JP2016069638A - 末端変性ポリアミド樹脂およびその製造方法 - Google Patents

末端変性ポリアミド樹脂およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた成形加工性を有する末端変性ポリアミド樹脂の提供。【解決手段】式(I)で表される末端構造を有し、樹脂濃度0.01g/mlの98%硫酸溶液の25℃における相対粘度(ηr)が1.5〜10である末端変性ポリアミド樹脂。(nは2〜100;R1は1価の脂肪族又は芳香族炭化水素基若しくはアルコキシ基;R2及びR3は1価の脂肪族又は芳香族炭化水素基;R4及びR5は1価の脂肪族又は芳香族炭化水素基若しくはポリシロキシ基;Xは2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基若しくは2価の炭化水素エーテル;Yは−NH−、−O−、−C(=O)−、−NH−C(=O)−、—CH(OH)−CH2−又は−CH2−CH(OH)−)【選択図】なし

Description

本発明は、特定の末端構造を有する、溶融粘度が低い末端変性ポリアミド樹脂に関するものである。
ポリアミド樹脂は、優れた機械特性、熱特性などを有するため、繊維、各種容器、フィルム、電気・電子機器部品、自動車部品、機械部品など様々な成形品の材料として幅広く使用されている。
近年では、成形品の小型化、複雑化、薄肉化、軽量化に対する要求が高まっており、成形加工性に優れ、かつ、機械特性に優れる材料開発が求められている。また、成形加工温度の低下や成形サイクルの短縮の観点から、環境負荷低減やエネルギーコスト削減にも寄与する成形加工性の向上が求められている。一般的に、ポリアミド樹脂の分子量が増大するにしたがって機械特性も向上することが知られているが、同時にポリアミド樹脂の溶融粘度も増大するため、成形加工性が低下してしまうという側面があった。
これまでに、機械的性質および成形性に優れたポリアミド樹脂として、末端に炭素数6〜22の炭化水素基を有する相対粘度が2.5〜6であるポリアミド樹脂が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、耐熱性、機械的強度、磁気特性および成形流動性に優れたポリアミド樹脂組成物として、磁性粉末および分子量が140以上のモノカルボン酸を含有する半芳香族ポリアミドであって、半芳香族ポリアミドにおける、分子量140以上のモノカルボン酸の含有量が1〜8質量%であることを特徴とする半芳香族ポリアミド樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開昭61−163935号公報 特開2014−101494号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載されたポリアミド樹脂や半芳香族ポリアミド樹脂組成物では、近年の成形品の小型化、複雑化、薄肉化、軽量化の要求に対して、なお溶融粘度が高く、成形加工性が不十分である課題があった。
本発明は、優れた成形加工性を有する末端変性ポリアミド樹脂を提供することを課題とする。
本発明者らは、ポリアミド樹脂の溶融粘度低減を達成すべく、特に分子の絡み合いに着目して検討した結果、ポリアミド樹脂の末端にポリシロキサン構造を導入することにより、溶融粘度を低減することができることを見出した。
すなわち、本発明は以下の構成を有する。
(1)下記一般式(I)で表される末端構造を有し、樹脂濃度0.01g/mlの98%硫酸溶液の25℃における相対粘度(ηr)が1.5〜10である末端変性ポリアミド樹脂。
Figure 2016069638
上記一般式(I)中、nは2〜100の範囲を表す。Rは炭素数1〜10の1価の脂肪族または芳香族炭化水素基もしくは炭素数1〜10のアルコキシ基、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1〜10の1価の脂肪族または芳香族炭化水素基、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1〜10の1価の脂肪族または芳香族炭化水素基もしくは下記一般式(II)で表される構造、Xは炭素数2〜10の2価の脂肪族または芳香族炭化水素基もしくは炭素数2〜10の2価の炭化水素エーテル、Yは−NH−、−O−、−C(=O)−、−NH−C(=O)−、―CH(OH)−CH−または−CH−CH(OH)−を表す。n個のRおよびRはそれぞれ同じでも異なってもよい。
Figure 2016069638
上記一般式(II)中、mは2〜100の範囲を表す。Rは炭素数1〜10の1価の脂肪族または芳香族炭化水素基もしくは炭素数1〜10のアルコキシ基、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1〜10の1価の脂肪族または芳香族炭化水素基を表す。m個のRおよびRはそれぞれ同じでも異なってもよい。
(2)前記一般式(I)中、R、RおよびRがそれぞれ独立に炭素数1〜10の1価の脂肪族または芳香族炭化水素基である(1)に記載の末端変性ポリアミド樹脂。
(3)末端変性ポリアミド樹脂中、前記一般式(I)で表される末端構造を0.002〜0.20mmol/g含む(1)または(2)に記載の末端変性ポリアミド樹脂。
(4)末端変性ポリアミド樹脂中、前記一般式(I)で表される末端構造を0.05〜20重量%含む(1)〜(3)のいずれかに記載の末端変性ポリアミド樹脂。
(5)末端変性ポリアミド樹脂中、前記一般式(I)で表される末端構造を0.1〜10重量%含む(4)に記載の末端変性ポリアミド樹脂。
(6)ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した重量平均分子量Mwが20,000〜400,000である(1)〜(5)のいずれかに記載の末端変性ポリアミド樹脂。
(7)アミノ酸、ラクタムもしくはジアミンおよびジカルボン酸を重合する際に、下記一般式(III)で表される末端変性化合物を添加して、ポリアミド樹脂の末端に末端変性化合物を結合させる(1)〜(6)のいずれかに記載の末端変性ポリアミド樹脂の製造方法。
Figure 2016069638
上記一般式(III)中、nは2〜100の範囲を表す。Rは炭素数1〜10の1価の脂肪族または芳香族炭化水素基もしくは炭素数1〜10のアルコキシ基、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1〜10の1価の脂肪族または芳香族炭化水素基、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1〜10の1価の脂肪族または芳香族炭化水素基もしくは下記一般式(II)で表される構造、Xは炭素数2〜10の2価の脂肪族または芳香族炭化水素基もしくは炭素数2〜10の2価の炭化水素エーテル、Zは−NH、−OH、−C(=O)−OH、−N=C=Oまたは下記構造式(IV)で表される構造を示す。n個のRおよびRはそれぞれ同じでも異なってもよい。
Figure 2016069638
上記一般式(II)中、mは2〜100の範囲を表す。Rは炭素数1〜10の1価の脂肪族または芳香族炭化水素基もしくは炭素数1〜10のアルコキシ基、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1〜10の1価の脂肪族または芳香族炭化水素基を表す。m個のRおよびRはそれぞれ同じでも異なってもよい。
(8)前記一般式(III)中、R、RおよびRがそれぞれ独立に炭素数1〜10の1価の脂肪族または芳香族炭化水素基である(7)に記載の末端変性ポリアミド樹脂の製造方法。
