JP2016068519A - 液体吐出ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

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進哉 岩橋
Shinya Iwahashi
進哉 岩橋
初井 琢也
Takuya Hatsui
琢也 初井
竹内 創太
Sota Takeuchi
創太 竹内
健治 ▲高▼橋
健治 ▲高▼橋
Kenji Takahashi
創一朗 永持
Soichiro Nagamochi
創一朗 永持
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Abstract

【課題】液体吐出ヘッド用基板の絶縁層をESDから充分に保護するための液体吐出ヘッド用基板に係る技術を提供する。【解決手段】基体上に形成され、通電に応じ液体を吐出させるために利用されるエネルギを発生するエネルギ発生素子と、前記基体上に形成され、前記エネルギ発生素子に通電するための配線層と、前記配線層および前記エネルギ発生素子を短絡から保護する部位に設けられた絶縁層と、前記絶縁層上に形成され、前記絶縁層を保護するための保護層であって、導電性を有する保護層と、前記保護層上に配置され、液路および液体吐出口を形成するノズル部材とを備え、前記ノズル部材の一部を前記保護層と金属層とで挟んでキャパシタが形成されるように、前記ノズル部材内に前記金属層が配置されている。【選択図】図4

Description

本発明は、液体を吐出する液体吐出ヘッドおよびその製造方法に関する。
発熱抵抗体に配線層を介して通電させることで液体を加熱し、膜沸騰を生じさせることによって液体を発泡させ、このときの発泡エネルギによって吐出口から液滴を吐出させる形式の液体吐出ヘッドがインクジェット記録装置等に多く採用されている。このような液体吐出ヘッドによって記録が行われる場合には、発熱抵抗体上の領域で液体が発泡、収縮、および消泡する際に生じるキャビテーションによる衝撃などの物理的作用が発熱抵抗体上の領域に及ぶことがある。また、液体吐出が行われる際には、発熱抵抗体は高温となっているので、液体(インク)の成分が発熱抵抗体の表面に付着して堆積するなどの化学的作用が発熱抵抗体上の領域に及ぶことがある。これらの発熱抵抗体への物理的作用あるいは化学的作用から発熱抵抗体を保護するために、発熱抵抗体上には、発熱抵抗体を覆う保護層が配置される場合がある。
保護層は、通常、液体と接する位置に配置され、機械的安定性の高い金属(タンタル(Ta)等)で形成される。従って、そのように導電性のある保護層が設けられる場合、保護層に電気が流れてしまうと、保護層と液体との間で電気化学反応が生じてしまい、場合によっては保護層としての機能が損なわれてしまう場合がある。そのため、発熱抵抗体に供給される電気の一部が保護層へ流れないように、また、発熱抵抗体と保護層とが接触して短絡が発生しないように、発熱抵抗体と保護層との間に、絶縁層が配置されることがある。
一方、液体吐出ヘッド用基板の絶縁層は、製造工程または記録時において静電気放電(ESD:Electro Static Discharge)事象により影響を受ける場合がある。例えば、帯電した人の指や工具が液体吐出ヘッドの表面に触れることによって、ESDで生じた電荷が液体吐出ヘッドの表面から内部に侵入する。そして、保護層と配線層(あるいは発熱抵抗体)とで挟まれた絶縁層に高い電圧が印加されると、絶縁層が破壊される可能性がある。
絶縁層が破壊されると、配線層あるいは発熱抵抗体から、保護層へ直接的に電気が流れてしまう短絡が生じる可能性がある。発熱抵抗体に供給される電気の一部が保護層に流れた場合には、保護層と液体との間で電気化学反応が生じてしまい、保護層が変質してしまうことがある。保護層が変質し機能しなくなると、発熱抵抗体は、破壊される可能性が高くなる。発熱抵抗体が破壊されると、発泡を制御することができなくなり、その結果、液体の吐出不良が生じる。したがって、製造工程において絶縁層の静電気破壊が生じれば、歩留まり率の低下に繋がることになり、記録時においては、印刷品質が劣化してしまうことになる。
そこで、保護層と配線層(あるいは発熱抵抗体)とで絶縁層が挟まれた構造を1つのキャパシタとして、当該キャパシタに電荷を蓄えさせる対処法が考えられる。例えば、特許文献1では、各液体吐出ヘッド用基板の保護層をそれぞれ連結し1つの大きなキャパシタを形成することで、静電容量を増加させた当該キャパシタに電荷を蓄えさせることが開示されている。
