JP2016074913A - オパール複合材料およびその製造方法 - Google Patents

オパール複合材料およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】視点の角度によらず安定して多彩な色合いを視認できる優れた遊色効果を有するとともに、加工性し易いオパール複合材料を提供すること。【解決手段】平均粒径が200〜400nmであるシリカ粒子が凝集しているとともに、前記シリカ粒子が規則的に配列されたブラッグ回折面となる主面を備え、該主面の長軸の平均長さが50〜2000μmである集合体を第1の樹脂中に複数含み、複数の前記集合体の前記主面は、それぞれ異なる方向を向いている。【選択図】図1

Description

本発明はオパール複合材料およびその製造方法に関する。
天然のオパールは、シリカのコロイド粒子の集合体であり、バルク状の鉱石として採取される。
他方、オパールは人工的にも製造されており、例えば重合性物質中にシリカのコロイド粒子を分散させてから、重合性物質を重合させることによって、コロイド粒子を規則配列させてオパールとすることが知られている(例えば特許文献1参照)。
国際公開第2003/100139号パンフレット
しかしながら、上記のようなオパールは、図4のようにシリカ粒子からなる集合体中に樹脂を含浸させている。そのため、図3、図4に示すように集合体20の主面3が1つの方向を向くために、視点の角度によって、例えば赤色〜黄色〜緑色〜青色など一定の色合いに変化するに留まり、様々な方向から多彩な色合いを同時に視認することはできない場合があった。
また、オパールは曲げ強度が弱かったため、曲面上にフレキシブルに貼り付けることが難しい場合があった。また、シリカ粒子1を沈殿させるのに時間を有するために、所定の厚みのオパールを得ることが難しい場合があった。
本発明の目的は、視点の角度によらず安定して多彩な色合いを視認できる優れた遊色効果を有するとともに、加工性し易いオパール複合材料を提供することにある。
本発明のオパール複合材料は、平均粒径が200〜400nmであるシリカ粒子が凝集しているとともに、前記シリカ粒子が規則的に配列されたブラッグ回折面となる主面を備え、該主面の長軸の平均長さが50〜2000μmである集合体を第1の樹脂中に複数含み、複数の前記集合体の前記主面は、それぞれ異なる方向を向いていることを特徴とする。
また、オパール複合材料の製造方法であって、分散媒にシリカ粒子を混合して分散液を作製し、シート状の前駆体を形成する前駆体形成工程と、該前駆体を乾燥させて前記分散媒を蒸発させて薄膜状オパールを形成する薄膜状オパール形成工程と、該薄膜状オパールを粉砕することにより、平均粒径が200〜400nmであるシリカ粒子が凝集しているとともに、前記シリカ粒子が規則的に配列されたブラッグ回折面となる主面を備え、該主面の長軸の平均長さが50〜2000μmである集合体を複数得る集合体形成工程と、複数の前記集合体を第1の樹脂中に分散させる分散工程と、複数の前記集合体が分散された前記第1の樹脂を固化して固化物を得る固化工程とを含むことを特徴とする。
本発明のオパール複合材料によれば、オパール複合材料中でブラッグ回折面が様々な方向を向き易くなるので、オパール複合材料に対する視点の角度や、オパール複合材料中の集合体におけるシリカ粒子の配向の異方性に影響されることなく、安定した遊色効果を高い輝度で視認することができる。
また、本発明のオパール複合材料の製造方法によれば、加工性や用途の自由度を広げたオパール複合材料を効率よく得ることができる。
本実施形態のオパール複合材料の模式図である。 本実施形態のオパール複合材料の各シリカ粒子径別の集合体の状態を示す図面代用写真である。 従来のオパールの模式図である。 図3の従来のオパールの主面の図面代用写真である。 本実施形態のオパール複合材料の他の実施形態における模式図である。
以下、図面を用いて本発明の一実施形態を説明する。
(オパール複合材料)
本実施形態のオパール複合材料は、複数のシリカ粒子からなる集合体を複数第1の樹脂中に含むオパール複合材料であって、集合体は、ブラッグ回折面となる主面を有している。
図1においてシリカ粒子1とは、シリカのコロイド粒子のことであり、シリカ粒子1が凝集して集合体2が形成されている。
