JP2016065037A - 抗ウイルス剤の製法及び該製法によって得られた抗ウイルス剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】脂質の残存量が少なく、新型及び季節性のヒトインフルエンザウイルスやコロナウイルス及びノロウイルスに対して、抗ウイルス活性と免疫活性とが強化された、微細藻類から得られる抗ウイルス剤の製造方法及び該方法により得られる抗ウイルス剤の提供。【解決手段】上記ウイルスに対する高められた抗ウイルス活性を有する抗ウイルス剤の製法であって、微細藻類のコッコミクサ又はクロレラと、ベンゼン:メタノール(2:1)若しくは、エタノール、アセトン、ヘキサンからなる揮発性溶剤とを一緒にして超音波振とう、高圧ホモジナイズ、羽根攪拌のうち一つ又は複数を組み合わせて遠心分離を行なう脱脂操作を複数回行なう工程と、脱脂工程後に所要量の水を加え所要時間に亘って加熱し熱湯抽出する工程と、熱湯抽出物を遠心分離により固液分離した液層を濃縮し乾燥する工程とからなる抗ウイルス剤の製法。【選択図】なし

Description

本発明は、コッコミクサ藻体または緑藻類のクロレラより抽出した多糖体を用いて、ヒトインフルエンザウイルスやコロナウイルス等のエンベロープを有するウイルスに抗ウイルス活性を有する抗ウイルス剤の製法及び該製法によって得られた抗ウイルス剤に関するものである。
この種のコッコミクサ藻体より抽出した抗ウイルス剤としては、同一出願人に係る発明が公知になっている。この公知の抗ウイルス剤の抽出に用いたコッコミクサ藻体は、緑色植物門(Chlorophyta)、緑藻綱(Chlorophyceae)、クロロコッカム目(Chlorococcales)、クロロコッカム科(Chlorococcaceae)に属するコッコミクサ・ミノール(Coccomyxa minor)又はコッコミクサ・グロエオボトリディフォルミス(Coccomyxa gloeobotrydiformis)とする乾燥したコッコミクサ藻体にイオン交換水を加え、還流下で加熱抽出を行って得た抽出液を遠心分離し、上清を減圧濃縮して抽出物(CE)を得て、該抽出物を蒸留水による溶出画分し、および、蒸留水による溶出後の無機塩溶液による溶出画分した多糖体画分(CE−1、CE−2、CE−3)を有効成分とするものである(特許文献1)。
そして、この抗ウイルス剤は、Rib(リボース)、Gal(ガラクトース)、Gul(グルコース)、Rha(ラムノース)が主たる成分になっており、ヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、ヒトコロナウイルス等のRNA型ウイルスを主とし、DNA型ウイルスに対しても高い抗ウイルス活性を示すというものである。
また、緑藻類のクロレラまたはコッコミクサ藻体から抽出した酸性多糖よりなる抗癌性物質も公知になっている。微細藻類から酸性多糖を抽出するには、微細藻類を熱水に懸濁して抽出処理し、遠心分離によりエキス分とウエットストラッジに分離し、ウエットストラッジに水を加えて撹拌しながら、アルカリ性基材によりpHを10以上に調整してエキス分を抽出し、このエキス分を遠心分離し、分離したエキス分を撹拌しながらpHを3〜4に調整して酸性多糖の沈殿物を析出させて得られるものである(特許文献2)。
この酸性多糖よりなる抗癌性物質をマウスに投与して実験したところ、免疫の初期活性として、マクロファージ活性を有意に示し、中性多糖より活性能があることが明らかになり、また、マウスにMNU単独経口投与により30週で前胃偏平上皮癌の発生が見られたが、酸性多糖の抗癌性物質を投与することによって前胃偏平上皮癌の抑制効果が明らかになったとしている。
特開2006−247757号公報 特開2001−288102号公報
前記公知例の抗ウイルス剤においては、イオン交換水を加えて加熱抽出した抽出物を蒸留水で溶出画分を行ったもの、さらにその溶出したものを無機塩溶液で溶出画分したものであるが、加熱抽出時に得られる抽出物は、遠心分離した上清を減圧濃縮して得た抽出物であって、リボース、ガラクトース、グルコース、ラムノースが主たる成分になっており、脂質の除去を行っていないので高純度とはえいないのである。
また、前記酸性多糖よりなる抗癌性物質は、その成分については明確にしていないが、この種の微細藻類に含まれる多糖類はβ−グルカンが多いが、このβ−グルカンは、熱水で抽出される中性多糖であり、これには酸性多糖はほとんど含まれていないとしている。そのために、最初に90℃の熱水で抽出処理して中性可溶画分を除外し、次に70℃の熱水で撹拌処理しアルカリ性に調整してエキス分を抽出して分離し、分離したエキス分を別のタンクに移して撹拌しながら1N塩酸でpH4調整して酸性多糖の析出を起こさせ、析出した酸性多糖を回収するというものであり、その成分は不明であるが、あくまでも抗癌性物質の範囲である。
