JP6111966B2 - 振動子の製造方法 - Google Patents
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Description
本適用例に係る振動子の製造方法は、振動部と、前記振動部に接続された振動結合部と、前記振動結合部に接続された支持部とを有する振動子の製造方法であって、基板の一方の主面上に第1層を形成する第1層形成工程と、前記第1層に重ねて第2層を積層する第2層形成工程と、前記基板の一方の主面側から前記基板を平面視したときに、前記第1層および前記第2層に重なる領域において、前記第2層に積層するように、電極と圧電体層とを備える駆動部を形成する駆動部形成工程と、前記第2層をパターニングして、前記駆動部が積層された振動部を形成し、前記第1層の一部を露出させる振動部形成工程と、前記第1層のうち、前記基板の前記一方の主面側から前記基板を平面視したときに、前記パターニングにより前記第2層が除去された部分と、前記振動部および前記振動結合部に重なる部分とを除去する空隙形成工程と、を含むことを特徴とする。
なお、パターニングとは、半導体製造工程で一般に使われるフォトリソグラフィ技術などを用いてパターンを形成することをいう。
上記適用例に係る振動子の製造方法において、前記第1層をパターニングして、空隙形成部を形成する空隙形成部形成工程を含み、前記第2層形成工程では、少なくとも前記空隙形成部の一部を覆うように前記第2層を積層し、前記駆動部形成工程では、前記基板の一方の主面側から前記基板を平面視したときに、前記空隙形成部および前記第2層に重なる領域において、前記第2層に積層するように、前記駆動部を形成し、前記振動部形成工程では、前記第2層をパターニングして、前記振動部を形成し、前記空隙形成部の一部を露出させ、前記空隙形成工程では、前記空隙形成部を除去する、ことを特徴とする。
適用例1に係る振動子の製造方法において、前記空隙形成工程は、前記基板の前記一方の主面側から前記基板を平面視したときに、前記空隙形成工程で除去する前記第1層の領域に重なる前記基板の一部を除去する基板空隙部形成工程を含むことを特徴とする。
適用例2に係る振動子の製造方法において、前記空隙形成工程は、前記基板の前記一方の主面側から前記基板を平面視したときに、前記空隙形成工程で除去する前記空隙形成部の領域に重なる前記基板の一部を除去する基板空隙部形成工程を含むことを特徴とする。
適用例3に係る振動子の製造方法において、前記基板空隙部形成工程は、前記振動部形成工程の後に、露出した前記第1層、前記第2層、および前記振動部を覆うように第3層を積層する第3層形成工程と、前記振動部形成工程で露出した前記第1層および前記第3層をパターニングして、前記基板の前記一方の主面側から前記基板を平面視したときに、前記振動部形成工程で露出した前記第1層の領域に重なる領域の一部に、前記基板主面の一部が露出する開口部を形成する開口部形成工程と、前記開口部を介して前記基板の一部を除去する基板掘り下げ工程と、を含むことを特徴とする。
適用例4に係る振動子の製造方法において、前記基板空隙部形成工程は、前記振動部形成工程の後に、露出した前記空隙形成部、前記第2層、および前記振動部を覆うように第3層を積層する第3層形成工程と、前記振動部形成工程で露出した前記空隙形成部および前記第3層をパターニングして、前記基板の前記一方の主面側から前記基板を平面視したときに、前記振動部形成工程で露出した前記空隙形成部の領域に重なる領域の一部に、前記基板主面の一部が露出する開口部を形成する開口部形成工程と、前記開口部を介して前記基板の一部を除去する基板掘り下げ工程と、を含むことを特徴とする。
上記適用例に係る振動子の製造方法において、前記第1層が酸化物層であり、前記第2層が半導体層であることを特徴とする。
上記適用例に係る振動子の製造方法において、前記電極は、少なくとも第1電極と第2電極とを含み、前記圧電体層が、前記第1電極と前記第2電極との間に挟まれていることを特徴とする。
上記適用例に係る振動子の製造方法において、前記第2層と前記電極との間に絶縁層を備えていることを特徴とする。
上記適用例に係る振動子の製造方法において、前記圧電体層が、前記第2層と前記電極との間に挟まれていることを特徴とする。
