JP2016072345A - Memsデバイス及びmemsデバイスの製造方法 - Google Patents

Memsデバイス及びmemsデバイスの製造方法 Download PDF

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悠 岩井
Hisashi Iwai
悠 岩井
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Abstract

【課題】吸着層におけるガス吸着能力の低下を抑制すると共に、内部空間の真空度の低下を一層抑制する。
【解決手段】基板と、基板上に設けられかつ可動部を有する素子部と、基板上に設けられて素子部を囲む接合部と、基板側表面の一部が接合部に接合されて素子部を含んだ内部空間を形成する蓋部と、を有するMEMSデバイスであって、蓋部は、基板側表面のうち内部空間に面した部分に複数の凹部を有し、基板側表面のうち、少なくとも複数の凹部を含む部分に膜部を備え、膜部は、蓋部上に設けられて内部空間のガスを吸着する吸着層と、吸着層を覆うように設けられた被覆層と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、MEMSデバイス及びMEMSデバイスの製造方法に関する。
コンピュータや携帯端末などの電子製品は、振動子、発振器、共振子などの所定の周波数で振動する振動素子を備えた電子部品を有している。このような電子部品としては、例えば、パッケージの内部空間に振動素子が収容された振動子の構成が知られている。このような振動子は、ベースとリッドとから構成されるパッケージと、振動素子と、を有している。近年においては、このような電子部品の小型化や低コスト化の要請を受けて、基板上に一括して作成されるMEMS(Micro Electro Mechanical System)技術の採用が検討されている。このMEMSデバイスとして、例えば、特許文献1に示すMEMS振動子が提案されている。
このようなMEMSデバイスは、高いQ値を維持するため、振動素子が例えば500Pa以下の真空雰囲気で封止されている必要がある。このような真空雰囲気を維持しつつ封止する方法としては、例えば振動素子を形成したベースウェハと、蓋となるリッドウェハとを真空雰囲気下のチャンバー内で接合する方法が広く用いられる。この方法において、ウェハを接合する際には、例えばArイオンを照射して、または300℃程度の熱処理を行って、各ウェハ表面の水分を除去してからウェハ同士の接合を行うようにしている。これにより、各ウェハにガスが吸着するのを防ぐことができるため、内部空間の真空度が低下するのを抑制できる。
一方、近年ではMEMSデバイスが微小になり、これに伴って振動素子及びそれを取り囲む内部空間の体積が小さくなるため、上記の方法では除去しきれない微量のガスが内部空間に残留し、内部空間の真空度を低下させてしまう場合がある。これに対して、例えば蓋部のうち内部空間に面する部分に、チタン膜などのガス吸着能力を有する吸着層を設け、この吸着層にガスを吸着させることで内部空間の真空度の低下を抑制する方法が提案されている。
特開2008−263166号公報
しかしながら、上記のような吸着層は、製造過程等において表面が酸化されるとガス吸着能力が低下してしまうという問題がある。また、近年のMEMSデバイスの小型化により、上記のような吸着層を配置するスペースが限られるため、内部空間のガスを一定以上吸着することが困難である。そのため、内部空間の真空度の低下を抑制する効果が限定されてしまう。
以上のような事情に鑑み、本発明は、吸着層におけるガス吸着能力の低下を抑制すると共に、内部空間の真空度の低下を一層抑制することが可能なMEMSデバイス及びこのようなMEMSデバイスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明では、基板と、基板上に設けられかつ可動部を有する素子部と、基板上に設けられて素子部を囲む接合部と、基板側表面の一部が接合部に接合されて素子部を含んだ内部空間を形成する蓋部と、を有するMEMSデバイスであって、蓋部は、基板側表面のうち内部空間に面した部分に複数の凹部を有し、基板側表面のうち、少なくとも複数の凹部を含む部分に膜部を備え、膜部は、蓋部上に設けられて内部空間のガスを吸着する吸着層と、吸着層を覆うように設けられた被覆層と、を有する。また、凹部は、溝状または平面視において多角形状に形成されてもよい。また、貫通電極は、基板側の端面が蓋部の内側に配置され、膜部は、端面を含んで形成されてもよい。また、蓋部は、素子部に対向する部分に内部空間用凹部を備えてもよい。また、膜部は、基板側表面の全面に形成されてもよい。また、接合部に接合する部分に蓋部を貫通する貫通電極を有し、膜部は、基板側表面のうち貫通電極を含む部分に形成され、貫通電極は、膜部を介して接合部と電気的に接続されてもよい。
また、本発明では、基板と、基板上に設けられかつ可動部を有する素子部と、基板上に設けられて素子部を囲む接合部と、基板側表面の一部が接合部に接合されて素子部を含んだ内部空間を形成する蓋部と、を有するMEMSデバイスの製造方法であって、基板上に、多結晶シリコンから形成された構造層と、シリコン酸化膜から形成された犠牲層と、を積層する積層工程と、構造層及び犠牲層の一部または全部を除去して素子部及び接合部を形成する構造体形成工程と、蓋部の基板側表面に、複数の凹部を形成する凹部形成工程と、蓋部の基板側表面のうち、少なくとも複数の凹部を含む部分に、内部空間のガスを吸着する吸着層と、吸着層を覆う被覆層とを備える膜部を形成する膜部形成工程と、膜部のうち被覆層に接合部を接合する接合工程と、を含む。また、膜部形成工程に先立って、蓋部を貫通する貫通電極を形成する貫通電極形成工程を含み、膜部形成工程は、貫通電極を含む部分に膜部を形成してもよい。また、貫通電極形成工程は、蓋部の基板側表面から反対側の面に向けて非貫通状態の孔部を形成し、メッキ法により孔部に電極材料を充填し、蓋部のうち基板側表面と反対側の表面を研磨して電極材料を露出させることにより行ってもよい。また、貫通電極形成工程の後、膜部形成工程に先立って、貫通電極のうち基板側の一部を除去する工程を含んでもよい。
本発明の態様によれば、蓋部の基板側表面のうち内部空間に面した部分に複数の凹部が設けられ、少なくとも複数の凹部を含む部分に膜部を備え、膜部が内部空間のガスを吸着する吸着層と、吸着層を覆うように設けられた被覆層と、を有するため、吸着層が複数の凹部に沿って形成される。そのため、平坦な部分に配置される場合に比べて吸着層の表面積を大きくすることができ、吸着層を配置するスペースを広げることができるため、より多くのガスを吸着することができる。また、被覆層により吸着層の表面が保護されるため、酸化等の変質を防ぐことができる。これにより、吸着層におけるガス吸着能力の低下を抑制すると共に、内部空間の真空度の低下を一層抑制することが可能となる。