特開2001−080073号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術では絶縁層そのものを用いてキャパシタを形成し、ESDの影響を抑えているので、非常に高い電圧が絶縁層に印加されると、絶縁層を保護しきれない場合があり、ESD事象により絶縁層が破壊される問題があった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、液体吐出ヘッド用基板の絶縁層をESDから充分に保護するための液体吐出ヘッドに係る技術を提供することにある。
本発明は、このような目的を達成するために、基体上に形成され、通電に応じ液体を吐出させるために利用されるエネルギを発生するエネルギ発生素子と、前記基体上に形成され、前記エネルギ発生素子に通電するための配線層と、前記配線層および前記エネルギ発生素子を短絡から保護する部位に設けられた絶縁層と、前記絶縁層上に形成され、前記絶縁層を保護するための保護層であって、導電性を有する保護層と、前記保護層上に配置され、液路および液体吐出口を形成するノズル部材とを備え、前記ノズル部材の一部を前記保護層と金属層とで挟んでキャパシタが形成されるように、前記ノズル部材内に前記金属層が配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、液体吐出ヘッドの表面に近い場所に別途キャパシタを設けることによって、ESDの発生の際、絶縁層に印加される電圧が低減され、ESDから液体吐出ヘッド用基板の絶縁層を保護することが可能となる。
(a)は、本発明を適用可能な液体吐出ヘッドユニットの斜視図であり、(b)は、(a)に示した液体吐出ヘッドユニットに取り付けられた液体吐出ヘッドの一部を破断した斜視図である。 比較例に係る液体吐出ヘッドの一例を示す断面図である。 (a)は、帯電体が接触する前の図であり、(b)は、帯電体が接触しESDが発生した直後の図であり、(c)は、ESDにより生じた電荷が保護層に到達したときの図であり、(d)は、保護層の負電荷によって配線層に正電荷が発生しキャパシタが形成された様子を示す図であり、(e)は、キャパシタが自然放電する様子を示す図である。 (a)は、図1(b)の液体吐出ヘッドのIV−IV方向断面図であり、(b)は、液体が吐出する方向と逆方向から見た場合の、液体吐出ヘッドの平面図である。 (a)は、帯電体が接触する前の図であり、(b)は、帯電体が接触しESDが発生した直後の図であり、(c)は、ESDにより生じた電荷が金属層に到達したときの図であり、(d)は、金属層の負電荷によって保護層に正電荷が発生しキャパシタが形成された様子を示す図であり、(e)は、キャパシタが自然放電する様子を示す図である。 本発明の実施例1に係る液体吐出ヘッドの製造方法の一例を示す断面図である。 本発明の実施例1に係る液体吐出ヘッドに形成されたキャパシタの等価回路を示す図である。
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。但し、本発明の実施例に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の範囲をそれらに限定する趣旨のものではない。
本発明は、インクジェットヘッド等の液体吐出ヘッドに関する。本発明では、液体吐出ヘッド用基板の絶縁層付近でキャパシタを形成させた従来の技術とは異なり、液体吐出ヘッドの表面に近い場所にキャパシタを形成させ、ESDで発生した電荷を蓄えさせる。即ち、当該キャパシタによって、ESDの発生で絶縁層に印加される電圧を低減させて、絶縁層をESDから保護することを可能にする。
<液体吐出ヘッドユニットの概要>
図1(a)は、本発明を適用可能な液体吐出ヘッドユニット1の斜視図を示す。
液体吐出ヘッド10が取り付けられている液体吐出ヘッドユニット1は、記録装置に設けられたキャリッジに搭載され、例えば、記録媒体が搬送される搬送方向と交差する方向に移動しながら記録を行う。
液体吐出ヘッドユニット1は、液体吐出ヘッド10を液体タンクと一体化してなるカートリッジ形態のユニットである。液体吐出ヘッドユニット1は、キャリッジの内部に、装着および取り外し可能に構成されている。液体吐出ヘッドユニット1には、電力を供給するための端子を有するTAB(Tape Automated Bonding)用のテープ部材11が貼り付けられている。熱作用部101へ電力が供給される際には、接点12からテープ部材11を通って、液体吐出ヘッド10へ電力が選択的に供給される。また、液体吐出ヘッドユニット1は、液体を一旦貯留し、そこから液体吐出ヘッド10に供給するための液体タンク13を備えている。
