JP2019209617A - 液体吐出ヘッド用基板および液体吐出装置 - Google Patents

液体吐出ヘッド用基板および液体吐出装置 Download PDF

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徳弘 吉成
Norihiro Yoshinari
徳弘 吉成
三隅 義範
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義範 三隅
麻紀 加藤
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麻紀 加藤
譲 石田
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譲 石田
建 安田
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建 安田
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Takahiro Matsui
孝浩 松居
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Abstract

【課題】 発熱抵抗体と被覆部とが導通した場合において被覆部の変質の影響が広がることを抑制する。【解決手段】 液体吐出ヘッド用基板は、発熱抵抗体と、発熱抵抗体を被覆する被覆部と、複数の被覆部と電気的に接続された共通配線と、を有する。液体吐出ヘッド用基板は、さらに、被覆部の側に接続されるカソードと、共通配線の側に接続されるアノードと、を備えるダイオードを有する。【選択図】 図3

Description

本発明は、液体を吐出する液体吐出ヘッド用基板および液体吐出装置に関する。
現在、液室の内部の液体を発熱抵抗体に通電させることで加熱し、これによって生じる液体の膜沸騰によって液室内で発泡させ、このときの発泡エネルギーによって吐出口から液滴を吐出させる形式の液体吐出装置が多く採用されている。
このような液体吐出装置によって記録が行われる場合には、発熱抵抗体上の領域で液体が発泡、収縮、消泡する際に生じるキャビテーションによる衝撃といった物理的作用が発熱抵抗体上の領域に及ぼされることがある。また、液体の吐出が行われる際には、発熱抵抗体は高温となっているので、液体に含まれる成分が熱分解して発熱抵抗体の表面に付着して固着・堆積するといった化学的作用が発熱抵抗体上の領域に及ぼされることがある。これらの発熱抵抗体への物理的作用あるいは化学的作用から発熱抵抗体を保護するために、発熱抵抗体上には、発熱抵抗体を覆う金属材料等で形成された保護層(被覆部)が配置される場合がある。
通常、保護層は液体と接する位置に配置される。したがって、保護層に電気が流れてしまうと、保護層と液体との間で電気化学反応が生じてしまい、場合によっては保護層としての機能が損なわれてしまう場合がある。そのため、発熱抵抗体に供給される電気の一部が保護層へ流れないように、発熱抵抗体と保護層との間に、絶縁層が配置されている。
ところが、何らかの原因によって絶縁層の機能が損なわれてしまい、発熱抵抗体あるいは配線から、保護層へ直接的に電気が流れてしまう導通が生じる可能性がある。発熱抵抗体に供給される電気の一部が保護層に流れた場合には、保護層と液体との間で電気化学反応が生じてしまい、保護層が変質してしまうことがある。さらに、複数の発熱抵抗体をそれぞれ覆う保護層が互いに電気的に接続されている場合は、対応する発熱抵抗体との導通が生じた保護層とは別の保護層にも電流が流れてしまい、変質の影響が広がる恐れがある。
そこで、特許文献1には、複数の保護層と電気的に接続された共通配線に対し、破断部(ヒューズ部)を介してそれぞれの保護層が接続された構成が記載されている。このような構成において上記の導通が生じて1つの保護層に電流が流れた場合に、この電流によってヒューズ部が切断されることで、他の保護層との電気的な接続が切断される。これにより、保護層の変質の影響が広がることを抑えることができる。
特開2014−124923号公報