まず、実施形態1に係る振動子100について説明する。
図1(a)は、振動子100を模式的に示す平面図、図1(b)は、図1(a)のA−A断面概略図、図1(c)は、図1(a)のB−B断面概略図である。
振動子100は、基板の一方の主面上に積層された犠牲層がエッチングされることにより基板から遊離して形成される振動部が備えられた片持ち梁タイプのMEMS振動子である。
なお、犠牲層とは、酸化膜などで一旦形成される層であり、その上下や周囲に必要な層を形成した後にエッチングにより除去される。犠牲層が除去されることによって、上下や周囲の各層間に必要な間隙や空洞が形成されたり、必要な構造体が遊離して形成されたりする。
なお、ここでは、基板1の厚み方向において、基板1の主面に順に酸化膜2、窒化膜3、第1層(支持層4)、第2層(半導体層5)が積層される方向を上方向として説明している。
第1層(支持層4)は、10〜20μmの厚さのシリコン酸化膜で構成される。積層された第1層(支持層4)は、振動子100の製造工程において一部が犠牲層として除去され、振動部10および振動結合部20を基板1から遊離させる。
第2層(半導体層5)は、2〜10μmの厚さのポリシリコンを用いているが、これに限定するものではなく、半導体回路で用いられるその他の半導体層を用いることができる。なお、振動体としての必要な剛性(スティフネス)が備えられた半導体層である必要がある。
また、基板1や第2層(半導体層5)には、振動子100の周縁部や隣接する領域において各種の半導体回路を作り込むことができるため、振動子100と半導体集積回路とを一体化して構成することができる。
振動結合部20は、例えば矩形状の板状体であり、一方の辺が枠状の支持部30の内側一辺に連続して支持されている。支持部30が下層を第1層(支持層4)に支えられているのに対し、振動結合部20は、空隙部9を介して基板1から遊離している。振動結合部20の一方の辺に対向する他方の辺には、3つの振動部10が平行して延出している。
振動部10は、片持ち梁であり、一方の端が振動結合部20に支持されている。つまり、振動部10は、基板1との間に空隙(空隙部9)を有するように形成されている。振動部10の平面形状は、例えば長方形であり、長手方向の長さL1は例えば300μmであり、短手方向の幅Wは例えば3μmであるが、形状および大きさはこれに限定されない。
なお、図1(a)に示す例では、3つの振動部10が振動結合部20から平行して延出しているが、振動部10の数は3つに限定するものではなく、3つ以上であっても良い。
駆動部40は、振動部10が振動結合部20に支持される端部(根元の部分)から振動部10が延出する方向の略中央部分まで長手方向に沿って形成されている。
駆動部40は、第1電極としての電極21a、第2電極としての電極21b、圧電体層22などから構成されており、振動部10との間に絶縁層23を備えている。圧電体層22は、電極21aと電極21bとの間に挟まれており、電極21aと電極21bから圧電体層22に駆動電界(交流電界)が印加されることによって変形し、振動部10を基板1の厚み方向に振動させる。なお、駆動電界を印加する駆動回路および配線(図示省略)は、振動部10を振動させるモード(複数の振動部10の位相関係など)に対応して適宜構成することができる。
絶縁層23は、好適例として、例えば、酸化シリコン(SiO2)層、窒化シリコン(Si3N4)層などの絶縁層で構成することができる。また、絶縁層23は、2層以上の複合層で構成されていても良い。絶縁層23の厚さは、例えば0.1μmである。
電極21a,21bには、好適例として窒化チタン(TiN)を用いているがこれに限定するものではない。電極21a,21bの厚さは、充分に低い電気抵抗値が得られる厚さであれば良く、例えば10nm〜1μmとすることができる。
ニオブ酸チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti,Nb)O3:PZTN)、酸化亜鉛
(ZnO)などの圧電材料であっても良い。圧電体層22の厚さは、例えば0.1μm〜1μmとすることができる。
なお、図示の例では、駆動部40において、電極21a,21bの間には圧電体層22のみが存在するが、電極21a,21bの間に圧電体層22以外の層を有していても良い。圧電体層22の膜厚は、振動部10の共振条件に応じて適宜変更することができる。