第1実施形態に係るMEMSデバイスを示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿った断面図である。 (a)は蓋部の外部から基板側表面を透過して見た平面図、(b)は蓋部の一部の断面を示す図である。 MEMSデバイスの製造工程を示すフローチャートである。 MEMSデバイスの製造工程を示す図である。 図4に続き、MEMSデバイスの製造工程を示す図である。 図5に続き、MEMSデバイスの製造工程を示す図である。 (a)は第2実施形態に係るMEMSデバイスを示す断面図、(b)はMEMSデバイスの製造工程を示すフローチャートの一部である。 MEMSデバイスの製造工程を示す図である。 図8に続き、MEMSデバイスの製造工程を示す図である。 変形例に係るMEMSデバイスを示す平面図。 変形例に係るMEMSデバイスを示す断面図。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。また、図面においては一部分を大きくまたは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現している。以下の各図において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、MEMSデバイスの表面に平行な平面をXZ平面とする。このXZ平面においてMEMSデバイスの長手方向をX方向と表記し、X方向に直交する方向をZ方向と表記する。XZ平面に垂直な方向(MEMSデバイスの厚さ方向)はY方向と表記する。X方向、Y方向、及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向であり、矢印の方向とは反対の方向が−方向であるものとして説明する。
<第1実施形態>
(MEMSデバイス100の構成)
第1実施形態に係るMEMSデバイス100の構成について、図1を用いて説明する。なお、図1(a)は、蓋部を透過して示している。MEMSデバイス100は、MEMS技術により形成された振動子である。MEMSデバイス100は、図1に示すように、基板110と、素子部120と、一対の電極130、140と、接合部150と、蓋部160と、を有している。
基板110は、X軸方向に長辺、Z軸方向に短辺を有する矩形状かつ板状の部材である。基板110の厚さについては任意に設定される。基板110は、基材111と、絶縁層112と、窒化物層113とを有している。基材111は、例えば、シリコン(Si)などを用いて板状に形成される。絶縁層112は、基材111上に積層され、例えばシリコン酸化物などの絶縁材料を用いて形成される。窒化物層113は、絶縁層112上に積層され、例えばシリコン窒化物などから形成される。窒化物層113は、後述するように、素子部120や電極130、140、接合部150をエッチングによって形成する際のエッチングストッパとして設けられる。
基板110の表面(窒化物層113の表面)には、不図示の配線が設けられている。この配線は、後述する電極130、140と電気的に接続されており、この配線を介して外部から駆動電圧が電極130、140間に印加される。このような配線は、多結晶シリコン(Poly−Si)、タングステンシリサイド(WSix)、あるいはコバルトシリサイド(CoSix)などによって形成される。
素子部120は、所定の周波数で振動する共振器である。素子部120は、例えば多結晶シリコンから形成されている。素子部120は、可動部121と固定部122とを有している。可動部121は、円板状の部材である。可動部121は、基板110に対して平行に、かつ後述する電極130、140及び接合部150との間に空隙部181が形成されるように配置して形成される。可動部121は、固定部122により後述する内部空間170において支持されている。
可動部121は、電極130、140に駆動電圧が印加されることにより、所定の周波数で振動する。振動モードとしては、例えば、コンターモードなどである。なお、可動部121は、円板形状に形成されることに限定されず、例えば、リング状、多角形状、長円形状、楕円形状、板状、音叉形状など、いずれであってもよい。
固定部122は、可動部121を基板110に支持するアンカー部材である。固定部122は、可動部121の中心部をY軸方向に貫通するように配置され、可動部121の中心部と接合されている。固定部122により、可動部121は、基板110の表面から離間して1点支持されている。固定部122は、可動部121の中心部分を支持している。この中心部分は周囲部分に比べて振動が少ないため、可動部121の振動に起因する支持強度の低下や、可動部121が支持されることによる可動部121の振動特性の悪化が抑制される。
固定部122は、上端部(+Y側の端部)に端面122aを有し、端面122aは、蓋部160に対向している。一方、固定部122の下端部(−Y側の端部)は基板110に接合されている。固定部122は、可動部121と同一材料から形成されており、例えば多結晶シリコンから形成される。なお、固定部122は、可動部121と異なる材料から形成されてもよい。また、固定部122は、上端部が蓋部160に接合されない構成であってもよい。また、固定部122は、可動部121に対して1つが設けられることに限定されず、可動部121の支持の安定化を図るために複数設けられてもよい。
固定部122は、可動部121の中央部分を支持することに限定されず、例えば、可動部121の外周から突出して形成される梁部分を支持するものでもよい。可動部121に梁部分が形成される場合、可動部121の一周にわたって等間隔に例えば4か所に梁部分が形成されてもよい。この場合、固定部122は、複数の梁部分のそれぞれを支持するように形成される。
なお、素子部120は、共振器であること限定されず、例えばSAW素子などであってもよい。素子部120がSAW素子の場合、例えば、可動部121の表面に一対の櫛歯状の電極が形成されて構成される。
電極130、140は、図1(a)及び(b)に示すように、基板110上に素子部120をX軸方向に挟むように形成されている。電極130、140には、素子部120を静電駆動させるための電圧が印加される。電極130は、空隙部181を介して素子部120の−X側に配置される。電極140は、空隙部181を介して素子部120の+X側に配置される。電極130、140は、上記したように基板110に形成された不図示の配線と電気的に接続されている。
