JP2016076542A - 電子装置及び電子装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】導体層との接続時におけるグラフェンの電子移動度の低下、グラフェンと導体層の接触抵抗の増大を抑えた電子装置を実現する。
【解決手段】トランジスタ100Aは、グラフェン110と、その終端部110a及び終端部110bにそれぞれ対向して設けられたソース電極130a及びドレイン電極130bを有する。グラフェン110の終端部110a及び終端部110bの炭素原子と、ソース電極130a及びドレイン電極130bの金属原子とを、炭素原子とは異なる所定の原子、例えば酸素原子140a及び酸素原子140bを介して、化学的に結合する。この構造により、グラフェン110の電子移動度の低下、グラフェン110とソース電極130a及びドレイン電極130bの接触抵抗の増大を抑制する。
【選択図】図9

Description

本発明は、電子装置及び電子装置の製造方法に関する。
炭素材料の1種であるグラフェンは、炭素原子がsp2結合により六角格子状に並んだ原子1層のシート状の物質であり、高い電子移動度を示すことが知られている。例えば、このような性質を有するグラフェンを、半導体素子等を含む電子装置内の、配線や、トランジスタのチャネルに適用することが提案されている。
特開2012−36040号公報
フィジカル・レビュー・ビー(Physical Review B),2009年,79巻,p.195425−1〜195425−12
グラフェンを用いる電子装置では、グラフェンへの電流供給或いはグラフェンからの電流取り出しのために、金属等の導体材料を用いた導体層がグラフェンに接続される場合がある。
しかし、グラフェンと導体層を接続した時には、それらの相互作用により、グラフェンの電子移動度が低下したり、グラフェンと導体層の接触抵抗が増大したりすることがある。そのため、グラフェンの性質を活かした電子装置を得ることができないことが起こり得る。
本発明の一観点によれば、グラフェンと、前記グラフェンの第1終端部に対向して設けられ、前記第1終端部の炭素原子に、炭素原子とは異なる第1原子を介して結合された金属原子を有する第1導体層とを含む電子装置が提供される。
また、本発明の一観点によれば、グラフェンの第1終端部の炭素原子に、炭素原子とは異なる第1原子を結合する工程と、前記第1原子が結合された前記第1終端部と、金属原子を有する第1導体層とを対向させ、当該金属原子を前記第1原子と結合する工程とを含む電子装置の製造方法が提供される。
開示の技術によれば、導体層との接続時におけるグラフェンの電子移動度の低下、グラフェンと導体層の接触抵抗の増大を抑えた電子装置を実現することが可能になる。
グラフェンを用いたトランジスタの第1の例を示す図である。 グラフェンを用いたトランジスタの第2の例を示す図である。 グラフェンと電極との接続部の一例の説明図である。 グラフェンと電極との接続部の別例の説明図である。 第1の実施の形態に係るグラフェンの準備工程の一例を示す図(その1)である。 第1の実施の形態に係るグラフェンの準備工程の一例を示す図(その2)である。 第1の実施の形態に係るグラフェンの転写工程の一例を示す図である。 第1の実施の形態に係るソース電極及びドレイン電極の形成工程の一例を示す図(その1)である。 第1の実施の形態に係るソース電極及びドレイン電極の形成工程の一例を示す図(その2)である。 第1の実施の形態に係るグラフェンと電極の原子配置を第1原理計算によってシミュレーションして得られた側面図である。 図10の構造モデルについて第1原理計算を行った結果得られたグラフェンの状態密度を示す図である。 第2の実施の形態に係るグラフェンの準備工程の一例を示す図(その1)である。 第2の実施の形態に係るグラフェンの準備工程の一例を示す図(その2)である。 第2の実施の形態に係るグラフェンの転写工程の一例を示す図である。 第2の実施の形態に係るソース電極及びドレイン電極の形成工程の一例を示す図(その1)である。 第2の実施の形態に係るソース電極及びドレイン電極の形成工程の一例を示す図(その2)である。 第2の実施の形態に係るグラフェンと電極の原子配置を第1原理計算によってシミュレーションして得られた側面図である。 図17の構造モデルについて第1原理計算を行った結果得られたグラフェンの状態密度を示す図である。 第3の実施の形態に係るトランジスタの形成方法の一例を示す図(その1)である。 第3の実施の形態に係るトランジスタの形成方法の一例を示す図(その2)である。 第4の実施の形態に係る導体部の構成例を示す図である。
グラフェンは、炭素(C)原子がsp2結合により六角格子状に並んだ原子1層のシート状の物質であり、フェルミ準位付近で特徴的な線形分散バンドを有するために、電子移動度が高く、半導体装置の高速化や低消費電力化に有用であると考えられる。グラフェンは、シート中における電子の散乱を抑制した場合、室温でも100000cm2-1-1を超える非常に大きな電子移動度を達成することが可能である。このような高い電子移動度を達成し得るグラフェンを、例えば、トランジスタや配線に利用することが提案されている。
一例として、グラフェンをトランジスタのチャネルの材料に用いた例を、図1及び図2に示す。
図1はグラフェンを用いたトランジスタの第1の例を示す図である。図1には、第1の例に係るトランジスタの要部斜視模式図を示している。
図1に示すトランジスタ10は、基板11、絶縁膜12、グラフェン13、ソース電極14a、ドレイン電極14b、ゲート絶縁膜15及びゲート電極16を有している。
基板11には、各種基板を用いることができる。絶縁膜12には、各種絶縁材料を用いることができ、例えば、酸化シリコン(SiO2)が用いられる。このような絶縁膜12上に、チャネルとなるグラフェン13が設けられる。グラフェン13は、例えば、エチレン(CH2CH2)等の炭化水素を用いてCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって触媒金属上に形成されたグラフェンを絶縁膜12上に転写することで、設けられる。尚、炭化水素を用いて形成されるグラフェン13は、水素(H)原子で終端されることが多い。
