JP2016067348A - 間質性肺炎モデル動物及びその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】薬剤の評価系への利用に適した、慢性且つ進行性の間質性肺炎の病態を早期に発症するモデル動物及びその用途を提供することを課題とする。【解決手段】以下のステップ、即ち、(1)MHCクラスII転写活性化遺伝子、MHCクラスII転写活性化遺伝子の活性領域、及びMHCクラスII転写活性化遺伝子の変異体(但し、MHCクラスII遺伝子群の発現を制御するマスタースイッチ機能を有する)からなる群より選択されるDNAがII型コラーゲンプロモーターの制御下に配置された外来性DNAをホモ型で保有するトランスジェニック非ヒト哺乳動物に対して、関節炎を誘導する処置を施すステップと、(2)ステップ(1)後のトランスジェニック非ヒト哺乳動物の肺腔内に、微小バブルと混合したブレオマイシンを投与した後、外部から超音波を照射して前記微小バブルを破砕するステップを含む、慢性且つ進行性の病態を示す間質性肺炎モデル動物の作製方法が提供される。【選択図】なし

Description

本発明は間質性肺炎の病態を再現するモデル動物(間質性肺炎モデル動物)及びその用途に関する。
間質性肺炎は、肺の間質組織に炎症をきたす疾患の総称であり、難治疾患の一つである。間質性肺炎の内、特発性間質性肺炎は日本において特定疾患に指定されている。間質性肺炎の原因は、関節リウマチや多発性皮膚筋炎などの膠原病、粉塵やカビ・ペットの毛・羽毛などの慢性的な吸入、特定の薬剤、感染症など、様々である。原因を特定できない間質性肺炎は特発性間質性肺炎と呼ばれる。間質性肺炎の治療は一般に困難であり、殆どの症例においては、ステロイドホルモンや免疫抑制剤による対症療法が行われているのが現状である。
治療薬又は治療法の開発においては一般に、動物モデルが頻用される。これまでに、間質性肺炎モデルとしてブレオマイシンを用いた一過性の間質性肺炎モデル(ブレオマイシン誘導性間質性肺炎)が報告されている。しかしながら、このモデル動物は、ブレオマイシンの投与によって急性且つ一過性の炎症を示した後、急激な緩解過程を示す。そのため、薬剤の評価系には適さない。
本発明者は、上記モデル動物の問題点を克服する間質性肺炎モデルとして、II型コラーゲンプロモーターの制御下にあるCIITA遺伝子をホモ型で保有するように遺伝子改変したマウス(ホモ型D1CCマウス)を開発し、その有用性を報告した(特許文献1)。ホモ型D1CCマウスの発症する間質性肺炎は慢性且つ進行性であり、ヒトの間質性肺炎と類似する。また、ホモ型D1CCマウスでは、ヒトの間質性肺炎の診断マーカーである血清SP-D血清肺サーファクタントプロテインD(SP-D)によって間質性肺炎の進行をモニターできる。
一方、本発明者は、ヒト関節リウマチのモデル動物として、高頻度に関節炎を発症するモデルマウス(B7.1トランスジェニックマウス)の樹立に成功したことも報告した(特許文献3)。
特開2012−125235号公報 米国特許出願公開第2011/0293530 A1号明細書 国際公開第2007/086382号パンフレット
Braun, R. K., et al. (1996). Eur Respir J 9(4): 673-679. Lamanauskas, N. et al. J. Drug Target, 21, 407-414 (2013). 福島昭二ほか、Drug. Deliv. Syst., 25, 307 (2010). 大西美佳ほか、日本薬学会第129年会要旨集 No.4, P.224 (2009). 園田祥三ほか、日本眼科学会雑誌, 第110巻 臨時増刊号, P.152 (2006).
上記の通り、本発明者が開発したホモ型D1CCマウスは間質性肺炎のモデルとして優れた特性を示す。しかしながら、当該マウスでは、間質性肺炎の発症までに時間(誘導処理から約35週程度)を要する。そのため、薬剤の評価系に利用した場合には、薬剤の投与開始前に長期間待つ必要がある。即ち、薬剤の評価系への適用を考えると、長期間に渡り薬剤が投与できる利点がある一方で発症までに時間を要する点において、改善の余地があるものであった。そこで本発明は、薬剤の評価系への利用により適した、慢性且つ進行性の間質性肺炎の病態を早期に発症するモデル動物及びその用途を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題に鑑み研究を進める中で、ホモ型D1CCマウスの利点、即ち、慢性且つ進行性の間質性肺炎を発症することと、ブレオマイシンが任意の時期に急性の間質性肺炎様の病態を誘導できることに着目し、ブレオマイシンの投与によってホモ型D1CCマウスの発症を早めることを目指した。その際、ブレオマイシン誘導性間質性肺炎の場合、規定量のブレオマイシンの投与では死亡個体(脱落個体)が多い一方で、規定量以下の投与では全く発症個体が見られないことが多い点に注目し、ブレオマイシンの投与量を変えるだけでは死亡個体を減らすことは難しいと考え、投与方法を工夫することにした。具体的には、マイクロバブル(微小バブル)をブレオマイシンとともに肺腔内へと投与し、その後、外部から超音波を照射することによってマイクロバブルを破砕することにした。検証の結果、当該投与方法によれば、低投与量のブレオマイシンで効果的に間質性肺炎を誘導でき、ホモ型D1CCマウスを用いた従来の方法では発症しない極めて早期においても、ヒト病態に類似した慢性且つ進行性の間質性肺炎を発症させることが可能であった。また、ブレオマイシンの投与量を低減した結果、死亡個体も減少した。尚、ブレオマイシンの抗腫瘍効果を高めるためにマイクロバブルが利用されている(例えば特許文献2、非特許文献2〜5)。これらの従来技術は、ブレオマイシンとマイクロバブルを併用する点においては、本発明者が採用した投与方法と一致するものの、その目的が全く異なる。また、本発明者が明らかにした効果(ホモ型D1CCマウスにおける慢性且つ進行性の間質性肺炎の病態の発現が大幅に早まること)は、マイクロバブルの併用によってブレオマイシンの抗腫瘍効果が増強されたことによっては説明できず、即ち、過去の報告からは予測できるものではない。
より有用性の高いモデル動物を作出すべく更なる検討を行った。その結果、II型コラーゲンプロモーターの制御下にあるCIITA遺伝子をホモ型で保有することに加え、II型コラーゲンプロモーターの制御下にあるB7.1(別名CD80。共刺激分子の一つ)遺伝子をホモ型で保有するマウス(ダブルホモ型トランスジェニックマウス)が、間質性肺炎により高い感受性を示すことが明らかとなった。特筆すべきことに、このトランスジェニックマウスでは、II型コラーゲンの投与等によって関節炎の誘導を行わなくとも間質性肺炎を誘導可能であった。
以下の発明は、上記の成果及び考察に基づく。
[1]以下のステップ(1)及び(2)を含む、慢性且つ進行性の病態を示す間質性肺炎モデル動物の作製方法:
(1)MHCクラスII転写活性化遺伝子、MHCクラスII転写活性化遺伝子の活性領域、及びMHCクラスII転写活性化遺伝子の変異体(但し、MHCクラスII遺伝子群の発現を制御するマスタースイッチ機能を有する)からなる群より選択されるDNAがII型コラーゲンプロモーターの制御下に配置された外来性DNAをホモ型で保有するトランスジェニック非ヒト哺乳動物に対して、関節炎を誘導する処置を施すステップ、
(2)ステップ(1)後のトランスジェニック非ヒト哺乳動物の肺腔内に、微小バブルと混合したブレオマイシンを投与した後、外部から超音波を照射して前記微小バブルを破砕するステップ。
[2]関節炎を誘導する前記処置が、1回あたりのII型コラーゲンの投与量を0.01mg〜0.05mgとして2回以上II型コラーゲンを投与することである、[1]に記載の作製方法。
[3]II型コラーゲンの投与回数が3〜5回である、[1]又は[2]に記載の作製方法。
[4]以下のステップ(A)を含む、慢性且つ進行性の病態を示す間質性肺炎モデル動物の作製方法:
(A) MHCクラスII転写活性化遺伝子、MHCクラスII転写活性化遺伝子の活性領域、及びMHCクラスII転写活性化遺伝子の変異体(但し、MHCクラスII遺伝子群の発現を制御するマスタースイッチ機能を有する)からなる群より選択されるDNAがII型コラーゲンプロモーターの制御下に配置された外来性DNAをホモ型で保有し、且つB7.1遺伝子、及びB7.1遺伝子の変異体(但し、T細胞の活性化に関してB7.1遺伝子と同等の機能を有する)からなる群より選択されるDNAがII型コラーゲンプロモーターの制御下に配置されてなる外来性DNAをホモ型で保有するトランスジェニック非ヒト哺乳動物の肺腔内に、微小バブルと混合したブレオマイシンを投与した後、外部から超音波を照射して前記微小バブルを破砕するステップ。
[5]前記微小バブルがマイクロバブルである、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の作製方法。
