JP2013247662A - 電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】パネルを振動させて気導音と振動音とを発生させるタイプの電子機器であって良好に動作する電子機器を提供すること。
【解決手段】電子機器1は、圧電素子30と、圧電素子30により振動し、気導音と、人体の一部を振動させて伝わる振動音とを発生させるパネル10と、パネル10を支持する筺体60と、筺体60の内部に配置されるマイクロフォン42と、を備え、筺体60の内部においてマイクロフォン42が収容される空間は、複数の箇所で筐体60の外部の空間と連通されている。
【選択図】図5

Description

この発明は、圧電素子に所定の電気信号(音声信号)を印加することでパネルを振動させ、当該パネルの振動を人体に伝達させることにより気導音と人体振動音とを利用者に伝える電子機器に関する。
特許文献1には、携帯電話などの電子機器として、気導音と骨導音とを利用者に伝えるものが記載されている。また、特許文献1には、気導音とは、物体の振動に起因する空気の振動が外耳道を通って鼓膜に伝わり、鼓膜が振動することによって利用者の聴覚神経に伝わる音であることが記載されている。また、特許文献1には、人体振動音とは、振動する物体に接触する利用者の体の一部(例えば外耳の軟骨)を介して利用者の聴覚神経に伝わる音であることが記載されている。
特許文献1に記載された電話機では、圧電バイモルフ及び可撓性物質からなる短形板状の振動体が、筐体の外面に弾性部材を介して取り付けられる旨が記載されている。また、特許文献1には、この振動体の圧電バイモルフに電圧が印加されると、圧電材料が長手方向に伸縮することにより振動体が屈曲振動し、利用者が耳介に振動体を接触させると、気導音と人体振動音とが利用者に伝えられることが記載されている。
特開2005−348193号公報
特許文献1に記載の電子機器は、携帯電話などの筐体の外面に振動体が取り付けられる。そのため、筐体に振動板としてのパネルを取り付けた電子機器については何ら検討されていない。
本発明の目的は、パネルを振動させて気導音と振動音とを発生させるタイプの電子機器であって良好に動作する電子機器を提供することにある。
本発明による電子機器は、圧電素子と、前記圧電素子により振動し、気導音と、人体の一部を振動させて伝わる振動音とを発生させるパネルと、前記パネルを支持する筺体と、前記筺体の内部に配置されるマイクロフォンと、を備え、前記筺体の内部において前記マイクロフォンが収容される空間は、複数の箇所で前記筐体の外部の空間と連通されているものである。
本発明によれば、パネルを振動させて気導音と振動音とを発生させるタイプの電子機器であって良好に動作する電子機器を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る電子機器の機能ブロックを示す図である。 パネルの好適な形状を示す図である。 第1の実施形態に係る電子機器の実装構造を示す図である。 図3におけるIV−IV線に沿った断面図である。 図3におけるV−V線に沿った断面図である。 図3におけるVI−VI線に沿った断面図である。 第1の実施形態に係る電子機器の比較例を示す図である。 第1の実施形態に係る電子機器のパネルの振動の一例を示す図である。 第2の実施形態に係る電子機器の実装構造を示す図である。 第2の実施形態に係る電子機器のパネルの振動の一例を示す図である。 パネルと筐体との接合例を示す図である。
以降、諸図面を参照しながら、本発明の実施態様を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器1の機能ブロックを示す図である。電子機器1は、例えば携帯電話(スマートフォン)であって、パネル10と、表示部20と、圧電素子30と、入力部40と、マイクロフォン42と、通信部44と、制御部50と、を備える。
