JP6342763B2 - 自動走行車両 - Google Patents

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Description

本発明は、自動で走行する自動走行車両に関する。
従来、車両の位置を検出する際に、GPS(Global Positioning System)が用いられてきた。このようなGPSでは所定の誤差が含まれていることから、例えば自動で車両を走行させる場合には、GPSは利用し難いものであった。そこで、車両を自動で走行させる際に利用する技術が検討されてきた(例えば特許文献1及び2)。
特許文献1に記載の移動体の位置計測装置は、所定の座標軸上における移動体の位置及び走行方向を推定演算する推定演算手段と、移動体の予定走行路に沿って間欠的に配設された基準点に対する移動体の相対位置を検出する相対位置検出手段とを有して構成される。
また、特許文献2に記載の移動体の位置計測装置は、移動経路の周囲に配置された設置位置が既知の2個以上の反射手段を備え、移動体から反射手段に対して光等を投射して、その反射光等により移動体の進行方向と反射光等の入射角度との間の相対角度を計測する。また、移動体には当該移動体の進行方向に沿った走行距離を計測する計測手段と、移動体の進行方向を向きとして計測する計測手段とが備えられ、反射手段の設置位置、移動体から見た反射手段に対する現在及びそれより一定時間前の相対角度、一定時間前から現在に至るまでの移動体の位置の変位量と向きの変位量から、移動体の絶対位置及び向きを演算する。
特開平7−159187号公報 特開平11−271043号公報
特許文献1に記載の技術では、予定走行路に沿って、予め光反射手段を設置しておく必要がある。また、特許文献2に記載の技術では、複数の反射板を予め設置しておき、当該設置位置を登録しておかなければならない。このため、特許文献1及び2に記載の技術では、移動体は予め光反射手段や反射板が設置されている場所でしか自動で走行することができない。
本発明の目的は、上記問題に鑑み、予め光反射手段や反射板が設置されていない場所であっても、自動で走行可能な自動走行車両を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る自動走行車両の特徴構成は、予め設定された範囲に向けて検出信号を送信し、前記検出信号に対する反射信号を取得して、前記予め設定された範囲に存在する物体を検出する物体検出部と、前記物体検出部により検出された物体のうち、少なくとも2つの物体の位置に基づいて、当該少なくとも2つの物体を目標物として設定する目標物設定部と、前記目標物設定部により設定された少なくとも2つの目標物を通り、走行時の基準となる基準線を設定する基準線設定部と、前記基準線から車体までの距離を演算する距離演算部と、前記距離を予め設定された区画内を往復走行する際の走行経路に応じて予め設定された範囲内に維持しつつ、前記区画内において前記基準線に沿って往復走行させる走行制御部と、を備え、前記目標物設定部は、前記基準線から離れた位置を走行する際に設定された目標物間の夫々の距離を記憶しておき、前記基準線に近づいて走行する際には、現在の基準線に係る進行方向前側の目標物から、前記進行方向前側の目標物と前記進行方向前側の目標物よりも更に前方の目標物との間の前記記憶されている距離に応じて離間した位置に検出領域を設定し、当該検出領域内に存在する物体を新たな目標物として設定する点にある。
上記目的を達成するための本発明に係る自動走行車両の特徴構成は、予め設定された検出範囲に向けて検出信号を送信し、前記検出信号に対する反射信号を取得して、前記予め設定された検出範囲に存在し、予め設置位置が登録されていない物体を検出する物体検出部と、前記物体検出部により検出された物体のうち、少なくとも2つの物体の位置に基づいて、当該少なくとも2つの物体を目標物として設定する目標物設定部と、前記目標物設定部により設定された少なくとも2つの目標物を通り、走行時の基準となる基準線を設定する基準線設定部と、前記基準線から車体までの距離を演算する距離演算部と、前記距離を予め設定された区画内を往復走行する際の走行経路に応じて予め設定された範囲内に維持しつつ、前記区画内において前記基準線に沿って往復走行させる走行制御部と、を備え、前記目標物設定部は、前記基準線から離れた位置を走行する際に設定された目標物間の夫々の距離を記憶しておき、前記基準線に近づいて走行する際には、現在の基準線に係る進行方向前側の目標物から、前記進行方向前側の目標物と前記進行方向前側の目標物よりも更に前方の目標物との間の前記記憶されている距離だけ離間した位置を含むように、上面視が所定の角度で広がった扇形形状の検出領域を設定し、当該検出領域内に存在する物体を新たな目標物として設定する点にある。