図1(b)は、図1(a)に示した液体吐出ヘッド10の一部を破断した斜視図を示す。本実施例に係る液体吐出ヘッド10は、液体吐出ヘッド用基板100に、複数層を有するノズル部材(以下、複合ノズル層という)130が貼り付けられることで形成されている。複合ノズル層130と液体吐出ヘッド用基板100との間には、内部に液体を貯留させることが可能な複数の液室102が画成されている。液体吐出ヘッド用基板100には、液体吐出ヘッド用基板100を表面から裏面へ貫通するように、液体供給口103が形成されている。複合ノズル層130には、液体供給口103に連通するように共通液室104が形成されている。また、複合ノズル層130には、共通液室104からそれぞれの液室102まで延びるように、液路(液体流路)105が形成されている。従って、液路105を介して、共通液室104とそれぞれの液室102とが連通するように、複合ノズル層130が形成されている。それぞれの液室102の内部には、熱作用部101が形成されている。複合ノズル層130における熱作用部101に対応する位置には、液体吐出口106が形成されている。
ここでは、液体吐出ヘッド10における液体吐出の行われる側の面のことを「表面」と言うものとする。また、液体吐出ヘッド10における液体吐出の行われる側とは逆側の面のことを「裏面」と言うものとする。
液体タンク13から液体吐出ヘッド10に液体が供給される際には、液体吐出ヘッド用基板100における液体供給口103を通って共通液室104に液体が供給される。共通液室104に供給された液体は、液路105を通って、それぞれの液室102の内部へ供給される。このとき、共通液室104内の液体は、毛管現象により液路105および液室102に供給され、液体吐出口106にてメニスカスを形成することにより、液体の液面が安定に保持される。
液室102のそれぞれには、熱作用部101にエネルギ発生素子が備えられており、液体を吐出する際には、配線層を通してエネルギ発生素子に通電させる。エネルギ発生素子は、例えば、通電に応じて液体に膜沸騰を生じさせる熱エネルギを発生する発熱抵抗体をいう。このときのエネルギ発生素子への通電により、エネルギ発生素子で熱エネルギを発生させる。これにより、液室102内の液体が加熱されて膜沸騰により発泡し、そのときの発泡エネルギによって液体吐出口106から液滴が吐出される。
<液体吐出ヘッドの概要>
次に、従来の液体吐出ヘッドを、本発明の実施例の比較例として説明したのち、本発明の実施例に係る液体吐出ヘッドについて説明する。
<比較例>
図2は、比較例に係る液体吐出ヘッドを説明するための断面構造を示している。
比較例に係る液体吐出ヘッドは、液体吐出ヘッド用基板100と、液体吐出口106および液路105が形成されるノズル層131とを有する。液体吐出ヘッド用基板100は、シリコン基板(以下、基体という)107、エネルギ発生素子108、配線層110、絶縁層111および保護層112を備える。次に、比較例に係る液体吐出ヘッドの製造工程について説明する。
まず、基体107の表面側に、エネルギ発生素子108と配線層110を形成した。
次に、エネルギ発生素子108および配線層110上に、絶縁層111を成膜した。絶縁層111は、窒化シリコン(SiN)を用いた。絶縁層111は、プラズマCVD法により300nmの厚さで成膜した。
次に、絶縁層111上に、保護層112を形成した。保護層112は、タンタルを用いた。スパッタ法により200nmの厚さで保護層112を成膜した。
その後、保護層112上にレジストを塗布し、フォトリソグラフィによってレジストにパターンを形成した。続いて、パターンを形成したレジストをマスクとして用いて保護層112をドライエッチングしパターンを形成した。なお、保護層112において、1つの液体吐出ヘッドの個別の保護層112を1つの島として、当該島同士を配線で繋いだ。比較例では、当該島同士を連結させることにより、後述するキャパシタの静電容量の増加を図っている。
次に、液路105の型となる型材を形成した。型材は、ポジ型の感光材であるポリメチルイソプロペニルケトンを用いた。型材は、スピンコート法により15μmの厚さで塗布し、フォトリソグラフィによりパターニングを行って形成した。