集合体2は、ブラッグ回折面となる主面3を有している。主面3では、シリカ粒子1が規則的に配列されており、この規則的な配列を光路5が通過してブラッグ回折した回折光5bによって遊色効果を有する。主面3は例えば長軸が平均で50〜2000μmである。
集合体2は、上述のような主面を少なくとも1つ有していれば良く、その形状は特に制限されない。
なお、図1において、光路5は一方向からのみを例示しているが、実際はあらゆる方向から光が入射している。
主面3におけるシリカ粒子1の配列は、光路5のブラッグ回折を発生させる程度の規則性を有していればよく、一部にシリカ粒子1の脱粒があっても構わない。
また、主面3におけるシリカ粒子1の構造についても、光路5のブラッグ回折を発生させ得るものであればよく、図1に示す配列構造以外のものであっても構わない。配列構造としては、例えば立方晶構造、正方晶構造、六方細密構造などが挙げられる。
この集合体2は例えばオパールの粉砕物等があり、その形状としては多面体、特に主面を大きくできる板状体等が挙げられる。この板状体の場合、例えば表面および裏面を主面とすることができる。
集合体2は、第1の樹脂4a中に複数分散されて、オパール複合材料10を成している
。このように、主面3が第1の樹脂中で様々な方向に向くと、主面3での反射光5aによって、様々な色相の遊色効果が得られる。
図2は、シリカ粒子1の平均粒径毎に得られる集合体2を含むオパール複合材料10の電子顕微鏡写真である。図2中で白く見える部分が集合体2であり、黒く見える部分が樹脂である。このように樹脂中に集合体2が分散されていることがわかる。
これらの集合体2の主面3はそれぞれ別の方向に向いていることが好ましく、例えば集合体は、1の方向を向く主面を有する第1の集合体と、1の方向と異なる方向を向く主面を有する第2の集合体とを少なくとも有していることが好ましい。
具体的には、図1に示される3つの集合体2に同一方向から入射する光路5は、それぞれ異なる方向に反射されるとともに、異なる方向にブラッグ回折されている。
これにより、オパール複合材料10の表面を見る視点の角度に依存することなく、複数の色合いを有する遊色効果を一定の輝度で得ることができる。
ここで、主面3の少なくとも1つは劈開面であることが、集合体2の主面3と側面とでシリカ粒子1の配向性が異なることによる色ムラの影響を受けることなく、安定して多彩な遊色効果を有する点で好ましく、より好ましくは、集合体2の主面3の算術平均表面粗さが、400nmRa以下であることが、高い輝度と遊色効果を呈する点で好ましい。
さらに本実施形態によれば、シリカ粒子の平均粒径は、200〜400nmであることが好ましい。
この範囲において、シリカ粒子1が小さければ青系の発色が強くなり、シリカ粒子1が大きければ赤系の発色が強くなる。特に平均粒径が異なるシリカ粒子1の集合体2が複数存在することが好ましい。例えば、平均粒径が200nmのシリカ粒子1の集合体2は青色に視認され、平均粒径が300nmのシリカ粒子1の集合体2は黄緑色に視認され、平均粒径が400nmのシリカ粒子1の集合体2は赤色に視認される。これらの平均粒径が異なる3種類のシリカ粒子1の集合体2がオパール複合材料10中に含まれることによって、さらなる遊色効果を発揮する。
平均粒径が異なるシリカ粒子1の集合体2が複数存在する場合、例えば、第1集合体と第2集合体との平均粒径の差が100nm以上有することが好ましい。このように平均粒径の差がある場合、コントラストがより高くなる。集合体2を3以上含む場合は、ある集合体2の群(第1集合体群)と残りの集合体2の群(第2集合体群)との平均粒径の差が100nm以上あればよい。例えば、第1集合体群の平均粒径が200nmであり、第2集合体群の平均粒径が300nmである場合、第3集合体群の平均粒径は400nmとすれば、さらにコントラストがより高くなり易い。
さらに本実施形態によれば、集合体の主面の長軸の平均長さは、50〜2000μmであることが好ましい。
これにより、集合体2が分散しやすく凝集しがたい点で好ましい。
ここで、集合体2同士の距離は20〜2000μmであることが、集合体2同士が重ならない点で遊色効果を効率的に発揮させる点で好ましく、これは後述するような集合体2同士の静電反発で制御できる。
さらに本実施形態によれば第1の樹脂は、エポキシ樹脂またはアクリル樹脂である。