従って、公知の技術は熱水による抽出物が主体であるが、何故か新型及び季節性のヒトインフルエンザウイルスやコロナウイルス等のエンベロープを有するウイルスに対して、抗ウイルス活性を強化する効果が弱いので、その効果を高めること、即ち、不純物を取り除いて高純度の抽出物にすることに解決課題を有している。
本発明者等は、種々研究の結果、微細藻類のコッコミクサおよびクロレラより抽出された多糖体画分を有効成分とするものであるが、抽出の仕方によって抽出物の成分の相違と高純度にすること、および両者をミックスすることによって、抗ウイルス活性と免疫活性とを向上させる相乗効果を見出して本発明を完成するに至った。
本発明の第1の発明に係る抗ウイルス剤の製法は、エンベロープを有するA型ヒトインフルエンザウイルスやコロナウイルス、及びノロウイルスに対する抗ウイルス活性を有する抗ウイルス剤の製法であって、微細藻類のコッコミクサおよびクロレラを、ベンゼン:メタノール(2:1)もしくは、エタノール、アセトン、ヘキサンからなる揮発性溶剤を一緒にして超音波振とう、高圧ホモジナイズ、羽根攪拌のうち一つまたは複数を組み合わせて遠心分離を行なう脱脂操作を複数回行なう工程と、脱脂工程後に所要量の水を加え所要時間に亘って加熱し熱湯抽出する工程と、熱湯抽出物を遠心分離により固液分離した液層を濃縮し乾燥する工程とにより得られた多糖体からなることを特徴とするものである。
さらに、もう1つの抗ウイルス剤の製法は、前記第1の発明において、固液分離された固層に所要量の水と所要のアルカリ溶液とを加えてアルカリ性に調整し撹拌して抽出を行なう工程と、抽出を行なった後に遠心分離にて固液を分離して液層を回収する工程と、回収した液層に所要の酸性溶液を加えて酸性に調整し所要時間静置して沈殿物を生成させる工程と、該沈殿物を遠心分離して固形物として回収すると共に、回収された固形物の複数回洗浄操作を行なう工程と、洗浄後の沈殿物を凍結乾燥させる工程とからなることを特徴とするものである。
本発明の第2の発明に係る抗ウイルス剤は、前記請求項1乃至2のいずれかによって得られた微細藻類のコッコミクサまたはクロレラより抽出された多糖体画分を有効成分とするものであって、該有効成分中の大半の脂質が除去されたものであり、少なくとも新型(2009年新型)及び季節性のA型ヒトインフルエンザウイルスやコロナウイルス等のエンベロープを有するRNAウイルス、及びノロウイルスに対する抗ウイルス活性と免疫活性とを有することを特徴とするものである。
前記第2の発明に係る抗ウイルス剤は、前記コッコミクサ及びクロレラ多糖体を所要比率で配合したこと、を付加的な構成要件として含むものである。
本発明に係る製法の発明は、揮発性溶剤を使用して超音波振とう、高圧ホモジナイズ、羽根攪拌等のうち一つまたは複数の組み合わせを行うことによって、成分中の脂質を除去し易くすると共に、繰り返しの脂質除去工程を行うことによって大半の脂質が除去できるのであり、純度の高い抽出物を得ることができ、新型及び季節性のA型ヒトインフルエンザウイルスやコロナウイルス等のエンベロープを有するウイルスに対する高い抗ウイルス活性を有するので、例えば、健康食品の補助剤または飼料、医薬品、或いは消毒剤として使用できるという優れた効果を奏する。
更に、本発明に係る抗ウイルス剤は、微細藻類のコッコミクサまたはクロレラより抽出された多糖体画分を有効成分とするものであって、両者を所要比率で配合することにより、新型及び季節性のA型ヒトインフルエンザウイルスやコロナウイルス等のエンベロープを有するウイルスまたはエンベロープを有しないノロウイルスに対する高い抗ウイルス活性と免疫活性とを有するという優れた効果を奏する。
(1)図は、本発明に係るコッコミクサ多糖体の試験において、赤血球凝集試験の手順を示す説明図であり、(2)図は赤血球凝集試験の原理を解り易く略示的に示した説明図である。 本発明に係るコッコミクサ多糖体の細胞毒性(傷害性)試験において、高濃度の範囲まで細胞毒性(傷害性)が全くないことを示すグラフである。 本発明に係るコッコミクサ多糖体の試験に供した新型インフルエンザおよび現在流行中の季節性インフルエンザそれぞれのウイルス株に対する増殖阻害効果を示したグラフである。 ヒトA型インフルエンザウイルスの全て(3つ)の亜型への有効性を検討するために、3種類の古典的インフルエンザウイルス株を使用し、コッコミクサ多糖体の増殖阻害効果を調べたグラフである。 本発明に係るコッコミクサ多糖体の試験に供した一般的に風邪と言われるパラインフルエンザウイルス増殖抑制評価を示すグラフである。 本発明に係るコッコミクサ多糖体の添加時間による抗ウイルス効果への影響を調べるために、ウイルス感染過程の様々な時間に抗ウイルス剤を添加した、その添加、存在時間を示した図である。 同コッコミクサ多糖体の添加、存在時間による抗ウイルス効果への影響をMDCK細胞の細胞傷害度で評価したグラフである。 