JP2016076655A - 抵抗変化素子 - Google Patents

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【課題】高いオンオフ比を維持したまま繰り返し動作が可能な抵抗変化素子を提供する。【解決手段】金属酸化物中において酸素空孔が電界によって移動することで抵抗が変化する2端子型素子において、金属酸化物層TaOxを挟む2つの金属電極のうち、一方の金属電極Ptと金属酸化物層TaOxとの界面にSiO2層を挿入する。この構造により、金属酸化物層中に導電性のフィラメントが成長して、対向する電極に到達する寸前の状態になっても、素子に印加されている電圧が高抵抗の残存金属酸化物部分Xだけではなく、SiO2層にもかなりの部分が分配されるため、X部分の絶縁破壊が防止される。この絶縁破壊部分がオン−オフ動作の繰り返しによって成長することによる阻止特性の急速な悪化が、SiO2層へのオン直前の電圧分配によって防止される。【選択図】図6

Description

本発明は、電圧を印加することで抵抗変化を示す2端子型素子に関するものである。
金属酸化物層の両端に電圧を印加することで金属酸化物中の酸素空孔を移動させ、局所的な酸化・還元反応を誘起することで抵抗変化を実現する2端子型の不揮発性メモリ素子「抵抗変化素子」が知られている。この抵抗変化素子は、金属酸化物を金属電極で挟んだだけの簡単な構造であることから、従来の半導体素子に比べて、微細化や集積化が容易である。さらに、不揮発性の動作をすることから待機電力の大幅削減が見込め、電気回路の省電力化を実現できるものと期待されている。1012回の繰り返し動作実験も行われるなど、実用化に向けた研究が進められている(非特許文献1)。
抵抗変化素子の特徴として、フォーミングプロセスと呼ばれる初期化が必要なことが知られている。作製直後のオフ状態にある素子に対して、1回目のオン動作では、2回目以降のオン動作よりも高い電圧を印加する必要がある。これは、絶縁性の高い素子作製直後の金属酸化物層に対して高い電圧を印加することで、金属酸化物層を酸素空孔の移動が容易な状態にする操作と理解されている。当業者の間では、電気的に完全に短絡してしまうハード・ブレークダウンに対して、このフォーミングプロセスをマイルド・ブレークダウンと表現して区別している。このフォーミングプロセスによって金属酸化物層内における酸素空孔の移動が可能になるが、一方で、金属酸化物層の絶縁性は下がる。このため、抵抗変化素子のオンオフ比は、高々数桁となっている(非特許文献1)。
また、繰り返し動作によって、当初数桁あったオンオフ比がさらに下がり、1桁程度になってしまうという問題も報告されている(非特許文献2)。
以上まとめれば、従来技術による抵抗変化素子では、素子作製後の最初のオン動作、ないし最初の数回から100回程度のオン動作で絶縁性が下がってしまう現象が観測されていた。このような小さなオンオフ比や繰り返し動作中にそれがさらに低下することは、抵抗変化素子の応用にとって大きな障害となり得る。
本発明の課題は、金属酸化物層の絶縁性が素子動作を繰り返しても容易に低下せず、高いオンオフ比を維持したままの動作が可能な抵抗変化素子を提供することにある。
本発明の一側面によれば、金属酸化物層中で酸素空孔が電界によって移動することで抵抗が変化する2端子型素子である抵抗変化素子であって、金属酸化物層を挟む2つの金属電極のうち、一方の金属電極と前記金属酸化物層との界面に界面層を設け、前記界面層中に導電性フィラメントを成長させるために必要な電界強度は前記金属酸化物中に導電性フィラメントを成長させるために必要な電界強度よりも大きい抵抗変化素子が与えられる。
ここで、前記界面層はシリコン酸化膜層であってよい。
また、前記金属酸化物層はアモルファス酸化タンタルであってよい。