パネル10は、接触を検出するタッチパネル、または表示部20を保護するカバーパネル等である。パネル10は、例えばガラス、またはアクリル等の合成樹脂により形成される。パネル10の形状は板状であるとよい。パネル10は、平板であってもよいし、表面が滑らかに傾斜する曲面パネルであってもよい。パネル10は、タッチパネルである場合、利用者の指、ペン、又はスタイラスペン等の接触を検出する。タッチパネルの検出方式は、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式(又は超音波方式)、赤外線方式、電磁誘導方式、及び荷重検出方式等の任意の方式を用いることができる。パネル10は、後述するように、筺体60に形成される開口部60aの少なくとも一部を閉塞するように、筺体60に対して配置される。
表示部20は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、又は無機ELディスプレイ等の表示デバイスである。表示部20は、パネル10の背面に設けられる。表示部20は、接合部材(例えば接着剤)によりパネル10の背面に配設される。表示部20は、パネル10と離間して配設され、電子機器1の筐体により支持されてもよい。
圧電素子30は、電気信号(電圧)を印加することで、構成材料の電気機械結合係数に従い伸縮または屈曲する素子である。これらの素子は、例えばセラミック製や水晶からなるものが用いられる。圧電素子30は、ユニモルフ、バイモルフまたは積層型圧電素子であってよい。積層型圧電素子には、バイモルフを積層した(例えば16層、24層、又は28層積層した)積層型バイモルフ素子が含まれる。積層型の圧電素子は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)からなる複数の誘電体層と、該複数の誘電体層間に配置された電極層との積層構造体から構成される。ユニモルフは、電気信号(電圧)が印加されると伸縮し、バイモルフは、電気信号(電圧)が印加されると屈曲する。
圧電素子30は、パネル10の背面(電子機器1の内部側の面)に配置される。圧電素子30は、接合部材(例えば両面テープ)によりパネル10に取り付けられる。圧電素子30は、中間部材(例えば板金)を介してパネル10に取り付けられてもよい。圧電素子30は、パネル10の背面に配置された状態で、筐体60の内部側の表面と所定の距離だけ離間している。圧電素子30は、伸縮または屈曲した状態でも、筐体60の内部側の表面と所定の距離だけ離間しているとよい。すなわち、圧電素子30と筐体60の内部側の面との間の距離は、圧電素子30の最大変形量よりも大きいとよい。
入力部40は、利用者からの操作入力を受け付けるものであり、例えば、操作ボタン(操作キー)から構成される。なお、パネル10がタッチパネルである場合には、パネル10も利用者からの接触を検出することにより、利用者からの操作入力を受け付けることができる。入力部40は、第1操作キー40a、第2操作キー40b、第3操作キー40cから成る。
制御部50は、電子機器1を制御するプロセッサである。制御部50は、圧電素子30に所定の電気信号(音声信号に応じた電圧)を印加する。制御部50が圧電素子30に対して印加する電圧は、例えば、振動音ではなく気導音による音の伝導を目的とした所謂パネルスピーカの印加電圧である±5Vよりも高い、±15Vであってよい。これにより、利用者が例えば3N以上の力(5N〜10Nの力)で自身の体にパネル10を押し付けた場合であっても、パネル10に十分な振動を発生させ、利用者の体の一部を介する振動音を発生させることができる。尚、どの程度の印加電圧を用いるかは、パネル10の筐体または支持部材に対する固定強度もしくは圧電素子30の性能に応じて適宜調整可能である。制御部50が圧電素子30に電気信号を印加すると、圧電素子30は長手方向に伸縮または屈曲する。このとき、圧電素子30が取り付けられたパネル10は、圧電素子30の伸縮または屈曲にあわせて変形し、パネル10が振動する。このため、パネル10は、気導音を発生させるとともに、利用者が体の一部(例えば外耳の軟骨)を接触させた場合、体の一部を介する振動音を発生させる。例えば、制御部50は、例えば通話相手の音声に係る音声信号に応じた電気信号を圧電素子30に印加させ、その音声信号に対応する気導音及び振動音を発生させることができる。音声信号は、着信メロディ、または音楽を含む楽曲等に係るものであってもよい。なお、電気信号にかかる音声信号は、電子機器1の内部メモリに記憶された音楽データに基づくものでもよいし、外部サーバ等に記憶されている音楽データがネットワークを介して再生されるものであってもよい。