また、現在の基準線に沿って走行している際に、前記現在の基準線と、前記現在の基準線の設定に用いた進行方向前側の目標物と前記進行方向前側の目標物よりも更に前方の物体とを結ぶ線とのなす角を演算する角度演算部を備え、前記目標物設定部は、前記検出領域の位置を前記なす角に基づいて移動させると好適である。
このような構成とすれば、物体の列に対して側方に外れた位置にある物体(側方にはみ出た位置にある物体)に対しては、目標物として設定される物体を検出する検出領域をはみ出た位置に応じて移動させることができる。したがって、検出領域を常に物体の列に沿った形態で利用することが可能となる。また、隣接する物体の列に含まれる物体を誤って目標物に設定されることも防止できる。
自動走行車両が走行する領域を示す図である。 自動走行車両を模式的に示した側面図である。 自動走行車両の自動走行に係る機能部を模式的に示したブロック図である。 物体検出部の検出範囲を示す図である。 目標物設定部の検出領域について示した図である。 目標物設定部の検出領域を移動させる場合の例である。
本発明に係る自動走行車両は、予め設定された区画内において目標物を設定し、当該目標物に基づいて自動で走行可能に構成される。以下、本実施形態の自動走行車両1について説明する。本実施形態では、自動走行車両1は、図1に示されるような果樹園Pに植えられている複数の樹木Kの間に生えている草を刈り取りながら自動走行するよう構成されている。この際、自動走行車両1は、果樹園Pの中央部では図1において一点鎖線Aで示されるように樹木Kに沿って走行し、果樹園Pの進行方向の両端部では破線Bで示されるように前後進を繰り返して、自動走行車両1の位置を側方にずらすようにスイッチバックを行う。したがって、自動走行車両1は、果樹園Pの一方の端部から他方の端部に向って走行する場合と、果樹園Pの他方の端部から一方の端部に向って走行する場合とで進行方向を向く側が異なることになる。
図2には本実施形態の自動走行車両1の側面図が示される。図2に示されるように、自動走行車両1は、車輪2と走行機体3とを備えて構成される。車輪2は、車体の車長方向の一端側の第1車輪2A、及び車長方向の他端側の第2車輪2Bから構成される。走行機体3には、自動走行車両1の動力源であるエンジン4、エンジン4に供給する燃料が備蓄されている燃料タンク5、エンジン4により駆動される発電機6、発電機6により発電された電力を蓄電し、自動走行車両1が有する電気機器に電力供給するバッテリ7、自動走行車両1の自動走行を制御する自動走行制御装置10、バッテリ7から供給される電力に基づき第1車輪2Aの操向操作を行う第1車輪操向操作機構51、バッテリ7から供給される電力に基づき第2車輪2Bの操向操作を行う第2車輪操向操作機構52、エンジン4の回転力が入力され、草刈りに使用する刈り刃54を有する草刈装置53、第1車輪2A及び第2車輪2Bの少なくとも一方と草刈装置53とへのエンジン4の回転力の断接を行う動力伝達機構55を備えている。
図3には、自動走行車両1の自動走行に係る機能部を示すブロック図が示される。自動走行車両1は、自動走行制御装置10、第1車輪操向操作機構51、第2車輪操向操作機構52、動力伝達機構55の各機能部を備えて構成される。自動走行制御装置10は、物体検出部11、目標物設定部12、基準線設定部13、距離演算部14、走行範囲設定部15、走行制御部16、物体数設定部17、物体計数部18、判定部19、角度演算部49の各機能部を備えて構成され、各機能部は、自動走行車両1の自動走行に係る種々の処理を行うためにCPUを中核部材としてハードウェア又はソフトウェア或いはその両方で構築されている。