トランジスタ10では、絶縁膜12の上に設けられたグラフェン13のx方向の両端部(各々、終端部及び終端部から内側の領域)上に、ソース電極14a及びドレイン電極14bが設けられる。ソース電極14a及びドレイン電極14bには、例えば、金属が用いられる。このようなソース電極14aとドレイン電極14bの間のグラフェン13上に、ゲート絶縁膜15を介してゲート電極16が設けられる。
図1に示すトランジスタ10では、ゲート電極16の電位が制御されることで、グラフェン13を用いたチャネルのオン、オフの状態が制御される。
また、図2はグラフェンを用いたトランジスタの第2の例を示す図である。図2には、第2の例に係るトランジスタの要部斜視模式図を示している。
図2に示すトランジスタ20は、基板21、絶縁膜22、グラフェン23、ソース電極24a及びドレイン電極24bを有している。
基板21には、導電性を有する基板が用いられ、例えば、所定導電型の不純物元素を添加したシリコン(Si)基板等の半導体基板が用いられる。絶縁膜22には、各種絶縁材料を用いることができ、例えば、酸化シリコンが用いられる。このような絶縁膜22上に、チャネルとなるグラフェン23が、上記同様、転写等の方法を用いて、絶縁膜22上に設けられる。
トランジスタ20では、絶縁膜22の上に設けられたグラフェン23のx方向の両端部(各々、終端部及び終端部から内側の領域)上に、ソース電極24a及びドレイン電極24bが設けられる。ソース電極24a及びドレイン電極24bには、例えば、金属が用いられる。
図2に示すトランジスタ20では、導電性の基板21がゲート電極として機能し、基板21の電位が制御されることで、グラフェン23を用いたチャネルのオン、オフの状態が制御される。
グラフェンを用い、例えば、上記の図1や図2に例示するような構成を有するトランジスタを得ることができる。
尚、トランジスタのチャネルにグラフェンを用いる場合、ソース電極及びドレイン電極として機能する電極(導体層)は、グラフェンの上層側に限らず、グラフェンの下層側に設けることもできる。
ここで、グラフェンをチャネルに用いたトランジスタにおける、グラフェンと電極(ソース電極、ドレイン電極)との接続について述べる。
図3はグラフェンと電極との接続部の一例の説明図である。図3の上図には、グラフェンと電極を模式的に図示し、図3の下図には、グラフェンと電極の状態密度の一例を模式的に図示している。
電極2には、金属が用いられる。グラフェンをチャネルに用いたトランジスタにおいては、金属を用いた電極2と、チャネルとなるグラフェン1が積層され、それらに流される電流Iのオン、オフが、グラフェン1に対向して配置される図示しないゲート電極を用いて制御される。
グラフェン(Gr)1と電極(M)2の間のトンネル電流Jについては、次式(1)のような関係がある。
J∝∫DM(EF)×fM(E)×T(E)×DGr(EF)×{1−fGr(E)}dE∝1/Rc・・・(1)
式(1)において、DMは電極2の状態密度(Density Of State;DOS)、fMは電極2のフェルミ関数、Tは透過率、DGrはグラフェン1の状態密度(DOS)、fGrはグラフェン1のフェルミ関数であり、Rcは接触抵抗である。グラフェン1は、フェルミ準位EF付近で特徴的な線形分散バンドを有するために、グラフェン1の状態密度DGrが電極2の状態密度DMに比べて小さく、接触抵抗Rcを律速する。
電極2として、例えば、チタン(Ti)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)等の金属(金属タイプAという)を用いた場合、電極2は、グラフェン1との間に化学結合を形成する。即ち、電極2の金属原子と、グラフェン1の炭素原子とが、直接、化学結合する。
ここでは図示を省略するが、金属タイプAの電極2を用いた場合には、電極2とグラフェン1の接続部に化学結合が形成されて強い相互作用が存在するために、接続部においてグラフェン1の状態密度DGrが増大し、低い接触抵抗Rcが得られる。しかし、電極2とグラフェン1の接続部における強い相互作用のために、グラフェン1の高い電子移動度の由来ともなっているフェルミ準位EF付近でのバンドの線形分散が大きく乱れ、グラフェン1の電子移動度の低下やシート抵抗(Ω/□)の増大を招く。
一方、電極2として、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、白金(Pt)、金(Au)等の金属(金属タイプBという)を用いた場合、電極2は、グラフェン1と化学結合(化学吸着)せず、グラフェン1と物理吸着する。
図3の下図には、このような金属タイプBの電極2を用いた場合の状態密度DGrを模式的に示している。金属タイプBの電極2を用いた場合には、電極2とグラフェン1の接続部における相互作用が弱いために、フェルミ準位EF付近でのバンドの線形分散が大きく乱れず、グラフェン1の電子移動度の低下やシート抵抗の増大が抑えられる。しかし、電極2とグラフェン1の接続部における相互作用が弱いために、グラフェン1の状態密度DGrが小さく、それに反比例して接触抵抗Rcが大きくなる。
そこで、上記のような点に鑑み、次の図4に示すような手法を採用する。
図4はグラフェンと電極との接続部の別例の説明図である。図4の上図には、グラフェンと電極を模式的に図示し、図4の下図には、グラフェンと電極の状態密度の一例を模式的に図示している。
この手法では、電極2に金属タイプBの金属を用い、図4の上図に示すように、グラフェン1の終端部1aの炭素原子を、炭素原子とは異なる原子3、例えば酸素原子や硫黄原子を介して、電極2の金属原子に化学結合した構造(原子3による架橋構造)とする。
