以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
[実施の形態1]
(携帯端末の全体構成)
図1は、本実施の形態1に係る携帯端末の外観の一例を示す外観図である。本明細書では、携帯端末の一実施の形態としてスマートフォンを想定するが、本発明は、スマートフォンに限られず、PDAおよびタブレットPCなど任意の携帯端末に適用することが可能である。
図1(A)は、携帯端末10の正面の外観を示し、図1(B)は、携帯端末10の背面の外観を示す。携帯端末10は、扁平矩形の外観を有している。以下、説明の便宜上、図1に示すように、携帯端末10の主面の長手方向を上下方向と定義し、主面の短手方向を左右方向と定義する。図1(A),(B)を参照して、携帯端末10の外観は、フロントパネル16、取付け枠14およびバックパネル12によって形成される。
フロントパネル16にはタッチパネル20が一体的に形成されている。フロントパネル16の裏面には、ディスプレイ18が貼り付けられている。ディスプレイ18は、たとえば液晶または有機EL(Electro Luminescence)などで構成されている。
携帯端末10の下側面には、内蔵するマイクに音声を入力するための孔22と、充電端子(図示せず)に通じる孔26とが形成されている。孔26を通じて充電コネクタが充電端子に接続されると、携帯端末10の二次電池44(図3参照)に外部電源から電力が供給され、二次電池44が充電される。
携帯端末10の正面上側には、音を振動に変換するピエゾ素子(図示せず)が内蔵されている。ピエゾ素子に音声信号が入力されると、ピエゾ素子は音声信号を振動に変換し、ディスプレイ18(フロントパネル16)を直接振動させる。これにより、ユーザは、ディスプレイ18から出力される音声を聞くことができる。なお、このようにして音声が出力されるため、フロントパネル16には、受話音声を出力するための放音孔は設けられていない。
携帯端末10の背面には、第1フィルムスピーカ30aおよび第2フィルムスピーカ30b(図3参照)が内蔵されている。以下、第1フィルムスピーカ30aおよび第2フィルムスピーカ30bを総称して、「フィルムスピーカ30」とも記載することもある。第1フィルムスピーカ30aおよび第2フィルムスピーカ30bが発する音は、バックパネル12の裏面に形成された2つの第1放音孔24a、およびバックパネル12の左右側面に形成された第2放音孔24bから出力される。
たとえば、携帯端末10において音声通話が開始されると、上記のピエゾ素子の振動によってフロントパネル16から受話音声が出力される。一方、ユーザの発話音声は、孔22を通じてマイクに入力され、通話相手の通信端末に送信される。また、他の通信端末からの着信が通知されると、着信音が内蔵されるフィルムスピーカ30から出力される。なお、本実施の形態に係る携帯端末10は、2個のフィルムスピーカ30を内蔵しているため、ステレオ音声を再生することも可能である。
(フィルムスピーカの構成)
図2は、携帯端末10に内蔵されるフィルムスピーカ30の構成を示す図である。図2(A)は、フィルムスピーカ30を正面から見た外観を示し、図2(B)は、図2(A)の線分IIB−IIBにおける断面図である。
フィルムスピーカ30は矩形平面であり、厚さはたとえば0.7mm程度である。フィルムスピーカ30は、音が出力される面、つまり正面と、正面と反対側の背面とを有する。フィルムスピーカ30は、矩形のピエゾ素子32を含む。ピエゾ素子32は、フィルムスピーカ30の正面(図2(A))において、略中央となるように樹脂コーティング層34によってコーティングされている。樹脂コーティング層34の表面には、樹脂フィルム36が貼り付けられている。そして、樹脂コーティング層34および樹脂フィルム36を支持するためのフレーム38が、フィルムスピーカ30の周縁部に設けられている。
ピエゾ素子32に音声信号が与えられると、ピエゾ素子32が振動し、その振動が樹脂コーティング層34および樹脂フィルム36を含むフィルムスピーカ30全体に伝わり、フィルムスピーカ30の正面から音が出力される。なお、フレーム38は、フィルムスピーカ30をスピーカホルダ46a,46b(図4参照)上に固定する際に利用される。
図3は、携帯端末10の内部構造の概要を示す分解斜視図である。図3を参照して、携帯端末10は、正面側(図3の上側に相当)から、フロントパネル16、ディスプレイ18、インナシャーシ42、二次電池44、第1フィルムスピーカ30aおよび第2フィルムスピーカ30b、取付け枠14、基板48、連結部材56およびバックパネル12の順番で各パーツが取付けられる。
なお、バックパネル12を取付けることによって、取付け枠14および基板48とバックパネル12との間に閉塞空間が形成される。第1フィルムスピーカ30aおよび第2フィルムスピーカ30bからの音は、第1放音孔24aおよび第2放音孔24bを通して、この閉塞空間から外部へ放出される。
フロントパネル16は、携帯端末10の主面であり、縦長の扁平矩形のガラスで形成されている。フロントパネル16の裏面にはタッチパネル20が一体的に形成されている。ディスプレイ18は、接着剤またはOCA(Optical Clear Adhesive:透明性接着)テープなどによって、フロントパネル16の裏面に接着される。
インナシャーシ42は矩形の樹脂枠を含み、その枠内にほぼ全面を覆うように金属(導電材料)製のシールド板40が設けられている。インナシャーシ42の枠の厚さは、シールド板40と二次電池44とを重ねた厚さと等しいか、それよりも僅かに薄くなるように形成されている。
インナシャーシ42の表側、つまりシールド板40の表側には、ディスプレイ18が貼り付けられたフロントパネル16が配置される。一方、インナシャーシ42の裏側には、二次電池44を保持する(嵌め込む)ための凹部(図示せず)が形成されている。これにより、二次電池44は、シールド板40を隔てて、ディスプレイ18の裏側に配置される。言い換えれば、二次電池44は、インナシャーシ42によってディスプレイ18の裏側に安定的に保持される。
(取付け枠の構造)
図4は、図3に示す取付け枠14の構造の一例を示す図である。図4(A)は取付け枠14を表側から見た状態を示し、図4(B)は取付け枠14を裏側から見た状態を示す。図3および図4(A),(B)を参照して、取付け枠14は、フロントパネル16およびインナシャーシ42と同様の矩形平面であり、一対の縦枠70および一対の横枠72を含む。第1縦枠70aおよび第2縦枠70bは、左右方向に所定の間隔を隔てて配置される。第1横枠72aは、一対の縦枠70の上側を連結し、第2横枠72bは、一対の縦枠70の下側を連結する。
