JP2016060774A - 近赤外線吸収組成物、硬化膜、近赤外線吸収フィルタ、固体撮像素子、赤外線センサ、化合物 - Google Patents

近赤外線吸収組成物、硬化膜、近赤外線吸収フィルタ、固体撮像素子、赤外線センサ、化合物 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性に優れた膜を形成できる近赤外線吸収組成物を提供することにある。また、硬化膜、近赤外線吸収フィルタ、固体撮像素子、赤外線センサおよび化合物を提供する。【解決手段】この近赤外線吸収組成物は、一般式(1)で表される化合物を含む。式中、Yは、pKaが−13以下の低求核性アニオンを表し、R1〜R5は、各々独立に、水素原子または置換基を表し、R1〜R5のうち、2つが結合して環を形成していてもよく、nは0〜2の整数を表し、nが2の場合、複数のR4およびR5は同一であってもよく、異なっていてもよく、AおよびBは、各々独立に、置換基を有してもよい、キノリン環、ベンゾチアゾール環などを表す。【選択図】なし

Description

本発明は、近赤外線吸収組成物、硬化膜、近赤外線吸収フィルタ、固体撮像素子、赤外線センサおよび化合物に関する。
ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、カメラ機能付き携帯電話などには、カラー画像の固体撮像素子である、電荷結合素子(CCD)や相補型金属酸化膜半導体(CMOS)などが用いられている。これら固体撮像素子は、その受光部において近赤外線に感度を有するシリコンフォトダイオードを使用しているために、視感度補正を行うことが必要であり、近赤外線吸収フィルタを用いることが多い。
近赤外線吸収フィルタの材料として、シアニン化合物などが知られている。例えば、特許文献1〜5には、シアニン系カチオンと、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドアニオンとの塩からなるシアニン化合物を用いて近赤外線吸収フィルタを形成することが開示されている。
特開2014−58621号公報 特開2014−95007号公報 特開2013−227403号公報 特開2014−80487号公報 特開2011−225761号公報
しかしながら、特許文献1〜5に開示されたシアニン化合物は耐熱性が十分でなく、耐熱性のさらなる向上が望まれている。
よって、本発明の目的は、耐熱性に優れた膜を形成できる近赤外線吸収組成物を提供することにある。また、硬化膜、近赤外線吸収フィルタ、固体撮像素子、赤外線センサおよび化合物を提供することにある。
かかる状況のもと、本発明者らが鋭意検討を行った結果、pKaが−13以下の低求核性アニオンと、特定のカチオン構造を有するシアニン系カチオンとの塩が、耐熱性に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。よって、本発明は以下を提供する。
<1> 下記一般式(1)で表される化合物を含む近赤外線吸収組成物;
Figure 2016060774
式中、Yは、pKaが−13以下の低求核性アニオンを表し、
1〜R5は、各々独立に、水素原子または置換基を表し、
1〜R5のうち、2つが結合して環を形成していてもよく、
nは0〜2の整数を表し、nが2の場合、複数のR4およびR5は同一であってもよく、異なっていてもよく、
Aは下記式(A−1)〜(A−3)のいずれかを表し、Bは下記式(B−1)〜(B−3)のいずれかを表す;
Figure 2016060774
式中、V11〜V16、および、V21〜V26は、各々独立に水素原子または置換基を表し、V11とV12、V13とV14、V14とV15、V15とV16、V21とV22、V23とV24、V24とV25、または、V25とV26は、結合して環を形成していてもよく、
6およびR7は、各々独立に、酸素原子を含んでもよい炭化水素基を表し、
aおよびXbは、各々独立に、−S−、−O−、−NRX1−または−CRX2X3−を表し、
X1、RX2およびRX3は、各々独立に、酸素原子を含んでもよい炭化水素基を表し、
波線はメチン鎖との結合位置を表し、
Aが(A−1)で、Bが(B−1)である場合は、R1〜R5、V11〜V16、および、V21〜V26から選ばれる少なくとも一つは置換基を表し、
Aが(A−3)で、Bが(B−3)である場合は、XaおよびXbの少なくとも一方は−S−または−NRX1−を表し、
Aが(A−3)で、Bが(B−3)で、nが2である場合は、R1〜R5のうちメチン鎖のメソ位は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ヘテロアリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、または、−NRa1a2を表し、
a1およびRa2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
<2> 一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)〜(5)のいずれかで表される化合物である、<1>に記載の近赤外線吸収組成物;
Figure 2016060774
式中、YはpKaが−13以下の低求核性アニオンを表し、
1〜R5、V11〜V16、および、V21〜V26は、各々独立に水素原子または置換基を表し、
1〜R5のうち、2つが結合して環を形成していてもよく、
11とV12、V13とV14、V14とV15、V15とV16、V21とV22、V23とV24、V24とV25、または、V25とV26は、結合して環を形成していてもよく、
n1は、1または2の整数を表し、n1が2の場合、複数のR4およびR5は同一であってもよく、異なっていてもよく、
6およびR7は、各々独立に、酸素原子を含んでもよい炭化水素基を表し、
一般式(2)においては、R1〜R3、V11〜V16、および、V21〜V26から選ばれる少なくとも一つは置換基を表し、
一般式(3)においては、R1〜R5、V11〜V16、および、V21〜V26から選ばれる少なくとも一つは置換基を表し、
一般式(5)においては、n1が2である場合には、R1〜R5のうちメチン鎖のメソ位は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ヘテロアリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、または、−NRa1a2を表し、
a1およびRa2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
<3> 一般式(1)において、Yがトリス(フルオロアルキルスルホニル)メチドアニオンである、<1>または<2>に記載の近赤外線吸収組成物。
<4> 一般式(1)において、R1〜R5、V11〜V16、および、V21〜V26は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アラルキル基または−NRa1a2で表される基を表す、<1>〜<3>のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物;ただし、Ra1およびRa2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
<5> <1>〜<4>のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物を用いてなる硬化膜。
<6> <1>〜<4>のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物を用いてなる、近赤外線吸収フィルタ。
<7> <1>〜<4>のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物を用いてなる硬化膜を含む、固体撮像素子。
<8> <1>〜<4>のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物を用いてなる硬化膜を含む、赤外線センサ。
<9> 下記一般式(1)で表される化合物;
Figure 2016060774
式中、Yは、pKaが−13以下の低求核性アニオンを表し、
1〜R5は、各々独立に、水素原子または置換基を表し、
1〜R5のうち、2つが結合して環を形成していてもよく、
nは0〜2の整数を表し、nが2の場合、複数のR4およびR5は同一であってもよく、異なっていてもよく、
Aは下記式(A−1)〜(A−3)のいずれかを表し、Bは下記式(B−1)〜(B−3)のいずれかを表す;
Figure 2016060774
式中、V11〜V16、および、V21〜V26は、各々独立に水素原子または置換基を表し、V11とV12、V13とV14、V14とV15、V15とV16、V21とV22、V23とV24、V24とV25、または、V25とV26は、結合して環を形成していてもよく、
6およびR7は、各々独立に、酸素原子を含んでもよい炭化水素基を表し、
aおよびXbは、各々独立に、−S−、−O−、−NRX1−または−CRX2X3−を表し、
X1、RX2およびRX3は、各々独立に、酸素原子を含んでもよい炭化水素基を表し、
波線はメチン鎖との結合位置を表し、
Aが(A−1)で、Bが(B−1)である場合は、R1〜R5、V11〜V16、および、V21〜V26から選ばれる少なくとも一つは置換基を表し、
Aが(A−3)で、Bが(B−3)である場合は、XaおよびXbの少なくとも一方は−S−または−NRX1−を表し、
Aが(A−3)で、Bが(B−3)で、nが2である場合は、R1〜R5のうちメチン鎖のメソ位は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ヘテロアリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、または、−NRa1a2を表し、
a1およびRa2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
本発明によれば、耐熱性に優れた膜を形成できる近赤外線吸収組成物を提供することが可能になった。また、硬化膜、近赤外線吸収フィルタ、固体撮像素子、赤外線センサおよび化合物を提供することが可能となった。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。
本明細書において、「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書における基(原子団)の表記に於いて、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルおよびメタクリロイルを表す。
本明細書において、重合性化合物とは、重合性官能基を有する化合物のことをいい、モノマーであっても、ポリマーであってもよい。重合性官能基とは、重合反応に関与する基をいう。