しかしながら、短絡が生じた場合であっても、発熱抵抗体と被覆部との接触領域(導通部)が微小であると、接触抵抗が大きくヒューズ部に流れる電流は小さくなるため、ヒューズ部が確実に切断されない可能性がある。そのため、ヒューズ部を設けた構成であってもヒューズ部が切断されずに導通が生じた被覆部から他の被覆部に電流が流れてしまい、ヘッド全体として被覆部の変質の影響が広がる恐れがある。
そこで、本発明は、発熱抵抗体と被覆部とが導通した場合において被覆部の変質の影響が広がることを抑制することを目的とする。
本発明の液体吐出ヘッド用基板は、第1の発熱抵抗体と第2の発熱抵抗体とを含み、液体を吐出するために発熱する複数の発熱抵抗体と、導電性を備え、前記第1の発熱抵抗体を被覆する第1の被覆部と、導電性を備え、前記第2の発熱抵抗体を被覆する第2の被覆部と、前記第1の被覆部および前記第2の被覆部と電気的に接続された共通配線と、前記第1の発熱抵抗体と前記第1の被覆部との間と、前記第2の発熱抵抗体と前記第2の被覆部との間と、に設けられた絶縁層と、を有する液体吐出ヘッド用基板において、前記第1の被覆部の側に接続されるカソードと、前記共通配線の側に接続されるアノードと、を備える第1のダイオードと、前記第2の被覆部の側に接続されるカソードと、前記共通配線の側に接続されるアノードと、を備える第2のダイオードと、を有する。
本発明によると、発熱抵抗体と被覆部とが導通した場合において被覆部の変質の影響が広がることを抑制することが可能となる。
液体吐出ヘッドユニットおよび液体吐出ヘッドを示す斜視図 液体吐出ヘッドの平面図および断面図 液体吐出ヘッドユニットと液体吐出装置本体との回路を示す図 液体吐出ヘッドの製造工程を示す断面図
(液体吐出ヘッドユニット)
図1(a)に、液体吐出ヘッドユニット410についての斜視図を示す。液体吐出ヘッドユニット410は、液体吐出ヘッドをタンクと一体化してなるカートリッジ形態のユニットである。液体吐出ヘッドユニット410は、キャリッジの内部に、装着及び取り外し可能に構成されている。液体吐出ヘッドユニット410には、液体吐出ヘッド1が取り付けられている。液体吐出ヘッドユニット410には、電力を供給するための端子を有するTAB(Tape Automated Bonding)用のテープ部材402が貼り付けられている。このテープ部材402を通って、液体吐出装置からそれぞれの発熱抵抗体108(図2)へ選択的に電力が供給される。発熱抵抗体108へ電力が供給される際には、接点403からテープ部材402を通って、液体吐出ヘッド1へ電力が供給される。また、液体吐出ヘッドユニット410は、液体を一旦貯留し、そこから液体吐出ヘッド1に供給するためのタンク404を備えている。
(液体吐出ヘッド)
図1(b)に、液体吐出ヘッド1についての一部を破断した斜視図を示す。液体吐出ヘッド1は、液体吐出ヘッド用基板100に流路形成部材120が貼り付けられることで形成されている。流路形成部材120と液体吐出ヘッド用基板100との間には、内部に液体を貯留させることが可能な複数の液室132(図2(b))が画成されている。液体吐出ヘッド用基板100には、液体吐出ヘッド用基板100を表面から裏面へ貫通するように、液体供給口130が形成されている。流路形成部材120には、液体供給口130に連通するように共通液室131が形成されている。また、流路形成部材120には、共通液室131からそれぞれの液室132まで延びるように、液体流路116が形成されている。したがって、液体流路116を介して、共通液室131とそれぞれの液室132とが連通するように、流路形成部材120が形成されている。それぞれの液室132の内部には、熱作用部117が形成されている。流路形成部材120における熱作用部117に対応する位置には、吐出口121が形成されている。複数の熱作用部117(発熱抵抗体108)は列をなして配設されており、熱作用部117に対応して設けられた吐出口121も列をなして配設されている。
ここでは、液体吐出ヘッド用基板100における液体の吐出の行われる側の面のことを表面と言うものとする。また、液体吐出ヘッド用基板100における液体の吐出の行われる側とは逆側の面のことを裏面と言うものとする。