[6]ブレオマイシンの投与量が0.01mg〜0.2mgである、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の作製方法。
[7]前記微小バブルの量が、投与物の40%(v/v)〜90%(v/v)である、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の作製方法。
[8]前記外来性DNAがII型コラーゲンエンハンサーを含む、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の作製方法。
[9]前記非ヒト哺乳動物の種(属)が、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ブタ、ウシ及びウマからなる群より選択されるいずれかである、[1]〜[8]のいずれか一項に記載の作製方法。
[10]前記非ヒト哺乳動物の種(属)がマウスである、[1]〜[8]のいずれか一項に記載の作製方法。
[11]前記マウスの遺伝的な背景が99%以上DBAである、[10]に記載の作製方法。
[12]以下の(a)及び(b)のステップを含む、間質性肺炎用薬剤のスクリーニング方法:
(a)[1]〜[11]のいずれか一項に記載の方法で作製した間質性肺炎モデル動物に被験物質を投与するステップ;
(b)被験物質の治療効果又は予防効果を判定するステップ。
[13]ステップ(a)が、前記ステップ(2)から3週後以降に行われる、[12]に記載のスクリーニング方法
[14]ステップ(a)が、前記ステップ(2)から3週後〜20週後の間に行われる、[12]に記載のスクリーニング方法
[15]間質性肺炎の発症頻度、間質性肺炎の発症時期、間質性肺炎の進行又は重篤化、間質性肺炎の改善、血清肺サーファクタントプロテインD(SP-D)値、及び肺又は血清中のハイドロキシプロリン量からなる群より選択される一以上の指標に基づき、ステップ(b)の判定を行う、[11]〜[14]のいずれか一項に記載のスクリーニング方法。
[16]対照群との比較に基づきステップ(b)の判定を行う、[11]〜[15]のいずれか一項に記載のスクリーニング方法。
本発明のトランスジェニックマウス作製に用いることのできるトランスジーンの一例(II型コラーゲンプロモーターの制御下にCIITA遺伝子が配置されたベクターpCol2fluCIITANeof)を示す。1)約1kbpのラットII型コラーゲンプロモーター部の下流にヒトグロビンスプライシング配列がある。2)この直下にヒトCIITAポリAサイトを含むヒトCIITA cDNA(fluCIITA)が挿入され、この後方にラットII型コラーゲンエンハンサーが配置されている。3)さらにこの下流にPGKプロモーター直下にほ乳類細胞非耐性の薬剤マーカーNeo遺伝子及びポリAシグナルを配置したカセットが配置されている。4)バックボーンのベクターは、アンピシリン等の薬剤耐性遺伝子を有するpBR322である。 II型コラーゲンの免疫により関節炎を誘導した後、ブレオマイシンとマイクロバブルの混合物の投与及び超音波処理(間質性肺炎の誘導処置)を行ったホモ型D1CCマウス(試験群)の間質性肺炎発症率及び死亡個体率。間質性肺炎の誘導処置から2週後、9週後、13週後に評価した。 従来法(ブレオマイシン単独の投与)で間質性肺炎を誘導した場合の間質性肺炎発症率及び死亡個体率。 II型コラーゲンの投与により関節炎を誘導したマウス(Co2誘導)と、非誘導マウス(Col2非誘導)の間質性肺炎発症率の比較。ブレオマイシンとマイクロバブルの混合物の投与及び超音波処理(間質性肺炎の誘導処置)から6週後に評価した。 ブレオマイシンとマイクロバブルの混合物投与後13週における組織像(HE染色)。A:ブレオマイシン濃度50%でブレオマイシンとマイクロバブルの混合物を投与。強いリンパ球の浸潤(矢印)、線維化(fib)が観察される。B:コントロール(PBS投与)。正常肺では肺胞構造が保たれている。尚、肺組織を4%パラフォルムアルデヒドで固定し、定法に従いパラフィン包埋後、切片を作製してHE染色に供した。 本発明のトランスジェニックマウス作製に用いることのできるトランスジーンの一例(II型コラーゲンプロモーターの制御下にマウスB7.1遺伝子が配置されたベクターpCol2B7.1を示す。1)約1kbpのラットII型コラーゲンプロモーター部の下流にヒトグロビンスプライシング配列がある。2)この直下にポリAサイトを含むマウスB7.1 cDNAが挿入され、この後方にラットII型コラーゲンエンハンサーが配置されている。3)バックボーンのベクターは、アンピシリン等の薬剤耐性遺伝子を有するpBR322である。 ダブルホモ型トランスジェニックマウスを用いた間質性肺炎誘導実験の結果。バブル+ダブルホモ:ダブルホモ型マウスに対して、ブレオマイシン濃度40%でブレオマイシンとマイクロバブルの混合物を投与した群。従来+ダブルホモ:ダブルホモ型マウスに対して、ブレオマイシン濃度40%でブレオマイシン溶液を投与した群。PBS+ダブルホモ:ダブルホモ型マウスに対してPBSを投与した群。バブル+D1CCホモ:ホモ型D1CCマウスに対して、ブレオマイシン濃度40%でブレオマイシンとマイクロバブルの混合物を投与した群。従来+D1CCホモ:ホモ型D1CCマウスに対して、ブレオマイシン濃度40%でブレオマイシン溶液を投与した群。PBS+D1CCホモ:ホモ型D1CCマウスに対して、PBSを投与した群。尚、途中死亡個体等あるので、個体数は各郡6個体以上使用した。但し、PBSを投与した群については3個体とした。
(間質性肺炎モデル動物の作製方法:本発明の第1の局面)
本発明の第1の局面は、慢性且つ進行性の病態を示す間質性肺炎モデル動物の作製方法に関する。本発明の作製方法では以下の二つのステップ(1)及び(2)が行われる。
(1)MHCクラスII転写活性化遺伝子、MHCクラスII転写活性化遺伝子の活性領域、及びMHCクラスII転写活性化遺伝子の変異体(但し、MHCクラスII遺伝子群の発現を制御するマスタースイッチ機能を有する)からなる群より選択されるDNAがII型コラーゲンプロモーターの制御下に配置された外来性DNAをホモ型で保有するトランスジェニック非ヒト哺乳動物に対して、関節炎を誘導する処置を施すステップ
(2)ステップ(1)後のトランスジェニック非ヒト哺乳動物の肺腔内に、微小バブルと混合したブレオマイシンを投与した後、外部から超音波を照射して前記微小バブルを破砕するステップ
ステップ(1)では、所定の特徴を備える動物(本明細書では「処置用動物」と呼ぶ)を用意し、関節炎を誘導する処置を施す。本発明に使用する処置用動物は、所定の外来性DNAをホモ型で保有するトランスジェニック非ヒト哺乳動物(以下、「TG動物」ともいう)からなる。「トランスジェニック非ヒト哺乳動物(TG動物)」とは、発生初期に外来性DNAが導入されることによって、それを構成するすべての細胞が当該外来性DNAを保有することとなる、ヒト以外の哺乳動物又はその子孫(但し、当該外来性遺伝子を保有するもの)をいう。ここでの哺乳動物の種(属)は特に限定されず、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ブタ、ウシ、及びウマ等を含む。好ましくはマウス(例えばH-2qマウスDBA/J系統やB10.Q系統、又はH-2rマウスR10.RIII系統(これらのマウスは日本チャールズリバーから入手可能である))やラット(例えばLewis(Rtw)、WFC(Rte)、DA(Rta)ラット(これらのラットは日本チャールズリバーから入手可能である))などの齧歯目動物であり、最も好ましくはマウスである。
