JP2016072215A - 固体酸化物形燃料電池セルスタック - Google Patents
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Abstract
Description
支持体と、
当該支持体の表面に、燃料極、固体電解質および空気極が少なくとも順次積層されてなる複数の発電素子と、
前記複数の発電素子のうちの隣接する一方の発電素子の空気極と、他方の発電素子の燃料極とを電気的に接続するインターコネクタと
を少なくとも有し、前記複数の発電素子が直列に接続されてなる固体酸化物形燃料電池セルスタックであって、
一方の発電素子の燃料極と前記他方の発電素子の燃料極との間に、一方の発電素子の固体電解質が設けられてなり、
前記一方の発電素子の空気極と他方の発電素子の固体電解質との間に絶縁部が設けられてなり、そして
前記インターコネクタの表面全体が前記一方の発電素子の空気極によって覆われてなることを特徴とするものである。
本発明による固体酸化物形燃料電池セルスタックとは、絶縁部を有し、インターコネクタと空気極との配置が後記する要件を満たすものであること以外は、燃料極、固体電解質および前記空気極が少なくとも順次積層されてなる複数の発電素子と、これらのうちの隣接する一方の発電素子の空気極と他方の発電素子の燃料極とを電気的に接続する前記インターコネクタとを少なくとも有してなる、当業界において通常固体酸化物形燃料電池セルスタックと分類または理解されるものと同一のものを意味する。また、本発明による固体酸化物形燃料電池セルスタックは、その形状も限定されず、例えば円筒状、内部にガス流路を複数形成した中空板状などであってもよい。
本発明による固体酸化物形燃料電池セルスタックは複数の発電素子を有し、この発電素子が直列に接続されてなるものである。発電素子は、燃料極、固体電解質、および空気極が順次積層された積層体である。
本発明による固体酸化物形燃料電池セルスタックは支持体を有する。支持体の表面に複数の発電素子が直列に形成される。本発明では、このような支持体として、多孔質であり、ガス透過性を有し、発電素子を支持するための機械的強度を有し、そして電気絶縁性を有するものであれば、特に限定されず用いることができる。支持体の材料としては、MgO、カルシア安定化ジルコニア(CSZ)、フォルステライトからなる群から選ばれる一種以上を用いることができる。支持体の好ましい厚さは0.5〜2mmである。
本発明において、燃料極は内側電極であってもよく、外側電極であってもよい。つまり、発電素子は内側電極としての燃料極、固体電解質、および外側電極としての空気極が少なくとも積層された積層体であってもよい。あるいは、発電素子は内側電極としての空気極、固体電解質、および外側電極としての燃料極が少なくとも積層された積層体であってもよい。
本発明において、燃料極は、燃料ガスを透過させるための多孔性、水素を吸着させる触媒活性(電極活性)、導電性、および酸化物イオン伝導性を有する。燃料極の多孔性は支持体のそれより小さくてもよい。
本発明において、空気極は、酸素を透過させるための多孔性、酸素を吸着させる又はイオン化する触媒活性(電極活性)、導電性、および酸化物イオン伝導性を有する。空気極の多孔性、導電性はそれぞれ集電層のそれより小さくてもよい。
本発明において、固体電解質は、酸化物イオン伝導性、ガスシール性、および電気絶縁性を有する。このような固体電解質を構成する材料として、ランタンガレート系酸化物、固溶種としてY、Ca、およびScから選択される1種以上を固溶した安定化ジルコニアなどが挙げられる。本発明において好適な固体電解質は、Sr及びMgがドープされたランタンガレート系酸化物であり、より好適には一般式La1−aSraGa1−b−cMgbCocO3−δ(但し、0.05≦a≦0.3、0<b<0.3、0≦c≦0.15、δは電荷中性条件を満たすように定まる値である)で表されるランタンガレート系酸化物(LSGM)である。LSGMはLaGaO3をベースにLaサイトをSrで置換することで酸化物イオン伝導性を発現する。固体電解質は、単層であってもよく、又は複層であってもよい。固体電解質が複層である場合、例えば、燃料極とLSGMからなる固体電解質の間に、反応抑制層を設けることができる。反応抑制層の具体例としては、Laを固溶させたセリア(Ce1−xLaxO2(但し、0.3<x<0.5))が挙げられる。好適には、Ce0.6La0.4O2である。固体電解質の好ましい厚さは5〜60μmである。また、反応抑制層の好ましい厚さは0〜20μmである。