タンク404から液体吐出ヘッド1に液体が供給される際には、液体吐出ヘッド用基板100における液体供給口130を通って共通液室131に液体が供給される。共通液室131に供給された液体は、液体流路116を通って、それぞれの液室132の内部へ供給される。このとき、共通液室131内の液体は、毛管現象により液体流路116及び液室132に供給され、吐出口121にてメニスカスを形成することにより、液体の液面が安定に保持される。
熱作用部117の裏面の側には発熱抵抗体108が備えられており、液体を吐出する際には、配線を通して発熱抵抗体108に通電させる。このときの発熱抵抗体108への通電により、発熱抵抗体108で熱エネルギーが発生する。これにより、液室132内の液体が加熱されて膜沸騰により発泡し、そのときの発泡エネルギーによって吐出口121から液滴が吐出される。
なお、液体吐出ヘッドユニット410は、上記実施形態のようにタンクと一体化された形態に適用されるものに限られない。例えば、液体吐出ヘッドとタンクとが別々に構成されたものであってもよい。こうすることにより、タンク内の液体が無くなったときに、タンクのみを取り外して新たなタンクを取り付けることで、タンクのみを交換することができる。そのため、必ずしもタンクと共に液体吐出ヘッドを交換する必要がなく、液体吐出ヘッドの交換頻度を減少させることで液体吐出装置の運転コストを低く抑えることができる。
なお、液体吐出装置としては、液体吐出ヘッドとタンクとが別々の位置に配置され、これらの間をチューブ等によって接続して液体吐出ヘッドへ液体を供給する形式のものであってもよい。また、液体吐出ヘッドが主走査方向に沿って走査するシリアルスキャン方式のものであってもよい。また、ラインプリンタに適用されるような、記録媒体の全幅に対応した範囲に亘って延在する液体吐出ヘッドを用いるフルラインタイプの液体吐出装置であってもよい。
図2(a)は、本実施形態に係る液体吐出ヘッド1の熱作用部117付近を上面から見て模式的に示した平面図である。また、図2(b)は図2(a)におけるIIB−IIB線に沿った液体吐出ヘッド1の模式的な断面図である。なお、図2(a)は流路形成部材120を省略して示している。
液体吐出ヘッド1は、シリコンによって形成された基体101上に複数の層が積層された液体吐出ヘッド用基板100を有する。基体101上には、熱酸化膜、SiO膜、SiN膜等によって形成される蓄熱層102が配置される。また、蓄熱層102上には、TaSiN等によって形成される発熱抵抗体層104が配置され、発熱抵抗体層104上には、Al、Al−Si、Al−Cu等の金属材料から形成される配線としての電極配線層105が配置されている。電極配線層105上には絶縁保護層106が配置されている。絶縁保護層106は、発熱抵抗体層104及び電極配線層105を覆うようにこれらの上側に設けられている。絶縁保護層106は、SiO膜、SiN膜、SiCN膜等によって形成されている。
絶縁保護層106上には発熱抵抗体108を覆うように上部保護層107が配置されている。上部保護層107は、発熱抵抗体108の発熱に伴う化学的、物理的衝撃から発熱抵抗体108を保護している。本実施形態では、上部保護層107は、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)等の白金族やタンタル(Ta)によって20〜100nmの厚さで形成されている。なお、上部保護層107は、Ir、Ru、Taのいずれかに限らず、これらを含む合金によって形成してもよく、また、これらを積層して形成してもよい。なお、これらの材料によって形成された上部保護層107は導電性を有している。
発熱抵抗体108をそれぞれ覆うように上部保護層107が設けられている。すなわち、図2(a)に示すように、発熱抵抗体108(第1の発熱抵抗体108a)を覆うように上部保護層107(第1の被覆部107a)が設けられている。また、他の発熱抵抗体108(第2の発熱抵抗体108b)を覆うように他の上部保護層107(第2の被覆部107b)が設けられている。また、絶縁保護層106は発熱抵抗体108a、108bと上部保護層107a、107bとの間に設けられており、発熱抵抗体108aと上部保護層107aとの間の絶縁、および発熱抵抗体108bと上部保護層107bとの間の絶縁が確保されている。