本発明で用いられる化合物の重量平均分子量および数平均分子量の測定方法は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定でき、GPCの測定によるポリスチレン換算値として定義される。例えば、HLC−8220(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel Super AWM―H(東ソー(株)製、6.0mmID×15.0cmを、溶離液として10mmol/L リチウムブロミドNMP(N−メチルピロリジノン)溶液を用いることによって求めることができる。
近赤外線とは、極大吸収波長領域が波長700〜2500nmの光(電磁波)をいう。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全組成から溶剤を除いた成分の総質量をいう。
本明細書において、固形分は、25℃における固形分である。
<近赤外線吸収組成物>
<<一般式(1)で表される化合物>>
本発明の近赤外線吸収組成物(以下、本発明の組成物ともいう)は、後述する一般式(1)で表される化合物を含む。
一般式(1)で表される化合物は、アニオンとして、pKaが−13以下の低求核性アニオンを有するので、カチオンの安定性が向上し、優れた耐熱性が得られる。更には耐光性も優れる。
また、カチオンは、メチン鎖(ポリメチレン基)の両端に、後述する(A−1)〜(A−3)で表されるいずれかの基と、(B−1)〜(B−3)で表されるいずれかの基とがそれぞれ結合しており、カチオンが、これらの基を有することにより、優れた耐熱性および耐光性が得られる。
また、メチン鎖に置換基を有する場合(すなわち、R1〜R5のいずれかが置換基である場合)においては、cis−transの異性化が抑制され、より優れた耐熱性および耐光性が得られる。
さらに、後述する(A−1)〜(A−3)、(B−1)〜(B−3)で表されるいずれかの基が、置換基を有する場合(すなわち、V11〜V16、および、V21〜V26から選ばれる少なくとも1つが置換基である場合)においては、HOMOレベルが低くなり安定性が向上し、より優れた耐熱性および耐光性が得られる。
上記化合物は、600〜900nmの波長領域に極大吸収波長を有する化合物(近赤外線吸収化合物)であることがより好ましい。下限は、例えば、600nm以上が好ましく、630nm以上が一層好ましい。上限は、例えば、900nm以下が好ましく、880nm以下が一層好ましい。
以下、一般式(1)で表される化合物について詳細に説明する。
Figure 2016060774
式中、Yは、pKaが−13以下の低求核性アニオンを表し、
1〜R5は、各々独立に、水素原子または置換基を表し、
1〜R5のうち、2つが結合して環を形成していてもよく、
nは0〜2の整数を表し、nが2の場合、複数のR4およびR5は同一であってもよく、異なっていてもよく、
Aは下記式(A−1)〜(A−3)のいずれかを表し、Bは下記式(B−1)〜(B−3)のいずれかを表す;
Figure 2016060774
式中、V11〜V16、および、V21〜V26は、各々独立に水素原子または置換基を表し、V11とV12、V13とV14、V14とV15、V15とV16、V21とV22、V23とV24、V24とV25、または、V25とV26は、結合して環を形成していてもよく、
6およびR7は、各々独立に、酸素原子を含んでもよい炭化水素基を表し、
aおよびXbは、各々独立に、−S−、−O−、−NRX1−または−CRX2X3−を表し、
X1、RX2およびRX3は、各々独立に、酸素原子を含んでもよい炭化水素基を表し、
波線はメチン鎖との結合位置を表し、
Aが(A−1)で、Bが(B−1)である場合は、R1〜R5、V11〜V16、および、V21〜V26から選ばれる少なくとも一つは置換基を表し、
Aが(A−3)で、Bが(B−3)である場合は、XaおよびXbの少なくとも一方は−S−または−NRX1−を表し、
Aが(A−3)で、Bが(B−3)で、nが2である場合は、R1〜R5のうちメチン鎖のメソ位は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ヘテロアリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、または、−NRa1a2を表し、
a1およびRa2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
一般式(1)において、Yは、pKaが−13以下の低求核性アニオンを表す。低求核アニオンとは、一般的に超酸(super acid)と呼ばれるpKaの低い酸がプロトンを解離してなるアニオンである。超酸の定義は、文献によっても異なるがメタンスルホン酸よりpKaが低い酸の総称であり、J.Org.Chem.2011,76,391-395 Equilibrium Acidities of Super acidsに記載される構造が知られている。
本発明においては、低求核アニオンのpKaは、−13以下であり、−13〜−18が好ましい。pKaは、例えば、J.Org.Chem.2011,76,391-395に記載の方法により測定することができる。本明細書におけるpKa値は、特に断りがない場合、1,2−ジクロロエタン中でのpKaである。
pKaが−13以下の低求核性アニオンとしては、メチドアニオン、ボレートアニオンなどが挙げられ、メチドアニオンが好ましい。メチドアニオンとしては、耐熱性および耐光性に優れた化合物が得られ易いという理由から、トリス(フルオロアルキルスルホニル)メチドアニオンが好ましい。
トリス(フルオロアルキルスルホニル)メチドアニオンは、下記一般式(MD)で表されるアニオンであることが好ましい。
Figure 2016060774
式中、Rf1〜Rf3は、それぞれ独立に、フッ素原子を有するアルキル基を表し、炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基がさらに好ましく、トリフルオロメチル基が特に好ましい。Rf1〜Rf3の全てが、トリフルオロメチル基であることが最も好ましい。
トリス(フルオロアルキルスルホニル)メチドアニオンの具体例としては、例えば以下が挙げられる。これらのうち、耐熱性および耐光性の観点からMD−1(トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドアニオン)が好ましい。
Figure 2016060774
一般式(1)において、nは、0〜2の整数を表す。耐熱性および耐光性の観点から、nは0または1が好ましく、1がより好ましい。
1〜R5は、各々独立に、水素原子または置換基を表す。R1〜R5のうち、2つが結合して環を形成していてもよく、nが2の場合、複数のR4およびR5は同一であってもよく、異なっていてもよい。
1〜R5が表す置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ヘテロアリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、−NRa1a2、−CORa3、−COORa4、−OCORa5、−NHCORa6、−CONRa7a8、−NHCONRa9a10、−NHCOORa11、−SO2a12、−SO2ORa13、−NHSO2a14または−SO2NRa15a16が挙げられる。Ra1〜Ra16は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、または、ヘテロアリール基を表す。なお、本明細書において、アリール基は、芳香族炭化水素基を意味し、ヘテロアリール基は、芳香族複素環基を意味する。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
アルキル基、アルコキシ基およびアリールチオ基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜8が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖が好ましい。アルキル基は、置換基を有してもよく、無置換であってもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基等が挙げられる。
アルケニル基の炭素数は、2〜20が好ましく、2〜12がより好ましく、2〜8が特に好ましい。アルケニル基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。
アルキニル基の炭素数は、2〜40が好ましく、2〜30がより好ましく、2〜25が特に好ましい。アルキニル基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。
アリール基の炭素数は、6〜30が好ましく、6〜20がより好ましく、6〜12が更に好ましい。これらの基は、置換基を有してもよく、無置換であってもよい。置換基としては、上述したものが挙げられる。また、アルキル基を置換基として有してもよい。
アリーロキシ基およびアリールチオ基が有するアリール基は、上述したものが挙げられ、好ましい範囲も同様である。
アラルキル基の炭素数は、7〜40が好ましく、7〜30がより好ましく、7〜25が更に好ましい。アラルキル基は、置換基を有してもよく、無置換であってもよい。置換基としては、上述したものが挙げられる。
ヘテロアリール基は、単環または縮合環が好ましく、単環または縮合数が2〜8の縮合環が好ましく、単環または縮合数が2〜4の縮合環がより好ましい。ヘテロアリール基に含まれるヘテロ原子の数は1〜3が好ましい。ヘテロアリール基に含まれるヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。ヘテロアリール基は、5員環または6員環が好ましい。ヘテロアリール基は、置換基を有してもよく、無置換であってもよい。置換基としては、上述したものが挙げられる。また、アルキル基を置換基として有してもよい。
ヘテロアリーロキシ基およびヘテロアリールチオ基が有するヘテロアリール基は、上述したものが挙げられ、好ましい範囲も同様である。
1〜R5は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ヘテロアリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、−NRa1a2が好ましく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アラルキル基、−NRa1a2がより好ましい。