物体検出部11は、予め設定された範囲に向けて検出信号を送信し、当該検出信号に対する反射信号を取得して、当該予め設定された範囲に存在する物体を検出する。予め設定された範囲とは物体検出部11の検出可能な範囲であり、本実施形態では図4に示されるような自動走行車両1を中心とする約270度の範囲Rである。検出信号とはレーザーや光や超音波等のように空中伝搬する信号である。このような検出信号は、物体に衝突すると反射される。物体検出部11は、検出信号を予め設定された範囲に送信し、衝突によって生じる反射信号を取得する。物体検出部11は、検出信号の送信方向に基づいて物体検出部11を基準とした物体が存在する方向を示す情報と、検出信号を送信してから反射信号を取得するまでの時間に基づいて演算した物体検出部11から物体までの距離を示す情報とを取得する。本実施形態では、物体検出部11は水平方向に、且つ、上述した範囲Rに対して例えば0.5度ピッチで検出信号を送信する。
上述したように本実施形態では、物体検出部11が検出する範囲Rは自動走行車両1を中心とした全周囲のうち約270度の範囲である。そこで、自動走行車両1は図4に示されるように、自動走行車両1が紙面上側の方向に向って走行する場合には進行方向を見て左側を検出し、自動走行車両1が紙面下側の方向に向って走行する場合には進行方向を見て右側を検出するよう構成されている。このように物体検出部11は、自動走行車両1の片側に存在する物体を検出する。自動走行車両1の片側とは、本実施形態では、図4において車長延長線Sよりも左側をいう。もちろん、自動走行車両1が紙面上側の方向に向って走行する場合には進行方向を見て右側を検出し、自動走行車両1が紙面下側の方向に向って走行する場合には進行方向を見て左側を検出するよう構成することも可能であるし、自動走行車両1の両側に存在する物体を検出するよう構成することも可能である。また、必要に応じて物体検出部11を回転し、範囲Rが車長延長線Sに対して反転するように構成することも可能である。
目標物設定部12は、物体検出部11により検出された物体のうち、少なくとも2つの物体の位置に基づいて、当該少なくとも2つの物体を目標物Oとして設定する。物体検出部11は、図4に示されるように所定の範囲内に検出信号を送信し、範囲R内に存在する物体を検出する。ここで、本実施形態では自動走行車両1は樹木Kが植えられている果樹園Pを自動走行する。このため、果樹園P内の樹木Kや樹木Kを支持する支柱等から目標物Oが設定される。また、本実施形態では、自動走行車両1は少なくとも2つの物体を検出できれば目標物Oを設定することができる。本実施形態では、目標物設定部12は範囲R内において物体検出部11により検出された物体から2つの物体を用いて目標物Oとして設定するとして説明する。
2つの目標物Oのうちの一方は、自動走行車両1から左側方を見て最も近い位置にある物体が選択される。図4の例では、符号O1を付したものが相当し、この目標物O1は進行方向手前側の目標物Oに相当する。2つの目標物Oのうちの他方は、先に設定された目標物O1から見て自動走行車両1の進行方向において最も近い物体が選択される。図4の例では、符号O2を付したものが相当し、この目標物O2は進行方向奥側の目標物Oに相当する。目標物O1と目標物O2との間の距離は、目標物O1に係る物体検出部11の検出結果と目標物O2に係る物体検出部11の検出結果とに基づき、公知の三角測量法を用いて演算することができる。
ここで、自動走行車両1は、進行方向がどの方向かを自ら認識することができないので、自動走行車両1に対して予めユーザが進行方向を設定しておくと好適である。もちろん、自動走行車両1の車長方向両端のうち、最初に進行する側の端部を設定しておき、当該端部が向いている側を進行方向として設定しても良い。
基準線設定部13は、目標物設定部12により設定された少なくとも2つの目標物Oを通り、走行時の基準となる基準線SLを設定する。目標物設定部12により設定された少なくとも2つの目標物Oとは、本実施形態では上述した目標物O1及び目標物O2である。基準線設定部13は、自動走行制御装置10内で用いる座標系において、この目標物O1と目標物O2とを直線で繋いで基準線SLを設定する。基準線SLは、物体検出部11により一つの物体として検出された検出結果のうち、夫々の中央部分を通るように直線で繋いでも良いし、夫々の検出結果の一方の端部を通るように直線で繋いでも良い。或いは、夫々の検出結果のうち、物体検出部11に最も近い部分を通るように直線で繋いでも良い。もちろん、他の所定の条件の下、夫々の検出結果を直線で繋ぐことも可能である。このような基準線SLは後述するように自動走行車両1が自動走行する際に基準として利用される。
