JP2016070610A - 給気口 - Google Patents
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Abstract
【課題】給気口のフィルタの捕集力をより高めることを目的とする。【解決手段】一実施形態に係る給気口は、建物の外部から室内に空気を供給する給気口であって、空気の流路を形成する本体と、フィルタを本体内で固定するための軸部とを備え、フィルタが、貫通口が形成されたコアと、複数の突起を有するシートが該コアに巻かれることで形成されたフィルタ層とを有し、フィルタ層の外周部に固定手段を設けることなく、コアを軸部に嵌めることで、フィルタが本体内で固定される。【選択図】図8
Description
本発明の一側面は、建物の外部から室内に空気を供給する給気口に関する。
従来から、建物の外部から室内に空気を供給する給気口が知られている。一般には、この給気口は、空気中の塵を捕集するためのフィルタを備える。例えば特許文献1は、取付本体の前面開口部に装着して該前面開口部を覆い粉塵等の進入を防止するフィルタを備えるプッシュ式レジスタを記載する。このプッシュ式レジスタでは、取付アームの両側片間にフィルタ収納部が形成され、該フィルタ収納部にフィルタが上下方向に取外し自在に装着される。
特許文献1に記載の技術では、フィルタは、フィルタ収納部に設けられた4個のフックとフィルタ着脱口の近傍に設けた弾性係止手段とにより、フィルタ収納部に取り付けられる。また、このような取り付けを可能にするために、フィルタの外周部には枠が設けられている。この構成ではフィルタの外周部が捕集機能を持たないので、流入してくる空気を受けるフィルタ主面の領域が制限され、その分だけフィルタ全体における捕集力が低下してしまう。そこで、給気口のフィルタの捕集力をより高めることが望まれている。
本発明の一側面に係る給気口は、建物の外部から室内に空気を供給する給気口であって、空気の流路を形成する本体と、フィルタを本体内で固定するための軸部とを備え、フィルタが、貫通口が形成されたコアと、複数の突起を有するシートが該コアに巻かれることで形成されたフィルタ層とを有し、フィルタ層の外周部に固定手段を設けることなく、コアを軸部に嵌めることで、フィルタが本体内で固定される。
このような側面においては、フィルタのコアを軸部に嵌めることでフィルタが本体内で固定され、この際に、フィルタの外周部には固定手段が設けられない。このように、フィルタの形成のために必要なコアを給気口の本体への固定手段としても用いることで、フィルタの外周部に対する制約がなくなり、流入してくる空気を実際に受けるフィルタ主面の面積を稼ぐことができる。その結果、給気口のフィルタの捕集力をより高めることが可能になる。
本発明の一側面によれば、給気口のフィルタの捕集力をより高めることができる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
まず、図1〜5を用いて、実施形態に係る給気口に取り付けられるフィルタの構造を説明する。本明細書における用語「フィルタ」は、気体中に混ざり込んだ微粒子(微小な固形物または異物)を取り除くための装置または部品である。本実施形態では、気体は空気であるとする。微粒子の例としては塵、埃、花粉が挙げられるが、フィルタにより除去しようとする対象物はこれらに限定されず、フィルタは気体中の任意の微粒子を取り除いてよい。
フィルタは複数の層を備える。複数の層の少なくとも一部は、図1に示すシート10により形成される。シート10は薄い板状の部材であり、ベース11と、該ベース11上に配置された複数の中実の突起20とを備える。本明細書における用語「突起」は、ベース11の一方の面から外方に向かって延びた構造物である。また、本明細書では、突起20が存在する方の面を層、シート10、またはベース11の表面(おもてめん)と定義し、突起20が存在しない方の面を層、シート10、またはベース11の裏面と定義する。
シート10(層)の寸法はフィルタの寸法に応じて設定される。フィルタの寸法は様々である。本実施形態に係るフィルタは、少なくとも1枚のシート10を巻くことでロールを得て、そのロールを巻芯と直交する方向に切断することで作製され、ロール状を呈する(詳細は後述する)。したがって、シート10の長さおよび幅は様々な値を取り得る。例えば、シート10の長さおよび幅は数センチから数十メートルまでの様々な範囲の値を取り得る。一方、シート10の厚さは、例えば除塵効果(集塵効果)と気体の流路の確保との双方を考慮して設定されるが、この厚さも何ら限定されない。ここで、シート10の厚さとは、ベース11の裏面から突起20の最高地点までの距離である。一例として、シート10の厚さの下限は0.1mm、0.15mm、0.2mm、0.25mm、または0.3mmでもよく、その上限は3.0mm、2.5mm、2.0mm、1.5mm、または1.0mmでもよい。
