JP2016066202A - 自動走行車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】自動で走行可能な自動走行車両を提供する。
【解決手段】自動走行車両1は、車体の両側方のうちの一方の側に存在する物体を検出する物体検出部11と、検出された少なくとも2つの物体の位置に基づいて、当該少なくとも2つの物体を目標物として設定する目標物設定部12と、設定された少なくとも2つの目標物を通り、走行時の基準となる基準線を設定する基準線設定部13と、基準線から車体までの距離を演算する距離演算部14と、距離を予め設定された範囲内に維持しつつ、予め設定された区画内において基準線に沿って走行させる走行制御部16と、形状推定部41による物体の形状の推定結果が形状パターン記憶部42に記憶されている物体の形状パターンと異なっているか否かを判定する形状判定部43とを備え、走行制御部16は推定された物体の形状が形状パターンと異なっている場合には走行を停止する。
【選択図】図3

Description

本発明は、自動で走行する自動走行車両に関する。
従来、車両の位置を検出する際に、GPS(Global Positioning System)が用いられてきた。このようなGPSでは所定の誤差が含まれていることから、例えば自動で車両を走行させる場合には、GPSは利用し難いものであった。そこで、車両を自動で走行させる際に利用する技術が検討されてきた(例えば特許文献1及び2)。
特許文献1に記載の移動体の位置計測装置は、所定の座標軸上における移動体の位置及び走行方向を推定演算する推定演算手段と、移動体の予定走行路に沿って間欠的に配設された基準点に対する移動体の相対位置を検出する相対位置検出手段とを有して構成される。
また、特許文献2に記載の移動体の位置計測装置は、移動経路の周囲に配置された設置位置が既知の2個以上の反射手段を備え、移動体から反射手段に対して光等を投射して、その反射光等により移動体の進行方向と反射光等の入射角度との間の相対角度を計測する。また、移動体には当該移動体の進行方向に沿った走行距離を計測する計測手段と、移動体の進行方向を向きとして計測する計測手段とが備えられ、反射手段の設置位置、移動体から見た反射手段に対する現在及びそれより一定時間前の相対角度、一定時間前から現在に至るまでの移動体の位置の変位量と向きの変位量から、移動体の絶対位置及び向きを演算する。
特開平7−159187号公報 特開平11−271043号公報
特許文献1に記載の技術では、予定走行路に沿って、予め光反射手段を設置しておく必要がある。また、特許文献2に記載の技術では、複数の反射板を予め設置しておき、当該設置位置を登録しておかなければならない。このため、特許文献1及び2に記載の技術では、移動体は予め光反射手段や反射板が設置されている場所でしか自動で走行することができない。
本発明の目的は、上記問題に鑑み、予め光反射手段や反射板が設置されていない場所であっても、自動で走行可能な自動走行車両を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る自動走行車両の特徴構成は、予め設定された範囲に向けて検出信号を送信し、前記検出信号に対する反射信号を取得して、前記予め設定された範囲に存在する物体を検出する物体検出部と、前記物体検出部により検出された物体のうち、少なくとも2つの物体の位置に基づいて、当該少なくとも2つの物体を目標物として設定する目標物設定部と、前記目標物設定部により設定された少なくとも2つの目標物を通り、走行時の基準となる基準線を設定する基準線設定部と、前記基準線から車体までの距離を演算する距離演算部と、前記距離を予め設定された範囲内に維持しつつ、予め設定された区画内において前記基準線に沿って走行させる走行制御部と、前記物体検出部の検出結果に基づいて、前記物体の形状を推定する形状推定部と、前記区画内において前記物体検出部が検出する物体の形状パターンを予め記憶しておく形状パターン記憶部と、前記形状推定部により推定された前記物体の形状が、前記形状パターン記憶部に記憶されている形状パターンと異なっているか否かを判定する形状判定部と、を備え、前記走行制御部は、推定された前記物体の形状が前記形状パターンと異なっている場合には走行させないよう構成されている点にある。
