JP2016062819A - シールド電線の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】縦添え金属樹脂テープの重なり部分を、手間をかけずに確実に接着することが可能な、シールド電線の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るシールド電線の製造方法は、導体11に絶縁樹脂12を被覆した絶縁コアの周囲に金属樹脂テープ13を縦添えし、その周囲に他の導体を編組したシールド層14を被せたシールド電線の製造方法であり、金属樹脂テープ13の周囲にシールド層14を被せるシールド施工工程と、上記シールド施工工程後の生成物をボビンに巻き取る巻取工程と、上記生成物が巻き取られたボビンを70℃以上、90℃以下の環境下に置くことで、金属樹脂テープ13の内周側に塗布された熱可塑性接着剤を溶かして金属樹脂テープ13の重なり部分を接着する接着工程と、を有する。
【選択図】図1A
【解決手段】本発明に係るシールド電線の製造方法は、導体11に絶縁樹脂12を被覆した絶縁コアの周囲に金属樹脂テープ13を縦添えし、その周囲に他の導体を編組したシールド層14を被せたシールド電線の製造方法であり、金属樹脂テープ13の周囲にシールド層14を被せるシールド施工工程と、上記シールド施工工程後の生成物をボビンに巻き取る巻取工程と、上記生成物が巻き取られたボビンを70℃以上、90℃以下の環境下に置くことで、金属樹脂テープ13の内周側に塗布された熱可塑性接着剤を溶かして金属樹脂テープ13の重なり部分を接着する接着工程と、を有する。
【選択図】図1A
Description
本発明は、絶縁コアの周囲に金属樹脂テープを縦添えし、その周囲に導体を編組したシールド層を被せたシールド電線の製造方法に関する。
従来、電子機器に用いられる電線には、外部からのノイズの侵入や、外部へ放射するノイズをカットするために、外被である絶縁シースの内側に、シールド層が設けられたシールド電線が使用されている。このシールド層としては、例えば、断面円形金属線である素線を多数本、編んで形成された編組シールドがある。
特許文献1には、発砲絶縁体の上に金属樹脂テープをフォーミングするに際し、その金属樹脂テープの金属側とは反対の面に熱可塑性接着剤を塗布しておき、局部加熱で接着させ、そのまま編組する方法(タンデム製法と呼ぶ)が開示されている。また、特許文献1には、編組、加熱、及び熱融着を同時に行う方法についても開示されている。
ところで、金属樹脂テープを縦添えして巻き状態を保持するためには、金属樹脂テープの一面にある熱可塑性接着剤で、金属樹脂テープが重なった部分を接着する必要があり、その接着のためには重なり部分を押し付ける必要がある。金属樹脂テープの上に金属線を編組する場合は、編組で金属樹脂テープを押し付けることができる。
しかしながら、特許文献1に記載のタンデム製法では、編組の前に接着剤の温度が下がってしまうので、編組で押さえ付ける時にはもはや金属樹脂テープは接着されず、接着が不十分となってしまうことがある。また、編組、加熱、及び熱融着を同時に行う方法では、編組機を高温下に置くことになり、編組機の部品が熱によって著しく劣化するため、この方法は現実的に採用することはできない。
本発明は、上述のような実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、縦添え金属樹脂テープの重なり部分を、手間をかけずに確実に接着することが可能な、シールド電線の製造方法を提供することにある。
本発明に係るシールド電線の製造方法は、導体に絶縁樹脂を被覆した絶縁コアの周囲に金属樹脂テープを縦添えし、その周囲に他の導体を編組したシールド層を被せたシールド電線の製造方法であって、上記金属樹脂テープの周囲に上記シールド層を被せるシールド施工工程と、上記シールド施工工程後の生成物をボビンに巻き取る巻取工程と、上記生成物が巻き取られたボビンを70℃以上、90℃以下の環境下に置くことで、上記金属樹脂テープの内周側に塗布された熱可塑性接着剤を溶かして上記金属樹脂テープの重なり部分を接着する接着工程と、を有するようにしたものである。