図2(a)に示すように、本実施形態の突起20は、ベース11の表面から延びる茎部21を少なくとも備える。図2(b)に示すように、突起20はその茎部21の先端に形成された傘部22を備えてもよく、この場合には突起20は全体として茸状を呈する。もっとも、突起20の形状は図2の例に限定されず、後述するように様々な形状が考えられる。突起20の上面(すなわち、茎部21または傘部22の上面)は平坦でもよいし波状(すなわちギザギザ)であってもよい。
ベース11および突起20の寸法は限定されない。例えば、ベース11の厚さ、突起20の高さ、茎部21の高さ、茎部21の底の最大幅、茎部21の先端の幅、傘部22の最大幅、および、茎部21からの傘部22の張出し量はすべて任意に設定してよい。例えば、ベース11の厚さの下限は0.1mmでもよく、その上限は0.3mmでもよい。突起20の高さの下限は0.2mmでも0.3mmでもよく、その上限は0.5mmでも0.7mmでもよい。また、ベース11における突起20の密度も何ら限定されない。例えば、突起20の密度の下限は139本/cm2でもよく、その上限は760本/cm2でもよい。突起の間隔(突起の根元部の中心間の距離)の下限は0.36mmでもよく、その上限は0.85mmでも0.80mmでもよい。
シート10の材料は熱可塑性樹脂であり、例えば、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレン樹脂(PE)、塩化ビニル樹脂(PVC)、エチル・メチル・メタクリレート樹脂(EMMA)、エチル・アクリレート樹脂(EA)、およびエチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)樹脂、またはこれら2種以上の混合物(例えば、ポリプロピレン樹脂(PP)とポリエチレン樹脂(PE)との混合物、ポリプロピレン樹脂(PP)とエチル・メチル・メタクリレート樹脂(EMMA)との混合物、ポリプロピレン樹脂(PP)とエチル・アクリレート樹脂(EA)との混合物、ポリプロピレン樹脂(PP)とエチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)樹脂との混合物、ポリエチレン樹脂(PE)とエチル・メチル・メタクリレート樹脂(EMMA)との混合物、ポリエチレン樹脂(PE)とエチル・アクリレート樹脂(EA)との混合物、ポリエチレン樹脂(PE)とエチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)樹脂との混合物)等が挙げられる。なお、PEの例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などが挙げられる。突起20の形状に応じた硬さを有する樹脂、混合比等を選択することができる。また、必要に応じて、これらの樹脂には、添加剤等を添加することができる。
本実施形態では、シート10の製造方法に関して二つの例を示す。
一つは、特表2005−514976号公報に記載の手法である。この手法ではまず、電子放電機械加工により切断された開口を有する押出しダイ(die)から熱可塑性樹脂を押し出すことで、突起の断面形状を有する複数のレール状のリブ(rib)がベースシート上に並んだストリップ(strip)を形成する。続いて、水などの冷却液体を充填した冷却タンク内でそのストリップをローラで引っ張る。続いて、リブの長手方向に沿って互いに離間した複数の位置で、各リブに幅方向の切り込みを入れることで、それぞれのリブについて、突起の厚さに対応する複数の部分を形成する。リブを切断した後、ストリップのベースシートを所定の伸張比で伸ばす。具体的には、互いに異なる表面速度で駆動されるニップローラの第1の対とニップローラの第2の対と間でリブの長手方向に沿ってベースシートを伸張する。この工程では、上流に位置する第1の対のニップローラの一つを加熱することでベースシートを加熱する一方で、下流に位置する第2の対のニップローラの一つを冷却してベースシートを安定化させてもよい。この伸張によって、リブの複数の部分間に空間が生じ、その部分が突起20となる。
もう一つの例は、特表2008−532699号公報に記載の手法である。この手法ではまず、多数の貫通孔を有する型板または押し出し機を用いた押出成形により、複数の突起の原形をなす複数の柱状体が表面に並んだ帯状基材を形成する。なお、各柱状体の先端部を加熱しながらカレンダーロールでその先端部を潰すことで、傘部を有する突起を形成できる。この工程により一つのシート10が得られる。