このような特徴構成とすれば、物体検出部が物体を検出し、その検出結果に基づき目標物設定部が目標物を設定することができるので、自動走行車両を走行させる区画において、予め光反射手段や反射板等を設置しておかなくても自動走行することが可能となる。また、物体検出部による正常時の検出結果(センシングパターン)を予め記憶しておき、外乱発生時に影響のある、前記正常時の検出結果とは異なる異常パターンが検出された場合には走行制御部が自動走行を停止し、その後、正常時の検出結果が得られた場合には走行を再開することができる。したがって、異常なパターンに係る物体を誤って目標物として設定して自動走行することを防止することができる。また、外乱の影響があったとしても、目標物を見失わずに走行することが可能である。
自動走行車両が走行する領域を示す図である。 自動走行車両を模式的に示した側面図である。 自動走行車両の自動走行に係る機能部を模式的に示したブロック図である。 物体検出部の検出範囲を示す図である。 物体の形状判定を説明する模式図である。 自動走行車両の処理を示すフローチャートである。 自動走行車両の処理を示す模式図である。
本発明に係る自動走行車両は、予め設定された区画内において目標物を設定し、当該目標物に基づいて自動で走行可能に構成される。以下、本実施形態の自動走行車両1について説明する。本実施形態では、自動走行車両1は、図1に示されるような果樹園Pに植えられている複数の樹木Kの間に生えている草を刈り取りながら自動走行するよう構成されている。この際、自動走行車両1は、果樹園Pの中央部では図1において一点鎖線Aで示されるように樹木Kに沿って走行し、果樹園Pの進行方向の両端部では破線Bで示されるように前後進を繰り返して、自動走行車両1の位置を側方にずらすようにスイッチバックを行う。したがって、自動走行車両1は、果樹園Pの一方の端部から他方の端部に向って走行する場合と、果樹園Pの他方の端部から一方の端部に向って走行する場合とで進行方向を向く側が異なることになる。
図2には本実施形態の自動走行車両1の側面図が示される。図2に示されるように、自動走行車両1は、車輪2と走行機体3とを備えて構成される。車輪2は、車体の車長方向の一端側の第1車輪2A、及び車長方向の他端側の第2車輪2Bから構成される。走行機体3には、自動走行車両1の動力源であるエンジン4、エンジン4に供給する燃料が備蓄されている燃料タンク5、エンジン4により駆動される発電機6、発電機6により発電された電力を蓄電し、自動走行車両1が有する電気機器に電力供給するバッテリ7、自動走行車両1の自動走行を制御する自動走行制御装置10、バッテリ7から供給される電力に基づき第1車輪2Aの操向操作を行う第1車輪操向操作機構51、バッテリ7から供給される電力に基づき第2車輪2Bの操向操作を行う第2車輪操向操作機構52、エンジン4の回転力が入力され、草刈りに使用する刈り刃54を有する草刈装置53、第1車輪2A及び第2車輪2Bの少なくとも一方と草刈装置53とへのエンジン4の回転力の断接を行う動力伝達機構55を備えている。
図3には、自動走行車両1の自動走行に係る機能部を示すブロック図が示される。自動走行車両1は、自動走行制御装置10、第1車輪操向操作機構51、第2車輪操向操作機構52、動力伝達機構55の各機能部を備えて構成される。自動走行制御装置10は、物体検出部11、目標物設定部12、基準線設定部13、距離演算部14、走行範囲設定部15、走行制御部16、物体数設定部17、物体計数部18、判定部19、形状推定部41、形状パターン記憶部42、形状判定部43の各機能部を備えて構成され、各機能部は、自動走行車両1の自動走行に係る種々の処理を行うためにCPUを中核部材としてハードウェア又はソフトウェア或いはその両方で構築されている。