本発明による固体酸化物形燃料電池セルスタックは、外側電極とインターコネクタとを電気的に接続する集電層を有してなる。この集電層は、ガス(酸素)透過性、および空気極より発生した電子をスムーズに流通するための導電性を有する。本発明において、外側電極が空気極である場合、集電層はAgやPtなどの貴金属を含有する導電性ペーストや、La0.6Sr0.4Co0.8Fe0.2O3−δなどの導電性酸化物を含有するペーストを焼き付けることにより形成できる。また、外側電極が燃料極である場合、集電層は還元されて導電性が得られる、NiOもしくはNiなどの金属酸化物、または金属を含有するペーストを焼き付けることにより形成できる。また、集電層は、ガス透過性を得るために多孔質またはメッシュなどの構造であることが好ましい。集電層の好ましい厚さは10〜200μmである。
(組成)
本発明による固体酸化物形燃料電池セルスタックが有してなるインターコネクタは、複数の発電素子のうちの隣接する一方の発電素子の空気極と、他方の発電素子の燃料極とを電気的に接続する。このインターコネクタは、セラミックからなるセラミックインターコネクタであることが好ましい。
本発明において、インターコネクタの気孔率は1%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがさらに好ましい。また、0%以上であることが好ましい。これによりインターコネクタのガスシール性を確保し、固体酸化物形燃料電池セルスタックの発電効率を向上させることが可能となる。気孔率の測定は、以下の方法を用いて行うことができる。
作製した固体酸化物形燃料電池セルスタックからインターコネクタを含むように切り出し、このインターコネクタを走査型電子顕微鏡(例えば日立製作所製S−4100)により、加速電圧15kV、2次電子画像、倍率100〜10000倍で観察し、SEM画像を得る。このSEM画像を画像処理ソフト(例えばWinroofver6.5.1、MITANI CORPORATION社製)によって評価する。これにより、横軸が輝度、縦軸が出現頻度であるヒストグラムを得る。このヒストグラムにおいて、輝度の最小値と最大値の平均値より輝度が低い領域を低輝度領域、平均値より輝度が高い領域を高輝度領域とする。この低輝度領域を気孔と判定し、気孔以外の高輝度領域をインターコネクタと判定することで2値化処理する。その後、下記式から気孔率を得ることができる。
気孔率(%)=低輝度領域の積分値÷全体の出現頻度の積分値×100
インターコネクタの原料粉末を900kgf/cm2の荷重にて一軸プレスし、1300℃で2時間、大気雰囲気下で焼成することにより試験片を得る。この試験片をJIS R 1634の規定に基づき、アルキメデス法により測定し、気孔率を得る。
本発明において、インターコネクタは、700℃大気雰囲気下での導電率が0.05S/cm以上であることが好ましく、より好ましくは0.1S/cm以上である。導電率は高ければ高いほど良いため上限は無いが、好ましくは0.16S/cm以下である。これによりインターコネクタの導電性を向上させ、固体酸化物形燃料電池セルスタックの発電出力を向上させることが可能となる。導電率は以下の方法により測定することができる。すなわち、導電率を測定するための試験片を、インターコネクタの原料粉末を900kgf/cm2の荷重にて一軸プレスして、1300℃で2時間、大気雰囲気下で焼成することにより作製する。この試験片の導電率をJIS R 1650−2の規定に基づき、直流4端子法によって、大気雰囲気下700℃で測定する。
本発明において、インターコネクタの好ましい厚みは5μm以上50μm以下である。
本発明において、絶縁部は絶縁性を有するものである。絶縁性とは、電気的絶縁性および酸化物イオン絶縁性を有することを意味する。具体的には、700℃大気雰囲気下での導電率が0.001S/cm以下であり、かつ酸化物イオン絶縁性を有することを意味する。導電率は上述した方法により測定することができる。絶縁部は、SrxLayTiO3−δ(ただし、xおよびyは、0.8≦x+y≦1.0、および0≦y≦0.01を満たす実数である。)、TiO2、フォルステライト(Mg2SiO4)、MgO、Al2O3、SiO2およびY2O3から選択される1種以上を含んでなることが好ましい。さらに好ましい材料として、SrxLayTiO3−δ(ただし、xおよびyは、0.8≦x+y≦1.0、および0≦y≦0.01を満たす実数である。)またはフォルステライトが挙げられる。
図1は、本発明の一つの態様として、横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタックを示す正面図である。横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタック210は、支持体201に13個の発電素子10が直列に接続されている。
本発明による固体酸化物形燃料電池セルスタックの製造方法は、特定のものに限定されるものではない。本発明による固体酸化物形燃料電池セルスタックは、例えば、以下のようにして製造される。なお、以下の説明においては、内側電極が燃料極であり、外側電極が空気極である場合を例として説明する。
(支持体用坏土Aの作製)