シート10にはエレクトレット処理が施され、これにより各層は帯電層として機能する。エレクトレット処理とは、コロナ放電、加熱および冷却、帯電粒子噴霧などによってシート10を帯電させる処理である。シート10を帯電させることにより、各層の除塵あるいは濾過の効果を高めることができる。
突起20の様々な形状を以下に説明する。突起20の形状の特徴は、突起20を側面から見た際に見出すことができる。本実施形態では、図3に示すように、ベース11と直交する仮想面Vに突起20を投影して得られる投影像Pの外縁を用いて、突起20の形状の特徴を示す。仮想面Vは気体が流れる方向と交差するように設定され、これは、仮想面Vが、気体の流れを遮るような態様で設定されることを意味する。図4は、様々な突起20の投影像であるが、これらの図では、説明を分かり易くするために、突起に付した符号と同じものを投影像に付すこととする。
投影像Pと同視できる図2の例について説明する。図2(a)の側面図に示す例では、茎部21の側面は屈曲も湾曲もしておらず、一直線である。図2(b)の側面図に示す例は、茎部21の先端に傘部22が設けられたこと以外は図2(a)と同じである。
図4に示すパターン1では、茎部21は、先端に向かって窄むテーパ状を呈し、茎部21の側面に対応する外縁(以下では単に「外縁」という)は、その全体が、投影像の内部に向かって凸であるように湾曲している。
パターン2では、茎部21は、その延び方向における中央部が窄むような形状を呈し、外縁は、その全体が投影像の内部に向かって凸であるように湾曲している。
パターン3では、茎部21は、延び方向における中央部が窄むような形状を呈する。外縁は直線で形成されており、かつ投影像の内部に向かって凸であるように屈曲している。
パターン4では、茎部21の根元側は直柱状であり、茎部21の残りの部分は先端に向かって窄むテーパ状を呈する。外縁の根元側は直線であり、その先端側は、投影像の外部に向かって凸であるように湾曲している。
パターン5,6は、茎部21の投影像が線対称でない例である。パターン5では、茎部21は、先端に向かって窄むテーパ状を呈する。二つの外縁はいずれも、屈曲も湾曲もしておらず一直線であるが、一方の外縁は傾斜し、他方の外縁は直立している。
パターン6では、茎部21は、先端に向かって窄むテーパ状を呈する。一方の外縁は、その全体が投影像の内部に向かって凸であるように湾曲しており、他方の外縁は、その全体が投影像の外側に向かって凸であるように湾曲している。
ベース11とほぼ並行する突起20の上面(茎部21の上面または傘部22の上面)の形状は任意に定めてよい。例えば、その上面の形状は円であってもよいし、楕円であってもよいし、矩形であってもよいし、星形であってもよい。あるいは、その上面の形状は三角形や六角形などの任意の多角形であってもよいし、より複雑な形状であってもよい。
ベース11上での複数の突起20の具体的な配置態様は限定されない。例えば、突起20は格子状に配置されてもよいし、千鳥状に配置されてもよいし、ランダムに配置されてもよい。突起20はベース11上に均等に配置されてもよいし、不均等に配置されてもよい。例えば、ベース11において、突起20が存在する突起領域と突起20が存在しない平坦領域とが混在してもよい。あるいは、1枚のベース11において、突起20が密集した領域(密な領域)と突起20がまばらな領域(疎な領域)とが混在してもよい。突起20の配置態様はこれらに限定されず、気体の流路を形成できるのであればどのようなパターンでもよい。また、一つのベース11上に異なる形状(パターン)の突起が設けられてもよい。
ベース11にはスリットまたは開口が形成されてもよい。本明細書における用語「スリット」とは、スリット状の溝またはスリット状の貫通部を含む概念である。本明細書における用語「溝」は、ベース11における一方の面に設けられた切込みが他方の面に貫通しない状態を示す。この溝は、ベース11の表面に形成されてもよいし裏面に形成されてもよい。本明細書における用語「貫通部」は、ベース11に設けられた孔または開口が一方の面から他方の面まで貫通した状態を示す。本明細書では、スリット状の溝およびスリット状の貫通部をまとめて、単に「スリット」ともいう。本実施形態では直線状のスリットを示すが、スリットの形は任意であり、例えば、波型、山形、凹凸型などのスリットをベース11に形成してもよい。
スリットは、従来から用いられている任意の手法(例えば、刃やレーザ切断など)により形成することができる。一方、開口は、例えば、スリット状の貫通部が形成されたベース11をスリット列と直交する方向に広げることで形成することができる。ベース11を広げる手段としては、幅出し機(tenter)やローラなどの機械や、手作業などが挙げられる。あるいは、開口は、ベース11を広げることなく、そのベース11を所望の形にくり抜くことで形成してもよい。