物体検出部11は、予め設定された範囲に向けて検出信号を送信し、当該検出信号に対する反射信号を取得して、当該予め設定された範囲に存在する物体を検出する。予め設定された範囲とは物体検出部11の検出可能な範囲であり、本実施形態では図4に示されるような自動走行車両1を中心とする約270度の範囲Rである。検出信号とはレーザーや光や超音波等のように空中伝搬する信号である。このような検出信号は、物体に衝突すると反射される。物体検出部11は、検出信号を予め設定された範囲に送信し、衝突によって生じる反射信号を取得する。物体検出部11は、検出信号の送信方向に基づいて物体検出部11を基準とした物体が存在する方向を示す情報と、検出信号を送信してから反射信号を取得するまでの時間に基づいて演算した物体検出部11から物体までの距離を示す情報とを取得する。本実施形態では、物体検出部11は水平方向に、且つ、上述した範囲Rに対して例えば0.5度ピッチで検出信号を送信する。
上述したように本実施形態では、物体検出部11が検出する範囲Rは自動走行車両1を中心とした全周囲のうち約270度の範囲である。そこで、自動走行車両1は図4に示されるように、自動走行車両1が紙面上側の方向に向って走行する場合には進行方向を見て左側を検出し、自動走行車両1が紙面下側の方向に向って走行する場合には進行方向を見て右側を検出するよう構成されている。このように物体検出部11は、自動走行車両1の片側に存在する物体を検出する。自動走行車両1の片側とは、本実施形態では、図4において車長延長線Sよりも左側をいう。もちろん、自動走行車両1が紙面上側の方向に向って走行する場合には進行方向を見て右側を検出し、自動走行車両1が紙面下側の方向に向って走行する場合には進行方向を見て左側を検出するよう構成することも可能であるし、自動走行車両1の両側に存在する物体を検出するよう構成することも可能である。また、必要に応じて物体検出部11を回転し、範囲Rが車長延長線Sに対して反転するように構成することも可能である。
目標物設定部12は、物体検出部11により検出された物体のうち、少なくとも2つの物体の位置に基づいて、当該少なくとも2つの物体を目標物Oとして設定する。物体検出部11は、図4に示されるように所定の範囲内に検出信号を送信し、範囲R内に存在する物体を検出する。ここで、本実施形態では自動走行車両1は樹木Kが植えられている果樹園Pを自動走行する。このため、果樹園P内の樹木Kや樹木Kを支持する支柱等から目標物Oが設定される。また、本実施形態では、自動走行車両1は少なくとも2つの物体を検出できれば目標物Oを設定することができる。本実施形態では、目標物設定部12は範囲R内において物体検出部11により検出された物体から2つの物体を用いて目標物Oとして設定するとして説明する。
2つの目標物Oのうちの一方は、自動走行車両1から左側方を見て最も近い位置にある物体が選択される。図4の例では、符号O1を付したものが相当し、この目標物O1は進行方向手前側の目標物Oに相当する。2つの目標物Oのうちの他方は、先に設定された目標物O1から見て自動走行車両1の進行方向において最も近い物体が選択される。図4の例では、符号O2を付したものが相当し、この目標物O2は進行方向奥側の目標物Oに相当する。目標物O1と目標物O2との間の距離は、目標物O1に係る物体検出部11の検出結果と目標物O2に係る物体検出部11の検出結果とに基づき、公知の三角測量法を用いて演算することができる。
ここで、自動走行車両1は、進行方向がどの方向かを自ら認識することができないので、自動走行車両1に対して予めユーザが進行方向を設定しておくと好適である。もちろん、自動走行車両1の長さ方向両端のうち、最初に進行する側の端部を設定しておき、当該端部が向いている側を進行方向として設定しても良い。
基準線設定部13は、目標物設定部12により設定された少なくとも2つの目標物Oを通り、走行時の基準となる基準線SLを設定する。目標物設定部12により設定された少なくとも2つの目標物Oとは、本実施形態では上述した目標物O1及び目標物O2である。基準線設定部13は、自動走行制御装置10内で用いる座標系において、この目標物O1と目標物O2とを直線で繋いで基準線SLを設定する。基準線SLは、物体検出部11により一つの物体として検出された検出結果のうち、夫々の中央部分を通るように直線で繋いでも良いし、夫々の検出結果の一方の端部を通るように直線で繋いでも良い。或いは、夫々の検出結果のうち、物体検出部11に最も近い部分を通るように直線で繋いでも良い。もちろん、他の所定の条件の下、夫々の検出結果を直線で繋ぐことも可能である。このような基準線SLは後述するように自動走行車両1が自動走行する際に基準として利用される。