このようにグラフェン1の終端部1aの炭素原子と、金属タイプBの金属を用いた電極2の金属原子とを、所定の原子3で架橋した構造とすることで、図4の下図に示すように、電極2との相互作用でグラフェン1の状態密度DGrを増大させる。これにより、グラフェン1のフェルミ準位EF付近の状態密度DGrに対して反比例の関係で律速される、グラフェン1と電極2との間の接触抵抗Rcの低減を図る。
電極2に金属タイプBの金属を用い、原子3による架橋構造(原子3を介した化学結合)をグラフェン1の終端部1aに限定的に設けることで、グラフェン1の線形分散バンドの乱れが生じる範囲を、終端部1aの原子3で架橋された部分に限定的にする。原子3で架橋された部分以外では、グラフェン1と電極2を物理吸着させ、それらの間に強い相互作用が生じるのを抑制する。原子3で架橋された部分以外でグラフェン1と電極2の間に強い相互作用が生じるのを抑制することで、原子3で架橋された部分以外では、上記図3で述べたようにフェルミ準位EF付近でのバンドの線形分散が大きく乱れることが抑制される。原子3で架橋された部分以外でグラフェン1のフェルミ準位EF付近でのバンドの線形分散が大きく乱れることが抑制されることで、グラフェン1の電子移動度の低下やシート抵抗の増大が抑制される。
このように、原子3で架橋された部分ではグラフェン1のフェルミ準位EF付近の状態密度DGrを増大させ、原子3で架橋された部分以外ではフェルミ準位EF付近でのバンドの線形分散の乱れを抑制する。これにより、電極2と接続されるグラフェン1の電子移動度の低下やシート抵抗の増大を抑制しつつ、グラフェン1と電極2との間の接触抵抗Rcの低減を図る。
以下、上記のような手法を用いた実施の形態について、詳細に説明する。
まず、第1の実施の形態について説明する。
第1の実施の形態に係る、グラフェンをチャネルに用いるトランジスタは、図5〜図9に示すような工程で形成される。以下、図5〜図9を参照して、第1の実施の形態に係るトランジスタの形成工程について説明する。
図5及び図6は第1の実施の形態に係るグラフェンの準備工程の一例を示す図である。図5及び図6には、第1の実施の形態に係るグラフェンの準備工程の要部斜視模式図を示している。
まず、例えば、グラファイトを劈開することにより、炭素原子1層分のグラフェンシートを形成する。尚、グラファイトの劈開に代えて、CVD法により、グラフェンシートを形成してもよいし、レーザでカーボンナノチューブを引き裂いてグラフェンシートを形成してもよい。
形成したグラフェンシートをパターニングにより成形し、図5に示すような、チャネルとなるグラフェン110を形成する。グラフェン110は、x方向に互いに離間した第1の終端部110aと第2の終端部110bとを有する。ここではx方向の終端部110a及び終端部110bとして、アームチェア型の終端部110a及び終端部110bを例示している。このようにグラフェンシートをパターニングしてグラフェン110を形成した段階では、その終端部110a及び終端部110bは、水素原子113で終端されている。
グラフェン110は、通常、シートのままでは半導体にならずに半金属となるので、グラフェン110のy方向の幅を1nm〜10nm程度に加工することが好ましい。或いは、グラフェン110を、10nm〜100nm程度の穴を周期的に開口してメッシュ状に加工し、量子閉じ込め効果によって、グラフェン110が半導体の性質を示すようにすることが好ましい。
グラフェン110を形成した後、減圧雰囲気中でグラフェン110に対してアニールを行うことで、終端部110a及び終端部110bの欠陥を修復したり、グラフェン110に含まれる不純物を除去したりしてもよい。減圧雰囲気に代えて、還元性ガスや反応性ガスの雰囲気中でグラフェン110に対するアニールを行ってもよい。
上記のようにしてグラフェン110を形成した後、図5に示すように、ヒドロキシル(OH)基を含む原料ガス200Aをグラフェン110に供給しながら、光源300で生成された紫外線310を、グラフェン110の終端部110a及び終端部110bに照射する。尚、紫外線310は、グラフェン110に全体的に照射するようにしてもよいし、グラフェン110の終端部110a及び終端部110bに選択的に照射するようにしてもよい。
ヒドロキシル基を含む原料ガス200Aは特に限定されないが、例えば、飽和炭化水素ガス又は芳香族炭化水素ガスを原料ガス200Aとして使用する。このような原料ガス200Aとしては、例えば、気化したメタノールやフェノールがある。尚、このような原料ガス200Aに代えて、水蒸気を用いてもよい。
紫外線310の照射条件は特に限定されない。例えば、波長が254nmの紫外線310を発生する水銀ランプを光源300として用い、その光源300とグラフェン110との間隔を0.1mm〜1000mm程度とする。
グラフェン110の終端部110a及び終端部110bは、紫外線310の照射によってラジカル化し、原料ガス200Aのヒドロキシル基によって終端される。これにより、図6に示すような、x方向の終端部110a及び終端部110bがそれぞれヒドロキシル基111a及びヒドロキシル基111bで終端されたグラフェン110が得られる。
ここではグラフェン110のx方向の終端部110a及び終端部110bをそれぞれヒドロキシル基111a及びヒドロキシル基111bで終端する点について述べたが、グラフェン110のy方向の終端部の構成は特に限定されない。例えば、グラフェン110のy方向の終端部は、水素原子で終端されていてもよいし、ヒドロキシル基で終端されていてもよい。
このようにして、少なくともx方向の終端部110a及び終端部110bがそれぞれヒドロキシル基111a及びヒドロキシル基111bで終端されたグラフェン110が準備される。
グラフェン110の準備後、準備したグラフェン110を、所定の基材の上に転写する。
図7は第1の実施の形態に係るグラフェンの転写工程の一例を示す図である。図7には、第1の実施の形態に係るグラフェンの転写工程の要部断面模式図を示している。