高純度フォルステライト(0.05質量%のCaOを含むMg2SiO4)原料粉末を平均粒子径が0.7μmとなるよう調節した。この粉末100重量部と、溶媒(水)20重量部、バインダー(メチルセルロース)8重量部、潤滑剤0.5重量部、及び造孔剤(平均粒子径5μmのアクリル系樹脂粒子)15重量部とを高速ミキサーで混合後、混練機(ニーダー)で混練し、真空土練装置で脱気し、押し出し成形用の坏土を調製した。ここで、平均粒子径はJIS R1629の規定に基づき測定し、50%径にて示した値である(以下同様)。
NiO粉末と10YSZ(10mol%Y2O3−90mol%ZrO2)粉末とを重量比65:35で湿式混合し、乾燥粉末を得た。得られた乾燥粉末の平均粒子径は0.7μmとなるよう調節した。この粉末150重量部と、溶媒(カルビトール)100重量部、バインダー(可溶性高分子)6重量部、分散剤(ノニオン性界面活性剤)2重量部、及び消泡剤(有機高分子系)2重量部とを混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。
NiO粉末とGDC10(10mol%GdO1.5−90mol%CeO2)粉末との混合物を共沈法で作製後、熱処理を行い、燃料極触媒層用粉末を得た。NiO粉末とGDC10粉末の混合比は重量比で50/50とした。得られた燃料極触媒層用粉末の平均粒子径は0.5μmとなるよう調節した。この粉末100重量部と、溶媒(カルビトール)100重量部、バインダー(可溶性高分子)5重量部、分散剤(ノニオン性界面活性剤)2重量部、及び消泡剤(有機高分子系)2重量部とを混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。
反応抑制層の材料として、セリウム系複合酸化物LDC40(40mol%LaO1.5−60mol%CeO2)の粉末50重量部を用いた。この材料粉末に、焼結助剤としてGa2O3粉末0.04重量部を混合し、さらに溶媒(カルビトール)100重量部、バインダー(可溶性高分子)4重量部、分散剤(ノニオン性界面活性剤)1重量部、及び消泡剤(有機高分子系)1重量部を混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。
固体電解質の材料として、La0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.2O3の組成のLSGM粉末を用いた。このLSGM粉末50重量部を、溶媒(カルビトール)100重量部、バインダー(可溶性高分子)4重量部、分散剤(ノニオン性界面活性剤)1重量部、及び消泡剤(有機高分子系)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。
空気極の材料として、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3の組成の粉末を用いた。この粉末40重量部を、溶媒(カルビトール)100重量部、バインダー(可溶性高分子)2重量部、分散剤(ノニオン性界面活性剤)1重量部、及び消泡剤(有機高分子系)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。
インターコネクタ用原料粉末の作製は、固相法により行った。ストロンチウムとランタンとチタンとニオブと鉄とが、Sr0.37La0.55Ti0.40Nb0.10Fe0.50O3−δに示されるペロブスカイト型酸化物の組成比となるように、原料となる金属酸化物の粉末を秤量し、溶液中で混合した。その後、溶媒を除去して得られた粉末を、1150℃で焼成、そして粉砕してインターコネクタ用原料粉末を作製した。
作製したSr0.37La0.55Ti0.40Nb0.10Fe0.50O3−δの組成のインターコネクタ用原料粉末40重量部を、溶媒(カルビトール)100重量部、バインダー(可溶性高分子)4重量部、分散剤(ノニオン性界面活性剤)1重量部、及び消泡剤(有機高分子系)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。
絶縁部用原料粉末の作製は、固相法により行った。ストロンチウムとランタンとチタンとが、Sr0.92La0.01TiO3−δに示されるペロブスカイト型酸化物の組成比となるように、原料となる金属酸化物の粉末を秤量し、溶液中で混合した後に溶媒を除去して得られた粉末を、1150℃で焼成、そして粉砕して絶縁部用原料粉末を作製した。
作製したSr0.92La0.01TiO3−δの組成の絶縁部用原料粉末40重量部を、溶媒(カルビトール)100重量部、バインダー(可溶性高分子)4重量部、分散剤(ノニオン性界面活性剤)1重量部、及び消泡剤(有機高分子系)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。
上記のようにして得られた坏土および各スラリーを用いて、以下の方法で固体酸化物形燃料電池セルスタックを作製した。