距離演算部14は、基準線SLから車体までの距離を演算する。基準線SLから車体までの距離とは、上記座標系において基準線SLと車体とを最短で繋いだ距離である。このため、基準線SLから車体を通るように引いた垂線上での距離にあたる。
走行範囲設定部15は、自動走行車両1が自動走行する走行経路に対して許容される走行範囲を設定する。本実施形態では自動走行車両1は自動走行しながら草を刈り取る。このため、自動走行車両1が自動走行する走行経路は、草を刈り取る経路に相当する。詳細は省略するが、刈り刃54は自動走行車両1の走行機体3の中央部の底面に車幅方向に亘って設けられる。自動走行車両1は果樹園Pの一方の端部から他方の端部まで自動走行する際、刈り漏れを防止するために先に走行した経路に対して刈り取る領域の一部(例えば20〜30cm)を重複させて自動走行する。上述した許容される走行範囲は、このような重複する幅の1/2〜1/3(例えば10〜15cm)程度に設定すると好適である。
走行制御部16は、基準線SLから車体までの距離を予め設定された区画内を往復走行する際の走行経路に応じて予め設定された範囲内に維持しつつ、予め設定された区画内において基準線SLに沿って走行させる。基準線SLから車体までの距離は、上述した距離演算部14により演算され、順次、リアルタイムで走行制御部16に伝達される。予め設定された区画とは、自動走行車両1が自動走行を行う区画であり、本実施形態では草の刈り取り対象となる果樹園Pの一方の端部から他方の端部まで列毎に樹木Kにより仕切られる区画である。自動走行車両1は、このような区画内を往復走行しながら、草刈りを行う。
上述したように、自動走行車両1はエンジン4を動力源として走行する。また、第1車輪2A及び第2車輪2Bは、夫々操向操作可能に構成され、夫々第1車輪操向操作機構51及び第2車輪操向操作機構52により操向操作が行われる。また、エンジン4により発生された回転力は、第1車輪2A及び第2車輪2Bの少なくとも一方に動力伝達機構55を介して伝達される。第1車輪2A及び第2車輪2Bに対する動力の伝達は、双方に行って自動走行車両1を4輪駆動としても良いし、一方に行って2輪駆動としても良い。また、第1車輪2A及び第2車輪2Bの夫々は、左右一対で構成されても良いし、少なくとも一方が1輪で構成されていても良い。走行制御部16は、基準線SLから自動走行車両1までの距離が予め設定された範囲内に収まるように、第1車輪操向操作機構51、第2車輪操向操作機構52、及び動力伝達機構55を制御して、基準線SLに沿って走行させる。
自動走行車両1は、基準線SLに沿って走行しながら次の目標物Oとなる物体を検出する。現在の基準線SLの設定に係る進行方向前側の目標物O2近傍に達すると、当該目標物O2を進行方向手前側の目標物O1とし、新たに設定した目標物Oを進行方向奥側の目標物O2として設定する。これらの目標物O1及び目標物O2により基準線SLを設定し直して、当該基準線SLに沿って果樹園Pの一方の端部から他方の端部まで走行する。
自動走行車両1は、果樹園Pの一方の端部から他方の端部まで基準線SLに沿って走行し、端部においてはスイッチバックをして、そこで設定された基準線SLに沿って走行する。スイッチバックとは、自車が区画の端部に達した際に前後進を繰り返して、自動走行車両1の位置を当該端部の位置から側方にずらすように移動する走行形態である。本実施形態では、自動走行車両1は自車が果樹園Pの端部に達した否かを物体の数によって認識するよう構成されている。すなわち、物体数設定部17が区画内において物体検出部11が検出する物体の数を予め設定しておく。区画内において物体検出部11が検出する物体の数とは、自動走行車両1は、果樹園Pの一方の端部から他方の端部まで走行する際に目標物Oとして設定する物体の数である。物体数設定部17は、このような物体の数を予め設定し、記憶しておく。
この物体の数は、ユーザが自動走行車両1を自動走行させる前に、予め手動で入力して物体数設定部17に設定しておいても良いし、区画内に存在する物体の数を示すマップを物体数設定部17に読み込ませて自動で物体の数を設定しても良い。例えば、マップを用いて物体の数を設定する場合には、区画内に存在する物体の列数、及び夫々の列毎の物体の個数を記載しておくと良い。更には、自動走行車両1は基準線SLに沿って草を刈り取りながら走行する前に例えばラジコン操作によりティーチング走行を行い、当該ティーチング走行時に物体数設定部17が区画内の物体の数を計数し、当該計数した物体の数を基準線SLに沿って走行する際に目標物Oとして設定される物体検出部11が検出する物体の数として設定することも可能である。これにより、物体数設定部17は物体検出部11が検出する物体の数を容易に設定することが可能となる。