上記のようにして準備したグラフェン110を転写する基材120として、図7に示すような、基板121上に絶縁膜122を設けたものを準備する。例えば、基板121としてp型シリコン基板を用い、この基板121上に、絶縁膜122として、膜厚が100nm程度の酸化シリコン膜を形成する。尚、絶縁膜122には、酸化シリコンのほか、酸化アルミニウム(Al23)等の任意の絶縁性酸化物を用い得る。
次いで、図7に示すように、x方向の終端部110a及び終端部110bがそれぞれヒドロキシル基111a及びヒドロキシル基111bで終端されたグラフェン110を、基材120の絶縁膜122上に転写する。転写の仕方は特に限定されない。例えば、接着テープの接着面にグラフェン110を接着し、そのグラフェン110を絶縁膜122に押し当てることで、絶縁膜122上にグラフェン110を転写することができる。
図8及び図9は第1の実施の形態に係るソース電極及びドレイン電極の形成工程の一例を示す図である。図8及び図9には、第1の実施の形態に係るソース電極及びドレイン電極の形成工程の要部断面模式図を示している。
上記のようにしてグラフェン110を絶縁膜122上に転写した後は、図8に示すように、ソース電極130a及びドレイン電極130bを形成する。ソース電極130aは、グラフェン110の一方の終端部110aとそれを終端するヒドロキシル基111aとを含む領域上に、形成する。ドレイン電極130bは、グラフェン110の他方の終端部110bとそれを終端するヒドロキシル基111bとを含む領域上に、形成する。
ソース電極130a及びドレイン電極130bは、メタルマスク(図示せず)を用いて金属を蒸着することにより、形成することができる。ソース電極130a及びドレイン電極130bには、先に金属タイプBの金属として例示したアルミニウム、銅、銀、白金、金等、比較的グラフェン110と強く相互作用しない金属を用いる。
蒸着中、グラフェン110の一方の終端部110a及びヒドロキシル基111aと、ソース電極130aとの間、並びに、他方の終端部110b及びヒドロキシル基111bと、ドレイン電極130bとの間では、次式(2)のような脱水素反応が進行する。
Gr−OH+M→Gr−O−M+1/2H2・・・(2)
式(2)において、Grはグラフェン110、Mはソース電極130a又はドレイン電極130bである。
式(2)のような脱水素反応により、図9に示すように、グラフェン110の終端部110a(その炭素原子)と、ソース電極130a(その金属原子)とが、酸素(O)原子140aを介して化学結合した構造が形成される。同様に、グラフェン110の終端部110b(その炭素原子)と、ドレイン電極130b(その金属原子)とが、酸素原子140bを介して化学結合した構造が形成される。
以上により、第1の実施の形態に係るトランジスタ100Aの基本構造が完成する。
このトランジスタ100Aは、基板121に用いたp型シリコン基板がゲート電極として機能するトランジスタであり、そのp型シリコン基板の電位が制御されることで、チャネルとなるグラフェン110のオン、オフの状態が制御される。トランジスタ100Aは、グラフェン110をチャネルに用いるため、シリコンをチャネルとするトランジスタに比べて、高速動作が可能である。
トランジスタ100Aでは、グラフェン110が、その終端部110a及び終端部110bで、金属タイプBの金属を用いたソース電極130a及びドレイン電極130bと、酸素原子140a及び酸素原子140bを介して化学結合している。トランジスタ100Aは、この点で、金属タイプBの金属を用いたソース電極130a及びドレイン電極130bが、グラフェン110との接続部全体でグラフェン110と物理吸着する構成を有するトランジスタと相違する。
トランジスタ100Aでは、酸素原子140a及び酸素原子140bを介して化学結合したグラフェン110とソース電極130a及びドレイン電極130bとの相互作用により、グラフェン110の終端部110a及び終端部110bの状態密度DGrが増大する。これにより、グラフェン110の状態密度DGrと反比例の関係がある、グラフェン110とソース電極130a及びドレイン電極130bとの間の接触抵抗Rcの低減が図られる。
トランジスタ100Aでは、化学結合が、グラフェン110とソース電極130a及びドレイン電極130bとの接続部全体ではなく、終端部110a及び終端部110bに形成されることで、接続部全体に過剰に強い相互作用が生じることが抑制される。これにより、金属タイプAの金属を用いる場合に見られるような、グラフェン110全体の電子移動度の低下やシート抵抗の増大が抑制される。
続いて、上記のようなトランジスタ100Aに関連して行ったシミュレーションについて説明する。
図10は第1の実施の形態に係るグラフェンと電極(ソース電極又はドレイン電極)の原子配置を第1原理計算によってシミュレーションして得られた側面図である。
図10のシミュレーションにおいては、グラフェン110と電極130(上記のソース電極130a又はドレイン電極130bに相当)とを合わせた系全体のエネルギーが最小になるような原子配置を計算した。電極130には、金電極を用いた。
また、図10のシミュレーションにおいては、電極130との界面におけるグラフェン110の状態密度DGrに着目した計算を容易に行うために、次のような条件下で計算を行った。即ち、図10(A)に示すように、電極130にグラフェン110全体を物理吸着させ、終端部110A(上記の終端部110a又は終端部110bに相当)の一部のみを酸素原子140(上記の酸素原子140a又は酸素原子140bに相当)を介して電極130と化学結合させる。図10(A)には、このような条件下で計算を行ったグラフェン110と電極130の界面の構造モデルを示している。図10(B)は、終端部110Aが水素原子で終端されたグラフェン110全体を電極130に物理吸着させた場合のグラフェン110と電極130の界面の構造モデルである。図10(B)の構造モデルは、図10(A)の構造モデルとの比較のために計算を行っている。