距離演算部14は、基準線SLから車体までの距離を演算する。基準線SLから車体までの距離とは、上記座標系において基準線SLと車体とを最短で繋いだ距離である。このため、基準線SLから車体を通るように引いた垂線上での距離にあたる。
走行範囲設定部15は、自動走行車両1が自動走行する走行経路に対して許容される走行範囲を設定する。本実施形態では自動走行車両1は自動走行しながら草を刈り取る。このため、自動走行車両1が自動走行する走行経路は、草を刈り取る経路に相当する。詳細は省略するが、刈り刃54は自動走行車両1の走行機体3の中央部の底面に車幅方向に亘って設けられる。自動走行車両1は果樹園Pの一方の端部から他方の端部まで自動走行する際、刈り漏れを防止するために先に走行した経路に対して刈り取る領域の一部(例えば20〜30cm)を重複させて自動走行する。上述した許容される走行範囲は、このような重複する幅の1/2〜1/3(例えば10〜15cm)程度に設定すると好適である。
走行制御部16は、基準線SLから車体までの距離を予め設定された範囲内に維持しつつ、予め設定された区画内において基準線SLに沿って走行させる。基準線SLから車体までの距離は、上述した距離演算部14により演算され、順次、リアルタイムで走行制御部16に伝達される。予め設定された区画とは、自動走行車両1が自動走行を行う区画であり、本実施形態では草の刈り取り対象となる果樹園Pの一方の端部から他方の端部まで列毎に樹木Kにより仕切られる区画である。自動走行車両1は、このような区画内を往復走行しながら、草刈りを行う。
上述したように、自動走行車両1はエンジン4を動力源として走行する。また、第1車輪2A及び第2車輪2Bは、夫々操向操作可能に構成され、夫々第1車輪操向操作機構51及び第2車輪操向操作機構52により操向操作が行われる。また、エンジン4により発生された回転力は、第1車輪2A及び第2車輪2Bの少なくとも一方に動力伝達機構55を介して伝達される。第1車輪2A及び第2車輪2Bに対する動力の伝達は、双方に行って自動走行車両1を4輪駆動としても良いし、一方に行って2輪駆動としても良い。また、第1車輪2A及び第2車輪2Bの夫々は、左右一対で構成されても良いし、少なくとも一方が1輪で構成されていても良い。走行制御部16は、基準線SLから自動走行車両1までの距離が予め設定された範囲内に収まるように、第1車輪操向操作機構51、第2車輪操向操作機構52、及び動力伝達機構55を制御して、基準線SLに沿って走行させる。
自動走行車両1は、基準線SLに沿って走行しながら次の目標物Oとなる物体を検出する。現在の基準線SLの設定に係る進行方向前側の目標物O2近傍に達すると、当該目標物O2を進行方向手前側の目標物O1とし、新たに設定した目標物Oを進行方向奥側の目標物O2として設定する。これらの目標物O1及び目標物O2により基準線SLを設定し直して、当該基準線SLに沿って果樹園Pの一方の端部から他方の端部まで走行する。
自動走行車両1は、果樹園Pの一方の端部から他方の端部まで基準線SLに沿って走行し、端部においてはスイッチバックをして、そこで設定された基準線SLに沿って走行する。スイッチバックとは、自車が区画の端部に達した際に前後進を繰り返して、自動走行車両1の位置を当該端部の位置から側方にずらすように移動する走行形態である。本実施形態では、自動走行車両1は自車が果樹園Pの端部に達した否かを物体の数によって認識するよう構成されている。すなわち、物体数設定部17が区画内において物体検出部11が検出する物体の数を予め設定しておく。区画内において物体検出部11が検出する物体の数とは、自動走行車両1は、果樹園Pの一方の端部から他方の端部まで走行する際に目標物Oとして設定する物体の数である。物体数設定部17は、このような物体の数を予め設定し、記憶しておく。