発熱抵抗体108は電極配線層105が部分的に除去されることによって形成されている。すなわち、電極配線層105の一部が除去されてその部分から発熱抵抗体層104が露出しており、この電極配線層105から露出する発熱抵抗体層104の部分が発熱抵抗体108として機能する。電極配線層105は、不図示の駆動素子回路ないし外部電源端子に接続されており、外部からの電力の供給を受けることができるように構成されている。
なお、発熱抵抗体108は、上述したような、発熱抵抗体層104の上に電極配線層105を配置する構成に限定されない。例えば、電極配線層105を基体101または熱酸化膜102上に形成し、電極配線層105の一部を部分的に除去してギャップを形成して、その電極配線層105の上に発熱抵抗体層104を配置する構成であってもよい。また、電極配線層105を蓄熱層102の中に埋め込み、蓄熱層102上に単層として形成された発熱抵抗体層104に対して電極配線層105から例えばタングステンなどの金属プラグを介して電力を供給するような構成であってもよい。
上部保護層107の発熱抵抗体108の側には、各発熱抵抗体108を覆う導電性の保護層103が設けられている。図2(a)に示すように、発熱抵抗体108を覆う上部保護層107(107a)は、保護層103や共通配線110を介して他の発熱抵抗体108(108b)を覆う上部保護層107(107b)と電気的に接続されている。共通配線110は吐出口列の方向(発熱抵抗体108の配列方向)に沿って形成されている。本実施形態では、保護層103や共通配線110はTaで形成されており、20〜100nmの厚さで形成されている。なお、保護層103や共通配線110はRuで形成されてもよく、あるいはRu、Taのいずれかを含む合金で形成されてもよい。
また、それぞれの液室132の内部に配置された保護層103と共通配線110との間には、ダイオード112が配置されている。このダイオード112は、各液室132に配置されている。
また、液体吐出ヘッド1の液室132には電極111が設けられており、上部保護層107と電極111との間に電圧を印加可能な構成となっている。上部保護層107は、保護層103、共通配線110を介して液体吐出ヘッド1の端子に電気的に接続されている。また、電極111は電極用配線109を介して液体吐出ヘッド1の端子に電気的に接続されている。
本実施形態の液体吐出ヘッド1では、上部保護層107と電極111とを用い、上部保護層107の表面に付着したコゲを上部保護層107の一部とともに取り除く「コゲ除去操作」を行うことができる。
「コゲ除去操作」では、上部保護層107と電極111とを対となる電極として用い、電気化学反応によって上部保護層107を構成する材料が液体に溶出するように、二つの電極間に液体を介して電圧を印加する。これにより、上部保護層107の表面に堆積されたコゲを上部保護層107の一部とともに液体へ溶出させて、上部保護層107の表面上のコゲを取り除くことができる。コゲ除去操作は、液体吐出を行っていない非記録時に行われる。このコゲ除去操作では、共通配線110を介して上部保護層107に任意の電位を付与し、電極111をGNDに繋ぎ、上部保護層107を電極111よりも高電位として両電極間に電位差を生じさせて上部保護層107を液体に溶出させる。
(回路構成)
液体吐出装置は、液体吐出ヘッドユニット410と、これを搭載可能な液体吐出装置本体500とを有する。図3は本実施形態の液体吐出ヘッド1を含む液体吐出ヘッドユニット410と、液体吐出ヘッドユニット410が搭載される液体吐出装置本体500と、の回路図を示している。図3(a)は正常な状態を示し、図3(b)は発熱抵抗体108と上部保護層107との間で導通が生じた状態を示している。
それぞれの発熱抵抗体108は、電源301(電圧印加手段)、スイッチングトランジスタ114及び不図示の選択回路によって選択されて駆動されている。本実施形態では、液体吐出ヘッドユニット410の外部である液体吐出装置本体500に設けられた電源301は、例えば20〜35Vの駆動電圧であり、ここでは電源301は24Vの電圧とする。このような構成により、所定のタイミングで発熱抵抗体108に電源301からの電力を供給することができ、所定のタイミングで発熱抵抗体108を発熱させて液体を発泡させて吐出口から液滴を吐出することができる。