図11は図10の構造モデルについて第1原理計算を行った結果得られたグラフェンの状態密度を示す図である。
図11に示すX1は、図10(A)の構造モデルについて第1原理計算を行った結果得られた、グラフェン110の終端部110Aの状態密度DGrを示している。図11に示すY1は、図10(B)の構造モデルについて第1原理計算を行った結果得られた、グラフェン110の終端部110Aの状態密度DGrを示している。
図11より、X1はY1に比べてフェルミ準位EF付近の状態密度DGrが大きくなっている。例えば、−1eV<E−EF<1eVの範囲で状態密度DGrを積分した値を比較すると、X1はY1の約2.5倍になる。即ち、電極130とグラフェン110の間に酸素原子140を介した結合を形成することで、それらの間の接触抵抗Rcを約2/5に低減することが可能となる。
尚、トランジスタ100Aのチャネルに用いるグラフェン110には、単層グラフェンのほか、単層グラフェンを積層した多層グラフェンを用いることもできる。
第1の実施の形態によれば、グラフェン110をチャネルに用いた、高速で低消費電力のトランジスタ100Aを実現することが可能になる。また、そのようなトランジスタ100Aを含む電子装置の高速化、低消費電力化を図ることが可能になる。
次に、第2の実施の形態について説明する。
図12及び図13は第2の実施の形態に係るグラフェンの準備工程の一例を示す図である。図12及び図13には、第2の実施の形態に係るグラフェンの準備工程の要部斜視模式図を示している。
まず、上記第1の実施の形態と同様にして、図12に示すような、x方向の終端部110a及び終端部110bが水素原子113で終端されているグラフェン110を形成する。その後、図12に示すように、チオール(SH)基を含む原料ガス200Bをグラフェン110に供給しながら、光源300で生成された紫外線310を、グラフェン110の終端部110a及び終端部110bに照射する。
チオール基を含む原料ガス200Bとしては、例えば、飽和炭化水素ガス又は芳香族炭化水素ガスを用いることができる。例えば、気化したメタンチオールを原料ガス200Bとして使用する。
紫外線310の照射条件は特に限定されず、例えば、波長が254nmの紫外線310を発生する水銀ランプを光源300として用い、その光源300とグラフェン110との間隔を0.1mm〜1000mm程度とする。
グラフェン110の終端部110a及び終端部110bは、紫外線310の照射によってラジカル化し、原料ガス200Bのチオール基によって終端される。これにより、図13に示すような、x方向の終端部110a及び終端部110bがそれぞれチオール基112a及びチオール基112bで終端されたグラフェン110が得られる。
グラフェン110のy方向の終端部の構成は特に限定されない。例えば、グラフェン110のy方向の終端部は、水素原子で終端されていてもよいし、チオール基で終端されていてもよい。
このようにして、少なくともx方向の終端部110a及び終端部110bがそれぞれチオール基112a及びチオール基112bで終端されたグラフェン110が準備される。
グラフェン110の準備後、準備したグラフェン110を、所定の基材の上に転写する。
図14は第2の実施の形態に係るグラフェンの転写工程の一例を示す図である。図14には、第2の実施の形態に係るグラフェンの転写工程の要部断面模式図を示している。
上記のようにして準備したグラフェン110を、基板121上に絶縁膜122を設けた基材120の上に転写する。例えば、x方向の終端部110a及び終端部110bがそれぞれチオール基112a及びチオール基112bで終端されたグラフェン110を、接着テープの接着面に接着し、これを絶縁膜122に押し当てて転写する。
図15及び図16は第2の実施の形態に係るソース電極及びドレイン電極の形成工程の一例を示す図である。図15及び図16には、第2の実施の形態に係るソース電極及びドレイン電極の形成工程の要部断面模式図を示している。
グラフェン110を絶縁膜122上に転写した後は、図15に示すように、ソース電極130a及びドレイン電極130bを形成する。ソース電極130aは、グラフェン110の一方の終端部110aとそれを終端するチオール基112aとを含む領域上に、形成する。ドレイン電極130bは、グラフェン110の他方の終端部110bとそれを終端するチオール基112bとを含む領域上に、形成する。
ソース電極130a及びドレイン電極130bは、メタルマスク(図示せず)を用いて金属を蒸着することにより、形成することができる。ソース電極130a及びドレイン電極130bには、先に金属タイプBの金属として例示したアルミニウム、銅、銀、白金、金等、グラフェン110と強く相互作用しない金属を用いる。
蒸着中、グラフェン110の一方の終端部110a及びチオール基112aと、ソース電極130aとの間、並びに、他方の終端部110b及びチオール基112bと、ドレイン電極130bとの間では、次式(3)のような脱水素反応が進行する。
Gr−SH+M→Gr−S−M+1/2H2・・・(3)
式(3)において、Grはグラフェン110、Mはソース電極130a又はドレイン電極130bである。
式(3)のような脱水素反応により、図16に示すように、グラフェン110の終端部110a(その炭素原子)と、ソース電極130a(その金属原子)とが、硫黄(S)原子150aを介して化学結合した構造が形成される。同様に、グラフェン110の終端部110b(その炭素原子)と、ドレイン電極130b(その金属原子)とが、硫黄原子150bを介して化学結合した構造が形成される。
以上により、第2の実施の形態に係るトランジスタ100Bの基本構造が完成する。