振動部10は、その先端部10aの振幅(変位量)が最大となるように基板1の厚み方向に振動する。それぞれの振動が相殺されるように、中央の1つの振動部10と残り2つの振動部10とを逆位相で振動させた場合に、振動結合部20の端部20aから支持部30の方向に近づくに従い、振動結合部20の変位量が少なくなる。発明者のシミュレーション評価によると、振動結合部20において、殆んど変位が存在しなくなる部位(仮想面P)は、端部20aからの距離をdとすると、d=L1/15の位置にあることが判かっている。すなわち、振動結合部20の長さL2は、振動部10の長さL1に対し、L1/15以上であれば、振動部10の振動が振動結合部20内で減衰され、殆んど支持部30まで伝播せず、振動もれを抑制することができる。
このように、振動結合部20の長さL2は、振動部10の延在方向の長さL1に対して、L1/15≦L2≦L1の範囲内であれば良く、振動部10の加工精度に比較して、広い許容範囲の寸法精度で加工することが可能である。
振動子100の製造方法は、基板1の一方の主面上に第1層としての支持層4を形成する第1層形成工程と、第1層(支持層4)に重ねて第2層としての半導体層5を積層する第2層形成工程と、基板1の一方の主面側から基板1を平面視したときに、第1層(支持層4)および第2層(半導体層5)に重なる領域において、第2層(半導体層5)に積層するように、駆動部40を形成する駆動部形成工程と、第2層(半導体層5)をパターニングして、駆動部40が積層された振動部10を形成し、第1層(支持層4)の一部を露出させる振動部形成工程と、第1層(支持層4)のうち、基板1を平面視したときに、パターニングにより第2層(半導体層5)が除去された部分と振動部10および振動結合部20に重なる部分とを除去する空隙形成工程とを含む。
以下、図を参照して具体的に説明する。
図3(a):まず、基板1を準備し、基板1の主面(図において上方)に酸化膜2を形成する。酸化膜2は、好適例として、半導体プロセスの素子分離層として一般的なLOCOS(Local Oxidation of Silicon)酸化膜で形成しているが、半導体プロセスの世代によって、例えば、STI(Shallow Trench Isolation)法による酸化膜であっても良い。
次に窒化膜3を積層する。窒化膜3は、犠牲層をエッチングするエッチング液(例えばバッファードフッ酸)に対して耐性があり、エッチングストッパーとして機能する。
図3(c):次に、第2層形成工程として、第1層(支持層4)に重ねて第2層としての半導体層5を積層する。第2層(半導体層5)には必要に応じ(半導体回路を同時に作り込む場合)、積層後にイオン注入をして所定の導電性を持たせる。
図3(d):具体的には、まず、第2層(半導体層5)に積層するように、駆動部40を構成する各層(絶縁層23、電極21aを構成する導電層、圧電体層22、電極21bを構成する導電層)を順次形成する。絶縁層23は、熱酸化法、CVD法、スパッタリング法などにより積層して形成する。電極21aは、絶縁層23の上に、蒸着法、スパッタリング法などを用いて形成することができる。圧電体層22は、蒸着法、スパッタリング法、レーザーアブレーション法、CVD法などの種々の方法で形成することができる。電極21bは、圧電体層22の上に、蒸着法、スパッタリング法などを用いて形成することができる。
図3(e):各層をパターニングすることにより、駆動部40を形成する。
なお、駆動部40を形成するための各層のパターニングは、上記のように各層を積層させた後に合わせてパターニングを行なっても良いが、各層の形成に引き続いて個別に行なっても良い。
なお、ウェットエッチングには、エッチング液として、例えば、フッ化水素酸などを用いることができる。