第1縦枠70aの内側から内方に延びて、第1スピーカホルダ46aが形成される。第2縦枠70bの内側から内方に延びて、第2スピーカホルダ46bが形成される。第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bは、取付け枠14を平面視したときに、互いに対向している。
第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bはともに、矩形平面の板状部分を有している。この板状部分は、フィルムスピーカ30の正面を保持する。板状部分の中央には、そこに保持されるフィルムスピーカ30の音を放出するために、たとえば六角形の放音孔74が形成されている。板状部分の一部分には、フィルムスピーカ30の正面と対向する側の主面からバックパネル12の主面12Aと対向する側の主面へ厚さ方向に貫通する貫通孔47a,47bが形成されている。貫通孔47a,47bの詳細については後述する。
第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの板状部分の周縁部には、フィルムスピーカ30のフレーム38(図2)を保持するリブ90(図9参照)が設けられている。
なお、本実施の形態1では、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bは、矩形平面の板状に形成されたが、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの形状はこれに限られない。第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bは、それぞれ少なくともフィルムスピーカ30のフレーム38を取付けられる領域を有する板状部分があればよく、放音孔74がもっと大きくても、もっと小さくてもよい。
取付け枠14の枠内には、インナシャーシ42が嵌め込まれる。そのため、一対の縦枠70および一対の横枠72の内側は、インナシャーシ42を嵌め込むことが可能な内壁面60として形成されている。つまり、内壁面60がインナシャーシ42の樹脂枠の外面と接触して、インナシャーシ42が取付け枠14に嵌め込まれる。
取付け枠14の表側には、フロントパネル16を収容して取り付けるための凹部62および内壁面64が設けられる。この凹部62よりも外方の部分66は、携帯端末10の外観(図1)として露出する部分である。したがって、内壁面64の内側でかつ凹部62の中にフロントパネル16が取り付けられたとき、フロントパネル16と外方の部分66とは同じまたはほぼ同じ面(面一)となる。
第1横枠72aの内側から第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの上側端までの部分には、たとえばカメラモジュールなどの部品を組付けるための組付け部76が設けられる。この組付け部76には、配線などを通すための矩形の孔78が形成されている。また、取付け枠14の裏側(図4(B))において、組付け部76には、図3に示すような形状の基板48を配置するための2つの基板用凹部80が形成されている。そして、図3に示すように、第2横枠72bの側面にはマイクに通じる孔22aおよび充電端子に通じる孔26aが形成されている。
図3に戻って、基板48は、樹脂やガラス繊維などで形成され、異形の第1部分50と、略矩形の第2部分52と、第1部分50および第2部分52を繋ぐ細長い第3部分54とを含む。基板48には、配線が形成されるとともに、マイクなどの部品が実装される。ただし、基板48の第1部分50、第2部分52および第3部分54の形状およびサイズは、実施例の形状およびサイズに限定されるものではない。
連結部材56は、樹脂などで形成され、左右に2つずつ係止部82(図6参照)を有している。連結部材56によって、第1スピーカホルダ46aと第2スピーカホルダ46bとの互いに対向する内側端部同士が連結される。
バックパネル12は、図1に示すように、携帯端末10の側面および底面(背面)を構成する。バックパネル12は、矩形の箱のような形状となるように樹脂などで形成されている。バックパネル12は、ディスプレイ18の裏面と対向する主面12Aと、主面12Aとディスプレイ18の裏面とを結ぶ側面12Bとを有する。
バックパネル12の主面12Aには第1放音孔24aが形成され、バックパネル12の左右側面12Bには第2放音孔24bが形成される。また、バックパネル12の下側面12Bにはマイクに通じる孔22bおよび充電端子に通じる孔26bが形成される。
インナシャーシ42、二次電池44、第1フィルムスピーカ30a、第2フィルムスピーカ30b、取付け枠14、基板48および連結部材56は、取付け枠14に取り付けられる。そして、取付け枠14の表側にフロントパネル16が取り付けられ、裏側にバックパネル12が取り付けられる。
次に、図5を参照して、取付け枠14に部品を取り付ける手順を説明する。図5(A)は、第1フィルムスピーカ30aおよび第2フィルムスピーカ30bが貼り付けられた取付け枠14の表側を示す。図5(B)は、第1フィルムスピーカ30aおよび第2フィルムスピーカ30bが貼り付けられた取付け枠14の裏側を示す。図5(C)は、基板48が配置された状態を示し、図5(D)は連結部材56によって第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの互いに対向する内側端部同士が連結された状態を示す。
まず、図5(A),(B)を参照して、取付け枠14の表側において、第1フィルムスピーカ30aおよび第2フィルムスピーカ30bが、たとえば両面テープなどの接着手段によって、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bにそれぞれ貼り付けられる。このとき、第1フィルムスピーカ30aおよび第2フィルムスピーカ30bはそれぞれ、音を出力する面、つまり正面が対応する放音孔74の方を向くように貼り付けられる。両面テープなどの接着手段は、第1フィルムスピーカ30aおよび第2フィルムスピーカ30bのフレーム38(図2)を、対応する第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bに接着する。図5(B)に示すように、取付け枠14の裏側から、各放音孔74を通して第1フィルムスピーカ30aおよび第2フィルムスピーカ30bの正面を視認することができる。