同コッコミクサ多糖体の添加、存在時間による抗ウイルス効果への影響を生成ウイルス量、即ちHAテストで評価したグラフである。 同コッコミクサ多糖体の濃度による動物(マウス)パラインフルエンザウイルス増殖抑制率評価を示すグラフである。 同コッコミクサ多糖体に係るマウス鼻腔内噴射による動物パラインフルエンザの肺感染炎症抑制評価を示すグラフである。 同コッコミクサ多糖体とインフルエンザウイルスの相互作用によるHA活性の阻害機序を解り易く示した説明図である。 インフルエンザワクチン、既存の抗ウイルス剤の阻害機序を解り易く模擬的に示した説明図である。 同コッコミクサ多糖体における動物(マウス)ノロウイルス増殖抑制評価を示すグラフである。 本発明に係るクロレラ多糖体による、(A)はTLR2を介した活性試験結果と、(B)はTLR4を介した活性試験とを示すグラフである。 同クロレラ多糖体と自然免疫受容体リガンドと、(A)はTFN−αの比較し、(B)はIL−6の比較例をそれぞれ示したグラフである。 同クロレラ多糖体と自然免疫受容体リガンドとのNO産生誘導を比較したグラフである。
本発明に係る抗ウイルス剤の原料としては、微細藻類の一種である乾燥したコッコミクサ藻体または緑藻類のクロレラが用いられる。なお、抽出の仕方や処理においては両者とも同じに行うので、その一方の藻体について説明する。
この乾燥したコッコミクサ藻体を揮発性の溶剤と一緒に超音波振とう、高圧ホモジナイズ、羽根攪拌等のうち一つまたは複数を組み合わせて遠心分離を行なうと共に、この操作を複数回行って大半の脂質を脱脂し、その後、所要時間に亘り熱湯抽出し、該熱湯抽出物を遠心分離により固液分離し、分離した液層を濃縮し凍結乾燥して第1の発明に係る中性の熱水抽出物を得る。
さらに、上記分離して得られた固層に所要量の水を加え、アルカリ性に調整し所要時間撹拌して抽出を行ない、遠心分離にて液層を回収し、該回収した液層を酸性に調整し低温にて所要時間静置して沈殿物を生成させ、該沈殿物を遠心分離して固形物として回収し、複数回の洗浄操作を行なって、もう1つの実施の形態に係るアルカリ抽出物を得る。得られた抽出物は揮発性溶剤で複数回の脱脂操作を行った後、凍結乾燥するものである。
[実施例等]
次に、実施例及び試験例により本発明を更に詳細に且つ具体的に説明する。
[コッコミクサまたはクロレラの水溶性多糖体の抽出方法]
乾燥したコッコミクサ藻体(または緑藻類のクロレラ)2gに100mlのベンゼン:メタノール(2:1)からなる揮発性溶剤を入れ、超音波処理を10分行った後、50℃に加温した状態で3時間振とう及び遠心分離を行なった後に、同様の揮発性溶剤、即ち、ベンゼン:メタノール(2:1)を100ml入れて脱脂操作を少なくとも3回繰り返して行ない、遠心分離により溶剤を除去する。
この脱脂後のパウダー状になったものに100mlの水を加え、90℃に加熱して3時間撹拌抽出した。所要時間保冷後に遠心分離(3000rpm)を行って固液分離した。分離して回収した液層は濃縮し、該濃縮液を凍結乾燥して中性多糖体(推定)の乾燥粉末を得た。コッコミクサ多糖類であるCoccomyxa Polysaccharidesまたはクロレラ多糖類であるChlorella Polysaccharides(CmPS)は、中性多糖体(NPS)及び酸性多糖体(APS)が確認されており、特に、中性多糖体(NPS)はヘルペスウイルス、コロナウイルス、HIVの増殖抑制効果が確認されている。そして、乾燥粉末の中性多糖体、つまり、コッコミクサまたはクロレラから略0.26gの熱水抽出物(CmNE)を得た。
凍結乾燥物をPBSに溶解し、除タンパク及び脂質除去を行なった後透析チューブにて透析し、透析チューブ内試料を凍結乾燥した。
なお、複数回の脱脂処理を行うことによって有効成分中の大半の脂質が除去される。
[コッコミクサまたはクロレラのアルカリ抽出多糖体の抽出方法]
前記水溶性多糖体の抽出工程で遠心分離後に得られた固層(含水率75%)に水1Lを加え、所要のアルカリ溶液、例えば、10%KOHにてpH9〜11に調整した。調整した液を60℃に加温して30分間撹拌抽出を行なった。所要時間保冷後に遠心分離(15000rpm)し液層を回収した。回収した液に所要の酸性溶液、例えば、10%HClを添加しpH4に調整し浮遊物を確認した後、沈殿物を得るために4℃で12時間静置した。沈殿物は遠心分離(15000rpm)し固形物として回収した。この固形物の回収操作、即ち、加水、撹拌洗浄、遠心分離を3回繰り返して得られた洗浄後の沈殿物を凍結乾燥し、酸性多糖体(推定)を得た。つまり、コッコミクサまたはクロレラから略0.1gのアルカリ抽出物(CmAE)を得た。
その後、凍結乾燥物をPBSに溶解し、除タンパク及び脂質除去を行なった後透析チューブにて透析し、透析チューブ内試料を凍結乾燥した。
乾燥物を、Tris-HClに懸濁し、クロロホルム:メタノールで脱脂処理を行った後、DEAEカラムにて分画処理した。