図1(b)に示すように、電極130は、第1犠牲層131、第1構造層132及び第2構造層133を有している。電極130は、基板110上に、第1犠牲層131と第1構造層132とが順に積層され、これらを第2構造層133が囲んだ状態で形成されている。電極130の上部(+Y側)は、蓋部160の基板側表面160aに対向する端面133aを有している。同様に、電極140は、第1犠牲層141、第1構造層142及び第2構造層143を有している。電極140は、基板110上に、第1犠牲層141と第1構造層142とが順に積層され、これらを第2構造層143が囲んだ状態で形成されている。電極140の上部(+Y側の部分)は、蓋部160の基板側表面160aに対向する端面143aを有している。なお、電極130、140の一方または双方が、蓋部160と接合されない構成としてもよく、この場合、電極130、140の一方または双方の上部と蓋部160との間には隙間が形成される。
接合部150は、図1(a)に示すように、素子部120及び電極130、140を所定の間隔を空けて囲むように設けられている。この間隔は絶縁部182として機能する。絶縁部182は、接合部150と素子部120及び電極130、140との電気的な接続を絶つために設けられる。絶縁部182を形成する間隔の幅は、十分な絶縁性を確保するために例えば1μm以上に設定される。ただし、この間隔が広いと、接合部150の上面(接合面154a)が研磨された場合、XZ平面に対して傾斜する場合がある。従って、接合面154aの傾斜を防止するために、絶縁部182の間隔を3μm以下に設定してもよい。
接合部150の下部(−Y側の部分)は、基板110に接合されている。また、接合部150の上側(+Y側の部分)には、蓋部160と接合する接合面154aが設けられている。この接合面154aは、高さ(基板110からのY軸方向の距離)が、上記した端面122a、133a及び143aよりも高く形成されている。
接合部150は、図1(b)に示すように、基板110上に、第1犠牲層(犠牲層)151、第1構造層(構造層)152、第2犠牲層(犠牲層)153、第2構造層(構造層)154の順で積層された構成を有している。また、第1犠牲層151及び第2犠牲層153は、ともに、第1構造層152と第2構造層154とにより被覆された状態となっている。このように、接合部150は、第1及び第2構造層152、154と第1及び第2犠牲層151、153とから形成されている。よって、接合部150の強度は、これら第1構造層152等と第1犠牲層151等とが組み合わされて確保されている。
接合部150は、第1及び第2犠牲層151、153と第1及び第2構造層152、154とが積層されて配置されるので、成膜手法を用いて容易に形成される。なお、接合部150における第1及び第2犠牲層151、153と第1及び第2構造層152、154との配置については、第1及び第2犠牲層151、153が第1及び第2構造層152、154のいずれかにより被覆されていればよく、上記した構成に限定されない。
なお、接合部150のうち素子部120の−Z側及び+Z側では、第2構造層154に開口部154b及び154cが形成されている。開口部154b及び154cは、第2構造層154をY方向に貫通するように形成されている。開口部154b及び154cからは第1構造層152が露出している。また、素子部120及び電極130、140の−Z側及び+Z側には、素子部120及び電極130、140の輪郭に沿うように第2構造層154が壁状に形成される。
蓋部160は、X軸方向に長辺、Z軸方向に短辺を有し、基板110と同一の矩形形状を有する板状の部材である。蓋部160は、基板側表面160aが接合部150に接合される。これにより、素子部120及び電極130、140を含んだ内部空間170が形成される。内部空間170は、例えば真空雰囲気に設定されるが、これに代えて、例えばアルゴン(Ar)ガスなどの不活性ガス雰囲気に設定されてもよい。蓋部160は、接合面154aと接合する。蓋部160は、基板110と同様に、例えばシリコン基板が用いられる。なお、蓋部160の材質及び厚さは、基板110と同一に形成されるが、異なってもよい。
図2(a)は、蓋部160の+Y側から基板側表面160aを透過して見た平面図である。図1(b)及び図2(a)に示すように、蓋部160の基板側表面160aには、不図示の絶縁層が形成される。この基板側表面160aには、接合部150に接合する第1部分160bと、内部空間170に面した第2部分160cとが設けられる。
また、基板側表面160aには、内部空間用凹部160dが形成されている。内部空間用凹部160dは、素子部120に対向する部分に形成される。内部空間用凹部160dが設けられることにより、素子部120が配置される部分について内部空間170が拡張された構成となっている。内部空間用凹部160dの側部及び底部は、内部空間170に面している。内部空間用凹部160dは、図2(a)に示すように、平面視で例えば楕円形状に形成される。内部空間用凹部160dの平面視における形状は、楕円形に限定されるものではなく、円形や多角形など、他の形状であってもよい。また、内部空間用凹部160dは、設けられなくてもよい。
第1部分160bには、膜部161が形成される。また、第2部分160cには、複数の凹部160eが形成される。凹部160eは、例えば溝状に形成され、2μm〜5μm程度の深さに形成される。凹部160eは、Z方向に延びるように形成される。複数の凹部160eは、X方向に所定のピッチで並んで配置される。したがって、例えば図1(b)に示すように、基板側表面160aの第2部分160cは、凹凸状に形成される。また、X方向の中央部に配置される凹部160eは、内部空間用凹部160dのZ方向の両側に配置される。第2部分160cには、少なくともこの凹部160eを含む部分に膜部162が形成される。膜部162は、凹部160eを含む部分に設けられることにより、平坦な部分に設けられる場合に比べて、内部空間170に面する部分の表面積が大きくなっている。
図2(b)は、蓋部160の断面の一部を拡大して示す図である。図2(b)に示すように、膜部161は、吸着層161a及び被覆層161bを有する。また、膜部162は、吸着層162a及び被覆層162bを有する。
吸着層161a、162aは、基板側表面160a上に積層される。吸着層162aは、基板側表面160a上の凹凸に沿って形成される。吸着層161a、162aは、例えばチタンを用いて形成される。なお、吸着層161a、162aは、チタンを用いる構成に限定するものではなく、例えばジルコニウムが用いられてもよいし、またはチタンとジルコニウムとを含む合金が用いられてもよい。また、吸着層161a、162aとして、ニオブ、タンタル、バナジウム、ハフニウムなどが用いられてもよい。吸着層161a、162aは、5nm以上の厚さで形成され、例えば5nm〜100nm程度の厚さで形成される。より具体的には、吸着層161a、162aは、5nm〜100nm程度の厚さで形成される。