図5(C),(D)を参照して、取付け枠14の裏側に基板48が配置される。第1部分50は、組付け部76の一部と重なるように、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bよりも上方に配置される。第2部分52は、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bよりも下方に配置される。第3部分54は、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの間を通り、かつ、第1フィルムスピーカ30aおよび第2フィルムスピーカ30bと略同じ面となるように配置される。この結果、組付け部76に形成される孔78および基板用凹部80は、基板によって隠される。
次に、図5(D)に示すように、連結部材56を、基板48の第3部分54の上から、第1スピーカホルダ46aと第2スピーカホルダ46bとの対向する内側端部同士を連結するように、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bに係止する。
具体的には、連結部材56の係止部82(図6参照)の先端には爪が設けられている。係止部82の爪が第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの周縁に引っ掛けられることにより、連結部材56が第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの間で固定される。
図6は、図5に示す取付け枠14にインナシャーシ42が嵌め込まれた状態の一例を示す図である。図6(A)は、図5(D)に示す取付け枠14にインナシャーシ42が嵌め込まれる前の状態を示す図である。この状態では、孔78、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの下側には、基板48の一部が見えている状態となる。また、第1スピーカホルダ46aの右側および第2スピーカホルダ46bの左側には、連結部材56の係止部82の先端の爪が引っ掛っている。
これにより、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bが連結部材56によって強固に連結された状態となり、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bが片持ち梁構造(図4などの状態)から両持ち梁構造となる。このように、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bが一体化されることにより、それぞれの剛性が大きくなるため、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46b自体の振動が抑制される。その結果、第1フィルムスピーカ30aおよび第2フィルムスピーカ30bの音圧レベルを大きくすることができる。
図6(B)は、図5(D)に示す取付け枠14にインナシャーシ42が嵌め込まれた後の状態を示す図である。図6(B)を参照して、二次電池44を保持するインナシャーシ42が取付け枠14に嵌め込まれると、インナシャーシ42によって、基板48、第1フィルムスピーカ30a、第2フィルムスピーカ30b、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bなどが隠される。なお、図6(B)において、二次電池44は点線で示されている。
図7は、図6(B)の線VII−VIIにおける断面図である。図7を参照して、二次電池44はインナシャーシ42によって保持されている。二次電池44は、取付け枠14およびシールド板40に配置されているので、インナシャーシ42から抜け落ちることはない。
そして、第1フィルムスピーカ30aおよび第2フィルムスピーカ30bは、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bによってそれぞれ、二次電池44の裏側に安定的に保持されている。なお、第1フィルムスピーカ30aおよび第2フィルムスピーカ30bは、二次電池44の裏側に並置されるため、2つの音源が離れすぎることなく、モノラル音声の再生でもステレオ音声の再生でも違和感が生じにくい。
このように、本実施の形態1に係る携帯端末10は、フィルムスピーカ30を採用し、かつ二次電池44の裏側にフィルムスピーカ30を配置したことにより、携帯端末10全体を薄型化することができる。
なお、図7に示すように、二次電池44が嵌め込まれたインナシャーシ42は、取付け枠14の内壁面60に嵌め込まれる。インナシャーシ42の枠は、その厚みがシールド板40の厚みと二次電池44の厚みの一部とを含むように形成されている。そのため、二次電池44が嵌め込まれたインナシャーシ42が取付け枠14に嵌め込まれたとしても、取付け枠14の厚さは変化しない。このような構造によっても、携帯端末10全体が薄型化されている。
図5および図6で説明した手順に従って取付け枠14に部品が取り付けられると、取付け枠14の表側にはフロントパネル16(図3)が取り付けられ、取付け枠14の裏側にはバックパネル12(図3)が取り付けられる。これにより、バックパネル12と取付け枠14との間に閉塞空間が形成される。第1フィルムスピーカ30aおよび第2フィルムスピーカ30bの正面から発せられた音は、対応するスピーカホルダの放音孔74を通して閉塞空間に出力された後、バックパネル12に設けられた第1放音孔24aおよび第2放音孔24bから閉塞空間外へ放出される。
ここで、ユーザが誤って携帯端末10を水没または水濡れさせてしまった場合を想定する。このような場合、第1放音孔24aおよび第2放音孔24bなどを通じてバックパネル12内部の閉塞空間内に水分が浸入する可能性がある。そして、この閉塞空間内に浸入した水分が、放音孔74から第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの内部に入り込むことによって、第1フィルムスピーカ30aおよび第2フィルムスピーカ30bの正面に水分が付着してしまう虞がある。フィルムスピーカ30の正面に水分が付着すると、水分が振動を抑制することによって音圧が低下し、結果的にフィルムスピーカ30の故障に繋がる。そのため、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの内部に入り込んだ水分を排出するための構造が必要となる。
そこで、本実施の形態1に係る携帯端末10では、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bに、内部に浸入した水分の排水構造を設ける。
(スピーカホルダの排水構造)