パネル10は、圧電素子30が取り付けられた取付領域だけでなく、取付領域から離れた領域も振動する。パネル10は、振動する領域において、当該パネル10の主面と交差する方向に振動する箇所を複数有し、当該複数の箇所の各々において、振動の振幅の値が、時間とともにプラスからマイナスに、あるいはその逆に変化する。パネル10は、ある瞬間において、振動の振幅が相対的に大きい部分と振動の振幅が相対的に小さい部分とがパネル10の略全体に一見ランダムに分布した振動をする。即ちパネル10全域にわたって、複数の波の振動が検出される。利用者が例えば5N〜10Nの力で自身の体にパネル10を押し付けた場合であっても、パネル10の上述したような振動が減衰しないためには、制御部50が圧電素子30に対して印加する電圧は、±15Vであってよい。そのため、利用者は、上述したパネル10の取付領域から離れた領域に耳を接触させて音を聞くことができる。
ここで、パネル10は、利用者の耳とほぼ同じ大きさであってよい。また、パネル10は、図2に示すように、利用者の耳よりも大きいものであってもよい。この場合、利用者が音を聞く際、電子機器1のパネル10により耳全体が覆われやすいことから、周囲音(ノイズ)を外耳道に入りにくくできる。パネル10は、対耳輪下脚(下対輪脚)から対耳珠までの間の距離に相当する長さと、耳珠から対耳輪までの間の距離に相当する幅とを有する領域よりも広い領域が振動すればよい。パネル10は、好ましくは、耳輪における対耳輪上脚(上対輪脚)近傍の部位から耳垂までの間の距離に相当する長さと、耳珠から耳輪における対耳輪近傍の部位までの間の距離に相当する幅を有する領域が振動すればよい。上記の長さおよび幅を有する領域は、長方形状の領域であってもよいし、上記の長さを長径、上記の幅を短径とする楕円形状であってもよい。日本人の耳の平均的な大きさは、社団法人 人間生活工学研究センター(HQL)作成の日本人の人体寸法データベース(1992−1994)等を参照すれば知ることができる。尚、パネル10が日本人の耳の平均的な大きさ以上の大きさであれば、パネル10は概ね外国人の耳全体を覆うことができる大きさであると考えられる。
上記の電子機器1は、パネル10の振動により、気導音と、利用者の体の一部(例えば外耳の軟骨)を介する振動音とを利用者に伝えることができる。そのため、従来のダイナミックレシーバと同等の音量の音を出力する場合、パネル10が振動することで空気の振動により電子機器1の周囲へ伝わる音は、ダイナミックレシーバと比較して少ない。したがって、例えば録音されたメッセージを電車内等で聞く場合等に適している。
また、上記の電子機器1は、パネル10の振動によって振動音を伝えるため、例えば利用者がイヤホンまたはヘッドホンを身につけていても、それらに電子機器1を接触させることで、利用者はイヤホンまたはヘッドホンおよび体の一部を介して音を聞くことができる。
上記の電子機器1は、パネル10の振動により利用者に音を伝える。そのため、電子機器1が別途ダイナミックレシーバを備えない場合、音声伝達のための開口部(放音口)を筐体に形成する必要がなく、電子機器1の防水構造が簡略化できる。尚、電子機器1がダイナミックレシーバを備える場合、放音口は、気体は通すが液体は通さない部材によって閉塞されるとよい。気体は通すが液体は通さない部材は、例えばゴアテックス(登録商標)である。
(第1の実施形態)
図3乃至図6は、第1の実施形態に係る電子機器1の実装構造を示す図である。図3は正面図である。図4は、図3におけるIV−IV線に沿った断面図である。図5は、図3におけるV−V線に沿った断面図である。図6は、図3におけるVI−VI線に沿った断面図である。
図3乃至図6に示す電子機器1は、パネル10としてガラス板であるタッチパネルが筐体60(例えば金属や樹脂のケース)の前面に配されたスマートフォンである。パネル10及び入力部40は筐体60に支持されている。パネル10及び入力部40は、それぞれ筺体60の開口部60aの少なくとも一部を閉塞する。表示部20および圧電素子30は、それぞれ接合部材70によりパネル10に接着されている。接合部材70は、熱硬化性あるいは紫外線硬化性等を有する接着剤や両面テープ等であり、例えば無色透明のアクリル系紫外線硬化型接着剤である光学弾性樹脂でもよい。パネル10、表示部20および圧電素子30は、それぞれ略長方形状である。