1〜R5のいずれかが置換基である場合、置換基を有するメチン基は、メチン鎖のメソ位(中央)のメチン基であることが好ましい。なお、nが0〜2における、メチン鎖のメソ位とは、下式(1A)〜(1C)の破線部分のメチン基である。すなわち、下式(1A)〜(1C)におけるRが置換基であることが好ましい。この態様によれば、cis−transの異性化が抑制されて、より優れた耐熱性および耐光性が得られ易い。
Rが表す置換基は、ハロゲン原子、アラルキル基、アルキル基、アリール基が好ましく、ハロゲン原子、アラルキル基が一層好ましい。この態様よれば、HOMOレベルが低くなり、耐熱性および耐光性が向上する傾向にある。
Figure 2016060774
また、R1〜R5のうち2つ以上が置換基である場合、2つの置換基が結合して環を形成していてもよい。2つの置換基が結合して形成する環は、5〜7員環が挙げられ、5または6員環が好ましい。2つの置換基が結合して環を形成する場合、nは1または2が好ましく、2がより好ましい。この態様によれば、cis−transの異性化が抑制されて、より優れた耐熱性および耐光性が得られ易い。
nが0の場合、下式において、R1とR3とか結合して環を形成することが好ましい。
nが1の場合、下式において、R1とR3、R2とR4、または、R3とR5が結合して環を形成することが好ましい。
nが2の場合、下式において、R1とR3、R2とR4、R3とR5が、R4とR4a、または、R5とR5aが結合して環を形成することが好ましい。
Figure 2016060774
2つの置換基が結合して環を形成する場合、一般式(1)で表される化合物は、下記(1−1)〜(1−4)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。なかでも、耐熱性および耐光性の観点から(1−1)または(1−2)が好ましく、(1−1)がより好ましい。
Figure 2016060774
上記式中、R1A〜R20Aは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。AおよびBは、式(1)におけるAおよびBと同義である。
1A〜R20Aが表す置換基は、上述したものが挙げられ、好ましい範囲も同様である。R1A〜R20Aが置換基を表す場合、R2A、R7A、R11A、R18Aが置換基であることが好ましい。R2A、R7A、R11A、R18Aが表す置換基は、ハロゲン原子、アラルキル基、アルキル基、アリール基が好ましく、ハロゲン原子、アラルキル基が一層好ましい。この態様よれば、HOMOレベルが低くなり安定性が向上し、耐熱性および耐光性が向上する傾向にある。
次に、一般式(1)におけるAおよびBについて説明する。
一般式(1)において、Aは、上記式(A−1)〜(A−3)のいずれかを表し、Bは上記式(B−1)〜(B−3)のいずれかを表す。
式(A−1)〜(A−3)、(B−1)〜(B−3)において、V11〜V16、および、V21〜V26は、各々独立に水素原子または置換基を表す。
1およびV2が表す置換基としては、R1〜R5で説明した置換基が挙げられ、好ましい範囲も同様である。耐熱性および耐光性の観点から、V11〜V16、および、V21〜V26から選ばれる少なくとも1つが置換基であること好ましく、V11〜V16から選ばれる少なくとも1つ、および、V21〜V26から選ばれる少なくとも1つがそれぞれ置換基であることがより好ましい。
式(A−1)〜(A−3)において、V11とV12、V13とV14、V14とV15、または、V15とV16は結合して環を形成していてもよい。
式(B−1)〜(B−3)において、V21とV22、V23とV24、V24とV25、または、V25とV26は、結合して環を形成していてもよい。
V同士が結合して形成する環としては、5員環または6員環が挙げられ、6員環が好ましい。具体例としては、ベンゼン環が挙げられる。
式(A−1)〜(A−3)、(B−1)〜(B−3)において、R6およびR7は、各々独立に、酸素原子を含んでもよい炭化水素基を表す。
炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基が挙げられる。
アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基およびアラルキル基は、R1〜R5で説明したものが挙げられ、好ましい範囲も同様である。
酸素原子を含む炭化水素基としては、−L−R100で表される基が挙げられる。
Lは、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−(OR101q−または−(R101O)q−を表す。
100は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、または、アラルキル基を表す。
101は、アルキレン基またはアリーレン基を表す。qは2以上の整数を表し、q個のR101は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
Lは、−(OR101q−または−(R101O)q−が好ましい。
100が表すアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基は上述したものと同義であり、好ましい範囲も同様である。R100は、アルキル基またはアリール基が好ましい。
101が表すアルキレン基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜5が更に好ましい。アルキレン基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましい。
101が表すアリーレン基の炭素数は、6〜20が好ましく、6〜12がより好ましい。
式(A−3)、(B−3)において、XaおよびXbは、各々独立に、−S−、−O−、−NRX1−または−CRX2X3−を表し、RX1、RX2およびRX3は、各々独立に、酸素原子を含んでもよい炭化水素基を表す。
X1、RX2およびRX3が表す、酸素原子を含んでもよい炭化水素基は、R6、R7で説明したものが挙げられ、好ましい範囲も同様である。
一般式(1)において、Aが表す基と、Bが表す基との好ましい組み合わせは、以下の(1)〜(9)が挙げられる。なかでも、耐熱性が高いという理由から、以下の(1)、(5)または(9)が好ましく、(1)または(5)がより好ましい。
(1)Aが(A−1)で、Bが(B−1)である組み合わせ。
(2)Aが(A−1)で、Bが(B−2)である組み合わせ。
(3)Aが(A−1)で、Bが(B−3)である組み合わせ。
(4)Aが(A−2)で、Bが(B−1)である組み合わせ。
(5)Aが(A−2)で、Bが(B−2)である組み合わせ。
(6)Aが(A−2)で、Bが(B−3)である組み合わせ。
(7)Aが(A−3)で、Bが(B−1)である組み合わせ。
(8)Aが(A−3)で、Bが(B−2)である組み合わせ。
(9)Aが(A−3)で、Bが(B−3)である組み合わせ。ただし、XaおよびXbの少なくとも一方は−S−または−NRX1−を表す。XaおよびXbが、−S−または−NRX1−であることが好ましく、XaとXbの両方が−S−であることが更に好ましい。
なお、(1)の態様の場合、一般式(1)におけるR1〜R5、V1およびV2の少なくとも一つは置換基を表す。
また、(9)の態様で、一般式(1)におけるnが2である場合は、R1〜R5のうちメチン鎖のメソ位は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ヘテロアリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、または、−NRa1a2を表す。
一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(2)〜(5)のいずれかで表される化合物であることが好ましく、耐熱性が高いという理由から、一般式(2)、一般式(3)、一般式(5)がより好ましい。
Figure 2016060774
式中、YはpKaが−13以下の低求核性アニオンを表し、
1〜R5、V11〜V16、および、V21〜V26は、各々独立に水素原子または置換基を表し、
1〜R5のうち、2つが結合して環を形成していてもよく、
11とV12、V13とV14、V14とV15、V15とV16、V21とV22、V23とV24、V24とV25、または、V25とV26は、結合して環を形成していてもよく、
n1は、1または2の整数を表し、n1が2の場合、複数のR4およびR5は同一であってもよく、異なっていてもよく、
6およびR7は、各々独立に、酸素原子を含んでもよい炭化水素基を表し、
一般式(2)においては、R1〜R3、V11〜V16、および、V21〜V26から選ばれる少なくとも一つは置換基を表し、
一般式(3)においては、R1〜R5、V11〜V16、および、V21〜V26から選ばれる少なくとも一つは置換基を表し、
一般式(5)においては、n1が2である場合には、R1〜R5のうちメチン鎖のメソ位は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ヘテロアリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、または、−NRa1a2を表し、
a1およびRa2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
一般式(2)〜(5)における、Y、R1〜R5、V11〜V16、および、V21〜V26は、一般式(1)におけるY、R1〜R5、V11〜V16、および、V21〜V26と同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(2)において、R1〜R3、V11〜V16、および、V21〜V26から選ばれる少なくとも一つは置換基を表す。耐熱性および耐光性の観点から、R2、V11〜V16、および、V21〜V26から選ばれる少なくとも一つが置換基であることが好ましく、R2と、V11〜V16から選ばれる少なくとも1つと、V21〜V26から選ばれる少なくとも一つが置換基であることがより好ましい。
一般式(3)において、R1〜R5、V11〜V16、および、V21〜V26から選ばれる少なくとも一つは置換基を表す。耐熱性および耐光性の観点から、R3、V11〜V16、および、V21〜V26から選ばれる少なくとも一つが置換基であることが好ましく、R3と、V11〜V16から選ばれる少なくとも1つと、V21〜V26から選ばれる少なくとも一つが置換基であることがより好ましい。
一般式(4)、(5)において、n1は、1または2の整数を表し、耐熱性および耐光性の観点から1が好ましい。また、R3、V11〜V16、および、V21〜V26から選ばれる少なくとも一つは置換基であることが好ましく、R3と、V11〜V16から選ばれる少なくとも1つと、V21〜V26から選ばれる少なくとも一つが置換基であることがより好ましい。