また、前記アモルファス酸化タンタルにおける酸素の含有量がタンタルの2.4倍以下であってよい。
また、前記シリコン酸化膜層の厚さが1.5nm以下であってよい。
また、前記2つの金属電極がそれぞれ、白金、タンタル、タングステン、ルテニウムから選択された一の金属であるかまたは複数の金属の合金であってよい。
本発明によれば、オンオフ抵抗比が大きく、しかもオンオフ動作の繰り返しによる特性の劣化が抑止された抵抗変化素子を提供することができる。
本発明による素子の構造を表す模式図。 本発明による素子動作のオンオフ動作の繰り返しによる電圧−電流特性変化の測定結果の例を示す図。 本発明による素子動作におけるオン抵抗及びオフ抵抗の変化の例を示す図。 従来技術に係る抵抗変化素子動作における絶縁破壊の発生を原理的に説明する模式図。 従来技術に係る抵抗変化素子のオンオフ動作の繰り返しによる絶縁破壊領域の成長を模式的に示すとともに、当該繰り返しによるオン抵抗及びオフ抵抗の変化も示す図。 本発明による抵抗変化素子の動作を示すとともに、当該抵抗変化素子では図4で示した絶縁破壊が起こらないことを説明する模式図。 1.3nmのシリコン酸化膜を挿入した本発明の実施例の抵抗変化素子のオンオフ動作の繰り返しによる電圧−電流特性変化の測定結果を示す図。 1.3nmのシリコン酸化膜を挿入した本発明の実施例の抵抗変化素子の動作におけるオン抵抗及びオフ抵抗の変化を示す図。 2nmのシリコン酸化膜を挿入した本発明の実施例の抵抗変化素子のオンオフ動作の繰り返しによる電圧−電流特性変化の測定結果を示す図。 シリコン酸化膜を挿入しない、本発明の比較例の抵抗変化素子構造の模式図。 シリコン酸化膜を挿入しない、本発明の比較例の抵抗変化素子のオンオフ動作の繰り返しによる電圧−電流特性変化の測定結果を示す図。 シリコン酸化膜を挿入しない本発明の比較例の抵抗変化素子の動作におけるオン抵抗及びオフ抵抗の、オンオフ動作繰り返し回数による変化を示す図。 理想的な化学量論比にあるアモルファス酸化タンタルを用いた場合の抵抗変化素子の電圧−電流特性の測定結果を示す図。
本発明の抵抗変化素子では、金属酸化物層を挟む2つの金属電極との界面のうち、一方の界面にシリコン酸化膜層等の界面層を挿入する。図1に、本発明による抵抗変化素子の一例の構造の模式図を示す。図1に示す例では、金属酸化物として、アモルファス酸化タンタル(TaOx)を、金属電極材料として、白金(Pt)とタンタル(Ta)がそれぞれ用いられている。その上で、アモルファス酸化タンタル層と白金電極との界面に1nm厚のシリコン酸化膜(SiO)からなる界面層が挿入されている。より一般的には、フィラメント形成のために必要な電界強度が隣接する金属酸化物層で必要とされるそれよりも大きな材料であれば、シリコン酸化物でなくても当該界面層の材料として使用することができる。また、金属電極に使用する金属としては、以下の実施例では白金及びタンタルを使用したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、それぞれの電極の金属は白金、タンタル、タングステン、ルテニウムのいずれか、またはこれらの合金を使用することができる。
[本発明の抵抗変化素子の構造及び動作]
図2に、図1に模式的に示した抵抗変化素子の動作結果を示す。なお、測定に用いた素子では、アモルファス酸化タンタル層の膜厚は17nm、界面層であるシリコン酸化膜層の膜厚は1nmであり、作製直後の素子はオフ状態にあった。この素子に対して、上部電極(タンタル)に正の電圧を印加してその電圧を次第に増大させていくと、3V程度で電流が急激に上昇し(図中、黒線)、素子はオン状態にスイッチングした。なお、本測定では、過電流による素子の損傷を防ぐため、印加電圧が正側では測定系に流れる最大電流値を100μAに設定した。続いて上部電極(タンタル)に負の電圧を印加すると−2V程度で電流が減少し、素子はオフ状態にスイッチングした。実験では、電圧走査によるこのオンオフ動作を100回繰り返した。図2には、このうちの1回目、5回目及び100回目のスイッチング動作を抽出して示してある。