吸着層162aは、接合部150と蓋部160とを共晶接合する際に生じる熱により活性化し、内部空間170のガスを吸着する。このようなガスとしては、窒素ガスなどが挙げられる。この窒素ガスは、例えば基板110に形成される窒化物層113や他の部分から放出されたものである。吸着層162aが窒素ガスを吸着することにより、内部空間170の真空度の低下が抑制される。しかも、吸着層162aは、基板側表面160aの凹部160eを含む部分に形成されており、平坦な部分に設けられる場合に比べて表面積が大きいため、より多くの窒素ガスを吸着できる。なお、吸着層161aは、吸着層162aと同一層として形成されており、Y方向視における内周部分が内部空間170に面している。したがって、吸着層161aは、内部空間170のガスの一部が吸着可能となっている。
被覆層161b、162bは、吸着層161a、162a上に積層される。被覆層161b、162bは、例えば金を用いて形成される。なお、被覆層161b、162bは、白金を用いて形成されてもよい。被覆層161b、162bは、例えば蒸着法によって形成される。被覆層161b、162bは、例えば200nm以下の厚さで形成される。より具体的には、被覆層161b、162bを40nm程度に形成してもよい。
なお、吸着層161a、162aと被覆層161b、162bとの間に、吸着層161a、162aの構成材料(例えば、チタン)及び被覆層161b、162bの構成材料(例えば、金)の拡散等を防止するバリア層を設けてもよい。
また、可動部121及び第1構造層132、142、152は、同一の厚さ(Y軸方向の幅)かつ同一の材料で形成され、例えば、厚さ2μmの多結晶シリコン膜から形成される。この多結晶シリコンは、導電性を確保するためにリン(P)やボロン(B)などがドープされてもよい。なお、可動部121、第1構造層132、142、152の一部又は全ては、異なる厚さ又は材料から形成されてもよい。
第1犠牲層131、141及び第1犠牲層151は、同一の厚さ(Y軸方向の幅)かつ同一の材料で形成され、例えば、厚さ1μmのシリコン酸化膜(SiO)から形成される。なお、第1犠牲層131、141及び第1犠牲層151の一部又は全ては、異なる厚さ又は材料から形成されてもよい。また、第2犠牲層153は、図1(b)に示すように、表面(+Y側の面)に犠牲層が積層されてもよい。この犠牲層は、後述する第3犠牲層L4(図4(e)参照)であり、例えば、厚さ100nmのシリコン酸化膜により形成される。
固定部122及び第2構造層133、143、154は、同一の材料が用いられ、例えば、多結晶シリコン膜から形成される。この多結晶シリコンは、導電性を確保するためにリンやボロンなどがドープされてもよい。なお、第2構造層133、143は導電性を備える材料により形成されるが、固定部122、第2構造層154は、導電性を備えるかは任意である。また、第2構造層133、143、154の厚さは、例えば2μmである。なお、第2構造層133、143、154の厚さは、それぞれ異なってもよい。
このように、MEMSデバイス100によれば、蓋部160の基板側表面160aのうち内部空間170に面した部分に複数の凹部160eが設けられ、少なくとも複数の凹部160eを含む部分に膜部162を備え、膜部162が内部空間170のガスを吸着する吸着層162aと、吸着層162aを覆うように設けられた被覆層162bと、を有するため、吸着層162aが複数の凹部160eに沿って形成される。そのため、平坦な部分に配置される場合に比べて吸着層162aの表面積を大きくすることができ、吸着層162aがより多くのガスを吸着することができる。また、被覆層162bにより吸着層162aの表面が保護されるため、吸収層162aの酸化等の変質を防ぐことができる。これにより、吸着層162aにおけるガス吸着能力の低下を抑制すると共に、内部空間170の真空度の低下を一層抑制することが可能となる。
(MEMSデバイス100の製造方法)
次に、本実施形態のMEMSデバイス100のウェハ製造方法について、図3〜図6を用いて説明する。なお、以下の説明では、図3に示すフローチャートに沿いつつ、適宜図4〜図6を参酌している。また、図4〜図6は、ウェハに形成されるMEMSデバイスの1つについて、時系列に並べて示しており、図4〜図6に示す(a)〜(n)の各図は、図1のA−A線に沿った断面に相当する図である。
先ず、ベースウェハBW及びリッドウェハLWが用意される。ベースウェハBWは、図1に示す基板110に相当する。リッドウェハLWは、図1に示す蓋部160に相当する。ベースウェハBW及びリッドウェハLWは、例えばシリコンウェハが用いられ、シリコン結晶体から所定の厚さで切り出される。ベースウェハBW及びリッドウェハLWの表面は、鏡面状に研磨されて洗浄される。ベースウェハBWの表面には、絶縁層112及び窒化物層113が設けられ、窒化物層113上には不図示の配線が形成される。
次に、図3に示すように、第1積層工程が行われる(ステップS01)。第1積層工程では、図4(a)に示すように、ベースウェハBWの表面(+Y側の面)に第1犠牲層L1が積層される。第1犠牲層L1は、シリコン酸化膜が成膜されることにより形成される。第1犠牲層L1は、例えば、厚さ(Y軸方向の幅)が1μmに成膜される。
続いて、第2積層工程が行われる(ステップS02)。第2積層工程では、図4(b)に示すように、第1犠牲層L1の表面に第1構造層L2が積層される。第1構造層L2は、導電性を備えた多結晶シリコン膜が成膜されることにより形成される。第1構造層L2は、例えば、厚さが2μmに成膜される。また、第1構造層L2は、導電性を確保するために、リンやボロンなどがドープされてもよい。この場合、第1構造層L2は、第1犠牲層L1の表面が清浄化された後に形成されてもよい。
続いて、第3積層工程が行われる(ステップS03)。第3積層工程では、図4(c)に示すように、第1構造層L2の表面に第2犠牲層L3が積層される。第2犠牲層L3は、シリコン酸化膜が成膜されて形成される。第2犠牲層L3は、例えば、厚さが1μmに成膜される。
続いて、第1除去工程が行われる(ステップS04)。第1除去工程では、図4(d)に示すように、第1構造層L2及び第2犠牲層L3の一部が除去される。この第1除去工程は、例えばフォトリソグラフィ法及びエッチングにより行われ、先ず、第2犠牲層L3の表面に、レジストが塗布されてマスクを介した露光及び現像によりレジストパターン(図示せず)が形成される。次いで、第1構造層L2及び第2犠牲層L3の一部がレジストパターンを介してエッチングにより除去される。
これにより、後述する第3犠牲層L4及び第2構造層L5の形成スペースが設けられる。また、第1構造層L2が分割されて、可動部121と、電極130、140を構成する第1構造層132、142と、接合部150を構成する第1構造層152とが形成される。また、第2犠牲層L3が分割されて第2犠牲層153が形成される。
続いて、第4積層工程が行われる(ステップS05)。第4積層工程では、図4(e)に示すように、ベースウェハBWの+Y側の表面に第3犠牲層L4が積層される。第3犠牲層L4は、シリコン酸化膜が成膜されることにより形成される。第3犠牲層L4は、例えば、厚さが100nmに成膜される。