次に、ノズル層131を形成した。ノズル層131は、エポキシ樹脂を用いた。ノズル層131において、スピンコート法により25μmの厚さで塗布し、フォトリソグラフィによりパターニングを行って液体吐出口106を形成した。
最後に、型材を乳酸メチルにより除去し、液路105を形成した。
図2のIIIで示された部分に注目すると、比較例に係る液体吐出ヘッドは、絶縁層111を配線層110と保護層112とで挟んでキャパシタを形成するように構成されている。
図3に、比較例に係る液体吐出ヘッドにおける、ESD事象発生時の動作を示す。図3(a)は、帯電体300が比較例に係る液体吐出ヘッドの表面に接触する前の図であり、図3(b)は、帯電体300が比較例に係る液体吐出ヘッドの表面に接触し、ESDが発生した直後の図である。帯電体300は、例えば、人の指、工具およびその他の帯電し得る物体である。また、本明細書では、説明の便宜上、帯電体300は、負に帯電しているが、正に帯電していてもよい。図3(c)は、ESDにより生じた負電荷(電子)が保護層112に到達したときの図であり、図3(d)は、保護層112の負電荷によって配線層110に正電荷(正孔)が発生しキャパシタが形成された様子を示す図である。また、図3(e)は、一定の時間経過によってキャパシタが自然放電する様子を示す図である。
比較例に係る液体吐出ヘッドの表面に帯電体300が接触してESDが発生した場合、ESDにより生じた電荷は、図3(a)〜(e)に示すように、絶縁層111を配線層110と保護層112とで挟んで形成されたキャパシタによって蓄えられる。この際に絶縁層111に非常に高い電圧が印加され、絶縁層111が絶縁破壊される可能性は否定できない。
<実施例1>
図4(a)は、本発明の実施例1に係る液体吐出ヘッド10のIV-IV線に沿った断面構造を示している。図4(b)は、本発明の実施例1に係る液体吐出ヘッド10の平面図である。
液体吐出ヘッド10は、液体吐出ヘッド用基板100と、液体吐出口106および液路105を形成する複合ノズル層130とを有する。液体吐出ヘッド用基板100は、基体107、エネルギ発生素子108、配線層110、絶縁層111および保護層112を備え、複合ノズル層130は、第1のノズル層132、金属層121および第2のノズル層133を備える。
基体107の表面側には、エネルギ発生素子108と配線層110が形成されている。基体107上のエネルギ発生素子108は基体107に接していてもよいし、接していなくてもよい。基体107に接していない例としては、エネルギ発生素子108と基体107との間に蓄熱層を設けることや、エネルギ発生素子108と基体107とがエネルギ発生素子の端部で接しており、中央部で接していないことなどが挙げられる。配線層110およびエネルギ発生素子108の上部には、絶縁層111が形成されている。換言すれば、絶縁層111は、配線層110およびエネルギ発生素子108を短絡から保護する部位に設けられている。絶縁層111上に、保護層112が形成され、保護層112上に、複合ノズル層130が配置されている。すなわち、絶縁層111上に保護層112が形成され、保護層112上に複合ノズル層130が形成されている。
複合ノズル層130は、第1のノズル層132と第2のノズル層133に分かれており、第1のノズル層132と第2のノズル層133の層間には金属層121が形成されている。すなわち、複合ノズル層130の一部を保護層112と金属層121とで挟んでキャパシタが形成されるように、複合ノズル層130内(ノズル部材内)に金属層121が配置されている。第1のノズル層132は比誘電率の高い材料を用いることが好ましい。詳細は後述するが、比誘電率の高い材料を用いると、金属層121と第1のノズル層132と保護層112とで形成されたキャパシタにより、ESDで生じた電荷を蓄えられる容量が増えるため、ESDによる絶縁層111の破壊を抑制できる。
金属層121の少なくとも一部は、保護層112の上方、かつ、複合ノズル層130内に配置されていると共に、保護層112と接触する場所は存在しない。また、金属層121の端部は液路105に露出するようにして形成されている。
本発明の実施例1の構成によれば、従来技術では、製造工程で液体吐出ヘッドの表面に帯電した電荷を、絶縁層111で形成するキャパシタで蓄えていたのに対して、ESD事象の発生源により近い場所で電荷を蓄えることが可能になる。そのため、絶縁層111のESD事象に対する保護能力が向上する。