表示部20は、パネル10の短手方向におけるほぼ中央に配置される。圧電素子30は、パネル10の長手方向の端部から所定の距離だけ離間して、当該端部の近傍に、圧電素子30の長手方向がパネル10の短辺に沿うように配置される。表示部20と圧電素子30とは、パネル10の内部側の面に平行な方向において並んで配置される。
筺体60は、キー支持部62を有する。キー支持部62は、筺体60の内壁から延設される。キー支持部62は、第1操作キー40a、第2操作キー40b及び第3操作キー40cを支持している。図3では詳細に示していないが、図5及び図6に示すように、第1操作キー40a、第2操作キー40b及び第3操作キー40cは、互いに離間して配置される。換言すれば、第1操作キー40aと第2操作キー40bとの間、及び第2操作キー40bと第3操作キー40cとの間には隙間が存在する。そして、第1操作キー40a、第2操作キー40b及び第3操作キー40cは、筺体60と離間して配置される。すなわち、第1操作キー40a、第2操作キー40b及び第3操作キー40cと筺体60との間には隙間が存在する。
さらに、第1操作キー40a、第2操作キー40b及び第3操作キー40cは、パネル10と離間して配置される。すなわち、第1操作キー40a、第2操作キー40b及び第3操作キー40cとパネル10との間には隙間が存在する。パネル10と第1操作キー40a、第2操作キー40b及び第3操作キー40cとが離間して配置されることで、パネル10が振動する際、振動するパネル10と第1操作キー40a、第2操作キー40b及び第3操作キー40cとが当接して異音が発生しにくくなる。
キー支持部62には、孔部62aが形成される。キー支持部62は、孔部62aの周囲であって回路基板55に向かって突出するリブ62bを有する。後述するように、リブ62bと回路基板55とで、マイクロフォン収容部(マイクロフォンが収容される空間)が形成される。
マイクロフォン42は、筺体60の下部に配置される。マイクロフォン42は、筺体60の長手方向において圧電素子30が配置される側と反対側の端部近傍に配置される。マイクロフォン42aは、筐体60の内部に設けられる回路基板55に実装される。マイクロフォン42は、回路基板55が筺体60の内部に配置されたときに、リブ62によって囲まれる。すなわち、マイクロフォン42は、リブ62bと回路基板55とで形成されるマイクロフォン収容部に収容される。マイクロフォン42は、キー支持部62に形成された孔部62aを介して、筺体外部で発せられる音を集音する。換言すれば、マイクロフォン42には、キー支持部62に形成された孔部62aを介して、筺体外部で発せられる音が入力される。
マイクロフォン収容部における孔部62a側には、防水シート31が配置される。防水シート31は、例えばゴアテックス(登録商標)から成るシート状の部材である。防水シート31は、水は通さないが空気は通過させる。防水シート31によって、孔部62aを介してマイクロフォン42へ音が導かれ、かつ孔部62aからマイクロフォン収容部に水が浸入しにくくなる。
図5に示すように、孔部62aは、筺体60の厚さ方向で、第1操作キー40aと第2操作キー40bとの間の隙間と対応する位置にある。
マイクロフォン42の周囲には、リングゴム32が設けられる。リングゴム32は、弾性を有する部材で構成される。リングゴム32は、防水シート31とマイクロフォン42との間に、マイクロフォン42の外周部を囲むように設けられる。リングゴム32が配置されることで、マイクロフォン収容部とは異なる領域(例えば筺体60の内部において回路基板50が配置される空間)で発生した音がマイクロフォン42の音入力面に到達しにくくなり、マイクロフォン42の感度が向上する。リングゴム32は、例えば、円柱状の弾性部材の中心部に貫通孔が形成された形状(平面視で環状)であるが、形状はこれに限定されない。
キースイッチ46a、46b及び46cは、それぞれ第1操作キー40a、第2操作キー40b及び第3操作キー40cに対応して回路基板55に実装される。図6に示すように、第1操作キー40a、第2操作キー40b及び第3操作キー40cと筺体60のキー支持部62との間には、弾性部材であるラバーシート48が配置される。第1操作キー40a、第2操作キー40b及び第3操作キー40cは、ラバーシート48を介してキー支持部62に支持される。ラバーシート48は、例えばシリコンゴム等で構成される。