一般式(1)で表される化合物は、一般式(1)で表される化合物に対応するヨード塩化合物(Yがヨードアニオン(I-)である化合物)から塩交換処理により当業者は容易に合成することができる。例えばヨード塩化合物を、アセトニトリルもしくはテトラヒドロフランに溶解させた後、1.5当量のポタシウム トリストリフルオロメタンスルホニルメチド塩を添加し、室温下で6時間攪拌する。その後、反応液を水もしくはメタノール水溶液に添加して、析出した固体をろ別、乾燥させることで、一般式(1)で表される化合物を得ることができる。
また、一般式(1)で表される化合物に対応するヨード塩化合物の合成法は、数多く知られており、写真用分光増感色素などとして利用されている。その具体例については例えば次に挙げる文献などに記載されている。すなわち、エフ・エム・ハーマー (F.M.HAMER)著「ザ・シアニンダイズ・アンド・リレーテッド・コンパウンズ」(THE CYANINE DYES AND RELATED COMPOUNDS)(インターサイエンス・パブリシャーズ(INTERSCIENCE PUBLISHERS)、N.Y.,1964年)55頁以降;ニコライ・チュチュルコフ(NIKOLAI TYUTYULKOV)、ユルゲン・ファビアン(JURGEN FABIAN)、アキム・メールホルン(ACHIM MEHLHORN)、フリッツ・ディエツ(FRITZ DIETZ)、アリア・タジール(ALIA TADJER)共著「ポリメチン・ダイズ」(POLYMETHINE DYES) (セント・クリメント・オーリズキ・ユニバシティ・プレス、ソフィア(ST.KLIMENT OHRIDSKI UNIVERSITY PRESS, SOPHIA) 、1992年)23頁〜38頁;リサーチ・ディスクロージャー誌(RESEARCH DISCLOSURE)、152巻48頁(1976年)などを参照すれば当業者には容易に合成することができる。
一般式(1)で表される化合物の具体例について、以下に示す。なお、以下の表中、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、Prはプロピル基を表し、Buはブチル基を表し、Bnはベンジル基を表し、Phはフェニル基を表す。
Figure 2016060774
Figure 2016060774
Figure 2016060774
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Figure 2016060774
Figure 2016060774
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Figure 2016060774
Figure 2016060774
Figure 2016060774
Figure 2016060774
Figure 2016060774
本発明の組成物において、一般式(1)で表される化合物の含有量は、組成物中の全固形分に対して0.01〜70質量%が好ましい。下限は、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。上限は、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。この範囲内とすることで良好な近赤外吸収能を付与することができる。本発明の組成物が、上記化合物を2種以上含む場合、その合計量が上記範囲内であることが好ましい。
以下、本発明の組成物が含有していてもよい他の成分について説明する。
<<硬化性化合物>>
本発明の組成物は、硬化性化合物を含有することができる。硬化性化合物を含有することが好ましい。硬化性化合物は、重合性基を有する化合物(以下、「重合性化合物」ということがある)が好ましい。硬化性化合物は、モノマー、オリゴマー、プレポリマー、ポリマーなどの化学的形態のいずれであってもよい。硬化性化合物としては、例えば、特開2014−41318号公報の段落0070〜0191(対応する国際公開WO2014/017669号パンフレットの段落0071〜0192)、特開2014−32380号公報の段落0045〜0216等の記載を参酌でき、この内容は本願明細書に組み込まれる。
硬化性化合物は、重合性化合物が好ましい。重合性化合物としては、例えば、エチレン性不飽和結合、環状エーテル(エポキシ、オキセタン)等の重合性基を含む化合物が挙げられる。エチレン性不飽和結合としては、ビニル基、スチリル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アリル基が好ましい。重合性化合物は、重合性基を1個有する単官能化合物であってもよいし、重合性基を2個以上有する多官能化合物であってもよいが、多官能化合物であることが好ましい。組成物が、多官能化合物を含有することにより、耐熱性をより向上させることができる。
硬化性化合物としては、単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレート(好ましくは3〜6官能の(メタ)アクリレート)、多塩基酸変性アクリルオリゴマー、エポキシ樹脂、多官能のエポキシ樹脂などが挙げられる。
硬化性化合物の含有量は、組成物の全固形分に対して、1〜90質量%が好ましい。下限は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上が更に好ましい。上限は、80質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましい。また、硬化性化合物として、重合性基を有する繰り返し単位を含む重合体を用いる場合、硬化性化合物の含有量は、組成物の全固形分に対して10〜75質量%が好ましい。下限は20質量%以上が好まし。上限は65質量%以下が好ましく、60質量%以下がさらに好ましい。
硬化性化合物は、1種類のみでもよく、2種類以上でもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<<エチレン性不飽和結合を含む化合物>>>
本発明では、硬化性化合物として、エチレン性不飽和結合を含む化合物を用いることができる。エチレン性不飽和結合を含む化合物の例としては、特開2013−253224号公報の段落0033〜0034の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
エチレン性不飽和結合を含む化合物としては、エチレンオキシ変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としては、NKエステルATM−35E;新中村化学社製)、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としては、KAYARAD D−330;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としては、KAYARAD D−320;日本化薬株式会社製)ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD D−310;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としては、KAYARAD DPHA;日本化薬株式会社製、A−DPH−12E;新中村化学工業社製)、およびこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコール、プロピレングリコール残基を介している構造が好ましい。またこれらのオリゴマータイプも使用できる。
また、ジグリセリンEO(エチレンオキシド)変性(メタ)アクリレート(市販品としては M−460;東亜合成製)が好ましい。ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学製、A−TMMT)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(日本化薬社製、KAYARAD HDDA)も好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。例えば、RP−1040(日本化薬株式会社製)などが挙げられる。
エチレン性不飽和結合を含む化合物は、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基等の酸基を有していてもよい。
酸基とエチレン性不飽和結合を含む化合物としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルなどが挙げられる。脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基に、非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた化合物が好ましく、特に好ましくは、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトールおよび/またはジペンタエリスリトールであるものである。市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製の多塩基酸変性アクリルオリゴマーとして、アロニックスシリーズのM−305、M−510、M−520などが挙げられる。
酸基とエチレン性不飽和結合を含む化合物の酸価は、0.1〜40mgKOH/gが好ましい。下限は5mgKOH/g以上が好ましい。上限は、30mgKOH/g以下が好ましい。
<<<エポキシ基またはオキセタニル基を有する化合物>>>
本発明では、硬化性化合物として、エポキシ基またはオキセタニル基を有する化合物を用いることができる。エポキシ基またはオキセタニル基を有する化合物としては、側鎖にエポキシ基を有するポリマー、分子内に2個以上のエポキシ基を有するモノマーまたはオリゴマーなどが挙げられる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等を挙げることができる。また単官能または多官能グリシジルエーテル化合物も挙げられ、多官能脂肪族グリシジルエーテル化合物が好ましい。
重量平均分子量は、500〜5000000が好ましく、1000〜500000がより好ましい。
これらの化合物は、市販品を用いてもよいし、ポリマーの側鎖へエポキシ基を導入することによっても得られるものを用いてもよい。
例えば、サイクロマーP ACA 200M、同ACA 230AA、同ACA Z250、同ACA Z251、同ACA Z300、同ACA Z320(以上、ダイセル化学工業(株)製)が挙げられる。
<<樹脂>>
本発明の組成物は、樹脂を含有できる。樹脂としては、アルカリ可溶性樹脂などが挙げられる。また、特開2014−95007号公報の段落番号0027に記載の樹脂を用いることもできる。