1回目から100回目までのスイッチング動作におけるオン状態における抵抗値(以降、オン抵抗と称する)及びオフ状態における抵抗値(以降、オフ抵抗と称する)の変化を図3に示す。オン抵抗は概ね1kΩ(10Ω)で推移した。一方、オフ抵抗は、バラツキは大きいものの、最小値でも10MΩ(10Ω)以上であり、平均的には100MΩ〜1GΩ(10〜10Ω)ある。従って、オンオフ比は4桁以上、平均的には5〜6桁となり、従来例(1〜3桁)よりもかなり大きい。例えば、電子回路の遮断にも用いられる半導体トランジスタのオンオフ比は6桁程度であり、本発明による素子が、電子回路の遮断回路としても用いることが可能なレベルにあることが分かる。すなわち、電子回路を構成する素子としては、あらゆる用途に利用可能な十分に高いオンオフ比を有している。
[本発明の原理]
ここで、従来技術の素子構造に本発明によって追加した界面層(上に説明した例ではシリコン酸化膜)が果たすスイッチング動作における役割を説明する。
[従来の抵抗変化素子の動作]
図4は、シリコン酸化膜を挿入しない場合の酸素空孔による伝導経路(フィラメント)形成、ならびに金属電極/アモルファス酸化タンタル層/金属電極の内部に形成される電位(φ)及び電界強度(E)を示す模式図である。なお、酸素空孔とは酸素イオンが欠損したサイトのことであり、酸素イオンが本来のサイトから移動・消失することによって形成される。すなわち、酸素空孔と酸素イオンの移動は表裏一体であるが、本明細書では、抵抗変化素子の動作を説明する際の通例である、酸素空孔の移動で説明している。
タンタル電極(図ではアモルファス酸化タンタル層の右側にある電極)に正の電圧を印加すると、アモルファス酸化タンタル層内では、酸素空孔が白金電極側に向かって拡散し、白金電極側で酸素空孔の濃度が増す。この結果、白金電極近傍ではアモルファス酸化タンタル層のタンタルが還元され、酸素空孔の増えた領域で局所的に電子伝導性が向上する(図4(a))。この電子伝導性の向上した領域をフィラメントと呼ぶ。さらに電圧を印加することで、酸素空孔の濃度が増すことによる伝導経路(フィラメント)の成長が続く(図4(b))。図4では、フィラメントが形成されていない領域をXで示してある。フィラメントが形成されている領域の抵抗値はkΩ程度であり、フィラメントが形成されていない領域Xの抵抗値は数十MΩの程度である。このため、白金−タンタル電極間に印加した電圧の殆どは、フィラメントが形成されていない領域Xで電圧降下することになる。スイッチオンとなる直前、すなわち、フィラメントが完成する直前では、領域Xは1nm程度となり、当該領域には数十MV(10V)/cmという大きな電界が印加される(図4(c))。このように極めて大きな電界が印加される結果、当該領域では絶縁破壊(上述したハード・ブレークダウン)が起こってしまう(図4(d))。繰り返し動作によって、この絶縁破壊された(つまり低抵抗の)領域が拡がり、実効的にスイッチング動作に関与するアモルファス酸化タンタル層の膜厚が薄くなっていく。実際に測定した抵抗変化とともに、その様子を図5に模式的に示す。絶縁破壊されていない部分では、オフ動作によって酸素空孔が移動して、フィラメントが消失する。しかしながら、絶縁破壊された領域の拡大によって、素子全体のオフ抵抗が下がってしまうのである(図上部の模式図参照)。
この結果、オフ状態における抵抗値がスイッチングを繰り返すことによって低下してしまう。また、アモルファス酸化タンタル層の実効的な膜厚が薄くなることで十分な量の酸素空孔の供給も難しくなり、オン状態における抵抗値もわずかに上昇してしまうものと考えられる。