この物体の数は、ユーザが自動走行車両1を自動走行させる前に、予め手動で入力して物体数設定部17に設定しておいても良いし、区画内に存在する物体の数を示すマップを物体数設定部17に読み込ませて自動で物体の数を設定しても良い。例えば、マップを用いて物体の数を設定する場合には、区画内に存在する物体の列数、及び夫々の列毎の物体の個数を記載しておくと良い。更には、自動走行車両1は基準線SLに沿って草を刈り取りながら走行する前に例えばラジコン操作によりティーチング走行を行い、当該ティーチング走行時に物体数設定部17が区画内の物体の数を計数し、当該計数した物体の数を基準線SLに沿って走行する際に目標物Oとして設定される物体検出部11が検出する物体の数として設定することも可能である。これにより、物体数設定部17は物体検出部11が検出する物体の数を容易に設定することが可能となる。
物体計数部18は、区画の一方の端部から他方の端部に向って走行する際に、基準線SLの設定に用いた物体の数を計数する。物体計数部18は目標物設定部12が目標物Oを新たに設定した場合には、その旨を示す情報を取得し、当該新たに設定した目標物Oを用いて実際に基準線SLを設定に用いた物体の数を計数する。ここで、元々、進行方向奥側の目標物O2として設定していたものを、自動走行車両1の走行に応じて進行方向手前側の目標物O1として設定した場合には、双方を計数すると、同一の物体に係る目標物Oであることから重複して計数することになる。このような重複して計数することを避けるために、物体計数部18は、自動走行車両1が区画の一方の端部から他方の端部に向って走行する際に、予め決定された進行方向手前側に設定された目標物O1に係る物体及び進行方向奥側に設定された目標物O2に係る物体の何れか一方のみを計数し、当該計数結果に1を加えておくことで、区画の一方の端部から他方の端部に至るまで基準線SLの設定に係る物体を計数することが可能となる。
判定部19は、物体計数部18の係数結果が、物体数設定部17により設定された物体の数に達した場合に、自動走行車両1が区画の他方の端部に達したと判定する。これにより、走行制御部16は自車が区画の端部に達したと認識し、その位置で自動走行車両1を一旦、停車させ、当該停車した位置から自動走行車両1をスイッチバックさせて次に草を刈り取る分だけ位置をずらし、その位置から再度、目標物Oに基づき基準線SLを設定して自動走行しながら草を刈り取る。このようにして自動走行車両1は、自車で自動走行する際に基準となる基準線SLを設定し、自動走行することが可能となる。
ここで、上述したように自動走行車両1は、物体検出部11により検出された物体を元に目標物Oを設定し、更に当該目標物Oに基づいて設定した基準線SLに沿って自動走行する。本実施形態では、自動走行車両1は果樹園P内を、草刈りを行いながら自動走行する例を挙げて説明している。自動走行車両1が自動走行する際、既に刈った草や砂埃が風で巻きあがる可能性があり、これらを物体検出部11が検出し、この結果に基づいて目標物Oが設定されると、自動走行車両1は正規の目標物Oとすべき樹木Kの樹列に沿って自動走行できなくなってしまう。
そこで、形状推定部41は、物体検出部11の検出結果に基づいて、物体の形状を推定する。図5の#101に示されるように、物体検出部11は、自動走行車両1の周囲に検出信号を送信し、当該検出信号に対する反射信号を取得する。形状推定部41は図5の#102に示されるように、反射信号を評価して物体の形状を推定する。これにより、物体における物体検出部11の側の面の形状を推定することが可能となる。形状推定部41は、物体検出部11から検出結果が伝達され、このような物体の形状を推定し、後述する形状判定部43に伝達する。
図3に戻り、形状パターン記憶部42は、区画内において物体検出部11が検出する物体の形状パターンを予め記憶されている。上述したように自動走行車両1は予め設定された区画内を自車で目標物を設定して自動走行するので、ユーザは予め区画内にどのような形状の物体が存在するかある程度分かっている。そこで、形状パターン記憶部42には、図5の#103に示されるように、区画内に存在すると想定され、自動走行車両が自動走行するにあたり目標物とすべき物体の形状を示す形状パターンが予め記憶されている。この形状パターンは、1つでも複数であっても良い。