本発明の末端変性ポリアミド樹脂は、溶融粘度が低いため成形加工性に優れる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における末端変性ポリアミド樹脂は、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸を主たる原料とするポリアミド樹脂であって、前記一般式(I)で表される末端構造を有するものである。ポリアミド樹脂の主たる構造単位を構成する原料の代表例としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカンジアミン、ウンデカンジアミン、ドデカンジアミン、トリデカンジアミン、テトラデカンジアミン、ペンタデカンジアミン、ヘキサデカンジアミン、ヘプタデカンジアミン、オクタデカンジアミン、ノナデカンジアミン、エイコサンジアミン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、2−メチル−1,8−ジアミノオクタンなどの脂肪族ジアミン、シクロヘキサンジアミン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタンなどの脂環式ジアミン、キシリレンジアミンなどの芳香族ジアミンなどのジアミン、シュウ酸、スクシン酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸や、これらジカルボン酸のジアルキルエステル、ジクロリドなどが挙げられる。本発明においては、これらの原料から誘導されるポリアミドホモポリマーまたはコポリマーを用いることができる。かかるポリアミド樹脂を2種以上用いてもよい。本発明においては、耐熱性および結晶性を向上させる観点から、これらの原料に由来する構造単位を、一般式(I)で表される末端構造を除いたポリアミド樹脂を構成する全構造単位中80モル%以上有することが好ましく、90モル%以上有することがより好ましく、100モル%有することがさらに好ましい。
本発明の末端変性ポリアミド樹脂は、下記一般式(I)で表される末端構造を有する。下記一般式(I)で表される構造は、シロキサン結合を有するため分子運動性が高い。分子運動性の指標として、ガラス転移温度(Tg)が挙げられ、Tgが低いほど分子運動性が高いと考えられる。例えば、置換基がなく最も単純な構造のポリマーであるポリエチレンのTgは−24〜−21℃であるのに対し、ポリジメチルシロキサンのTgは−125℃であり、ポリエチレンより分子運動性が高い。本発明においては、下記一般式(I)で表される構造をポリアミド樹脂の末端に有することにより、元々分子運動性の高い末端部の分子運動性をさらに高くすることができるとともに、分子運動性の高い末端部が、ポリアミド分子鎖の間に存在して自由体積を増加させ、絡み合いを減少させることができる。その結果、ポリアミド樹脂の分子運動性が大幅に増大し、溶融粘度を低減して成形加工性を向上させることができる。また、ナイロン66においては、末端に下記一般式(I)で表されるような、分子運動性の高い構造を有することで、降温結晶化温度(Tc)を高くすることができる。ポリアミド樹脂の主たる構造単位に由来する特性を維持する観点から、下記一般式(I)で表される構造を末端のみに有することが好ましい。
Figure 2016069638
上記一般式(I)中、nは2〜100の範囲を表す。nが2未満であると、溶融粘度の低減効果が低く、成形加工性向上効果が不十分となる。nは5以上が好ましく、8以上がより好ましい。一方、nが100を越えると、ポリアミド樹脂との親和性が小さくなり、末端に導入することが困難となる。nは70以下が好ましく、50以下がより好ましい。
上記一般式(I)中、Rは炭素数1〜10の1価の脂肪族または芳香族炭化水素基もしくは炭素数1〜10のアルコキシ基を示す。Rはポリアミド樹脂の主たる構造単位との親和性の観点から、炭素数1〜6の1価の炭化水素基または炭素数1〜6のアルコキシ基がより好ましく、炭素数1〜4の1価の炭化水素基または炭素数1〜4のアルコキシ基がより好ましい。末端変性ポリアミド樹脂の熱安定性および着色防止の観点から、炭化水素基としては、飽和脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が好ましい。Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基などが挙げられる。
上記一般式(I)中、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1〜10の1価の脂肪族または芳香族炭化水素基を示す。n個のRおよびRはそれぞれ同じでも異なってもよい。RおよびRはポリアミド樹脂の主たる構造単位との親和性の観点から、炭素数1〜6の1価の炭化水素基がより好ましく、炭素数1〜4の1価の炭化水素基がより好ましい。末端変性ポリアミド樹脂の熱安定性および着色防止の観点から、炭化水素基としては、飽和脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が好ましい。RおよびRとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、フェニル基などが挙げられる。
上記一般式(I)中、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1〜10の1価の脂肪族または芳香族炭化水素基もしくは下記一般式(II)で表される構造を示す。RおよびRはポリアミド樹脂の主たる構造単位との親和性の観点から、炭素数1〜6の1価の炭化水素基がより好ましく、炭素数1〜4の1価の炭化水素基がより好ましい。末端変性ポリアミド樹脂の熱安定性および着色防止の観点から、炭化水素基としては、飽和脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が好ましい。RおよびRとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、フェニル基、下記一般式(II)で表される構造などが挙げられる。
Figure 2016069638
上記一般式(II)中、mは2〜100の範囲を表す。Rは炭素数1〜10の1価の脂肪族または芳香族炭化水素基もしくは炭素数1〜10のアルコキシ基、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1〜10の1価の脂肪族または芳香族炭化水素基を表す。m個のRおよびRはそれぞれ同じでも異なってもよい。Rはポリアミド樹脂の主たる構造単位との親和性の観点から、炭素数1〜6の1価の炭化水素基または1価の炭素数1〜6のアルコキシ基がより好ましく、炭素数1〜4の1価の炭化水素基または炭素数1〜4のアルコキシ基がより好ましい。RおよびRはポリアミド樹脂の主たる構造単位との親和性の観点から、炭素数1〜6の1価の炭化水素基がより好ましく、炭素数1〜4の1価の炭化水素基がより好ましい。末端変性ポリアミド樹脂の熱安定性および着色防止の観点から、炭化水素基としては、飽和脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が好ましい。Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基などが挙げられ、RおよびRとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、フェニル基などが挙げられる。
上記一般式(I)中、Xは炭素数2〜10の2価の脂肪族または芳香族炭化水素基もしくは炭素数2〜10の2価の炭化水素エーテルを表す。ここで、2価の炭化水素エーテルとしては、−(CH−O−(CH−で表され、2≦p+q≦10である基が好ましい。
上記一般式(I)中、Yは−NH−、−O−、−C(=O)−、−NH−C(=O)−、―CH(OH)−CH−または−CH−CH(OH)−を表す。ポリアミド樹脂の主たる構造単位との親和性に優れるため、−Y−は−NH−、−O−、−C(=O)−がより好ましい。また、ポリアミド樹脂のカルボキシル末端を変性した末端変性ポリアミド樹脂の場合、Yは−NH−または−O−が好ましく、ポリアミド樹脂のアミン末端を変性した末端変性ポリアミド樹脂の場合、Yは−C(=O)−が好ましい。