[本発明の抵抗変化素子の動作]
次に、界面層としてシリコン酸化膜を挿入した、本発明の抵抗変化素子の動作について、図6を用いて説明する。シリコン酸化膜におけるフィラメント形成には、10MV/cm程度の電界が必要であることが本発明を完成させる過程における測定により明らかになっている。一方、アモルファス酸化タンタル中におけるフィラメント形成は、1MV/cm以下の電界で可能である。このため、素子に印加する電圧をゼロVから上昇させていくと、まず初めに、アモルファス酸化タンタル層内で酸素空孔の移動によるフィラメント形成が始まる(図6(a))。電圧の印加を続けることによってアモルファス酸化タンタル層内ではフィラメントがさらに成長する(図6(b))。このとき、大部分の電圧降下は、アモルファス酸化タンタル層のフィラメントが形成されていない領域ではなく、より絶縁性の高いシリコン酸化膜層内で起こる。このため、アモルファス酸化タンタル層内におけるフィラメント形成が完了する直前であっても、同アモルファス酸化タンタル層のフィラメントが形成されていない領域には大きな電界が発生しない(図6(b)下側の図を参照)。すなわち、本発明の抵抗変化素子ではアモルファス酸化タンタル層の一部で絶縁破壊が起こることはない。アモルファス酸化タンタル層にフィラメントが形成された後、さらに電圧を上昇させると、シリコン酸化膜層内においても酸素空孔の移動によるフィラメント形成が起こる(図6(d))。アモルファス酸化タンタル層とシリコン酸化膜の両方にフィラメントが形成されることで、素子全体の抵抗が下がり、スイッチオンとなる。
挿入したシリコン酸化膜がフィラメント成長にともなって増大する電界を吸収してくれるので、アモルファス酸化タンタル層内でフィラメント形成が完了する直前であっても、アモルファス酸化タンタル層内に大きな電界が発生することがない。このため、本発明によれば、アモルファス酸化タンタル層内における絶縁破壊を回避できる。その結果、高いオンオフ比を維持した上での繰り返し動作が実現できた。なお、2nm以上のシリコン酸化膜を用いた場合には、シリコン酸化膜中にフィラメントを形成するのに高い電圧(10V以上)を電極間に印加する必要がある。そのため、シリコン酸化膜中にフィラメントが形成された(シリコン酸化膜の抵抗値が下がった)時点で、アモルファス酸化タンタル層に高い電圧が印加されてしまうこととなり、その結果、アモルファス酸化タンタル層内で絶縁破壊が起こってしまうことが分かった。このため、挿入するシリコン酸化膜の厚さは1.5nm以下である必要がある。
[アモルファス酸化タンタルの酸素とタンタルの組成]
次に、アモルファス酸化タンタル層の酸素とタンタルの組成について述べる。本発明では、アモルファス酸化タンタル層内でのフィラメント形成に必要な電界強度(1MV/cm以下)が界面層であるシリコン酸化膜層内にフィラメントを形成するのに必要な電界強度(10MV/cm)よりも小さいことを利用して、始めにアモルファス酸化タンタル層にフィラメントを形成し、それに続いてシリコン酸化膜中にフィラメントを形成することでアモルファス酸化タンタル層内における絶縁破壊を回避している。しかし、アモルファス酸化タンタルは、酸素とタンタルとの比が理想的な化学量論比(酸素:タンタル=5:2)以外の各種の組成をも取ることができる不定比性を有している。以下の実施例の項の末尾で説明するように、理想的な化学量論比のアモルファス酸化タンタル層を用いた場合にはその中にフィラメントを形成するために必要な電界強度がシリコン酸化膜についてのフィラメント形成電計強度と同程度になってしまうために、上述した本発明の原理が成り立たなくなってしまう。実際に動作する本発明の抵抗変化素子で界面層にシリコン酸化膜を使用する場合には、タンタルに対する酸素の原子比が2.0〜2.4程度の酸化タンタルを使用するのが良い。