本発明によれば、シールド電線を製造するに際し、縦添え金属樹脂テープの重なり部分を、手間をかけずに確実に接着することができる。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明に係るシールド電線の製造方法は、導体に絶縁樹脂を被覆した絶縁コアの周囲に金属樹脂テープを縦添えし、その周囲に他の導体を編組したシールド層を被せたシールド電線の製造方法であって、上記金属樹脂テープの周囲に上記シールド層を被せるシールド施工工程と、上記シールド施工工程後の生成物をボビンに巻き取る巻取工程と、上記生成物が巻き取られたボビンを70℃以上、90℃以下の環境下に置くことで、上記金属樹脂テープの内周側に塗布された熱可塑性接着剤を溶かして上記金属樹脂テープの重なり部分を接着する接着工程と、を有するようにしたものである。これにより、シールド電線を製造するに際し、縦添え金属樹脂テープの重なり部分を、手間をかけずに確実に接着することができる。
最初に本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明に係るシールド電線の製造方法は、導体に絶縁樹脂を被覆した絶縁コアの周囲に金属樹脂テープを縦添えし、その周囲に他の導体を編組したシールド層を被せたシールド電線の製造方法であって、上記金属樹脂テープの周囲に上記シールド層を被せるシールド施工工程と、上記シールド施工工程後の生成物をボビンに巻き取る巻取工程と、上記生成物が巻き取られたボビンを70℃以上、90℃以下の環境下に置くことで、上記金属樹脂テープの内周側に塗布された熱可塑性接着剤を溶かして上記金属樹脂テープの重なり部分を接着する接着工程と、を有するようにしたものである。これにより、シールド電線を製造するに際し、縦添え金属樹脂テープの重なり部分を、手間をかけずに確実に接着することができる。
(2)上記(1)の製造方法において、上記接着工程で上記重なり部分が接着された上記生成物を上記ボビンから引き出し、引き出した上記生成物の周囲に外被を被覆する被覆工程を、さらに有するようにしたものである。これにより、外被付きのシールド電線を製造することができる。
(3)上記(1)の製造方法において、上記シールド施工工程の後、且つ前記巻取工程の前に、上記シールド層の周囲に外被を被覆する工程を、さらに有するようにしたものである。これにより、外被付きのシールド電線を製造することができる。
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の様々な実施形態に係るシールド電線の製造方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。
本発明の様々な実施形態に係るシールド電線の製造方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。
図1Aは、本発明の一実施形態に係る製造方法で製造したシールド電線の一構成例を示す断面図で、図1Bは、図1Aのシールド電線の端末部分の上面図である。また、図2は、本発明の一実施形態に係る製造方法を説明するためのフロー図である。
図1A及び図1Bで例示するように、本実施形態に係るシールド電線1は、導体11に絶縁樹脂12を被覆した絶縁コアと、その絶縁コアの周囲に縦添えした金属樹脂テープ13と、金属樹脂テープ13の周囲にシールド層14を被せた電線であり、同軸ケーブルとも呼ばれる。また、シールド電線1は、図1及び図2で例示したように、シールド層14の周りに絶縁樹脂で外被(シース)15が施してある。但し、外被15は施さなくてもよい。
導体11は、中心導体とも呼ばれ、その材質は例えば電気銅であればよいが、これに限らず他の材質であってもよい。また、導体11は単線に限らず、複数線による撚り線であってもよい。
絶縁樹脂12の材質としては、例えば、PVC(ポリ塩化ビニル)や、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)等のポリオレフィン、EVA、EMA、EEA(それぞれ、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルとの共重合体)等のエチレン系樹脂などが挙げられる。
絶縁樹脂12からなる絶縁層は発泡させた樹脂で形成されてもよい。樹脂中に発泡剤を添加して発泡させた絶縁層、樹脂中にガスを含有させて発泡させた絶縁層のいずれでもよい。絶縁層を発泡層とする場合、発泡していない絶縁層を発泡層の外に付けることが好ましい。また、絶縁層を架橋してもよい。架橋にはシラン架橋や照射架橋(電子線やγ線を照射)がある。
金属樹脂テープ13は、樹脂フィルム13aに金属箔13bが貼り合わされたテープであり、金属箔13bが貼り合わされた面とは反対側の面に熱可塑性接着剤が塗布されている。金属箔13bは銅箔やアルミニウム箔であり、厚さは5〜15μmのものが好ましい。樹脂フィルム13aは、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルムで厚さが10〜40μmのものが好ましい。