第1の樹脂4aは、含有されるシリカ粒子1の集合体2が視認できるものであればよく、特に制限されない。例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂などが挙げられる。シリカ粒子1の集合体2を均一に分散して固定化できる観点から、エポキシ樹脂またはアクリル樹脂が好ましい。特に、エポキシ樹脂は、シリカ粒子1の集合体2との屈折率差が大きくなり易く、優れた遊色効果を発揮する。
ここで、第1の樹脂4aの屈折率は1.05〜2.00であることが、色相、輝度を向上させる点で好ましい。
さらに本実施形態によれば、集合体と第1の樹脂との割合は、質量比で3:7〜7:3
である。
これにより、シート状のオパール複合材料10では、遊色効果を損なうことなく曲げ強度を向上させることができ、様々な曲面にオパール複合材料10を貼り付けることが容易になる。その他の含有物としては、第1の樹脂4a中に着色用に顔料が含まれていてもよく、あるいは、集合体2に種類の異なる樹脂が含浸されていても良い。
曲げ強度はオパール複合材料10の厚さや材料によっても依存するが、シート状に加工した時に0.5〜2mmの厚さとすれば、十分な曲げ強度と柔軟性を満足することができる。
(製造方法)
本実施形態のオパール複合材料の製造方法は、薄膜状のオパールを粉砕することによって、複数の集合体を得る第1工程と、複数の集合体を第1の樹脂中に分散させる第2工程と、集合体が分散された第1の樹脂を固化して固化物を得る第3工程とを含む。
第1工程においては、薄膜状のオパールを粉砕して複数の集合体2を得る。
まず、シリカ粒子1を分散媒に少量ずつ混ぜ、最終的には質量比でシリカ粒子1に対して分散媒が1〜5倍程度になるようにして1〜3分間攪拌する。
分散媒は極性を有する液体であれば特に制限されない。例えば水、アルコール、これらの混合物などが挙げられる。特に水のような極性の高い液体が好ましく、アルコールなどの揮発性の高い液体を分散媒に用いることも可能である。
次に、シリカ粒子1の分散液をビュレットに入れて、平板上に塗布して、シート状のオパールの前駆体を形成させる。ここで平板は親水性を有するものが用いられことが好ましい。
次に、平板上の前駆体を崩さないように乾燥室へ移動して、シリカ粒子1の分散液の分散媒を少しずつ蒸発させ、シリカ粒子1が沈殿するとともに、シリカ粒子1が凝集するように、シリカ粒子1の分散液の分散媒が少しずつ蒸発させていくのが良い。乾燥する温度と時間は、シリカ粒子1が沈殿するとともに、シリカ粒子1が凝集する時間を満足すればよく、30〜40℃、1〜10分間くらいが目安である。
次に、乾燥した薄膜状のオパールを平板からリムバーなどで擦り落すなどの粉砕方法によって、集合体2を得る。あるいは、薄膜状のオパールを水やアルコールなどの分散媒で洗い落として、濾過して分散媒とシリカ粒子1とを分離して集合体2を得ても良い。また
は、薄膜状のオパールをミル内に投入してもよい。
このように、薄膜状のオパールを粉砕すれば、主面を大部分有する集合体2を得ることができる。
なお、平板に形成された薄膜上のオパールに事前に樹脂を添加して含浸させることによって、リムバーなどで擦り落とす際に、集合体2が崩れて主面3が損なわれてしまうことを低減することができる。
これによって、安定して集合体2を再現性良く、かつ、効率的に製造することができるので、大量生産することが可能である。
樹脂を含浸させた薄膜状のオパールは、また、その後の粉砕においても、板状の形を崩さないままで主面3を維持することができる。
なお、樹脂を含浸しない薄膜状のオパールを粉砕した場合、集合体2は不定形な形状となり易いが、ブラッグ回折面となる主面3を大部分に有していればよく、さらには、表裏の関係に主面3があればより好ましい。
樹脂を含浸しない集合体2がオパール複合材料10中に含まれる場合、より多彩な色合いを有する遊色効果が得られる。
このような粉砕された集合体2は、粒径が揃うように分級しても良い。分級方法としては、フィルターでろ過すると集合体2同士が張り付いてしまうので、集合体2を水に分散させた分散液を遠心分離によって分級した後に、撹拌した分散媒中で保管するのが好ましい。
第2工程および第3工程においては、複数の集合体2を第1の樹脂4の中に分散し、第1の樹脂4aを固化する。
分散工程において、集合体2と第1の樹脂4aとの比重の差により両者が混合しない場合、第1の樹脂4aを撹拌あるいは対流させながら集合体2を分散する、あるいはさらに、徐々に加熱することで第1の樹脂4aを固化した固化物とすればよい。