以下、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bにおける排水構造について説明する。
図7を参照して、第1スピーカホルダ46aの板状部分は、中央から第1縦枠70aに向けて傾斜している。そのため、第1スピーカホルダ46aの内側端部は、第1縦枠70aよりも低くなっている。同様にして、第2スピーカホルダ46bの板状部分は、中央から第2縦枠70bに向けて傾斜している。そのため、第2スピーカホルダ46bの内側端部は、第2縦枠70bよりも低くなっている。したがって、取付け枠14にバックパネル12を取り付けた状態では、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの内側端部は、それぞれ、第1縦枠70aおよび第2縦枠70bよりも、バックパネル12の主面12Aまでの距離が短くなっている。
図8は、スピーカホルダ46a,46bとバックパネル12との位置関係を模式的に示した図である。図8では、バックパネル12の主面12Aの左右方向をX軸方向と定義し、主面12Aの上下方向をY軸方向と定義し、主面12Aの法線方向をZ軸方向と定義する。
図8においては、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの各々の板状部分を模式的に示している。なお、各板状部分の中央には、そこに保持されるフィルムスピーカ30の音を放出するための放音孔74が形成されている。
図8に示すように、第1スピーカホルダ46aの板状部分および第2スピーカホルダ46bの板状部分を、それぞれ、バックパネル12の主面12Aに対してX軸方向に傾斜させて配置する。図中の角度θはバックパネル12の主面12Aに対するX軸方向の傾斜角を表わしている。
第1スピーカホルダ46aの板状部分は、内側(右側)端部が外側(左側)端部よりも低くなるように傾斜している。第1スピーカホルダ46aの板状部分の一部分には、第1貫通孔47aが形成されている。第1貫通孔47aは、第1フィルムスピーカ30a(図示せず)の正面と対向する側の主面からバックパネル12の主面12Aと対向する側の主面へ厚さ方向に貫通する。第1貫通孔47aが形成される板状部分の一部分は、バックパネル12の主面12Aの法線方向(Z軸方向)における板状部分から主面12Aまでの距離(図中の距離dzに相当)が最短となる位置を含んでいる。板状部分から主面12Aまでの距離dzが最短となる位置を点Pで表わすと、図8に示すように、点Pは、第1スピーカホルダ46aの板状部分の内側端部に位置している。したがって、第1貫通孔47aは、第1スピーカホルダ46aの板状部分の内側端部を含む一部分に形成される。このような構成とすることにより、バックパネル12の主面12Aの法線方向に沿った、第1貫通孔47aから主面12Aまでの距離は、放音孔74から主面12Aまでの距離よりも短くなっている。
第2スピーカホルダ46bの板状部分は、内側(左側)端部が外側(右側)端部よりも低くなるように傾斜している。第2スピーカホルダ46bの板状部分の一部分には、第2貫通孔47bが形成されている。第2貫通孔47bは、第2フィルムスピーカ30b(図示せず)の正面と対向する側の主面からバックパネル12の主面12Aと対向する側の主面へ厚さ方向に貫通する。第2貫通孔47bが形成される板状部分の一部分は、バックパネル12の主面12Aの法線方向(Z軸方向)における板状部分から主面12Aまでの距離dzが最短となる位置(点P)を含んでいる。図8に示すように、点Pは、第2スピーカホルダ46bの板状部分の内側端部に位置している。したがって、第2貫通孔47bは、第2スピーカホルダ46bの板状部分の内側端部を含む一部分に形成される。このような構成とすることにより、バックパネル12の主面12Aの法線方向に沿った、第2貫通孔47bから主面12Aまでの距離は、放音孔74から主面12Aまでの距離よりも短くなっている。
第1貫通孔47bおよび第2貫通孔47bの各々は、以下に説明するように、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの内部に入り込んだ水分を排出するための排水孔として機能する。
図9および図10は、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの詳細を示す拡大図である。図9は、取付け枠14の表側から見た第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bが拡大された状態の一例を示す。図9は、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bに第1フィルムスピーカ30aおよび第2スピーカホルダ30bがそれぞれ貼り付けられた状態を示している。図10は、図9に示す第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bを裏側から見た状態を示している。
図9を参照して、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの周縁はリブ90によって囲まれている。リブ90の高さは、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bにそれぞれ貼り付けられた第1フィルムスピーカ30aおよび第2フィルムスピーカ30bの厚みよりも高くなるように設定されている。したがって、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bに第1フィルムスピーカ30aおよび第2フィルムスピーカ30bが貼り付けられたとき、リブ90が第1フィルムスピーカ30aおよび第2フィルムスピーカ30bよりも高くなる。
また、第1スピーカホルダ46aのリブ90には複数の切欠き92が設けられている。また、第1フィルムスピーカ30aと繋がる配線を通すために、第1スピーカホルダ46aの右側には配線用凹部94が設けられている。同様に、第2スピーカホルダ46bのリブ90には、複数の切欠き92と配線用凹部94とが設けられている。
第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bは、第1フィルムスピーカ30aおよび第2フィルムスピーカ30bはそれぞれ取り付けられると、リブ90が第1フィルムスピーカ30aおよび第2フィルムスピーカ30bの周囲を取り囲んだ状態で、第1フィルムスピーカ30aおよび第2フィルムスピーカ30bを保持することになる。
ここで、バックパネル12内部の閉塞空間内に水分が浸入している状態において、携帯端末10の背面、すなわち、バックパネル12の裏面が載置面に接するように、携帯端末10を載置した場合を考える。