このトランジスタ100Bは、基板121に用いたp型シリコン基板がゲート電極として機能するトランジスタであり、そのp型シリコン基板の電位が制御されることで、チャネルとなるグラフェン110のオン、オフの状態が制御される。トランジスタ100Bは、グラフェン110をチャネルに用いるため、シリコンをチャネルとするトランジスタに比べて、高速動作が可能である。
トランジスタ100Bでは、グラフェン110が、その終端部110a及び終端部110bで、金属タイプBの金属を用いたソース電極130a及びドレイン電極130bと、硫黄原子150a及び硫黄原子150bを介して化学結合している。トランジスタ100Bは、この点で、金属タイプBの金属を用いたソース電極130a及びドレイン電極130bが、グラフェン110との接続部全体でグラフェン110と物理吸着する構成を有するトランジスタと相違する。
トランジスタ100Bでは、硫黄原子150a及び硫黄原子150bを介して化学結合したグラフェン110とソース電極130a及びドレイン電極130bとの相互作用により、グラフェン110の終端部110a及び終端部110bの状態密度DGrが増大する。これにより、グラフェン110の状態密度DGrと反比例の関係がある、グラフェン110とソース電極130a及びドレイン電極130bとの間の接触抵抗Rcの低減が図られる。
トランジスタ100Bでは、化学結合が、グラフェン110とソース電極130a及びドレイン電極130bとの接続部全体ではなく、終端部110a及び終端部110bに形成されることで、接続部全体に過剰に強い相互作用が生じることが抑制される。これにより、グラフェン110全体の電子移動度の低下やシート抵抗の増大が抑制される。
続いて、上記のようなトランジスタ100Bに関連して行ったシミュレーションについて説明する。
図17は第2の実施の形態に係るグラフェンと電極(ソース電極又はドレイン電極)の原子配置を第1原理計算によってシミュレーションして得られた側面図である。
図17のシミュレーションにおいては、グラフェン110と電極130(上記のソース電極130a又はドレイン電極130bに相当)とを合わせた系全体のエネルギーが最小になるような原子配置を計算した。電極130には、金電極を用いた。
また、図17のシミュレーションにおいては、電極130との界面におけるグラフェン110の状態密度DGrに着目した計算を容易に行うために、次のような条件下で計算を行った。即ち、図17(A)に示すように、電極130にグラフェン110全体を物理吸着させ、終端部110B(上記の終端部110a又は終端部110bに相当)の一部のみを硫黄原子150(上記の硫黄原子150a又は硫黄原子150bに相当)を介して電極130と化学結合させる。図17(A)には、このような条件下で計算を行ったグラフェン110と電極130の界面の構造モデルを示している。図17(B)は、終端部110Bが水素原子で終端されたグラフェン110全体を電極130に物理吸着させた場合のグラフェン110と電極130の界面の構造モデルである。図17(B)の構造モデルは、図17(A)の構造モデルとの比較のために計算を行っている。
図18は図17の構造モデルについて第1原理計算を行った結果得られたグラフェンの状態密度を示す図である。
図18に示すX2は、図17(A)の構造モデルについて第1原理計算を行った結果得られた、グラフェン110の終端部110Bの状態密度DGrを示している。図18に示すY2は、図17(B)の構造モデルについて第1原理計算を行った結果得られた、グラフェン110の終端部110Bの状態密度DGrを示している。
図18より、X2はY2に比べてフェルミ準位EF付近の状態密度DGrが大きくなっている。例えば、−1eV<E−EF<1eVの範囲で状態密度DGrを積分した値を比較すると、X2はY2の約1.5倍になる。即ち、電極130とグラフェン110の間に硫黄原子150を介した結合を形成することで、それらの間の接触抵抗Rcを約2/3に低減することが可能となる。
尚、トランジスタ100Bのチャネルに用いるグラフェン110には、単層グラフェンのほか、多層グラフェンを用いることもできる。
第2の実施の形態によれば、グラフェン110をチャネルに用いた、高速で低消費電力のトランジスタ100Bを実現することが可能になる。また、そのようなトランジスタ100Bを含む電子装置の高速化、低消費電力化を図ることが可能になる。
次に、第3の実施の形態について説明する。
上記第1及び第2の実施の形態では、p型シリコン基板等の基板121をゲート電極として用いるトランジスタ100A及びトランジスタ100Bを例示した。このほか、チャネルとなるグラフェン110上に、ゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成し、トランジスタを形成することもできる。
図19及び図20は第3の実施の形態に係るトランジスタの形成方法の一例を示す図である。図19には、第3の実施の形態に係るソース電極及びドレイン電極の形成工程の要部断面模式図を示している。図20には、第3の実施の形態に係るゲート絶縁膜及びゲート電極の形成工程の要部断面模式図を示している。
第3の実施の形態に係るトランジスタの形成では、まず、基板161上に絶縁膜162が設けられた基材160が準備される。基板161には、各種基板を用いることができ、絶縁膜162には、各種絶縁材料を用いることができる。
準備した基材160の絶縁膜162上に、上記第1の実施の形態で述べたようなヒドロキシル基で終端したグラフェン110、又は、上記第2の実施の形態で述べたようなチオール基で終端したグラフェン110を転写する。
次いで、そのグラフェン110の上に、ソース電極130a及びドレイン電極130bを形成する。ソース電極130aは、グラフェン110の一方の終端部110aとそれを終端するチオール基又はチオール基とを含む領域上に、形成する。ドレイン電極130bは、グラフェン110の他方の終端部110bとそれを終端するヒドロキシル基又はチオール基とを含む領域上に、形成する。