スリットの配置は任意である。例えば、ベース11の一辺付近からその対辺付近にかけて途切れることなく延びるスリットが所定の間隔で並んでもよい。あるいは、スリットは千鳥状に配置されてもよいし、格子状に配置されてもよい。また、ベース11全体においてスリットの密集度が一定である必要はなく、一つのベース11においてスリットがまばらな部分とスリットが密な部分とが存在してもよい。
個々のスリットの長さは限定されない。また、一つのベース11おいて個々のスリットの長さが統一されてもよいし、異なる長さのスリットが混在してもよい。スリットの延び方向における、隣接する二つのスリットの間隔も限定されず、当該延び方向と直交する方向における、隣接する二つのスリットの間隔も限定されない。また、一つのベース11においてこれらの間隔が統一されてもよいし統一されなくてもよい。
スリットは、ベース11の一辺と平行になるように延びてもよいし、ベース11の辺に対して任意の角度θ(0°<θ<90°)で傾斜するように形成されてもよい。
開口の配置も任意である。例えば、ベース11の一辺付近からその対辺付近にかけて途切れることなく延びる開口が所定の間隔で並んでもよい。開口は千鳥状に配置されてもよいし、格子状に配置されてもよい。一つのベース11において開口がまばらな部分と開口が密集する部分とが混在してもよい。隣接する二つの開口の間隔も限定されないし、その間隔は統一されていても統一されていなくてもよい。また、開口はベース11の辺に対して斜めに形成されてもよい。このように、開口の配置については、スリットの場合と同様に様々な変形が考えられる。
開口の形状は限定されず、例えば矩形、菱形、円形、楕円形、矩形、星形、波形、あるいは他の多角形であってもよい。また、一つのベース11において複数の形状の開口が混在してもよい。
スリットと開口とが混在してもよい。当然ながら、個々のスリットおよび開口の配置は任意に定めてよい。
本実施形態に係るフィルタ100を図5に示す。フィルタ100は帯電フィルタである。このフィルタ100は、円筒状のコア(すなわち、貫通孔が形成されたコア)101に少なくとも1枚の帯状のシート10を何重にも巻き付けることで得られる。あるいは、このフィルタ100は、コア101に少なくとも1枚のシート10を巻き付けて得られたロールを、コア101の延び方向と直交する方向に切断することで得られる。あるいは、少なくとも1枚のシート10をらせん状に巻くことで得たロールを、複数の層を備えるフィルタ100として用いてもよい。あるいは、特性(例えば、突起の形状または配列)の異なる複数のシートを巻き付けることでフィルタ100を得てもよい。フィルタ100は、気体が流れる多数の流路90を有する(図5中の拡大部分を参照)。シート10が巻かれた部分(多数の流路90が存在する部分)は、集塵機能を有するフィルタ層102である。
ベース11にスリットまたは開口が形成されている場合には、シート10自体の剛性が小さくなってシート10がより柔軟に変形するようになるので、シート10を小さく巻く作業が容易になり、隣接する二つの層がより確実に密着したフィルタ100を作製することができる。シート10に形成するスリットまたは開口の寸法または形状を調整することで、フィルタの属性(作製方法や適用場面など)に応じて、シート10の柔軟性を適宜変更することができる。
フィルタ100の径は、給気口の流路の径に適合するように設定される。本実施形態では、フィルタ100の径は、後述する流路の径と同じでもよい。すなわち、フィルタ100の外周面が給気口の本体の内壁に接してもよい。あるいは、フィルタ100の径は当該流路の径よりわずかに小さくてもよく、例えば、流路の径の90〜99%または95〜99%であってもよい。すなわち、フィルタの外周面と給気口の本体の内壁との間に空間が形成されてもよい。
フィルタ100の厚さは給気口に求められる捕集力および圧力損失のバランスを考慮して設定される。なお、フィルタ100の厚さとは、コア101の延び方向、すなわち流路に沿ったフィルタ100の長さである。上記のシート10を巻くことで得られるフィルタ100を建物の給気口に設ける際には、フィルタの厚さを例えば3〜15mmとすることで、捕集力および圧力損失の良好なバランスを取ることができる。例えば、フィルタの厚さの下限は3mmでも5mmでもよく、その上限は15mmでも10mmでもよい。