図4のVで示された部分に注目すると、本発明の実施例1に係る液体吐出ヘッド10は、第1のノズル層132を保護層112と金属層121とで挟んでキャパシタを形成するように構成されている。
図5に、実施例1に係る液体吐出ヘッドにおける、ESD事象発生時の動作を示す。図5(a)は、帯電体300が本発明の実施例1に係る液体吐出ヘッドの表面に接触する前の図であり、図5(b)は、帯電体300が本発明の実施例1に係る液体吐出ヘッドの表面に接触し、ESDが発生した直後の図である。図5(c)は、ESDにより生じた負電荷(電子)が金属層121に到達したときの図であり、図5(d)は、金属層121の負電荷によって保護層112に正電荷(正孔)が発生しキャパシタが形成された様子を示す図である。また、図5(e)は、一定の時間経過によってキャパシタが自然放電する様子を示す図である。
実施例1に係る液体吐出ヘッド10の表面にESDが発生した場合、ESDにより生じた電荷は、図5(a)〜(e)に示すように、第1のノズル層132を保護層112と金属層121とで挟んで形成されたキャパシタによって蓄えられる。つまり、絶縁層111に到達する電荷が、激減することになる。
図3に示す比較例に係る液体吐出ヘッドと図5に示す実施例1に係る液体吐出ヘッド10とを比較して、具体的に説明する。
従来の液体吐出ヘッドでは、図3に示すように、液体吐出ヘッドの表面で発生したESDで生じた電荷を、絶縁層111を保護層112と配線層110とで挟んで形成されたキャパシタで蓄えていた。
一方、図5に示す実施例1に係る液体吐出ヘッド10では、液体吐出ヘッドの表面で発生したESDで生じた電荷を、第1のノズル層132を金属層121と保護層112とで挟んで形成されたキャパシタで蓄えることになる。
ESDは瞬間的な放電現象である。したがって、本発明の実施例1では、ESDで生じた電荷を液体吐出ヘッド10の表面付近で形成されたキャパシタで蓄えることは、液体吐出ヘッドのさらに内部に位置する絶縁層111に電荷が流れることを抑制する上で有効である。結果として、絶縁層111に印加される電圧を軽減させることができ、絶縁層111のESDに対する耐性を高めることが可能となる。
<液体吐出ヘッドの製造工程>
図6に本発明の実施例1に係る液体吐出ヘッドの製造方法の一例を示す。
まず、基体107の表面側に、エネルギ発生素子108と配線層110を形成した(図6(a))。
次に、エネルギ発生素子108および配線層110の上面に、絶縁層111を成膜した。絶縁層111は、窒化シリコンを用いた。絶縁層111は、プラズマCVD法により300nmの厚さで成膜した。
次に、絶縁層111上に、キャパシタを構成するための導電膜となる保護層112を形成した。保護層112はタンタルを用いた。保護層112はスパッタ法により200nmの厚さで成膜した。
その後、保護層112上にレジストを塗布し、フォトリソグラフィによってレジストにパターンを形成した。続いて、パターンを形成したレジストをマスクとして用いて保護層112をドライエッチングしパターンを形成した。なお、保護層112は比較例の保護層のように島同士をつなぐ形状ではなく、島同士は分離している。
次に、保護層112の上面に、液路の型となる型材140を形成した。型材140は、ポジ型の感光材であるポリメチルイソプロペニルケトンを用いた。型材140は、スピンコート法により15μmの厚さで塗布し、フォトリソグラフィによりパターニングを行って形成した(図6(b))。
次に、型材140に架かるようにして第1のノズル層132を形成した。第1のノズル層132は、ネガ型の感光材であるエポキシ樹脂(比誘電率4)を用いた。第1のノズル層132は、スピンコート法により300nmの厚さで塗布し、フォトリソグラフィによりパターニングを行って形成した(図6(c))。
次に、第1のノズル層132上に、キャパシタを構成するためのもう一方の導電膜となる金属層121を形成した。金属層121は、Taを用いた。金属層121は、スパッタ法により200nmの厚さで成膜した。
その後、金属層121上にレジストを塗布し、フォトリソグラフィによってレジストにパターンを形成した。続いて、パターンを形成したレジストをマスクとして用いて金属層121をドライエッチングし、パターンを形成した(図6(d))。
液路105の存在しない保護層112の領域上に少なくとも一部が重なるように、金属層121を配置した。また、保護層112とは接触しないように、金属層121を形成した。また、液路105に露出するように、金属層121の端部を形成した。