このような分散工程により各集合体2のブラッグ回折面がそれぞれ異なる方向に面したオパール複合材料10が得られる。
得られたオパール複合材料は、最終的な表面仕上げとして、バフ研磨を用いてもよいが、研磨の有無および研磨の種類はこの限りではない。あるいは研磨しないで表面にニスなどを塗布して平滑にすることも可能である。
なお、このようなオパール複合材料10は、ワイヤーソー等でスライス加工してシート状にすることで、壁紙、包装紙、パッケージ、あるいは工芸品の螺鈿模様等の装飾に用いることができるものである。
また、このようなオパール複合材料10は、シート状ではなくバルクの状態でも利用することができ、宝石等の多様なカット形状が簡便に実現できる。
さらに、このようなオパール複合材料10は、建築用材等の大きなものにも利用することができる。
さらに本実施形態によれば、第2工程において、第1の樹脂中で集合体を超音波振動させることで、集合体同士を静電反発させて分散させる。
これによって、静電反発させて均一分散させることができるので、集合体2同士が重なってしまうことを低減することができる。
例えば、第1の樹脂4aを固化をする前に、第1の樹脂4aと集合体2を含む混合物を超音波洗浄機にて処理して、集合体2同士を摩擦させて静電気を帯びさせることで、集合体2同士が相互に反発するように帯電させることができる。
この第1の樹脂4aと集合体2との混合物を超音波洗浄機にて帯電させる場合、第1の樹脂4aと集合体2とを含む混合物中の集合体2の濃度を、最終的に使用する際の集合体2の濃度よりも高くしておけば、効率的に集合体2を帯電させることができる。
そしてこの最終的な濃度調整は、別途第1の樹脂4aをさらに加える等によって行えばよい。
ここで、第1の樹脂4aを加える場合、集合体2の帯電が除電されてしまわないように、第1の樹脂4aと集合体2との混合物の電位と、加える第1の樹脂4aの電位とを合わせておく必要がある。
さらに本実施形態によれば、第3工程において得られた固化物を粉砕することによって、粒状体を得る第4工程と、粒状体を第2の樹脂中に分散させる第5工程と、粒状体が分散された第2の樹脂を固化させる第6工程とをさらに含む。
これによって、オパール複合材料10中において、集合体2の高密度領域と、集合体2の低密度領域とを得ることが可能になる。
例えば図5において、樹脂中における集合体2は、オパール複合材料10の表面部8における密度が、オパール複合材料10の中心部7における密度よりも大きいことが好ましい。
オパール複合材料10の表面部8では、図5の点線の円で示される領域(粒状体6)が多く、粒状体6(集合体2)の占める割合が比較的多くなるので高密度領域となる。
すなわち、オパール複合材料10の表面部8付近に集合体2を偏らせ高密度領域とし、遊色効果に寄与しないオパール複合材料10の中心部7付近における集合体2を減らし低密度領域とすることで、オパール複合材料10全体の厚さが厚くなっても、オパール複合材料10全体における光の透過率の低下を抑えて、輝度を高く維持することができる。
具体的には以下の方法により得られる。
まず、第1の樹脂4aを固化した後に、これをミルなどで、例えば粒径1〜10mm程度の粒状体6になるまで粉砕する。
そして、改めてこの粒状体6と、新たに追加された第2の樹脂4bを混ぜることで、第2の樹脂4b中に粒状体6が浮遊した状態になる。
そしてこれを固化することによって、図5において点線で示されるような、集合体2の
高密度領域と、集合体2の低密度領域とを得ることができる。
ここで、最初に固化させた第1の樹脂4aと、後で追加して固化させた第2の樹脂4bは同じであってもよいが、それぞれ屈折率の異なる樹脂(例えばエポキシ樹脂とアクリル樹脂等)を用いれば、集合体2の高密度領域と低密度領域とのコントラストをさらに高くできる点で好ましい。
また、第1の樹脂4aの比重が異なる粒状体6を用意することで、第2の樹脂4b中において粒状体6を沈殿もしくは浮遊させることができ、オパール複合材料10の表面部8に粒状体6(集合体2)を偏らせることができ、さらには、遠心分離法によって、オパール複合材料10の表面部8に粒状体6(集合体2)を偏らせることを促進することもできる。
あるいは単純に、集合体2の密度が小さいオパール複合材料10を、集合体2の密度が大きいオパール複合材料10で挟んで貼り合わせてもよい。