ロールおよびフィルタ100を固定する方法は限定されない。例えば、粘着剤または接着剤を突起20の上面に塗布した後にシート10を巻いてもよい。あるいは、粘着剤および接着剤を用いることなく、収縮性を有するフィルム(収縮フィルム)のみを用いてもよい。具体的には、フィルタ100(またはロール)の外周面を収縮フィルムで覆うことでフィルタ100(またはロール)を固定する。例えば、収縮フィルムとして熱収縮チューブを採用した場合には、その熱収縮チューブをフィルタ100(またはロール)の外周面に配した後にそのチューブを加熱することで、当該チューブが縮んでフィルタ100(またはロール)を外側から押さえ込む。熱収縮チューブの材料の例として、ポリエチレンテレフタラート(PET)および二軸延伸ポリスチレン(BOPS)が挙げられる。あるいは、収縮フィルムに張力をかけながらフィルタ100(またはロール)を当該収縮フィルムで巻くことでフィルタ100(またはロール)を外側から押さえ込んでもよい。収縮フィルムのみによりフィルタ100を固定することで、フィルタ100の各層の帯電状態を良好に保ち続けることができる。
フィルタの流入口または排出口に向かって該フィルタを見た時に、突起20は積層方向に沿って整列してもよいし、千鳥状に配列されてもよいし、ランダムに配置されてもよい。
フィルタは、互いに異なる複数種類の層を備えてもよい。例えば、フィルタは、シート10により形成される層(基本層)以外の層(付加機能層)を備えてもよい。例えば、付加機能層は、有機成分の除去または脱臭を行う活性炭でもよいし、ゼオライトあるいはアルミノケイ酸塩などの吸収剤でもよいし、銅−アスコルビン酸などの脱臭触媒でもよい。あるいは、付加機能層は、シリカゲル、ゼオライト、塩化カルシウムあるいは活性アルミナなどの乾燥剤でもよいし、UV殺菌系などの消毒剤でもよいし、グロキサル、メタクリル酸エステルあるいは香料などの芳香剤でもよい。あるいは、付加機能層は、Mg、Ag、Fe、Co、Ni、Pt、PdあるいはRn、またはアルミナ、シリカアルミナ、ジルコニア、珪藻土、シリカジルコニウムあるいはチタニアなどの担体上に支持された酸化物などの金属を含むオゾン除去剤でもよい。一つのフィルタが複数種類の付加機能層を備えてもよい。
次に、図6〜11を用いて、フィルタ100が取り付けられる給気口200の構造を説明する。図6は給気口200の斜視図であり、図7は図6のVII−VII線断面図であり、図8は給気口200の分解斜視図であり、図9は図8のIX−IX線断面図である。図10は図9のX−X線断面図である。図11は図7のXI−XI線断面図である。
給気口200は、建物の外部から室内に空気を供給するための物品であり、一般的には壁面あるいは天井に設置される。給気口200は、壁内または天井内に取り付けられる円筒状の本体210と、この本体210内でフィルタ100を支持するための支持体220と、室内側において給気口200の流路を開閉するための蓋として機能する板状のパネル230とを備える。フィルタ100も給気口200の一構成要素になり得る。
本体210の円筒状の部分は、空気が流れる流路211を形成する。流路211の径、すなわち本体210の内壁212の径は通常10〜20cmに設定されるが、流路の径はこの範囲に限定されない。本体210の一端(内側端部)には、本体210を壁面または天井面に固定するための矩形状のフランジ213が形成され、本体210は、このフランジ213が存在する端部が室内側に位置するように壁または天井に固定される。本体の外側端部の中心には、後述する支持体220の軸部221を受け入れる受け部214が設けられ、この受け部214は内壁212から中心に向かって延びる複数の上流支持棒215により支えられる。この上流支持棒215は、流入してくる空気を受けるフィルタ100の上流面(フィルタ主面)103を支持する役割も担う。受け部214の外側(室外側)にはテーパ状(弾丸状)のキャップ216が取り付けられる。
なお、本明細書では、給気口200について説明する際に必要に応じて「内側」「外側」という用語を用いる。用語「内側」は、給気口200が建物に取り付けられた場面での室内側を意味し、用語「外側」は、当該場面での屋外側を意味する。
支持体220は、流路211の中央付近を通るように取り付けられる軸部221と、この軸部221に該軸部221と直交するように設けられる円形の支持枠222と、軸部221に取り付けられたフィルタ100のコア101と接することになる複数の小さな突起部225とを備える。支持枠222は、内壁212の径よりも小さな径を有する円形の外枠223と、軸部221からその外枠223に向かって放射状に延びる複数の下流支持棒224とを備える。下流支持棒224は、フィルタ主面(上流面)103と反対側の面であるフィルタの下流面を支持する。この下流面は、フィルタ100内を通過してきた空気、すなわち、濾過された空気が流れ出る面である。
フィルタ主面103と向き合う上流支持棒215の側は該フィルタ主面103に当たるので、フィルタ主面103のうちその上流支持棒215に接触する部分は、流入してくる空気を受けないことになる。フィルタ主面103のなるべく広い範囲が空気を受けることができるように、上流支持棒215は、フィルタ主面103に向かって窄むテーパ状の部分を含む。