アルカリ可溶性樹脂としては、線状有機高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基を有するアルカリ可溶性樹脂の中から適宜選択することができる。耐熱性の観点からは、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましく、現像性制御の観点からは、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。
アルカリ可溶性を促進する基(以下、酸基ともいう)としては、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、フェノール性水酸基などが挙げられるが、有機溶剤に可溶で弱アルカリ水溶液により現像可能なものが好ましく、(メタ)アクリル酸が特に好ましいものとして挙げられる。これら酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。アルカリ可溶性樹脂としては、特開2012−208494号公報の段落0558〜0571(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0685]〜[0700])以降の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
アルカリ可溶性樹脂は、下記一般式(ED)で示される化合物を共重合成分として含む樹脂も好ましい。
Figure 2016060774
一般式(ED)中、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有してもよい炭素数1〜25の炭化水素基を表す。
1及びR2で表される炭素数1〜25の炭化水素基としては、特に制限はないが、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、t−アミル、ステアリル、ラウリル、2−エチルヘキシル等の直鎖状又は分岐状のアルキル基;フェニル等のアリール基;シクロヘキシル、t−ブチルシクロヘキシル、ジシクロペンタジエニル、トリシクロデカニル、イソボルニル、アダマンチル、2−メチル−2−アダマンチル等の脂環式基;1−メトキシエチル、1−エトキシエチル等のアルコキシで置換されたアルキル基;ベンジル等のアリール基で置換されたアルキル基;等が挙げられる。これらの中でも、特に、メチル、エチル、シクロヘキシル、ベンジル等のような酸や熱で脱離しにくい1級又は2級の炭化水素基が耐熱性の点で好ましい。
なお、R1及びR2は、同種の置換基であってもよいし、異なる置換基であってもよい。
一般式(ED)で表される化合物の例としては、ジメチル−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−プロピル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−ブチル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソブチル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、等が挙げられる。これらの中でも、特にジメチル−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエートが好ましい。
一般式(ED)で表される化合物以外の共重合成分については特に制限はない。
例えば、溶媒への溶解性などの扱いやすさの観点から、油溶性を付与するアリール(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシ(メタ)アクリレートを共重合成分として含むことも好ましく、アリール(メタ)アクリレートまたはアルキル(メタ)アクリレートがより好ましい。
また、アルカリ現像性の観点から、酸性基を含有する(メタ)アクリル酸やイタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマー、N−ヒドロキシフェニルマレイミド等のフェノール性水酸基を有するモノマー、無水マレイン酸や無水イタコン酸等のカルボン酸無水物基を有するモノマーを共重合成分として含むことが好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましい。
共重合体成分の好ましい組み合わせとしては、例えば、一般式(ED)で表される化合物と、ベンジルメタクリレートと、メタクリル酸メチル及び/又はメタクリル酸との組み合わせが挙げられる。
一般式(ED)で示される化合物を共重合成分として含む樹脂については、特開2012−198408号公報の段落番号0079〜0099の記載を参酌でき、この内容は本願明細書に組み込まれることとする。
アルカリ可溶性樹脂の酸価は、30〜200mgKOH/gが好ましい。下限は、50mgKOH/g以上が好ましく、70mgKOH/g以上がより好ましい。上限は、150mgKOH/g以下が好ましく、120mgKOH/g以下がより好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、2,000〜50,000が好ましい。下限は、5,000以上が好ましく、7,000以上がより好ましい。上限は、30,000以下が好ましく、20,000以下がより好ましい。
本発明の組成物が樹脂を含有する場合、樹脂の含有量は、組成物の全固形分中に対して、1〜80質量%が好ましい。下限は、5質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましい。上限は、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましい。
本発明の組成物は、樹脂を、1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<重合開始剤>>
本発明の組成物は、重合開始剤を含有することができる。
重合開始剤の含有量は、0.01〜30質量%が好ましい。下限は、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。上限は、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
重合開始剤は、1種類のみでも、2種類以上でもよく、2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
硬化性化合物を、光で重合を開始させる場合、光重合開始剤が好ましい。光重合開始剤は、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものが好ましい。
また、硬化性化合物を、熱で重合を開始させる場合には、熱重合開始剤が好ましい。熱重合開始剤は、150〜250℃で分解するものが好ましい。
重合開始剤としては、少なくとも芳香族基を有する化合物であることが好ましく、例えば、アシルホスフィン化合物、アセトフェノン系化合物、α−アミノケトン化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ケタール誘導体化合物、チオキサントン化合物、オキシム化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、トリハロメチル化合物、アゾ化合物、有機過酸化物、ジアゾニウム化合物、ヨードニウム化合物、スルホニウム化合物、アジニウム化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ケタール誘導体化合物、メタロセン化合物等のオニウム塩化合物、有機硼素塩化合物、ジスルホン化合物、チオール化合物などが挙げられる。
重合開始剤としては、特開2013−253224号公報の段落0217〜0228の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
オキシム化合物としては、市販品であるIRGACURE−OXE01(BASF社製)、IRGACURE−OXE02(BASF社製)、TR−PBG−304(常州強力電子新材料有限公司社製)、アデカアークルズNCI−831(ADEKA社製)、アデカアークルズNCI−930(ADEKA社製)等を用いることができる。
アセトフェノン系化合物としては、市販品であるIRGACURE−907、IRGACURE−369、および、IRGACURE−379(商品名:いずれもBASFジャパン社製)を用いることができる。またアシルホスフィン化合物としては市販品であるIRGACURE−819やDAROCUR−TPO(商品名:いずれもBASFジャパン社製)を用いることができる。
<<溶剤>>
本発明の組成物は溶剤を含有することができる。溶剤は、特に制限はなく、本発明の組成物の各成分を均一に溶解或いは分散しうるものであれば、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、水、有機溶剤を用いることができ、有機溶剤が好ましい。
有機溶剤としては、例えば、アルコール類(例えばメタノール)、ケトン類、エステル類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、およびジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキサイド、スルホラン等が好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
アルコール類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類の具体例としては、特開2012−194534号公報段落0136等に記載のものが挙げられ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
エステル類、ケトン類、エーテル類の具体例としては、特開2012−208494号公報段落0497(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0609])に記載のものが挙げられ、さらに、酢酸−n−アミル、プロピオン酸エチル、フタル酸ジメチル、安息香酸エチル、硫酸メチル、アセトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
本発明において、溶剤としては、エタノール、メタノール、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、N−メチル−2−ピロリドン、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、酢酸ブチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2−ヘプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートから選択される1種以上が好ましい。