基板1の一方の主面上に形成された第1層(支持層4)に重ねて積層された第2層(半導体層5)をパターニングすることで振動子100の平面形状が作られる。振動子100は、駆動部40が積層された振動部10と、振動部10に接続された振動結合部20と、振動結合部20に接続された支持部30とを含み構成される。第1層(支持層4)のうち、基板1を平面視したときに、パターニングにより第2層(半導体層5)が除去された部分と、振動部10および振動結合部20に重なる部分を除去することによって、基板1との間に空隙部9を有する振動部10および振動結合部20が形成される。つまり、本実施形態の製造方法によれば、振動体としての個片を個別に製造してから支持基板に接続するという方法を取ることなく、振動部10、振動結合部20および支持部30が一体となった振動子を簡便に製造することができる。
また、製造工程の初めから半導体チップ上の集積した形で製造できるため、発振回路や種々の半導体集積回路チップへの安価な搭載が可能になる。
次に、実施形態2に係る振動子101について説明する。なお、説明にあたり、上述した実施形態と同一の構成部位については、同一の符号を使用し、重複する説明は省略する。
図4(a)は、振動子101を模式的に示す平面図、図4(b)は、図4(a)のA―A断面概略図、図4(c)は、図4(a)のB―B断面概略図である。
実施形態1では、その製造方法において、犠牲層として除去される第1層(支持層4)の範囲(領域)は、エッチングの度合いによって決まった。これに対し、実施形態2は、空隙形成部形成工程により、予め除去される犠牲層としての第1層(支持層4)の領域を空隙形成部として形成しておくことを特徴としている。
振動子101の製造方法は、振動子100の製造方法に対して、更に、第1層(支持層4)をパターニングして、空隙形成部を形成する空隙形成部形成工程を含み、第2層形成工程では、少なくとも空隙形成部の一部を覆うように第2層(半導体層5)を積層し、駆動部形成工程では、基板1を平面視したときに、空隙形成部および第2層(半導体層5)に重なる領域において、第2層(半導体層5)に積層するように、駆動部40を形成し、振動部形成工程では、第2層(半導体層5)をパターニングして、振動部10を形成し、空隙形成部の一部を露出させ、空隙形成工程では、空隙形成部を除去することを特徴としている。
以下、図を参照して説明する。
図5(a):まず、振動子100の場合(図3(a))と同様に、基板1を準備し、基板1の主面(図において上方)に酸化膜2を形成する。次に窒化膜3を積層する。
ここで、第2層(半導体層5)のうち、下層に空隙形成部4aが無く、窒化膜3に積層した領域は、支持部30として形成される。換言すると、上述した空隙形成部形成工程では、第1層(支持層4)のパターニングにおいて、支持部30として形成する領域に当たる第1層(支持層4)の領域を除去しておくことで、支持部30が構成される。
なお、ウェットエッチングには、エッチング液として、例えば、フッ化水素酸などを用いることができる。
基板1の一方の主面上に形成された第1層(支持層4)をパターニングすることで空隙形成部4aが形成され、空隙形成部4aを覆う部分を含む第2層(半導体層5)をパターニングすることで上述した振動子101の平面形状が形成される。振動子101は、空隙形成部4aを除去することによって、基板1との間に空隙部9を有する振動部10および振動結合部20が形成される。つまり、空隙形成部4aは、空隙部9を形成する抜き型として機能させることができるため、必要充分な加工精度の空隙形成部4aをパターニングしておくことで、空隙部9を安定して形成することができる。具体的には、振動部10および振動結合部20を基板1から遊離させる工程は、空隙形成部4aが除去できるエッチング処理工程であれば良く、第2層(半導体層5)をストッパーとしたウェットエッチングで行なうことができる。従って、本実施形態による振動子の製造方法によれば、実施形態1と比較して、エッチング液の濃度、温度、エッチング時間などの管理を厳格に行なう必要性が軽減され、また、より簡便に安定して製造することができる。
次に、実施形態3に係る振動子102について説明する。なお、説明にあたり、上述した実施形態と同一の構成部位については、同一の符号を使用し、重複する説明は省略する。
図6(a)は、振動子102を模式的に示す平面図、図6(b)は、図6(a)のA―A断面概略図、図6(c)は、図6(a)のB―B断面概略図である。
実施形態1,2では、その製造方法において、犠牲層として除去されるのは、第1層(支持層4)の一部であるとして説明したが、本実施形態では、第1層(支持層4)に加え、その下層領域(基板1の一部)も犠牲層として除去することを特徴としている。