このシールド層14は、導体を編組した層であり、例えば、断面円形金属線である素線を多数本、編んで形成された編組構成をもつ編組シールドが多く用いられている。シールド層14に用いられる導体は導体11と同様に電気銅であればよいが、これに限らず他の材質であってもよい。また、断面円形金属線の代わりに平角導体を用いて編組シールドを構成することもできる。なお、素線の細さや、編組シールドを構成する素線束の数(打ち本数)及び素線束内の素線数(持ち本数)は基本的に任意に決めておけばよい。
このようなシールド電線1の製造方法について、図2を参照しながら説明する。
この製造方法では、まず導体11に絶縁樹脂12を被覆して絶縁コアを形成し(ステップS1)、その周囲に金属樹脂テープ13を縦添えし、その周囲に他の導体を編組したシールド層14を被せる(ステップS2:シールド施工工程)。
この製造方法では、まず導体11に絶縁樹脂12を被覆して絶縁コアを形成し(ステップS1)、その周囲に金属樹脂テープ13を縦添えし、その周囲に他の導体を編組したシールド層14を被せる(ステップS2:シールド施工工程)。
このステップS2の処理の直後の段階では金属樹脂テープ13の樹脂フィルム13a側の面にある熱可塑性接着剤は溶融しておらず、金属樹脂テープ13の重なり部分も編組シールドが押し付けられているが未接着のままである。次に、シールド施工工程後の生成物をボビンに巻き取る(ステップS3:巻取工程)。
巻取工程の後、上記生成物が巻き取られたボビンを70℃以上、90℃以下(つまり70〜90℃)の環境下に置くことで、金属樹脂テープ13の内周側に塗布された熱可塑性接着剤を溶かす。金属樹脂テープ13は編組シールドが押し付けられているので、その重なり部分が押し合わされて接着される(ステップS4:接着工程)。上記環境下に置くためにはそのような範囲の温度に保つ恒温槽を用いればよい。
このように、本実施形態では、金属樹脂テープ13を縦添えでフォーミングした上に編組をし、その後、恒温槽で加熱バッチ処理を施すことになる。ここで、加熱バッチ処理と呼んでいるのは、上記重なり部分の接着を1又は複数のボビンに巻かれた生成物に対して一度に実施することができるためである。これにより、シールド電線を製造するに際し、上記重なり部分を確実に接着することができ、置いておくだけであるため手間もかからない。
特に、加熱バッチ処理の前に編組を行うため、次の(1)〜(4)のようなメリットもある。(1)編組機の部品が熱によって劣化する心配がない。(2)編組設備が何台設けてあった場合でも恒温槽は一台でカバーでき、コストがかからない。(3)同時に投入したボビンについては加熱条件を同じにすることができる。(4)ボビン巻き取り後であるため、編組が固定され締め付けられているので接着させ易い(逆に、オンラインでの処理では編組は単に被っているだけであり、編組ダイスでの締め付けが必要となる)。
外被15を施す場合には、接着工程後のボビンから生成物を引き出し、引き出した上記生成物の周囲に外被15を被覆する(ステップS5:被覆工程)。これにより、外被15付きのシールド電線1を製造することができる。
本発明の他の実施形態として、上記の実施形態において、編組のシールド層14の上に外被15を被覆した後に70〜90℃の環境下に置くようにすることもできる。この実施形態について図3を参照しながら説明するが、上記の実施形態と同様の点についての説明は省略する。図3は、本発明の他の実施形態に係る製造方法を説明するためのフロー図である。
本実施形態では、上記シールド施工工程後、且つ上記巻取工程の前に、シールド層14の周囲に外被15を被覆する工程を有する。換言すれば、図2の処理において、ステップS5の代わりに、ステップS2の直後に外被15を被覆する工程を設ける。
具体的には、まずステップS1,S2と同様の処理を行い(ステップS11,S12)、続いてシールド層14の周囲に外被15を被覆し(ステップS13)、それをボビンに巻き取り(ステップS14)、そのボビンを70〜90℃の恒温槽に入れる(ステップS15)。このような手順によっても、外被15付きのシールド電線1を製造することができる。
<試験例>
本発明に係る製造方法で製造したシールド電線と比較例の製造方法で製造したシールド電線とについて、寸法や材料を同条件として、金属樹脂テープの重なり部分の接着度合いを試験した。いずれのシールド電線も、絶縁コアは外径が1.6〜2.7mm(試作も含めると1.0〜3.1mm)の範囲のものを使用し、絶縁樹脂は厚みが0.5〜1.2mmの範囲のものを使用し、金属樹脂テープとして厚みが21μm(銅の厚さは7μm又は10μm)のCUPETを用い、絶縁樹脂としてPE(ガス発砲ポリエチレン)を用いた。