本発明の末端変性ポリアミド樹脂は、上記一般式(I)で表される末端構造を、少なくとも一部のポリアミド樹脂末端に有する。上記一般式(I)で表される末端構造を末端変性ポリアミド樹脂1g中に0.002〜0.20mmol/g含むことが好ましい。末端変性ポリアミド樹脂1g中に上記一般式(I)で表される末端構造を0.002mmol/g以上含むことにより、末端変性ポリアミド樹脂の溶融粘度をより低減し、成形加工性をより向上させることができる。0.004mmol/g以上がより好ましい。一方、末端変性ポリアミド樹脂1g中に上記一般式(I)で表される末端構造を0.20mmol/g以下含むことにより、より高分子量の末端変性ポリアミド樹脂を容易に得ることができる。0.15mmol/g以下がより好ましく、0.10mmol/g以下がさらに好ましい。ここで、上記一般式(I)で表される末端構造の末端変性ポリアミド樹脂に対する導入量Rc(mmol/g)は、末端変性ポリアミド樹脂の構造を特定し、H−NMR測定によって求めることができる。末端変性ポリアミド樹脂の濃度16mg/mL重水素化硫酸溶液を調製し、積算回数128回にてH−NMR測定を実施し、ポリアミド末端変性ポリアミド樹脂の構造を同定した上で、末端構造を除く構造単位に由来するピークと、上記一般式(I)で表される末端構造に由来するピークを同定する。続いて、各ピークの積分強度を算出し、算出した積分強度と、構造単位中および末端構造中の水素原子数とから、Rcを算出することができる。
本発明の末端変性ポリアミド樹脂は、上記一般式(I)で表される末端構造を、末端変性ポリアミド樹脂100重量%中0.05〜20重量%含むことが好ましい。末端変性ポリアミド樹脂中に上記一般式(I)で表される末端構造を0.05重量%以上含むことにより、末端変性ポリアミド樹脂の溶融粘度をより低減し、成形加工性をより向上させることができる。0.08重量%以上がより好ましく、0.1重量%以上がさらに好ましく、1.0重量%以上が最も好ましい。一方、末端変性ポリアミド樹脂中に上記一般式(I)で表される末端構造を20重量%以下含むことにより、より高分子量の末端変性ポリアミド樹脂を容易に得ることができる。15重量%以下がより好ましく、10重量%以下がさらに好ましい。ここで、上記一般式(I)で表される末端構造の末端変性ポリアミド樹脂に対する導入量は、上記Rc(mmol/g)と一般式(I)で表される末端構造の化学式量から求めることができる。
本発明の末端変性ポリアミド樹脂の融点(Tm)は、200℃以上であることが好ましい。ここで、末端変性ポリアミド樹脂の融点は、示差走査熱量測定(DSC)により求めることができる。末端変性ポリアミド樹脂5〜7mgを秤量し、窒素雰囲気下、20℃から昇温速度20℃/minで昇温したときに観測される吸熱ピークの温度(T)+30℃まで昇温して溶融状態とした後、引き続き降温速度20℃/minで20℃まで降温し、再度20℃から昇温速度20℃/minでT+30℃まで昇温したときに現れる吸熱ピークのピークトップを融点(Tm)と定義する。
融点が200℃以上の末端変性ポリアミド樹脂としては、例えば、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリペンタメチレンアジパミド(ポリアミド56)、ポリテトラメチレンセバカミド(ポリアミド410)、ポリペンタメチレンセバカミド(ポリアミド510)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリデカメチレンセバカミド(ナイロン1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ナイロン1012)、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)、ポリメタキシリレンセバカミド(MXD10)、ポリパラキシリレンセバカミド(PXD10)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ポリアミド9T)、ポリデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド10T)、ポリウンデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド11T)、ポリドデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド12T)、ポリペンタメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ポリアミド5T/6T)、ポリ−2−メチルペンタメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミドM5T/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6T/6I)、ポリキシリレンアジパミド(ポリアミドXD6)、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンテレフタルアミド(ポリアミドMACMT)、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンイソフタルアミド(ポリアミドMACMI)、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドMACM12)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンテレフタルアミド(ポリアミドPACMT)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンイソフタルアミド(ポリアミドPACMI)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドPACM12)およびこれらの共重合体の末端に前記一般式(I)で表される構造を有するものなどが挙げられる。耐熱性、靭性、表面性などの必要特性に応じて、これらを2種以上用いてもよい。
とりわけ好ましいものとしては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド56、ポリアミド410、ポリアミド510、ポリアミド610、ポリアミド6/66、ポリアミド6/12、ポリアミド9T、ポリアミド10Tなどの末端に前記一般式(I)で表される構造を有するものを挙げることができる。
本発明の末端変性ポリアミド樹脂は、樹脂濃度0.01g/mlの98%硫酸溶液の25℃における相対粘度(ηr)が1.5〜10の範囲であることが必要である。ηrが1.5未満の場合、機械特性が低下する。2.0以上が好ましく、2.4以上がより好ましい。一方、ηrが10を越える場合、溶融粘度が高く、成形加工性が低下する。8.0以下が好ましく、6.0以下がより好ましい。
本発明において、ηrを上記範囲とする方法としては、例えば、後述する末端変性ポリアミド樹脂の製造方法において、原料であるアミノ酸、ラクタム、ジカルボン酸、ジアミンおよび後述する末端変性化合物を、これらの総アミノ基量[NH]と総カルボキシル量[COOH]の比([NH]/[COOH])が後述する好ましい範囲となるように原料を配合する方法などが挙げられる。