さらに本実施形態によれば、第5工程において、第2の樹脂中で粒状体を超音波振動させることで、粒状体同士を静電反発させて分散させることが好ましい。
これにより、粒状体6同士での静電反発を容易にすることができ、集合体2の高密度領域と低密度領域とのコントラストをさらに高くすることができる点で好ましい。
以下、実施例および比較例に係るオパール複合材料の試料作製について説明する。
<実施例1>
(試料作製)
試料番号1〜19について以下のように作製した。
まず、平均粒径100、200、300、400、500nmのシリカ粒子1を用意し、それぞれ水に少量ずつ混ぜながら、最終的には質量比でシリカ粒子1に対して分散媒が3倍程度になるようにして1時間攪拌して、スラリー状のシリカ粒子1の分散液を用意した。
次に、スラリー状のシリカ粒子1の分散液をロールコーターを用いて、厚さ2mmで平板上に塗布して、シート状のオパールの前駆体を形成させた。ここで平板は親水性のシートを用いた。
次に、平板上のオパールの前駆体を崩さないように乾燥室へ移動して、大気中にて温度80℃湿度30%の雰囲気中で静置し、前駆体(スラリー状のシリカ粒子1の分散液)の分散媒を少しずつ蒸発させ、シリカ粒子1を沈殿させていくとともに、シリカ粒子1同士が凝集するようした。
次に、乾燥したシリカ粒子1の集合体2を平板からリムバーで擦り落とし、これを篩にかけて、集合体2の平均の長軸長さを50、100、500、1000、2000、3000μmでそれぞれ揃えたものを用意した。
この場合、篩にかける方法としては、水中に集合体2を分散させて、遠心分離法で分級させる方法を用いた。
この集合体2を2液性のエポキシ樹脂に対して2:8〜8:2の質量比で撹拌させながら分散させていき、真空脱泡しながら130℃で3時間加熱してオパール複合材料10を得た。
そしてこれをワイヤーソーで厚さ1mm、10cm角で切り出して、さらに、切り出した各試料は、表面をバフ研磨で処理して光沢面とし、各試料を1枚ずつ用意した。
評価用試料とした。
なお、比較例となる試料番号20については、特許文献1のエポキシ樹脂を含有したシリカのコロイド粒子を分散させてから、エポキシ樹脂を重合させることによって、コロイド粒子をエポキシ樹脂中に規則配列させたオパールを用いて、厚さ1mm、10cm角で切り出して、さらに、表面をバフ研磨で処理して光沢面とし、1枚用意した。
(試料評価)
遊色効果(輝度を含む)の評価方法については、評価者を任意に10人選出し、オパール複合材料10の表面に対して、目視で視点の角度を変えながら観察した。
そして比較例である試料番号20と比較対比して、遊色効果(輝度を含む)が優れていれば○、同等であれば△、劣っていれば×とした。
以下、オパール複合材料10の遊色効果の評価結果を表1に示す。
表1において、試料番号1〜19は実施例、試料番号20は比較例であり、試料番号3,9,16は同一条件で作製した本実施例の最適条件の試料である。
試料番号1〜5では、平均粒径の条件を変えたものであり、平均粒径200〜400nmにおいて優れた遊色効果を呈した。
これはオパール複合材料10が、赤色〜黄色〜緑色〜青色を同時に視認し易かったことによるものである。
試料番号6〜12では、長軸の長さの条件を変えたものであり、長軸の長さ50〜2000μmにおいて優れた遊色効果を呈した。
これはオパール複合材料10の斑の大きさ(集合体2の大きさ)を視認可能な大きさにするとともに、単位面積当たりで様々な色合いを呈し易かったことによるものである。
試料番号13〜19では、集合体2と樹脂4との質量比を2:8〜8:2の範囲で変えたものであり優れた遊色効果を呈した。より好ましくは3:7〜7:3となる範囲において、オパール複合材料10は優れた遊色効果を呈した。
また、第1の樹脂4aの質量比が多いほど、オパール複合材料10の加工性や曲げ強度を満足した結果となった。
一方、試料20では加工途中で割れてしまいそもそも評価に耐えなかったが、バルク状のオパールで評価した場合であっても、表面を見る角度が浅くなると白っぽくなってしまい、遊色効果が弱いものであった。
なお、本実施例では第1の樹脂4aとしてエポキシ樹脂を用いた結果で説明しているが、アクリル樹脂を用いた場合であっても同様の遊色効果(輝度を含む)の結果が得られているので省略している。
<実施例2>