以下で実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。しかし、以下の説明は本発明を実施例に限定するものではなく、言うまでもないが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載のみに基づいて定められなければならないことに注意されたい。
[実施例1]
本実施例では、金属酸化物層と金属電極との間に界面層として挿入するシリコン酸化膜について、素子動作の膜厚依存性を測定した結果を述べる。[発明の実施の形態]の項では、膜厚1nmのシリコン酸化膜を挿入した素子を例にとってその動作結果を示したので、本実施例では、界面層を膜厚1.3nm、2nm及び3nmのシリコン酸化膜とした場合の素子の動作結果を述べる。
図7に、膜厚1.3nmのシリコン酸化膜を挿入した素子の動作結果を示す。1回目のオン動作に必要な電圧が4.5V程度とやや大きくなっているが、概ね図2に示した膜厚1nmのシリコン酸化膜を挿入した素子の動作と同様の結果が得られている。図8に、素子作製直後から100回目までの動作におけるオン抵抗とオフ抵抗の変化を示す。オン抵抗は、ほぼ1kΩであり、これについては図3に示す結果と一致している。オフ抵抗は数MΩ(10Ω)程度にまで下がってしまった場合も散見されるが、概ね数十MΩ(10Ω)以上で推移した。この結果から、オンオフ比では4桁を超える動作が実現できたことになる。
図9には、界面層として膜厚2nmのシリコン酸化膜を挿入した素子の動作結果を示す。1回目の動作ではオンオフ動作を実現できたものの、2回目のオン動作の後はオフ動作が実現できず、繰り返し動作はしなかった。すなわち、界面層として膜厚3nmのシリコン酸化膜を挿入した素子では、一度もオンオフ動作を実現できなかった。その原因を検討するに、1回目のオン動作に高い電圧(10V以上)を印加する必要があり、またその後のオフ動作が不可能であったことから、酸化タンタル層およびシリコン酸化膜層で絶縁破壊(ハード・ブレークダウン)が起きてしまったものと考えられる。
以上の結果から、界面層として挿入するシリコン酸化膜の膜厚は1.5nm以下であることが望ましいことが分かった。なお、1nm未満(例えば、0.5nm)のシリコン酸化膜を挿入した場合、[比較例1]で示すシリコン酸化膜を挿入しなかった場合の素子動作と同様の動作が得られた。これは、本願発明者の実験に使用した特定のプロセスでは膜厚が薄すぎる場合ピンホールなどが形成され、[発明の原理]で説明したスイッチング動作におけるシリコン酸化膜の役割を果たせなくなったためであると考えられる。今後成膜方法の改善などによって1nm未満のシリコン酸化膜でもピンホールが無いシリコン酸化膜の作成が可能になり、本発明による効果が得られる可能性があるが、その場合でも実施例3で説明する「膜」としての厚さを確保する観点から0.5nm以上の膜厚であることが望ましい。
[比較例1]
本比較例では、シリコン酸化膜を挿入しなかった場合の素子の動作結果について述べる。図10に、測定に用いた比較例の抵抗変化素子の構造を模式的に示す。金属電極材料として白金とタンタルを用い、両電極でアモルファス酸化タンタル層(膜厚17nm)を挟んだ。
図11に、素子の動作結果を示す。素子作製直後の素子に対して正の電圧を印加したところ、2.5V程度でスイッチオンとなった。一方、それ以降の動作では、2V以下の電圧でオン動作が実現できた。図11で明らかな様に、1回目のスイッチオンに必要な電圧(矢頭参照)とそれ以降のオン動作に必要な電圧が明確に分離されている。これは、従来例で述べたフォーミングプロセスが本素子では必要であることを示している。なお、本実験でも、素子の損傷を防ぐため、測定系に流れる最大電流を100μAに制限した。
