JP2016073279A - 切り株切削装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】地面に残留する切り株を取り除くための、切り株切削装置であって、重機のアーム先端に取り付けるための、脱着部と、円筒状のケーシングと、該ケーシングの下方に設けた複数のビットとを少なくとも備え、前記ケーシングの軸方向に回転可能な、掘削部と、前記掘削部の内側に配し、切り株に差し込み可能な、固定部と、前記固定部に対して、前記掘削部を上下に移動可能な、昇降部と、
を少なくとも備えたことを特徴とする。
【選択図】図3
Description
この切り株を除去する方法としては、下記の非特許文献1に記載のスタンプカッターを用いる方法がある。この方法は、まずスタンプカッターで切り株の表面を削り取っていき、削り取れきれなかった根の部分は、別途チェーンソーで切断する。最後に、バックホウなどの重機で切り株を掘り起こすことで、切り株を取り除くことができる。
(1)別工程による根切りが必須である。
スタンプカッターによる切削作業は、深さ30cm程度が限度であり、切削しきれない根の部分は、前述の通り、チェーンソーなどで別途切断作業を行う必要がある。
(2)切り屑が飛散してしまう。
スタンプカッターは、切り株の表面を削っていくため、切り屑が周囲に勢いよく飛散する。この切り屑の飛散を防止するためには、切り株の回りをパネルなどで覆って養生しなければならず、作業員の確保が必要となる。
(3)騒音が大きい。
スタンプカッターによる切削作業は騒音が非常に大きく、周囲への影響が懸念される。
(4)周囲の設置物が巻き込まれやすい。
街路樹は歩道と車道の境界付近に設けてあることが多く、街路樹の周囲には、縁石ブロックや標識などの設置物が多数配置されている。
このような現場では、スタンプカッターで根を完全に切断しきれない場合、バックホウによる、根の切断を兼ねた切り株の除去時に、周囲の設置物(縁石ブロックやポールなど)を巻きこんで掘り起こしてしまう場合がある。
(5)施工期間が長期化する。
これら(1)〜(4)の問題回避のために、約40分程度の掘削工程以外に、養生工程や根切り工程、根切りの確認工程などを要することから、全体の施工期間の長期化(1株当たり3.5時間程度)に繋がる。
また、本願の第2発明は、前記掘削部において、各ビットを、平面視して前記回転軸からの離隔距離が異なるように配置したことを特徴とする。
また、本願の第3発明は、前記掘削部において、各ビットの高さを変えて配置したことを特徴とする。
また、本願の第4発明は、前記ケーシングの側周面に貫通孔を設けたことを特徴とする。
また、本願の第5発明は、前記固定部の切り株との差し込み位置を、上下方向に調整可能に構成したことを特徴とする。
(1)別工程による根切りが不要である。
切り株の周囲に張った根を全周にわたって切断することができる。
(2)切り屑の飛散が少ない。
スタンプカッターによる切り株の削り取り作業と比較して、切り屑の飛散が少ない。よって、飛散防止の為の養生作業が不要である。
(3)低騒音である。
スタンプカッターによる切り株の削り取り作業と比較して作業音が小さい。
(4)周囲定置物への影響が無い。
切り株の根を完全に切断できるため、バックホウによる切り株の除去時に、切り株周囲の定置物(縁石ブロックやポールなど)を一緒に掘り起こしてしまうことが無い。
(5)施工期間の短縮化。
掘削時間を5分から10分程度に短縮化できるだけでなく、根切り工程や根切りの確認工程も不要となるため、全体の施工期間の短縮化(1株当たり最長30分程度)が実現できる。
(6)掘削開始時の安定性が向上する。
固定部の先端位置を上下方向に調整可能に構成することにより、固定部を切り株へ差し込む際に、先にケーシングやビットが切り株に干渉してしまうことを防止することができる。
また、掘削部による掘削開始の際にも、ケーシングやビットの初期回転が切り株に遮られることもないため、掘削作業をスムーズに進行することができる。