図7および図8に示したように、第1スピーカホルダ46aにおいては、内側端部が外側端部よりも低くなっている。したがって、携帯端末10の背面が載置面に接するように携帯端末10を載置した場合、第1スピーカホルダ46aの内側端部が外側端部よりも重力方向下側に位置している。そのため、放音孔74から第1スピーカホルダ46aの内部に入り込んだ水分Wは、図9に示すように、第1スピーカホルダ46aの内側端部寄りに集められる。
図8に示したように、第1スピーカホルダ46aの板状部分には、内側端部を含む一部分に第1貫通孔47aが形成されている。これにより、図10に示すように、水分Wが溜まっている部分に第1貫通孔47aを配置させることができる。
第2スピーカホルダ46bにおいても、第1スピーカホルダ46aと同様に、内側端部が外側端部よりも低くなっている。そのため、放音孔74から第2スピーカホルダ46bの内部に入り込んだ水分Wは、第2スピーカホルダ46bの内側端部寄りに集められる。第2スピーカホルダ46bの板状部分には、内側端部を含む一部分に第2貫通孔47bが形成されている。したがって、図10に示すように、水分Wが溜まっている部分に第2貫通孔47bを配置させることができる。
図11は、図10の線XI−XIにおける断面の一部分を示す図である。図11を参照して、第2スピーカホルダ46bの内部に入り込んだ水分Wは、内側端部寄りに溜められている。この水分Wは、図中に矢印で示すように、重力にしたがって第2貫通孔47bを通って第2スピーカホルダ46bの外部へ排出される。
なお、図示は省略するが、第1スピーカホルダ46aにおいても、内側端部寄りに集められた水分Wは、重力にしたがって第1貫通孔47aを通って第1スピーカホルダ46aの外部へ放出される。
このようにして、本実施の形態1に係る携帯端末10において、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの内部に入り込んだ水分の排水構造が実現される。これにより、フィルムスピーカ30の正面に付着した水分によって音圧が低下し、フィルムスピーカ30が故障に至るのを防止することができる。
なお、第1貫通孔47aおよび第2貫通孔47bは、バックパネル12の主面12Aが重力方向と平行になるように携帯端末10を保持した状態において、放音孔74よりも重力方向下側に位置することが好ましい。たとえば、携帯端末10の下側面が載置面に接するように携帯端末10を載置した場合、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの内部に入り込んだ水分は放音孔74より重力方向下側、すなわち、下側端部寄りに集められる。第1貫通孔47aおよび第2貫通孔47bを放音孔74よりも重力方向下側(下側端部側)に配置することにより、下側端部寄りに集められた水分Wは、重力にしたがって第1貫通孔47aおよび第2貫通孔47bをそれぞれ通って第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの外部へ放出される。このようにして、携帯端末10の下側面が載置面に接するように携帯端末10を載置した場合においても、水分を排出することが可能となる。
ここで、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの外部へ排出された水分は、バックパネル12内部の閉塞空間を伝って第1放音孔24aおよび第2放音孔24bなどから閉塞空間外へ排出される。図12は、第2スピーカホルダ46bを裏側から見た状態を示している。図12を参照して、第2スピーカホルダ46の板状部分の裏側において、第2溝部45bを形成してもよい。具体的には、第2溝部45bは、板状部分のバックパネル12の主面12Aと対向する側の主面上に形成されており、一方端が第2貫通孔47bに連結され、かつ、他方端がバックパネル12の側面に向けて開口している。板状部分の裏側に第2溝部45bを形成したことにより、第2貫通孔47bから第2スピーカホルダ46bの外部へ排出された水分Wは、図中に矢印で示すように、第2溝部45bの内部を流れて他方端から閉塞空間外へ排出される。このように、第2溝部45bは、第2スピーカホルダ46bからバックパネル12内部の閉塞空間に向けて排出された水分を、閉塞空間外へ導くための排水路として機能する。これにより、バックパネル12内部の閉塞空間から効率良く水分を排出することができる。
なお、図示は省略するが、第1スピーカホルダ46aにおいても、板状部分の裏側に第1溝部45aを形成してもよい。第1溝部45aは、板状部分のバックパネル12の主面12Aと対向する側の主面上に形成されており、一方端が第1貫通孔47aに連結され、かつ、他方端がバックパネル12の側面に向けて開口している。
さらに、図13に示すように、バックパネル12の右側面において、第2溝部45bの他方端と携帯端末10の外部とを連通する孔49を形成してもよい。これにより、第2溝部45bの内部を流れた水分Wをそのまま携帯端末10の外部へ排出することができる。
[実施の形態2]
本実施の形態2では、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bにおける排水構造の他の実施例について説明する。最初に、図14および図15を参照して、本実施の形態2に係る携帯端末10Aにおけるスピーカホルダの排水構造を概念的に説明する。
図14および図15は、スピーカホルダとバックパネルとの位置関係を模式的に示した図である。図14および図15では、バックパネル12の主面12Aの左右方向をX軸方向と定義し、主面12Aの上下方向をY軸方向と定義し、主面12Aの法線方向をZ軸方向と定義する。
図14においては、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの各々の板状部分を模式的に示している。なお、各板状部分の中央には、そこに保持されるフィルムスピーカ30の音を放出するための放音孔74が形成されている。
図14に示すように、第1スピーカホルダ46aの板状部分および第2スピーカホルダ46bの板状部分を、それぞれ、バックパネル12の主面12Aに対してX軸方向およびY軸方向に傾斜させて配置する。図中の角度θはバックパネル12の主面12Aに対するX軸方向の傾斜角を表わし、角度φは主面12Aに対するY軸方向の傾斜角を表わしている。