本発明の末端変性ポリアミド樹脂の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した重量平均分子量(Mw)は、20,000以上であることが好ましい。Mwを20,000以上とすることにより、機械特性をより向上させることができる。30,000以上であることがさらに好ましく、50,000以上であることが特に好ましい。また、Mwは40万以下であることが好ましい。Mwを40万以下とすることで、溶融粘度をより低減し、成形加工性をより向上させることができる。30万以下であることがさらに好ましく、25万以下であることが特に好ましい。なお、本発明における重量平均分子量(Mw)は、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノール(0.005N−トリフルオロ酢酸ナトリウム添加溶液)を用い、カラムとしてShodex HFIP−806M(2本)およびHFIP−LGを用い、分子量校正基準としてポリメチルメタクリレートを用いて、30℃でGPC測定することによって得られる平均分子量を表す。
本発明において、Mwを上記範囲とする方法としては、例えば、後述する末端変性ポリアミド樹脂の製造方法において、原料であるアミノ酸、ラクタム、ジカルボン酸、ジアミンおよび後述する末端変性化合物の総アミノ基量[NH]と総カルボキシル量[COOH]の比([NH]/[COOH])が後述する好ましい範囲となるように原料を配合する方法などが挙げられる。
本発明の末端変性ポリアミド樹脂は、下記式(V)で定義される溶融粘度比が80%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましく、50%以下であることが特に好ましい。かかる溶融粘度比は、末端変性による溶融粘度の低減効果を表す指標であり、溶融粘度比を上記範囲にすることで、成形加工性をより向上させることができる。
溶融粘度比(%)={(末端変性ポリアミド樹脂の溶融粘度)/(末端変性ポリアミド樹脂と同等のMwを有する、末端変性されていないポリアミド樹脂の溶融粘度)}×100(%) (V)
ここで、末端変性ポリアミド樹脂と同等のMwを有する、末端変性されていないポリアミド樹脂とは、末端変性ポリアミド樹脂のMwの95%以上105%以下のMwを有するポリアミド樹脂を指す。溶融粘度低減効果を正しく評価するためには、末端変性ポリアミド樹脂のMwが、末端変性されていないポリアミド樹脂のMwの100%に近いほど好ましい。また、溶融粘度はレオメータ測定装置を用いて求めることができる。末端変性ポリアミド樹脂または末端変性されていないポリアミド樹脂を80℃真空乾燥器中で12時間以上乾燥した後、0.5gを測り取り、窒素雰囲気下、下記測定温度で5分間溶融する。続いて、25φパラレルプレートを使用して、ギャップ間距離0.5mm、振動モード、振り角1%、周波数0.527Hzの条件において溶融粘度を測定する。なお、溶融粘度は測定する温度によって異なるため、本発明においては、末端変性ポリアミド樹脂の融点(Tm)を基準として、Tm+20℃〜50℃の範囲の任意の1点を測定温度とする。
本発明において、溶融粘度比を上記範囲とする手段としては、例えば、前記一般式(I)で表される末端構造を、前述の好ましい範囲有することなどが挙げられる。
次に、本発明の末端変性ポリアミド樹脂の製造方法について説明する。本発明の末端変性ポリアミド樹脂は、例えば、ポリアミド樹脂の原料と下記一般式(III)で表される末端変性化合物とを重合時に反応させる方法や、ポリアミド樹脂と末端変性化合物とを溶融混練する方法などが挙げられる。重合時に反応させる方法としては、例えば、ポリアミド樹脂の原料と末端変性化合物をあらかじめ混合した後、加熱して縮合を進行させる方法や、主成分となる原料の重合途中に末端変性化合物を添加して結合させる方法などが挙げられる。
Figure 2016069638
上記一般式(III)中、nは2〜100の範囲を表す。Rは炭素数1〜10の1価の脂肪族または芳香族炭化水素基もしくは炭素数1〜10のアルコキシ基を示す。Rはポリアミド樹脂の主たる構造単位との親和性の観点から、炭素数1〜6の1価の炭化水素基または炭素数1〜6のアルコキシ基がより好ましく、炭素数1〜4の1価の炭化水素基または炭素数1〜4のアルコキシ基がより好ましい。末端変性ポリアミド樹脂の熱安定性および着色防止の観点から、炭化水素基としては、飽和脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が好ましい。Rとしては、例えば、一般式(I)におけるRとして例示した基が挙げられる。
上記一般式(III)中、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1〜10の1価の脂肪族または芳香族炭化水素基を示す。n個のRおよびRはそれぞれ同じでも異なってもよい。RおよびRはポリアミド樹脂の主たる構造単位との親和性の観点から、炭素数1〜6の1価の炭化水素基がより好ましく、炭素数1〜4の1価の炭化水素基がより好ましい。末端変性ポリアミド樹脂の熱安定性および着色防止の観点から、炭化水素基としては、飽和脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が好ましい。RおよびRとしては、例えば、一般式(I)におけるRおよびRとして例示した基が挙げられる。
上記一般式(III)中、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1〜10の1価の脂肪族または芳香族炭化水素基もしくは下記一般式(II)で表される構造を示す。RおよびRはポリアミド樹脂の主たる構造単位との親和性の観点から、炭素数1〜6の1価の炭化水素基がより好ましく、炭素数1〜4の1価の炭化水素基がより好ましい。末端変性ポリアミド樹脂の熱安定性および着色防止の観点から、RおよびRとしては、例えば、一般式(I)におけるRおよびRとして例示した基が挙げられる。
Figure 2016069638
上記一般式(II)中、mは2〜100の範囲を表す。Rは炭素数1〜10の1価の脂肪族または芳香族炭化水素基もしくは炭素数1〜10のアルコキシ基、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1〜10の1価の脂肪族または芳香族炭化水素基を表す。m個のRおよびRはそれぞれ同じでも異なってもよい。
上記一般式(III)中、Xは炭素数2〜10の2価の脂肪族または芳香族炭化水素基もしくは炭素数2〜10の2価の炭化水素エーテルを示す。ここで、2価の炭化水素エーテルとしては、−(CH−O−(CH−で表され、2≦p+q≦10である基が好ましい。
上記一般式(III)中、Zは−NH、−OH、−C(=O)−OH、−N=C=Oまたは下記構造式(IV)で表される構造を示す。
Figure 2016069638
ポリアミド樹脂の主たる構造単位との親和性に優れるため、Zは−NH、−OH、−C(=O)−OHがより好ましい。また、ポリアミド樹脂のカルボキシル末端と反応させる場合、−Zは−NHまたは−OHが好ましく、ポリアミド樹脂のアミン末端と反応させる場合、Zは−C(=O)−OHが好ましい。
上記一般式(III)で表される末端変性化合物の具体的な例としては、ポリ(ジメチルシロキサン)モノアミン、ポリ(ジメチルシロキサン)モノアルコール、ポリ(ジメチルシロキサン)モノカルボン酸、ポリ(ジメチルシロキサン)モノイソシアネート、ポリ(ジメチルシロキサン)モノグリシジルエーテル、ポリ(ジフェニルシロキサン)モノアミン、ポリ(ジフェニルシロキサン)モノアルコール、ポリ(ジフェニルシロキサン)モノカルボン酸、ポリ(ジフェニルシロキサン)モノイソシアネート、ポリ(ジフェニルシロキサン)モノグリシジルエーテル、ポリ(メチルフェニルシロキサン)モノアミン、ポリ(メチルフェニルシロキサン)モノアルコール、ポリ(メチルフェニルシロキサン)モノカルボン酸、ポリ(メチルフェニルシロキサン)モノイソシアネート、ポリ(メチルフェニルシロキサン)モノグリシジルエーテルなどが挙げられる。これらは直鎖型でもよいし、分岐型でもよい。これらを2種以上用いてもよい。