実施例1に対して、第2の絶縁部を形成しなかった以外は同様に行い、固体酸化物形燃料電池セルスタックを得た。得られた固体酸化物形燃料電池セルスタックについて、以下の各評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1に対して、絶縁部および第2の絶縁部用原料粉末としてMg2SiO4を用いた以外は同様に行い、固体酸化物形燃料電池セルスタックを得た。得られた固体酸化物形燃料電池セルスタックについて、以下の各評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1に対して、空気極がインターコネクタを一部被覆するように設けた以外は同様に行い、固体酸化物形燃料電池セルスタックを得た。得られた固体酸化物形燃料電池セルスタックについて、以下の各評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1に対して、絶縁部および第2の絶縁部を設けず、さらに空気極がインターコネクタを一部被覆するように設けた以外は同様に行い、固体酸化物形燃料電池セルスタックを得た。得られた固体酸化物形燃料電池セルスタックについて、以下の各評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1に対して、絶縁部および第2の絶縁部を設けなかった以外は同様に行い、固体酸化物形燃料電池セルスタックを得た。得られた固体酸化物形燃料電池セルスタックについて、以下の各評価を行った。結果を表1に示す。
(OCVの測定)
得られた固体酸化物形燃料電池セルスタックを用いて、発電試験を行った。燃料極側の集電は、燃料極の露出部に集電金属を銀ペーストで張り合わせて焼き付けた。空気極側の集電は、隣接する燃料極の露出部に集電金属を銀ペーストで張り合わせて焼き付けた。
燃料ガス:(H2+3%H2O)とN2の混合ガス(混合比はH2:N2=7:4(vol:vol))
酸化ガス:空気
運転温度:700℃
上述の発電試験の条件において、電流密度0.4A/cm2にて通電し発電試験を行った。その後、燃料ガスの供給量を徐々に減らし、電位が急降下する直前の水素供給量を測定し、次式から限界燃料利用率を算出した。結果を表1に示す。
限界燃料利用率=(発電に使用される水素量)/(電位が急降下する直前の水素供給量)×100
なお、発電に使用される水素量は、電流量(C/s)×60(s)×22.4(L/mol)÷ファラデー定数(C/mol)×1/2(価数)×発電素子数で求められる。
以下の発電条件において、燃料極と隣の燃料極に電位線、電流線を接続することにより、端子間の電圧を測定した。結果を表1に示す。
燃料ガス :(H2+3%H2O)とN2の混合ガス(混合比はH2:N2=7:4(vol:vol))
燃料利用率:7%
酸化ガス :空気
運転温度 :700℃
電流密度 :0.4A/cm2
Claims (5)
- 支持体と、
当該支持体の表面に、燃料極、固体電解質および空気極が少なくとも順次積層されてなる複数の発電素子と、
前記複数の発電素子のうちの隣接する一方の発電素子の空気極と、他方の発電素子の燃料極とを電気的に接続するインターコネクタと
を少なくとも有し、前記複数の発電素子が直列に接続されてなる固体酸化物形燃料電池セルスタックであって、
一方の発電素子の燃料極と前記他方の発電素子の燃料極との間に、一方の発電素子の固体電解質が設けられてなり、
前記一方の発電素子の空気極と他方の発電素子の固体電解質との間に絶縁部が設けられてなり、そして
前記インターコネクタの表面全体が前記一方の発電素子の空気極によって覆われてなる、固体酸化物形燃料電池セルスタック。 - 前記一方の発電素子の固体電解質と前記一方の発電素子の空気極との間に、第2の絶縁部が設けられてなり、かつ当該第2の絶縁部と前記インターコネクタとが接してなる、請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池セルスタック。
- 前記絶縁部および/または前記第2の絶縁部の表面全体が前記一方の発電素子の空気極で覆われてなる、請求項1または2に記載の固体酸化物形燃料電池セルスタック。
- 前記絶縁部が他方の発電素子の空気極と接してなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池セルスタック。
- 前記絶縁部が、SrxLayTiO3−δ(ただし、xおよびyは、0.8≦x+y≦1.0、および0≦y≦0.01を満たす実数である。)、TiO2、フォルステライト(Mg2SiO4)、MgO、Al2O3、SiO2およびY2O3から選択される1種以上を含んでなるものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池セルスタック。
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