このようなテーパ状の上流支持棒215の例を、上流支持棒215の断面形状を示す図10を参照しながら説明する。図10の各パターンにおいて、矢印Rはフィルタ主面103が存在する方向を示し、距離wは流路211の延び方向(以下ではこれを「支持棒の幅方向」ともいう)における断面形状の最大長さを示し、距離hは流路211の径方向または周方向(以下ではこれを「支持棒の高さ方向」ともいう)における断面形状の最大長さである。距離(最大幅)wは距離(最大高さ)hよりも大きい。
図10に示すパターンAでは、断面形状は、最大高さhを有する幅方向の中央部から両端部にかけて窄むテーパ状を呈する。テーパ部分を形成する外縁は、断面形状の内側に向かって凸であるように湾曲している。パターンBでは、断面形状はレンズ形である。テーパ部分を形成する外縁は、断面形状の外側に向かって凸であるように湾曲している。パターンCでは断面形状は菱形である。パターンDはパターンAの変形であり、幅方向における端部が高さ方向に沿って一定の厚みを有する形状を示す。このパターンDに示すように、幅方向における端部が尖る必要はない。
パターンA〜Dではいずれも断面形状が線対称であるが、断面形状は線対称でなくてもよい。線対称でない断面形状の例をパターンE〜Hとして示す。これらの4パターンではいずれも、断面形状は、フィルタ主面103が存在する方向Rに向かって窄むテーパ状を呈する。パターンEでは、断面形状は略二等辺三角形であるともいうことができ、上流支持棒215の幅方向に沿って延びる二つの外縁は、パターンAと同様に、断面形状の内側に向かって凸であるように湾曲している。パターンFでは、断面形状は弾丸状であるとも言うことができ、上流支持棒215の幅方向に沿って延びる二つの外縁は、パターンBと同様に、断面形状の外側に向かって凸であるように湾曲している。パターンGでは、断面形状は略直角三角形であり、フィルタ主面103と向き合う端部は尖っておらず、高さ方向に沿って一定の厚みを有する。パターンHでは、断面形状は略二等辺三角形であり、パターンGと同様に、フィルタ主面103と向き合う端部は尖っていない。
上流支持棒215の断面形状はこれらに限定されるものではなく、フィルタ主面103に向かって窄むテーパ状の部分を含みかつ最大幅wが最大高さhよりも大きい限り、任意の形状であり得る。例えば、断面形状は楕円でもよいし平行四辺形でもよい。
パネル230は、支持体220の内側端部に着脱可能に取り付けられる。パネル230が押される度に、本体210に対する支持体220の長さが流路211の延び方向に沿って変化し、流路211が開いたり閉まったりする。流路211の開状態は、「閉塞→半開→全開→閉塞→…」などのように段階的に変化してもよい。
使用者は支持体220を本体210から外す。この際に使用者はパネル230を支持体220から外してもよい。そして、使用者は支持体220の外側端部からフィルタ100のコア101を軸部221に通し、フィルタ100を支持枠222まで動かすことで、フィルタ100を支持体220に取り付ける。このとき、コア101の内側に突起部225が位置することになるので、フィルタ100が支持体220に対してきつく固定され、軸部221の延び方向におけるフィルタ100のずれが防止される。そして、使用者は支持体220を本体210に取り付け、パネル230を支持体220から外していた場合にはさらにパネル230を支持体220に取り付ける。このとき、フィルタ100のフィルタ主面103は上流支持棒215に接し、フィルタ100の下流面は下流支持棒224に接する。すなわち、フィルタ100は上流支持棒215と下流支持棒224とにより挟まれたかたちで固定される。フィルタ100の交換の際には、使用者は支持体220を本体210から外してフィルタ100を支持体220から抜いた後に、上記と同様の手順で新しいフィルタ100を給気口200に取り付ければよい。
フィルタ100は、フィルタ層102の外周部に固定手段を設けることなく、コア101が軸部221に嵌められることで本体210内で固定される。したがって、フィルタ層102を給気口200に取り付けた際には、流入してくる空気を実際に受けるフィルタ主面103の流路面積を従来よりも増大させることができる。
従来のようにフィルタの外周部を本体に対して固定させようとすると、図11に示す領域G内に何らかの固定手段(例えば、フィルタと本体とを係合させるための爪および爪受けなど)が配されるので、当該領域Gにおいてフィルタ層102の一部が隠れてしまう。そのため、給気口200の流路に対して固定手段の寸法の分だけ外径が小さなフィルタを用いることになり、その分、フィルタ主面103の流路面積が減少してしまう。しかし、本実施形態では、領域Gにはフィルタ層102を隠すような他の構成要素が存在しないので、フィルタ層102の外周部は何にも遮られず、したがって、フィルタ層102の他の部分と同様に集塵機能を発揮する。