ラバーシート48は、第1操作キー40a、第2操作キー40b及び第3操作キー40cに対応する位置に押し子48aを有する。キースイッチ46a、46b及び46cは、第1操作キー40a、第2操作キー40b及び第3操作キー40cが押圧されると、押し子48aによって押圧される。そして、押圧に伴い、所定の電気信号を制御部50に送信する。
ラバーシート48は、キー支持部62全体に亘って設けられているわけではなく、キー支持部62のパネル10側の一部に設けられる。すなわち、ラバーシート48は、図6に示す位置、すなわち図3におけるVI−VI線に沿う位置において設けられているが、図5に示す位置、すなわち図3におけるV−V線に沿う位置において設けられていない。ラバーシート48は、図6に示す位置、すなわち図3におけるVI−VI線に沿う位置において第1操作キー40a、第2操作キー40b及び第3操作キー40cを支持するが、図5に示す位置、すなわち図3におけるV−V線に沿う位置において第1操作キー40a、第2操作キー40b及び第3操作キー40cを支持しない。
図5においては、第1操作キー40a、第2操作キー40b及び第3操作キー40cとキー支持部62とは離間している。すなわち、第1操作キー40a、第2操作キー40b及び第3操作キー40cとキー支持部62との間には隙間が存在する。
このように、本実施形態に係る電子機器1によれば、マイクロフォン収容部と孔部62aとは、防水シート31によって隔てられているが、前述の通り、防水シート31は空気は通すが水は通さない特性を有するため、マイクロフォン収容部と孔部62aとの間で空気は移動可能である。そして、孔部62aは、筺体60の外部の空間と、複数の経路で連通されている。すなわち、図4乃至図6に示すように、孔部62aは、キー支持部62と各操作キーとの間の隙間、筺体60と各操作キーとの間の隙間、パネル10と各操作キーとの間の隙間、及び各操作キー間の隙間の少なくとも一つによって、筺体60の外部の空間と連通される。
図7に比較例として示すように、マイクロフォン収容部と筺体の外部の空間とが、筺体60に形成された一つの孔部160を介して連通される構造では、例えば、パネル10が振動しているときに利用者が指等で孔部160を閉塞すると、筺体60の外部とマイクロフォン42との間における音の伝達が遮断され、かつパネル10の振動により発生する気導音が筺体60の内部でマイクロフォン42に伝わるため、筺体60の外部からマイクロフォン42に伝わる音の大きさに対する筺体60の内部でマイクロフォン42に伝わる音の大きさの比率が大きくなり、結果として、パネル10の振動により発生する通話音声がマイクロフォン42に集音されて通話相手に戻る現象、いわゆる音戻り(エコー)の影響が大きくなり、通話相手が違和感を覚える可能性があった。
これに対して、本実施形態に係る電子機器1は、孔部62aと筺体60の外部空間とを繋ぐ経路を複数有する。換言すれば、マイクロフォン収容部は、筺体60の外部の空間と複数の箇所で連通されている。よって、例えば利用者が第1操作キー40aを操作する際、利用者の指で筺体60と第1操作キー40aとの間の隙間またはパネル10と第1操作キー40aとの間の隙間が閉塞された場合でも、孔部62aは、例えば第3操作キー40cと筺体60との間の隙間等によって筺体60の外部の空間と連通される(孔部62aと筺体60の外部空間との間の経路が全て閉塞されない)。そのため、筺体60の外部とマイクロフォン42との間における音の伝達が遮断されにくく、筺体60の外部からマイクロフォン42に伝わる音の大きさに対する筺体60の内部でマイクロフォン42に伝わる音の大きさの比率を、上記の比較例に対して十分小さくすることができる。すなわち、筺体60の内部でマイクロフォン42に伝わる音を、筺体60の外部からマイクロフォン42に伝わる音でマスキングすることができ、エコーの影響を低減できる。
また、図5に示すように、孔部62aは、筺体60の厚さ方向で、第1操作キー40aと第2操作キー40bとの間の隙間と対応する位置にある。この構成により、筺体60の外部から第1操作キー40aと第2操作キー40bとの間の隙間に入る音は、そのまま孔部62aを介してマイクロフォン42に到達する。そのため、マイクロフォン42の週音声が向上する。