形状判定部43は、形状推定部41により推定された物体の形状が、形状パターン記憶部42に記憶されている形状パターンと異なっているか否かを判定する。形状判定部43には、形状推定部41から物体検出部11により検出された物体の形状を推定した推定結果が伝達される。形状判定部43は、図5の#104に示されるように、形状パターン記憶部42に記憶されている形状パターンを参照し、形状推定部41から伝達された物体の形状が形状パターンと異なっているか否かを判定する。具体的には、自動走行車両1が目標物Oとして設定する物体は樹木Kであるので、形状パターン記憶部42に記憶されている形状パターンも直径数十cmの円柱の外周面の一部であり、形状推定部41による推定結果は直径数十cmの円柱の外周面の一部となるはずである。形状判定部43は、そこで、区画内に存在すると想定される物体に対して形状が著しく異なっているもの(例えば、直径1mにも及ぶ形状や5cm未満の形状)は、所期の物体とは異なる物体である可能性が高いことから、推定された物体の形状が形状パターンと異なっていると判定する。この判定結果は、走行制御部16に伝達される。
図3に戻り、走行制御部16は、上述したように基準線SLに沿って自動走行車両1を自動走行させるが、形状判定部43が形状推定部41により推定された物体の形状が形状パターン記憶部42に記憶されている形状パターンと異なっていると判定された場合には(図5の#105参照)、走行制御部16は自動走行車両1を停車させ、自動走行を行わないように構成されている。
なお、このような自動走行を行っていない場合でも物体検出部11は自動走行車両1の周囲に存在する物体の検出を継続して行い(図5の#104に戻り)、この検出結果が形状推定部41に伝達される。形状推定部41による推定結果が、形状パターン記憶部42に記憶されている形状パターンと異なっていなければ、走行制御部16に形状判定部43からその旨を示す判定結果が伝達され、走行制御部16は自動走行させる(図5の#106)。
なお、上記では、走行制御部16は、自動走行車両1が自動走行中に形状判定部43の判定結果に基づいて自動走行を行わないように構成されている(自動走行を中断する)として説明したが、この一連の機能は、自動走行車両1が区画内を最初に走行を行う際においても適用される。この場合、自動走行車両1は最初に設置された位置に所期の物体が検出されるまで停車した状態となる。
一方、形状判定部43が形状推定部41により推定された物体の形状が形状パターン記憶部42に記憶されている形状パターンと異なっていないと判定された場合には(図5の#106参照)、目標物設定部12が当該物体を目標物Oとして設定し、走行制御部16はこの目標物Oに基づき設定された基準線SLに沿って自動走行させる。これにより、想定外の経路に沿って自動走行車両1が走行することを防止でき、所期の目標物Oに沿ってのみ自動走行させることが可能となる。
次に、自動走行車両1が自動走行を行う際の処理について図6のフローチャート、及び図7の模式図を用いて説明する。自動走行車両1が、任意の位置に配置される(ステップ#1)。この際、自動走行車両1は、自動走行車両1における最初に進行させる側の端部を自動走行させたい方向に向けておくと良い。
物体検出部11は、所定の範囲について物体の検出を開始する(ステップ#2)。以後、物体検出部11は、自動走行車両1が自動走行を終了するまで継続して物体の検出を行う。形状推定部41はこのように自動走行車両1の周囲において検出された物体の形状を推定し(ステップ#3)、形状判定部43が、形状推定部41により推定された物体の形状が、形状パターン記憶部42に記憶されている形状パターンと異なっているか否かを判定する(ステップ#4)。この判定において、形状判定部43が異なっていると判定すると(ステップ#4:No)、ステップ#3に戻り処理が継続される。
一方、ステップ#4の判定において、形状判定部43が異なっていないと判定し(ステップ#4:Yes)、この物体が目標物Oとしての所定の条件を満たす場合には(ステップ#5:Yes)、当該物体を目標物Oとして設定する(ステップ#6)。この目標物Oの検出は、少なくとも2つの目標物Oが設定されるまで行われる(ステップ#7:Yes)。