このソース電極130a及びドレイン電極130bの形成時に、上記の式(2)又は(3)に示したような脱水素反応が起こる。それにより、図19に示すように、グラフェン110の終端部110a及び終端部110b(それらの炭素原子)と、ソース電極130a及びドレイン電極130b(それらの金属原子)とがそれぞれ、酸素又は硫黄の原子170a及び原子170bを介して化学結合した構造が形成される。
そして、図20に示すように、ソース電極130aとドレイン電極130bの間のグラフェン110上に、ゲート絶縁膜180を形成し、ソース電極130aとドレイン電極130bの間のゲート絶縁膜180上に、ゲート電極190を形成する。ゲート絶縁膜180には、各種絶縁材料を用いることができ、例えば、酸化シリコンを用いることができる。ゲート電極190には、各種導体材料を用いることができ、例えば、所定導電型のシリコンやポリシリコン、金属等を用いることができる。
このような工程により、ゲート電極190の電位制御によってチャネルとなるグラフェン110のオン、オフの状態が制御されるトランジスタ100Cを得ることができる。
尚、トランジスタ100Cのチャネルに用いるグラフェン110には、単層グラフェンのほか、多層グラフェンを用いることもできる。
第3の実施の形態によれば、グラフェン110をチャネルに用いた、高速で低消費電力のトランジスタ100Cを実現することが可能になる。また、そのようなトランジスタ100Cを含む電子装置の高速化、低消費電力化を図ることが可能になる。
次に、第4の実施の形態について説明する。
グラフェンは、それをチャネルに用いるトランジスタのほか、電子装置内の素子間或いは部品間を電気的に接続する配線等の導体部にも適用可能である。
図21は第4の実施の形態に係る導体部の構成例を示す図である。図21(A)〜図21(C)にはそれぞれ、第4の実施の形態に係る導体部の要部の構成例を模式的に図示している。
図21(A)に示す導体部400Aは、グラフェン410と、そのグラフェン410の下層に設けられた導体層420a及び導体層420bとを含む。導体層420a及び導体層420bには、金属が用いられる。導体層420a及び導体層420bは、配線やビア等である。グラフェン410の終端部410a及び終端部410b(それらの炭素原子)と、導体層420a及び導体層420b(それらの金属原子)とがそれぞれ、酸素や硫黄等の所定の原子430a及び原子430bを介して、化学結合している。導体層420a及び導体層420bが、それらの上層に設けられたグラフェン410を通じて、電気的に接続されている。
図21(A)に示すような導体部400Aは、例えば、次のようにして形成することができる。
まず、導体層420a及び導体層420bを形成した層上に、ヒドロキシル基又はチオール基で終端したグラフェン410を、その終端部410a及び終端部410bがそれぞれ導体層420a及び導体層420bに対向するように配置(転写)する。或いは、導体層420a及び導体層420bを形成した層上に、グラフェンシートを形成し、これを、終端部410a及び終端部410bがそれぞれ導体層420a及び導体層420bに対向するようにパターニングした後、ヒドロキシル基又はチオール基で終端する。
その後、上記の式(2),(3)のような脱水素反応を生じさせる処理、例えばアニール処理を行う。このような処理を行い、グラフェン410の終端部410a及び終端部410bがそれぞれ、原子430a及び原子430bを介して、導体層420a及び導体層420bに化学結合された、図21(A)のような導体部400Aを得る。
図21(A)には、グラフェン410の下層に導体層420a及び導体層420bを設ける場合を例示したが、グラフェン410の上層に導体層420a及び導体層420bを設け、それらをグラフェン410を通じて電気的に接続することもできる。
この場合は、例えば、まず、ヒドロキシル基又はチオール基で終端したグラフェン410を形成した層上に、蒸着法で導体層420a及び導体層420bを形成する。その蒸着中に上記の式(2),(3)のような脱水素反応が生じ、グラフェン410の終端部410a及び終端部410bがそれぞれ、原子430a及び原子430bを介して、導体層420a及び導体層420bに化学結合された導体部が得られる。
また、図21(B)に示す導体部400Bは、グラフェン410と、そのグラフェン410の下層及び上層にそれぞれ設けられた導体層420a及び導体層420bとを含む。導体層420a及び導体層420bは、配線やビア等であって、金属が用いられて形成されている。グラフェン410の終端部410a及び終端部410b(それらの炭素原子)と、導体層420a及び導体層420b(それらの金属原子)とがそれぞれ、酸素や硫黄等の所定の原子430a及び原子430bを介して、化学結合している。導体層420a及び導体層420bが、それらの層間に設けられたグラフェン410を通じて、電気的に接続されている。
図21(B)に示すような導体部400Bは、例えば、図21(A)の導体部400Aについて述べたような方法の例に従って、形成することができる。即ち、導体層420aを形成した層上に、終端部410aが原子430aを介して導体層420aと化学結合するグラフェン410を形成し、グラフェン410を形成した層上に、終端部410bが原子430bを介して化学結合する導体層420bを含む層を形成する。
また、図21(C)に示す導体部400Cは、導体層420と、その導体層420の下層及び上層にそれぞれ設けられたグラフェン410とを含む。導体層420は、配線やビア等であって、金属が用いられて形成されている。下層のグラフェン410の終端部410a(その炭素原子)及び上層のグラフェン410の終端部410b(その炭素原子)と、導体層420の下面及び上面(それらの金属原子)とがそれぞれ、酸素や硫黄等の所定の原子430a及び原子430bを介して、化学結合している。下層と上層のグラフェン410が、それらの層間に設けられた導体層420を通じて、電気的に接続されている。