本発明における外来性DNAは、本発明に使用する処置用動物内での発現を目的として使用される遺伝子(導入遺伝子)としてクラスII転写アクチベーター遺伝子(以下、「CIITA遺伝子」ともいう)を含む。CIITA遺伝子は、MHCクラスII遺伝子群の発現を制御するマスタースイッチとして機能することが知られている(Steimle V., Otten L.A., Zufferey M., and Mach B. 1993. Complementation Cloning of an MHC class II transactivator mutated in hereditary MHC class II deficiency. Cell. 75:135.)。ヒト、マウス、ラットなどのCIITA遺伝子を使用することができる。尚、ヒトのCIITA遺伝子の配列(Genbank(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Genbank/index.html) Accession No.(以下、AN): X74301)を配列番号1に示す。同様に、マウスのCIITA遺伝子の配列(AN: NM_007575)を配列番号2に示す。CIITA遺伝子の代わりに、その変異体を使用してもよい。ここでの「変異体」とは、CIITA遺伝子の一部と同一又は相同な配列を有するが、その全配列をCIITA遺伝子の配列に比較した場合に両者の間に相違が認められるものをいう。CIITA遺伝子の変異体として、CIITA遺伝子のDNA配列を基準とした場合に1若しくは複数の塩基の置換、欠失、挿入、及び/又は付加を含むことになるDNA配列を例示することができる。具体的には、MHCクラスII転写活性化因子の活性化領域(activation domain)をコードするDNA配列や、MHCクラスII転写活性化遺伝子が発現する際に選択的スプライシングによって生ずる特定のmRNAに対応するDNA配列をCIITA遺伝子の変異体として挙げることができる。CIITA遺伝子に特異的な機能、即ちCIITA遺伝子群の発現を制御するマスタースイッチとして働くという機能を有する限り、任意の変異体を使用することができる。変異体は天然に存在するものであっても、遺伝子工学的手法を用いて人工的に構築されたものであってもよい。導入遺伝子のコピー数は特に限定されるものではないが、例えば1〜100である。
本発明に使用する処置用動物が保有する外来性DNAは、CIITA遺伝子に加えて、II型コラーゲンプロモーターを含む。II型コラーゲンプロモーターの由来(種)は特に限定されず、マウスやラットのII型コラーゲンプロモーター、或いはヒトのII型コラーゲンプロモーターなどを使用することができる。尚、ヒトのII型コラーゲンプロモーターの配列(参照:Nunez A.M., Kohno K., Martin G.R. and Yamada Y. 1986. Promoter region of the human pro-a1(II)-collagen gene. Gene, 44:11.)を配列番号3に示す。同様に、ラットのII型コラーゲンプロモーターの配列(参照:Kohno K., Sullivant M., and Yamada Y. 1985. Structure of the promoter of the rat type II procollagen gene. JBC, 260:4441.)を配列番号4に示す。本発明におけるII型コラーゲンプロモーターとして、これら既知の配列の全長を使用してよいことは言うまでもないが、プロモーター活性が認められる限りにおいて一部の領域のみを使用してもよい。また、これら既知のII型コラーゲンプロモーターの一部を改変したものであっても、プロモーター活性の大幅な低下がない限り、外来性DNAにおけるプロモーターとして使用できる。ここでの「一部の改変」とは、1若しくは複数の塩基(好ましくは1個、1若しくは2個、1〜3個、1〜4個、1〜5個、1〜6個、1〜7個、1〜8個、又は1〜9個))の置換、欠失、挿入、及び/又は付加が生ずることをいう。複数の箇所でこのような改変が行われていてもよい。
外来性DNA内においてCIITA遺伝子又はその変異体(以下、「CIITA遺伝子等」という)はII型コラーゲンプロモーターの制御下に配置される。ここでの「制御下に配置される」とは、II型コラーゲンプロモーターが作用してCIITA遺伝子等の転写が生ずるように、CIITA遺伝子が直接又は他の配列を介してII型コラーゲンプロモーターに連結されている状態をいう。通常は、II型コラーゲンプロモーターの下流、かつ近接した位置にCIITA遺伝子等が配置される。
外来性DNAが、CIITA遺伝子等の転写を活性化するエンハンサーを含むことが好ましい。「エンハンサー」とは、プロモーターに直接的又は間接的に作用してその転写活性を高める配列をいう。エンハンサーは、一般に離れた位置からプロモーターに作用する。外来DNA内におけるエンハンサーの位置はプロモーターの上流側であっても下流側であってもよい。エンハンサーは、外来性DNAに使用されるII型コラーゲンプロモーターに作用してその転写活性を高めることができるものであれば特に限定されない。例えばヒト、マウス、ラット等のII型コラーゲンエンハンサーを使用することができる。II型コラーゲンプロモーターの由来と、エンハンサーの由来とを同一にすることが好ましいが(例えば、ヒト由来のプロモーターを使用する場合にはヒト由来のエンハンサーを使用する)必ずしもその限りではない。このようなプロモーターとエンハンサーの組み合わせを採用することによって高い転写活性が得られるが、これをさらに異種の動物に使用する事も可能である。エンハンサーの一例としてラットのII型コラーゲンエンハンサーの配列(AN: L48618)を配列番号5に示す。本発明におけるII型コラーゲンエンハンサーとして、既知の配列の全長を使用してよいことは言うまでもないが、転写活性化作用が認められる限りにおいて一部の領域のみを使用してもよい。また、これら既知のII型コラーゲンエンハンサーの一部を改変したものであっても、転写活性化作用の大幅な低下がない限り、外来性DNAにおけるエンハンサーとして使用できる。ここでの「一部の改変」とは、1若しくは複数の塩基(好ましくは1個、1若しくは2個、1〜3個、1〜4個、1〜5個、1〜6個、1〜7個、1〜8個、又は1〜9個))の置換、欠失、挿入、及び/又は付加が生ずることをいう。複数の箇所でこのような改変が行われていてもよい。
本発明に使用する処置用動物は、上記外来性DNAをホモ型で保有する。換言すれば、上記外来性遺伝子についての遺伝子型がホモ接合体である。本発明に使用する処置用動物は、その特徴の一つとして、II型コラーゲンの投与によって間質性肺炎を発症する。しかも、慢性且つ進行性の症状を示す。ホモ型である、本発明に使用する処置用動物では、ヘテロ型と相違し、間質性肺炎を高頻度に発症し、しかもより重篤化する。また、本発明に使用する処置用動物は、3次免疫(典型的には3回目のII型コラーゲンの投与)によって、より確実に間質性肺炎を発症し、重篤化も進む(この特徴もヘテロ型との顕著な相異点である)。
本発明に使用する処置用動物の作出方法としては、受精卵の前核に直接DNAの注入を行うマイクロインジェクション法、レトロウイルスベクターを利用する方法、ES細胞を利用する方法などを用いることができる。以下では、本発明に使用する処置用動物の作出方法として、マウスを用いたマイクロインジェクション法を具体例として説明する。
マイクロインジェクション法では、まず交尾が確認された雌マウスの卵管より受精卵を採取し、そして培養した後にその前核に所望のDNAコンストラクト(外来性DNA)の注入を行う。DNAコンストラクトの形態は特に限定されないが、導入効率の点から直鎖状又は環状であることが好ましい。特に好ましくは、直鎖状に調製したDNAコンストラクトを使用する。導入目的の遺伝子が効率的に染色体に組み込まれ、且つその良好な発現が確保できるようにDNAコンストラクトを調製する。DNAコンストラクトは、上述のCIITA遺伝子等及びII型コラーゲンプロモーターを含む(必要に応じて適当なエンハンサー配列、選択マーカー、複製開始点、ターミネーター配列等を含む)。
注入操作を終了した受精卵を偽妊娠マウスの卵管に移植し、移植後のマウスを所定期間飼育して仔マウス(F0)を得る。仔マウスの染色体に導入遺伝子が適切に組込まれていることを確認するために、仔マウスの尾などからDNAを抽出し、サザンハイブリダイゼ−ション分析、スロットブロット(ドットブロット)分析、PCR分析等を実施する。
次に、同定されたトランスジェニック個体を他のマウスとの交配に供する。ここでの「他のマウス」としては、H-2q若しくはH-2rハプロタイプのマウス、MRL-1若しくは亜系MRL-lpr+マウス、NZB/KNマウス、SKGマウス、NODマウス、scid/scidマウス、RAG2-deficient マウス、又はLewis ラット等(これらのマウスは例えば日本チャールズリバーから入手することが可能である)、或いは以上の操作の結果得られた他のトランスジェニック個体等を使用することができる。中でも、H-2qハプロタイプのマウスを使用することが好ましい。
以上のようにして得られたオスのヘテロ型トランスジェニックマウス(外来性DNAをヘテロ型に保有する)とメスのヘテロ型トランスジェニックマウス(外来性DNAをヘテロ型に保有する)を交配することによって、目的とするホモ型トランスジェニックマウス(外来性DNAをホモ型に保有する)を得る。繁殖又は維持のためには、当該ホモ型トランスジェニックマウスのオスとメスを交配すればよい。