ここで、自動走行制御装置10内では、物体検出部11により取得された当該物体検出部11を基準とした物体が存在する方向を示す情報と、物体検出部11から物体までの距離を示す情報とに基づき、自動走行車両1を基準とした座標系において目標物O1及び目標物O2の座標が演算される。係る場合、自動走行車両1の座標が(0,0)として設定され、目標物O1の座標が(X1,Y1)、目標物O2の座標が(X2,Y2)として演算される。
次に、基準線設定部13は、2つの目標物O1及び目標物O2を基準に基準線SLを設定する(ステップ#8)。この基準線SLは、物体検出部11により検出された目標物O1と目標物O2との夫々の外縁部を繋いだ線で設定される。
次に、自動走行車両1が走行する基準線SLを基準とした走行経路を設定する。この設定は、基準線SLから走行経路までの距離に応じて設定される(ステップ#9)。この場合、当該距離の演算処理及び以降の処理を行い易くするために、自動走行制御装置10では、自動走行車両1を基準とした座標系から基準線SLをy軸とする座標系に座標変換が行われる。これにより、目標物O1の座標(X1,Y1)、及び目標物O2の座標(X2)が座標変換され、目標物O1の座標(0,y1)、及び目標物O2の座標(0,y2)となる。このような座標変換後の座標系において、基準線SLから走行経路までの距離がmとして設定される。この場合、自動走行車両1の座標は(x1,0)に変換される。また、この距離に対する許容範囲±aが設定される(ステップ#10)。
走行制御部16は、図7の#201に示されるように、基準線SLから自動走行車両1までの距離が、設定された「m±a」に収まるように自動走行車両1を走行させる(ステップ#11)。基準線SLから自動走行車両1までの距離が、設定された「m±a」に収まらない場合には(ステップ#12:Yes)、走行制御部16は許容範囲内に収まるようにステアリングを操作する(ステップ#13)。ステップ#12において、基準線SLから自動走行車両1までの距離が、設定された「m±a」に収まる場合には(ステップ#12:No)、走行制御部16はそのままの舵角で走行させる。なお、この場合、自動走行車両1の位置によって物体検出部11により検出される物体の検出結果が異なるので、都度、目標物O1,O2の座標変換を行いつつ、基準線SLを更新しながら自動走行が行われる。この時のステアリングの操作は、同位相の4輪ステアリング操作であっても、その他のステアリング操作であっても良い。
物体検出部11は、図7の#201から#202に示される自動走行車両1の走行中においても、物体を検出している。この検出に伴い、形状推定部41も検出された物体の形状の推定を行っている(ステップ#14)。形状判定部43が、形状推定部41により推定された物体の形状が、図7の#203に示されるように、形状パターン記憶部42に記憶されている形状パターンと異なっていると判定すると(ステップ#15:No)、走行制御部16は自動走行を中断し(ステップ#17)、ステップ#14に戻り処理が継続される。
一方、ステップ#15において、形状判定部43が、形状推定部41により推定された物体の形状が、形状パターン記憶部42に記憶されている形状パターンと異なっていないと判定した場合には(ステップ#15:Yes)、自動走行を継続する。
自動走行車両1が進行方向奥側の目標物O2に達し(ステップ#16:Yes)、且つ、当該目標物O2が区画の端部の目標物Oでなければ(ステップ#18:Yes)、目標物設定部12はこれまでの進行方向奥側の目標物O2を進行方向手前側の目標物O1に設定し(ステップ#19)、ステップ#3から処理が継続される。
ステップ#18において、目標物O2が区画の端部の目標物Oであれば(ステップ#18:No)、走行制御部16は自動走行を停止し(ステップ#20)、その位置からスイッチバックにより自動走行車両1の位置が変更される(ステップ#21)。スイッチバックについては、基準線SLからの距離に拘らず一定の動作で行われることから予めプログラミングしておくと良い。
〔その他の実施形態〕