上述のように、発熱抵抗体108と上部保護層107との間には絶縁層として機能する絶縁保護層106が配置されているので、図3(a)に示すように、発熱抵抗体108とこれを覆う上部保護層107とは、電気的に接続されていない。また、異なる発熱抵抗体108(108a、108b)に対応して設けられた複数の上部保護層107(107a、107b)は、それぞれダイオード112(112a、112b)を介して共通配線110に接続されている。
記録が行われる過程で、何らかの理由での偶発故障により、発熱抵抗体108と上部保護層107との間で導通して電流が流れてしまうことがある。図3(b)に示すように、発熱抵抗体108(108a)と上部保護層107(107a)との間で導通部200が生じ、電極配線層105を流れる電流の一部400が上部保護層107(107a)へ流れる。例えば、発熱抵抗体108が破損したときには、その影響によって絶縁保護層106が破断する場合がある。そのとき、発熱抵抗体108と上部保護層107の一部が溶融し、これらが直接接触して導通部200が生じる可能性がある。
上部保護層107がTaである場合には、上部保護層107が液体との間で電気化学反応を起こし、陽極酸化が始まる。陽極酸化が進むと、酸化したTaは液体に溶け出すため、上部保護層107の寿命が短くなる恐れがある。また、上部保護層107がIrやRuである場合には、上部保護層107と液体との間の電気化学反応により、上部保護層107が液体に溶出するために、上部保護層107の耐久性が低下する恐れがある。液室の内部に液体が貯留され、発熱抵抗体108が通電されて駆動されるときには、液体の電位は、発熱抵抗体108の駆動電位よりも低い。したがって、発熱抵抗体108と上部保護層107との間で導通が生じたときに上部保護層107は液体よりも高電位となるため、上部保護層107と液体との間で容易に電気化学反応が生じてしまう。
発熱抵抗体108(108a)と上部保護層107(107a)との間で導通が生じたときには、電流が共通配線110を介して他の発熱抵抗体108(108b)を覆う上部保護層107(107b)にも流れる可能性がある。そのため、陽極酸化や溶出といった上部保護層107の変質が、対応する発熱抵抗体108(108b)との導通が生じていない上部保護層107(107b)においても生じる恐れがあり、上部保護層107の変質の影響が広範囲に亘って及ぶ可能性がある。
そこで、本実施形態では、各上部保護層107と共通配線110との電気経路の間にダイオード112が配置されている。ダイオード112は、そのカソードが保護層103の側(すなわち、上部保護層107の側)に接続され、アノードが共通配線110の側に接続されている。このダイオード112は、アノード側からカソード側へ電気を通し、カソード側からアノード側への電気的接続を抑制する一般的なPN接合型のダイオードである。
発熱抵抗体108と上部保護層107との間で導通が生じ、上部保護層107に電流が流れたときには、ダイオード112にも電流が流れる。しかし、ダイオード112は、共通配線110の側にアノードが接続され、上部保護層107の側にカソードが接続されているため、上部保護層107から共通配線110へはほとんど電流が流れない。これにより、発熱抵抗体108と上部保護層107との導通による上部保護層107の変質の影響が、他の発熱抵抗体108を覆う上部保護層107へ広がることを抑えることができる。一つの液室132の内部で上記導通が生じて正常な液体吐出ができなくなったとしても、他の液室132で液体を吐出して補完することが可能である。
なお、発熱抵抗体108(108a)と上部保護層107(107a)とが導通した場合に、共通配線110へ電流が流れることはほぼ抑えられる。しかし、発熱抵抗体108に印加される電圧の影響を受けて共通配線110の電位が上がり、上部保護層107の変質の影響が広がる恐れがある。したがって、導通が生じやすい記録時などにおいて、共通配線110は、GND電位に接地されていることが好ましい。例えば、液体吐出ヘッド1の端子を介し、スイッチなどの切り替え手段304をGND電位302の側に接続することで、共通配線110をGND電位とすることができる。