抽出物の有効成分は、コッコミクサから得られた多糖体は、ラムノース、ガラクトース、マンノース、グルコース、キシロース、N-アセチルグルコサミン、フコース等であり、少量のリボースを含む脱脂された純度の高い多糖体である。
また、クロレラから得られた多糖体は、ラムノース、ガラクトース、マンノース、グルコース、N-アセチルグルコサミン、アラビノース、リボース等である。
抽出されたクロレラ多糖体(CmPS)は、自然免疫活性の働きを有し、コッコミクサ多糖体及びクロレラ多糖体は、抗ウイルス作用(活性)を有するため、コッコミクサ多糖体とクロレラ多糖体とをミックス(混合)することにより、両者の糖組成における特性を生かした相乗効果によって免疫活性と抗ウイルス作用(活性)とを増強させることができたのである。
そこで、コッコミクサ多糖体の特性である抗ウイルス作用と、クロレラ多糖体の特性である免疫活性とについて説明する。
[試験]
検体として、まず、本発明で得たコッコミクサ抽出物(CmAE)を用いて、抗インフルエンザウイルス活性を検証した。そのアルカリ抽出物をDPBS(-)で高濃度(10mg/ml)溶液を調整し、該溶液を段階的に希釈することで試験した。
ウイルス株について:
試験のために入手したA型ヒトインフルエンザウイルス(IFV)については、第1グループとして、2009年新型及び現在流行中の季節性インフルエンザウイルスと、第2グループとして過去に流行した季節性インフルエンザウイルスとに分けられる。
第1グループ:
A/California/07/2009(H1N1)pdm : H1N1亜型(2009年新型)
A/Narita/1/2009(H1N1)pdm : H1N1亜型(2009年新型)
A/Brisbane/59/2007(H1N1) : H1N1亜型(流行中の季節性)
A/Uruguai/716/2007(H3N2) : H3N2亜型(流行中の季節性)
第2グループ:
1)A/WSN/1933/H1N1 : H1N1亜型(古典的な季節性)
2)A/USSR/1977/H1N1 : H1N1亜型(古典的な季節性)
3)A/Adachi/1957/H2N2 : H2N2亜型(古典的な季節性)
4) A/Aichi/1968/H3N2 : H3N2亜型(古典的な季節性)
細胞株として:
インフルエンザウイルス(IFV)の感染実験で繁用される成犬の腎臓から樹立された上皮様細胞株であるMDCK(Mardin-Darby canine kindney )細胞と、マウス肺によるパラインフルエンザウイルスに対するin vitro評価を行った。使用した犬の腎臓細胞は10%FBSを含むDMEM液体培地で37℃、5%COで継代培養したものを使用し、マウス肺については、1匹分の肺を1mlの培養液MEMに懸濁後ホモジナイザーにて粉砕し、感染価を評価した。
また、インフルエンザと同様に集団感染が問題となり、食中毒型風邪ウイルスと言われるノロウイルスに対する有用性の評価についても検討した。
細胞傷害性試験:
MDCK細胞を96well plate(ウェルプレート)へ播種し、12時間培養して細胞を吸着させた後、新鮮なMEM−10%FBSに培地交換した。その際、高濃度に調整したアルカリ抽出物の溶液を各終濃度になるように添加した。溶液添加後、37℃の5%COインキュベーターで48時間培養した時点で終濃度500μg/mlとなるようMTTを添加し、同条件のインキュベーター内で3時間培養し色素を取り込ませた。その後、色素を含む培地を取り除き、DMSO(100μl/well)を加え沈殿を溶解し570nmの吸光度を測定した。予め作成しておいた検量線を元に細胞のviabiltyを決定した。
抗ウイルス活性の測定:
48well plate(ウェルプレート) に培養したMDCK細胞を前記アルカリ抽出物の溶液(10−2000μg/ml)で2時間処理後、6PFU(プラーク形成単位)/細胞でインフルエンザウイルスを感染させ、感染48時間後に収穫した。ウイルス量は鶏赤血球凝集試験(HA test)にて測定し、赤血球濃度からウイルス粒子数を換算し、増殖阻止活性を評価した。
赤血球凝集試験(HA test)の手順:
図1(1)に示したように、96ウェルを12列8行(A〜H)に整列して並べて、
各ウェルに生理食塩水を50μlずつ添加する。
前記第1と第2グループの8種類の各ウイルスサンプル液50μlを採って、第1列Aから順にH行まで添加する。第1列のウェルA〜Hだけが計100μlとなる。
2倍段階希釈:第1列の各ウェルの溶液をピペッティングにより混和した後、50μlだけ吸い取り、これを次の第2列のウェルに加える。第2列のウェルが100μlになるが、第1列と同様にピペッティングで混和した後、50μlだけ吸い取りこれを次の第3列のウェルに加える。この操作を第3列以降のウェルについても順次行うことにより、2倍段階希釈列を作成する。
