JP2016068791A - 車両用前照灯装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】前照灯装置1を、光源から自車両前方へ照射される光の照射範囲を変更可能であるとともに照射範囲内の一部を他部よりも高照度で照射可能な可変配光機構10,11,12,20,21,22と、自車両前方の領域においてドライバが注視することが想定される直接視野を推定する直接視野推定手段100と、直接視野推定手段が推定した直接視野340を含むように照射範囲を設定するとともに、直接視野に相当する範囲を周辺部350に対して高照度で照射するよう可変配光機構を制御する配光制御手段100とを備える構成とする。
【選択図】図2
Description
近年、車両の走行状態等に応じて、照射範囲を自動的に変更するアダプティブ・フロントライティング・システム(AFS)が提案されている。
例えば、特許文献1には、車両の走行速度に応じて照度及び照射角を変更することによって、対向車や歩行者等へのグレアを抑制することが記載されている。
しかし、人間には、本能的に視野のなかで明るい部分を注視する傾向があり、照射範囲内が実質的に同一の照度で照射されている場合、どこに視点を据えればよいのかわかりにくく、ドライバの緊張を高めて疲労させることになるという問題があった。
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、暗所走行時におけるドライバの負担を軽減した車両用前照灯装置を提供することである。
請求項1に係る発明は、光源から自車両前方へ照射される光の照射範囲を変更可能であるとともに前記照射範囲内の一部を他部よりも高照度で照射可能な可変配光機構と、自車両前方の領域においてドライバが注視することが想定される直接視野を推定する直接視野推定手段と、前記直接視野推定手段が推定した前記直接視野を含むように前記照射範囲を設定するとともに、前記直接視野に相当する範囲を周辺部に対して高照度で照射するよう前記可変配光機構を制御する配光制御手段とを備えることを特徴とする車両用前照灯装置である。
これによれば、ドライバが注視することが想定される領域(直接視野)を周辺領域(間接視野)に対して高照度で照射することによって、ドライバの視線を直接視野に誘導し、ドライバがどこに視点を据えるかわからなくなる事態を防止してドライバの緊張を抑制し、疲労を軽減することができる。
また、直接視野に対して周辺部の照度を低下させることによって、前照灯に照射される領域と照射範囲以外の境界部の明暗差が明確になりすぎてドライバが圧迫感を感じることを防止できる。
これによれば、自車両前方の車線に沿って走行する場合にドライバが注視することが想定される領域にドライバの視線を誘導することによって、ドライバの負担を軽減することができる。
これによれば、ドライバの視線が実際に向いている領域を高照度で照射することによって、ドライバが目視したい物体等の視認性を向上し、ドライバの負担を軽減することができる。
これによれば、市街地等における低速走行時には周囲を広く照射することによって他車両や歩行者を視認しやすくし、高規格道路等における高速走行時にはドライバの視線を適切な位置に誘導することができる。
これによれば、市街地等の低速走行時における周辺視認性を低下させることなく、高速走行時におけるドライバの視線誘導効果をより高めてドライバの負担をいっそう軽減することができる。
この場合、点滅周期は、ドライバが点滅を意識せずかつ照射態様の違いを感知可能な程度に設定することが好ましく、例えば周波数を65乃至85Hz程度に設定することが好ましい。
請求項7に係る発明は、前記配光制御手段は、前記直接視野に相当する領域に照射される光と前記周辺部に照射される光との色を異ならせることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の車両用前照灯装置である。
請求項8に係る発明は、前記直接視野に相当する領域の外縁部に沿ってレーザ光を照射するレーザ光照射手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の車両用前照灯装置である。
これらの各発明によれば、直接視野に相当する領域の照射態様を、その周辺領域と異ならせることによって、上述したドライバの視線誘導効果をよりいっそう高めることができる。
実施例1の前照灯装置は、例えば、乗用車等の自動車に設けられ、夜間やトンネル内などの暗所走行時に、自車両前方を照射してドライバの視界を確保するものである。
図1は、実施例1の前照灯装置の構成を模式的に示すブロック図である。