振動子102の製造方法は、基板1の一方の主面上に第1層としての支持層4を形成する第1層形成工程と、第1層(支持層4)をパターニングして、空隙形成部を形成する空隙形成部形成工程と、少なくとも空隙形成部の一部を覆うように第2層(半導体層5)を積層する第2層形成工程と、基板1を平面視したときに、空隙形成部および第2層(半導体層5)に重なる領域において、第2層(半導体層5)に積層するように、駆動部40を形成する駆動部形成工程と、第2層(半導体層5)をパターニングして、駆動部40が積層された振動部10を形成し、空隙形成部の一部を露出させる振動部形成工程と、空隙形成部を除去する空隙形成工程とを含む。
また、空隙形成工程は、基板1を平面視したときに、空隙形成工程で除去する空隙形成部の領域に重なる基板1の一部を除去する基板空隙部形成工程を含む。基板空隙部形成工程は、振動部形成工程の後に、露出した空隙形成部、第2層(半導体層5)、および振動部10を覆うように第3層を積層する第3層形成工程と、振動部形成工程で露出した空隙形成部および第3層をパターニングして、基板1を平面視したときに、振動部形成工程で露出した空隙形成部の領域に重なる領域の一部に、基板1の主面の一部が露出する開口部を形成する開口部形成工程と、開口部を介して基板1の一部を除去する基板掘り下げ工程と、を含む。
以下、図を参照して説明する。
図7(a):まず基板1を準備し、基板1の主面に第1層(支持層4)を積層する。
実施形態1,2では、基板1の主面に酸化膜2および窒化膜3を積層していたが、本実施形態では、直接第1層(支持層4)を積層している。また、実施形態1,2では、第1層(支持層4)を空隙部9として振動部10の振幅に必要な厚みだけ積層していたが、本実施形態では、基板1をエッチングにより掘り下げた空間を含めて空隙部9aとしている。そのため、第1層(支持層4)の積層厚みは、より薄くて良い。具体的には、例えば、振動子102と半導体集積回路とを一体化して構成する場合などにおける、半導体集積回路の構成に必要な厚みであれば良い。
次に、空隙形成部形成工程の一部として、第1層(支持層4)をパターニングして、空隙形成部4aを形成する。空隙形成部4aは、後述する空隙形成工程において犠牲層として除去される領域の一部であり、後の振動部形成工程で第2層(半導体層5)をパターニングした後に基板1を平面視したときに、振動部10および振動結合部20に重なる部分を含む領域である。
以上説明した製造工程により、振動子102を形成することができる。
振動部10および振動結合部20と基板1との間に形成される空隙部9aは、除去される第1層(支持層4)と、一部が除去される基板1とによって構成される。つまり、空隙部分の厚みを厚くするために、従来は、積層する第1層(支持層4)の厚みを厚くする必要があったが、本実施形態の製造方法によれば、基板1を除去する深さ方向(厚み方向)の量を多くすることによって空隙部9aの厚みを厚くすることができる。すなわち、例えば、半導体集積回路などと合わせて製造するような場合であっても、空隙部分に必要な厚みを意識することなく第1層(支持層4)の形成を行なうことができ、また積層方向への振動子の高さを抑えることもできるため、より半導体集積回路への組み込み性が良好となる。
図8(a)は、変形例1に係る振動子103を模式的に示す平面図、図8(b)は、図8(a)のA―A断面概略図、図8(c)は、図8(a)のB―B断面概略図である。
実施形態3では、図7(a)に示すように、空隙形成部形成工程の一部として、第1層(支持層4)をパターニングして、空隙形成部4aを形成し、図7(f)を参照して説明する工程のように、空隙形成部4aを犠牲層として除去するとして説明したが、この構成に限定するものではない。実施形態1のように、第1層(支持層4)のパターニングは行わずに、ウェットエッチングの時間を管理することにより、第1層(支持層4)を支持部30の下層に残す方法であっても良い。換言すると、振動子103は、第1層(支持層4)より上層の構成は、実施形態1(振動子100)と同様であり、第1層(支持層4)より下層の構成は、実施形態3(振動子102)と同様の構成である。但し、本変形例においても、基板1をエッチングにより掘り下げた空間を含めて空隙部9aとするため、第1層(支持層4)の積層厚みは、実施形態1と比較して、より薄くて良い。具体的には、例えば、振動子102と半導体集積回路とを一体化して構成する場合などにおける、半導体集積回路の構成に必要な厚みであれば良い。