1%鶏赤血球を50μlずつ第12列から第1列まで加える。AからH行全てについて行なう。
血球凝集を起こしたサンプル希釈液の最大希釈倍数をもってそのサンプル原液のHA価(血球凝集価)とする。
赤血球凝集試験(HA test)の原理については、図1(2)に示したように、赤血球の数とウイルスの数とによって、赤血球が凝集する状態を理解し易いように示したものであり、第7列目まではウイルスの数が勝って凝集しており、第8列目も赤血球の数とウイルスの数とが同数でかろうじて凝集し、第9列目以降は赤血球の数が多いので凝集しないことを示している。そして、結果の解釈としては、次のとおりである。
HA価(血球凝集価):血球凝集を起こしたサンプル希釈液の最大希釈倍数をもってそのサンプル原液のHA価とする。
即ち、上記のHA価は、2=256となる。
1%cRBC=(1×10 cells/ml)を使用して上記結果を得た場合、サンプル原液のウイルス濃度は、2×(1×10)=256×10=2.6×10粒子/mlとなる。
前記細胞傷害試験において、アルカリ抽出物(CmAE)は、図2に示したように、4000μg/mlまで全く細胞毒性を示さなかった。また、熱水抽出物(CmNE)についても同様の試験(データは示していない)を行なったが、アルカリ抽出物と同様に細胞毒性は無かった。
また、アルカリ抽出物(CmAE)は、図3及び図4に示したように、第1及び第2グループの各ヒトインフルエンザウイルス(IFV)に対して、10μg/ml以上で有意な抗ウイルス活性を示し、100μg/ml以上で未処理の1/100以下にウイルス増殖を抑制したことが明確になった。また、熱水抽出物(CmNE)についてもほぼ同等の抗ウイルス活性(データは示していない)が認められた。
さらに、NPS及びAPSのマウスパラインフルエンザウイルス(SeV)に対する抗ウイルス効果を評価した結果は、図5に示したように、100μg/ml以上で有意なウイルス増殖抑制が認められた。なお、CmPS100μg/mlのウイルス増殖抑制は、国際単位のIFN−α、10IU/mlに相当する。
さらに、アルカリ抽出物(CmAE)の抗ウイルス効果の作用機序を調べるために、抽出物の添加時間(time of addition)のウイルス増殖への影響を次のI〜Vに従って調べた。
I. MDCK細胞をCmAEでウイルス感染前に3時間処理した場合。
II. ウイルス感染中のみにCmAEが培地中に存在した場合。
III. ウイルス感染中から48時間後にCmAEが存在した場合。
IV. 感染処理後3時間以降にCmAEが培地中に存在した場合。
V. 感染処理後6時間以降にCmAEが倍地中に存在した場合。
図6は、ウイルス感染に対するCmAEの添加時間による有効性を示したもので、ウイルス感染時を-1hpiとした場合(-1hpiで吸着開始し0hpiで侵入開始)に、I.感染3時間前に添加し感染時に除去、II.感染時に添加し1時間後に除去、III.感染時に添加しその後ずっと存在、IV.感染4時間後に添加しその後ずっと存在、V.感染7時間後に添加しその後ずっと存在、の条件で実験した。そして、IFVの増殖過程をMDCK細胞の細胞障害度、つまり、ウイルスの細胞傷害活性で評価したところ、図7に示したように、ウイルスの侵入時にアルカリ抽出物が存在することによって、血球(細胞)へのウイルス吸着がなされないこと、即ち、抗ウイルス活性を示すことが明らかになった。
次に、HAテストでアルカリ抽出物の添加時間におけるウイルス増殖への影響を培養液中に回収されるウイルス量で評価したところ、図7に示したように、前記II.とIII.のウイルス吸着、ウイルス侵入時に加えて、前記IV.とV.のウイルス吸着及びウイルス侵入後であっても、アルカリ抽出物が存在することによって、ウイルスの増殖が抑制され続け、回収時まで存在しているとその間抗ウイルス効果を示すことが判明した。
図7と図8の結果の相違はCmAEに赤血球凝集を抑制する効果があると推定されたので、アルカリ抽出物のインフルエンザウイルス(IFV)の鶏赤血球凝集活性(HA活性)への影響を調べたところ、鶏赤血球(cRBC)とIFVを混合する際に、CmAEを添加すると濃度依存性にインフルエンザウイルスの鶏赤血球凝集活性を抑制することが明らかになった。
また、同様にマウスモデルでの増殖抑制評価を行った。
細胞評価において、CmPSがウイルスと同時に存在し接触していることが重要と考えられるため、ウイルス感染前にウイルス懸濁液と混和させてから経鼻摂取した。試験試料は、微細藻類のコッコミクサを熱水にて抽出した抽出液を乾燥させた粉末NPSをデキストランにて10%及び1%に調整した。供試ウイルスは、mouse parainfluenza virus type1 Z strain 別名Sendai Virus type1 Z(SeV)を用い、供試マウスは、3週齢ICR雄マウスを1群3〜4匹に群分けして用いた。SeV懸濁液500μl(2×10感染ウイルス粒子)と、NPS2mg、0.2mg/ml、0.02mg/ml溶液500μlとを混和し、室温に30分間放置後、50μl(1×10ウイルス粒子相当)をマウスに経鼻摂取させた。