図1に示すように、前照灯装置1は、第1光源10、第1光学系11、照射範囲可変機構12、第2光源20、第2光学系21、照射範囲可変機構22、レーザ発振器30、レーザ光学系31、照射範囲可変機構32、前照灯制御ユニット100等を有して構成されている。
なお、第1光源10、第1光学系11、照射範囲可変機構12、第2光源20、第2光学系21、照射範囲可変機構22、レーザ発振器30、レーザ光学系31、照射範囲可変機構32は、車体前端部において車幅方向に離間して、例えば一対が設けられる。
第1光源10、第2光源20は、それぞれ独立して点灯、消灯を切り替え可能となっている。
また、少なくとも第2光源20は、点灯時の光量を複数段階又は無段階に変更可能となっている。
第1光学系11、第2光学系21は、第1光源10、第2光源20がそれぞれ発する光を、所定の配光パターンで車両前方に照射するものである。
第1光学系11、第2光学系21として、例えば配光パターンの広さ及び形状を任意に変更可能なシェード可変機構を有する投影光学系(プロジェクタ)を有する構成とすることができる。
シェード可変機構は、光路の一部を可動式のシェードで遮ることによって、シェードの影(像)を自車両前方に投影し、配光特性を変化させるものである。
また、このようなシェード可変機構として、環状に配置された複数の絞り羽を有し、内径が連続的に変化する虹彩絞りを設けることによって、照射角度を可変とし、照射範囲の広さを連続的に変化させることも可能である。
第1光学系11、第2光学系21は、それぞれ光軸を車体に対して上下方向及び車幅方向に揺動させることが可能なよう、例えば2軸ジンバル機構を介して車体に取り付けられている。
照射範囲可変機構12,22は、第1光学系11、第2光学系21のジンバル機構に設けられ、第1光学系11、第2光学系12の光軸を前照灯制御ユニット100からの指示に応じて変化させるアクチュエータ等を有する。
レーザプロジェクタ31は、レーザ発振器30が発生するレーザ光を、任意に変更可能な照射パターンで車両前方に照射するものである。
レーザプロジェクタ31は、光軸を車体に対して上下方向及び車幅方向に揺動させることが可能なよう、例えば2軸ジンバル機構を介して車体に取り付けられている。
照射範囲可変機構32は、レーザプロジェクタ31のジンバル機構に設けられ、レーザプロジェクタ31の光軸を前照灯制御ユニット100からの指示に応じて変化させるアクチュエータ等を有する。
前照灯制御ユニット100は、例えばCPU等の情報処理手段、RAMやROM等の記憶手段、入出力インターフェイス及びこれらを接続するバス等を有して構成されている。
前照灯制御ユニット100は、本発明にいう直接視野推定手段、及び、配光制御手段として機能する。
前照灯制御ユニット100における制御については、後に詳しく説明する。
環境認識装置210は、カメラLH211、カメラRH212からなるステレオカメラを備えている。
カメラLH211、カメラRH212は、例えばCMOSやCCD等の固体撮像素子、及び、その入射側に設けられたレンズ等の光学系によって、自車両前方を所定の画角で撮像するものである。
カメラLH211、カメラRH212は、所定のフレームレートで逐次画像を取得し、環境認識装置210に伝達する。
カメラLH211、カメラRH212は、例えばフロントガラス上端部の車室内側等に、車幅方向に離間して設置されている。
環境認識装置210は、カメラLH211、カメラRH212が撮像した画像を用いて公知のステレオ画像処理を行うことによって、各カメラの視差を利用し、被写体の自車両に対する相対位置を検出可能となっている。
また、挙動制御ユニット220は、ハイドロリックコントロールユニット(HCU)225に対して制御指令を出力する。
挙動制御ユニット220は、車速パルス信号の間隔に基づいて、車輪の回転速度(スリップ率が微小な場合には車両の走行速度と実質的に等しい)を算出可能となっている。
加速度センサ222は、車体に作用する前後方向及び車幅方向の加速度をそれぞれ検出するものである。
ヨーレートセンサ223は、車体のヨー方向(鉛直軸回り)の回転速度を検出するものである。
舵角センサ224は、車両の操舵系の舵角(ステア角)を検出するものである。
HCU225は、ブレーキフルードを加圧するポンプ、及び、得られたフルード液圧を各車輪のホイルシリンダへそれぞれ供給するソレノイドバルブ等を有し、各車輪のホイルシリンダに対してそれぞれ所定の液圧を供給し、制動力を車輪ごとに制御するものである。
また、挙動制御ユニット220は、車両のオーバーステア、アンダーステア挙動を検出した場合には、左右輪の制動力差を用いて挙動を抑制する方向のモーメントを発生させる挙動制御を行なう。
例えば、挙動制御ユニット220は、車速及び舵角に基づいて、予め設定された車両モデルから推定されるヨーレートと、実際のヨーレートとの差に基づいて、路面の推定μを算出することが可能である。