第1スピーカホルダ46aの板状部分は、右下端部が最も低くなるように傾斜している。第1スピーカホルダ46aの板状部分の一部分には、第1貫通孔47aが形成されている。第1貫通孔47aが形成される板状部分の一部分は、バックパネル12の主面12Aの法線方向(Z軸方向)における板状部分から主面12Aまでの距離(図中の距離dzに相当)が最短となる位置(図中の点P)を含んでいる。図14に示すように、点Pは、第1スピーカホルダ46aの板状部分の右下端部に位置している。したがって、第1貫通孔47aは、第1スピーカホルダ46aの板状部分の右下端部を含む一部分に形成される。このような構成とすることにより、バックパネル12の主面12Aの法線方向に沿った、第1貫通孔47aから主面12Aまでの距離は、放音孔74から主面12Aまでの距離よりも短くなっている。
第2スピーカホルダ46bの板状部分は、左下端部が最も低くなるように傾斜している。第2スピーカホルダ46bの板状部分の一部分には、第2貫通孔47bが形成されている。第2貫通孔47bが形成される板状部分の一部分は、バックパネル12の主面12Aの法線方向(Z軸方向)における板状部分から主面12Aまでの距離dzが最短となる位置(点P)を含んでいる。図14に示すように、点Pは、第2スピーカホルダ46bの板状部分の左下端部に位置している。したがって、第2貫通孔47bは、第2スピーカホルダ46bの板状部分の左下端部を含む一部分に形成される。このような構成とすることにより、バックパネル12の主面12Aの法線方向に沿った、第2貫通孔47bから主面12Aまでの距離は、放音孔74から主面12Aまでの距離よりも短くなっている。
図15は、バックパネル12の主面12Aが上下方向(Y軸方向)と平行になるように携帯端末10を保持した状態を示している。すなわち、上下方向は重力方向と平行である。
図15に示すように、バックパネル12の主面12Aの平面視において、第1スピーカホルダ46aの板状部分における直交する2辺は、バックパネル12の主面12Aにおける直交する2辺に対して傾斜している。第1スピーカホルダ46aの板状部分を成す矩形平面の4つの頂点のうち、重力方向に対して最も低い頂点を点Qで表わすと、図15に示すように、点Qは、第1スピーカホルダ46aの板状部分の右下端部に位置しており、バックパネル12の主面12Aの法線方向(Z軸方向)における板状部分から主面12Aまでの距離dzが最短となる位置(点P)と一致している。第1貫通孔47aは、第1スピーカホルダ46aの板状部分において、放音孔74よりも重力方向下側に位置している。第1貫通孔47aが形成される板状部分の一部分は、点Pおよび点Qを含んでいる。すなわち、第1貫通孔47aは、第1スピーカホルダ46aの板状部分の右下端部を含む一部分に形成される。
第2スピーカホルダ46bの板状部分を成す矩形平面の4つの頂点のうち、重力方向に対して最も低い頂点(点Q)は、第2スピーカホルダ46bの板状部分の左下端部に位置しており、点Pと一致している。第2貫通孔47bは、第2スピーカホルダ46bの板状部分において、放音孔74よりも重力方向下側に位置している。第2貫通孔47bが形成される板状部分の一部分は、点Pおよび点Qを含んでいる。すなわち、第1貫通孔47bは、第2スピーカホルダ46bの板状部分の左下端部を含む一部分に形成される。
(取付け枠の構造)
図16は、本実施の形態2に係る携帯端末10Aにおける取付け枠14Aの構造の一例を示す図である。図16(A)は第1フィルムスピーカ30aおよび第2フィルムスピーカ30bが貼り付けられた取付け枠14Aを表側から見た状態を示し、図16(B)は第1フィルムスピーカ30aおよび第2フィルムスピーカ30bが貼り付けられた取付け枠14Aを裏側から見た状態を示す。
図16(A),(B)を参照して、取付け枠14Aは、フロントパネル16およびインナシャーシ42と同様の矩形平面であり、一対の縦枠70および一対の横枠72を含む。第1縦枠70aおよび第2縦枠70bは、左右方向に所定の間隔を隔てて配置される。第1横枠72aは、一対の縦枠70の上側を連結し、第2横枠72bは、一対の縦枠70の下側を連結する。
第1縦枠70aの内側から内方に延びて、第1スピーカホルダ46aが形成される。第2縦枠70bの内側から内方に延びて、第2スピーカホルダ46bが形成される。第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bは、互いに対向している。
第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bはともに、矩形平面の板状部分を有している。この板状部分は、フィルムスピーカ30の正面(第1の主面)を保持する。板状部分の中央には、たとえば六角形の放音孔74が形成されている。第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの板状部分の周縁部には、リブ90が設けられている。
第1スピーカホルダ46aの板状部分は、上下方向に対して右下端部が最も低くなるように傾斜している。第2スピーカホルダ46aの板状部分は、上下方向に対して左下端部が最も低くなるように傾斜している。
本実施の形態2では、図14に示したように、第1スピーカホルダ46aの板状部分および第2スピーカホルダ46bの板状部分を、それぞれ、バックパネル12の主面12Aに対して左右方向および上下方向に傾斜させて配置している。図17は、図16の線XVII−XVIIにおける断面図である。図18は、図16の線XVIII−XVIIIにおける断面図である。図17を参照して、第1スピーカホルダ46aの板状部分は、中央から第1縦枠70aに向けて傾斜している。同様にして、第2スピーカホルダ46bの板状部分は、中央から第2縦枠70bに向けて傾斜している。さらに、第1スピーカホルダ46aの板状部分は、中央から第1横枠72aに向けて傾斜している。同様にして、第2スピーカホルダ46bの板状部分は、中央から第1横枠72aに向けて傾斜している。図18は、第2スピーカホルダ46bの下側端部が上側端部よりも低くなっていることを示している。
図19および図20は、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの詳細を示す拡大図である。図19は、取付け枠14の表側から見た第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bが拡大された状態の一例を示す。図19は、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bに第1フィルムスピーカ30aおよび第2スピーカホルダ30bがそれぞれ貼り付けられた状態を示している。図20は、図19に示す第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bを裏側から見た状態を示している。