次に、金属層121および型材140上に、第2のノズル層133を形成した。第2のノズル層133は、第1のノズル層132と同じエポキシ樹脂を用いた。第2のノズル層133は、スピンコート法により25umの厚さで塗布し、フォトリソグラフィによりパターニングを行って液体吐出口106を形成した(図6(e))。このようにして、金属層121上に第2のノズル層133が形成される。
最後に、型材140を乳酸メチルにより除去し、液路105を形成した(図6(f))。
本実施例によれば、液体吐出ヘッドのノズル層に別途キャパシタを設けることによって、ESDにより生じた電圧について、絶縁層に印加される電圧が低減され、ESDから液体吐出ヘッドの絶縁層を保護することが可能となる。
図7に本発明の実施例1に係る液体吐出ヘッド10に形成されたキャパシタの等価回路を示す。
図7において、Cは第1のノズル層132を保護層112と金属層121とで挟んで形成されたキャパシタ700の静電容量を示し、εrはキャパシタ700の比誘電率を示し、VSはESDが発生した場合のキャパシタ700に印加される電圧を示す。
ここで、ESDで発生した電荷Q、静電容量Cおよび電圧VSの関係式を次の(式1)に表す。
Q=CVS (式1)
また、第1のノズル層132の誘電率をεとし、キャパシタ700の電極の表面積をSとし、キャパシタ700の2つの電極間の距離をdとすると、静電容量Cは、次の(式2)のように表される。
Figure 2016068519
第1のノズル層132の誘電率εは、真空の誘電率ε0を用いると、次の(式3)のように表される。
ε=ε0・εr (式3)
(式2)、(式3)より、比誘電率εrが高い第1のノズル層132を使用すれば、キャパシタ700の静電容量を上昇させることが可能となることが理解できる。キャパシタ700の静電容量が上昇すれば、蓄えられる電荷の量が増加することになる。
<実施例2>
本発明の実施例2−1および2−2に係る液体吐出ヘッドでは、実施例1と異なり、比誘電率εrがより高い第1のノズル層132を使用する。
(実施例2−1)
本発明の実施例2−1に係る液体吐出ヘッドの製造方法の例を、次に述べる。
実施例1と同様に、基体107、エネルギ発生素子108、配線層110、絶縁層111、保護層112および型材140まで形成したのち、型材140に架かるようにして第1のノズル層132を形成した。第1のノズル層132は、窒化シリコン(比誘電率7.5)を用いた。第1のノズル層132は、プラズマCVD法により300nmの厚さで成膜した。金属層121、第2のノズル層133、液路105および液体吐出口106の形成方法は、実施例1と異ならないため、説明を省略する。
(実施例2−2)
本発明の実施例2−2に係る液体吐出ヘッドの製造方法の例を、次に述べる。
実施例1と同様に、基体107、エネルギ発生素子108、配線層110、絶縁層111、保護層112および型材140まで形成したのち、型材140に架かるようにして第1のノズル層132を形成した。第1のノズル層132は、酸化ハフニウム(HfO)(比誘電率15)を用いた。第1のノズル層132は、O2ガスを用いた反応性スパッタ法により300nmの厚さで成膜した。金属層121、第2のノズル層133、液路105および液体吐出口106の形成方法は、実施例1と異ならないため、説明を省略する。
液体吐出ヘッドの絶縁層111のESD破壊耐性を、実施例別に比較し整理したものを、表1に示す。表1の括弧内は、第1のノズル層132の比誘電率を表す。
Figure 2016068519
表1に示すように、比較例に係る液体吐出ヘッドと比較して、実施例1に係る液体吐出ヘッドは、絶縁層111のESD破壊耐性が高いことがわかる。また、実施例1に係る液体吐出ヘッドと比較して、実施例2−1、実施例2−2の順に、絶縁層111のESD破壊耐性が高くなっていることがわかる。即ち、第1のノズル層132の比誘電率が高いほど絶縁層111のESD破壊耐性が高くなっていることが理解できる。つまり、第1のノズル層の比誘電率は、4以上であることが好ましく、より好ましくは7.5以上、最も好ましくは15以上であることがわかった。
本実施例によれば、第1のノズル層132の比誘電率を上昇させることによって、実施例1よりも、ESDにより生じた電圧について、絶縁層に印加される電圧がさらに低減され、ESDから液体吐出ヘッドの絶縁層111を保護することが可能となる。
<その他>