試験群は、次のA〜Fの6群に分け、NPS濃度におけるウイルス増殖率を観察した。
A:SeV+PBS
B:SeV+NPS 50μg(1mg/ml NPS)
C:SeV+NPS 5μg(0.1mg/ml NPS)
D:SeV+NPS 0.5μg(0.01mg/ml NPS)
E:1mg/ml NPS
F:PBS
感染3日後にマウス肺を摘出し、1匹分の肺を1mlの培養液MEMに懸濁後ホモジナイザーにて粉砕し、感染価を評価した。
結果として、図9に示したように、1×10 のウイルスをマウスに経鼻感染させ、NPSの有無及び濃度による感染の減少で評価すると、SeV+NPS50μg摂取群は、SeV+PBSと比較して1/100に減少することを示した。また、NPS5μg摂取群では約1/5に減少したが、NPS0.5μgでは有効性が見られなかった。さらに、図10に示したように、肺の炎症の重症度もSEVの増殖程度に相関していた。そして、NPSのみの経鼻摂取においての肺の炎症は見られなかった。
これらの結果により、NPSは肺への炎症性がなく、濃度依存的にSeVの感染及び増殖を抑制する働きがあることが確認された。
図11は、CmPSまたはCmAEの赤血球凝集抑制機構の推定図であって、IFVは自身のHA蛋白質によって鶏赤血球(cRBC)表面のシアロ糖鎖と次々に結合しIFV−cRBCネットワークを形成することによって赤血球凝集を起こすのである。しかし、その際に、CmAEが存在するとIFVとcRBCの相互作用を何らかの要因でネットワーク形成を阻害するために赤血球凝集を抑制すると考えられる。
一般に、インフルエンザウイルス(IFV)は、図12に示すように、自身のHA(赤血球凝集素)タンパク質によって、動物細胞表面のシアロ糖鎖と結合して細胞に吸着後、細胞内に侵入して増殖を開始する。この活性は鶏赤血球(cRBC)においては、インフルエンザウイルスと鶏赤血球との凝集体(集合体)を形成する鶏赤血球凝集活性(HA活性)に置き換えられると推定される。つまり、抗ウイルス剤は、IFVが受容体に結合し細胞に吸着・侵入する過程を阻害し抗ウイルス効果を発揮すると考えられる。
今回の実験結果からして、CmPSまたはCmAEの有する赤血球凝集抑制効果から、CmAEの抗ウイルス効果はIFVのHA蛋白質と細胞のシアロ糖鎖の相互作用を何らかの機構で阻害するために細胞内へのエントリーを阻止することによって発揮されたと考えられる。
以上の結果から、CmPSまたはCmAEが予め存在すれば、IFVの細胞への侵入を阻止できるし、IFVの増殖時に存在しても、放出された仔ウイルスの新たな未感染細胞への感染を阻止できるため、予防・治療の両方に使用可能であると考えられる。
さらに、微細藻類のコッコミクサからの抽出物(CmPS)がノロウイルスに対する有用性の評価について、気道や呼吸器以外で腸に感染し、未だに各種薬剤に対する効果が十分見られていない食中毒型風邪ウイルスに対する有用性を検討するために、マウスノロウイルス(MNV)感染に対する増殖抑制効果の検討を行った。
ヒトノロウイルス(HuNoV)に形態学的にも遺伝学的にも類似し細胞培養が可能なウイルスの中で、HuNoVに最も近縁なウイルスであることから、代替えウイルスとして注目を集めているマウスノロウイルスを用いてNPSのウイルス増殖抑制効果を評価した。
供試ウイルスは、マウスノロウイルス(MNV:ATCC)を用い、培養細胞はRAW264.7細胞を用いた。
96穴プレートに10Cells/well播種し、37℃にて3時間培養を行った後にNPSにて処理し、MNV感染を行った。
それぞれのサンプルを10mg/mlに加熱溶解後フィルター滅菌し、サンプル溶液とした。このサンプル溶液を用いて、RAW264.7細胞を最終濃度5μg〜300μgになるように処理した後、MNV感染を行った。
感染力価の評価方法としては、RAW264.7細胞を用いてTissue Culture infection Dose50%(TCID50)法にて感染力価を評定した。
結果として、図13に示したように、NPS濃度20μg/ml以上で、対照のSeV+PBSに比較しウイルス濃度を約65%減少させる有意なSeV増殖抑制作用を示した。
この結果により、NPSは、マウスノロウイルス(MNV)に対して増殖を抑制する効果があることが判明したのである。
また、本発明の抗ウイルス剤、即ち、コッコミクサから得られた抽出物(CmPS)がコロナウイルスに対する抗ウイルス活性の評価について、ヒト胎児肺由来のMRC−5細胞を宿主細胞として用いた。