続いて、第2除去工程が行われる(ステップS06)。第2除去工程では、図4(f)に示すように、孔部H1〜H5が設けられる。孔部H1〜H5は、第1犠牲層L1の一部の領域を貫通してベースウェハBWの配線に到達し、かつY軸方向に沿って形成された孔である。第2除去工程は、例えばフォトリソグラフィ法及びエッチングにより行われ、先ず、第3犠牲層L4の表面に、レジストが塗布されてマスクを介した露光及び現像によりレジストパターン(図示せず)が形成される。次いで、第3犠牲層L4及び第1犠牲層L1の一部がレジストパターンを介してエッチングにより除去される。
これにより、電極130、140を構成する第1第1犠牲層131、141、及び接合部150を構成する第1犠牲層151が形成される。孔部H1〜H5は、後述する第2構造層L5を形成するためのスペースとなる。孔部H2、H3、H5は、第2構造層L5とベースウェハBW上の配線とを接合させるために設けられており、孔部H2、H3、H5に第2構造層L5が形成されることにより、配線と電極130、140との電気的接続が確保される。
また、後述の第2構造層L5が孔部H4に形成されることにより、固定部122の下端部は、ベースウェハBWに固定される。また、孔部H2では、第1犠牲層L1の一部L1aを除去せずに残存させている。これは、第1犠牲層L1の一部L1aの除去を最後に行うことによって絶縁部182(図1(b)参照)を形成するためである。また、孔部H3、H5では、可動部121の側部121aに第3犠牲層L4を残しており、さらに、第1犠牲層L1の一部L1bを除去せずに残存させている。その後、例えば希フッ酸(DHF)を用いた洗浄により、孔部H1等の底部の自然酸化膜が除去される。
続いて、第5積層工程が行われる(ステップS07)。第5積層工程では、図5(g)に示すように、第3犠牲層L4の表面に第2構造層L5が積層される。第2構造層L5は、導電性を備えた多結晶シリコン膜が成膜されることにより形成される。これにより孔部H1〜H5は第2構造層L5により充填され、かつ第3犠牲層L4の表面に、例えば厚さが2μmに積層される。第2構造層L5は、導電性を確保するために、リンやボロンなどがドープされてもよい。この場合、第2構造層L5は、例えば15nm程度のエッチングにより、第3犠牲層L4の表面が清浄化された後に、形成されてもよい。
続いて、第1平坦化工程が行われる(ステップS08)。第1平坦化工程では、第2構造層L5の表面が平坦化される。平坦化には、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)が用いられ、例えば、Ra(算術平均粗さ)が1nm以下に設定される。上記したように、孔部H1〜H5は第2構造層L5により充填されているため、第2構造層L5の表面は、平坦化加工前において、孔や段差などを有しない状態となっている。そのため、平坦化加工を容易に行うことができる。
続いて、第3除去工程が行われる(ステップS09)。第3除去工程では、図5(h)に示すように、第2構造層L5の一部が除去される。第3除去工程により、第2構造層L5における電極130、140、固定部122、及び接合部150を形成する部分が残され、第2構造層L5におけるその他の部分が除去される。第3除去工程は、例えばフォトリソグラフィ法及びエッチングにより行われる。これにより、可動部121の上側(+Y側)の第2構造層L5が除去され、端面122aが形成される。また、第2構造層133、143と第2構造層154とが形成され、電極130、140と接合部150とが形成される。また、リッドウェハLWと対向する端面133a、143aと、リッドウェハLWに接合される接合面154aとが形成される。また、開口部133b、143b及び開口部154b、154cが形成される。
続いて、第4除去工程が行われる(ステップS10)。第4除去工程では、図5(i)に示すように、第1、第2、及び第3犠牲層L1、L3、L4の一部が除去される。第4除去工程は、例えばフッ酸(HF)を用いたウエットエッチングにより行われる。これにより、可動部121の上側(+Y側)及び下側(−Y側)の第1犠牲層L1が除去される。また、可動部121の側部121aの第3犠牲層L4が除去されて、空隙部181が形成される。
また、電極130、140と接合部150との間の第1犠牲層L1が除去されて、絶縁部182(間隔)が形成される。但し、接合部150における第1及び第2犠牲層151、152は、第1及び第2構造層152、154により被覆された部分については、第1及び第2犠牲層151、153へのエッチャントの侵入が防止される。これにより、第1及び第2犠牲層151、153はエッチングされずに残存する。そのため、接合部150は、第1及び第2構造層152、154と第1及び第2犠牲層151、153とから形成される。また、接合部150における第2犠牲層L3及び第3犠牲層L4のうち開口部154b、154cに露出している部分については、エッチングによって除去される。これにより、開口部154b、154cに第2構造層152の表面が露出する。
また、電極130、140を構成する第1犠牲層131、141については、第1構造層132、142及び第2構造層133、143により被覆された状態となっているため、除去されずに残存する。また、第1構造層132、142上の第2犠牲層L3及び第3犠牲層L4は、開口部133b、143bによって露出されているため、エッチングによって除去される。これにより、開口部133b、143bに第2構造層133、143が露出する。
エッチング後の表面は、例えばIPA置換されて、乾燥される。このステップS10までの、構造層(第1構造層152等)及び犠牲層(第1犠牲層151等)の一部または全部を除去して素子部120及び接合部150を形成する工程は、構造体形成工程である。その後、減圧下でベースウェハBWを370℃〜800℃程度の温度に加熱し、デガス処理が行われる。このデガス処理により、大気中で吸着した水分や窒素ガス等がベースウェハBWから除去される。
一方、リッドウェハLWに対しては、図3に示すように、まず凹部形成工程が行われる(ステップS11)。凹部形成工程は、リッドウェハLWにアライメントマーク(露光用の基準位置)を形成する工程と同時に行われる。図6(j)に示すように、リッドウェハLWの表面(−Y側の面)にフォトリソグラフィ法及びドライエッチングにより、深さ2μm〜5μm程度の凹部160eとアライメントマーク(不図示)とが同時に形成される。このように、凹部形成工程は既存の工程と同時に行われるため、別途工程を設けることなく凹部160eが形成される。
次に、膜部形成工程が行われる(ステップS12)。膜部形成工程では、図6(k)に示すように、リッドウェハLWの表面にスパッタリング法または蒸着法によってチタン薄膜を5nm〜100nm程度に形成し、更にこのチタン薄膜上にスパッタリング法または蒸着法によって金薄膜を20nm〜200nm程度に形成することにより、積層金属膜L6が形成される。