また、上記一般式(III)で表される末端変性化合物として、例えば、信越化学工業(株)製“信越シリコーン”(登録商標)X−22−170BX、X−22−170DX、X−22−170ASX、X−22−173BX、X−22−173DX、X−22−173ASX、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン(同)製TSF4701、TSF4700などを用いてもよい。
ポリアミド樹脂の原料と末端変性化合物とを重合時に反応させる方法により末端変性ポリアミド樹脂を製造する場合には、ポリアミド樹脂の融点以上で反応させる溶融重合法、ポリアミド樹脂の融点未満で反応させる固相重合法のいずれを用いてもよい。
ポリアミド樹脂の原料と末端変性化合物とを重合時に反応させる方法により末端変性ポリアミド樹脂を製造する際、必要に応じて、重合促進剤を添加することができる。重合促進剤としては、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸およびこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などの無機系リン化合物などが好ましく、特に亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウムが好適に用いられる。重合促進剤は、ポリアミド樹脂の原料(末端変性化合物を除く)100重量部に対して、0.001〜1重量部の範囲で使用することが好ましい。重合促進剤の添加量を0.001〜1重量部とすることで、機械特性と成形加工性のバランスにより優れる末端変性ポリアミド樹脂を得ることができる。
本発明において、末端変性ポリアミド樹脂のηrおよびMwを前述の好ましい範囲にするためには、原料であるアミノ酸、ラクタム、ジカルボン酸、ジアミンおよび末端変性化合物の総アミノ基量[NH]と総カルボキシル量[COOH]の比([NH]/[COOH])が0.95〜1.05となるように、これらの原料を配合することが好ましい。ここで、原料がラクタムである場合の[NH]および[COOH]は、アミド基を加水分解して得られうるアミノ基とカルボキシル基の量を指す。[NH]/[COOH]は0.98以上がより好ましく、0.99以上がさらに好ましい。一方、[NH]/[COOH]は1.02以下がより好ましく、1.01以下がさらに好ましい。なお、前記一般式(III)で表される末端変性化合物が−OH、−N=C=Oまたは前記構造式(IV)で表される構造を有する場合には、これらの官能基との反応に用いられるアミノ基およびカルボキシル基を除いた[NH]と[COOH]の比を、前記範囲に調整することが好ましい。
本発明の末端変性ポリアミド樹脂に、本発明の効果を損なわない範囲で、充填材、他種ポリマー、各種添加剤などを配合して、ポリアミド樹脂組成物を得ることができる。
充填材としては、一般に樹脂用フィラーとして用いられる任意のものを用いることができ、ポリアミド樹脂組成物から得られる成形品の強度、剛性、耐熱性、寸法安定性などをより向上させることができる。充填材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼酸アルミニウムウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの繊維状無機充填材、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、タルク、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、モンモリロナイト、アスベスト、アルミノシリケート、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、ガラスビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、シリカなどの非繊維状無機充填材が挙げられる。これらを2種以上配合してもよい。これら充填材は中空であってもよく、また、イソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤で処理されていてもよい。また、モンモリロナイトとして、有機アンモニウム塩で層間イオンをカチオン交換した有機化モンモリロナイトを用いてもよい。前記充填材の中でも、繊維状無機充填材が好ましく、ガラス繊維、炭素繊維がより好ましい。
他種ポリマーとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマーなどのエラストマーや、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ABS樹脂、SAN樹脂、ポリスチレンなどを挙げることができる。これらを2種以上配合してもよい。ポリアミド樹脂組成物から得られる成形品の耐衝撃性を向上するためには、オレフィン系化合物および/または共役ジエン系化合物を重合して得られる(共)重合体などの変性ポリオレフィン、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマーなどの耐衝撃性改良剤が好ましく用いられる。これらを2種以上配合してもよい。
上記(共)重合体としては、エチレン系共重合体、共役ジエン系重合体、共役ジエン−芳香族ビニル炭化水素系共重合体などが挙げられる。
エチレン系共重合体とは、エチレンと他の単量体との共重合体を指す。エチレンと共重合する他の単量体としては、例えば、炭素数3以上のα−オレフィン、非共役ジエン、酢酸ビニル、ビニルアルコール、α,β−不飽和カルボン酸およびその誘導体などが挙げられる。これらを2種以上共重合してもよい。
炭素数3以上のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1,3−メチルペンテン−1、オクタセン−1などが挙げられ、プロピレン、ブテン−1が好ましい。非共役系ジエンとしては、例えば、5−メチリデン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−クロチル−2−ノルボルネン、5−(2−メチル−2−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(2−エチル−2−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−メチル−5−ビニルノルボルネンなどのノルボルネン化合物、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、4,7,8,9−テトラヒドロインデン、1,5−シクロオクタジエン1,4−ヘキサジエン、イソプレン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、11−トリデカジエンなどが挙げられ、5−メチリデン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエンなどが好ましい。α,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ブテンジカルボン酸などが挙げられる。α,β−不飽和カルボン酸の誘導体としては、例えば、前記α,β−不飽和カルボン酸のアルキルエステル、アリールエステル、グリシジルエステル、酸無水物、イミドなどが挙げられる。
共役ジエン系重合体とは、少なくとも1種の共役ジエンを重合して得られる重合体を指す。共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられる。これらを2種以上共重合してもよい。また、これらの重合体の不飽和結合の一部または全部が水添により還元されていてもよい。