このMRC−5細胞を48穴プレートに培養し、0.001TCID50(50%培養細胞感染量)/細胞で感染後、前記抗ウイルス剤(CE及びCE−1〜CE−3)の0.8〜500μg/mlの存在下で処理した。3日後に収穫して、この検体を適宜希釈して、96穴プレートに別に用意したMRC−5細胞に感染させ、5日間培養する。細胞変性効果(CPE)の有無を判定して、Reed−Muench法によって、50%CPE阻止濃度(IC50)を算出した。また、96穴プレートに別に用意したMRC−5細胞を培養すると同時に抗ウイルス剤を添加し、抗ウイルス剤の無添加MRC−5細胞数を100%とした時の増殖率をそれぞれ求め、50%細胞増殖阻止濃度(CC50)を算出した。
次に、CC50/IC50 の値を計算して、抗ウイルス活性の強弱を比較した。この数値が大きいほど選択的なウイルス増殖阻害効果が強いといえる。その結果(コロナウイルスに対する抗ウイルス活性)を下記表に示す。
なお、コロナウイルスを細胞に感染させると同時に抽出物(抗ウイルス剤)を添加したA区及び、細胞に感染させた後に抽出物(抗ウイルス剤)を添加したB区において、その増殖制御を50%ウイルス阻止濃度(CC50)及び細胞変性効果(OPE)の有無の判定により50%CPE阻止濃度(IC50)を算出し、その選択指数(CC50/IC50 )値より、ウイルス増殖抑制活性を評価した。
[表]コロナウイルスに対する抗ウイルス活性
Figure 2016065037
前記表からして、選択指数が10以上であれば抗ウイルス活性があると判断できる。その結果、コロナウイルスに対するコッコミクサ多糖体の抗ウイルス活性が高いことが確認されたのである。
次に、クロレラ多糖体における自然免疫活性について調べた。マクロファージは、ウイルスなどの感染を認識し炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-6等)や一酸化窒素(NO)を産生することで自然免疫を活性化させる。クロレラ多糖体は、図14に示したように、TLR2およびTLR4を発現させることで、図15に示したように、TNF-α、IL-6のサイトカインを産生すると共に、図16に示したように、一酸化窒素(NO)を産生誘導し自然免疫を活性化させた。
培養細胞:
マウス由来マクロファージ様細胞株(RAW264)は、37℃、5%CO 存在下で、5%ウシ胎児血清(FBS)を加えたRPMI−1640培地にて90mmのセディカルチャーディッシュにて培養した。ディッシュからスクレイパーを使用して細胞を剥離し、培養液を加え均一な細胞懸濁液として96ウェルプレートに播種し、実験に使用した。
マウス由来マクロファージ様細胞J774は、37℃、5%CO 存在下で、5%ウシ胎児血清(FBS)を加えたRPMI−1640培地にて75ml細胞培養フラスコに培養した。実験に使用する時は、セルスクレイパーで剥離し溶液を遠心分離後に除去し、培地を加え均一な細胞懸濁液として96ウェルプレートに播種した。
クロレラ多糖体のTLR(トール様受容体)活性測定:
TLRを発現していないHEK293細胞(ヒト胎児腎細胞)に、TLR−2、TLR−4の発現プラスミドと転写因子としてNF−κBのルシフェラーゼレポーター遺伝子を導入し、クロレラ多糖体を添加して刺激した。24時間後に細胞内に発現したレポーター遺伝子をルシフェラーゼアッセイにて測定した。その結果、図14に示したように、クロレラ多糖体は、TLR−2のリガンドであるPam3CSK4 に比べてやや低値であるが、ASP(クロレラ多糖体)APS−DEAE(クロレラ多糖体精製物)とも、リガンドとして働きTLR−2活性が見られた。また、TLR−4では、リガンドであるLPSに比べクロレラ多糖体およびその精製物が低値であるが、リガンドとして働き、その活性が認められた。
サイトカイン産生に及ぼすクロレラ多糖体の生理活性測定:
RAW264細胞を96ウェルプレートにて培養し、培養液にクロレラ多糖体を添加して、24時間後の培養上清中の炎症性サイトカインTNF−α及びIL−6をエリーサ法にて定量した。その結果、図15に示したように、サイトカインTNF−α及びIL−6産生の比較を行ったところ各種クロレラ多糖体は濃度依存的にサイトカイン産生を誘導した。
NO(一酸化窒素)測定:
1ウェル当たり2×10 個のRAW264またはJ774細胞を96ウェルプレートに播種し、37℃、5%CO 存在下にて一晩培養し、翌日クロレラ多糖体及びTLRリガンドを含んだ培養液に交換し、37℃、5%CO 存在下で24時間培養し、その上清中のNO−の量をNO産生量としてグリース法にて測定した。グリース法は、NOが酸化されて生ずるNO−をナフチルニチレンジアミン溶液N−(1−ナフチル)エチレンジアミン二塩酸塩と反応させ生成したアゾ化合物の吸収度を測定する方法で、グリース試薬100μlを、培養上清100μlに加え室温で10分間インキュベートした後540mmの吸光度を測定した。
なお、KNO溶液を標準液とし同様の測定方法から検量線を作成し、NO−の濃度を決定した。その結果、図16に示したように、自然免疫受容体リガンドであるLPSでのNO(一酸化窒素)生成誘導を比較すると、各クロレラ多糖体は、濃度依存的にNO産生を誘発した。