物体計数部18は、区画の一方の端部から他方の端部に向って走行する際に、基準線SLの設定に用いた物体の数を計数する。物体計数部18は目標物設定部12が目標物Oを新たに設定した場合には、その旨を示す情報を取得し、当該新たに設定した目標物Oを用いて実際に基準線SLを設定に用いた物体の数を計数する。ここで、元々、進行方向奥側の目標物O2として設定していたものを、自動走行車両1の走行に応じて進行方向手前側の目標物O1として設定した場合には、双方を計数すると、同一の物体に係る目標物Oであることから重複して計数することになる。このような重複して計数することを避けるために、物体計数部18は、自動走行車両1が区画の一方の端部から他方の端部に向って走行する際に、予め決定された進行方向手前側に設定された目標物O1に係る物体及び進行方向奥側に設定された目標物O2に係る物体の何れか一方のみを計数し、当該計数結果に1を加えておくことで、区画の一方の端部から他方の端部に至るまで基準線SLの設定に係る物体を計数することが可能となる。
判定部19は、物体計数部18の数結果が、物体数設定部17により設定された物体の数に達した場合に、自動走行車両1が区画の他方の端部に達したと判定する。これにより、走行制御部16は自車が区画の端部に達したと認識し、その位置で自動走行車両1を一旦、停車させ、当該停車した位置から自動走行車両1をスイッチバックさせて次に草を刈り取る分だけ位置をずらし、その位置から再度、目標物Oに基づき基準線SLを設定して自動走行しながら草を刈り取る。このようにして自動走行車両1は、自車で自動走行する際に基準となる基準線SLを設定し、自動走行することが可能となる。
このように自動走行車両1は、物体検出部11が検出した物体を目標物Oとして設定し、更に複数の目標物Oを用いて設定した基準線SLに基づき自動走行を行う。本実施形態では、自動走行車両1は、目標物Oを設定し易く構成されている。
目標物設定部12は、基準線SLから離れた位置を走行する際に設定された目標物間の夫々の距離を記憶しておく。本実施形態では、果樹園Pには、複数の樹木Kが並んだ列が複数、存在し、自動走行車両1は、図1に示したように樹列と樹列との間を往復走行する。図5の#101に示されるように、本実施形態では、自動走行車両1は樹列と樹列との間に配置され、樹列に沿って走行しつつスイッチバックを行って基準線の設定に利用される樹列に近づくように走行する。この際、自動走行車両1は樹列に接近した位置を走行すると、樹木Kが生い茂っている場合には、物体検出部11が前方の物体を検出できない可能性がある。そこで、自動走行車両1は樹列から離間した位置を走行する際に、好ましくは目標物Oとして設定される樹列から最も離間して走行する際に設定された複数の目標物Oの夫々の間隔を夫々の目標物Oに関連付けして記憶しておく。このような目標物Oの間隔は、図5の(1)では「d1」として示され、図5の#102では「d2」として示される。
自動走行車両1は、スイッチバックを行った後、更に樹列に沿って自動走行する際にも物体検出部11により検出された物体に基づき目標物Oを設定し、更に目標物Oを用いて基準線SLを設定する。この際、目標物設定部12は、自動走行車両1が基準線SLに近づいて走行する際には、現在の基準線SLに係る進行方向前側の目標物Oから、進行方向前側の目標物Oと進行方向前側の目標物Oよりも更に前方の目標物Oとの間の記憶されている距離に応じて離間した位置に検出領域SRを設定し、当該検出領域SR内に存在する物体を新たな目標物Oとして設定する。
基準線SLは、本実施形態では図6の#201に示されるように、2つの目標物O1,O2を用いて設定される。現在の基準線SLに係る進行方向前側の目標物Oとは、進行方向奥側の目標物O2が相当する。進行方向前側の目標物Oと進行方向前側の目標物Oよりも更に前方の目標物Oとの間の距離は、すでに自動走行した際に目標物設定部12により記憶されている目標物O2と目標物O3との間の距離である。ここでは、図6の#202に示されるように「d3」とする。