共役ジエン−芳香族ビニル炭化水素系共重合体とは、共役ジエンと芳香族ビニル炭化水素との共重合体を指し、ブロック共重合体でもランダム共重合体でもよい。共役ジエンとしては、共役ジエン系重合体の原料として先に例示したものが挙げられ、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。芳香族ビニル炭化水素としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられ、スチレンが好ましい。また、共役ジエン−芳香族ビニル炭化水素系共重合体の芳香環以外の二重結合以外の不飽和結合の一部または全部が水添により還元されていてもよい。
耐衝撃性改良剤の具体例としては、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン−1共重合体、エチレン/ヘキセン−1共重合体、エチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン/プロピレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、未水添または水添スチレン/イソプレン/スチレントリブロック共重合体、未水添または水添スチレン/ブタジエン/スチレントリブロック共重合体、エチレン/メタクリル酸共重合体およびこれら共重合体中のカルボン酸部分の一部または全てをナトリウム、リチウム、カリウム、亜鉛、カルシウムとの塩としたもの、エチレン/アクリル酸メチル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/メタクリル酸エチル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル−g−無水マレイン酸共重合体、(「g」はグラフトを表す、以下同じ)、エチレン/メタクリル酸メチル−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸エチル−g−マレイミド共重合体、エチレン/アクリル酸エチル−g−N−フェニルマレイミド共重合体およびこれら共重合体の部分ケン化物、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/ビニルアセテート/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/グリシジルアクリレート共重合体、エチレン/ビニルアセテート/グリシジルアクリレート共重合体、エチレン/グリシジルエーテル共重合体、エチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/ブテン−1−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/プロピレン/1,4−ヘキサジエン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/プロピレン/2,5−ノルボルナジエン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/プロピレン−g−N−フェニルマレイミド共重合体、エチレン/ブテン−1−g−N−フェニルマレイミド共重合体、水添スチレン/ブタジエン/スチレン−g−無水マレイン酸共重合体、水添スチレン/イソプレン/スチレン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/プロピレン−g−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/ブテン−1−g−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/プロピレン/1,4−ヘキサジエン−g−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエン−g−メタクリル酸グリシジル共重合体、水添スチレン/ブタジエン/スチレン−g−メタクリル酸グリシジル共重合体、ナイロン12/ポリテトラメチレングリコール共重合体、ナイロン12/ポリトリメチレングリコール共重合体、ポリブチレンテレフタレート/ポリテトラメチレングリコール共重合体、ポリブチレンテレフタレート/ポリトリメチレングリコール共重合体などを挙げることができる。これらの中で、エチレン/メタクリル酸共重合体およびこれら共重合体中のカルボン酸部分の一部または全てをナトリウム、リチウム、カリウム、亜鉛、カルシウムとの塩としたもの、エチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/ブテン−1−g−無水マレイン酸共重合体がより好ましい。
各種添加剤としては、例えば、酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体、ハロゲン化銅、ヨウ素化合物等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤および滑剤(脂肪族アルコール、脂肪族アミド、脂肪族ビスアミド、ビス尿素およびポリエチレンワックス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラック等)、染料(ニグロシン、アニリンブラック等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートなどの非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤(メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンオキシド、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等)などが挙げられる。これらを2種以上配合してもよい。
本発明の末端変性ポリアミド樹脂およびこれを用いたポリアミド樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形、溶融紡糸、フィルム成形などの任意の成形方法により、所望の形状に成形することができる。末端変性ポリアミド樹脂およびこれを用いたポリアミド樹脂組成物を成形して得られる成形品は、例えば、電気・電子機器部品、自動車部品、機械部品などの樹脂成形品、衣料・産業資材などの繊維、包装・磁気記録などのフィルムとして使用することができる。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。各実施例および比較例における特性評価は下記の方法に従って行った。
[相対粘度(ηr)]
各実施例および比較例により得られた末端変性ポリアミド樹脂またはポリアミド樹脂の、樹脂濃度0.01g/mlの98%硫酸溶液について、25℃でオストワルド式粘度計を用いて相対粘度を測定した。
[末端構造導入量]
各実施例および比較例により得られた末端変性ポリアミド樹脂について、日本電子(株)製FT−NMR JNM−AL400を用いてH−NMR測定を実施した。まず、測定溶媒として重水素化硫酸を用いて、試料濃度16mg/mLの溶液を調製した。積算回数128回にてH−NMR測定を実施し、末端変性ポリアミド樹脂の構造を同定した上で、末端構造を除く構造単位に由来するピークと、前記一般式(I)で表される末端構造に由来するピークを同定した。各ピークの積分強度を算出し、算出した積分強度と、構造単位中および末端構造中の水素原子数とから、前記一般式(I)で表される構造のポリアミド樹脂への導入量Rc(mmol/g)を算出した。なお、末端構造として前記一般式(I)で表される構造以外の構造を導入する場合は、当該末端構造由来のピークを同定し、同様にポリアミド樹脂への導入量Rc(mmol/g)を算出した。
また、末端変性ポリアミド樹脂への一般式(I)で表される末端構造の末端変性ポリアミド樹脂に対する導入量(重量%)は、上記Rc(mmol/g)と前記一般式(I)で表される末端構造の化学式量から算出した。
[熱特性]