本発明のステップ(1)では、上記処置用動物に対して、関節炎を誘導する処置を施す。関節炎の誘導には、典型的には、II型コラーゲンを使用する。但し、II型コラーゲン以外であっても、本発明の処置用動物に導入されたCIITAに直接または関節的に作用してこれを活性化するもの、又はCIITAが異所的に軟骨細胞において産生誘導した組織適合性複合体に結合するような抗原であれば間質性肺炎の誘導に使用できる。ここでの誘導剤の具体例としては、II型コラーゲン等の抗原の他、プロテオグリカン、プリスタン (2,6,10,4-tetramethylpentodecan)、カチオニック抗原、超音波処理済スタフィロコッカル細胞壁、リポポリサッカライドを挙げることができる。II型コラーゲン等の投与形態(投与方法、投与量など)は、処置用動物において関節炎を誘導でき、且つ以降の操作に支障のないものとする。投与方法としては例えば皮下、静脈内、動脈内、筋肉、又は腹腔内注射を採用することができる。
関節炎を誘導するのに十分な量となるようにII型コラーゲン等の投与量は設定される。具体的には例えば、本発明に使用する処置用動物がマウスであってII型コラーゲンを投与する場合には例えば1回あたりの投与量を0.001mg〜0.05mg、好ましくは0.01mg〜0.05mgとする。投与量が少なすぎる場合には十分な誘導効果が得られない。これとは逆に投与量が多すぎる場合には必要以上の免疫刺激が加わり好ましくない。尚、良好な免疫反応を引き起こす目的で、各回の投与を全身の複数箇所に分けて実施することが好ましい。
典型的には、時間的間隔を置いた2回以上の投与によって関節炎を誘導する。但し、より確実な誘導のために、好ましくは3回以上、更に好ましくは4回以上、最も好ましくは5回以上(例えば、5回、6回、又は7回)の投与回数にするとよい。
II型コラーゲンは例えばヒト、トリ、ウシ、ブタ、ラット、又はマウス由来のものを使用できる。様々な種由来のII型コラーゲンが市販されており、本発明ではこのような市販のものを好適に使用することができる。勿論のこと、常法に従い生化学的手法や遺伝子工学的手法などを用いて調製したII型コラーゲンを使用してもよい。以下、II型コラーゲンの投与による関節炎の誘導方法の具体例(処置用動物がマウスである場合の一例)を示す。まず、初回免疫として0.01mgのII型コラーゲン(例えばウシ関節軟骨から常法に従って抽出・精製した高純度(例えば純度99%)のII型コラーゲンを0.01M酢酸に溶解し、等量の完全アジュバントと混合したもの)を数カ所に分けて処置用マウスに皮下注射する。2〜4週間程度飼育した後、2次免疫として再度0.01mgのII型コラーゲン(不完全アジュバントを用いる以外は初回免疫の場合と同様に調製したもの)を数カ所に分けて処置用マウスに皮下注射する。2次免疫の2〜4週間後に追加免疫(3次免疫)を施す。この追加免疫は、2次免疫と同様の条件で行えばよい。同様に4次免疫及び5次免疫を施す。
上記の通り、本発明に使用する処置用動物は、II型コラーゲンの投与によって慢性且つ進行性の間質性肺炎を発症する。本発明では、間質性肺炎の発症を格段に早めるために、ブレオマイシンによる誘導を特定の方法で加える。具体的には、ステップ(2)として、ステップ(1)後のトランスジェニック非ヒト哺乳動物(処置用動物)の肺腔内に、微小バブルと混合したブレオマイシンを投与した後、外部から超音波を照射し、微小バブルを破砕する。
ブレオマイシンとして例えばブレオマイシン塩酸塩、ブレオマイシン硫酸塩などを用いることができる。ブレオマイシンの投与量は例えば0.01mg〜0.2mg、好ましくは0.01〜0.03mg、更に好ましくは0.02mg〜0.026mgである。
微小バブルとは微小な気泡であり、その基本構造はシェル(外膜)と、シェルに内包される気体(コア)からなる。シェルの構成成分として、例えば、アルブミン、ガラクトース、脂質、ポリマーなどが用いられる。また、コアに使用する気体としては、空気、不活性ガス(ヘリウム、アルゴン、キセノン等)、サルファーフルオライド類(サルファーヘキサフルオライド、ジサルファーデカフルオライド等)、ハロゲン化シラン(メチルシラン、ジメチルシラン等)、低分子量炭化水素(例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン又はペンタン等のアルカン、シクロプロパン、シクロブタン又はシクロペンタン等のシクロアルカン、エチレン、プロペン、プロパジエン又はブテン等のアルケン、アセチレン又はプロピン等のアルキン等)等を例示することができる。二以上の気体の混合物をコアに使用してもよい。
微小バブルのサイズは、期待される効果、即ちブレオマイシンによる誘導の促進効果が得られる限り特に限定されない。好ましくは平均粒子径が0.1μm〜10μmの微小バブル(マイクロバブルと呼ぶ)を用いる。更に好ましくは、平均粒子径が1μm〜5μmのマイクロバブルを用いる。
本発明では、ブレオマイシンと微小バブルを混合したもの(投与物)をトランスジェニック非ヒト哺乳動物(処置用動物)の肺腔内に投与する。投与物に占める微小バブルの量を例えば40%〜90%の範囲内に設定するとよい。投与は常法で行えばよく、例えばスプレータイプのゾンデ(例えば、Penn-century社が提供するマウス用penncenturyゾンデ、Microsprayer、series 1A-1C、intratracheal aerosolizer等)を利用して、経気道的に肺腔内に直接投与する。投与後、外部から超音波を照射し、肺腔内の微小バブルを破砕する。処理条件は例えば100 kHz〜10 MHz、10秒〜10分、0.1 W/cm2〜10 W/cm2、好ましくは500 kHz〜5M Hz、30秒〜5分、0.5 W/cm2〜5 W/cm2する。
本発明の作製方法では、ステップ(2)によって、処置用動物に間質性肺炎が誘導される。処置用動物としてマウスを採用した場合(即ち、非ヒト哺乳動物がマウスの場合)、典型的には、誘導後1〜4週間で間質性肺炎を発症し、その後、慢性化する(即ち、症状が持続する)。換言すれば、ヒトの間質性肺炎に類似した病態を示す。この特徴故に、本発明の作製方法によって得られる間質性肺炎モデル動物(以下、「本発明の間質性肺炎モデル動物」と呼ぶ)は、間質性肺炎用の薬剤の探索及び効果の検証などに有用である。そこで本発明は、後述のように、上記の作製方法で得られる間質性肺炎モデル動物を用いた、間質性肺炎用薬剤のスクリーニング方法を提供する(第2の局面)。
本発明者は、更に有用な間質性肺炎モデル動物を作出すべく検討を重ねた。その結果、II型コラーゲンプロモーターの制御下にあるCIITA遺伝子をホモ型で保有することに加え、II型コラーゲンプロモーターの制御下にあるB7.1遺伝子をホモ型で保有するマウス(ダブルホモトランスジェニックマウス)が、間質性肺炎により高い感受性を示すことが判明した。この成果に基づき、本発明の別の態様では、上記態様で使用する処置用動物の特徴、即ち「MHCクラスII転写活性化遺伝子、MHCクラスII転写活性化遺伝子の活性領域、及びMHCクラスII転写活性化遺伝子の変異体(但し、MHCクラスII遺伝子群の発現を制御するマスタースイッチ機能を有する)からなる群より選択されるDNAがII型コラーゲンプロモーターの制御下に配置された外来性DNAをホモ型で保有すること」に加え、「B7.1遺伝子、及びB7.1遺伝子の変異体(但し、T細胞の活性化に関してB7.1遺伝子と同等の機能を有する)からなる群より選択されるDNAがII型コラーゲンプロモーターの制御下に配置された外来性DNAをホモ型で保有する」という特徴を備えたトランスジェニック非ヒト哺乳動物を処置用動物(以下、「ダブルホモ型処置用動物」と呼ぶ)として用いる。ダブルホモ型処置用動物は、間質性肺炎により高い感受性を示すことから、II型コラーゲンの投与等による関節炎の誘導(即ち、上記ステップ(1))を行わなくとも間質性肺炎を誘導できる。従って、この態様の場合の作製方法では、上記ステップ(1)及び(2)に代えて、以下のステップ(A)が行われることになる。
(A)MHCクラスII転写活性化遺伝子、MHCクラスII転写活性化遺伝子の活性領域、及びMHCクラスII転写活性化遺伝子の変異体(但し、MHCクラスII遺伝子群の発現を制御するマスタースイッチ機能を有する)からなる群より選択されるDNAがII型コラーゲンプロモーターの制御下に配置された外来性DNAをホモ型で保有するとともに、B7.1遺伝子、及びB7.1遺伝子の変異体(但し、T細胞の活性化に関してB7.1遺伝子と同等の機能を有する)からなる群より選択されるDNAがII型コラーゲンプロモーターの制御下に配置された外来性DNAをホモ型で保有するトランスジェニック非ヒト哺乳動物の肺腔内に、微小バブルと混合したブレオマイシンを投与した後、外部から超音波を照射して前記微小バブルを破砕するステップ
この態様の場合には、関節炎の誘導(即ち、上記ステップ(1))を省略でき、より簡便な操作で間質性肺炎モデル動物を作製することができる。また、間質性肺炎の誘導時期をより自由に設定できる。