以上、図3乃至図6により第1実施形態に係る電子機器1について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されず、当該技術分野の通常の知識を有する者が創作しうる全ての変形例及び代替可能な構成を含む。
例えば、第1実施形態に係る電子機器1では、孔部62aと筺体60の外部空間とを繋ぐ複数の経路は、キー支持部62と各操作キーとの間の隙間、筺体60と各操作キーとの間の隙間、パネル10と各操作キーとの間の隙間、及び各操作キー間の隙間によって構成されているが、これに限定されない。例えば、筺体60の開口部60から露出して設けられると共に、筺体60の内部に配置されるLED等の発光部材(不図示)から発せられる光を筺体60の外部に導く導光部材をマイクロフォン42の近傍に複数設け、この複数の導光部材各々と筺体60との隙間によって孔部62aと筺体60の外部の空間とが連通される構成であっても良い。
図8は、第1の実施形態に係る電子機器1のパネル10の振動の一例を示す図である。第1の実施形態に係る電子機器1では、表示部20がパネル10に取り付けられている。このため、パネル10の下部は、圧電素子30が取り付けられたパネル10の上部に比して振動しにくくなる。そのため、パネル10の下部において、パネル10の下部が振動することによる音漏れが低減できる。
このように、本実施形態に係る電子機器1によれば、パネル10の背面に取り付けられた圧電素子30の変形に起因してパネル10が変形し、当該変形するパネル10に接触する対象物に対して気導音と振動音とを伝える。これにより、振動体を筐体60の外面に突出させることなく気導音と振動音とを利用者に伝えることができるため、筐体に比べて非常に小さな振動体を人体に接触させる特許文献1に記載の電子機器よりも使い勝手が向上する。また、圧電素子自体に利用者の耳を当てる必要がないので圧電素子30そのものが破損しにくい。また、パネル10ではなく筐体60を変形させる場合には、振動を発生させる際に、利用者が端末を落としてしまいやすいのに対して、パネル10を振動させた場合には、このようなことが起きにくい。
また、圧電素子30はパネル10に接合部材70により接合されている。これにより、圧電素子30の変形の自由度を阻害しにくい状態で圧電素子30をパネル10に取り付けることができる。また、接合部材70は、非加熱型硬化性の接着剤とすることができる。これにより、硬化時に、圧電素子30とパネル10との間に熱応力収縮が発生しにくいという利点がある。また、接合部材70は、両面テープとすることができる。これにより、圧電素子30とパネル10との間に接着剤使用時のような収縮応力がかかりにくいという利点がある。
(第2の実施形態)
図9は第2の実施形態に係る電子機器1の実装構造を示す図である。図9(a)は正面図、図9(b)は図9(a)におけるb−b線に沿った断面図、図9(c)は図9(a)におけるc−c線に沿った断面図である。図9に示す電子機器1はパネル10として表示部20を保護するカバーパネル(アクリル板)が上側の筐体60の前面に配された折りたたみ式の携帯電話である。第2の実施形態では、パネル10と圧電素子30との間には、補強部材80が配置される。補強部材80は、例えば樹脂製の板、板金またはガラス繊維を含む樹脂製の板である。すなわち、第2の実施形態に係る電子機器1は、圧電素子30と補強部材80とが接合部材70により接着され、さらに補強部材80とパネル10とが接合部材70により接着される構造である。また、第2の実施形態では、表示部20は、パネル10に接着されるのではなく、筐体60によって支持されている。すなわち、第2の実施形態に係る電子機器1は、表示部20がパネル10と離間しており、表示部20と筐体60の一部である支持部90とが接合部材70により接着される構造である。なお、支持部90は、筐体60の一部としての構成に限定されず、金属や樹脂等により筐体60から独立した部材として構成することが可能である。