溶剤の含有量は、本発明の組成物の全固形分が10〜90質量%となる量が好ましい。下限は、15質量以上がより好ましく、20質量%以上が更に好ましい。上限は、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下が更に好ましい。
溶剤は1種類のみでも、2種類以上でもよく、2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<界面活性剤>>
本発明の組成物は、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。界面活性剤の含有量は、本発明の組成物の全固形分に対して、0.0001〜5質量%が好ましい。下限は、0.005質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましい。上限は、2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。本発明の組成物は、フッ素系界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤の少なくとも一方を含有することが好ましい。これによれば、被塗布面と塗布液との界面張力が低下して、被塗布面への濡れ性が改善される。このため、組成物の液特性(特に、流動性)が向上し、塗布厚の均一性や省液性がより改善する。その結果、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行える。
フッ素系界面活性剤のフッ素含有率は、3〜40質量%が好ましい。下限は、5質量%以上が好ましく、7質量%以上が更に好ましい。上限は、30質量以下%が好ましく、25質量%以下が更に好ましい。フッ素含有率が上述した範囲内である場合は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、溶解性も良好である。
フッ素系界面活性剤として具体的には、特開2014−41318号公報の段落0060〜0064(対応する国際公開WO2014/17669号パンフレットの段落0060〜0064)等に記載の界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、Megafac F−171、同F−172、同F−173、同F−176、同F−177、同F−141、同F−142、同F−143、同F−144、同R30、同F−437、同F−475、同F−479、同F−482、同F−554、同F−780、同F−781F(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)等が挙げられる。
<<重合禁止剤>>
本発明の組成物は、製造中又は保存中において、硬化性化合物の不要な反応を阻止するために、少量の重合禁止剤を含有してもよい。
重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられ、p−メトキシフェノールが好ましい。
本発明の組成物が重合禁止剤を含有する場合、重合禁止剤の含有量は、本発明の組成物の全固形分に対して、0.01〜5質量%が好ましい。
<<紫外線吸収剤>>
本発明の組成物は、紫外線吸収剤を含有してもよい。
紫外線吸収剤は、公知の化合物を用いることができる。市販品としては、例えば、UV503(大東化学株式会社)などが挙げられる。
本発明の組成物は、紫外線吸収剤を含んでも含まなくてもよいが、含む場合、紫外線吸収剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.01〜5質量%であることがより好ましい。
本発明においては、紫外線吸収剤は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
<<他の近赤外線吸収物質>>
本発明の組成物は、一般式(1)で表される化合物の極大吸収波長とは異なる近赤外線領域に極大吸収波長を有する近赤外線吸収物質(以下、他の近赤外線吸収物質ともいう)をさらに含んでもよい。この態様によれば、一般式(1)で表される化合物のみでカットできるよりも、更に広い波長領域の近赤外線領域の光を吸収可能な近赤外線吸収フィルタを得ることができる。
他の近赤外線吸収物質としては、例えば、銅化合物、シアニン系色素化合物、フタロシアニン系化合物、イモニウム系化合物、チオール錯体系化合物、遷移金属酸化物系化合物、スクアリリウム系色素化合物、ナフタロシアニン系色素化合物、クオタリレン系色素化合物、ジチオール金属錯体系色素化合物、クロコニウム化合物等が挙げられる。
フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン化合物、インモニウム系化合物、シアニン系色素、スクアリウム系色素及びクロコニウム化合物は、特開2010−111750号公報の段落0010〜0081に記載の化合物を使用してもよく、この内容は本明細書に組み込まれる。シアニン系色素化合物は、例えば、「機能性色素、大河原信/松岡賢/北尾悌次郎/平嶋恒亮・著、講談社サイエンティフィック」を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
また、市販品としては、Exiton製「IRA842」、山田化学製「FD−25」などを使用することもできる。
<<その他の成分>>
本発明の組成物で併用可能なその他の成分としては、例えば、増感剤、架橋剤、硬化促進剤、フィラー、熱硬化促進剤、熱重合禁止剤、可塑剤などが挙げられ、更に基材表面への密着促進剤およびその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を併用してもよい。
これらの成分を適宜含有させることにより、目的とする近赤外線吸収フィルタの安定性、膜物性などの性質を調整することができる。
これらの成分は、例えば、特開2012−003225号公報の段落番号0183〜0228(対応する米国特許出願公開第2013/0034812号明細書の[0237]〜[0309])、特開2008−250074号公報の段落番号0101〜0102、段落番号0103〜0104、段落番号0107〜0109、特開2013−195480号公報の段落番号0159〜0184等の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
<組成物の調製および用途>
本発明の組成物は、上記各成分を混合して調製できる。
組成物の調製に際しては、組成物を構成する各成分を一括配合してもよいし、各成分を有機溶剤に溶解・分散した後に逐次配合してもよい。また、配合する際の投入順序や作業条件は特に制約を受けない。
本発明においては、異物の除去や欠陥の低減などの目的で、フィルタでろ過することが好ましい。フィルタとしては、従来からろ過用途等に用いられているものであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量を含む)等によるフィルタが挙げられる。これら素材の中でもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)およびナイロンが好ましい。
フィルタの孔径は、0.1〜7.0μmが好ましく、0.2〜2.5μmがより好ましく、0.2〜1.5μmが更に好ましく、0.3〜0.7μmが一層好ましいい。この範囲とすることにより、ろ過詰まりを抑えつつ、組成物に含まれる不純物や凝集物など、微細な異物を確実に除去することが可能となる。
フィルタを使用する際、異なるフィルタを組み合わせても良い。その際、第1のフィルタでのフィルタリングは、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。異なるフィルタを組み合わせて2回以上フィルタリングを行う場合は1回目のフィルタリングの孔径より2回目以降の孔径が同じ、もしくは大きい方が好ましい。また、上述した範囲内で異なる孔径の第1のフィルタを組み合わせてもよい。ここでの孔径は、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。市販のフィルタとしては、例えば、日本ポール株式会社、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)又は株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタの中から選択することができる。
第2のフィルタは、上述した第1のフィルタと同様の材料等で形成されたものを使用することができる。第2のフィルタの孔径は、0.2〜10.0μmが好ましく、0.2〜7.0μmがより好ましく、0.3〜6.0μmが更に好ましい。この範囲とすることにより、組成物に含有されている成分粒子を残存させたまま、異物を除去することができる。
本発明の組成物の粘度は、例えば、塗布により近赤外線吸収フィルタを形成する場合、1〜3000mPa・sの範囲にあることが好ましい。下限は、10mPa・s以上が好ましく、100mPa・s以上がより好ましい。上限は、2000mPa・s以下が好ましく、1500mPa・s以下がより好ましい。
本発明の組成物は、固体撮像素子の受光側における近赤外線吸収フィルタ(例えば、ウエハーレベルレンズに対する近赤外線吸収フィルタなど)、固体撮像素子の裏面側(受光側とは反対側)における近赤外線吸収フィルタなどに用いることもできる。また、本発明の組成物を、イメージセンサ上に直接塗布し塗膜形成して用いてもよい。
本発明の組成物は、塗布可能な状態で供給できることから、固体撮像素子の所望の部材や位置に近赤外線吸収フィルタを容易に形成できる。
<硬化膜、近赤外線吸収フィルタ>
本発明の硬化膜および近赤外線吸収フィルタは、上述した本発明の組成物を用いてなるものである。
本発明の近赤外線吸収フィルタは、光透過率が以下の(1)〜(3)のうちの少なくとも1つの条件を満たすことが好ましく、(1)〜(3)のすべての条件を満たすことがさらに好ましい。
(1)波長400nmでの光透過率は70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、85%以上がさらに好ましく、90%以上が特に好ましい。
(2)波長500nmでの光透過率は70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましい。
(3)波長550nmでの光透過率は70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましい。
本発明の近赤外線吸収フィルタの膜厚は、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、膜厚は、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。膜厚の下限は、例えば、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上が更に好ましい。