ダブルホモ型処置用動物は、MHCクラスII転写活性化遺伝子、MHCクラスII転写活性化遺伝子の活性領域、及びMHCクラスII転写活性化遺伝子の変異体(但し、MHCクラスII遺伝子群の発現を制御するマスタースイッチ機能を有する)からなる群より選択されるDNAがII型コラーゲンプロモーターの制御下に配置された外来性DNAをホモ型で保有するトランスジェニック非ヒト哺乳動物(以下、「ホモ型D1CCトランスジェニック動物」と呼ぶ)と、B7.1遺伝子、及びB7.1遺伝子の変異体(但し、T細胞の活性化に関してB7.1遺伝子と同等の機能を有する)からなる群より選択されるDNAがII型コラーゲンプロモーターの制御下に配置された外来性DNAをホモ型で保有するトランスジェニック非ヒト哺乳動物(以下、「ホモ型B7.1トランスジェニック動物」と呼ぶ)の交配により作製することができる。ホモ型D1CCトランスジェニック動物の特徴及び作製方法は上記の通りである。以下では、ホモ型B7.1トランスジェニック動物の特徴及び作製方法を説明する。尚、特に言及しない点(例えば哺乳動物の種)については、ホモ型D1CCトランスジェニック動物の場合と同様であり、上記の説明が援用される。
ホモ型B7.1トランスジェニック動物の作出には、B7.1遺伝子(CD80遺伝子)を含む外来性DNAが用いられる。B7.1はT細胞性免疫応答に関与する分子である。抗原提示細胞に発現しているB7.1やB7.2に、T細胞に発現している促進作用を持つCD28又は抑制作用を持つCTLA4が結合することによりT細胞の活性化が調節される。マウス、ラット、ヒトなどのB7.1遺伝子を使用することができる。尚、マウスのB7.1遺伝子のcDNA配列(Genbank(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Genbank/index.html)Accession No.(以下、AN):NM_009855、DEFINITION:Mus musculus CD80 antigen (Cd80), mRNA)を配列番号6に示す。同様に、ヒトのB7.1遺伝子のcDNA配列(AN:NM_005191、DEFINITION:Homo sapiens CD80 antigen (CD28 antigen ligand 1, B7-1 antigen)(CD80), mRNA)を配列番号7に示す。B7.1遺伝子の代わりに、その変異体を使用してもよい。ここでの「変異体」とは、B7.1遺伝子の配列と一部において相違するものの、B7.1遺伝子と同等の機能を発揮する配列を有するものをいう。B7.1遺伝子の変異体として、B7.1遺伝子のDNA配列を基準とした場合に1若しくは複数の塩基の置換、欠失、挿入、及び/又は付加を含むことになるDNA配列を例示することができる。尚、変異体は天然に存在するものであっても、遺伝子工学的手法を用いて人工的に構築されたものであってもよい。導入遺伝子のコピー数は特に限定されるものではないが、例えば1〜100である。
ホモ型B7.1トランスジェニック動物が保有する外来性DNAはB7.1遺伝子に加えてII型コラーゲンプロモーターを含む。II型コラーゲンプロモーターの由来(種)は特に限定されず、マウスやラットのII型コラーゲンプロモーター、或いはヒトのII型コラーゲンプロモーターなどを使用することができる。尚、ヒトのII型コラーゲンプロモーターの配列(参照:Nunez A.M., Kohno K., Martin G.R. and Yamada Y. 1986. Promoter region of the human pro-a1(II)-collagen gene. Gene, 44:11.)を配列番号3に示す。同様に、ラットのII型コラーゲンプロモーターの配列(参照:Kohno K., Sullivant M., and Yamada Y. 1985. Structure of the promoter of the rat type II procollagen gene. JBC, 260:4441.)を配列番号4に示す。本発明におけるII型コラーゲンプロモーターとして、これら既知の配列の全長を使用してよいことは言うまでもないが、プロモーター活性が認められる限りにおいて一部の領域のみを使用してもよい。また、これら既知のII型コラーゲンプロモーターの一部を改変したものであっても、プロモーター活性の大幅な低下がない限り、外来性DNAにおけるプロモーターとして使用できる。ここでの「一部の改変」とは、1若しくは複数の塩基(好ましくは1個、1若しくは2個、1〜3個、1〜4個、1〜5個、1〜6個、1〜7個、1〜8個、又は1〜9個))の置換、欠失、挿入、及び/又は付加が生ずることをいう。複数の箇所でこのような改変が行われていてもよい。
外来性DNA内においてB7.1遺伝子又はその変異体(以下、「B7.1遺伝子等」という)はII型コラーゲンプロモーターの制御下に配置される。ここでの「制御下に配置される」とは、II型コラーゲンプロモーターが作用してB7.1遺伝子等の転写が生ずるように、B7.1遺伝子が直接又は他の配列を介してII型コラーゲンプロモーターに連結されている状態をいう。通常は、II型コラーゲンプロモーターの下流、かつ近接した位置にB7.1遺伝子等が配置される。
外来性DNAが、B7.1遺伝子等の転写を活性化するエンハンサーを含むことが好ましい。「エンハンサー」とは、プロモーターに直接的又は間接的に作用してその転写活性を高める配列をいう。エンハンサーは、一般に離れた位置からプロモーターに作用する。外来DNA内におけるエンハンサーの位置はプロモーターの上流側であっても下流側であってもよい。エンハンサーは、外来性DNAに使用されるII型コラーゲンプロモーターに作用してその転写活性を高めることができるものであれば特に限定されない。例えばヒト、マウス、ラット等のII型コラーゲンエンハンサーを使用することができる。II型コラーゲンプロモーターの由来と、エンハンサーの由来とを同一にすることが好ましいが(例えば、ヒト由来のプロモーターを使用する場合にはヒト由来のエンハンサーを使用する)必ずしもその限りではない。このようなプロモーターとエンハンサーの組み合わせを採用することによって高い転写活性が得られるが、これをさらに異種の動物に使用する事も可能である。エンハンサーの一例としてラットのII型コラーゲンエンハンサーの配列(AN: L48618)を配列番号5に示す。本発明におけるII型コラーゲンエンハンサーとして、既知の配列の全長を使用してよいことは言うまでもないが、転写活性化作用が認められる限りにおいて一部の領域のみを使用してもよい。また、これら既知のII型コラーゲンエンハンサーの一部を改変したものであっても、転写活性化作用の大幅な低下がない限り、外来性DNAにおけるエンハンサーとして使用できる。ここでの「一部の改変」とは、1若しくは複数の塩基(好ましくは1個、1若しくは2個、1〜3個、1〜4個、1〜5個、1〜6個、1〜7個、1〜8個、又は1〜9個)の置換、欠失、挿入、及び/又は付加が生ずることをいう。複数の箇所でこのような改変が行われていてもよい。
ホモ型B7.1トランスジェニック動物は、上記外来性DNAをホモ型で保有する。換言すれば、上記外来性DNAについての遺伝子型がホモ接合体である。ホモ型B7.1トランスジェニック動物の作出方法は、上記ホモ型D1CCトランスジェニック動物の作出方法に準ずる。即ち、受精卵の前核に直接DNAの注入を行うマイクロインジェクション法、レトロウイルスベクターを利用する方法、ES細胞を利用する方法などを用いてオスのヘテロ型トランスジェニック動物(外来性DNAをヘテロ型に保有する)とメスのヘテロ型トランスジェニック動物(外来性DNAをヘテロ型に保有する)を得た後、これらを交配することによって、目的とするホモ型トランスジェニック動物(外来性DNAをホモ型に保有する)を得る。繁殖又は維持のためには、当該ホモ型トランスジェニック動物のオスとメスを交配すればよい。
本態様で使用するダブルホモ型処置用動物を得るために、以上の方法で作製したホモ型B7.1トランスジェニック動物はホモ型D1CCトランスジェニック動物との交配に供される。
(間質性肺炎の予防又は治療用薬剤のスクリーニング方法:本発明の第2の局面)
本発明のスクリーニング方法は、本発明の作製方法で得られる間質性肺炎モデル動物に被験物質を投与するステップ(ステップ(a))と、被験物質の治療又は予防効果を判定するステップ(ステップ(b))とを含む。尚、本明細書において「間質性肺炎用薬剤」とは、間質性肺炎を発症している患者に対してその症状の改善などを目的として使用される薬剤はもとより、間質性肺炎を発症するおそれのある者に対して予防的に(再発防止の目的も含む)使用される薬剤も含む用語として用いられる。このように、本発明のスクリーニング方法を利用して得られる薬剤は、間質性肺炎の予防又は治療を目的として使用することができる。