次に、パターニング工程が行われる(ステップS13)。パターニング工程では、図6(l)に示すように、積層金属膜L6がパターニングされる。パターニング工程は、例えばフォトリソグラフィ法及びエッチングにより行われる。先ず、積層金属膜L6の表面にレジストが塗布され、マスクを介した露光及び現像によりレジストパターン(図示せず)が形成される。次に、積層金属膜L6の一部がレジストパターンを介してエッチングにより除去される。これにより、膜部161及び162が形成される。なお、積層金属膜L6のうちチタン薄膜の層が吸着層161a、162aとして形成され、金薄膜の層が被覆層161b、162bとして形成される。その後、膜部161、162を含むリッドウェハLWの表面に対して、アッシング処理を行い、残ったレジストを除去する。このとき、吸着層161a、162aのチタンが露出していると表面が酸化してしまい、ガスの吸着性が低下してしまう。これに対して、本実施形態では吸着層161a、162aが被覆層161b、162bによって覆われるため、吸着層161a、162aの表面が保護され、酸化を防ぐことができるため、ガス吸着能力の低下が抑制される。
次に、内部空間用凹部形成工程が行われる(ステップS14)。内部空間用凹部形成工程では、リッドウェハLWの表面(−Y側)側にドライエッチングを行うことにより、絶縁層L6及びリッドウェハLWの一部が除去され、図6(m)に示すように、内部空間用凹部160dが形成される。なお、内部空間用凹部形成工程は、凹部形成工程の後、膜部形成工程の前に行ってもよい。この場合、内部空間用凹部160dが形成された状態で積層金属膜L6が形成され、この積層金属膜L6のパターニングが行われる。したがって、内部空間用凹部160dの内部にも積層金属膜L6(ひいては膜部162)を形成することができる。
その後、リッドウェハLWに対してデガス処理が行われる。このデガス処理により、大気中で吸着した水分がリッドウェハLWから除去される。
続いて、接合工程が行われる(ステップS15)。接合工程では、図6(n)に示すように、接合面154aとリッドウェハLWとが接合される。接合は、例えば共晶接合法により行われる。先ず、真空雰囲気下においてベースウェハBW及びリッドウェハLWを、金−シリコンの共晶温度である363℃以上の温度、例えば390℃程度の温度で熱処理する。この熱処理により、膜部161の被覆層161b(金)と接合面154a(シリコン)とが共晶接合される。また、この熱処理によって吸着層162aが活性化され、窒素ガスなど内部空間170内のガスが被覆層161bを通過して吸着層162aに吸着される。あるいは、この熱処理により、吸着層162aの一部のチタン原子が被覆層162b側に拡散して被覆層162bの表面に出現し、窒素ガスなど内部空間170内のガスを吸着する。そのため、内部空間170の真空度が向上する。
続いて、接合されたウェハは、ベースウェハBWあるいはリッドウェハLW上に予め設定されたスクライブライン(図示せず)に沿って切断されることにより個別化され、MEMSデバイス100が完成する(切断工程、ステップS12)。
以上のように、MEMSデバイス100の製造方法によれば、蓋部160の基板側表面160aに、複数の凹部160eを形成する凹部形成工程と、蓋部160の基板側表面160aのうち、少なくとも複数の凹部160eを含む部分に、内部空間170のガスを吸着する吸着層162aと、この吸着層162aを覆う被覆層162bとを備える膜部162を形成する膜部形成工程と、膜部162のうち被覆層に接合部を接合する接合工程と、を含んでおり、複数の凹部160eを含む部分に膜部162とを効率的に形成できるため、MEMSデバイス100を低コストで製造することができる。また、凹部形成工程が上記のようにアライメントマークの形成と同一行程で行われるため、工程数が増加することなく凹部160eを形成することができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係るMEMSデバイス200について、図7(a)を用いて説明する。以下の説明において、第1実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。MEMSデバイス200は、第1実施形態のMEMSデバイス100と同様に、MEMS技術により形成された振動子である。MEMSデバイス200は、図7(a)に示すように、基板110と、素子部120と、一対の電極230、240と、接合部150と、蓋部260とを有しており、蓋部260には膜部161、262と、貫通電極201、202と、が形成されている。
貫通電極201、202は、例えば金、銅又は多結晶シリコン等によって形成され、蓋部260を貫通して設けられる。蓋部260の外側表面260eには、外部電極203、204が形成されている。貫通電極201、202の上端は、外部電極203、204に接続されている。MEMSデバイス200では、外部電極203、204を介して外部に接続されるようになっている。
貫通電極201、202は、基板側の端面201a、202aが蓋部260の内側に配置される。したがって、蓋部260の基板側表面260aは、端面201a、202aにおいて凹んだ状態となっている。膜部262は、基板側表面260aのうち貫通電極201、202を含む部分に形成される。膜部262は、端面201a、202aを含んで形成される。貫通電極201、202は、端面201a、202aにおいて膜部262に接続される。
また、電極230、240は、第1犠牲層131、141上に第1構造層132、142が積層され、更に第1構造層132、142上に第2犠牲層233、243が積層されており、これら第1犠牲層131、141、第1構造層132、142、及び第2犠牲層233、243の積層体が第2構造層234、244によって覆われた構成となっている。また、第2構造層234、244の+Y側の端面234a、244aは、膜部262の被覆層262bとの間で共晶接合されている。したがって、上記貫通電極201、202は、膜部262を介して電極230、240(第2構造層234、244)に電気的に接続される。
なお、膜部262は、基板側表面260aと端面201a、202aとで形成される段差に沿って形成される。このため、膜部262が電極230、240に接続された状態において、端面201a、202a上に形成される膜部262と電極230、240との間には空間が形成される。
次に、上記のように構成されたMEMSデバイス200の製造方法を説明する。本実施形態では、蓋部260の製造工程及び接合後の製造工程について、図7(b)及び図8〜図9を参照して説明する。図7(b)は、MEMSデバイス200の製造工程を示すフローチャートであり、ベースウェハBW側の製造工程を省略して示している。