本発明の近赤外線吸収フィルタは、膜厚20μm以下で、波長400〜550nmの全ての範囲での光透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。また、波長600〜900nmの範囲の少なくとも1点での光透過率が20%以下であることが好ましい。
本発明の近赤外線吸収フィルタは、近赤外線を吸収・カットする機能を有するレンズ(デジタルカメラや携帯電話や車載カメラ等のカメラ用レンズ、f−θレンズ、ピックアップレンズ等の光学レンズ)および半導体受光素子用の光学フィルタ、省エネルギー用に熱線を遮断する近赤外線吸収フィルムや近赤外線吸収板、太陽光の選択的な利用を目的とする農業用コーティング剤、近赤外線の吸収熱を利用する記録媒体、電子機器用や写真用近赤外線吸収フィルタ、保護めがね、サングラス、熱線遮断フィルム、光学文字読み取り記録、機密文書複写防止用、電子写真感光体、レーザー溶着、などに用いられる。またCCDカメラ用ノイズカットフィルター、CMOSイメージセンサ用フィルタとしても有用である。
<硬化膜および近赤外線吸収フィルタの製造方法>
本発明の硬化膜および近赤外線吸収フィルタは、本発明の組成物を用いて得られる。具体的には、本発明の組成物を支持体に適用することにより膜を形成する工程、膜を乾燥する工程を経て製造できる。膜厚、積層構造などについては、目的に応じて適宜選択することができる。また、更にパターンを形成する工程を行ってもよい。
膜を形成する工程は、例えば、本発明の組成物を、支持体に滴下法(ドロップキャスト)、スピンコーター、スリットスピンコーター、スリットコーター、スクリーン印刷、アプリケータ塗布等を用いることにより実施できる。
支持体は、ガラスなどからなる透明基板であってもよい。また、固体撮像素子であってもよい。また、固体撮像素子の受光側に設けられた別の基板であってもよい。また、固体撮像素子の受光側に設けられた平坦化層等の層であっても良い。
膜を乾燥する工程において、乾燥条件としては、各成分、溶剤の種類、使用割合等によっても異なるが、60℃〜150℃の温度で30秒間〜15分間程度である。
パターンを形成工程としては、例えば、本発明の組成物を支持体上に適用して膜状の組成物層を形成する工程と、組成物層をパターン状に露光する工程と、未露光部を現像除去してパターンを形成する工程とを含む方法などが挙げられる。パターンを形成工程としては、フォトリソグラフィ法でパターン形成してもよいし、ドライエッチング法でパターンを形成してもよい。
近赤外線吸収フィルタの製造方法において、その他の工程を含んでいても良い。その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、基材の表面処理工程、前加熱工程(プリベーク工程)、硬化処理工程、後加熱工程(ポストベーク工程)などが挙げられる。
<<前加熱工程・後加熱工程>>
前加熱工程および後加熱工程における加熱温度は、80〜200℃が好ましい。上限は150℃以下が好ましい。下限は90℃以上が好ましい。
前加熱工程および後加熱工程における加熱時間は、30〜240秒が好ましい。上限は180秒以下が好ましい。下限は60秒以上が好ましい。
<<硬化処理工程>>
硬化処理工程は、必要に応じ、形成された上記膜に対して硬化処理を行う工程であり、この処理を行うことにより、近赤外線吸収フィルタの機械的強度が向上する。
上記硬化処理工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、全面露光処理、全面加熱処理などが好適に挙げられる。ここで、本発明において「露光」とは、各種波長の光のみならず、電子線、X線などの放射線照射をも包含する意味で用いられる。
露光は放射線の照射により行うことが好ましく、露光に際して用いることができる放射線としては、特に、電子線、KrF、ArF、g線、h線、i線等の紫外線や可視光が好ましく用いられる。
露光方式としては、ステッパー露光や、高圧水銀灯による露光などが挙げられる。
露光量は5〜3000mJ/cm2が好ましい。上限は、2000mJ/cm2以下が好ましく、1000mJ/cm2以下がより好ましい。下限は、10mJ/cm2以上が好ましく、50mJ/cm2以上がより好ましい。
全面露光処理の方法としては、例えば、形成された上記膜の全面を露光する方法が挙げられる。本発明の組成物が重合性化合物を含有する場合、全面露光により、膜中の重合成分の硬化が促進され、膜の硬化が更に進行し、機械的強度、耐久性が改良される。
全面露光を行う装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、超高圧水銀灯などの紫外線露光機が好適に挙げられる。
全面加熱処理の方法としては、形成された上記膜の全面を加熱する方法が挙げられる。全面加熱により、パターンの膜強度が高められる。
全面加熱における加熱温度は、100〜260℃が好ましい。下限は120℃以上が好ましく、160℃以上がより好ましい。上限は240℃以下が好ましく、220℃以下がより好ましい。加熱温度が上記範囲であれば、強度に優れた膜が得られやすい。
全面加熱における加熱時間は、1〜180分が好ましい。下限は3分以上が好ましく、5分以上がより好ましい。上限は120分以下が好ましい。
全面加熱を行う装置としては、特に制限はなく、公知の装置の中から、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ドライオーブン、ホットプレート、IRヒーターなどが挙げられる。
また、本発明の近赤外線吸収フィルタは、以下の(1)〜(4)に示す方法により作製することもできる。
(1)本発明の化合物と、樹脂とを混練し、加熱成形して近赤外線吸収フィルタを作製する方法。
(2)本発明の化合物と、硬化性化合物と、重合開始剤とを含む組成物をキャスト重合して近赤外線吸収フィルタを作製する方法。
(3)本発明の化合物と、樹脂と、溶剤とを含む組成物(塗料)を、透明樹脂板、透明フィルム、又は透明ガラス板にコーティングして近赤外線吸収フィルタを作製する。
(4)本発明の化合物と、樹脂とを含む組成物(接着剤)を用いて、合わせ樹脂板、合わせ樹脂フィルム、又は合わせガラス板を作製し、近赤外線吸収フィルタを作製する方法。
これらの方法の詳細については、国際公開WO06/006573号パンフレットの段落番号0038〜0044(対応する米国特許出願公開第2008/0048155号明細書の[0038]〜[0044])に記載を参酌でき、この内容は本願明細書に組み込まれることとする。
<固体撮像素子、赤外線センサ>
本発明の固体撮像素子は、本発明の組成物を用いてなる硬化膜を含む。固体撮像素子の詳細については、国際公開2014/129366号パンフレットの段落0236〜0237の記載を参酌でき、この内容は本明細書に含まれる事とする。
また、本発明の赤外線センサは、本発明の組成物を用いてなる硬化膜を含む。赤外線センサとしては、例えば、固体撮像素子と、本発明の組成物を用いて形成した近赤外線吸収フィルタと、カラーフィルタと、赤外線透過フィルタとを備えてなるものが挙げられる。
<化合物>
次に、本発明の化合物について説明する。
本発明の化合物は、本発明の近赤外線吸収組成物で説明した一般式(1)で表される化合物であり、好適な範囲も上述した範囲と同様である。
本発明の化合物は、例えば、固体撮動素子用等の近赤外線吸収フィルタ、熱線遮蔽フィルムにおける光学フィルタやフラッシュ溶融定着材料における光熱変換材料としても用いることができる。また、セキュリティインクや、不可視バーコードインクにおける情報表示材料として用いることもできる。また、断熱フィルム、光学製品、サングラス等にも使用することが出来る。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」および「部」は質量基準である。また、NMRは、核磁気共鳴の略称である。
(化合物Q−2の合成)
原料A−1を、4、6−ジメチルキノリン(WO2007/60685A1の方法に準じて、4−メチルアニリンから合成)と、ブチルヨーダイドから、WO2007/161768A2の方法に従い合成した。
原料A−1と、無水酢酸と、原料A−2とを混合し、加熱し、US2776280の方法に従い、原料A−3を得た。
次に、原料A−3と、1.2倍当量のトリストリフルオロメタンスルホニルメチドのカリウム塩をジメチルアセトアミド(DMAc)中で加熱溶解させ、冷却後、メタノールと水を添加し、得られた結晶をろ別することで、目的化合物Q−2を得た。
NMR(CDCl3) 0.92(t、6H、J=8Hz)、1.3−1.5(m、8H)、2.20(s,3H)、2.38(s,6H)、4.4(m、4H)、6.10(d,2H,J=8Hz)、6.5(s,2H)、6.8−7.0(m、4H)、7.2(m、2H)、8.55(d、2H,J=8Hz)
極大吸収波長 705nm(クロロホルム)
Figure 2016060774
(化合物Q−7、Q−9、Q−15、Q−19、Q−26、Q−37、Q−44、Q−45、T−2、T−5、T−9、T−13、T−14、T−21およびT−23の合成)
化合物Q−2の合成方法にならって、各化合物を合成した。
<極大吸収波長の測定>
各化合物を、クロロホルムに溶解させて1g/Lの濃度の溶液を調製した。次に、各化合物を溶解させた溶液の吸収スペクトルを、島津製作所製UV−1800を用いて測定し、極大吸収波長(λmax)を測定した。各化合物の極大吸収波長(λmax)を下記表に示す。
Figure 2016060774
(組成物の調製)
下記の組成を混合して組成物を調製した。組成物の固形分量は、31質量%であり、組成物の全固形分に対する色素の含有量は、7.5質量%である。
<組成>
色素(下記表に示す化合物および比較化合物):2.3部
樹脂1(下記構造):12.9部
重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製、製品名 KAYARAD DPHA):12.9部
光重合開始剤:IRGACURE OXE 01〔2−(o−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン〕、BASF社製:2.5部
紫外線吸収剤:UV503(大東化学株式会社):0.5部
界面活性剤:Megafac F−781F(大日本インキ化学工業製):0.04部
重合禁止剤:p−メトキシフェノール:0.006部
シクロヘキサノン:49.6部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:19.3部
樹脂1:下記構造(繰り返し単位における比はモル比である)、Mw=11500
特開2012−198408号公報の段落0247〜0249に記載の方法で合成した。