ステップ(a)における被験物質の投与方法としては経口投与や静脈内、動脈内、皮下、筋肉、又は腹腔内注射等を例示することができる。被験物質としては様々な分子サイズの有機化合物(核酸、ペプチド、タンパク質、脂質(単純脂質、複合脂質(ホスホグリセリド、スフィンゴ脂質、グリコシルグリセリド、セレブロシド等)、プロスタグランジン、イソプレノイド、テルペン、ステロイド等))又は無機化合物を用いることができる。被験物質は天然物由来であっても、或いは合成によるものであってもよい。後者の場合には例えばコンビナトリアル合成の手法を利用して効率的なスクリーニング系を構築することができる。尚、細胞抽出液、培養上清などを被験物質として用いてもよい。
被験物質の投与時期(投与のタイミング)は特に限定されないが、典型的には、慢性且つ進行性の間質性肺炎に対する治療効果を評価できるように、間質性肺炎発症後に被験物質を投与する。間質性肺炎の指標(詳細は下記を参照)を用いた予備実験等を通して、間質性肺炎の発症時期を容易に決定することができる。例えば、誘導処置から3週後以降(例えば3週後〜20週後、好ましくは5週後〜13週後)に被験物質を投与する。尚、間質性肺炎モデル動物がホモ型D1CCマウスから作製される場合(即ち、動物種がマウスであり、上記ステップ(1)及び(2)が行われる場合)、典型的には、ブレオマイシンと微小バブルによる誘導処置(即ち上記ステップ(2))の後、1〜4週間で間質性肺炎を発症する。一方、間質性肺炎モデル動物が、ダブルホモ型マウスから作製される場合(即ち、動物種がマウスであり、上記ステップ(A)が行われる場合)、典型的には、ブレオマイシンと微小バブルによる誘導処置を行うと、典型的には、急激な炎症過程の後、6〜8週目には沈静化し、間質性肺炎の病態を長期間にわたって維持する。
以上の説明からもわかるように、本発明のスクリーニング方法では、誘導処置後の早い段階において試験を開始することができる。従って、本発明によれば、被験物質の有効性を迅速且つ効率的に評価可能となる。尚、誘導処置直後など、間質性肺炎発症前の段階で被験物質を投与することも可能であり、このような態様は、間質性肺炎に対する予防効果の有無及び/又は程度を評価することに適する。
ステップ(b)では、被験物質の治療又は予防効果を判定する。治療効果又は予防効果があると判定された被験物質は有力な薬剤候補となる。治療又は予防効果の判定には間質性肺炎の発症や病態の進展などに関する様々な指標を採用できる。具体的な指標を例示すると、間質性肺炎の発症頻度、間質性肺炎の発症時期、間質性肺炎の進行又は重篤化、間質性肺炎の改善、血清肺サーファクタントプロテインD(SP-D)値、及びハイドロキシプロリン量(肺や血清中)である。慢性且つ進行性の間質性肺炎に対する治療効果を評価する場合には、通常、間質性肺炎の進行又は重篤化、間質性肺炎の改善、血清肺サーファクタントプロテインD(SP-D)値、又はハイドロキシプロリン量(肺や血清中)のいずれか、或いはこれらの中の二以上の組合せによって、被験物質の有効性を判定する。間質性肺炎の発症頻度、間質性肺炎の発症時期、間質性肺炎の進行又は重篤化、及び間質性肺炎の改善については、例えば、剖検、免疫組織化学、X線撮影等によって検出ないし測定すればよい。SP-D値の測定には例えばELISA法(Makoto Murata, Mitsuo Otsuka, Hiromi Mizuno, Masanori Shiratori, Shuichi Miyazaki, Hisato Nagae, Satoshi Kanazawa, Masaru Hamaoki, Yoshio Kuroki, and Hiroki Takahashi: Development of an ELISA for Measurement of Rat Pulmonary Surfactant Protein D Using Monoclonal Antibodies. Exp. Lung Res. 2010: 36, 463-468を参照)を用いることができる。
二以上の指標を併用して判定することにしてもよい。通常は、採用する指標の数が増えればより信頼度の高い判定結果が得られる。判定基準の具体例を以下に示す。
(i)被験物質の投与によって、間質性肺炎の発症頻度が低下した場合、被験物質に予防効果があると判定する。
(ii)被験物質の投与によって、間質性肺炎の発症時期が遅延した場合、被験物質に予防効果があると判定する。
(iii)被験物質の投与によって、間質性肺炎の進行が又は重篤化が抑制された場合、被験物質に治療効果があると判定する。
(iv)被験物質の投与によって、間質性肺炎が改善した場合、被験物質に治療効果があると判定する。
(v)被験物質の投与によって、血清SP-D値の上昇抑制又は低下を認めた場合、被験物質に予防効果又は治療効果があると判定する。
(vi)被験物質の投与によって、ハイドロキシプロリン量の増加抑制又は低下を認めた場合、被験物質に予防効果又は治療効果があると判定する。
好ましくは、被験物質が投与されるモデル動物群(試験群)と、被験物質が投与されないこと以外は同条件のモデル動物群(対照群)を用意する。そして、採用した指標に関して試験群と対照群を比較し、その結果を基にしてステップ(b)の判定を行う。比較の結果、例えば試験群の方が対照群よりも症状が進行ないし重篤化していない場合、試験群で症状の有意な軽快を認める場合、試験群の方が対照群よりも血清SP-D値が低い場合など、試験群に治療ないし予防効果が認められれば、被験物質が間質性肺炎用薬剤の有力な候補であると判定できる。このように被験物質を投与する群(試験群)と投与しない群(対照群)とを比較することによれば、被験物質の有効性を容易に且つ高い信頼度で判定することができる。
試験群及び対照群に含まれる個体数は特に限定されない。一般に使用する個体数が多くなるほど信頼度の高い結果が得られるが、多数の個体を同時に取り扱うことは使用する個体の確保や操作(飼育を含む)の面で困難を伴う。そこで例えば各群に含まれる個体数を1〜50、好ましくは2〜30、さらに好ましくは5〜20とする。
本発明のスクリーニング方法によって選択された化合物が間質性肺炎に対して十分な薬効を有する場合には、当該化合物をそのまま薬剤の有効成分として使用することができる。一方で十分な薬効を有しない場合には化学的修飾などの改変を施してその薬効を高めた上で、間質性肺炎用薬剤の有効成分として当該化合物を使用することができる。勿論、十分な薬効を有する場合であっても、更なる薬効の増大を目的として同様の改変を施してもよい。
特に記載のない限り、本明細書における遺伝子工学的操作は例えばMolecular Cloning(Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)或いはCurrent protocols in molecular biology(edited by Frederick M. Ausubel et al., 1987)を参考にして行うことができる。
1.MHCクラスII転写活性化遺伝子(CIITA遺伝子)を導入したヘテロ型トランスジェニックマウス(ヘテロ型D1CCマウス)の作製
以下に示すように、CIITA遺伝子が導入されたトランスジェニックマウスをManipulating the mouse embryo, a laboratory manual, second edition, Brigid Hogan et al., Cold Spring Harbor Laboratory Pressに従って作製した。
(1)遺伝子導入用ベクター(外来性DNA)の調製
以下の手順で、II型コラーゲンプロモーターの制御下にMHCクラスII転写活性化遺伝子(CIITA遺伝子)が配置されたベクター pCol2fluCIITANeof(図1)を構築した。本ベクターは以下の特徴を有する。1)約1kbpのラットII型コラーゲンプロモーター部の下流にヒトグロビンスプライシング配列がある。2)この直下にヒトCIITAポリAサイトを含むヒトCIITA cDNAが挿入され、この後方にラットII型コラーゲンエンハンサーが配置されている。3)さらにこの下流にPGKプロモーター直下にほ乳類細胞非耐性の薬剤マーカーNeo遺伝子 およびポリAシグナルを配置したカセットが配置されている。4)バックボーンのベクターは、大腸菌を用いた通常のクローニングに用いられる組換え用のDNAを使用出来る。本ベクターでは、アンピシリン等の薬剤耐性遺伝子を有するpBR322を用いた。5)予め大腸菌由来のバックボーンのベクター部分を除けるようPvuI制限酵素サイトを有する。最終的には、以上の手順で構築したベクターをPvuI制限酵素処理し、大腸菌由来のバックボーンのベクター部分を除き直鎖状としたものを、DNA結合性を示すビーズ等を用いて精製し、これをインジェクション用のトランスジーンとした。尚、得られたトランスジーンをマウス軟骨培養細胞株であるMG615細胞に遺伝子導入し、細胞表面上にMHCクラスIIタンパク質が発現する事を確認している。DNAは、10mM Tris/0.2mM EDTA 緩衝液にて30〜100μg/mlに調整し保存しておく。
(2)外来性DNAの導入