振動子103の製造方法は、基板1の一方の主面上に第1層としての支持層4を形成する第1層形成工程と、第1層(支持層4)に重ねて第2層としての半導体層5を積層する第2層形成工程と、基板1の一方の主面側から基板1を平面視したときに、第1層(支持層4)および第2層(半導体層5)に重なる領域において、第2層(半導体層5)に積層するように、駆動部40を形成する駆動部形成工程と、第2層(半導体層5)をパターニングして、駆動部40が積層された振動部10を形成し、第1層(支持層4)の一部を露出させる振動部形成工程と、第1層(支持層4)のうち、基板1を平面視したときに、パターニングにより第2層(半導体層5)が除去された部分と振動部10および振動結合部20に重なる部分とを除去する空隙形成工程とを含む。
また、空隙形成工程は、基板1を平面視したときに、空隙形成工程で除去する第1層(支持層4)の領域に重なる基板1の一部を除去する基板空隙部形成工程を含む。基板空隙部形成工程は、振動部形成工程の後に、露出した第1層(支持層4)、第2層(半導体層5)、および前記振動部を覆うように第3層を積層する第3層形成工程と、前記振動部形成工程で露出した第1層(支持層4)および前記第3層をパターニングして、基板1を平面視したときに、振動部形成工程で露出した第1層(支持層4)の領域に重なる領域の一部に、基板1の主面の一部が露出する開口部を形成する開口部形成工程と、開口部を介して基板1の一部を除去する基板掘り下げ工程と、を含む。
実施形態1,2では、基板1の主面に酸化膜2および窒化膜3を積層していたが、本変形例では、直接第1層(支持層4)を積層している。また、実施形態1,2では、第1層(支持層4)を空隙部9として振動部10の振幅に必要な厚みだけ積層していたが、本実施形態では、基板1をエッチングにより掘り下げた空間を含めて空隙部9aとするため、第1層(支持層4)の積層厚みは、より薄くて良い。具体的には、例えば、振動子103と半導体集積回路とを一体化して構成する場合などにおける、半導体集積回路の構成に必要な厚みであれば良い。
以上説明した製造工程により、振動子103を形成することができる。
図8(b)に示すように、振動部10、振動部10に接続された振動結合部20、振動結合部20に接続された支持部30が、下層の構成による段差部の無いフラットな形状に形成することができるため、より安定した振動特性を得ることができる。
図9(a),(b)は、変形例2に係る振動子の駆動部および振動部を示す断面概略図である。いずれも、図1(a)に示すB―B方向の断面概略図である。
実施形態1〜3の製造方法では、図1(a),(b)に示すように駆動部40は、振動部10の上に、順に、絶縁層23、第1電極としての電極21a、圧電体層22、第2電極としての電極21bが積層される構成で製造すると説明したが、例えば、図9(a),(b)に示す構成としても良い。
振動部10を構成する第2層(半導体層5)に、極性の異なる電極を形成したり半導体集積回路を構成したりしない場合など、第2層(半導体層5)を通じて電極21aの電荷がリークすることが無い場合や、第2層(半導体層5)が充分高抵抗に形成されている場合、第2層が半導体層5ではなく、何らかの絶縁材料で構成されている場合などにおいては、絶縁層23を省くことができる。
以上のように、本変形例のような駆動部を備える振動子の製造方法であっても、上述した実施形態での効果が得られる振動子を提供することができる。
Claims (6)
- 振動部と、前記振動部に接続された振動結合部と、前記振動結合部に接続された支持部とを有する振動子の製造方法であって、
基板の一方の主面上に第1層を形成する第1層形成工程と、
前記第1層に重ねて第2層を積層する第2層形成工程と、
前記基板の一方の主面側から前記基板を平面視したときに、前記第1層および前記第2層に重なる領域において、前記第2層に積層するように、電極と圧電体層とを備える駆動部を形成する駆動部形成工程と、
前記第2層をパターニングして、前記駆動部が積層された振動部を形成し、前記第1層の一部を露出させる振動部形成工程と、