ここで、バックパネル12内部の閉塞空間内に水分が浸入している状態において、携帯端末10の背面、すなわち、バックパネル12の裏面が載置面に接するように、携帯端末10を載置した場合を考える。
第1スピーカホルダ46aの板状部分の右下端部は、バックパネル12の主面12Aの法線方向における板状部分から主面12Aまでの距離が最短となる位置(図14の点P)である。したがって、携帯端末10の背面が載置面に接するように携帯端末10を載置した場合、第1スピーカホルダ46aの右下端部が右上端部、左下端部および左上端部よりも重力方向下側に位置している。そのため、放音孔74から第1スピーカホルダ46aの内部に入り込んだ水分Wは、図19に示すように、第1スピーカホルダ46aの右下端部寄りに集められる。
図14に示したように、第1スピーカホルダ46aの板状部分には、右下端部を含む一部分に第1貫通孔47aが形成されている。これにより、図20に示すように、水分Wが集まっている部分に第1貫通孔47aを配置させることができる。
第2スピーカホルダ46bにおいても、第1スピーカホルダ46aと同様に、左下端部が左上端部、右下端部および右上端部よりも低くなっている。そのため、放音孔74から第2スピーカホルダ46bの内部に入り込んだ水分Wは、第2スピーカホルダ46bの左下端部寄りに集められる。第2スピーカホルダ46bの板状部分には、左下端部を含む一部分に第2貫通孔47bが形成されている。したがって、図20に示すように、水分Wが集まっている部分に第2貫通孔47bを配置させることができる。
図21は、図20に示す線XXI−XXIにおける断面の一部分を示す図である。図21を参照して、第2スピーカホルダ46bの内部に入り込んだ水分Wは、左下端部寄りに集まっている。この水分Wは、図中に矢印で示すように、重力にしたがって第2貫通孔47bを通って第2スピーカホルダ46bの外部へ排出される。
なお、図示は省略するが、第1スピーカホルダ46aにおいても、右下端部寄りに集められた水分Wは、重力にしたがって第1貫通孔47aを通って第1スピーカホルダ46aの外部へ放出される。
本実施の形態2において、第1スピーカホルダ46aの板状部分の右下端部は、バックパネル12の主面12Aが上下方向と平行になるように携帯端末10Aを保持した状態において、第1スピーカホルダ46aの板状部分を成す矩形平面の4つの頂点のうち、重力方向に対して最も低い頂点(図15の点Q)である。したがって、携帯端末10Aの下側面が載置面に接するように携帯端末10Aを載置した場合、第1スピーカホルダ46aの右下端部が右上端部、左下端部および左上端部よりも重力方向下側に位置している。そのため、放音孔74から第1スピーカホルダ46aの内部に入り込んだ水分Wは、図19に示すように、第1スピーカホルダ46aの右下端部寄りに集められ、第1貫通孔47aを通って第1スピーカホルダ46aの外部へ放出される。
第2スピーカホルダ46aの板状部分の左下端部は、バックパネル12の主面12Aが上下方向と平行になるように携帯端末10Aを保持した状態において、第2スピーカホルダ46bの板状部分を成す矩形平面の4つの頂点のうち、重力方向に対して最も低い頂点(図15の点Q)である。したがって、携帯端末10の下側面が載置面に接するように携帯端末10を載置した場合、第2スピーカホルダ46bの左下端部が左上端部、右下端部および右上端部よりも重力方向下側に位置している。そのため、放音孔74から第2スピーカホルダ4baの内部に入り込んだ水分Wは、図19に示すように、第2スピーカホルダ46bの右下端部寄りに集められ、第2貫通孔47bを通って第2スピーカホルダ46bの外部へ放出される。
このようにして、本実施の形態2に係る携帯端末10Aにおいて、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの内部に入り込んだ水分の排水構造が実現される。本実施の形態2に係る排水構造によれば、携帯端末10Aの背面が載置面に接するように携帯端末10Aを載置した場合だけでなく、携帯端末10Aの下側面が載置面に接するように携帯端末10Aを載置した場合においても、水分を効率良く第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの外部へ排出することができる。
なお、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの外部へ排出された水分は、バックパネル12内部の閉塞空間を伝って第1放音孔24aおよび第2放音孔24bから閉塞空間外へ排出される。図22は、第2スピーカホルダ46bを裏側から見た状態を示している。
図22を参照して、第2スピーカホルダ46の板状部分の裏側において、第2溝部45bを形成してもよい。第2溝部45bは、板状部分のバックパネル12の主面12Aと対向する側の主面上に形成されており、一方端が第2貫通孔47bに連結され、かつ、他方端がバックパネル12の側面に向けて開口している。板状部分の裏側に第2溝部45bを形成したことにより、第2貫通孔47bから第2スピーカホルダ46b外部へ排出された水分Wは、図中に矢印で示すように、第2溝部45bの内部を流れて閉塞空間外へ排出される。
なお、本実施の形態2においても、図13に示したように、バックパネル12の右側面において、第2溝部45bの他方端と携帯端末10Aの外部とを連通する孔49を形成してもよい。これにより、第2溝部45bの内部を流れた水分Wをそのまま携帯端末10Aの外部へ排出することができる。
このように、第2溝部45bは、第2スピーカホルダ46bからバックパネル12内部の閉塞空間に向けて排出された水分を、閉塞空間外へ導くための排水路として機能する。これにより、バックパネル12内部の閉塞空間から効率良く水分を排出することが可能となる。
なお、第2溝部45bの他方端は、図22に示すように、バックパネル12の主面12Aが重力方向と平行になるように携帯端末10Aを保持した状態で、第2溝部45bの一方端よりも重力方向下側に位置することが好ましい。このようにすれば、携帯端末10の下側面が載置面に接するように携帯端末10を載置した場合においても、バックパネル12内部の閉塞空間から効率良く水分を排出することが可能となる。
なお、図示は省略するが、第1スピーカホルダ46aにおいても、板状部分の裏側に第1溝部45aを形成してもよい。第1溝部45aは、板状部分のバックパネル12の主面12Aと対向する側の主面上に形成されており、一方端が第1貫通孔47aに連結され、かつ、他方端がバックパネル12の側面に向けて開口している。第1溝部45aの他方端は、バックパネル12の主面12Aが重力方向と平行になるように携帯端末10Aを保持した状態で、第1溝部45aの一方端よりも重力方向下側に位置することが好ましい。