TAインスツルメント社製示差走査熱量計(DSC Q20)を用いて、各実施例および比較例により得られた末端変性ポリアミド樹脂またはポリアミド樹脂5〜7mgを秤量し、窒素雰囲気下、20℃から昇温速度20℃/minで昇温したときに観測される吸熱ピークの温度(T)+30℃まで昇温して溶融状態とした後、引き続き降温速度20℃/minで20℃まで降温したときの発熱ピークのピークトップをTc(降温結晶化温度)、発熱ピークの面積をΔHc(降温結晶化熱量)とした。再度20℃から昇温速度20℃/minでT+30℃まで昇温したときに現れる吸熱ピークのピークトップをTm(融点)、吸熱ピークの面積をΔHm(融解熱量)とした。
[分子量]
各実施例および比較例により得られた末端変性ポリアミド樹脂またはポリアミド樹脂2.5mgを、ヘキサフルオロイソプロパノール(0.005N−トリフルオロ酢酸ナトリウム添加)3mlに溶解し、0.45μmのフィルターでろ過して得られた溶液を用いて、GPC測定により数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を測定した。測定条件を以下に示した。
測定装置:Waters e−Alliance GPC system e−Alliance2695XE セパレーションモジュール(Waters製)
検出器:示差屈折率計 Waters 2414(Waters製)
カラム:Shodex HFIP−806M(2本)+HFIP−LG
溶媒:ヘキサフルオロイソプロパノール(0.005N−トリフルオロ酢酸ナトリウム添加)
流速:1ml/min
試料注入量:0.1ml
温度:30℃
分子量校正:ポリメチルメタクリレート。
[溶融粘度]
各実施例および比較例により得られた末端変性ポリアミド樹脂またはポリアミド樹脂を、80℃真空乾燥器中で12時間以上乾燥した後、レオメータ(AntonPaar社製、MCR501、25φパラレルプレート使用)を用いて、次の方法により溶融粘度を測定した。試料0.5gを窒素雰囲気下、290℃(実施例1〜5および比較例1〜4)または260℃(実施例6〜10および比較例5〜9)で5分間溶融した後、ギャップ間距離0.5mm、振動モード、振り角1%の条件において、周波数0.557Hzにおける値を溶融粘度とした。
溶融粘度比は下記式(V)より算出した。
溶融粘度比(%)={(末端変性ポリアミド樹脂の溶融粘度)/(末端変性ポリアミド樹脂と同等のMwを有する、末端変性されていないポリアミド樹脂の溶融粘度)}×100(%) (V)
実施例および比較例において、原料は以下に示すものを用いた。
ヘキサメチレンジアミン:東京化成工業(株)製
アジピン酸:和光純薬工業(株)製 和光特級
ε−カプロラクタム:和光純薬工業(株)製 和光特級
一般式(III)で表される構造を有する片末端カルビノール変性ポリジメチルシロキサン:信越化学工業(株)製反応性シリコーンオイル“信越シリコーン”(登録商標)X−22−170BX(商品名)(一般式(III)におけるR〜Rはいずれも脂肪族炭化水素基である。)
一般式(III)で表される構造を有する片末端アミン変性分岐型ポリジメチルシロキサン:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン(同)製アミノ変性シリコーンオイルTSF4701(商品名)(一般式(III)におけるRは炭化水素エーテル、RおよびRはいずれも脂肪族炭化水素基、RおよびRはいずれも一般式(II)で表される構造である。)
ステアリルアミン:東京化成工業(株)製
実施例1
アジピン酸418g、ヘキサメチレンジアミン332g、イオン交換水250g、片末端カルビノール変性ポリジメチルシロキサン32.3gを反応容器に仕込み密閉し、窒素置換した。反応容器外周にあるヒーターの設定温度を290℃とし、撹拌しながら加熱を開始した。缶内圧力が1.75MPaに到達した後、水分を系外へ放出させながら缶内圧力1.75MPaに保持し、缶内温度が240℃になるまで昇温した。缶内温度が240℃に到達した後、缶内圧力を徐々に開放しながら1時間かけて常圧とした(常圧到達時の缶内温度:260℃)。続けて、缶内に窒素を流しながら30分間保持し、末端変性ポリアミド66樹脂を得た(最高到達温度:275℃)。得られた末端変性ポリアミド66樹脂を1mm以下のサイズに粉砕し、エタノールでソックスレー抽出することにより、未反応末端変性化合物を除去した。このようにして得られた末端変性ポリアミド66樹脂における末端構造導入量Rcは0.0026mmol/gで、添加した片末端カルビノール変性ポリジメチルシロキサンの15%が反応した。末端変性ポリアミド66樹脂の物性を表1に示した。
実施例2
缶内に窒素を流す時間を60分間に変更したこと以外は実施例1と同様にして末端変性ポリアミド66樹脂を得た。末端変性ポリアミド66樹脂の物性を表1に示した。
実施例3
缶内に窒素を流す時間を0分間に変更したこと以外は実施例1と同様にして末端変性ポリアミド66樹脂を得た。末端変性ポリアミド66樹脂の物性を表1に示した。
実施例4
片末端カルビノール変性ポリジメチルシロキサンの添加量を64.4gに変更したこと以外は実施例1と同様にして末端変性ポリアミド66樹脂を得た。末端変性ポリアミド66樹脂の物性を表1に示した。
実施例5
片末端カルビノール変性ポリジメチルシロキサン32.3gを片末端アミノ変性分岐型ポリジメチルシロキサン28.8gに変更したこと以外は実施例2と同様にして末端変性ポリアミド66樹脂を得た。末端変性ポリアミド66樹脂の物性を表1に示した。
比較例1
片末端カルビノール変性ポリジメチルシロキサンの添加量を0gに変更したこと以外は実施例1と同様にしてポリアミド66樹脂を得た。ポリアミド66樹脂の物性を表1に示した。
比較例2
片末端カルビノール変性ポリジメチルシロキサンの添加量を0gに変更したこと以外は実施例2と同様にしてポリアミド66樹脂を得た。ポリアミド66樹脂の物性を表1に示した。
比較例3
片末端カルビノール変性ポリジメチルシロキサンの添加量を0gに変更したこと以外は実施例3と同様にしてポリアミド66樹脂を得た。ポリアミド66樹脂の物性を表1に示した。
比較例4
比較例2により得られたポリアミド66樹脂100重量部に対して片末端カルビノール変性ポリジメチルシロキサンを5重量部配合して予備混合した。予備混合物を、シリンダー温度:280℃、スクリュー回転数:200rpmに設定した二軸押出機(池貝鉄鋼製PCM−30型)へ供給し、溶融混練した。押出されたガットをペレタイズすることによりポリマーペレットを得た。このペレットを粉砕後、ソックスレー抽出前後での溶融粘度を測定した。得られたポリアミド66樹脂の物性を表1に示した。
Figure 2016069638
実施例1、2、3、5と比較例1、2、3の比較より、末端に前記一般式(I)で表される構造を有する末端変性ポリアミド66樹脂は、ポリアミド66樹脂と比べて溶融粘度が低いことが分かる。また、降温結晶化温度(Tc)が高いことから融点と降温結晶化温度の差(Tm−Tc)が小さくなり、特に射出成形において、金型内での固化が速くなり、成形サイクル時間を短縮することができる。さらに、実施例4より、前記一般式(I)で表される構造の導入量を増加させると、粘度低減効果が高くなることが分かる。また、比較例4では、ソックスレー抽出前では溶融粘度比が92%であり、片末端カルビノール変性ポリジメチルシロキサンを溶融混練したことによる溶融粘度低減効果は小さかった。また、末端変性されていないポリアミド樹脂と片末端カルビノール変性ポリジメチルシロキサンを溶融混練する方法では、ソックスレー抽出後の結果からわかるとおり、片末端カルビノール変性ポリジメチルシロキサンをポリアミド樹脂末端に導入することができず、粘度低減効果はみられなかった。
実施例6