以上説明したように、本発明の一側面に係る給気口は、建物の外部から室内に空気を供給する給気口であって、空気の流路を形成する本体と、フィルタを本体内で固定するための軸部とを備え、フィルタが、貫通口が形成されたコアと、複数の突起を有するシートが該コアに巻かれることで形成されたフィルタ層とを有し、フィルタ層の外周部に固定手段を設けることなく、コアを軸部に嵌めることで、フィルタが本体内で固定される。
このような側面においては、フィルタのコアを軸部に嵌めることでフィルタが本体内で固定され、この際に、フィルタの外周部には固定手段が設けられない。このように、フィルタの形成のために必要なコアを給気口の本体への固定手段としても用いることで、フィルタの外周部に対する制約がなくなり、流入してくる空気を実際に受けるフィルタ主面の面積を稼ぐことができる。その結果、給気口のフィルタの捕集力をより高めることが可能になる。
他の側面に係る給気口では、フィルタの外周面が本体の内壁に接してもよい。
この場合にはフィルタ層と本体の内壁との間に隙間が生じないので、空気中の粒子をフィルタで確実に捕らえることができる。
他の側面に係る給気口では、フィルタの外周面と本体の内壁との間に空間が形成されてもよい。
この場合には、フィルタの外周面の外側に生じた隙間を空気が円滑に流れるので、フィルタの圧力損失を下げつつ空気中の粒子をフィルタで捕らえることができる。
他の側面に係る給気口では、軸部の延長線上に、かつフィルタよりも建物の外側に設けられるキャップをさらに備え、キャップが、建物の外側に向けて窄むテーパ状(例えば、弾丸形状や流線形状など)を呈してもよい。
このようなキャップが設けられることで、流入口付近における乱流が抑えられ、給気口に流入する空気が流路の径方向に沿って円滑に広がるので、フィルタの主面の広い範囲でその空気を受けることができる。このようなキャップを設けない場合には、空気が主に流路の中心付近を流れるので、図12(a)に示すようにフィルタ100の中心付近でのみ粒子が捕集されてフィルタ100の外周部が有効に機能しない傾向がある。しかし、キャップを設けることで内壁に近い部分でも空気が流れるので、図12(b)に示すように、フィルタ100の広い範囲(例えばフィルタ100のほぼ全域)で粒子を捕集することができる。
他の側面に係る給気口では、軸部上に、フィルタのずれを防止するための突起部が設けられてもよい。
突起部を設けることで、フィルタが軸部に沿って自然に(例えば風圧により)動くことをより確実に防止することができる。
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
上記実施形態では、上流支持棒215の延び方向において断面形状は一様であったが、上流支持棒215は、フィルタ主面103との間に空間を形成する少なくとも一つの切欠き部を備えてもよい。図13は、個々の上流支持棒215Aが複数の切欠き部217を有する例を示し、この場合には、上流支持棒215Aは櫛歯状を呈するともいうことができる。切欠き部217を形成する面はフィルタ主面103に接しないので、切欠き部217における断面形状は、フィルタ主面103に向かって窄むテーパ状でなくてもよい。上流支持棒215Aを含む本体210Aの他の部分の構成は、上記実施形態における本体210と同じである。
上記実施形態では、上流支持棒215の任意の断面形状が、フィルタ主面103に向かって窄むテーパ状であったが、延び方向に沿った支持棒の一部のみがそのようなテーパ状であってもよい。また、複数の支持棒のうち一部の支持棒のみがそのようなテーパ状の部分を有してもよい。
上記実施形態では、給気口200が下記の二つの要素A,Bを有していたが、給気口200はこれらの2要素のうちのどちらか一方のみを有してもよい。
A.フィルタ層102の外周部に固定手段を設けることなく、コア101を軸部221に嵌めることでフィルタ100を本体210内に固定すること。
B.上流支持棒215の少なくとも一部が、フィルタ主面103に向かって窄むテーパ状を呈し、上流支持棒215の断面形状において、流路211の延び方向における該断面形状の最大長さが、流路211の径方向または周方向における該断面形状の最大長さよりも大きいこと。
A.フィルタ層102の外周部に固定手段を設けることなく、コア101を軸部221に嵌めることでフィルタ100を本体210内に固定すること。
B.上流支持棒215の少なくとも一部が、フィルタ主面103に向かって窄むテーパ状を呈し、上流支持棒215の断面形状において、流路211の延び方向における該断面形状の最大長さが、流路211の径方向または周方向における該断面形状の最大長さよりも大きいこと。