図12に、素子作製後の始めの100回のスイッチング動作におけるオン抵抗とオフ抵抗の変化を示す。第一に、フォーミングプロセスによってアモルファス酸化タンタル層の絶縁性が下がってしまったために、オフ抵抗が最大でも10MΩ程度に下がってしまっていることがわかる。シリコン酸化膜層を挿入した場合には、最低でも10MΩ以上のオフ抵抗が実現されていたこととは対照的である。さらに、この最大10MΩのオフ抵抗は、スイッチングを繰り返すことで100kΩにまで小さくなってしまった。一方、オン抵抗も始めは1kΩの程度であったが、動作を繰り返すうちに数十kΩ程度にまで大きくなってしまった。その結果、オンオフ比は、わずか1桁程度になってしまった。
なお、複数の素子で同様の実験を繰り返した結果、このオン抵抗とオフ抵抗の変化は、概ね最初の100回のスイッチング動作で起こり、その後は殆ど変化しないことが判明した。このため、素子作製直後の100回の動作におけるオンオフ抵抗値の変化を調べることで、繰り返し動作によるオンオフ比の低下が起こるか否かを判定できることが分かった。
[比較例2]
既に述べたように、アモルファス酸化タンタルでは、様々な不定比性(酸素とタンタルの比)を持った膜を作製することが可能であるが、ここで不定比性が本発明に与える影響について検証した。その結果、理想的な化学量論比(酸素:タンタル=5:2)のアモルファス酸化タンタル膜では、フィラメント形成に20MV/cm程度の電界が必要であることが分かった。図13に、これを示唆する実験結果を示す。この実験では、理想的な化学量論比にある膜厚3nmのアモルファス酸化タンタルをタンタル電極と白金電極で挟み、電圧を印加した。その結果、7V程度の電圧でスイッチオンした。すなわち、20MV/cm程度の電界強度でフィラメントが形成された。この電界強度は、シリコン酸化膜中にフィラメントを形成するのに必要な電界強度と同程度であるから、本発明は適用できない。詳細な実験を行った結果、タンタルに対する酸素の含有量が2.4倍以下の場合(理想的な化学量論比では2.5)、フィラメント形成に必要な電界強度が1MV/cm程度となり、本発明による素子動作が可能になることが分かった。また、タンタルに対する酸素の含有量の実用的な下限としては2.0倍程度であることが確認された。
ネイチャー・マテリアルズ誌、第10巻、625頁〜630頁(2010年) アプライド・フィジックス・レターズ誌、第97巻、232102頁(2010年)

Claims (6)

  1. 金属酸化物層中で酸素空孔が電界によって移動することで抵抗が変化する2端子型素子である抵抗変化素子であって、
    金属酸化物層を挟む2つの金属電極のうち、一方の金属電極と前記金属酸化物層との界面に界面層を設け、
    前記界面層中に導電性フィラメントを成長させるために必要な電界強度は前記金属酸化物中に導電性フィラメントを成長させるために必要な電界強度よりも大きい
    抵抗変化素子。
  2. 前記界面層はシリコン酸化膜層である、請求項1に記載の抵抗変化素子。
  3. 前記金属酸化物層がアモルファス酸化タンタルである、請求項1または2に記載の抵抗変化素子。
  4. 前記アモルファス酸化タンタルにおける酸素の含有量がタンタルの2.4倍以下であることを特徴とする請求項3に記載の抵抗変化素子。
  5. 前記シリコン酸化膜層の厚さが1.5nm以下である、請求項1から4の何れかに記載の抵抗変化素子。
  6. 前記2つの金属電極がそれぞれ、白金、タンタル、タングステン、ルテニウムから選択された一の金属であるかまたは複数の金属の合金である、請求項1から5の何れかに記載の抵抗変化素子。
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