(2−1)マウスの準備
キメラマウスを作製するために用いられるマウスの系統は、FVB/NJとDBA/1の掛け合わせにより得られるF1世代とした。常法に従い受精卵を調製してインジェクションに用いた。
(2−2)受精卵の準備
常法に従いHCGを打ち、交配後のメスマウス卵巣より受精卵を得る。受精卵内pronucleiおよびgranuleを確認後、マイクロインジェクションに用いる。
(2−3)受精卵前核へのマイクロインジェクション
マイクロインジェクションは、一回当たり200個程の受精卵を用いる。マイクロマニピュレーターを用いDNAを注入する。注入用のDNAは、最終的に3μg/mlに調整後、0.22μmのフィルター濾過し、これを用いる。
(2−4)卵管内移植
予め偽妊診した仮親用のメスマウスを準備する。DNAを注入した胚は、直接仮親の卵管に移植するか、または一日培養後、胚の分裂を確認しこれを移植する。移植は、一匹当たり25〜35個の胚を移植する。
(3)トランスジェニックマウスの同定
得られたトランスジェニックマウスは、サザンブロッティング法により同定した。離乳後、マウスの尾を用いDNA抽出を行い、これを解析した。サザンブロッティングに用いるプローブは、CIITAのC末端のコーディング領域(ヒトCIITA DNA配列(配列番号1)中2978〜3329番目)を用いた。またこの際遺伝子のコピー数を約10程度のものをDBAマウスとのバッククロスに用いた。マウスに導入された遺伝子は、サザンブロッティング法およびPCR法により同定した。
(4)交配
得られたトランスジェニックマウスをDBA/1マウスとバッククロスさせた。バッククロスは、遺伝的な背景が99%以上DBAとなるように7世代以上に渡り繰り返す事で系統を遺伝的なバックグランドを純化した。このようにして、ヘテロ型トランスジェニックマウス(ヘテロ型D1CCマウス)を得た。
2.ホモ型D1CCマウスの作製
以上の考察を踏まえ、安定的にD1CCマウスを維持する目的でホモ型D1CCマウスを樹立することにした。ヘテロ型D1CCマウスのオスとメスを交配し、25%の確立でホモ型D1CCマウスを得た。ホモ型であることの確認にはリアルタイムPCR法を利用した。同一量のゲノムDNAを用いてリアルタイムPCRを行うと、ヘテロ型に対してホモ型では1サイクル分ずれた状態でPCR反応が先に進む。
3.薬剤投与実験
(1)方法
ホモ型D1CCマウス(オス、メス 各群10匹)を用い、間質性肺炎の誘導実験を行った。まず、初回免疫として0.01mgのII型コラーゲンを数カ所に分けて皮下注射した。尚、ウシ関節軟骨から精製したII型コラーゲン(純度99%、コラーゲン技術研修会製)を0.01M酢酸に溶解し、等量の完全アジュバント(DIFCO社製)と混合したものを使用した。初回免疫から2週間後、2次免疫として再度0.01mgのII型コラーゲンを数カ所に分け皮下注射した。2次免疫には、不完全アジュバントと混合したII型コラーゲンを使用した。以降、2週おきに2次免疫と同一の条件で5次免疫まで行った。このようにして関節炎を誘導した後、ブレオマイシンとマイクロバブルの混合物を肺腔内にスプレータイプのゾンデにより直接投与した(試験群)。ブレオマイシンとマイクロバブルの混合物は以下の手順で用意した。まず、ブレオ(登録商標)注射用15mg(日本化薬株式会社)を11.7mlのPBSに溶解し、ブレオマイシン溶液を調製した。当該溶液はブレオマイシン塩酸塩を1.28mg/mlの濃度で含有する(便宜上、この濃度を「ブレオマイシン濃度100%」とした)。マイクロバブルは超音波用マクロバブルSV-25(ネッパジーン株式会社)を使用した。このマイクロバブルは、主成分がヘキサフッ化硫黄であり、それ以外にマクロゴール4000、ステアリン酸ホスファチジルコリン、パルミチン酸ホスファチジルコリンナトリウム等を含有している。バブルの平均粒子径は2.5μmであり、90%以上のバブル粒子径が6μm以下である。添付の説明書に従いマイクロバブル溶液を調製した。ブレオマイシン溶液とマイクロバブル溶液及びPBSを以下の比率で混合し、所定の濃度の混合物を作製した。尚、ブレオマイシン濃度50%の場合、ブレオマイシン塩酸塩の投与量は0.032mg/50μlとなり、同様に40%では投与量0.0256mg/50μl、30%では投与量0.0192mg/50μlとなる。
Figure 2016067348
ブレオマイシンとマイクロバブルの混合物(50μl)を投与後、直ちに1分間の超音波処理を行った(Artison社2000V、処理条件:1MHz、1分間、1w/cm2)。超音波処理では、肺周辺のマウス体毛を除去しておき、超音波用ゼリー(ゲル)を用いた。ブレオマイシン投与後1週間ごとに採血し、血清肺サーファクタントプロテインD(SP-D)を測定した。SP-D値が53.9ng/ml (SP-Dのcut-off値)を超えた場合、間質性肺炎を発症していると判断した。また、最終的に組織像による解析を行った。
比較のために、コラーゲンによる関節炎の誘導を行わずにホモ型D1CCマウスに上記誘導処置(ブレオマイシンとマイクロバブルの混合物の投与及び超音波処理)を行った群(Col2非誘導群)と、上記処置に代えてブレオマイシン溶液(ブレオマイシン濃度25%、50%、75%、又は100%)をホモ型D1CCマウスに投与した群(従来型ブレオマイシン投与群)を用意した。
(2)結果
試験群の間質性肺炎発症率及び死亡個体率を図2に示す。いずれの濃度においても、肺炎発症率(処置2週後)が高い。一方、処置9週後には慢性化が認められ、極めて早期に慢性化することがわかる。また、処置13週後でも、高い間質性肺炎発症率を維持しており、症状が持続することがわかる。
図2の結果と、従来型ブレオマイシン投与群の結果(図3)との比較より、マイクロバブルを利用したブレオマイシンの投与では発症率が安定的に高く、且つ死亡率が低いことがわかる。尚、従来型ブレオマイシン投与群では、投与するブレオマイシン濃度を12.5%程度まで下げることができ、この状態でも発症率が下がらないが、同時に死亡個体も多く観察される。一方12.5%未満にすると極端に発症率が低下する為、死亡個体数の減少を図ることが困難である。この結果は、従来法(ブレオマイシン単独の投与)が薬剤のスクリーニングや、肺炎の研究等に利用しにくいことを意味する。
試験群(Col2誘導群)とCol2非誘導群との比較(図4)からは、SP-Dが上がりやすい傾向にあるマウス(即ちII型コラーゲンの投与により関節炎を誘導したマウス(試験群))を用いると、より間質性肺炎の発症率が高まることが示された。尚、D1CCマウスと同一の遺伝的背景を持つDBAマウスでは、同じ方法を用いても慢性的な病態の維持、および肺炎の指標となる血清中のSP-Dの値をcut-offを超える形で維持することは困難である。
組織像による解析の結果(図5)、試験群では慢性且つ比較的早期の間質性肺炎像が観察された。従来型ブレオマイシン投与群では炎症が強く、この様な早期像は観察されにくい(急性の間質性肺炎が観察される)。
4.B7.1(CD80)遺伝子を導入したヘテロ型トランスジェニックマウス(ヘテロ型D1CBマウス)の作製
以下に示すように、B7.1遺伝子を導入したトランスジェニックマウスをManipulating the mouse embryo, a laboratory manual, second edition, Brigid Hogan et al., Cold Spring Harbor Laboratory Pressに従って作製した。
(1)遺伝子導入用ベクター(外来性DNA)の調製
以下の手順で、II型コラーゲンプロモーターの制御下にマウスB7.1遺伝子(配列番号6)が配置されたベクターpCol2B7.1(図6)を構築した。本ベクターは以下の特徴を有する。1)約1kbpのラットII型コラーゲンプロモーター部の下流にヒトグロビンスプライシング配列がある。2)この直下にポリAサイトを含むマウスB7.1遺伝子(cDNA)が挿入され、この後方にラットII型コラーゲンエンハンサーが配置されている。3)バックボーンのベクターは、アンピシリン等の薬剤耐性遺伝子を有するpBR322を用いた。最終的には、以上の手順で構築したベクターをPvuI制限酵素処理し、大腸菌由来のバックボーンのベクター部分を除き線状化したものを、DNA結合性を示すビーズ等を用いて精製し、これをインジェクション用のトランスジーンとした。尚、得られたトランスジーンをマウス軟骨培養細胞株であるMC615細胞に遺伝子導入し、その発現をFACSで確認した。DNAは、10mM Tris/0.2mM EDTA緩衝液にて30〜100μg/mlに調節し保存しておく。
(2)外来性DNAの導入