また、ダイオード112は、共通配線110から上部保護層107へ向かう方向への電気の流れへはほぼ影響を及ぼさないため、上部保護層107に任意の電圧を印加することで、電極111との間で電位差を生じさせてコゲ除去操作を行うこともできる。例えば、非記録動作中にコゲ除去操作を行う際には、共通配線110と液体吐出ヘッド1の端子とを介し、切り替え手段304を電源303(電圧印加手段)の側に接続し、電源303から上部保護層107に任意の電圧を印加する。これにより、上部保護層107の表面とともにコゲを液体に溶出させることができる。
なお、上記の実施形態では上部保護層107と共通配線110との間にダイオード112を1つ配置している構成であるが、複数のダイオード112を設けてもよい。電圧値によっては1つのダイオード112では上部保護層107から共通配線110へ向かう方向の電気の流れの抑制が不十分となる場合もある。これに対し、一般的にダーリントン接続と呼ばれる方法を用い複数のダイオード112を直列に繋ぐと、上部保護層107から共通配線110へ向かう方向の電気抵抗を大きくすることができる。これにより、より確実に上部保護層107の変質の影響を抑えることができる。
また、上記の実施形態では1つの上部保護層107が1つの発熱抵抗体108を覆う構成であるが、1つの上部保護層107が複数の発熱抵抗体108を覆う構成であってもよい。この場合も、1つの上部保護層107に対応して1つのダイオード112(または、直列に繋がれた複数のダイオード112)を設ければよい。すなわち、同じ上部保護層107に覆われる複数の発熱抵抗体108に対して1つのダイオード112(または、直列に繋がれた複数のダイオード112)を設ければよい。
(液体吐出ヘッドの製造工程)
図4(a)〜(e)は、本実施形態に係る液体吐出ヘッド1の製造工程を説明するための模式的断面図である。なお、図4は図2(b)と同様の断面で製造工程を示している。
なお、通常、液体吐出ヘッドの製造工程では、Siによって形成された基体101に、駆動回路が予め作り込まれた状態で、基体101上にそれぞれの層に積層されて液体吐出ヘッド1が製造される。発熱抵抗体108を選択的に駆動するためのスイッチングトランジスタ114といった半導体素子等が、駆動回路として基体101に予め作り込まれ、その上に各層が積層されて液体吐出ヘッド1が形成される。しかしながら、ここでは簡略化のために、予め配置された駆動回路等については図示しておらず、図4では基体のみが示されている。
まず、基体101上に、熱酸化法、スパッタ法、CVD法などによって、発熱抵抗体層104の下部層としてSiOの熱酸化膜からなる蓄熱層102を形成する。なお、駆動回路を予め作り込んだ基体に対しては、それら駆動回路の製造プロセス中で蓄熱層を形成可能である。
次に、蓄熱層102上にTaSiN等の発熱抵抗体層104を、反応スパッタリングにより約20nmの厚さに形成する。また、発熱抵抗体層104上にA1層をスパッタリングにより約300nmの厚さに形成することにより、電極配線層105が形成される。そして、フォトリソグラフィ法を用い、発熱抵抗体層104及び電極配線層105に対して同時にドライエッチングを施す。これにより、発熱抵抗体層104及び電極配線層105を部分的に除去することで、図4(a)に示される形状の発熱抵抗体層104及び電極配線層105を形成する。なお、本実施形態では、ドライエッチングとしてリアクティブイオンエッチング(RIE)法を用いている。
次に、絶縁保護層106を形成するために、図4(b)に示されるように、プラズマCVD法を用いて、絶縁保護層106として厚さ約200nmのSiN膜を形成する。
次に、絶縁保護層106上に、スパッタリングにより厚さ約100nmのTa層を形成する。次に、フォトリソグラフィ法を用いてドライエッチングによりTa層を部分的に除去し、保護層103、電極用配線109、及び共通配線110を形成する(図4(c))。
また、ダイオード112(図2(a))のカソードが上部保護層107の側、ダイオード112のアノードが共通配線110の側に接続されるようにして、ダイオード112を設ける。この際、ダイオード112を設ける方法は一般的な製造方法を用いることができる。