各液体吐出ヘッドが有する金属層121は、導電層によってそれぞれ結合されても良く、当該導電層を接地させて、キャパシタ700で蓄えた電荷を、当該導電層を介して放出させてもよい。
また、上例では保護層としてタンタルを用いた液体吐出ヘッドについて説明したが、本発明は、保護層が導電性材料で形成される液体吐出ヘッドであれば、有効に適用できるものである。すなわち、保護層の材料としてはタンタルに限定されないことは勿論である。
上例では基体平面に対して直交する方向に液体を吐出する所謂サイドシュータ型の液体吐出ヘッドおよび該ヘッド用基板に本発明を適用した場合について説明した。しかし本発明は、基体に平行な方向に液体吐出を行う所謂エッジシュータ型の液体吐出ヘッドおよび該ヘッド用基板への適用を妨げるものではなく、これに対しても有効に適用できるものである。
なお、以上では、液体吐出に利用されるエネルギとして熱エネルギを発生する素子(ヒータ)を用いる方式の液体吐出ヘッドについて説明した。しかし本発明は、通電に応じて液体吐出に利用されるエネルギを発生する素子を有し、その素子上に絶縁層および保護層が設けられる液体吐出ヘッドであれば有効に適用できるものである。
1 液体吐出ヘッドユニット
10 液体吐出ヘッド
100 液体吐出ヘッド用基板
107 基体
108 エネルギ発生素子
110 配線層
111 絶縁層
112 保護層
121 金属層
130 複合ノズル層
132 第1のノズル層
133 第2のノズル層

Claims (7)

  1. 基体上に形成され、通電に応じ液体を吐出させるために利用されるエネルギを発生するエネルギ発生素子と、
    前記基体上に形成され、前記エネルギ発生素子に通電するための配線層と、
    前記配線層および前記エネルギ発生素子を短絡から保護する部位に設けられた絶縁層と、
    前記絶縁層上に形成され、前記絶縁層を保護するための保護層であって、導電性を有する保護層と、
    前記保護層上に配置され、液路および液体吐出口を形成するノズル部材とを備え、
    前記ノズル部材の一部を前記保護層と金属層とで挟んでキャパシタが形成されるように、前記ノズル部材内に前記金属層が配置されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記ノズル部材は、第1のノズル層と第2のノズル層とを備え、
    前記保護層上に前記第1のノズル層が形成され、
    前記第1のノズル層上に前記金属層が形成され、
    前記金属層上に前記第2のノズル層が形成され、
    前記第1のノズル層を前記保護層と前記金属層とで挟んでキャパシタが形成される請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記第1のノズル層は、比誘電率が4以上の材料で形成される請求項2の液体吐出ヘッド。
  4. 前記第1のノズル層は、比誘電率が7.5以上の材料で形成される請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 前記第1のノズル層は、比誘電率が15以上の材料で形成される請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
  6. 前記エネルギ発生素子は、通電に応じて液体に膜沸騰を生じさせる熱エネルギを発生する発熱抵抗体である請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
  7. 基体上に、通電に応じ液体を吐出させるために利用されるエネルギを発生するエネルギ発生素子を形成する工程と、
    前記基体上に、前記エネルギ発生素子に通電するための配線層を形成する工程と、
    前記配線層および前記エネルギ発生素子を短絡から保護する部位に、絶縁層を設ける工程と、
    前記絶縁層上に、前記絶縁層を保護するための保護層であって、導電性を有する保護層を形成する工程と、
    前記保護層上に、液路および液体吐出口を形成するノズル部材を配置する工程と、
    前記ノズル部材の一部を前記保護層と金属層とで挟んでキャパシタが形成されるように、前記ノズル部材内に前記金属層を配置する工程と
    を備えることを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
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