図1に、本発明に係る切り株切削装置の構成概略図を示す。
本発明に係る切り株切削装置は、重機Xに脱着自在な装置であり、脱着部10、掘削部20、固定部30および昇降部40を少なくとも備える。
以下、各構成要素の詳細について説明する。
脱着部10は、本発明に係る切り株切削装置を、重機Xに脱着自在とするための部材である。本実施例では、重機Xにバックホウを用いる。
バックホウのアーム先端は、バケットなどのアタッチメントを脱着自在な機構を予め備えているため、脱着部10はこの脱着機構に対応した構造・形状を備えていればよい。
掘削部20は、切り株Yまたは切り株Y周囲の地面を掘削または切削(以下「掘削等」という。)するための部材である。
掘削部20は、ベース21と、前記ベース21の下方に取付けて回転自在に構成したケーシング22と、前記ケーシング22の下方に設ける複数のビット23と、で構成することができる。以下、各部材の詳細について説明する。
ベース21は、前記ケーシング22を回転させる為の部材である。
また、ベース21は昇降部の一端を接続しており、昇降部40の駆動により、ベース21が昇降移動自在である。
また、ベース21にはケーシング22を回転させるための駆動機構(図示せず)を備えている。前記駆動機構は、公知の機構を採用することができる。
ケーシング22は、該ケーシング22に設けるビット23を円運動させるための部材である。
ケーシング22は、少なくとも下端を開放してある円筒形状を呈し、該円筒の軸方向を回転軸として回転自在となるよう、前記ベース21に取り付けてある。
図1におけるケーシング22の直径は、約700mm、高さは約800mmである。
ビット23は、切り株Yの周囲の地面または切り株Yそのものを掘削等するための部材である。ビット23は、公知の形状を用いることができるため、詳細な説明は省略する。
固定部30は、前記切り株Yに差し込んで、前記脱着部10を介して連結する重機Xと切り株Yとの相対位置を固定するための部材である。
固定部30は、前記掘削部20のケーシング22内部に設けた、長尺の棒材31と、前記棒材31の下端に設けた押さえ板32と、前記押さえ板32の下面に設けた突起33と、で構成することができる。以下、各部材の詳細について説明する。
棒材31は、押さえ板32と突起33の配置を所定の高さに設定するための部材である。
棒材31の上端は、前記ケーシング22とベース21を貫通して、前記脱着部10の底面に固定してある。この構造により、棒材31はケーシング22の昇降動作と連動せずに同位置に留まった状態となる。
棒材31の下端には、前記押さえ板32を設けている。
押さえ板32は、該押さえ板32の下面に突起33を設けるための、プレート状の部材である。
押さえ板32の形状は特段限定しない。
突起33は、切り株Yに差し込むための部材である。
突起33は、前記押さえ板32の下面に設ける。
突起33を切り株Yの上面に差し込むことで、固定部30および脱着部10、ならびに重機を、切り株Yに対して強固に位置決めすることができる。また、前記掘削部20の回転動作の際に、当該掘削部20の位置ズレを抑止することができる。
昇降部40は、前記固定部30に対して、前記掘削部20を上下に相対移動可能とするための部材である。
図2は、前記脱着部10と昇降部40との配置関係を示す概略平面図である。
昇降部40は、前記脱着部10と前記ベース21の間に伸縮自在に取り付けるシリンダ41によって構成することができる。
シリンダ41による伸縮幅は、少なくとも約700mmを確保することが望ましい。
本実施例に係る切り株切削装置の使用方法について、図1,3を参照しながら説明する。
(1)切り株との固定。
まず、シリンダ41を収縮した状態で、前記固定部30を前記切り株に差しこんで固定する。
図1に示すように、切り株Yの断面径は前記ケーシング22の断面径よりも小さいため、前記切り株Yに前記ケーシング22が被さった状態となっている。
(2)掘削の開始。
固定部30と切り株Yとを固定した状態から、掘削部20の回転動作を開始して、切り株Y周囲の掘削を開始する。