給気口200が要素Aを有する場合には、フィルタのコアを軸部に嵌めることでフィルタが本体内で固定され、この際に、フィルタの外周部には固定手段が設けられない。このように、フィルタの形成のために必要なコアを給気口の本体への固定手段としても用いることで、フィルタの外周部に対する制約がなくなり、流入してくる空気を実際に受けるフィルタ主面の面積を稼ぐことができる。その結果、給気口のフィルタの捕集力をより高めることが可能になる。
給気口200が要素Bを有する場合には、建物の外側からフィルタを支持する支持棒の少なくとも一部が、フィルタの主面に向かって窄むテーパ状を呈するので、このようなテーパ形状を有さない従来の支持棒を用いる場合と比較して、フィルタ主面のうち支持棒で遮られない部分の面積を増やすことができる。加えて、この支持棒の断面形状は全体として、流路の延び方向に沿って長く設定され、これは、流路の径方向または周方向に沿った支持棒の寸法を抑制することを意味する。これらの要因により、流入してくる空気を実際に受けるフィルタ主面の面積が増えるので、給気口のフィルタの捕集力をより高めることができる。
上記のフィルタ100は、少なくとも1枚のシート10を巻くことで形成される複数の層を有する。このようなフィルタ100の構造上、空気はフィルタ主面103とほぼ直交する角度から流入し、フィルタ主面103に対して斜めの角度からは流入しない。したがって、上流支持棒215にテーパ状の部分を設けるだけでなく、上流支持棒215の高さをその幅よりも小さく抑えることで、空気の流入方向に対して面するフィルタ主面103の面積を稼ぐことができる。
上記実施形態では給気口200がキャップ216を備えたが、このキャップ216は省略可能である。
上記実施形態ではフィルタ100は帯電フィルタであったが、本発明に係る給気口は、エレクトレット処理が施されていないフィルタと共に用いられてもよい。
10…シート、11…ベース、20…突起、21…茎部、22…傘部、100…フィルタ、101…コア、102…フィルタ層、103…フィルタ主面、200…給気口、210,210A…本体、211…流路、212…内壁、215…上流支持棒、216…キャップ、217…切欠き部、220…支持体、221…軸部、224…下流支持棒、230…パネル。
Claims (5)
- 建物の外部から室内に空気を供給する給気口であって、
前記空気の流路を形成する本体と、
フィルタを前記本体内で固定するための軸部と
を備え、
前記フィルタが、貫通口が形成されたコアと、複数の突起を有するシートが該コアに巻かれることで形成されたフィルタ層とを有し、
前記フィルタ層の外周部に固定手段を設けることなく、前記コアを前記軸部に嵌めることで、前記フィルタが前記本体内で固定される、
給気口。 - 前記フィルタの外周面が前記本体の内壁に接する、
請求項1に記載の給気口。 - 前記フィルタの外周面と前記本体の内壁との間に空間が形成された、
請求項1に記載の給気口。 - 前記軸部の延長線上に、かつ前記フィルタよりも前記建物の外側に設けられるキャップをさらに備え、
前記キャップが、前記建物の外側に向けて窄むテーパ状を呈する、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の給気口。 - 前記軸部上に、前記フィルタのずれを防止するための突起部が設けられた、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の給気口。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014201466A JP2016070610A (ja) | 2014-09-30 | 2014-09-30 | 給気口 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018031559A (ja) * | 2016-08-26 | 2018-03-01 | 木村工機株式会社 | 空気調和システム |
JP2018031560A (ja) * | 2016-08-26 | 2018-03-01 | 木村工機株式会社 | 空気式誘引放射ユニット |
CN112090179A (zh) * | 2020-04-08 | 2020-12-18 | 成都易态科技有限公司 | 过滤器 |
JPWO2020044490A1 (ja) * | 2018-08-30 | 2021-08-26 | 佐伯 午郎 | 吸気口用フィルタ |
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- 2014-09-30 JP JP2014201466A patent/JP2016070610A/ja active Pending
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