(試料作製)
試料番号21〜25については実施例1における試料番号3に基づいて作製した固化物をミルなどで一度粒状(平均粒径5mm程度)に粉砕して粒状体6を得た。
粒状体6と第2の樹脂4bとを混ぜ、第2の樹脂4b中で粒状体6を超音波振動させ、粒状体6同士を静電反発させて分散させた。
断面視したときの集合体2の面積比が表2のようになるように、集合体2と第2の樹脂4bとの質量比を変えて、オパール複合材料10を作製し、オパール複合材料10の中心部7用の板状体と表面部8用の板状体とをそれぞれ100×100×10mmで作製し、それぞれの板状体の主面で接着して組み合わせることで、図5のような分布のオパール複合材料10を得た。
(試料評価)
遊色効果(輝度を含む)の評価方法については、実施例1と同様に行った。
背景の明るさの評価方法については、評価者を任意に10人選出し、オパール複合材料10の表面に対して、目視で視点の角度を変えながら観察した。
そして、実施例1の試料番号3,9,16と比較対比して、背景の明るさが優れていれば○、同等であれば△、劣っていれば×とした。
以下、オパール複合材料10の遊色効果と背景の明るさの評価結果を表2に示す。
表2において、特に試料番号21、22では、優れた背景の明るさと、優れた遊色効果とを呈した。
これはオパール複合材料10の中心部7における集合体2の密度が低く、表面部8にお
ける集合体2の密度が高いため、光の透過性が優れていることによるものである。
1:シリカ粒子
2:集合体
3:主面
4a:第1の樹脂
4b:第2の樹脂
5:光路
5a:反射光
5b:回折光
6:粒状体
7:中心部
8:表面部
10:オパール複合材料
20:集合体

Claims (10)

  1. 平均粒径が200〜400nmであるシリカ粒子が凝集しているとともに、前記シリカ粒子が規則的に配列されたブラッグ回折面となる主面を備え、該主面の長軸の平均長さが50〜2000μmである集合体を第1の樹脂中に複数含み、
    複数の前記集合体の前記主面は、それぞれ異なる方向を向いていることを特徴とするオパール複合材料。
  2. 前記主面の反対側に第2主面を備えることを特徴とする請求項1記載のオパール複合材料。
  3. 表面部における前記集合体の密度は、中心部における前記集合体の密度よりも大きい、請求項1または2に記載のオパール複合材料。
  4. 前記第1の樹脂は、エポキシ樹脂またはアクリル樹脂である、請求項1〜3のいずれかに記載のオパール複合材料。
  5. 前記集合体と前記第1の樹脂との割合は、質量比で3:7〜7:3である、請求項1〜4のいずれかに記載のオパール複合材料。
  6. 複数の前記集合体のうち1つの前記集合体のシリカ粒子の平均粒径が、他の前記集合体のシリカ粒子の平均粒径と異なる、請求項1〜5のいずれかに記載のオパール複合材料。
  7. 前記集合体同士の距離は20〜2000μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載のオパール複合材料。
  8. オパール複合材料の製造方法であって、
    分散媒にシリカ粒子を混合して分散液を作製し、シート状の前駆体を形成する前駆体形成工程と、
    該前駆体を乾燥させて前記分散媒を蒸発させて薄膜状オパールを形成する薄膜状オパール形成工程と、
    該薄膜状オパールを粉砕することにより、平均粒径が200〜400nmであるシリカ粒子が凝集しているとともに、前記シリカ粒子が規則的に配列されたブラッグ回折面となる主面を備え、該主面の長軸の平均長さが50〜2000μmである集合体を複数得る集合体形成工程と、
    複数の前記集合体を第1の樹脂中に分散させる分散工程と、
    複数の前記集合体が分散された前記第1の樹脂を固化して固化物を得る固化工程とを含む、オパール複合材料の製造方法。
  9. 前記集合体形成工程では、前記薄膜状オパールに樹脂を含浸させた後に、前記薄膜状オパールを粉砕することを特徴とする請求項8記載のオパール複合材料の製造方法。
  10. 前記分散工程において、前記第1の樹脂中で前記集合体を超音波振動させることで、前記集合体同士を静電反発させて分散させる、
    請求項8または9に記載のオパール複合材料の製造方法。
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