図10は、第2の実施形態に係る電子機器1のパネル10の振動の一例を示す図である。第2の実施形態に係る電子機器1では、パネル10がガラス板と比較し剛性の低いアクリル板であり、また、パネル10の背面に表示部20が接着されていないため、図8に示す第1の実施形態に係る電子機器1に比べ、圧電素子30により生じる振幅が大きくなる。また、パネル10は、圧電素子30が取り付けられた取付領域だけでなく、取付領域から離れた領域も振動する。このため、利用者は、空気を介する気導音に加え、パネル10の任意の位置に耳を接触させて振動音を聞くことができる。
このように、本実施形態に係る電子機器1によれば、パネル10に補強部材80を介して取り付けられた圧電素子30の変形に起因して補強部材80およびパネル10が変形し、当該変形するパネル10に接触する対象物に対して気導音と振動音とを伝える。これにより、振動体自体を耳に当てることなく気導音と振動音とを利用者に伝えることができる。また、圧電素子30は、パネル10の筐体60内部側の面に取り付けられる。このため、振動体を筐体60の外面に突出させることなく気導音と振動音とを利用者に伝えることができる。また、パネル10は、圧電素子30が取り付けられた取付領域だけでなく、パネル10のいずれの箇所においても気導音と振動音とを伝えるための変形が発生する。このため、利用者は、空気を介する気導音に加え、パネル10の任意の位置に耳を接触させて振動音を聞くことができる。
上記の第2実施形態に係る電子機器1においても、第1実施形態(図3乃至図6)と同様の構成を採用することが可能である。第2実施形態に係る電子機器1のような折畳型の携帯電話機は、下側の筺体にマイクロフォンが配置されることがある。パネル10の振動は、上側の筺体から連結部を介して下側の筺体に伝わることが考えられるため、第1の実施形態(図3乃至図6)と同様の構成を採用することで、エコーの影響を低減することができる。
また、圧電素子30とパネル10との間に補強部材80を配置することで、例えばパネル10に外力が加わった場合に、その外力が圧電素子30に伝達され圧電素子30が破損する可能性を低減することができる。また、人体にパネル10を強く接触させても、パネル10の振動が減衰しにくくできる。また、圧電素子30とパネル10との間に補強部材80を配置することで、パネル10の共振周波数が下がり、低周波帯域の音響特性が向上する。なお、補強部材80に換えて、板状の錘を接合部材70により圧電素子30に取り付けてもよい。
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各部材、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
例えば、図11に示すとおり、パネル10が筐体60に接合部材70により接合されている構成としても良い。このように、筐体60にパネル10からの振動がダイレクトに伝わりにくくすることで、筐体自体が大きく振動する場合と比較して、ユーザーが電子機器1を落としてしまう恐れを低減できる。また、接合部材70は、非加熱型硬化性の接着剤とすることができる。これにより、硬化時に、筐体60とパネル10との間に熱応力収縮が発生しにくいという利点がある。また、接合部材70は、両面テープとすることができる。これにより、筐体60とパネル10との間に接着剤使用時のような収縮応力が発生しにくいという利点がある。
例えば、パネル10と表示部20とが重畳しない構成である場合、圧電素子30は、パネル10の中央に配設されてもよい。圧電素子30がパネル10の中央に配設された場合、圧電素子30の振動がパネル10全体に均等に伝わり、気導音の品質を向上させたり、利用者が耳をパネル10の様々な位置に接触させても振動音を認識させたりすることができる。なお、上述の実施形態と同様に、圧電素子30は複数個搭載してもよい。
また、上記の電子機器1においては、圧電素子30はパネル10に貼り付けられているが、パネル10と異なる場所に取り付けられてもよい。例えば、圧電素子30は、筐体60に取り付けられてバッテリを覆うバッテリリッドに貼り付けられてもよい。バッテリリッドは携帯電話機等の電子機器1においてパネル10と異なる面に取り付けられることが多いため、そのような構成によれば、利用者はパネル10と異なる面に体の一部(例えば耳)を接触させて音を聞くことができる。
また、圧電素子30が筺体60の角部(例えば四隅の少なくとも一か所)を振動させる構成であっても良い。この場合、圧電素子7は、筺体60の角部の内面に取り付けられる構成でもよいし、中間部材をさらに備え、圧電素子30の振動が中間部材を介して筺体60の角部に伝達される構成でもよい。