さらに、この推定μと車速から、自車両がブレーキによる減速で安全に停止可能な最短距離である停止可能距離を算出可能となっている。
図2は、実施例1の前照灯制御ユニットの制御を示すフローチャートである。
以下、ステップ毎に順を追って説明する。
前照灯制御ユニット100は、環境認識装置210、ナビゲーション装置230等の出力に基づいて、自車両前方の自車両走行車線形状(曲率や勾配等)を検出する。
その後、ステップS02に進む。
前照灯制御ユニット100は、挙動制御ユニット220から自車両の走行速度(車速)に関する情報を取得する。
その後、ステップS03に進む。
前照灯制御ユニット100は、自車両の走行車線上であって、自車両が所定時間後に通過することが想定される領域に、ドライバが注視することが想定される領域である直接視野を設定する。
直接視野は、車両の走行速度増加に応じて、自車両から遠方へ推移しかつ範囲(照射スポット径)が狭小となるように設定される。
その後、ステップS04に進む。
前照灯制御ユニット100は、ステップS03において設定した直接視野の周囲に間接視野を設定する。
その後、ステップS05に進む。
前照灯制御ユニット100は、照射範囲可変機構12、照射範囲可変機構22をそれぞれ制御して、第1光源10が発する光が直接視野を照射し、第2光源20が発する光が直接視野及び間接視野を照射するよう制御する。
すなわち、直接視野においては、第1光源10と第2光源20の光が重畳して照射されることとなる。
このとき、間接視野の照度は、直接視野に対して低く(暗く)なりかつ直接視野との照度差が車両の走行速度増加に応じて大きくなるように第1光源10、第2光源20の光量を制御する。
このとき、主に間接視野を照射する第2光源を、ドライバが意識しない程度の周期で点滅させるようにしてもよい。例えば、第2光源を、65乃至85Hz程度の周波数で周期的に点滅させるようにしてもよい。
また、前照灯制御ユニット100は、レーザ発振器30、レーザプロジェクタ31、照射範囲可変機構32等を制御して、直接視野と間接視野との境界をレーザ光によって照射するよう制御する。
その後、一連の処理をリターンし、ステップS01以降の処理を繰り返す。
図3は、実施例1の前照灯装置における低速走行時の配光パターンの一例を模式的に示す図である。
図4は、実施例1の前照灯装置における高速走行時の配光パターンの一例を模式的に示す図である。
図3、図4は、ドライバの視点から見た状態を模式的に示している。
図3、図4においては、自車両前方に自車両走行車線310、対向車線320、センターライン330等が存在する。
間接視野350は、例えば、一般的な走行用ビーム(ハイビーム)の照射領域をカバーするように設定され、対向車線320を走行する車両への眩惑を抑制するためカットオフラインが設けられている。
直接視野340は、間接視野350の内部に含まれるとともに、間接視野350に対して照度が高く(明るく)なるように設定されている。
また、直接視野340の外周縁部341(直接視野340と間接視野350との境界部)は、レーザ光によってライン状に照射される。
また、直接視野340の外周縁部341(直接視野340と間接視野350との境界部)は、レーザ光によって照射される。
図4に示す高速状態においては、直接視野340と間接視野350との照度差は、光源20の光量を低下させることによって、図3に示す低速状態に対して大きく設定され、より強く直接視野340にドライバの視線を誘導するようにしている。
また、直接視野340に対して間接視野350の照度を低下させることによって、前照灯に照射される領域と照射範囲以外の境界部(間接視野350の周縁部)の明暗差が明確になりすぎてドライバが圧迫感を感じることを防止できる。
実施例1と実質的に同様の箇所については同じ符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。
図5は、実施例2の前照灯装置における制御を示すフローチャートである。
以下、ステップ毎に順を追って説明する。
前照灯制御ユニット100は、視線検出装置240からドライバの視線方向に関する情報を取得する。
その後、ステップS12に進む。
前照灯制御ユニット100は、ステップS11において検出されたドライバの視線方向の延長上及びその近傍の領域に、ドライバが注視することが想定される領域である直接視野を設定する。
その後、ステップS13に進む。
前照灯制御ユニット100は、ステップS12において設定した直接視野の周囲に間接視野を設定する。
その後、ステップS14に進む。
前照灯制御ユニット100は、実施例1のステップS05と実質的に同様に、照射範囲可変機構12、照射範囲可変機構22をそれぞれ制御して、第1光源10が発する光が直接視野を照射し、第2光源20が発する光が直接視野及び間接視野を照射するよう制御する。