本発明に係る製造方法で製造したシールド電線と比較例の製造方法で製造したシールド電線とについて、寸法や材料を同条件として、金属樹脂テープの重なり部分の接着度合いを試験した。いずれのシールド電線も、絶縁コアは外径が1.6〜2.7mm(試作も含めると1.0〜3.1mm)の範囲のものを使用し、絶縁樹脂は厚みが0.5〜1.2mmの範囲のものを使用し、金属樹脂テープとして厚みが21μm(銅の厚さは7μm又は10μm)のCUPETを用い、絶縁樹脂としてPE(ガス発砲ポリエチレン)を用いた。
本発明の一例に係る製造方法として、70℃で4時間加熱してシールド電線(以下、製品I)を製造した。製品Iでは、重なり部分が接着した。但し、縦添え金属樹脂テープのフォーミング具合(絶縁体と接着層の空隙発生程度)では接着不良のものも発生した。本発明の他の例に係る製造方法として、80℃で4時間加熱してシールド電線(以下、製品II)を製造した。製品IIでも製品Iと同様に重なり部分は接着したが接着不良のものも発生した。本発明の他の例に係る製造方法として、90℃で12時間加熱してシールド電線(以下、製品III)を製造した。製品IIIでは、接着は十分であり、他の問題も発生しなかった。
比較例の製造方法として、60℃で12時間加熱してシールド電線(以下、比較製品a)を製造した。比較製品aでは、温度が低く時間をかけても接着が不十分なままであった。別の比較例の製造方法として、100℃で12時間加熱してシールド電線(以下、比較製品b)を製造した。比較製品bでは、接着は十分であったものの、絶縁コアの融点に近いため、絶縁コアが少し蛇行した(溶融しコシが無くなった)。
また、金属樹脂テープを横巻きした構造のシールド電線を用いた試験も実施したが、その結果、60℃、4時間でも接着した。しかし、図1のシールド電線1のような縦添えで編組シールド層を有するものでは、金属樹脂テープに張力がかけられていないため同じ金属樹脂テープであっても加熱温度を横巻きに比べて上げる必要があることが分かった。
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1…シールド電線、11…導体、12…絶縁樹脂、13…金属樹脂テープ、13a…樹脂フィルム、13b…金属箔、14…シールド層、15…外被。
Claims (3)
- 導体に絶縁樹脂を被覆した絶縁コアの周囲に金属樹脂テープを縦添えし、その周囲に他の導体を編組したシールド層を被せたシールド電線の製造方法であって、
前記金属樹脂テープの周囲に前記シールド層を被せるシールド施工工程と、
該シールド施工工程後の生成物をボビンに巻き取る巻取工程と、
該生成物が巻き取られたボビンを70℃以上、90℃以下の環境下に置くことで、前記金属樹脂テープの内周側に塗布された熱可塑性接着剤を溶かして前記金属樹脂テープの重なり部分を接着する接着工程と、
を有する、シールド電線の製造方法。 - 前記接着工程で前記重なり部分が接着された前記生成物を前記ボビンから引き出し、引き出した前記生成物の周囲に外被を被覆する被覆工程を、さらに有する、請求項1に記載のシールド電線の製造方法。
- 前記シールド施工工程の後、且つ前記巻取工程の前に、前記シールド層の周囲に外被を被覆する工程を、さらに有する、請求項1に記載のシールド電線の製造方法。
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Cited By (1)
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KR20200005791A (ko) * | 2018-07-09 | 2020-01-17 | 엘에스전선 주식회사 | 차량용 동축 케이블 |
-
2014
- 2014-09-19 JP JP2014191328A patent/JP2016062819A/ja active Pending
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KR20200005791A (ko) * | 2018-07-09 | 2020-01-17 | 엘에스전선 주식회사 | 차량용 동축 케이블 |
KR102603726B1 (ko) * | 2018-07-09 | 2023-11-16 | 엘에스전선 주식회사 | 차량용 동축 케이블 |
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