以上説明したように、クロレラ中性多糖体100μg/mlでのNO産生量が約23μMであるが、同条件でコッコミクサ中性多糖体のNO産生量を比べると100μg/mlで約45μMであったことから、配合(ミックス)の目安として、コッコミクサ多糖体は、2倍量のクロレラ多糖体に匹敵する免疫活性の有用性があると認められる。なお、抗ウイルス活性については、クロレラ多糖体とコッコミクサ多糖体とは、どちらも同濃度(100μg/ml)での有効性が示されている。従って、コッコミクサ多糖体とクロレラ多糖体とを、それぞれ単独で使用しても、抗ウイルス活性を有する抗ウイルス剤として使用できるが、両者を所要の配合比、例えば、2:1〜1:2の範囲でミックスすることによって、両者の特性である相乗効果によって、抗ウイルス活性と免疫活性とを有する抗ウイルス剤が提供できるのである。
本発明に係るコッコミクサ多糖体またはクロレラ多糖体は、それぞれ単独でも、インフルエンザウイルス(IFV)の細胞へのエントリーという最も基本的なステップを阻害するため、実験に供したウイルス株だけでなく、他のウイルスに対しても抗ウイルス効果を奏する可能性が考えられる。例えば、同様のステップを辿るパラインフルエンザウイルス、ムンプウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、SARSウイルス、コロナウイルス、ヘルペスウイルス、HIVウイルス、C型肝炎ウイルスまたはノロウイルス等にも有効に抗ウイルス効果を発揮するものと考えられ、さらには鳥インフルエンザウイルスや、PEDウイルス等の家畜に感染するウイルス等にも抗ウイルス効果が発揮されると考えられるので、健康食品または医薬品や飼料、消毒剤として広く利用できるのである。
また、本願発明に係るコッコミクサ多糖体またはクロレラ多糖体を所要の配合比でミックスすることによって、両者の特性による相乗効果により抗ウイルス作用と免疫活性の強化が増大した抗ウイルス剤が提供できるのである。
さらに、コッコミクサ多糖体またはクロレラ多糖体は、抽出物中の脂質除去による抗ウイルス効果について、IFVはエンベロープ(外套)という脂質をまとった構造物であり、該エンベロープという脂質と好んで相互作用するように、抽出物中の抗IFV活性物質における脂質をできるだけ多く除去しておくことで、両者間の相互作用がより有効に活性化するのであり、また、IFV以外の脂質にも作用するはずであるから、他のウイルスにも有効に作用すると考えられる。さらに、エンベロープを持たないウイルスに対しても、有効に作用するのであるから、広い範囲のウイルスに対しても有効に抗ウイルス効果を発揮するものである。
なし

Claims (4)

  1. エンベロープを有するA型ヒトインフルエンザウイルスやコロナウイルス、及びノロウイルスに対する抗ウイルス活性を有する抗ウイルス剤の製法であって、
    微細藻類のコッコミクサまたはクロレラと、ベンゼン:メタノール(2:1)もしくは、エタノール、アセトン、ヘキサンからなる揮発性溶剤とを一緒にして超音波振とう、高圧ホモジナイズ、羽根攪拌のうち一つまたは複数を組み合わせて遠心分離を行なう脱脂操作を複数回行なう工程と、
    脱脂工程後に所要量の水を加え所要時間に亘って加熱し熱湯抽出する工程と、
    熱湯抽出物を遠心分離により固液分離した液層を濃縮し乾燥する工程とからなること
    を特徴とする抗ウイルス剤の製法。
  2. 前記請求項1で固液分離された固層に所要量の水と所要のアルカリ溶液とを加えてアルカリ性に調整し撹拌して抽出を行なう工程と、
    抽出を行なった後に遠心分離にて固液を分離して液層を回収する工程と、
    回収した液層に所要の酸性溶液を加えて酸性に調整し所要時間静置して沈殿物を生成させる工程と、
    該沈殿物を遠心分離して固形物として回収すると共に、回収された固形物を複数回洗浄操作を行なう工程と、
    洗浄後の沈殿物を凍結乾燥させる工程とからなること
    を特徴とする抗ウイルス剤の製法。
  3. 前記請求項1乃至2のいずれかによって得られた微細藻類のコッコミクサまたはクロレラより抽出された多糖体画分を有効成分とするものであって、
    該有効成分中の大半の脂質が除去されたものであり、少なくとも新型(2009年新型)及び季節性のA型ヒトインフルエンザウイルスやコロナウイルス等のエンベロープを有するRNAウイルス、及びノロウイルスに対する抗ウイルス活性と免疫活性とを有すること
    を特徴とする抗ウイルス剤。
  4. 前記コッコミクサ及びクロレラ多糖体を所要比率で配合したこと
    を特徴とする請求項3に記載の抗ウイルス剤。
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