したがって、目標物O3となり得る物体(樹木K)が基準線SL(基準線SLの延長線上を含む)上にあれば、図6の#202に示されるように、目標物O2の前方の距離「d3」の位置を含むように検出領域SRが設定される。図6の#202では、検出領域SRは自動走行車両1から見て所定の方向に対して角度αで広がった扇形に設定されている。これにより、物体検出部11は図4に示されるような広範な領域において物体を検出するが、目標物設定部12は図6の#202に示されるように一部の領域(検出領域SR)において存在する物体(樹木K)から目標物Oを設定するので、目標物Oの誤設定を防止することができる。また、目標物設定部12の処理負荷を軽減できる。
また、図6の#203に示されるように、果樹園Pでは、樹列が直線状でなく、折れ曲がって並んでいる(目標物O3となり得る物体(樹木K)が基準線SLよりも右側に位置する)場合もある。この場合には、角度演算部49が、自動走行車両1が現在の基準線SLに沿って走行している際に、現在の基準線SLと、当該現在の基準線SLの設定に用いた進行方向前側の目標物Oと進行方向前側の目標物Oよりも更に前方の物体とを結ぶ線とのなす角を演算する。すなわち、図6の#203の例では、自動走行車両1が目標物O1と目標物O2とを用いて設定された現在の基準線SLに沿って自動走行している際に、角度演算部49が現在の基準線SLと、当該現在の基準線SLの設定に用いた目標物O1,O2のうちの進行方向奥側にある目標物O2と当該目標物O2よりも更に進行方向奥側にある物体(樹木K)とを仮想的に結んだ線とのなす角θを演算する。ここで、物体(樹木K)は物体検出部11により既に検出され位置が特定されているので、なす角θを求めることは容易である。
目標物設定部12は、検出領域SRの位置をなす角θに基づいて移動させる。具体的には、現在の基準線SLに対して物体(樹木K)が右側に位置すれば、目標物設定部12は検出領域SRの位置を角度αを維持したままで時計回りに回転移動させる。図6の#203の例では、SR1の位置からSR2の位置に角度αを維持したまま回転移動される。
一方、現在の基準線SLに対して物体(樹木K)が左側に位置すれば(目標物O3となり得る物体(樹木K)が基準線SLよりも左に位置すれば)、目標物設定部12は図6の#204に示されるように、検出領域SRの位置を角度αを維持したままで反時計回りに回転移動させる。図6の#204の例では、SR1の位置からSR3の位置に角度αを維持したまま回転移動される。このように目標物設定部12は、物体検出部11により検出された物体から目標物Oを設定するにあたり、検出領域SRに存在する物体を目標物Oとして設定することで、誤検出を防止して目標物Oの信頼性を高めることができる。したがって、自動走行車両1を適切に走行させることが可能となる。
〔その他の実施形態〕
上記実施形態では、物体検出部11が果樹園Pの樹木Kや樹木Kを支持する支柱等を検出するとして説明したが、樹木Kや支柱以外に、柵やフェンス等を検出するよう構成することも可能である。また、物体と、当該物体から予め設定された距離内にある他の物体とをグループ化して一つの物体として扱うように構成することも可能である。これにより、例えば樹木Kと当該樹木Kを支持する支柱とを一つの目標物Oとして設定することが可能となるので、目標物Oの設定に係る演算処理を軽減できる。
上記実施形態では、目標物設定部12は2つの物体から2つの目標物Oを設定するとして説明したが、3つ以上の物体から3つ以上の目標物Oを設定する構成とすることも可能である。
上記実施形態では、物体計数部18の数結果が、物体数設定部17により設定された物体の数に達した場合に自動走行車両1が区画の他方の端部に達したと判定部19が判定し、走行制御部16は、区画の端部に達したと判定された場合に自動走行車両1を停車させるとして説明したが、走行制御部16は例えば走行距離やリモコン操作等によって区画の端部に達したと判定し、自動走行車両1を停車させるよう構成することも可能である。
上記実施形態では、自動走行車両1が草の刈り取りを行いながら自動走行するとして説明したが、自動走行車両1を例えば運搬車両として用いることも可能であるし、他の用途に用いることも当然に可能である。