(3)掘削部の沈降。
昇降部40のシリンダ41を伸ばして、前記掘削部20を降下していく。
このとき、固定部30は切り株Yに固定されたまま同じ位置に留まっている。
前記シリンダ41の伸張動作の反力は、前記固定部30、脱着部10を介して所定の位置に留まっている重機Xが担う状態となる。
(4)切り株の根切り。
図3は、昇降部40のシリンダ41を限界まで伸長した状態を示す概略図である。
図3に示すように、切り株Yの周囲に放射状に張った根は、ビット33によって掘削等されて、切り株Yは平面的に地面と縁切りした状態となる。
(5)掘削部の引き上げ。
前記シリンダ41を縮めて、掘削部20を地中から引き上げる。
このとき、掘削部20の引き上げが容易となるのであれば、掘削部20は回転動作を継続したままとしてもよいし、掘削部20の引き上げに特に影響が無ければ、該回転動作を停止した状態としてもよい。
(6)固定部の開放。
重機Xのアームを上方に持ち上げて、切り株Yから固定部30を引き抜き、重機Xと切り株との固定状態を開放する。
(7)切り株の除去。
最後に、重機や人力で切り株を取り除く。
この重機には、切り株切削装置からバケットに付け替えた重機Xを用いることができる。
切り株Yと、地中に張ったままの根は前記切り株切削装置によって完全に縁切りされているため、容易に切り株Yの撤去が可能となる。
この場合、1体の切り株Yに対し、切削装置の位置を変えながら掘削工程を複数回実施することになるが、固定部30の突起33を平面方向に間隔を空けて複数設けておけば、固定部30が切り株Yの中心近辺に位置せずとも、切り株Yをより確実に固定することができる点で有益である。
本実施例に係る切り株切削装置は、各ビット23を、平面視して前記回転軸からの離隔距離が異なるように配置した構造を呈する。
以下、その一例について説明する。
ケーシング22に設けてある複数のビット23は、ケーシング22本体の円周上に配置したビット(中心ビット231)と、該円周よりも内周側に配置したビット(内側ビット232)と、該円周上より外周側に配置したビット(外側ビット233)の3種類に分かれている。
図4に示すように、本実施例に係る複数のビットの内訳は、中心ビット231が4箇所、内側ビット232が2箇所、外側ビット233が3箇所である。
そして、これらの複数のビット23の切削幅の一部をラップさせることで、最終的な切削幅に達するように構成している。
これは、各ビットの切削幅を、目的の切削幅にまで拡げると、ビット1個の切削幅当たりの切削抵抗は小さくなるが、押し付け力(切込み力)が不足し、切り株Yの切削能力が低下する懸念が生じるためである。
本実施例では、各ビットの切削幅を、中心ビット231=W1、内側ビット232=W2、外側ビット233=W3としている。
また、中心ビット231と内側ビット232との切削軌跡のラップ長はT1とし、中心ビット231と外側ビット233との切削軌跡のラップ長はT2である。
そして、切り株Yの切削幅は、中心、内側、外側のビット全体でW(=W1+W2+W3−T1−T2)となる。
なお、本実施例では、前記W1、W2、W3を各々30mm〜100mm、前記T1、T2の各々を10mm〜70mmの範囲とし、それらを組み合わせて設定してある。
また、切り株Yが腐食等によって軟らかくなってしまい、固定部30による確実な固定が困難な場合であっても、初期掘削等の際のケーシング22のブレを極力防止することができる。
本実施例に係る切り株切削装置は、各ビットの高さを変えて配置した構造を呈する。
以下、その一例について説明する。
図6に示すように、各ビット23(23a〜23i)は、鉛直方向に高さを変えて取付けてある。
各ビット23(23a〜23i)の高さはランダムに設定しても良いし、今後のデータ収集によって得られる最適な配置ルールに基づいて設定しても良い。
本実施例では、各ビット23の高さ(ケーシング底面からビット先端までの距離)を40mm〜100mmの範囲で6段階(L1〜L6)としており、これらをランダムに設定している。