Figure 2016060774
<耐熱性の評価>
各組成物を、ガラス基板(コーニング社製1737)上に、乾燥後の膜厚が0.8μmになるようにスピンコーター(ミカサ(株)社製)を用いて塗布し、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行った。次に、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して、365nmの波長光を1000mJ/cm2にて露光して、着色層を有するガラス板(近赤外線吸収フィルタ)を得た。
得られたガラス板を、ホットプレートにより200℃で5分加熱した後、色度計MCPD−1000(大塚電子製)にて、耐熱テスト前後の色差のΔEab値を測定して、下記基準に従って評価した。ΔEab値の小さい方が耐熱性が良好であることを示す。
なお、ΔEab値は、CIE1976(L*,a*,b*)空間表色系による以下の色差公式から求められる値である(日本色彩学会編 新編色彩科学ハンドブック(昭和60年)p.266)。
ΔEab={(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)21/2
5:ΔEab値<3
4:3≦ΔEab値<5
3:5≦ΔEab値<10
2:10≦ΔEab値<20
1:20≦ΔEab値
<耐光性>
上記着色膜に対し、紫外線カットフィルタの装備されたXeランプにて10万ルクス・時間の光を照射した後、耐光テスト前後の色差のΔEab値を測定した。
5:ΔEab値<3
4:3≦ΔEab値<5
3:5≦ΔEab値<10
2:10≦ΔEab値<20
1:20≦ΔEab値
Figure 2016060774
Figure 2016060774
上記結果より、実施例の化合物を使用した実施例の着色層は、耐熱性に優れていた。さらには、耐光性にも優れていた。また、400〜550nmの波長域の透過率が高く、且つ、600〜900nmの波長域での透過率が低く、可視光透過性および近赤外線遮蔽性にも優れていた。
これに対し、比較例は、耐熱性が劣るものであった。さらには、耐光性も劣っていた。
実施例1〜16において、組成物の全固形分に対する化合物の含有量を1質量%、5質量%、10質量%、15質量%とした場合でも、それらと同様に優れた効果が得られる。
また、実施例1〜16において、プロピレングリコールモノメチルエーテルを等量のシクロペンタノンに代えた場合も、同様の効果が得られる。
また、実施例1〜16において、各組成物の調製後、日本ポール製DFA4201NXEY(0.45μmナイロンフィルター)を用いてろ過を行った場合も、同様の効果が得られる。
なお、比較化合物HQ−2、HQ−7、HQ−9、HQ−15、HQ−19、HQ−26、HQ−37、HQ−44、HQ−45、HT−2、HT−5、HT−9、HT−13、HT−14、HT−21およびHT−23は、化合物Q−2、Q−7、Q−9、Q−15、Q−19、Q−26、Q−37、Q−44、Q−45、T−2、T−5、T−9、T−13、T−14、T−21およびT−23におけるアニオンが、ヨードアニオン(I-)である化合物を用いた。すなわち、比較化合物HQ−2とは、化合物Q−2におけるアニオンが、ヨードアニオン(I-)である化合物である。他の比較化合物も同様である。
また、比較化合物R1〜R3は以下に示す化合物である。
Figure 2016060774

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物を含む近赤外線吸収組成物;
    Figure 2016060774
    式中、Yは、pKaが−13以下の低求核性アニオンを表し、
    1〜R5は、各々独立に、水素原子または置換基を表し、
    1〜R5のうち、2つが結合して環を形成していてもよく、
    nは0〜2の整数を表し、nが2の場合、複数のR4およびR5は同一であってもよく、異なっていてもよく、
    Aは下記式(A−1)〜(A−3)のいずれかを表し、Bは下記式(B−1)〜(B−3)のいずれかを表す;
    Figure 2016060774
    式中、V11〜V16、および、V21〜V26は、各々独立に水素原子または置換基を表し、V11とV12、V13とV14、V14とV15、V15とV16、V21とV22、V23とV24、V24とV25、または、V25とV26は、結合して環を形成していてもよく、
    6およびR7は、各々独立に、酸素原子を含んでもよい炭化水素基を表し、
    aおよびXbは、各々独立に、−S−、−O−、−NRX1−または−CRX2X3−を表し、
    X1、RX2およびRX3は、各々独立に、酸素原子を含んでもよい炭化水素基を表し、
    波線はメチン鎖との結合位置を表し、
    Aが(A−1)で、Bが(B−1)である場合は、R1〜R5、V11〜V16、および、V21〜V26から選ばれる少なくとも一つは置換基を表し、
    Aが(A−3)で、Bが(B−3)である場合は、XaおよびXbの少なくとも一方は−S−または−NRX1−を表し、
    Aが(A−3)で、Bが(B−3)で、nが2である場合は、R1〜R5のうちメチン鎖のメソ位は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ヘテロアリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、または、−NRa1a2を表し、
    a1およびRa2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
  2. 前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)〜(5)のいずれかで表される化合物である、請求項1に記載の近赤外線吸収組成物;
    Figure 2016060774
    式中、YはpKaが−13以下の低求核性アニオンを表し、
    1〜R5、V11〜V16、および、V21〜V26は、各々独立に水素原子または置換基を表し、
    1〜R5のうち、2つが結合して環を形成していてもよく、
    11とV12、V13とV14、V14とV15、V15とV16、V21とV22、V23とV24、V24とV25、または、V25とV26は、結合して環を形成していてもよく、
    n1は、1または2の整数を表し、n1が2の場合、複数のR4およびR5は同一であってもよく、異なっていてもよく、
    6およびR7は、各々独立に、酸素原子を含んでもよい炭化水素基を表し、
    一般式(2)においては、R1〜R3、V11〜V16、および、V21〜V26から選ばれる少なくとも一つは置換基を表し、
    一般式(3)においては、R1〜R5、V11〜V16、および、V21〜V26から選ばれる少なくとも一つは置換基を表し、
    一般式(5)においては、n1が2である場合には、R1〜R5のうちメチン鎖のメソ位は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ヘテロアリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、または、−NRa1a2を表し、
    a1およびRa2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
  3. 一般式(1)において、Yがトリス(フルオロアルキルスルホニル)メチドアニオンである、請求項1または2に記載の近赤外線吸収組成物。
  4. 一般式(1)において、R1〜R5、V11〜V16、および、V21〜V26は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アラルキル基または−NRa1a2で表される基を表す、請求項1〜3のいずれか1項に記載の近赤外線吸収組成物;ただし、Ra1およびRa2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の近赤外線吸収組成物を用いてなる硬化膜。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の近赤外線吸収組成物を用いてなる、近赤外線吸収フィルタ。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の近赤外線吸収組成物を用いてなる硬化膜を含む、固体撮像素子。
  8. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の近赤外線吸収組成物を用いてなる硬化膜を含む、赤外線センサ。
  9. 下記一般式(1)で表される化合物;
    Figure 2016060774
    式中、Yは、pKaが−13以下の低求核性アニオンを表し、
    1〜R5は、各々独立に、水素原子または置換基を表し、
    1〜R5のうち、2つが結合して環を形成していてもよく、
    nは0〜2の整数を表し、nが2の場合、複数のR4およびR5は同一であってもよく、異なっていてもよく、
    Aは下記式(A−1)〜(A−3)のいずれかを表し、Bは下記式(B−1)〜(B−3)のいずれかを表す;
    Figure 2016060774
    式中、V11〜V16、および、V21〜V26は、各々独立に水素原子または置換基を表し、V11とV12、V13とV14、V14とV15、V15とV16、V21とV22、V23とV24、V24とV25、または、V25とV26は、結合して環を形成していてもよく、
    6およびR7は、各々独立に、酸素原子を含んでもよい炭化水素基を表し、
    aおよびXbは、各々独立に、−S−、−O−、−NRX1−または−CRX2X3−を表し、
    X1、RX2およびRX3は、各々独立に、酸素原子を含んでもよい炭化水素基を表し、
    波線はメチン鎖との結合位置を表し、
    Aが(A−1)で、Bが(B−1)である場合は、R1〜R5、V11〜V16、および、V21〜V26から選ばれる少なくとも一つは置換基を表し、
    Aが(A−3)で、Bが(B−3)である場合は、XaおよびXbの少なくとも一方は−S−または−NRX1−を表し、
    Aが(A−3)で、Bが(B−3)で、nが2である場合は、R1〜R5のうちメチン鎖のメソ位は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ヘテロアリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、または、−NRa1a2を表し、
    a1およびRa2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
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