その後、一連の処理をリターンし、ステップS01以降の処理を繰り返す。
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)前照灯装置の構成は、上述した各実施例に限定されず、適宜変更することが可能である。例えば、光源、光学系の種類や個数、照度及び照射範囲の変更手法は、適宜変更することが可能である。
例えば、実施例では光源として高輝度放電バルブを用い、可変シェードを用いて照射範囲の変更を行っているが、例えば比較的小範囲をスポット的に照射する複数のLEDをアレイ状に配列した光源を用いて、個々のLEDの点灯、消灯を切り替えることによって照射範囲を変更するようにしてもよい。
(2)前照灯制御ユニットが各種情報を取得するために接続されるセンサ類や各種装置、ユニットの構成は、適宜変更することが可能である。
(3)各実施例では、直接視野と間接視野との境界を識別しやすくするため、直接視野の外縁部にレーザ光を照射しているが、これと併用し、あるいは、これに代えて、直接視野への照射光と間接視野への照射光の色を異ならせてもよい。
(4)実施例1では自車両の進行方向上に直接視野を設定し、実施例2では視線方向上に直接視野を設定しているが、実施例1のように進行方向上に設定した直接視野を、視線検出結果に応じて視線方向にシフトするよう補正する構成としてもよい。
11 第1光学系 12 照射範囲可変機構
20 第2光源 21 第2光学系
22 照射範囲可変機構 30 レーザ発振器
31 レーザプロジェクタ 32 照射範囲可変機構
100 前照灯制御ユニット
210 環境認識装置 211 カメラLH
212 カメラRH 220 挙動制御ユニット
221 車輪速センサ 222 加速度センサ
223 ヨーレートセンサ 224 舵角センサ
225 ハイドロリックコントロールユニット
230 ナビゲーション装置 240 視線検出装置
250 通信装置
310 自車両走行車線 320 対向車線
330 センターライン 340 直接視野
350 間接視野
Claims (8)
- 光源から自車両前方へ照射される光の照射範囲を変更可能であるとともに前記照射範囲内の一部を他部よりも高照度で照射可能な可変配光機構と、
自車両前方の領域においてドライバが注視することが想定される直接視野を推定する直接視野推定手段と、
前記直接視野推定手段が推定した前記直接視野を含むように前記照射範囲を設定するとともに、前記直接視野に相当する範囲を周辺部に対して高照度で照射するよう前記可変配光機構を制御する配光制御手段と
を備えることを特徴とする車両用前照灯装置。 - 前記直接視野推定手段は、自車両前方の車線形状を検出する車線形状検出手段を備え、自車両が所定時間後に通過する領域を直接視野として推定すること
を特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯装置。 - 前記直接視野推定手段は、前記ドライバの視線方向を検出する視線検出手段を備え、前記視線方向を含む領域を直接視野として推定すること
を特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯装置。 - 前記直接視野推定手段は、車速増加に応じて前記直接視野が自車両に対して車両前方側へ相対変位しかつ狭くなるように推移させること
を特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の車両用前照灯装置。 - 前記配光制御手段は、車速増加に応じて前記直接視野に相当する領域の周辺部における照度を低下させること
を特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の車両用前照灯装置。 - 前記配光制御手段は、前記直接視野に相当する領域の周辺部を照射する光源を所定の周期で点滅させること
を特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の車両用前照灯装置。 - 前記配光制御手段は、前記直接視野に相当する領域に照射される光と前記周辺部に照射される光との色を異ならせること
を特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の車両用前照灯装置。 - 前記直接視野に相当する領域の外縁部に沿ってレーザ光を照射するレーザ光照射手段を備えること
を特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の車両用前照灯装置。
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