ε−カプロラクタム750g、イオン交換水187.5g、片末端カルビノール変性ポリジメチルシロキサン74.2gを反応容器に仕込み密閉し、窒素置換した。反応容器外周にあるヒーターの設定温度を290℃とし、撹拌しながら加熱を開始した。缶内圧力が1.0MPaに到達した後、水分を系外へ放出させながら缶内圧力1.0MPaに保持し、缶内温度が240℃になるまで昇温した。缶内温度が240℃に到達した後、ヒーターの設定温度を270℃に変更し、1時間かけて常圧となるよう缶内圧力を徐々に開放した(常圧到達時の缶内温度:243℃)。続けて、缶内に窒素を流しながら150分間保持して末端変性ポリアミド6樹脂を得た(最高到達温度:253℃)。続いて得られた末端変性ポリアミド6樹脂を粉砕し、エタノールでソックスレー抽出することにより、未反応末端変性化合物を除去した。末端変性ポリアミド6樹脂の物性を表2に示した。
実施例7
缶内に窒素を流す時間を90分間に変更したこと以外は実施例6と同様にしてポリアミド6樹脂を得た。末端変性ポリアミド6樹脂の物性を表2に示した。
実施例8
缶内に窒素を流す時間を60分間に変更したこと以外は実施例6と同様にしてポリアミド6樹脂を得た。末端変性ポリアミド6樹脂の物性を表2に示した。
実施例9
缶内に窒素を流す時間を190分間に変更したこと以外は実施例6と同様にしてポリアミド6樹脂を得た。末端変性ポリアミド6樹脂の物性を表2に示した。
実施例10
片末端カルビノール変性ポリジメチルシロキサン74.2gを片末端アミノ変性分岐型ポリジメチルシロキサン66.3gに変更したこと以外は実施例6と同様にして末端変性ポリアミド6樹脂を得た。末端変性ポリアミド6樹脂の物性を表2に示した。
比較例5
片末端カルビノール変性ポリジメチルシロキサンの添加量を0gに変更したこと以外は実施例6と同様にしてポリアミド6樹脂を得た。得られたポリアミド6樹脂の物性を表2に示した。
比較例6
片末端カルビノール変性ポリジメチルシロキサンの添加量を0gに変更したこと以外は実施例7と同様にしてポリアミド6樹脂を得た。ポリアミド6樹脂の物性を表2に示した。
比較例7
片末端カルビノール変性ポリジメチルシロキサンの添加量を0gに変更したこと以外は実施例8と同様にしてポリアミド6樹脂を得た。ポリアミド6樹脂の物性を表2に示した。
比較例8
片末端カルビノール変性ポリジメチルシロキサンの添加量を0gに変更したこと以外は実施例9と同様にしてポリアミド6樹脂を得た。ポリアミド6樹脂の物性を表2に示した。
比較例9
片末端カルビノール変性ポリジメチルシロキサンの代わりに、ステアリルアミンを7.1g添加し、缶内に窒素を流す時間を190分間にしたこと以外は実施例6と同様にしてポリアミド6樹脂を得た。末端変性ポリアミド6樹脂の物性を表2に示した。
Figure 2016069638
実施例6〜10と比較例5〜8の比較により、末端に前記一般式(I)で表される構造を有する末端変性ポリアミド6樹脂は、粘度低減効果が高いことが分かる。また、比較例9により、末端にステアリルアミン残基を有する末端変性ポリアミド6は粘度低減効果が小さいことが分かる。
本発明の末端変性ポリアミド樹脂およびこれを用いたポリアミド樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形、溶融紡糸、フィルム成形などの任意の成形方法により、所望の形状に成形することができる。末端変性ポリアミド樹脂およびこれを用いたポリアミド樹脂組成物を成形して得られる成形品は、例えば、電気・電子機器部品、自動車部品、機械部品などの樹脂成形品、衣料・産業資材などの繊維、包装・磁気記録などのフィルムとして使用することができる。

Claims (8)

  1. 下記一般式(I)で表される末端構造を有し、樹脂濃度0.01g/mlの98%硫酸溶液の25℃における相対粘度(ηr)が1.5〜10である末端変性ポリアミド樹脂。
    Figure 2016069638
    上記一般式(I)中、nは2〜100の範囲を表す。Rは炭素数1〜10の1価の脂肪族または芳香族炭化水素基もしくは炭素数1〜10のアルコキシ基、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1〜10の1価の脂肪族または芳香族炭化水素基、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1〜10の1価の脂肪族または芳香族炭化水素基もしくは下記一般式(II)で表される構造、Xは炭素数2〜10の2価の脂肪族または芳香族炭化水素基もしくは炭素数2〜10の2価の炭化水素エーテル、Yは−NH−、−O−、−C(=O)−、−NH−C(=O)−、―CH(OH)−CH−または−CH−CH(OH)−を表す。n個のRおよびRはそれぞれ同じでも異なってもよい。
    Figure 2016069638
    上記一般式(II)中、mは2〜100の範囲を表す。Rは炭素数1〜10の1価の脂肪族または芳香族炭化水素基もしくは炭素数1〜10のアルコキシ基、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1〜10の1価の脂肪族または芳香族炭化水素基を表す。m個のRおよびRはそれぞれ同じでも異なってもよい。
  2. 前記一般式(I)中、R、RおよびRがそれぞれ独立に炭素数1〜10の1価の脂肪族または芳香族炭化水素基である請求項1に記載の末端変性ポリアミド樹脂。
  3. 末端変性ポリアミド樹脂中、前記一般式(I)で表される末端構造を0.002〜0.20mmol/g含む請求項1または2に記載の末端変性ポリアミド樹脂。
  4. 末端変性ポリアミド樹脂中、前記一般式(I)で表される末端構造を0.05〜20重量%含む請求項1〜3のいずれかに記載の末端変性ポリアミド樹脂。
  5. 末端変性ポリアミド樹脂中、前記一般式(I)で表される末端構造を0.1〜10重量%含む4に記載の末端変性ポリアミド樹脂。
  6. ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した重量平均分子量Mwが20,000〜400,000である請求項1〜5のいずれかに記載の末端変性ポリアミド樹脂。
  7. アミノ酸、ラクタムもしくはジアミンおよびジカルボン酸を重合する際に、下記一般式(III)で表される末端変性化合物を添加して、ポリアミド樹脂の末端に末端変性化合物を結合させる請求項1〜6のいずれかに記載の末端変性ポリアミド樹脂の製造方法。
    Figure 2016069638
    上記一般式(III)中、nは2〜100の範囲を表す。Rは炭素数1〜10の1価の脂肪族または芳香族炭化水素基もしくは炭素数1〜10のアルコキシ基、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1〜10の1価の脂肪族または芳香族炭化水素基、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1〜10の1価の脂肪族または芳香族炭化水素基もしくは下記一般式(II)で表される構造、Xは炭素数2〜10の2価の脂肪族または芳香族炭化水素基もしくは炭素数2〜10の2価の炭化水素エーテル、Zは−NH、−OH、−C(=O)−OH、−N=C=Oまたは下記構造式(IV)で表される構造を示す。n個のRおよびRはそれぞれ同じでも異なってもよい。
    Figure 2016069638
    上記一般式(II)中、mは2〜100の範囲を表す。Rは炭素数1〜10の1価の脂肪族または芳香族炭化水素基もしくは炭素数1〜10のアルコキシ基、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1〜10の1価の脂肪族または芳香族炭化水素基を表す。m個のRおよびRはそれぞれ同じでも異なってもよい。
  8. 前記一般式(III)中、R、RおよびRがそれぞれ独立に炭素数1〜10の1価の脂肪族または芳香族炭化水素基である請求項7に記載の末端変性ポリアミド樹脂の製造方法。
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