まず、第1実施形態のステップS11と同様の手順により、凹部形成工程が行われる(ステップS21)。凹部形成工程では、リッドウェハLWの表面(−Y側の面)に凹部160eが形成される。
次に、貫通電極形成工程が行われる(ステップS22)。貫通電極形成工程では、まず、図8(a)に示すように、凹部160eの内部を含むリッドウェハLWの表面にレジスト膜Rが形成される。そして、貫通電極201、202を形成する位置に開口部Raが形成される。次に、図8(b)に示すように、ドライエッチング法により、深さ50μm〜100μm程度の孔部160fが形成される。
そして、不図示の絶縁層及びめっき用のシード層が成膜された後、図8(c)に示すように、例えばめっき処理により、銅などの金属で構成される電極層160gが孔部160fの内部に充填される。なお、この処理では、凹部160eの内部にも電極層の一部が形成される。そこで、図8(d)に示すように、ウエットエッチング法により、リッドウェハLWの表面全体が処理され、凹部160eの内部の電極層が除去される。この処理では、電極層160gの端面(−Y側の面)についても除去される。そのため、電極層160gの端面はリッドウェハLWの表面に対して内側に形成される。このようにして形成された電極層160gは、貫通電極201、202に相当する。
次に、膜部形成工程が行われる(ステップS23)。接続電極形成工程では、図8(e)に示すように、リッドウェハLW上にスパッタリング法または蒸着法によってチタン薄膜が5nm〜100nm程度に形成され、更にこのチタン薄膜上にスパッタリング法または蒸着法によって金薄膜が20nm〜200nm程度に形成されることで、積層金属膜L6が形成される。次に、積層金属膜L6のパターニングが行われる(ステップS24)。積層金属膜L6のパターニングは、例えばフォトリソグラフィ法及びエッチングにより行われる。先ず、積層金属膜L6の表面にレジストが塗布され、マスクを介した露光及び現像によりレジストパターン(図示せず)が形成される。次に、積層金属膜L6の一部がレジストパターンを介してエッチングにより除去される。これにより、図8(f)に示すように、凹部160eが設けられた部分に膜部262が配置されると共に、電極層160gの端面上に膜部262が形成される。これにより、電極層160gと膜部262とが接続される。その後、内部空間用凹部形成工程が行われる(ステップS25)。内部空間用凹部形成工程では、リッドウェハLWの表面(−Y側)側にドライエッチングを行うことにより、図8(g)に示すように、内部空間用凹部160dが形成される。
続いて、接合工程が行われる。接合工程では、図9(h)に示すように、端面233a、243a、154aとリッドウェハLWとが接合される。これにより、膜部262が電極230、240に電気的に接続されると共に、素子部120及び電極230、240を含んだ内部空間170が形成される。また、この熱処理により電極層160gが熱膨張し、−Y側(内部空間170側)に突出するが、電極層160gの端面がリッドウェハLWの内側に配置されるため、この部分に形成される膜部262と第2構造層234、244との間に隙間が形成される。このため、電極層160gの端面上の膜部262が第2構造層234、244に接合されるのを防ぐことができる。
次に、貫通電極露出工程が行われる。貫通電極露出工程では、バックグラインドによってリッドウェハLWの外部側表面が研削され、電極層160gの+Y側の端面が露出する。これにより、図9(i)に示すように、電極層160gが貫通電極201、202として形成される。なお、貫通電極露出工程は、上記の貫通電極形成工程に含めることができる。
次に、外部電極形成工程が行われる。外部電極形成工程では、まず図9(j)に示すように、例えばスパッタリング法または蒸着法によって電極層L7が形成される。その後、図9(k)に示すように、例えばフォトリソグラフィ法及びエッチングによって電極層L7がパターニングされ、貫通電極201、202に平面視で重なる領域に外部電極203、204が形成される。これにより、貫通電極201、202と外部電極203、204とが電気的に接続される。
続いて、接合された状態のベースウェハBWあるいはリッドウェハLW上に予め設定されたスクライブライン(図示せず)に沿って切断されることにより個別化され、MEMSデバイス200が完成する。
上記構成において、貫通電極201、202の端面201a、202aが基板側表面260aと面一状態に形成されると、MEMSデバイス200の製造においてウェハ同士を接合して加熱処理を行う際に、リッドウェハLWに形成される貫通電極201、202が熱膨張して内部空間170側に突出し、この状態でベースウェハBW側の電極230、240に接触して接合されることがある。この場合、各ウェハが常温に戻る際に貫通電極201、202が収縮し、内部空間170側に突出していた部分がリッドウェハLW内に引っ込むことにより、電極230、240がリッドウェハLW側に引っ張られ、変形したり破損したりするといった不具合が生じるおそれがある。
一方、本実施形態では、端面201a、202a上に形成される膜部262と電極230、240との間に空間が形成されるため、貫通電極201、202が熱膨張によって内部空間170側に突出した場合であっても、貫通電極201、202と電極230、240との接触を回避することができる。これにより、貫通電極201、202の熱膨張及び収縮による影響を防ぐことができるため、基板110側の変形や破損を防ぐことが可能となる。
以上、実施形態について説明したが、本発明は、上記した説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、上記した各実施形態においては、MEMSデバイスとして振動子を例にとって説明しているが、これに限定されず、例えば、発信器、SAWデバイス、あるいは加速度センサ等の各種センサなどであってもよい。
また、上記のMEMSデバイスでは、凹部160eが溝状に形成された構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。例えば、図10(a)に示すように、正方形状の凹部160hを有する構成であってもよい。また、図10(b)に示すように、六角形状の凹部160iを有する構成であってもよい。なお、凹部160h、160iは、図10(a)及び(b)に示すような最密構造に配置された構成に限定されず、他の配置であってもよい。また、正方形及び六角形以外の他の多角形(例、三角形など)であってもよいし、円形、楕円形などであってもよい。また、複数の凹部として、異なる形状の凹部が含まれてもよい。また、不規則な形状の粗面であってもよい。
また、上記のMEMSデバイスでは、蓋部の第1部分に形成される膜部と、第2部分に形成される膜部とが別個に設けられた構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。