(作用効果)
以上説明したように、本実施の形態1および2に係る携帯端末によれば、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの各々の板状部分を、バックパネル12の主面12Aに対して傾斜させて配置するとともに、板状部分に第1貫通孔47aおよび第2貫通孔47bを形成する。第1貫通孔47aおよび第2貫通孔47bは、バックパネル12の主面12Aの法線方向における板状部分から主面12Aまでの距離が最短となる位置(図8および図14の点P)を含む一部分に形成される。
本実施の形態1および2に係る携帯端末において、バックパネル12の主面12Aの法線方向に沿った、第1貫通孔47aから主面12Aまでの距離および第2貫通孔47bから主面12Aまでの距離はそれぞれ、放音孔74から主面12Aまでの距離よりも短くなっている。
このような構成としたことにより、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの内部に入り込んだ水分は、携帯端末の背面が載置面に接するように携帯端末を載置した状態において、上記一部分に集められ、かつ、第1貫通孔47aおよび第2貫通孔47bを通じて第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの外部へ排出される。これにより、フィルムスピーカ30の正面に付着した水分によって音圧が低下し、フィルムスピーカ30が故障に至るのを防止することができる。
なお、本実施の形態1では第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの板状部分をバックパネル12の主面12Aに対して一方向(左右方向)に傾斜させているのに対し、本実施の形態2では板状部分を主面12Aに対して二方向(左右方向および上下方向)に傾斜させている。そのため、本実施の形態2は、本実施の形態1に比べて、より水分が集まりやすい構造となっている。
さらに、本実施の形態1および2に係る携帯端末によれば、バックパネル12の主面12Aが重力方向と平行になるように携帯端末を保持した状態において、第1貫通孔47aおよび第2貫通孔47bは、放音孔74よりも重力方向下側に位置している。バックパネル12の主面12Aが重力方向と平行になるように携帯端末を保持した状態では、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの内部に入り込んだ水分は放音孔74より重力方向下側に集められる。したがって、放音孔74よりも重力方向下側に第1貫通孔47aおよび第2貫通孔47bを配置することで、水分を第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの外部へ排出することができる。
さらに、本実施の形態2では、バックパネル12の主面12Aの平面視において、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46aの板状部分における直交する2辺を、バックパネル12の主面12Aにおける直交する2辺に対して傾斜させている。これにより、バックパネル12の主面12Aが重力方向と平行になるように携帯端末を保持した状態においても、より水分が集まりやすい構造となっている。そして、本実施の形態2によれば、板状部分を成す矩形平面の4つの頂点のうち、重力方向に対して最も低い頂点を含む一部分に、第1貫通孔47aおよび第2貫通孔47bを形成している。したがって、水分を効率良く排出することができる。
なお、本実施の形態1および2では、携帯端末の背面が載置面に接するように携帯端末を載置した状態において水分が排出される構成、およびバックパネル12の主面12Aが重力方向と平行になるように携帯端末を保持した状態において水分が排出される構成について説明したが、本発明に係る携帯端末は、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの各々の板状部分を、バックパネル12の主面12Aに対して傾斜させて配置したことによって、これ以外の状態に携帯端末を保持した場合においても、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの内部に入り込んだ水分が一部分に集まりやすい構造となっている。そして、この水分が集まっている一部分に第1貫通孔47aおよび第2貫通孔47bを配置することによって、本発明による第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの排水構造を実現することができる。
また、本実施の形態1および2に係る携帯端末によれば、第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの板状部分を、バックパネル12の主面12Aに対して傾斜させたことによって、上述した排水構造の実現に加えて、ステレオ感の改善という効果も奏する。図23は、本実施の形態2に係る携帯端末10Aにおける音響効果を説明する図である。図23(A)は携帯端末10Aの裏面の外観図であり、図23(B)は携帯端末10Aの表面の外観図である。
第1スピーカホルダ46aおよび第2スピーカホルダ46bの板状部分をそれぞれ、バックパネル12の主面12Aに対して傾斜させたことによって、第1フィルムスピーカ30aおよび第2フィルムスピーカ30bの正面はバックパネル12の主面12Aに対して傾斜している。そのため、第1フィルムスピーカ30aの正面から発せられた音は、図23(A)に矢印で示すように、バックパネル12の主面の法線に対して右上側に傾いた方向に出力される。また、第2フィルムスピーカ30bの正面から発せられた音は、図23(A)に矢印で示すように、バックパネル12の主面の法線に対して左上側に傾いた方向に出力される。このようにして、第1フィルムスピーカ30aおよび第2フィルムスピーカ30bの音は、バックパネル12の裏面に形成された第1放音孔24aから斜め上方に向けて出力されると、図23(B)に矢印で示すように、携帯端末10の表面側に回り込む。したがって、左右2つのフィルムスピーカ30から出力される音の携帯端末10Aの表面への音圧が増大する。さらに、ユーザは、左右2つのフィルムスピーカ30から出力された音の差を、携帯端末10の表面で聞き分けやすくなるため、ステレオ感が改善される。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。