形成される電磁波シールド性を有する膜である、電磁波シールド膜。
  2. 平均膜厚が50μm以上である、請求項1に記載の電磁波シールド膜。
  3. 前記マグネシウム基合金を溶射して形成された被膜の表面に封孔処理が施されている、請求項1または2に記載の電磁波シールド膜。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の電磁波シールド膜と、
    前記電磁波シールド膜に被覆されている基材と、を備える成形体。
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