また、パネル10は、表示パネル、操作パネル、カバーパネル、充電池を取り外し可能とするためのリッドパネルのいずれかの一部または全部を構成することができる。特に、パネル10が表示パネルのとき、圧電素子30は、表示機能のための表示領域の外側に配置される。これにより、表示を阻害しにくいという利点がある。操作パネルは、第1実施形態のタッチパネルを含む。また、操作パネルは、例えば折畳型携帯電話において操作キーのキートップが一体に形成され操作部側筐体の一面を構成する部材であるシートキーを含む。
なお、第1の実施形態および第2の実施形態では、パネル10と圧電素子30とを接着する接合部材およびパネル10と筐体60とを接着する接合部材等を同一の符号を有する接合部材70として説明した。しかしながら、第1実施形態および第2実施形態で用いられる接合部材は、接合する対象である部材に応じて適宜異なるものが用いられてよい。
1 電子機器
10 パネル
20 表示部
30 圧電素子
31 防水シート
32 リングゴム
40 入力部
40a 第1操作キー
40b 第2操作キー
40c 第3操作キー
42 マイクロフォン
46 キースイッチ
48 ラバーシート
50 制御部
55 回路基板
60 筐体
60a 開口部
62 キー支持部
62a 孔部
62b リブ
70 接合部材
80 補強部材
90 支持部
160 孔部

Claims (9)

  1. 圧電素子と、
    前記圧電素子により振動し、気導音と、人体の一部を振動させて伝わる振動音とを発生させるパネルと、
    前記パネルを支持する筺体と、
    前記筺体の内部に配置されるマイクロフォンと、を備え、
    前記筺体の内部において前記マイクロフォンが収容される空間は、複数の箇所で前記筐体の外部の空間と連通されている
    電子機器。
  2. 前記筐体には開口部が形成され、
    前記開口部から前記筐体の外部に露出する操作部材をさらに有し、
    前記マイクロフォンが収容される空間は、前記筐体における前記開口部の縁部と前記操作部材との隙間によって前記筺体の外部の空間と連通されている
    請求項1に記載の電子機器。
  3. 前記操作部材は、複数の操作キーを含み、
    前記マイクロフォンが収容される空間は、前記複数の操作キーのうち第1操作キーと第2操作キーとの隙間によって前記筺体の外部の空間と連通されている
    請求項2に記載の電子機器。
  4. 前記マイクロフォンは、前記第1の操作キーと前記第2操作キーとの間の空間と所定の方向で対応する位置に配置される
    請求項3に記載の電子機器。
  5. 前記パネルは、人間の耳の対耳輪下脚から対耳珠までの間の距離に相当する長さと、耳珠から対耳輪までの間の距離に相当する幅とを有する領域よりも広い領域が振動する
    請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の電子機器。
  6. 前記パネルは、表示パネル、操作パネル、カバーパネル、充電池を取り外し可能とするためのリッドパネルのいずれかの一部または全部を構成する
    請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の電子機器。
  7. 前記パネルが表示パネルのとき、
    前記圧電素子は、当該表示機能のための表示領域の外側に配置されている、
    請求項6記載の電子機器。
  8. 前記パネルは、当該パネルのいずれの箇所においても気導音と振動音とを伝えるための変形が発生する
    請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の電子機器。
  9. 前記パネルは、その振動領域において、当該パネルの主面と交差する方向に振動する箇所を複数有し、当該箇所の各々において、前記振動の振幅の値が時間とともにプラスからマイナスに、あるいはその逆に変動する
    請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の電子機器。
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