前記第1層のうち、前記基板の前記一方の主面側から前記基板を平面視したときに、前記パターニングにより前記第2層が除去された部分と、前記振動部および前記振動結合部に重なる部分とを除去する空隙形成工程と、を含み、
前記空隙形成工程は、前記基板の前記一方の主面側から前記基板を平面視したときに、前記空隙形成工程で除去する前記第1層の領域に重なる前記基板の一部を除去する基板空隙部形成工程を含み、
前記基板空隙部形成工程は、
前記振動部形成工程の後に、露出した前記第1層、前記第2層、および前記振動部を覆うように第3層を積層する第3層形成工程と、
前記振動部形成工程で露出した前記第1層および前記第3層をパターニングして、前記基板の前記一方の主面側から前記基板を平面視したときに、前記振動部形成工程で露出した前記第1層の領域に重なる領域の一部に、前記基板主面の一部が露出する開口部を形成する開口部形成工程と、
前記開口部を介して前記基板の一部を除去する基板掘り下げ工程と、を含むことを特徴とする振動子の製造方法。 - 振動部と、前記振動部に接続された振動結合部と、前記振動結合部に接続された支持部とを有する振動子の製造方法であって、
基板の一方の主面上に第1層を形成する第1層形成工程と、
前記第1層をパターニングして、空隙形成部を形成する空隙形成部形成工程と、
前記第1層に重ねて第2層を積層する第2層形成工程と、
前記基板の一方の主面側から前記基板を平面視したときに、前記第1層および前記第2層に重なる領域において、前記第2層に積層するように、電極と圧電体層とを備える駆動部を形成する駆動部形成工程と、
前記第2層をパターニングして、前記駆動部が積層された振動部を形成し、前記第1層の一部を露出させる振動部形成工程と、
前記第1層のうち、前記基板の前記一方の主面側から前記基板を平面視したときに、前記パターニングにより前記第2層が除去された部分と、前記振動部および前記振動結合部に重なる部分とを除去する空隙形成工程と、を含み、
前記第2層形成工程では、少なくとも前記空隙形成部の一部を覆うように前記第2層を積層し、
前記駆動部形成工程では、前記基板の一方の主面側から前記基板を平面視したときに、前記空隙形成部および前記第2層に重なる領域において、前記第2層に積層するように、前記駆動部を形成し、
前記振動部形成工程では、前記第2層をパターニングして、前記振動部を形成し、前記空隙形成部の一部を露出させ、
前記空隙形成工程では、前記空隙形成部を除去し、
前記空隙形成工程は、前記基板の前記一方の主面側から前記基板を平面視したときに、前記空隙形成工程で除去する前記空隙形成部の領域に重なる前記基板の一部を除去する基板空隙部形成工程を含み、
前記基板空隙部形成工程は、
前記振動部形成工程の後に、露出した前記空隙形成部、前記第2層、および前記振動部を覆うように第3層を積層する第3層形成工程と、
前記振動部形成工程で露出した前記空隙形成部および前記第3層をパターニングして、前記基板の前記一方の主面側から前記基板を平面視したときに、前記振動部形成工程で露出した前記空隙形成部の領域に重なる領域の一部に、前記基板主面の一部が露出する開口部を形成する開口部形成工程と、
前記開口部を介して前記基板の一部を除去する基板掘り下げ工程と、を含むことを特徴とする振動子の製造方法。 - 前記第1層が酸化物層であり、前記第2層が半導体層であることを特徴とする請求項1または2に記載の振動子の製造方法。
- 前記電極は、少なくとも第1電極と第2電極とを含み、
前記圧電体層が、前記第1電極と前記第2電極との間に挟まれていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の振動子の製造方法。 - 前記第2層と前記電極との間に絶縁層を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の振動子の製造方法。
- 前記圧電体層が、前記第2層と前記電極との間に挟まれていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の振動子の製造方法。
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