次に、スパッタリングにより厚さ30nmのIr層を形成する。フォトリソグラフィ法を用いてドライエッチングによりIr層を部分的に除去し、発熱抵抗体108を覆う上部保護層107と、電極111と、を形成する(図4(d))。
次に、図4(d)で形成された液体吐出ヘッド用基板100の上部保護層107の側の面にスピンコート法を用いて溶解可能な固体層であるレジスト層を塗布する。レジスト層の材料としては、例えばネガ型のレジストとして作用するポリメチルイソプロペニルケトンを用いる。そして、フォトリソグラフィ法を用い、レジスト層を所望の液室132の形状にパターニングする。続いて、液流路壁や吐出口121を構成する流路形成部材120を形成するために、被覆樹脂層を形成する。この被覆樹脂層を形成する前に、密着性を向上させるためにシランカップリング処理等を適宜行うことができる。被覆樹脂層は、従来知られているコーティング法を適宜選択して、液室132の形状にパターニングされたレジスト層が形成された液体吐出ヘッド用基板100の上に樹脂を塗布することによって形成する。次に、フォトリソグラフィ法を用い、被覆樹脂層を所望の液流路壁や吐出口121の形状にパターニングする。その後、基板100の裏面から、異方性エッチング法,サンドブラスト法,異方性プラズマエッチング法等を用いて、液体吐出ヘッド用基板100を貫通する液体供給口130を形成する(不図示)。この際、例えば、テトラメチルヒドロキシアミン(TMAH),NaOH,KOH等を用いた化学的シリコン異方性エッチング法により、液体供給口130を形成する。続いて、Deep−UV光による全面露光を行い、現像および乾燥を行うことにより、レジスト層を除去して液室132を形成する。
以上の工程を経て、液体吐出ヘッド1が製造される。
106 絶縁保護層(絶縁層)
107 上部保護層(被覆部)
108 発熱抵抗体
110 共通配線
112 ダイオード

Claims (7)

  1. 第1の発熱抵抗体と第2の発熱抵抗体とを含み、液体を吐出するために発熱する複数の発熱抵抗体と、
    導電性を備え、前記第1の発熱抵抗体を被覆する第1の被覆部と、
    導電性を備え、前記第2の発熱抵抗体を被覆する第2の被覆部と、
    前記第1の被覆部および前記第2の被覆部と電気的に接続された共通配線と、
    前記第1の発熱抵抗体と前記第1の被覆部との間と、前記第2の発熱抵抗体と前記第2の被覆部との間と、に設けられた絶縁層と、
    を有する液体吐出ヘッド用基板において、
    前記第1の被覆部の側に接続されるカソードと、前記共通配線の側に接続されるアノードと、を備える第1のダイオードと、
    前記第2の被覆部の側に接続されるカソードと、前記共通配線の側に接続されるアノードと、を備える第2のダイオードと、
    を有することを特徴とする液体吐出ヘッド用基板。
  2. 前記共通配線はGND電位とされることが可能である、請求項1に記載の液体吐出ヘッド用基板。
  3. 記録時に前記共通配線をGND電位とする、請求項1または請求項2に記載の液体吐出ヘッド用基板。
  4. 前記第1の被覆部との間で液体を介して電圧を印加可能な電極を有し、
    前記第1の被覆部を液体に溶出させる際には、前記第1の被覆部を前記電極よりも高電位とし、前記共通配線から前記第1のダイオードを介して前記第1の被覆部へ電流を流す、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド用基板。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド用基板と、
    前記液体吐出ヘッド用基板が搭載された装置本体と、
    を有する液体吐出装置。
  6. 前記共通配線は、前記装置本体を介してGND電位とされることが可能である請求項5に記載の液体吐出装置。
  7. 請求項4に記載の液体吐出ヘッド用基板と、
    前記液体吐出ヘッド用基板が搭載された装置本体と、
    を有し、
    前記装置本体は、前記第1の被覆部と前記電極との間に電圧を印加可能な電圧印加手段を備える液体吐出装置。
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