上記実施形態では、自動走行車両1は、目標物設定部12により設定された目標物Oに基づいて自動走行するとして説明したが、例えば樹木Kの樹列毎の本数や、開始樹列番号、終了樹列番号、区画の端部の側に植えられている樹木Kから当該区画の端部までの距離を規定するオフセット量、目標とする樹木Kを切り替える切換距離等が入力されたマップを読み込ませ、物体検出部11の検出結果と共に、マップも用いて自動走行するよう構成することも可能である。これにより、自動走行する領域を認識することができ、オフセット量で規定されるオフセット領域の草の刈り残しを低減できる。また、必要に応じてマップを修正することで、草を刈り取る領域を自由に設定することも可能となる。また、このようなマップは、自動走行車両1に記憶しておき、適宜読み出して使用することも可能であるし、新たな物体を検出した場合には、更新するよう構成することも可能である。
上記実施形態では、自動走行制御装置10において、自動走行車両1を基準とした座標系から目標物Oを基準とした座標系に座標変換を行って、自動走行に係る演算処理を行うとして説明したが、座標変換を行わずに自動走行に係る演算処理を行うことも可能である。
本発明は、自動で走行する自動走行車両に利用することが可能である。
1:自動走行車両
11:物体検出部
12:目標物設定部
13:基準線設定部
14:距離演算部
16:走行制御部
49:角度演算部
O:目標物
R:範囲
SL:基準線
SR:検出領域

Claims (3)

  1. 予め設定された検出範囲に向けて検出信号を送信し、前記検出信号に対する反射信号を取得して、前記予め設定された検出範囲に存在し、予め設置位置が登録されていない物体を検出する物体検出部と、
    前記物体検出部により検出された物体のうち、少なくとも2つの物体の位置に基づいて、当該少なくとも2つの物体を目標物として設定する目標物設定部と、
    前記目標物設定部により設定された少なくとも2つの目標物を通り、走行時の基準となる基準線を設定する基準線設定部と、
    前記基準線から車体までの距離を演算する距離演算部と、
    前記距離を予め設定された区画内を往復走行する際の走行経路に応じて予め設定された範囲内に維持しつつ、前記区画内において前記基準線に沿って往復走行させる走行制御部と、を備え、
    前記目標物設定部は、前記基準線から離れた位置を走行する際に設定された目標物間の夫々の距離を記憶しておき、前記基準線に近づいて走行する際には、現在の基準線に係る進行方向前側の目標物から、前記進行方向前側の目標物と前記進行方向前側の目標物よりも更に前方の目標物との間の前記記憶されている距離だけ離間した位置を含むように、上面視が所定の角度で広がった扇形形状の検出領域を設定し、当該検出領域内に存在する物体を新たな目標物として設定する自動走行車両。
  2. 予め設定された検出範囲に向けて検出信号を送信し、前記検出信号に対する反射信号を取得して、前記予め設定された検出範囲に存在する樹木及び支柱の少なくともいずれか一方を物体として検出する物体検出部と、
    前記物体検出部により検出された物体のうち、少なくとも2つの物体の位置に基づいて、当該少なくとも2つの物体を目標物として設定する目標物設定部と、
    前記目標物設定部により設定された少なくとも2つの目標物を通り、走行時の基準となる基準線を設定する基準線設定部と、
    前記基準線から車体までの距離を演算する距離演算部と、
    前記距離を予め設定された区画内を往復走行する際の走行経路に応じて予め設定された範囲内に維持しつつ、前記区画内において前記基準線に沿って往復走行させる走行制御部と、を備え、
    前記目標物設定部は、前記基準線から離れた位置を走行する際に設定された目標物間の夫々の距離を記憶しておき、前記基準線に近づいて走行する際には、現在の基準線に係る進行方向前側の目標物から、前記進行方向前側の目標物と前記進行方向前側の目標物よりも更に前方の目標物との間の前記記憶されている距離だけ離間した位置を含むように、上面視が所定の角度で広がった扇形形状の検出領域を設定し、当該検出領域内に存在する物体を新たな目標物として設定する自動走行車両。
  3. 現在の基準線に沿って走行している際に、前記現在の基準線と、前記現在の基準線の設定に用いた進行方向前側の目標物と前記進行方向前側の目標物よりも更に前方の物体とを結ぶ線とのなす角を演算する角度演算部を備え、
    前記目標物設定部は、前記検出領域の方向を前記なす角に基づいて変更する請求項1又は2に記載の自動走行車両。
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