図21(C)に示すような導体部400Cは、例えば、図21(A)の導体部400Aについて述べたような方法の例に従って、形成することができる。即ち、下層のグラフェン410を形成した層上に、終端部410aが原子430aを介して化学結合する導体層420を含む層を形成し、その層上に、導体層420が原子430bを介して終端部410bと化学結合する上層のグラフェン410を形成する。
尚、上記の導体部400A,400B,400Cに用いるグラフェン410には、単層グラフェンのほか、多層グラフェンを用いることもできる。
図21(A)〜図21(C)に示すような導体部400A,400B,400Cを、各種電子装置の導体部に採用することができる。例えば、導体部400A,400B,400Cは、半導体素子、回路基板に実装された半導体素子を含む半導体装置、樹脂層内に半導体素子等の電子部品を埋設した擬似SoC(System On a Chip)、回路基板等に採用し得る。より具体的には、半導体素子の多層配線内に設ける導体部、回路基板内に設ける導体部、擬似SoCの再配線層内に設ける導体部等に採用し得る。
図21(A)〜図21(C)に示すような、グラフェン410を含む導体部400A,400B,400Cを採用することで、導体層420a,420b,420との接触抵抗が低い電子装置を実現することが可能になる。また、グラフェン410を含む導体部400A,400B,400Cを採用することで、高速で低消費電力の電子装置を実現することが可能になる。
尚、以上の説明では、グラフェンの終端部の炭素元素と、金属が用いられた導体層の金属原子とを、酸素原子又は硫黄原子を介して化学結合する場合を例示した。このほか、グラフェンの終端部の炭素元素と、金属が用いられた導体層の金属原子とを架橋し、それによってグラフェンと導体層の間の接触抵抗を低減することができるものであれば、上記の酸素原子や硫黄原子に限らず、他の原子を用いてもよい。
また、以上の説明では、グラフェンと接続する導体層に用いる金属として、アルミニウム、銅、銀、白金、金を例示した。このほか、導体層には、グラフェンとの相互作用が比較的弱いものであれば、例示した金属に限らず、他の金属を用いてもよい。導体層は、そのような金属をグラフェンとの接続部に含むものであれば、単層であっても多層であってもよい。
1,13,23,110,410 グラフェン
1a,110a,110b,110A,110B,410a,410b 終端部
2,130 電極
3,170a,170b,430a,430b 原子
10,20,100A,100B,100C トランジスタ
11,21,121,161 基板
12,22,122,162 絶縁膜
14a,24a,130a ソース電極
14b,24b,130b ドレイン電極
15,180 ゲート絶縁膜
16,190 ゲート電極
111a,111b ヒドロキシル基
112a,112b チオール基
113 水素原子
120,160 基材
140,140a,140b 酸素原子
150,150a,150b 硫黄原子
200A,200B 原料ガス
300 光源
310 紫外線
400A,400B,400C 導体部
420,420a,420b 導体層

Claims (10)

  1. グラフェンと、
    前記グラフェンの第1終端部に対向して設けられ、前記第1終端部の炭素原子に、炭素原子とは異なる第1原子を介して結合された金属原子を有する第1導体層と
    を含むことを特徴とする電子装置。
  2. 前記第1原子は、酸素原子又は硫黄原子であることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
  3. 前記第1導体層は、前記グラフェンの、前記第1終端部よりも内側の領域に物理吸着していることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子装置。
  4. 前記グラフェンの、前記第1終端部と反対側の第2終端部に対向して設けられ、前記第2終端部の炭素原子に、炭素原子とは異なる第2原子を介して結合された金属原子を含む第2導体層を更に含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子装置。
  5. 前記第1導体層と前記第2導体層の間の前記グラフェンと積層された絶縁膜と、
    前記絶縁膜の、前記グラフェンと反対の側に積層された電極と
    を更に含むことを特徴とする請求項4に記載の電子装置。
  6. 前記第1導体層がソース電極であり、前記第2導体層がドレイン電極であり、前記電極がゲート電極であることを特徴とする請求項5に記載の電子装置。
  7. 前記電極の原子は、前記第1原子及び前記第2原子と同種の原子を介して前記グラフェンの炭素原子と結合しないことを特徴とする請求項5又は6に記載の電子装置。
  8. グラフェンの第1終端部の炭素原子に、炭素原子とは異なる第1原子を結合する工程と、
    前記第1原子が結合された前記第1終端部と、金属原子を有する第1導体層とを対向させ、当該金属原子を前記第1原子と結合する工程と
    を含むことを特徴とする電子装置の製造方法。
  9. 前記グラフェンの、前記第1終端部と反対側の第2終端部の炭素原子に、炭素原子とは異なる第2原子を結合する工程と、
    前記第2原子が結合された前記第2終端部と、金属原子を有する第2導体層とを対向させ、当該金属原子を前記第2原子と結合する工程と
    を更に含むことを特徴とする請求項8に記載の電子装置の製造方法。
  10. 前記第1導体層と前記第2導体層の間の前記グラフェンと積層される絶縁膜を形成する工程と、
    前記絶縁膜の、前記グラフェンと反対の側に積層される電極を形成する工程と
    を更に含むことを特徴とする請求項9に記載の電子装置の製造方法。
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