上記実施形態では、物体検出部11が果樹園Pの樹木Kや樹木Kを支持する支柱等を検出するとして説明したが、樹木Kや支柱以外に、柵やフェンス等を検出するよう構成することも可能である。また、物体と、当該物体から予め設定された距離内にある他の物体とをグループ化して一つの物体として扱うように構成することも可能である。これにより、例えば樹木Kと当該樹木Kを支持する支柱とを一つの目標物Oとして設定することが可能となるので、目標物Oの設定に係る演算処理を軽減できる。
上記実施形態では、目標物設定部12は2つの物体から2つの目標物Oを設定するとして説明したが、3つ以上の物体から3つ以上の目標物Oを設定する構成とすることも可能である。
上記実施形態では、物体計数部18の係数結果が、物体数設定部17により設定された物体の数に達した場合に自動走行車両1が区画の他方の端部に達したと判定部19が判定し、走行制御部16は、区画の端部に達したと判定された場合に自動走行車両1を停車させるとして説明したが、走行制御部16は例えば走行距離やリモコン操作等によって区画の端部に達したと判定し、自動走行車両1を停車させるよう構成することも可能である。
上記実施形態では、自動走行車両1が草の刈り取りを行いながら自動走行するとして説明したが、自動走行車両1を例えば運搬車両として用いることも可能であるし、他の用途に用いることも当然に可能である。
上記実施形態では、自動走行車両1は、目標物設定部12により設定された目標物Oに基づいて自動走行するとして説明したが、例えば樹木Kの樹列毎の本数や、開始樹列番号、終了樹列番号、区画の端部の側に植えられている樹木Kから当該区画の端部までの距離を規定するオフセット量、目標とする樹木Kを切り替える切換距離等が入力されたマップを読み込ませ、物体検出部11の検出結果と共に、マップも用いて自動走行するよう構成することも可能である。これにより、自動走行する領域を認識することができ、オフセット量で規定されるオフセット領域の草の刈り残しを低減できる。また、必要に応じてマップを修正することで、草を刈り取る領域を自由に設定することも可能となる。また、このようなマップは、自動走行車両1に記憶しておき、適宜読み出して使用することも可能であるし、新たな物体を検出した場合には、更新するよう構成することも可能である。
上記実施形態では、自動走行制御装置10において、自動走行車両1を基準とした座標系から目標物Oを基準とした座標系に座標変換を行って、自動走行に係る演算処理を行うとして説明したが、座標変換を行わずに自動走行に係る演算処理を行うことも可能である。
本発明は、自動で走行する自動走行車両に利用することが可能である。
1:自動走行車両
11:物体検出部
12:目標物設定部
13:基準線設定部
14:距離演算部
16:走行制御部
41:形状推定部
42:形状パターン記憶部
43:形状判定部
O:目標物
R:範囲
SL:基準線

Claims (1)

  1. 予め設定された範囲に向けて検出信号を送信し、前記検出信号に対する反射信号を取得して、前記予め設定された範囲に存在する物体を検出する物体検出部と、
    前記物体検出部により検出された物体のうち、少なくとも2つの物体の位置に基づいて、当該少なくとも2つの物体を目標物として設定する目標物設定部と、
    前記目標物設定部により設定された少なくとも2つの目標物を通り、走行時の基準となる基準線を設定する基準線設定部と、
    前記基準線から車体までの距離を演算する距離演算部と、
    前記距離を予め設定された範囲内に維持しつつ、予め設定された区画内において前記基準線に沿って走行させる走行制御部と、
    前記物体検出部の検出結果に基づいて、前記物体の形状を推定する形状推定部と、
    前記区画内において前記物体検出部が検出する物体の形状パターンを予め記憶しておく形状パターン記憶部と、
    前記形状推定部により推定された前記物体の形状が、前記形状パターン記憶部に記憶されている形状パターンと異なっているか否かを判定する形状判定部と、
    を備え、
    前記走行制御部は、推定された前記物体の形状が前記形状パターンと異なっている場合には走行させないよう構成されている自動走行車両。
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