本実施例は、前記実施例2および実施例3を組み合わせた構成である。すなわち、図6における各ビットを、平面視して前記回転軸からの離隔距離が異なるように配置した構成である。
何れのビットを、実施例2における中心ビット231、内側ビット232、または外側ビット233に選択するかは、適宜設計することができる。
例えば、図6におけるビット23a、23d、23f、23hを中心ビット231とし、ビット23c、23gを内側ビット232とし、ビット23b、23e、23iを外側ビット233とした場合、更なる切削時間の短縮化に繋がることが確認できた。
本実施例に係る構成によれば、切削開始時のビット1個あたりの押し付け力(切込み力)の低下を更に抑制することができ、各ビット23が切削面を滑らないよう確実に掘削等することができる。
本実施例に係る切り株切削装置は、前記ケーシングの側周面に貫通孔を設けた構造を呈する。
以下、その一例について説明する。
ケーシング22の側周面には、貫通孔221を設けておくことが望ましい。
特に、ケーシング22の先端側には、多数の貫通孔221を設けておくことが望ましい。
本実施例に係る構成によれば、貫通孔221が前記ビット23による掘削土や切り株の切削屑を排出するための排土口となるため、ケーシング22内部の掘削土や切削屑による圧力の増加を回避し、ケーシングの回転摩擦抵抗を減らすことができる。
本実施例に係る切り株切削装置は、前記固定部の切り株との差し込み位置を、上下方向に調整可能とした構造を呈する。
以下、その一例について説明する。
本実施例に係る固定部30は、棒材31,押さえ板32および突起33の他に、新たに筒体34を設けている。
筒体34は、前記実施例1に係る棒材31に代わり、その上端を前記ケーシング22とベース21を貫通させて前記脱着部10の底面へと固定している。
筒体34は、下方から中空部分へと棒材31を挿入することができる。
棒材31は、上下方向に適宜位置決め孔311を設けておき、前記筒体34内を摺動自在としつつ、該位置決め孔311に差し込み可能なキャップ35によって、筒体34に対して、所定の位置で位置決めすることができる。
よって切り株の形状を問わず、固定部30を確実に切り株Yに差し込むことができる。
また、掘削部20による掘削開始の際にも、ケーシング22やビット23の初期回転が切り株Yに遮られることもない。
20 掘削部
21 ベース
22 ケーシング
221 貫通孔
23 ビット
231 中心ビット
232 内側ビット
233 外側ビット
30 固定部
31 棒材
311 位置決め孔
32 押さえ板
33 突起
34 筒体
35 キャップ
40 昇降部
41 シリンダ
42 ガイドパイプ
43 摺動棒
X 重機
Y 切り株
Claims (5)
- 地面に残留する切り株を取り除くための、切り株切削装置であって、
重機のアーム先端に取り付けるための、脱着部と、
円筒状のケーシングと、該ケーシングの下方に設けた複数のビットとを少なくとも備え、前記ケーシングの軸方向に回転可能な、掘削部と、
前記掘削部の内側に配し、切り株に差し込み可能な、固定部と、
前記固定部に対して、前記掘削部を上下に移動可能な、昇降部と、
を少なくとも備えたことを特徴とする、
切り株切削装置。 - 前記掘削部において、各ビットを、平面視して前記回転軸からの離隔距離が異なるように配置したことを特徴とする、請求項1に記載の切り株切削装置。
- 前記掘削部において、各ビットの高さを変えて配置したことを特徴とする、請求項1または2に記載の切り株切削装置。
- 前記ケーシングの側周面に貫通孔を設けたことを特徴とする、請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の切り株切削装置。
- 前記固定部の切り株との差し込み位置を、上下方向に調整可能に構成したことを特徴とする、請求項1乃至4のうち何れか1項に記載の切り株切削装置。
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