直鎖状化したトランスジーンを、FVB/NJとDBA/1マウス(Charles River Laboratories, Davis, CA)からのF1胚盤胞に注入した。その結果生まれた遺伝子導入マウスをD1CBマウスと名付けた。D1CBマウスではサザンブロット法によって約10コピーのB7.1遺伝子が検出された。系統維持とDBA/1遺伝的背景の純化のためD1CBマウスをDBA/1マウスと15回以上戻し交配した。このようにして、ヘテロ型トランスジェニックマウス(ヘテロ型D1CBマウス)を得た。
5.ホモ型D1CBマウスの作製
ヘテロ型D1CBマウスのオスとメスを交配し、25%の確立でホモ型D1CBマウスを得た。ホモ型であることの確認にはリアルタイムPCR法を利用した。同一量のゲノムDNAを用いてリアルタイムPCRを行うと、ヘテロ型に対してホモ型では1サイクル分ずれた状態でPCR反応が先に進む。
6.ダブルホモ型マウスの作製
ホモ型D1CCマウスとホモ型D1BCマウスを交配し、ダブルホモ型マウスを作製した。ダブルホモ型マウスでは、外来遺伝子であるCIITA遺伝子とB.7遺伝子の両方がホモ型になっている。ダブルホモ型マウスは、関節炎非誘導時において、長期間(これまで確認できているところでは最長3週間)カットオフ値(53.9ng/ml)を超える事はないが、SP-D値が高い個体が15%程度の確率で観察される。このことから、ダブルホモ型マウスは、より間質性肺炎高感受性と考えられる。
7.薬剤投与実験
(1)方法
ダブルホモ型マウスを用い、間質性肺炎の誘導実験を行った。対照としてホモ型D1CCマウスを用いた。まず、ブレオマイシンとマイクロバブルの混合物を肺腔内にスプレータイプのゾンデにより直接投与した。ブレオマイシンとマイクロバブルの混合物の調製方法や投与条件等は、上記実験(3.(1))と同様とした。但し、ブレオマイシン濃度は40%(ブレオマイシン塩酸塩の投与量は0.0256mg/50μl)とした。
ブレオマイシンとマイクロバブルの混合物(50μl)を投与後、直ちに1分間の超音波処理を行った(Artison社2000V、処理条件:1MHz、1分間、1w/cm2)。超音波処理では、肺周辺のマウス体毛を除去しておき、超音波用ゼリー(ゲル)を用いた。ブレオマイシン投与後1週間ごとに採血し、血清SP-D値を測定した。SP-D値が53.9ng/ml (SP-Dのcut-off値)を超えた場合、間質性肺炎を発症していると判断した。
比較のために、上記処置(マイクロバルブ法)に代えてブレオマイシン溶液(ブレオマイシン濃度40%)を投与した群(従来法)と上記処置に代えてPBSを投与した群(PBS投与)を用意した。
(2)結果
血清SP-D値の測定結果を図7に示す。図7のグラフには、処置後8週目からのSP-D値を示した。ダブルホモ型マウスでは、この時点(8週目)から1か月間程度、間質性肺炎様の病態が維持される。一方、ホモ型D1CCマウスでは血清SP-D値が急激に低下してカットオフ値以下となる。ダブルホモ型マウスを用いると、従来法で間質性肺炎を誘導した場合も病態が維持されるが、その期間はマイクロバルブ法で間質性肺炎を誘導した場合よりも短くなる。
以上の通り、ダブルホモ型マウスでは間質性肺炎の病態を長期間に維持できること、ダブルホモ型マウスでは任意の時期に間質性肺炎を発症させることができること、ブレオマイシンの投与方法としてマイクロバブル法を採用すると、間質性肺炎の病態をより長期にわたって維持することができること、が明らかとなった。当該知見を踏まえた、スクリーニングアッセイ(間質性肺炎の予防・治療に有効な薬剤の探索)の一例を以下に示す。
(i)ダブルホモ型マウスを用い、マイクロバブル法で任意の時期に間質性肺炎を誘導する(病態が維持される時期を事前に確認しておく)。
(ii)誘導後、一定期間(例えば1ヶ月程度)試験薬剤を投与し、コントロール(未投与)との比較から、その効果を判定する。
本発明の作製方法によれば、慢性且つ進行性の間質性肺炎の病態を早期に発症するモデル動物が得られる。このようなモデル動物は、間質性肺炎の治療又は予防薬のスクリーニング(評価系)に適する。従って本発明には、間質性肺炎の治療法の確立への多大な貢献が期待される。
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。

Claims (16)

  1. 以下のステップ(1)及び(2)を含む、慢性且つ進行性の病態を示す間質性肺炎モデル動物の作製方法:
    (1)MHCクラスII転写活性化遺伝子、MHCクラスII転写活性化遺伝子の活性領域、及びMHCクラスII転写活性化遺伝子の変異体(但し、MHCクラスII遺伝子群の発現を制御するマスタースイッチ機能を有する)からなる群より選択されるDNAがII型コラーゲンプロモーターの制御下に配置された外来性DNAをホモ型で保有するトランスジェニック非ヒト哺乳動物に対して、関節炎を誘導する処置を施すステップ、
    (2)ステップ(1)後のトランスジェニック非ヒト哺乳動物の肺腔内に、微小バブルと混合したブレオマイシンを投与した後、外部から超音波を照射して前記微小バブルを破砕するステップ。
  2. 関節炎を誘導する前記処置が、1回あたりのII型コラーゲンの投与量を0.01mg〜0.05mgとして2回以上II型コラーゲンを投与することである、請求項1に記載の作製方法。
  3. II型コラーゲンの投与回数が3〜5回である、請求項1又は2に記載の作製方法。
  4. 以下のステップ(A)を含む、慢性且つ進行性の病態を示す間質性肺炎モデル動物の作製方法:
    (A) MHCクラスII転写活性化遺伝子、MHCクラスII転写活性化遺伝子の活性領域、及びMHCクラスII転写活性化遺伝子の変異体(但し、MHCクラスII遺伝子群の発現を制御するマスタースイッチ機能を有する)からなる群より選択されるDNAがII型コラーゲンプロモーターの制御下に配置された外来性DNAをホモ型で保有し、且つB7.1遺伝子、及びB7.1遺伝子の変異体(但し、T細胞の活性化に関してB7.1遺伝子と同等の機能を有する)からなる群より選択されるDNAがII型コラーゲンプロモーターの制御下に配置されてなる外来性DNAをホモ型で保有するトランスジェニック非ヒト哺乳動物の肺腔内に、微小バブルと混合したブレオマイシンを投与した後、外部から超音波を照射して前記微小バブルを破砕するステップ。
  5. 前記微小バブルがマイクロバブルである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の作製方法。
  6. ブレオマイシンの投与量が0.01mg〜0.2mgである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の作製方法。
  7. 前記微小バブルの量が、投与物の40%(v/v)〜90%(v/v)である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の作製方法。
  8. 前記外来性DNAがII型コラーゲンエンハンサーを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の作製方法。
  9. 前記非ヒト哺乳動物の種(属)が、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ブタ、ウシ及びウマからなる群より選択されるいずれかである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の作製方法。
  10. 前記非ヒト哺乳動物の種(属)がマウスである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の作製方法。
  11. 前記マウスの遺伝的な背景が99%以上DBAである、請求項10に記載の作製方法。
  12. 以下の(a)及び(b)のステップを含む、間質性肺炎用薬剤のスクリーニング方法:
    (a)請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法で作製した間質性肺炎モデル動物に被験物質を投与するステップ;
    (b)被験物質の治療効果又は予防効果を判定するステップ。
  13. ステップ(a)が、前記ステップ(2)から3週後以降に行われる、請求項12に記載のスクリーニング方法
  14. ステップ(a)が、前記ステップ(2)から3週後〜20週後の間に行われる、請求項12に記載のスクリーニング方法
  15. 間質性肺炎の発症頻度、間質性肺炎の発症時期、間質性肺炎の進行又は重篤化、間質性肺炎の改善、血清肺サーファクタントプロテインD(SP-D)値、及び肺又は血清中のハイドロキシプロリン量からなる群より選択される一以上の指標に基づき、ステップ(b)の判定を行う、請求項11〜14のいずれか一項に記載のスクリーニング方法。
  16. 対照群との比較に基づきステップ(b)の判定を行う、請求項11〜15のいずれか一項に記載のスクリーニング方法。
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