図11は、変形例に係るMEMSデバイス100Aの一例を示す断面図である。例えば図11に示すMEMSデバイス100Aのように、蓋部160Aの基板側表面160Aaの全面に膜部163が形成されてもよい。膜部163は、吸着層163a及び被覆層163bを有している。吸着層163a及び被覆層163bの材質、層厚などの構成は、上記第1実施形態の吸着層161a、162a及び被覆層161b、162bの構成と同様である。この場合、図11に示すように内部空間用凹部160dの側部及び底部を含む領域にも膜部163が形成されてもよい。また、基板側表面160Aaの全面に膜部163が形成される場合、電極130、140と膜部163とが接触しないように、第2構造層133、143と膜部163との間に間隔を設けるようにする。そして、電極130、140に接続される配線を基板110側に形成し、基板110側から外部に接続する構成とすればよい。
また、上記のMEMSデバイスでは、蓋部(ベースウェハBW)と接合部(リッドウェハLW)とが共晶接合によって接合される構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。例えば、接合部の接合面に金属薄膜を形成しておき、蓋部と接合部とを金属接合によって接合してもよい。
また、上記のMEMSデバイスは、可動部121をX方向に挟む位置に2つの電極(例えば、電極130、140など)が配置される構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。例えば、上記の2つの電極に加えて、可動部121をZ方向に挟む位置に2つの電極が追加された構成としてもよい。この場合、4つの電極が設けられた構成となり、例えば可動部121の振動モードがワイングラスモードとなる。
また、上記したMEMSデバイスの製造方法においては、ベースウェハBWにリッドウェハLWを接合した後に切断して個別化したMEMSデバイスが製造されているが、これに限定されない。例えば、予めベースウェハBWを個別化して基板110を形成し、次いで、この基板110上において、MEMS技術により素子部120や接合部150を形成させ、その後、予めリッドウェハLWを個別化して形成された蓋部を接合させてもよい。
L7…積層金属膜
100、100A、200…MEMSデバイス
110…基板
113…窒化物層
120…素子部
121…可動部
130、140…電極
150…接合部
131、141、151、L1…第1犠牲層
132、142、152、L2…第1構造層
153、233、L3…第2犠牲層
133、143、154、234、L5…第2構造層
154a…接合面
160、260、360…蓋部
160a、160Aa、260a…基板側表面
160b…第1部分
160c…第2部分
160d…内部空間用凹部
160e、160h、160i…凹部
161、162、262…膜部
161a、162a、261a、262a…吸着層
161b、162b、261b、262b…被覆層
170…内部空間
201、202…貫通電極
201a、202a…端面

Claims (10)

  1. 基板と、前記基板上に設けられかつ可動部を有する素子部と、前記基板上に設けられて前記素子部を囲む接合部と、基板側表面の一部が前記接合部に接合されて前記素子部を含んだ内部空間を形成する蓋部と、を有するMEMSデバイスであって、
    前記蓋部は、前記基板側表面のうち前記内部空間に面した部分に複数の凹部を有し、
    前記基板側表面のうち、少なくとも前記複数の凹部を含む部分に膜部を備え、
    前記膜部は、前記蓋部上に設けられて前記内部空間のガスを吸着する吸着層と、前記吸着層を覆うように設けられた被覆層と、を有するMEMSデバイス。
  2. 前記凹部は、溝状または平面視において多角形状に形成される請求項1記載のMEMSデバイス。
  3. 前記蓋部は、前記素子部に対向する部分に内部空間用凹部を備える請求項1または請求項2記載のMEMSデバイス。
  4. 前記膜部は、前記基板側表面の全面に形成される請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のMEMSデバイス。
  5. 前記接合部に接合する部分に前記蓋部を貫通する貫通電極を有し、
    前記膜部は、前記基板側表面のうち前記貫通電極を含む部分に形成され、
    前記貫通電極は、前記膜部を介して前記接合部と電気的に接続される請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のMEMSデバイス。
  6. 前記貫通電極は、前記基板側の端面が前記蓋部の内側に配置され、
    前記膜部は、前記端面を含んで形成される請求項5記載のMEMSデバイス。
  7. 基板と、前記基板上に設けられかつ可動部を有する素子部と、前記基板上に設けられて前記素子部を囲む接合部と、基板側表面の一部が前記接合部に接合されて前記素子部を含んだ内部空間を形成する蓋部と、を有するMEMSデバイスの製造方法であって、
    前記基板上に、多結晶シリコンから形成された構造層と、シリコン酸化膜から形成された犠牲層と、を積層する積層工程と、
    前記構造層及び前記犠牲層の一部または全部を除去して前記素子部及び前記接合部を形成する構造体形成工程と、
    前記蓋部の前記基板側表面に、複数の凹部を形成する凹部形成工程と、
    前記蓋部の前記基板側表面のうち、少なくとも前記複数の凹部を含む部分に、前記内部空間のガスを吸着する吸着層と、前記吸着層を覆う被覆層とを備える膜部を形成する膜部形成工程と、
    前記膜部のうち前記被覆層に前記接合部を接合する接合工程と、を含むMEMSデバイスの製造方法。
  8. 前記膜部形成工程に先立って、前記蓋部を貫通する貫通電極を形成する貫通電極形成工程を含み、
    前記膜部形成工程は、前記貫通電極を含む部分に前記膜部を形成する請求項7記載のMEMSデバイスの製造方法。
  9. 前記貫通電極形成工程は、前記蓋部の前記基板側表面から反対側の面に向けて非貫通状態の孔部を形成し、メッキ法により前記孔部に電極材料を充填し、前記蓋部のうち前記基板側表面と反対側の表面を研磨して前記電極材料を露出させることにより行う請求項8記載のMEMSデバイスの製造方法。
  10. 前記貫通電極形成工程の後、前記膜部形成工程に先立って、前記貫通電極のうち前記基板側の一部を除去する工程を含む請求項8または請求項9記載のMEMSデバイスの製造方法。
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JP2022503766A (ja) * 2018-12-25 2022-01-12 中芯集成電路(寧波)有限公司 パッケージング方法及びパッケージング構造

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